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リテールパートナーズ(8167) 山口・大分・福岡の地元スーパー3社が、看板も店長もそのままに、仕入れと物流だけを持ち寄っている会社 上期は会社予想を2割下回ったのに、なぜ通期予想はそのままなのか?【2026年10月発表・上半期決算】

本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。**執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。**特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • 上期(2026年3〜8月)の営業利益は27億76百万円で前年同期比△17.2%、期初に出していた上期予想36億円に対しては77.1%。それでも通期予想(営業利益68億円)は据え置かれました
  • 減益の中身を4つに分けると、粗利(売上総利益率)はほぼ前年並みで、減益分のすべてを販管費の増加(+17億47百万円)が説明します。うち従業員給料・賞与が約6割
  • 据え置きの結果、下期(9月〜2027年2月)に置かれた営業利益は40億24百万円=前年下期比+29.1%。過去3年の下期で最も多かった年(37億01百万円)も8.7%上回る水準です
  • この会社は過去2期とも、上期決算時点で据え置いた通期予想に届かず、期中に一度も修正しませんでした(下期の達成率93.0%・78.9%)。同じ形が3年目に入るかどうかが今期の焦点です
  • 前期に買収した永野の「上乗せ」は8月で一巡し、上乗せが抜けた最初の月である9月の全店売上は前年比101.5%。下期の予想が求める営業収益の伸び(+4.3%)との距離を示します
  • 配当は累進配当で年40円予想、20億円の自己株式取得は8月に完了。株主優待(買物券またはJCBギフトカード)の1株当たり額は、100株と1,000株以上を除くと急に薄くなる設計です

1. 前提知識:地元スーパー3社が「仕入れと物流だけ」を持ち寄った会社

1-1. 軸となる例え

山口の丸久、大分のマルミヤストア、福岡のマルキョウ。それぞれの地元で何十年も「近所のスーパー」をやってきた会社が、2015年の経営統合から持株会社リテールパートナーズの下に集まっています。店の看板も、店長も、従業員の雇い主も、統合前のまま各社です。

いっしょにしたのは、**仕入れ(共同調達・PB開発)と物流(宮崎の共同物流センター等)**という、店の裏側の仕事です。たとえるなら、商店街の八百屋・魚屋・肉屋が、屋号も店主も変えずに「共同購入組合」と「共同配送の倉庫」だけを作ったような形です。

この例えで、強みと弱みが同じ1文から出てきます。

中身決算書のどこに出るか
強み仕入れをまとめれば、値上げの時代でも原価の上昇を抑えやすい売上総利益率(粗利率)
弱み①店を回す人の給料・光熱費・家賃は、組合ではなく各店(各社)がそれぞれ払う。客数が増えなくても毎年上がる販管費・販管費率(前年比の減益の主因)
弱み②各社の数字を積み上げて作る予想は、上期に外れても通期を動かさない形が続いている会社予想の達成履歴(計画比の外れ方)

今回の上期は、この表の3行がすべて数字に出た決算でした。弱み①が「前年比」で何が悪化したのか、弱み②が「計画比」でどこまで外れたのかに対応します(2章・3章)。

1-2. 事業の構造

報告セグメントは「スーパーマーケット事業」1本で、ほかに保険代理業・スポーツクラブ・食品製造(焼肉のたれの戸村フーズ等)を「その他事業」にまとめています。店舗は九州・山口・広島・島根の10県に277店(2026年8月末、休業中を除く)。決算参考資料は、事業会社を3つのグループに分けて開示しています。

グループ地盤店舗数(8月末)上期の営業収益上期の営業利益(前年同期)
丸久グループ(丸久・ハツトリー・永野)山口・宮崎102603億94百万円14億45百万円(17億25百万円)
マルミヤストアグループ(マルミヤストア・戸村精肉本店)大分・宮崎・熊本93317億33百万円3億26百万円(4億86百万円)
マルキョウグループ福岡・佐賀・長崎82513億15百万円10億99百万円(12億07百万円)

出典:2027年2月期第2四半期(中間期)決算参考資料、決算短信。店舗数は短信の事業会社別の表から筆者が合計。

この表のポイントは2つです。1つ目は、3グループとも営業利益が前年を下回ったこと。どこか1社の失速ではありません。2つ目は、マルミヤストアグループの営業利益率が約1.0%と薄く、中間純利益は4億72百万円から1億62百万円まで落ちていることです。

用語メモ:「営業収益」は、商品の売上高に、テナントからの賃料や手数料などの「営業収入」を足したものです。スーパーの決算ではこちらが「売上」の代わりに見出しに来ます。本記事では、粗利率と販管費率は売上高で、営業利益率は営業収益で割っています。

