本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。**執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。**特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
この記事でわかること
- Chordia Therapeuticsが「何を売って、何にお金を使っている会社か」と、売上ゼロの創薬ベンチャーの決算をどこから読めばよいか
- 研究開発費が前期比19.0%減った中身。主力薬rogocekibの費用は、試験を回す費用が+2.48億円増え、薬そのものを作る費用が△5.21億円減った
- 会社予想は2期続けて「実際の約1.36倍の赤字」を置いていた。第3四半期時点の予想が最後の3か月に置いた費用は、実際の2倍以上だった。そして2027年8月期は、予想そのものが出なくなった
- 手元の現預金20.5億円と、2026年9月に発行した第12回新株予約権(最大23.7%の希薄化)で、2027年中頃の「第2相に進むかどうかの判断」まで資金が届くか。株価ごとの調達額と、費用のペースごとの資金の持ち時間を表で示す
- 資金使途のうち13.24億円は、行使価額175円・210円の新株予約権に紐づいている。直近の株価56円との距離
- 継続企業の前提に関する「重要事象等」の記載、グロース市場の時価総額100億円基準との距離
1. 前提知識:Chordia Therapeuticsは何をしている会社か
1-1. 軸となる見方:「引き取った候補を、答えが出るまで育てる」
Chordia Therapeutics(以下、Chordia)は、2017年10月に設立された抗がん薬の創薬ベンチャーです。代表取締役の三宅洋氏は武田薬品工業でがん創薬研究所の日本サイトヘッドを務めた人物で、会社は設立の翌月(2017年11月)に、武田薬品から4つの開発候補(プログラム)について全世界で独占的に研究・開発・製造・販売する権利を取得しました。本社は神奈川県藤沢市の湘南ヘルスイノベーションパーク(武田薬品の旧研究所)にあり、社員は22名(うちPhD 12名)です。
この会社を一言で言うと、大手製薬の研究所から引き取った抗がん薬の候補を、「売れる薬か」の答えが出るまで株主のお金で育てている会社です。
薬の開発は、試験管や動物での確認(前臨床)→少人数の患者さんで安全な量を探る第1相→効き目を確かめる第2相→大人数で比べる第3相→承認申請、と段階を踏みます。段階が進むほど、その候補が「売れる薬かどうか」の答えに近づき、大手製薬が買うときの値段も上がります。Chordiaの事業モデルは、候補を自社で第2相の前後まで進め、その成績を手に大手製薬と提携(導出)して、契約一時金・開発の節目ごとのマイルストン・発売後のロイヤリティを受け取るか、日本では自社で販売することです(決算説明資料の「収益化戦略」の記載)。
この1文には、強みと弱みが同じ形で入っています。
- 強み(何を持っているか):候補の出どころと、患者さんでのデータの積み上がり。主力のrogocekib(ロゴセキブ、開発コードCTX-712)は日米で計130例の患者さんに投与され(2026年9月末時点)、米国でも日本でも希少疾病用医薬品の指定を受けています
- 弱み①(何を自分で決められないか):答えが出るまで、売上は基本的にゼロです。育てる費用(臨床試験の委託費・薬の製造費・人件費)だけが先に出ていきます。いつ答えが出て、いつ大手が買ってくれるかは、試験の結果と相手の判断で決まります
- 弱み②(その費用を誰が出しているか):費用は株主から集めたお金で払われています。お金を集める手段は新株予約権で、株価が下がるほど、同じ金額を集めるのに多くの株が要ります
この記事では、この3点を「費用の中身」「予想の作り方」「お金の時計」の順に、決算書の数字で確かめていきます。
1-2. パイプライン(開発候補)の一覧
| 番号 | 標的 | 名称 | 主な対象 | 段階 | 会社が示す今後の進め方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | CLK阻害薬 | rogocekib(CTX-712) | 急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、卵巣がん等 | 日本第1相終了、米国第1/2相実施中 | 日米:自社開発/提携 |
| 2 | MALT1阻害薬 | ocipumaltib(CTX-177) | リンパ系腫瘍 | 第1相(小野薬品が実施、中止) | 提携 |
| 3 | CDK12阻害薬 | CTX-439 | 固形がん | 前臨床試験終了 | 提携 |
| 4 | GCN2阻害薬 | 開発コードなし | 固形がん、血液がん | 前臨床試験 | 提携 |
| 5 | 非公開 | 開発コードなし | 固形がん、血液がん | 前臨床試験 | 提携 |
出所:2026年8月期決算説明資料。この表のポイントは、お金を使っているのは実質的に1番のrogocekibだけという点です。会社は経営資源をrogocekibに集中し、その他は提携での収益化を探る方針を明記しています。研究開発費1,155百万円のうちrogocekibは795百万円(68.8%)で、残りの大半は人件費を含む「その他」330百万円です(2-3で詳しく見ます)。
用語メモ:CLK(CDC2様キナーゼ)は、遺伝子の情報を読み取ったあとに不要な部分を切り取って必要な部分をつなぐ「RNAスプライシング」を調節する酵素です。rogocekibはこれを妨げる飲み薬(経口の低分子化合物)で、作用の仕組みが既存薬にない「ファーストインクラス」を狙っています。
1-3. 一度は大手に引き渡した候補が、戻ってきた
2番のocipumaltib(CTX-177)は、2020年12月に小野薬品工業へライセンスした候補です。2023年8月期には小野薬品から25億円のマイルストン収入を受け取り、この年だけ黒字(当期純利益223百万円)になりました。ところが小野薬品は2025年4月、戦略上の理由で第1相試験の中止を通知し、2026年2月16日に解約合意書が締結されました。臨床試験のデータは無償でChordiaに移管され、全世界の権利も戻っています。
この出来事は、軸の1文の「答えが出るまで育てる」が、途中で大手に渡せば終わりではないことを示しています。渡した先の戦略が変われば候補は戻ってきますし、その間に入ってくるお金(一時金・マイルストン)は節目ごとの一回きりです。有報の事業等のリスクには、会社自身が「現状、マイルストン収入が期待できるライセンス契約を有しておりません」と書いています(2025年8月期有報)。
1-4. 業績の推移
| 項目 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 | 2026年8月期 |
|---|---|---|---|---|
| 事業収益 | 2,500 | - | - | - |
| 研究開発費 | 1,996 | 1,499 | 1,425 | 1,154 |
| 販売費及び一般管理費 | 291 | 301 | 364 | 318 |
| 営業利益 | 212 | △1,801 | △1,789 | △1,473 |
| 当期純利益 | 223 | △1,827 | △1,785 | △1,455 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 3.96 | △31.11 | △26.03 | △19.74 |
| 1株当たり純資産(円) | 79.28 | 61.44 | 35.29 | 24.83 |
| 現金及び預金 | 4,799 | 4,329 | 2,548 | 2,052 |
| 自己資本比率(%) | 91.2 | 89.8 | 90.8 | 90.7 |
| 営業CF | 543 | △1,937 | △1,836 | △1,418 |
| 期末発行済株式数(株) | 56,443,800 | 67,678,800 | 68,988,800 | 77,258,400 |