1-3. 直近の業績推移

決算期営業収益営業利益営業利益率経常利益純利益EPSROE自己資本比率年間配当
2024年2月期2,521億61百万円67億40百万円2.67%77億25百万円47億17百万円109.87円6.0%64.2%28円
2025年2月期2,667億41百万円68億23百万円2.56%79億99百万円52億25百万円121.75円6.3%66.7%38円
2026年2月期2,781億97百万円64億68百万円2.33%75億57百万円51億38百万円119.70円5.8%67.3%40円
2027年2月期(会社予想)2,885億円68億円2.36%77億円53億50百万円124.62円--40円(予想)

出典:有価証券報告書(2026年2月期)の主要な経営指標等の推移、決算参考資料、決算短信。営業利益率は筆者の計算。2024年2月期・2025年2月期の配当には記念配当(4円・10円)を含みます。

営業収益は3年で約260億円増えましたが、営業利益は67億円前後で横ばいです。売上が増えても利益が増えないのが、この会社のここ数年の形です。

1-4. 会社予想の達成履歴

この会社は期初に「上期予想」と「通期予想」の両方を出します。上期決算の時点で、上期予想との差をどう扱ってきたかを並べます。

決算期上期予想(営業利益)上期実績上期の達成率通期予想期中の修正通期実績通期の着地率
2024年2月期(本記事では未取得)33億77百万円-55億円2024年1月11日に67億円へ上方修正(第3四半期決算と同日)67億40百万円期初比122.5%・修正後比100.6%
2025年2月期36億円31億22百万円86.7%71億円なし68億23百万円96.1%
2026年2月期33億円33億52百万円101.6%73億円なし64億68百万円88.6%
2027年2月期36億円27億76百万円77.1%68億円なし(10月15日時点)--

出典:各期の決算短信・業績予想の修正に関するお知らせ。2024年2月期の上期予想は、当該期の第1四半期短信を本記事では取得していないため空欄にしています。

この表のポイントは2つです。

1つ目は、上方修正は第3四半期決算と同日に出した例がある一方、下振れの年は期中に一度も修正していないことです。2025年2月期は上期で予想を13%下回っても、2026年2月期は通期で11%下回っても、修正は出ていません。業績予想の修正の適時開示は、売上高で10%、利益で30%以上ずれる見込みになったときに義務になります。どちらの年もこの基準には届いていません。

2つ目は、今期の上期の外れ方(77.1%)が、過去2期のどちらよりも大きいことです。その上で通期は据え置かれました。これが何を意味するかは3章で読みます。

用語メモ:業績予想の修正の適時開示は、売上10%・利益30%の基準に届かなければ出ません。開示が出ていないことは、予想どおりであることを意味しません。

もう1つの物差し:役員報酬の「予算」。 半期報告書には、取締役の業績連動報酬が「前期の連結経常利益の予算達成率」で決まり、前期の実績75億57百万円の達成率が91.4%だったと書かれています。ここから逆算した予算は約82億6〜7千万円(91.4%の丸め幅を含む。筆者の逆算)で、期初に公表していた通期予想84億円(これを分母にすると90.0%)とは一致しません。社内の予算と公表予想が同じ数字だとは限らない、という事実だけを置いておきます。会社はこの差を説明していません。今期の経常利益の予算達成率は、来期の役員報酬の支給率を決める指標でもあります。

1-5. 中期経営計画との距離

今期は第3次中期経営計画(2025年2月期〜2027年2月期)の最終年度です。会社は2026年4月の決算短信で、最終年度の目標とのずれを自ら書いています(原文)。

第3次中期経営計画において掲げた最終年度の目標(営業収益2,960億円、経常利益98億円)とは乖離が生じておりますが、これは、当初計画で織り込んでいたM&Aによる上積み効果が一部未達となる見込みであることに加え、計画策定時を上回るインフレによる経費の増加や、持続的成長に不可欠な「人への投資」として、構造的な人件費の上昇が生じていることによるものであります。

今期の会社予想は、目標に対して営業収益で97.5%、経常利益で78.6%です。中計は財務戦略として「ROE7%以上」も掲げていますが、前期の実績は5.8%、今期予想ベースでも6%弱(筆者の概算)です。会社が自ら挙げた乖離の理由の1つ「構造的な人件費の上昇」は、今回の上期の減益の主因とそのまま重なります(2章)。次の中期経営計画の公表時期は、今回の短信には書かれていません。


2. 決算ハイライト(2026年10月15日 15時00分発表)