単位:百万円(百万円未満切り捨て。2023年8月期の現金欄は現金及び現金同等物)。出所:各期の決算短信(2023年8月期は2024年8月期の短信の前期欄)。2023年8月期の損益・1株当たりの数値は第12回新株予約権の発行に関するお知らせの「直近3年の業績」とも一致します。
この表のポイントは2つです。
- 赤字は年17〜18億円から14.7億円へ縮みましたが、売上がない以上、赤字の大きさ=研究開発の進め方の大きさです。 赤字が縮んだことを「良くなった」とも「悪くなった」とも、それだけでは読めません(2章・3章で中身を見ます)
- 1株当たり純資産は3年で79.28円→24.83円と約3分の1になりました。 赤字で純資産が減る一方、株数は新株予約権の行使で増えています。分子が減り、分母が増えた結果です
1-5. 会社予想の達成履歴
| 期 | 期初予想(営業損失) | 期初予想の前期実績比 | 期中の修正 | 実績 | 実績÷予想 | rogocekib研究開発費の計画→実績 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025年8月期 | △2,434 | 赤字+35.1% | なし | △1,789 | 73.5% | 1,610→1,067(66.3%) |
| 2026年8月期 | △2,008 | 赤字+12.2% | なし | △1,473 | 73.4% | 1,131→795(70.3%) |
| 2027年8月期 | 開示なし | - | - | - | - | - |
単位:百万円。出所:各期の決算短信(期初予想と研究開発費の計画は前期の通期短信「今後の見通し」、実績は当期の短信と決算説明資料)。rogocekibの研究開発費は、計画が短信、実績が説明資料と出典が分かれます。2025年8月期の短信は2026年8月期の計画1,131百万円を「前期比7.2%増」としており、ここから逆算した前期実績は約1,055百万円で、説明資料の1,067百万円と約12百万円ずれます。集計範囲の違いと考えられますが、開示からは確認できません。期中の修正は、IRニュースの一覧で業績予想の修正の開示がないことから判断しました。
2期続けて、赤字の実績は期初予想の約73%に収まっています。 つまり会社予想は、毎年「実際より約1.36倍大きい赤字」を置いてきました。差の大部分は、主力のrogocekibの研究開発費が計画の66〜70%しか使われなかったことで説明できます。この点は3章で掘り下げます。
用語メモ:業績予想と実績のずれが、利益(損失)で30%以上に達すると修正の適時開示が必要になります。Chordiaの乖離率は営業損失で26.5%・26.6%と、2期とも30%に届いていません。開示が出ていないことは、予想どおりだったことを意味しません。
1-6. 株主優待
株主優待:制度なし。 2025年8月期有報の「株主に対する特典」は「該当事項はありません」で、会社IRサイトのよくある質問にも優待の項目はありません。2026年8月期の有報(提出予定日:2026年11月25日)は未提出のため確認していません。
2. 決算ハイライト(2026年10月15日 15時30分発表)
2-1. 損益
| 項目(千円) | 2025年8月期 | 2026年8月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 事業収益 | - | - | - |
| 研究開発費 | 1,425,309 | 1,154,784 | △19.0% |
| 販売費及び一般管理費 | 364,471 | 318,986 | △12.5% |
| 営業損失 | △1,789,781 | △1,473,770 | 損失縮小 |
| 助成金収入(営業外収益) | 23,090 | 56,004 | - |
| 株式交付費・新株予約権発行費(営業外費用) | - | 21,647 | - |
| 経常損失 | △1,769,669 | △1,450,127 | 損失縮小 |
| 減損損失(特別損失) | 13,777 | 2,596 | - |
| 当期純損失 | △1,785,867 | △1,455,144 | 損失縮小 |
出所:2026年8月期決算短信。この表のポイントは、営業損失と経常損失の差(約23.6百万円)が、助成金収入を中心とする営業外収益から、資金調達の費用と為替差損を中心とする営業外費用を引いた残りという点です。営業外収益56,275千円(うち助成金収入56,004千円)−営業外費用32,633千円(うち株式交付費・新株予約権発行費21,647千円、為替差損10,368千円)=23,642千円で、営業損失と経常損失の差23,643千円と一致します(千円の丸めで1千円ずれ)。
研究開発費から助成金を引いた「自分で負担した研究開発費」は、1,154,784−56,004=1,098,780千円(約11.0億円)です。助成金は研究開発費の4.8%にあたります。
用語メモ:Chordiaは国の研究機関(AMED)などからの助成金を、営業外収益に計上しています。研究開発費を減らす形ではなく、営業利益の下に別の行として出てくるので、「営業損失」は助成金を差し引く前の金額です。
2-2. 財政状態とキャッシュ・フロー
| 項目(千円) | 2025年8月末 | 2026年8月末 |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 2,548,955 | 2,052,273 |
| 資産合計 | 2,681,349 | 2,114,414 |
| 負債合計 | 244,338 | 188,840 |
| 純資産合計 | 2,437,010 | 1,925,573 |
| 自己資本比率 | 90.8% | 90.7% |
| キャッシュ・フロー(千円) | 2025年8月期 | 2026年8月期 |
|---|---|---|
| 営業活動 | △1,836,921 | △1,418,534 |
| 投資活動 | △5,327 | △2,277 |
| 財務活動 | 61,580 | 924,129 |
| うち新株予約権の行使による株式発行収入 | 61,580 | 927,465 |
| 現金及び現金同等物の増減 | △1,780,668 | △496,681 |
資産のほぼすべてが現預金で、借入はありません。お金の流れは単純で、本業で14.2億円が出ていき、新株予約権の行使で9.3億円が入り、差し引き5.0億円減った、という1行に尽きます(△1,418,534−2,277+924,129=△496,682千円。CF計算書の△496,681千円と丸めで一致)。
2-3. 純資産の部で起きた「減資・欠損填補」
純資産の部では、資本金が469百万円増え、資本剰余金が7,038百万円減り、利益剰余金(マイナス)が6,052百万円増えています。大きな数字が動いていますが、これは2025年10月22日に開示した「資本準備金の額の減少及び剰余金の処分」によるものです。資本準備金4,634,982千円をその他資本剰余金に振り替え、その他資本剰余金7,507,647千円で繰越利益剰余金のマイナス(△7,507,647千円)を埋めました。
この処理で純資産の総額は1円も変わりません。 純資産の内訳の「名札」を付け替えただけです。2026年8月末の繰越利益剰余金△1,455,144千円は、当期の純損失と同額になっています。会社は決算説明資料で、販管費の減少要因の1つに「減資に伴う外形標準課税の減少」を挙げています(資本金等の額が下がると、外形標準課税の資本割が小さくなります)。なお資本金は1,345百万円で、1億円以下の中小企業向け税制の対象ではありません。
2-4. 「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載
短信には今期も、次の記載があります。
会社は次のように書いています(原文)。
継続的な営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスの計上、重要な営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在しております。
そのうえで、現預金2,052百万円で「今後1年間の事業活動を継続するために必要な資金は確保できております」とし、第12回新株予約権の発行とAMEDの採択を挙げて、「継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識しております」と結んでいます。財務諸表の「継続企業の前提に関する注記」は「該当事項はありません」です。同じ趣旨の記載は前期の短信・有報にもありました。
用語メモ:「継続企業の前提に関する重要事象等」は、事業の継続に疑いを生じさせる事象(ここでは継続的な赤字と営業CFのマイナス)があることの記載です。「継続企業の前提に関する注記」は、それに加えて対応策を考えても重要な不確実性が残ると判断した場合に付くもので、別物です。Chordiaは前者の記載だけがあり、後者はありません。
2-5. 2027年8月期の業績予想は「開示なし」
今回の短信で最も変わった点は、2027年8月期の業績予想が開示されなかったことです。前期・前々期は、事業収益を「ゼロ」と置いたうえで研究開発費・販管費・助成金を積み上げた営業損失の予想を出していました。
会社は次のように書いています(原文)。
rogocekibの価値最大化に向けて、将来的な事業提携を含む様々な事業戦略上の選択肢を維持していることから、現時点では業績に与える影響を合理的に見積もることが困難であり、2027年8月期の通期業績予想は開示しておりません。
予想PER・予想EPSはもともと赤字で意味を持ちませんが、今期は「会社がいくら使うつもりか」という費用側の物差しもなくなりました。この点は3章と4章の問いにつながります。
3. 深掘り①:研究開発費が19%減った中身
深掘りの問いは1つです。手元の20億円は、rogocekibの「第2相に進むかどうか」の答えが出る2027年中頃まで届くのか。 これを、(1)お金がどこに使われているか(3章)、(2)会社の費用の見積もりはどれくらい当たってきたか(4章)、(3)これから入ってくるお金と出ていくお金(5章)の3段で確かめます。
3-1. rogocekibの費用:「試験を回す費用」が増え、「薬を作る費用」が減った
| 研究開発費の内訳(百万円) | 2025年8月期 | 2026年8月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| rogocekib(CTX-712) | 1,067 | 795 | △272 |
| CTX-177 | 0 | 10 | +10 |
| CTX-439 | 27 | 19 | △8 |
| その他(人件費を含む) | 331 | 330 | △1 |
| 研究開発費 合計 | 1,425 | 1,155 | △270 |
出所:2026年8月期決算説明資料(9ページ)。内訳の合計は2025年8月期1,425、2026年8月期1,154で、表示の合計(1,155)とは百万円の丸めで1ずれます。
会社はrogocekibの増減を2つに分けて説明しています。
- 米国の臨床試験の委託先(CRO)への費用:+248百万円。 2026年3月に始まった初期拡大コホート(IEコホート)と、マイルストン(試験の節目)の達成に伴う費用
- 原薬・製剤関連コスト:△521百万円。 説明資料は「治験に必要な原薬・製剤を一定量確保済み」で、当期の製造関連費用が限られたと書いています
2つの合計は△273百万円で、rogocekibの減少△272百万円とほぼ一致します(丸めで1ずれ)。
つまり今期の減少は、試験の規模を縮めたからではなく、試験に使う薬を前の期までに作っておいたからです。軸の1文で言えば、育てるための材料を先に買い置きしてあり、今期はその分の支払いが少なかった、ということです。試験そのものの費用(CRO)は、拡大コホートの開始で増えています。
この点は強気・弱気の両方に読めます。
- 強気:今期の費用の減少は、試験の遅れではなく、製造費の時期のずれで説明できる。CROの費用は計画どおり増えている
- 弱気:原薬・製剤の買い置きは使えば減る。第2相に向けては治験薬を新たに作る必要があり、会社は第10回・第11回新株予約権の資金使途に「第2相臨床試験に供する治験薬の製造」580百万円(2028年8月期第1四半期〜2029年8月期第1四半期)を置いています。今期減った製造費は、いずれ戻ってくる費用です
3-2. 8四半期の差し引き:直近2四半期は「1四半期あたり約4億円」
Chordiaは四半期ごとに累計の数字しか開示していないので、前の四半期の累計を引いて3か月ごとの数字を出します。
| 3か月(決算期の四半期) | 研究開発費 | 販管費 | 営業損失 | 助成金収入 | 経常損失 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年9〜11月(25年8月期1Q) | 522 | 101 | 624 | 10 | 615 |
| 2024年12月〜25年2月(2Q) | 277 | 94 | 371 | 12 | 359 |
| 2025年3〜5月(3Q) | 326 | 98 | 424 | 0 | 422 |
| 2025年6〜8月(4Q) | 299 | 69 | 368 | 0 | 372 |
| 2025年9〜11月(26年8月期1Q) | 229 | 76 | 306 | 30 | 294 |
| 2025年12月〜26年2月(2Q) | 280 | 75 | 356 | 20 | 337 |
| 2026年3〜5月(3Q) | 331 | 76 | 407 | 0 | 413 |
| 2026年6〜8月(4Q) | 313 | 89 | 403 | 5 | 403 |
単位:百万円。各四半期の短信の累計値から筆者が差し引いて算出(千円単位で差し引き、百万円未満切り捨て。切り捨てのため研究開発費+販管費と営業損失は±1ずれます)。4四半期の合計(千円)は、研究開発費・販管費・助成金収入・経常損失のいずれも通期の開示値と一致することを確認しました。2024年8月期の第1・第2四半期は、上場前で四半期財務諸表が作成されていないため並べられません。
この表のポイントは3つです。
- 2026年8月期は四半期を追うごとに営業損失が増えています(306→356→407→403)。IEコホートが始まった2026年3月以降の2四半期は、平均で約4.06億円(千円ベースで405,522千円)です。年間に直すと約16億円のペースで、通期の14.7億円より重い
- 前期の第1四半期(2024年9〜11月)の研究開発費522百万円が突出しています。 それ以降の7四半期は229〜331百万円の範囲に収まっています。今期の研究開発費の前年比△19.0%は、この1四半期の差がかなり効いています(前期1Qを除いた3四半期の合計902百万円に対し、今期の同じ3四半期は925百万円でほぼ同水準)
- 助成金収入は年によって入る四半期が違います。 前期は上期だけ、今期は第1四半期の30百万円(2025年12月1日開示、2025年3月期分のAMED助成金)が大きい。季節性とは言えません
用語メモ:「累計しか開示されないので、自分で引き算するしかない」のが四半期の数字です。Chordiaは第1・第3四半期に説明資料を作らず、決算説明会も中間と本決算の年2回です(会社IRサイトのよくある質問による)。3か月ごとの費用のペースは、この引き算で初めて見えます。
4. 深掘り②:予想は毎年、残りの期間に「実際の2倍以上の費用」を置いてきた
3章で今の費用のペースを見ました。次の段は、会社自身の費用の見積もりがどれくらい当たってきたかです。2027年8月期は予想が出ていないので、過去2期の予想の外れ方を知っておくことが、これからの資金の持ち時間を読む前提になります。
4-1. 第3四半期の時点で、予想が最後の3か月に置いていた費用
| 期 | 通期予想(営業損失) | 第3四半期までの実績 | 予想が第4四半期に置いた営業損失 | 実際の第4四半期 | 実際÷予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年8月期 | △2,434 | △1,420 | △1,013 | △368 | 36.4% |