2-1. 損益

項目前年上期今期上期前年同期比期初の上期予想上期予想比
営業収益1,390億61百万円1,433億92百万円+3.1%1,448億円99.0%
営業利益33億52百万円27億76百万円△17.2%36億円77.1%
経常利益39億52百万円32億95百万円△16.6%41億円80.4%
親会社株主に帰属する中間純利益27億04百万円20億34百万円△24.8%27億50百万円74.0%
1株当たり中間純利益63.01円47.89円△24.0%64.06円-

出典:決算短信(2026年10月15日)、上期予想は2026年4月13日の決算短信。増減率・達成率は筆者の計算(前年同期比は短信の記載と一致)。

この表で見てほしいのは右端の列です。営業収益は予想の99%まで来ているのに、営業利益は77%しかありません。売上がほぼ計画どおりで、利益だけが計画から大きく外れた上期でした。

純利益の減益率(△24.8%)が営業利益(△17.2%)より大きいのは、主に税金の行です。税金等調整前中間純利益32億03百万円に対し法人税等が11億69百万円で、税負担率は36.5%(前年上期は30.9%)。法人税等調整額が前年の△52百万円から+1億13百万円に変わったことが効いています。特別損失には、熊本地震の災害による損失46百万円、戸村牧場の株式売却に伴う関係会社株式売却損55百万円が入っています。

2-2. 財政状態とキャッシュ・フロー

項目2026年2月末2026年8月末増減
総資産1,362億41百万円1,377億16百万円+14億74百万円
純資産917億01百万円908億28百万円△8億72百万円
自己資本比率67.3%66.0%△1.3pt
現金及び預金258億57百万円244億61百万円△13億96百万円
有利子負債(会社定義)144億07百万円133億89百万円△10億17百万円
1株当たり純資産2,135.91円2,189.93円+54.02円
キャッシュ・フロー前年上期今期上期
営業活動+80億17百万円+58億78百万円
投資活動△47億43百万円△32億72百万円
財務活動△89百万円△39億62百万円
うち自己株式の取得△0百万円△20億00百万円
うち配当金の支払△10億28百万円△8億58百万円

出典:決算短信、決算参考資料(有利子負債・1株当たり純資産)。

純資産が減ったのは、利益が積み上がる一方で自己株式を20億円買ったためです。1株当たり純資産が増えているのは、株数(分母)が減ったからです。自己資本比率の低下(△1.3pt)は、自己株式の取得で分子の純資産が減り、買掛金の増加で分母の総資産が増えた両方の結果です。

営業キャッシュ・フローの減少(△21億38百万円)は、税引前利益の減少(△7億13百万円)と、「その他」の減少(14億31百万円→92百万円)が大きく、短信は「その他」の中身を説明していません。仕入債務の増加は22億40百万円で、前年上期の27億48百万円より小さくなっています。小売では期末日が休日だと仕入代金の支払いが翌月にずれて買掛金が膨らむことがありますが、今期は起点の2026年2月28日が土曜、終点の8月31日が月曜で、曜日の並びだけでは今回の増減は説明しきれません。会社も理由に触れていません。次の期末日(2027年2月28日)は日曜日です。

用語メモ:フリー・キャッシュ・フロー(営業CF+投資CF)は約26億円で、上期の自己株式取得20億円と配当8億58百万円の合計(約28億6千万円)をわずかに下回りました。差額は手元資金で賄った形です。ネットキャッシュ(現金及び預金+有価証券−有利子負債)は約112億円残っています(筆者の計算)。


3. 深掘り①:減益の正体は「粗利」ではなく「店を回す費用」

3-1. 営業利益の減少を4つに分ける

食品スーパーの営業利益は、〈売上総利益(粗利)〉+〈営業収入〉−〈販管費〉です。前年からの減少額を、次の4つに分けます。

  • 数量効果:売上高の増減×前年の粗利率(売上が増えた分だけ粗利が増える)
  • 率効果:今期の売上高×粗利率の差(粗利率の上下)
  • 営業収入の増減
  • 販管費の増減(増えればマイナス)
期間数量効果率効果営業収入販管費合計実際の増減
上期(3〜8月)+997+68+106△1,747△576△576
3〜5月+506△90+22△914△476△476
6〜8月+492+157+84△833△100△100
(参考)前期上期+1,430+9+170△1,377+232+230

単位:百万円。決算短信の損益計算書から筆者が計算。四半期は累計の差し引き。百万円未満切り捨ての開示値を使うため、前期上期の合計は実際と2百万円ずれます。

この表のポイントは3つです。

1つ目は、上期の粗利率は23.60%→23.65%とむしろわずかに上がっており、率効果はプラスだということです。会社は短信で「適切な販売価格への反映や商品施策に努めた結果、売上総利益は前年同期並みを確保」と書いており、数字もそれを裏付けています。1章の軸でいえば、「共同購入組合」の側は持ちこたえています。