| 2026年8月期 | △2,008 | △1,070 | △937 | △403 | 43.0% |
単位:百万円。予想が置いた第4四半期は〈通期予想−第3四半期累計実績〉で筆者が算出(千円ベースで計算し、百万円未満切り捨て)。予想は2期とも期中に修正されていません。
第3四半期の時点で据え置かれた予想は、最後の3か月に9〜10億円の営業損失を置いていました。実際の第4四半期は3.7〜4.0億円で、置かれた額の4割前後です。 中間時点で見ても同じ形で、予想が下期に置いた営業損失(2025年8月期14.37億円、2026年8月期13.45億円)に対し、実際の下期は7.93億円・8.11億円でした。
用語メモ:「予想が第4四半期に置いた営業損失」は、通期予想を据え置いたことによる計算上の数字です。会社が「第4四半期に9億円使う」と発表したわけではありません。予想を据え置いたまま費用が予定より少なければ、残り期間の数字は機械的に大きくなります。
4-2. 外れ方の中身:rogocekibの費用が計画の7割
1-5の達成履歴で見たとおり、外れ方の大部分はrogocekibの研究開発費です。計画1,610百万円→実績1,067百万円(2025年8月期)、計画1,131百万円→実績795百万円(2026年8月期)でした。
この「計画より使わない」形は、軸の1文の弱み①「答えが出る時期は自分で決められない」と、強気・弱気の両方でつながっています。同じ数字が両側に置けます。
- 強気の読み方:費用が計画を下回った分、現金は長持ちする。今期の減少の主因は原薬・製剤の買い置き(3-1)で、試験の進み方そのものではない。IEコホートは2026年3月開始から約6か月後の9月24日に、予定の28例すべての登録を終えている
- 弱気の読み方:費用の計画は、試験の進み方の計画でもある。日程はすでに一度、後ろに動いています。2025年9月5日の第9〜11回新株予約権の開示で、会社は試験全体の症例数を170例から225例に増やしたことに伴い、第2相試験の開始を「2025年下半期」から「2027年中期」に、販売承認申請を「2026~2028年」から「2028年後期」に変更しました
今回(2026年10月)の説明資料では、第2相は「2027年中頃(予定)」にAEコホートの評価に基づいて「開発方針を決定」とされ、日本での販売承認申請は「時期検討中」になっています(第2相の「2027年中期」開始の目標は、第12回新株予約権の資金使途の説明にも残っています)。承認申請の書きぶりが変わった理由について、会社はAMEDのGRiT事業の採択を受けて、日本の施設での患者さんの組み入れを第2相より早い段階から行う可能性を検討しており、開発方針と承認申請の目標時期はAEコホートの評価結果等を踏まえて決めると説明しています(決算説明資料19ページ)。遅れなのか計画の組み替えなのかは、現時点の開示からは判断できません。次の手がかりは、追加拡大コホート(AEコホート)が予定どおり始まるかです。会社は第12回新株予約権の発行の開示(2026年8月24日)で、AEを「2027年8月期第2四半期(2026年12月~2027年2月)」から実施する予定と書いています。
4-3. 予想がなくなった年に、費用の物差しになるもの
2027年8月期は業績予想が出ていません。代わりに費用の見通しを最も具体的に書いているのは、新株予約権の発行の開示にある資金使途の表です。
| 使途 | 総額 | 充てる資金 | 支出予定時期 |
|---|---|---|---|
| rogocekib 拡大コホート | 約2,700 | 上場時の資金692/第9〜11回908/第12回1,100 | 第12回分は2027年8月期1Q〜2028年8月期1Q |
| rogocekib 薬物相互作用(DDI)試験 | 1,150 | 第12回406/第10・11回744 | 2027年8月期4Q〜2029年8月期1Q |
| 第2相用の治験薬の製造 | 580 | 第10・11回580 | 2028年8月期1Q〜2029年8月期1Q |
単位:百万円。出所:第12回新株予約権の発行に関するお知らせ(2026年8月24日)、第10回・第11回新株予約権に係る資金使途の変更に関するお知らせ(同日)。拡大コホートの内訳の合計692+908+1,100=2,700、DDIの406+744=1,150は一致します。この表は筆者の整理で、会社が業績予想として示したものではありません。
拡大コホートだけで総額約27億円、DDI試験と治験薬を合わせると、rogocekibの今後の試験関連費用として約44億円が書かれています(すでに使った分を含みます)。どれだけが使い済みで、どれだけが残っているかは開示されていません。ここから言えるのは、費用の側には「拡大コホート→DDI試験→第2相の治験薬」という順番があり、後ろの2つほど、まだ集まっていない資金に紐づいているということです。これが次の章の問いです。
5. 深掘り③:お金の時計――手元の現金・第12回新株予約権・GRiT
3章で費用のペース(1四半期約4億円)を、4章で会社の見積もりの外れ方(計画の約7割)と、これから費用が出ていく順番を見ました。最後の段は、入ってくるお金の側です。
5-1. 手元の現金だけで、どこまで持つか
| 1四半期あたりの資金の減り方(筆者の仮定) | 持ち時間 | 目安の時期 |
|---|---|---|
| 300百万円(2026年8月期の1Q並み) | 約20.6か月 | 2028年5月ごろ |
| 350百万円(2026年8月期の営業CF÷4に近い) | 約17.6か月 | 2028年2月ごろ |
| 405百万円(直近2四半期の営業損失の平均) | 約15.2か月 | 2027年12月ごろ |
| 500百万円(DDI試験等が重なった場合の仮定) | 約12.4か月 | 2027年9月ごろ |
| 600百万円 | 約10.3か月 | 2027年7月ごろ |
筆者の試算で、将来の見通しではありません。起点は2026年8月末の現預金2,052百万円に、9月の第12回新株予約権の行使分(100,000株×62.1円=6.21百万円)を足した2,058百万円。新たな調達・助成金・提携収入はゼロと置き、1か月を30.44日として時期を出しています。営業損失は助成金収入や支払いのタイミングの影響を含まないため、営業CFとは一致しません。
直近のペース(1四半期約4億円)が続けば、手元の現金だけで2027年中頃の「第2相に進むかどうかの判断」までは届く計算です。 会社が短信で書いている「今後1年間の事業活動を継続するために必要な資金は確保」とも整合します。ただし、第2相そのものの費用、DDI試験、治験薬の製造まで含めると、手元の現金だけでは足りません。その差を埋める手段として会社が挙げているのが、第12回新株予約権、AMEDのGRiT、事業提携の3つです。
5-2. 第12回新株予約権:株価が下がるほど、同じ株数で集まるお金が減る
2026年8月24日(月)16時00分に発行を決議し、9月9日に払い込みが完了しました。割当先は野村證券です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 新株予約権の数 | 184,220個(潜在株式18,422,000株) |
| 発行価額 | 1個33円(総額6,079,260円) |
| 行使価額 | 当初82円。2026年9月11日以降は、行使請求の前取引日の終値の90%に毎回修正。下限41円、上限なし |
| 行使期間 | 2026年9月11日〜2028年9月8日(金) |
| 差引手取概算額 | 1,506百万円(当初行使価額82円で全部行使された場合) |
| 最大希薄化率 | 23.84%(議決権ベース24.99%) |
| 会社が持つ権利 | 行使を止める期間の指定(停止指定)、残存分の取得 |
出所:第12回新株予約権の発行に関するお知らせ(2026年8月24日)、払込完了のお知らせ(9月9日)。
この新株予約権は、株数が決まっていて、集まる金額が株価で変わる仕組みです。 株価が下がっても発行される株数(最大18,422,000株)は変わらず、集まるお金だけが減ります。
| 行使時の株価(直前取引日の終値) | 行使価額(終値×90%、下限41円) | 残り18,322,000株を全部行使した場合の払込額 |