2つ目は、減益576百万円は販管費の増加1,747百万円でほぼ全部説明できることです。販管費は+5.3%で、売上高の伸び(+3.2%)を上回りました。内訳で最も増えたのは「従業員給料及び賞与」の+10億02百万円(+7.2%)で、販管費の増加額の約57%を占めます。決算参考資料の「人件費」(給料・賞与・賞与引当・退職給付)で見ると+11億96百万円(+6.6%)、売上高比は13.5%→13.9%です。

3つ目は、3〜5月と6〜8月で形が違うことです。3〜5月は粗利率が下がり(率効果△90)、販管費も膨らんで営業利益は△25.2%。6〜8月は粗利率が前年を0.23pt上回り(率効果+157)、減益は△1億円(△6.8%)まで縮みました。6〜8月だけを見れば、粗利の改善が販管費の増加の一部を取り返し始めています。ただし前期上期と比べると、販管費の増加幅は△1,377→△1,747百万円と大きくなっており、粗利で取り返す必要のある額そのものが増えています。

用語メモ:販管費の増加には、前期の9月から連結した永野の店(7〜8店)の人件費・家賃なども含まれます。永野の費用だけを切り出した開示はないので、「既存の店で人件費がどれだけ増えたか」は分けられません。

3-2. 3つのグループで同じことが起きている

グループ粗利率(前年→今期)販管費率(前年→今期)営業利益(前年→今期)
丸久25.2%→25.3%(+0.1)27.3%→28.0%(+0.7)17億25百万円→14億45百万円
マルミヤストア21.6%→21.6%(0.0)24.7%→25.2%(+0.5)4億86百万円→3億26百万円
マルキョウ23.0%→22.9%(△0.1)21.9%→22.0%(+0.1)12億07百万円→10億99百万円

出典:決算参考資料(売上高比)。

3グループとも粗利率はほぼ横ばいで、販管費率だけが上がっています。「組合でまとめている部分」は3社とも守れていて、「各店が自分で払う部分」が3社とも重くなっている、という見え方です。丸久の販管費率の上昇が最も大きいのは、永野(丸久の子会社)の分が含まれているためと考えられますが、これは筆者の推測で、会社は内訳を開示していません。

3-3. 客数は減り、客単価で売上を保っている

決算参考資料の月次(収益認識基準の適用前の数字)を並べます。

月全店売上 前年比既存店売上 前年比既存店客数 前年比既存店客単価 前年比
2026年3月102.7%100.9%99.7%101.1%
4月102.6%100.4%97.8%102.7%
5月103.7%102.6%100.1%102.5%
6月101.4%100.2%97.9%102.3%
7月102.9%101.5%98.9%102.6%
8月104.2%102.5%100.6%101.9%
上期累計102.9%101.4%--
(参考)9月101.5%102.3%99.3%103.1%

出典:決算参考資料(上期累計)、会社IRサイトの月次業績(2026年10月6日更新、客数・客単価・9月)。

既存店の売上は前年を上回っていますが、客数は6か月のうち4か月で前年割れで、伸びは客単価(物価の上昇)が支えています。前期の上期は既存店が約104%だったので、伸び方は鈍っています。客数が増えないまま人件費が毎年上がると、粗利を保つだけでは利益が減る、というのが今回の上期の構図です。

3-4. 永野の「上乗せ」は8月で一巡した

前期の2025年6月に丸久が取得した永野(宮崎のスーパー「ナガノヤ」「ウメコウジ」)は、みなし取得日が2025年8月31日です。有価証券報告書によると、前期の連結損益計算書に含まれた永野の業績は2025年9月1日〜2026年2月28日の6か月分でした。

期間前年同期に入っていた永野の月数当期に入っている月数前年比に効く上乗せ
今期上期(3〜8月)0か月6か月あり
今期下期(9〜2月)6か月6か月なし

会社の月次資料の注記によると、永野の実績は2025年9月〜2026年8月は「全店の当期実績」だけに加え、2026年9月以降は全店・既存店の前期・当期すべてに加えています。つまり9月の全店101.5%は、上乗せが抜けた最初の月の数字です。

上期の上乗せの大きさは、開示から2つの経路で目安が出ます(いずれも筆者の概算)。①上期の月次で全店と既存店の売上の差(収益認識基準適用前)は、前年比の増加額で約41億円と約19億円、つまり既存店以外の増加が約22億円でした(新店・閉店も含む)。②前期の決算参考資料に載った永野8店の「年商予定」の合計は約48億円で、半年なら約24億円です。どちらで見ても、上期の営業収益の増加約43億円のうち、半分前後は永野の上乗せだった計算になります。

用語メモ:「全店」はすべての店、「既存店」は開店から一定期間が過ぎた店だけの売上です。買収した店は一定期間「既存店」に入らないので、全店と既存店の差に新店・買収店の寄与が出ます。


4. 深掘り②:上期の未達824百万円は、どこへ行ったのか

3章で、前年からの減益の中身は販管費だと分かりました。この章は、もう1つの問い「会社の計画からどれだけ外れ、その外れは通期予想のどこに置かれたか」です。

4-1. 据え置きは、未達をそのまま下期に積んだことになる

通期予想を据え置いたまま上期が予想を下回ると、その差額はそのまま下期の要求に上乗せされます。期初の下期計画、据え置き後の下期、実際の下期を、過去2期と並べます。

決算期期初の下期計画(営業利益)据え置き後の下期前年下期必要な前年比実際の下期達成率
2025年2月期35億円39億78百万円33億63百万円+18.3%37億01百万円93.0%
2026年2月期40億円39億48百万円37億01百万円+6.7%31億16百万円78.9%
2027年2月期32億円40億24百万円31億16百万円+29.1%--
決算期据え置き後の下期 営業収益前年下期必要な前年比実際達成率
2025年2月期1,289億67百万円1,273億36百万円+1.3%1,339億08百万円103.8%
2026年2月期1,356億39百万円1,339億08百万円+1.3%1,391億36百万円102.6%
2027年2月期1,451億08百万円1,391億36百万円+4.3%--

出典:各期の決算短信から筆者が計算。「据え置き後の下期」=通期予想−上期実績。

この2つの表のポイントは3つです。

1つ目は、期初の計画では、今期の下期は前年下期比+2.7%の控えめな置き方だったことです。それが上期の未達824百万円を通期に反映しなかったことで、+29.1%に変わりました。会社が下期の見通しを引き上げたわけではなく、据え置きの計算上の結果です。

2つ目は、過去2期は、下期の売上は計画を上回ったのに、利益は届かなかったことです(売上の達成率103.8%・102.6%、営業利益は93.0%・78.9%)。この会社にとってのハードルは、これまで売上ではなく利益率の側にありました。

3つ目は、今期は売上の側のハードルも初めて高いことです。過去2期は下期の営業収益に+1.3%しか求めていませんでしたが、今期は+4.3%です。しかも3-4で見たとおり、下期は永野の上乗せがありません。上乗せが抜けた9月の全店売上は101.5%でした。

4-2. 下期の営業利益40億24百万円は、過去のどの下期よりも多い

下期営業収益営業利益営業利益率
2024年2月期1,273億36百万円33億63百万円2.64%
2025年2月期1,339億08百万円37億01百万円2.76%
2026年2月期1,391億36百万円31億16百万円2.24%
2027年2月期(予想が置いた下期)1,451億08百万円40億24百万円2.77%

出典:決算短信から筆者が計算。

予想が置いた下期の営業利益率2.77%は、過去3年の下期で最も高かった2025年2月期(2.76%)とほぼ同じです。利益率は「過去の最高並み」、売上は「上乗せなしで+4.3%」。どちらか片方なら過去に例がありますが、両方を同時に求めている点が今期の据え置きの重さです。

4-3. 14四半期を並べると、季節の山と谷が見える

四半期営業収益粗利率販管費率営業利益営業利益率
2023年3〜5月605億41百万円24.22%24.72%17億88百万円2.95%
2023年6〜8月642億84百万円24.10%25.01%15億89百万円2.47%
2023年9〜11月629億48百万円24.07%25.33%14億34百万円2.28%
2023年12〜2024年2月643億88百万円24.93%25.48%19億29百万円3.00%
2024年3〜5月650億76百万円23.67%24.86%15億97百万円2.45%
2024年6〜8月677億56百万円23.52%24.93%15億25百万円2.25%
2024年9〜11月660億59百万円23.59%25.19%14億05百万円2.13%
2024年12〜2025年2月678億50百万円24.62%24.80%22億96百万円3.38%
2025年3〜5月688億56百万円23.66%24.54%18億89百万円2.74%
2025年6〜8月702億05百万円23.54%25.05%14億63百万円2.08%
2025年9〜11月688億24百万円23.88%26.01%10億39百万円1.51%
2025年12〜2026年2月703億12百万円24.65%25.26%20億77百万円2.95%
2026年3〜5月710億15百万円23.53%25.11%14億13百万円1.99%
2026年6〜8月723億77百万円23.77%25.50%13億63百万円1.88%