|---|---|---|
| 45円以下 | 41.00円(下限) | 約751百万円 |
| 50円 | 45.00円 | 約824百万円 |
| 56円(2026年10月16日終値) | 50.40円 | 約923百万円 |
| 65円 | 58.50円 | 約1,072百万円 |
| 80円 | 72.00円 | 約1,319百万円 |
| 92円 | 82.80円 | 約1,517百万円 |
| 110円 | 99.00円 | 約1,814百万円 |
筆者の試算で、将来の見通しではありません。9月末時点の未行使分183,220個(18,322,000株)がすべて同じ株価で行使されたと仮定。発行諸費用(概算10百万円)は差し引いていません。実際には行使のたびに価額が変わり、行使されない分は調達額が減ります。
この表のポイントは、会社が使途表で第12回に割り当てた1,506百万円(発行諸費用を引いた手取りの概算)は、残りの株数で賄うなら株価が約92円以上で推移する前提の金額だという点です。直近の56円で全部行使されると約9.2億円で、約5.8億円足りません。下限の41円まで下がると約7.5億円です。
2026年9月の行使は1回だけで、9月15日に1,000個(100,000株)が行使価額62.1円で行使されました(月間行使状況のお知らせ、2026年10月1日)。発行総数の0.54%です。
用語メモ:行使価額修正条項付新株予約権(いわゆるMSワラント)は、引き受けた証券会社(ここでは野村證券)が、市場で株を売りながら少しずつ行使してお金を払い込む仕組みです。会社の開示によれば野村證券に長期保有の意思はなく、行使で取得した株は市場で売却する方針です。また、代表取締役の三宅氏が保有株を野村證券に貸し付ける予定と書かれています(時期・株数は未定)。行使は暦月で発行済株式数の10%を超えない制限があります。
5-3. 第9回から第12回への乗り換え:下限105円の壁
第12回は、2025年9月に発行した第9回新株予約権の後継です。
| 項目 | 第9回 | 第12回 |
|---|---|---|
| 割当先 | SBI証券 | 野村證券 |
| 潜在株式 | 10,320,000株 | 18,422,000株 |
| 当初行使価額 | 175円 | 82円 |
| 下限行使価額 | 105円 | 41円 |
| 行使価額の修正 | 前取引日終値の95% | 前取引日終値の90% |
| 結果 | 7,753,600株を行使(約908百万円)、残り2,566,400株分を2026年9月9日に取得・消却 | 9月末までに100,000株を行使 |
出所:第9〜11回・第12回新株予約権の発行に関する各お知らせ、第9回の取得及び消却の完了に関するお知らせ。約908百万円は第12回の開示に記載の第9回による調達額で、1株あたりに直すと約117.1円(筆者の概算)。
第9回の下限105円に対し、株価は2026年5月の月末終値109円から6月には76円まで下がりました(月足の終値)。株価が下限を下回ると、行使価額は105円のまま市場価格より高くなるので、引受先は行使できなくなります。会社は第9回の残りを取得して消し、下限を41円まで下げた第12回に乗り換えました。下限を下げたことで行使が止まりにくくなった一方、1株あたりの払込額は約117円(第9回の平均)から50円前後(第12回の直近)へ半分以下になっています。 軸の1文の弱み②「株価が下がるほど、同じ金額に多くの株が要る」が、そのまま数字に出ています。
5-4. 第10回・第11回:資金使途13.24億円と、株価56円の距離
第9回と同時に発行された第10回・第11回新株予約権は、行使価額が固定です。
| 項目 | 第10回 | 第11回 |
|---|---|---|
| 潜在株式 | 3,440,000株 | 3,440,000株 |
| 行使価額(固定) | 175円 | 210円 |
| 行使期間の末日 | 2027年9月24日 | 2028年9月25日 |
| 行使済み | 0個 | 0個 |
| 現在の扱い | 行使停止を指定(2026年8月24日) | 行使停止を指定(同) |
出所:第9〜11回新株予約権の発行に関するお知らせ(2025年9月5日)、第12回の発行に関するお知らせ、行使停止指定のお知らせ(2026年8月24日)。
会社は第12回の調達を優先するため、第10回・第11回の行使を止めています。そのうえで、この2回の資金使途を「DDI試験744百万円+第2相の治験薬580百万円=1,324百万円」に変更しました。3,440,000株×175円+3,440,000株×210円=1,324.4百万円で、使途の合計と一致します。
つまり使途表の1,324百万円は、株価が175円・210円を上回って行使されることが前提です。直近の56円に対し、175円は約3.1倍、210円は約3.75倍の水準です。 会社は第10回・第11回を「資本政策上の選択肢として存続」させると書いていますが、この2回で資金が入る時期は株価次第で、現時点では見通せません。4-3の表でいえば、DDI試験の約3分の2と治験薬の製造費の全額が、この2回に紐づいています。
5-5. AMEDのGRiT:最大15億円、ただし「使った費用の半分」
2026年9月30日(水)11時30分、rogocekibの研究開発課題がAMEDの令和8年度「革新的医療技術研究開発推進事業(産官学共同型)グローバルタイプ(難病・希少疾病治療グローバル研究開発支援事業)」(GRiT)に採択されたと開示されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 研究開発課題 | 再発又は難治性AML/高リスクMDSを対象としたrogocekibの第I/II相試験(日本も参加する国際共同治験) |
| 補助金の額 | 上限15億円 |
| 補助率 | 補助対象経費の1/2が上限 |
| 研究開発期間 | 2026年10月1日〜2029年11月30日(予定) |
| 業績への影響 | 交付額が未確定のため「未定」 |
出所:採択のお知らせ(2026年9月30日)、2026年8月期決算説明資料。
GRiTは返済の要らない資金で、株を増やさずにお金が入る点で、新株予約権とは性格が違います。会社も「非希薄化資金」と呼んでいます。ただし補助は対象経費の半分が上限なので、15億円を受け取るには、対象となる費用を30億円使う必要があります。残りの半分は会社が自分で用意するお金です。また実際の交付額は今後の研究計画などに基づいて決まり、現時点では確定していません。
このため、GRiTは「資金の持ち時間を延ばす」というより、「国際共同治験の費用の半分を肩代わりしてくれる」ものとして読むのが正確だと筆者は考えます。費用が増える試験を始めるほど、補助も増えますが、自己負担も同じだけ増えます。
5-6. 3段をつなぐ:問いへの答え
3つの章を1本の線でつなぐと、次のようになります。
- 費用(3章):1四半期約4億円。今期の費用の減少は、原薬・製剤の買い置きによる一時的な面が大きい
- 見積もり(4章):会社の計画は2期続けて、実際より約1.36倍の赤字を置いてきた。費用は計画の後ろにずれる傾向がある。2027年8月期は予想自体がない
- 資金(5章):手元の現金だけで、直近のペースなら2027年12月ごろまで持つ計算(筆者の試算)。第12回が直近の株価で全部行使されれば約9.2億円が加わるが、使途表の15.06億円には届かない。第10回・第11回の13.24億円は株価が3倍超にならないと入らない。GRiTは費用の半分を補助する
問いへの答えは、**「2027年中頃の判断までは、手元の現金で届く計算になる。その先の第2相・DDI試験・治験薬の費用は、第12回の行使、GRiT、提携のどれか(あるいは追加の資金調達)で埋める必要がある」**です。
軸の1文に戻ると、Chordiaは「答えが出るまで育てる」ことには資金の目処を付けていますが、答えが出たあとに育て続ける費用は、そのときの株価(=株主のお金の値段)と、大手製薬の判断に左右されます。会社自身も2026年8月期の振り返りで、新規事業提携の項目を「未達成」と自己評価し、「事業提携の実現には至らなかった」と総括しています。