出典:各四半期の決算短信の累計値から筆者が差し引き。2025年9月以降は永野を含みます(連結範囲の変わり目)。各年度の4四半期の営業利益の合計は、通期の開示値と一致することを確認しています。

この表のポイントは3つです。

1つ目は、9〜11月が3年続けて年間で最も利益の小さい四半期、12〜2月が3年続けて最も大きい四半期だということです。年末年始の需要で粗利率が上がる(24.6〜24.9%)冬が山、谷は秋です。季節性と書いてよい形です。

2つ目は、谷の深さが年々深くなっていることです。9〜11月の営業利益率は2.28%→2.13%→1.51%と下がり続けています。季節の形は同じでも、底の値が毎年切り下がっています。

3つ目は、直近4四半期のうち3つ(2025年9〜11月、2026年3〜5月、6〜8月)が、14四半期の営業利益率の下位3つだということです。

ここから、下期の予想の読み方が決まります。下期は「毎年いちばん弱い9〜11月」と「毎年いちばん強い12〜2月」の合計です。予想が置いた40億24百万円は、たとえば前期の12〜2月並み(20億77百万円)を前提にすると、9〜11月に約19億5千万円が要る計算になります(筆者の試算)。過去3年の9〜11月は10億〜14億円台でした。逆に9〜11月を前期並み(10億39百万円)とすれば、12〜2月に約29億8千万円が要ります。過去の12〜2月の最高は22億96百万円です。どちらの割り振りでも、過去の同じ四半期の最高を大きく上回ります。

4-4. 感応度表:下期の売上と利益率で、通期の営業利益はどこに着地するか

下期営業収益の前年比 \ 下期営業利益率2.24%(前期下期並み)2.50%(中間)2.77%(予想の置き方)
+1.5%(9月の全店並み)59億39百万円63億07百万円66億88百万円
+2.5%59億71百万円63億41百万円67億26百万円
+4.3%(予想の置き方)60億27百万円64億04百万円67億96百万円

筆者の試算で、将来の見通しではありません。上期の営業利益27億76百万円に、前期下期の営業収益1,391億36百万円×(1+伸び率)×利益率を足した値です。新規連結3社の下期の寄与は個別に置いていません。

予想(68億円)に届くのは、右下の1マスだけです。売上の伸びを9月の全店並みに置くと、利益率が過去最高並みでも67億円弱にとどまります。一方、利益率が前期下期並みなら、売上がどれだけ伸びても60億円前後です。通期の着地を決めるのは、売上の伸びより利益率の側です。これは過去2期で「売上は計画超え、利益は未達」だった形とも一致します。

4-5. 経常利益と純利益の予想は、それぞれ違う置き方をしている

営業の下の行も同じように残り期間を出します。

経常利益:予想(77億円)−上期実績(32億95百万円)=下期44億05百万円。営業利益の下期予想40億24百万円を引くと、営業外損益は下期に3億81百万円しか置かれていません。過去3年の下期の営業外損益は4億89百万〜5億34百万円で、今期上期も5億20百万円ありました。営業外は控えめに置かれているので、営業利益が予想に届けば経常利益は予想を上回りやすく、届かなければその分だけ外れる、という形です。

純利益:予想(53億50百万円)÷経常利益予想(77億円)から出る暗黙の税負担率は30.5%で、法定実効税率(30.5%)と同じです。これを複数の物差しと並べます。

税負担率の置き方純利益予想に必要な税引前利益下期に置ける特別損益(筆者の試算)
前期の実績28.9%(賃上げ税制等の特別控除△4.3ptを含む)75億25百万円△83百万円まで
法定実効税率30.5%76億98百万円+90百万円が必要
今期上期の実績36.5%84億25百万円+8億17百万円が必要

試算は、通期の経常利益が予想どおり77億円、上期の特別損益が△92百万円であることを前提にしています。

一方、この会社の下期の特別損失は過去3年で3億44百万〜8億56百万円あり、その多くが第4四半期(12〜2月)にまとめて計上された店舗の減損損失です(2024年2月期5億44百万円、2025年2月期2億61百万円、2026年2月期6億65百万円)。つまり純利益予想は、経常利益の予想が達成された場合でも、例年並みの年度末の減損をほとんど置いていない計算になります。有価証券報告書の「重要な会計上の見積り」では、小売店舗の固定資産の帳簿価額は509億48百万円(2026年2月末)で、主要な仮定は店舗ごとの売上高・粗利率・販管費率の予測です。

この数字は、強気・弱気の両方に置けます。強気の読みでは、前期と同程度の特別控除が今期も受けられれば税負担は30.5%より軽く、減損を少し吸収できます。弱気の読みでは、営業利益が予想に届かない場合、それに加えて年度末の減損の分だけ純利益は二重に下振れします。どちらになるかは、会社が税と減損の前提を開示していないので分かりません。年度末の減損が「下期に必ず出る」という意味でもありません。

用語メモ:「据え置き」による残り期間の数字は、会社がその水準を新たに予想したという意味ではありません。通期の予想を変えないまま上期の実績が確定したことで、計算上そうなっているだけです。

4-6. 3つの深掘りを1本の線でつなぐ

3章と4章で見たことを、1章の軸に戻して並べます。

  • 「共同購入組合」の側(粗利率)は、値上げの時代でも前年並みを守り、6〜8月には前年を上回りました
  • 「各店が自分で払う」側(人件費)は、客数が増えないまま年7%前後のペースで増え、それが前年比の減益のすべてを説明します
  • 3社分を積み上げた通期予想は、上期の未達を下期に積み増す形で据え置かれ、下期には過去最高並みの利益率と、上乗せなしでの+4.3%の売上を同時に求めています

組合が守れるのは「仕入れ値」までで、「店を回す費用」は守れない。その差が、計画との距離として毎年の下期に現れてきた、というのが3年分の決算から見える形です。


5. 期中のイベント

5-1. 熊本地震

2026年7月28日に発生した「令和8年熊本地震」で、グループの熊本県内の店舗が被害を受けました。会社は7月30日15時00分に影響の開示を出しています。

項目内容
一時休業熊本県内15店舗のうち計5店舗(7月30日の開示時点で4店舗休業、1店舗再開)
再開8月末までに4店舗、残るアタックス城南店は9月3日に再開
人的被害なし(従業員の家屋の一部損壊の報告はあり)
業績への影響(7月30日の開示)「現在調査中」。重大な影響が見込まれる場合は速やかに開示するとしています
上期決算での扱い特別損失に「災害による損失」46百万円(前年上期は35百万円)。売上・営業利益への影響額の記載はありません

出典:令和8年熊本地震の影響および対応状況に関するお知らせ(2026年7月30日)、決算短信。

10月21日時点で、地震の影響について追加の開示は見当たりません。売上や利益への影響額は会社が示していないので、本記事でも推測しません。7月30日(開示は15時00分)の株価の終値は1,406円(前日比+4円)、出来高は128,600株でした。

5-2. 子会社の取得と売却

日付内容損益への影響
2026年6月5日戸村精肉本店が保有する戸村牧場の全株式を譲渡し、連結から除外関係会社株式売却損55百万円(特別損失)
2026年6月30日マルミヤストアが児玉菓子工房の全株式を取得上期は貸借対照表のみ連結
2026年8月21日マルミヤストアが日髙ホールディングス(現・デリッシュホールディングス)の全株式を取得し、子会社の惣菜メーカー惣栄食品とともに子会社化上期は取得関連費用のみ計上(その他事業の営業利益を押し下げ)。のれん2億73百万円(暫定)

出典:決算短信、当社連結子会社による株式取得に関するお知らせ(2026年8月24日)。

惣栄食品の売上高は9億11百万円、営業利益94百万円(2026年3月期)で、取得価額は非開示です。会社は連結業績への影響を「軽微」としています。惣栄食品はこれまでもグループの店に惣菜を納めていた取引先なので、連結すると売上の一部はグループ内の取引として消去されます。下期の営業収益への上乗せは、永野の時ほどの規模にはならないと考えられます(筆者の推測)。


6. 資本政策と株主還元

6-1. 配当方針と推移

会社は2025年4月14日に配当政策を変更し、累進配当を導入しました。有価証券報告書の配当政策は次のとおりです(原文の一部)。

配当につきましては、累進配当を基本として、配当利回りの向上と配当性向30%の維持、中長期的には配当性向40%を目指し、(中略)DOE(自己資本配当率)などを勘案して決定する方針を取っております。

決算期年間配当(うち記念)普通配当配当性向(連結)配当の決め方
2023年2月期22円22円32.9%安定配当を基本、配当性向30%を維持
2024年2月期28円(4円)24円25.5%同上
2025年2月期38円(10円)28円31.2%同上
2026年2月期40円40円33.4%累進配当+配当性向30%維持・中長期40%+DOEを勘案
2027年2月期(予想)40円40円32.1%(筆者計算)同上

出典:有価証券報告書、決算短信、配当政策の変更に関するお知らせ。配当性向は1株配当÷EPS。

用語メモ:今期予想の配当性向は、短信では32.2%と書かれていますが、40円÷予想EPS124.62円で計算すると32.1%になります。差の理由は開示から分かりません。