6. パイプラインの進捗:rogocekibのデータと、戻ってきたCTX-177
6-1. rogocekibの臨床試験の現在地
| 試験 | 実施国 | 組入れ症例数 | 状況 |
|---|---|---|---|
| 第1相 | 日本 | 60(固形がん46、AML12、MDS2) | 完了 |
| 第1/2相 用量漸増コホート | 米国 | 42 | 完了 |
| 第1/2相 初期拡大コホート(IE) | 米国 | 28 | 2026年9月に登録完了 |
| 合計 | 130 | 2026年9月末時点 |
出所:2026年8月期決算短信。
拡大コホートは、米国FDAのProject Optimus(抗がん薬の用量を、効き目と副作用の両面から最適化するよう求める方針)に沿って、IEとAE(追加拡大コホート)の2段階で行います。IEで複数の用法・用量を評価し、その結果を踏まえてAEに進み、AEの結果で第2相の推奨用量(RP2D)と対象のがん種を決める計画です。会社は2027年中頃をめどにAEの評価を終え、第2相への移行を判断するとしています。
6-2. 用量漸増コホートの成績(EHA 2026)
2026年6月の欧州血液学会(EHA)で、米国の用量漸増コホート(42例)の中間成績が発表されました(データカットオフ2026年4月30日)。説明資料の要点は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 再発又は難治性のAML(54.8%)、高リスクMDS(38.1%)、CMML(7.1%) |
| 患者背景 | 75歳以上33.3%、3レジメン以上の前治療歴57.1%、AMLの予後不良リスク73.9% |
| 最大耐量(MTD) | 100mg(週1回・週2回とも) |
| 主な副作用 | 悪心52.4%、下痢35.7%、便秘14.3%、嘔吐14.3%、血小板減少11.9% |
| 全奏効率(ORR) | 評価可能34例中4例(11.8%):CRi 3例、mCR 1例 |
| サブグループ | AML・100mg週1回でCRi 50%(2/4例)、AML・80mg週2回でCRi 20%(1/5例)、MDS・80mg週1回でmCR 25%(1/4例) |
| 寛解までの期間・奏効期間(中央値) | 29日・157日 |
出所:2026年8月期決算説明資料(16〜18ページ)。
会社は参考として日本の第1相試験のORR 42.9%(6/14例)も載せていますが、患者背景や用法・用量が違うため「単純比較はできない」と明記し、米国試験には低用量の症例が含まれることを挙げています。サブグループは例数が少なく、拡大コホートでの確認が必要とも書いています。
用語メモ:CRiは「血球の回復が不完全な完全寛解」、mCRはMDSでの「骨髄完全寛解」です。ORR(全奏効率)は、これらを含む何らかの奏効が得られた患者さんの割合です。11.8%という数字は、低い用量で治療された患者さんを含む用量探索段階のものである点に注意が要ります。
安全性について、2025年8月期の有報の事業等のリスクには、臨床試験で「rogocekibの投与と因果関係が否定できない3件の死亡例が発生」したこと、規制当局に報告し治験実施計画書を改訂したうえで試験を継続していることが書かれています。会社は「今後、重篤な副作用(特に死亡例)が続き、重篤な副作用発生のリスクを低減できない場合においては、本パイプラインの開発を中止する可能性」があるとしています。
競合については、同じ有報で米国のBiosplice Therapeutics社とBlossomHills Therapeutics社がCLK阻害薬の臨床試験を行っていることを挙げています。
6-3. 希少疾病用医薬品の指定(日米)
rogocekibは米国FDAからAMLでのオーファンドラッグ指定を受けており、2026年8月25日(火)11時30分には、日本の厚生労働省からも再発又は難治性AMLを対象とした希少疾病用医薬品に指定されたと開示されました。会社は業績への影響は「ありません」としています。指定は試験研究費への助成金交付などの支援措置の対象になる制度で、5-5のGRiTの採択でも、日米の指定が事業の前提として挙げられています。
6-4. ocipumaltib(CTX-177)と、その他の候補
1-3のとおり、小野薬品から全世界の権利とデータが戻りました。会社は「再導出を含む事業開発」を進めるとしていますが、今期の研究開発費は10百万円で、自社で試験を再開する費用はかけていません。CTX-439(CDK12阻害薬)とGCN2阻害薬は、AMED等の助成金を使った自社研究にとどめ、早期のパートナリングを検討しています。2025年にはデ・ウエスタン・セラピテクス研究所、千寿製薬と、それぞれ別の化合物について眼科疾患での可能性を探る共同研究を始めています。
7. 資本政策と株主還元(希薄化と需給の管理情報)
Chordiaは赤字・無配の創薬ベンチャーなので、このセクションは「株主にいくら返すか」ではなく、「株数がどれだけ増えうるか」と「誰が株を持っているか」を管理するための情報として読んでください。
7-1. 配当方針と権利付き最終日
設立以来、配当はありません。有報の配当政策は「当面は配当を実施せず、研究開発活動の継続に備えた資金の確保を優先する方針」で、会社IRサイトのよくある質問でも、配当は「現段階では想定していません」と答えています。将来配当する場合は8月31日の期末配当を基本とし、定款上は2月末日の中間配当も可能です。剰余金の配当等は取締役会で決められる旨を定款に定めています(会社法459条)。
2027年8月期の配当予想は0円です。期末の基準日2027年8月31日(火)の権利付き最終日は**2027年8月27日(金)**です(基準日の2営業日前)。無配なので、意味があるのは株主総会の議決権だけです。
7-2. 株数の推移と、新株予約権の時系列
| 日付 | 出来事 | 株数への影響 |
|---|---|---|
| 2024年6月13日 | 上場時の公募(1株あたり払込金額140.76円) | 9,100,000株、手取約1,270百万円 |
| 2024年7月18日 | SBI証券への第三者割当(同140.76円) | 1,365,000株、手取約192百万円 |
| 2025年9月22日 | 第9〜11回新株予約権を発行(SBI証券) | 潜在株式17,200,000株 |
| 2025年9月24日〜 | 第9回の行使始まる | 第9回で合計7,753,600株を発行 |
| 2026年1月23日 | New Life Science1号投資事業有限責任組合が主要株主(議決権10%以上)でなくなる(株数は変わらず、分母の増加による) | - |
| 2026年8月24日 | 第12回の発行・第9回の取得消却・第10回と第11回の行使停止・資金使途の変更を決議 | - |
| 2026年9月9日 | 第12回の払込完了、第9回の残り25,664個を取得・消却 | 潜在株式 +18,422,000、△2,566,400 |
| 2026年9月15日 | 第12回の初めての行使 | 100,000株(行使価額62.1円) |
| 2026年9月30日 | 発行済株式数 77,358,400株 | - |
出所:上場時・各新株予約権の適時開示、主要株主の異動に関するお知らせ(2026年2月3日)、2026年8月期決算短信(後発事象)。
2026年8月期の1年間で、発行済株式数は68,988,800株から77,258,400株へ8,269,600株(+12.0%)増えました。うち7,753,600株が第9回、残りの516,000株がその他の新株予約権(ストック・オプション等)の行使によるものです(筆者の差し引き)。1株当たり当期純損失は、純損失が△18.5%縮んだのに対し△26.03円→△19.74円と△24.2%縮んでいます。期中平均株式数が68,607,945株から73,717,523株へ7.4%増えたためで、(1−0.185)÷1.074≒0.759と、EPSの変化(19.74÷26.03≒0.758)に一致します。
7-3. 潜在株式:全部行使されれば、発行済の約4割
| 区分 | 潜在株式数 | 行使価額 | 状態 |
|---|---|---|---|
| ストック・オプション等(第9〜11回以外) | 4,679,000 | 回次により異なる | 2026年8月末時点の筆者推計 |
| 第10回 | 3,440,000 | 175円(固定) | 行使停止中 |
| 第11回 | 3,440,000 | 210円(固定) | 行使停止中 |
| 第12回 | 18,322,000 | 終値の90%(下限41円) | 行使期間中 |
| 合計 | 29,881,000 | 発行済株式数(2026年9月30日:77,358,400株)の38.6% |
ストック・オプション等の株数は、短信の「潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定に含めなかった潜在株式」14,125,400株(新株予約権10種類、2026年8月末)から、第9回の残り2,566,400株と第10回・第11回の各3,440,000株を引いた筆者の推計です。回次ごとの行使価額と行使条件は2026年8月期の有報(11月25日提出予定)で確認できます。失効があれば減ります。
現実に近い将来に効くのは第12回の18,322,000株(発行済の23.7%)です。 第10回・第11回は行使停止中で、行使価額も株価の3倍以上の水準にあります。
7-4. 大株主:VCが約4割、上位の比率は分母の増加で下がっている
| 株主 | 2025年8月末 株数 | 比率 | 2026年2月末 株数 | 比率 |
|---|---|---|---|---|
| 武田薬品工業 | 10,760,500 | 15.59% | 10,760,500 | 14.59% |
| New Life Science1号投資事業有限責任組合 | 7,252,100 | 10.51% | 7,252,100 | 9.83% |
| イノベーション京都2016投資事業有限責任組合 | 4,657,700 | 6.75% | 4,562,700 | 6.18% |
| MEDIPAL Innovation投資事業有限責任組合 | 4,210,800 | 6.10% | 4,210,800 | 5.71% |
| 三菱UFJライフサイエンス1号投資事業有限責任組合 | 2,971,700 | 4.30% | 2,971,700 | 4.03% |
| 京大ベンチャーNVCC2号投資事業有限責任組合 | 2,570,900 | 3.72% | 2,570,900 | 3.48% |
| 日本グロースキャピタル投資法人 | 4,810,500 | 6.97% | 2,500,000 | 3.39% |
| 楽天証券 | 1,830,400 | 2.65% | 1,600,600 | 2.17% |
| BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG (FE-AC) | - | - | 1,500,400 | 2.03% |
| メディパルホールディングス | 1,307,100 | 1.89% | 1,307,100 | 1.77% |
比率は発行済株式(自己株式なし)に対する割合。出所:2025年8月期有報、2026年8月期半期報告書。2025年8月末の10位は個人株主(1.55%)で、2026年2月末の表には入っていません。
この表のポイントは2つです。
- 上位株主の多くは株数が変わっておらず、比率が下がったのは新株予約権の行使で分母が増えたためです(武田薬品は株数10,760,500株のまま15.59%→14.59%)。株数が減っているのは、日本グロースキャピタル投資法人(△2,310,500株)、イノベーション京都2016投資事業有限責任組合(△95,000株)、楽天証券(△229,800株)です
- **有報によれば、2025年8月末時点でベンチャーキャピタル(VC)とVCが組成した投資事業組合の保有割合は38.6%**です。会社は事業等のリスクで、ファンドの運用期間の終了に伴ってVCが保有株を売却する可能性と、需給の悪化による株価下落の可能性を挙げています
なお、社外取締役の中村学氏は、New Life Science1号投資事業有限責任組合の無限責任組合員である新生キャピタルパートナーズの代表取締役です(有報の役員の状況、主要株主の異動のお知らせの記載)。代表取締役の三宅洋氏の所有株式数は900,000株(2025年8月期有報提出日時点)です。
所有者別では、株主数12,044名のうち個人その他が11,825名、保有株式の65.66%(2025年8月末)です。
7-5. グロース市場の時価総額基準との距離
Chordiaは2024年6月14日に東証グロース市場に上場しました。グロース市場では、2030年3月1日以後に到来する基準日から、上場5年を経過した会社に時価総額100億円以上が求められます。上場5年の経過日は2029年6月14日(木)で、筆者の理解では、最初の判定は2030年8月期末(2030年8月31日(土))を基準とするものになります。
| 前提の株数 | 株数 | 100億円に必要な株価 | 2026年10月16日終値56円との倍率 |
|---|---|---|---|
| 現在(2026年9月30日) | 77,358,400 | 約129.3円 | 約2.3倍 |
| 第12回が全部行使された場合 | 95,680,400 | 約104.5円 | 約1.9倍 |
| 潜在株式がすべて行使された場合 | 107,239,400 | 約93.2円 | 約1.7倍 |
筆者の試算。判定は事業年度末日以前3か月間の終値平均×事業年度末日の上場株式数で行われ、満たさない場合は1年の改善期間に入ります。最初の判定基準日や経過措置の細部は、JPXの規則原文での確認が必要です。
株数が増えるほど必要な株価は下がりますが、それは希薄化と引き換えです。筆者が確認した範囲では、会社はこの基準への対応方針を開示していません。
8. 株価の見方
8-1. 株価の基準点(2026年10月16日(金)終値)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 株価(10月16日終値) | 56円 |
| 年初来高値・安値 | 179円(2026年3月2日)・55円(2026年10月14日) |
| 上場来高値 | 930円(2024年8月期中。第12回の発行に関するお知らせの株価欄。日付2024年8月14日は株価情報サイトの表示) |
| 時価総額(9月30日の発行済株式数ベース) | 約43.3億円 |
| PBR(2026年8月末のBPS 24.83円) | 約2.26倍 |
| 1株当たり現預金(2026年8月末、期末株数ベース) | 約26.6円 |
| PER | 赤字のため計算できない(会社予想もなし) |
株価・年初来高値安値はYahoo!ファイナンスの時系列(ブラウザで2026年10月18日に確認)。月足の終値は、第12回の発行に関するお知らせに記載された直近6か月の月末終値(3月123円、4月150円、5月109円、6月76円、7月78円)と一致しました。
年初来高値179円から56円まで、約69%下がっています。時価総額約43.3億円は、現預金20.5億円の約2.1倍です。
8-2. 開示と値動き(発表時刻つき)
| 開示 | 発表日時 | 反応が最初に出る取引 | 値動き(事実) |
|---|---|---|---|
| 第12回新株予約権の発行など | 2026年8月24日(月)16時00分 | 8月25日(火) | 前日終値82円→始値77円・終値73円(△11.0%)、出来高1,811,100株。同日11時30分に日本の希少疾病用医薬品指定も開示 |
| AMED GRiTの採択 | 2026年9月30日(水)11時30分 | 9月30日の後場 | 前日終値67円→高値86円(+28.4%)・終値69円(+3.0%)、出来高5,380,600株。高値が前場・後場のどちらで付いたかは日足では分からない |
| 2026年8月期決算 | 2026年10月15日(木)15時30分 | 10月16日(金) | 前日終値56円→終値56円(0.0%)、出来高317,300株。10月15日の出来高821,800株は開示前の取引 |
株価はYahoo!ファイナンスの日足。いずれも値動きの理由は書いていません。決算への反応が出る最初の取引日は10月16日で、10月15日の終値には決算は含まれていません。
8-3. 強気の材料
- データの積み上がり:日米で130例。IEコホートは開始から約6か月で予定の28例の登録を完了。日米で希少疾病用医薬品の指定
- 返済不要の資金:GRiTで最大15億円(交付額は未確定)。株を増やさずに入るお金
- 現金の持ち時間:直近の費用のペースなら、手元の現金だけで2027年中頃の判断を越える計算(筆者の試算で、2027年12月ごろ)。会社の費用の計画は2期続けて実際を上回っており、計画より現金が長持ちしてきた
- 今期の費用減の中身:主因は原薬・製剤の買い置きで、試験の費用(CRO)は増えている
- 戻ってきた候補:CTX-177は臨床データごと無償で戻り、再導出できれば一時金の可能性がある
- 会社の自己評価:説明資料の振り返りで、研究開発と情報開示は「概ね計画どおり」と総括
8-4. 弱気の材料
- 希薄化:第12回で最大18,322,000株(発行済の23.7%)。株価が下がるほど同じ株数で集まるお金が減る。直近の株価なら約9.2億円で、使途表の15.06億円に届かない
- 届きにくい資金:第10回・第11回に紐づく使途13.24億円(DDI試験・第2相の治験薬)は、株価175円・210円以上が前提
- GRiTの条件:補助は費用の半分。15億円を受け取るには30億円の対象費用が要る
- 予想の消失と日程の書きぶり:2027年8月期の業績予想は開示なし。日本での承認申請時期は「検討中」。費用が計画を下回ってきたことは、試験の進み方が計画より遅いことの表れである可能性もある(強気の「現金が長持ち」と同じ数字)
- データの水準:米国の用量漸増コホートのORRは11.8%(低用量を含む)。有報には因果関係が否定できない死亡例3件の記載
- 提携:会社自身が新規事業提携を「未達成」と自己評価。マイルストンが期待できるライセンス契約は現在ない
- 需給:VC保有割合38.6%(2025年8月末)。継続企業の前提に関する重要事象等の記載が続いている
8-5. まとめ方
株価をどう評価するかは読者に委ねます。筆者が整理できるのは、この会社の株価は、2027年中頃の「第2相に進むかどうか」の判断と、それまでの第12回の行使ペース(=株価そのもの)の2つに強く結びついている、ということです。株価が上がれば第12回で集まるお金が増え、第10回・第11回にも手が届き、希薄化の割に資金が集まります。株価が下がれば、同じ株数でも集まるお金が減ります。軸の1文の「株主のお金で育てている」は、言い換えれば、育てる費用の値段を市場が毎日決めているということです。
9. 今後のカレンダーと見るべきKPI
| 時期 | イベント | 見るポイント |
|---|---|---|
| 毎月初(例:2026年11月2日前後) | 第12回新株予約権の月間行使状況 | 行使株数と行使価額。9月は100,000株・62.1円 |
| 2026年11月25日(水) | 2026年8月期 有価証券報告書の提出予定日 | 事業等のリスク(継続企業の前提に関する重要事象等・死亡例の記載)、ストック・オプションの回次別明細、大株主表、VC保有割合 |
| 2026年11月26日(木) | 第9回定時株主総会 | 議案と賛成割合 |
| 2026年12月〜2027年2月(予定) | AEコホートの開始 | 第12回の発行の開示で示された予定。2027年8月期の事業目標の筆頭。IEの結果をどう開示するか |
| 時期未定 | GRiTの交付額の決定 | 交付額と、日本の施設の組み入れ時期 |
| 2027年1月中旬(例年) | 2027年8月期 第1四半期決算 | 3か月の営業損失が4億円前後か(3-2の表の続き)。現預金残高 |
| 2027年4月中旬(例年) | 中間決算・決算説明会 | 業績予想を出すかどうか。費用の見通しの記載 |
| 2027年8月期中 | 2026年7月17日開示の助成金30百万円の計上 | AMEDからの確定通知を受けて営業外収益に計上予定 |
| 2027年中頃(予定) | AEコホートの評価→第2相の開発方針の決定 | 推奨用量・対象がん種。提携の有無 |
| 2027年8月27日(金) | 2027年8月期の権利付き最終日 | 無配。議決権のみ |
| 2027年9月24日(金) | 第10回新株予約権の行使期間の末日 | 停止指定の解除の有無 |
| 2028年9月8日(金) | 第12回新株予約権の行使期間の末日 | 未行使分の扱い |
| 2028年9月25日(月) | 第11回新株予約権の行使期間の末日 | 同上 |
| 2029年6月14日(木) | 上場5年 | グロース市場の時価総額基準(7-5) |
見るべきKPIは次の5つです。
- 3か月ごとの営業損失:2026年8月期の後半は1四半期約4億円。5億円を超え続けるなら、5-1の表の持ち時間が縮む
- 現預金の残高:2026年8月末2,052百万円
- 第12回の行使株数と行使価額:使途表の1,506百万円にどこまで近づくか
- AEコホートの開始と、2027年中頃の第2相の判断
- 提携・GRiTの交付額:新株予約権以外のお金の入り口
10. 3行まとめ
- Chordiaは、武田薬品の研究所から引き取った抗がん薬の候補を、「売れる薬か」の答えが出るまで株主のお金で育てている会社。2026年8月期の営業損失は14.7億円で、研究開発費の減少は原薬・製剤の買い置きによる面が大きく、直近2四半期の費用は1四半期約4億円
- 会社の費用の計画は2期続けて実際の約1.36倍で、2027年8月期は予想自体が出なくなった。手元の現金20.5億円だけで、直近のペースなら2027年中頃の第2相の判断までは届く計算(筆者の試算)
- その先の資金は、株価で調達額が変わる第12回新株予約権(最大23.7%の希薄化、直近株価で約9.2億円)、株価175円・210円が前提の第10回・第11回(使途13.24億円)、費用の半分を補助するGRiT(最大15億円)、そして提携にかかっている
本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。
本記事は特定の有価証券の売買を勧誘・推奨するものではなく、投資助言でもありません。数値の出典は、Chordia Therapeuticsの決算短信(2024年8月期〜2026年8月期の各通期・四半期)、2026年8月期決算説明資料、2025年8月期有価証券報告書、2026年8月期半期報告書、第9〜11回・第12回新株予約権に関する各適時開示(発行・資金使途の変更・行使停止指定・取得消却・払込完了・月間行使状況)、主要株主の異動に関するお知らせ、臨時報告書、AMED採択・希少疾病用医薬品指定・助成金・ライセンス解約合意・症例登録完了の各お知らせ、会社IRサイトのよくある質問です。株価・出来高はYahoo!ファイナンスの時系列(2026年10月18日にブラウザで確認)で、上場来高値は報道ベースです。四半期の数値は累計からの筆者の差し引き、資金の持ち時間・第12回新株予約権の調達額・時価総額基準に必要な株価・潜在株式の内訳(ストック・オプション等の株数)は筆者の試算・推計で、将来の見通しではありません。4-3の資金使途の表は会社が別々の開示に書いた事実を筆者が並べたもので、会社の業績予想や支出計画の確定値を示すものではありません。2025年9月時点と2026年10月時点の開発日程の書きぶりの違いについて、遅れか計画の組み替えかは開示から判断できず、本文の記述は筆者の整理です。決算説明資料はテキストを抽出して読んでおり、2026年10月15日の決算説明会(機関投資家・アナリスト向け)の質疑応答は一切反映していません。2026年8月期の有価証券報告書は未提出のため、株主優待の不在、ストック・オプションの回次別明細、事業等のリスクは前期の有報と会社IRサイトで確認しています。グロース市場の時価総額基準の最初の判定基準日・経過措置等の細部は、JPXの規則原文で確認していません。大量保有報告書は確認していません。
記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。