累進配当は「原則として減配せず、維持か増配」という約束です。今期の40円を配当方針の物差しに当てると、配当性向30%なら37.4円、40%なら49.9円(いずれも会社予想EPSベース)。今の40円は、配当性向30%の下限より少し上にあります。

純利益が予想に届かなかった場合を置くと、次のようになります(筆者の試算。分母は8月末の自己株式控除後の株数41,475,685株)。

純利益EPS40円配当の配当性向
53億50百万円(会社予想)129.0円31.0%
48億円115.7円34.6%
45億円108.5円36.9%
42億円101.3円39.5%

純利益が2割下振れても配当性向は40%弱で、方針の「中長期40%」の範囲に収まります。累進配当と配当性向30%維持は、純利益が予想を大きく上回らない限り、40円の維持で両立する計算です。強気の読みでは、減益でも配当が下がりにくい設計です。弱気の読みでは、利益が伸びないままだと増配の余地も小さく、「配当利回りの向上」は株価の側でしか起きません。

中間配当20円の支払開始は2026年11月18日です。期末配当の基準日は2027年2月28日(日曜日)なので、**権利付き最終日は2027年2月24日(水)**です(直前の営業日2月26日(金)から2営業日前)。

6-2. 自己株式の取得

項目内容
決議2026年4月13日(決算発表と同日)
上限1,600,000株・20億円
期間・方法2026年4月15日〜8月31日、東京証券取引所での市場買付
実績1,464,900株・19億99百万円(8月20日に終了)
平均取得単価約1,365円(総額÷株数、筆者の計算)
消化率株数91.6%、金額100.0%

出典:自己株式の取得に係る事項の決定に関するお知らせ、自己株式の取得状況及び取得終了に関するお知らせ(2026年8月21日)。

株数の上限より先に、金額の上限で終わった形です。8月だけで579,200株を平均約1,418円で買っています。取得した株数は、取得前の自己株式控除後の株数(42,933,174株)の3.41%にあたります。8月末の自己株式は5,170,374株(発行済株式の11.08%)です。消却は発表されていません。

今期の配当(約16億6千万円、筆者の概算)と自己株式取得20億円を合わせると約36億6千万円で、純利益予想の約68%です(総還元性向、筆者の計算)。

用語メモ:会社予想EPS124.62円は、純利益予想を自己株式取得前の株数(約4,293万株)で割った値です。8月末の株数で割ると129.0円になります。自社株買いをした年は、予想EPSが実際より低めに見える方向にずれます。

6-3. 大株主と「同盟」の持ち合い

株主所有株式数比率(自己株式を除く発行済株式に対する割合)
株式会社アークス3,136千株7.56%
株式会社バローホールディングス3,136千株7.56%
池田興産有限会社2,800千株6.75%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口)2,588千株6.24%
株式会社山口銀行1,411千株3.40%
株式会社西日本シティ銀行1,215千株2.92%
マルキョウ取引先持株会1,038千株2.50%
丸久共栄会(丸久の取引先持株会)1,012千株2.44%
ヤマエ久野株式会社1,000千株2.41%
国分グループ本社株式会社863千株2.08%

出典:半期報告書(2026年8月31日現在)。

上位2社のアークス(北海道)とバローホールディングス(岐阜)は、リテールパートナーズと「新日本スーパーマーケット同盟」を組む資本業務提携の相手です。リテールパートナーズ側もアークス株1,335,000株(貸借対照表計上額51億93百万円)、バロー株1,260,000株(同47億31百万円)を政策保有しており、有価証券報告書の「当社の株式の保有の有無」はどちらも「有」です(いずれも2026年2月末)。2社合計の約99億円は純資産の約1割にあたります。

1章の軸でいえば、地元3社の「共同購入組合」の外側に、もう一段大きな地方スーパー同士の組合がある形です。強みとしては共同調達や商品開発の規模が広がること、弱みとしては相手先の株価の上下が純資産の評価差額金に直接効くことが、同じ事実から出てきます。取引先持株会(マルキョウ取引先持株会・丸久共栄会)が2つ上位に入っていることも、この会社の株主の特徴です。持株数は半年で2団体とも増えており(2月末1,013千株・974千株→8月末1,038千株・1,012千株)、取引先という構造的な買い手が存在することを示しています。

6-4. 株主優待

制度の確認。 有価証券報告書(2026年2月期)の「株主に対する特典」と、会社IRサイトの株主優待情報のページの両方に、現行の制度として掲載されています。基準日・必要株数・枚数は両者で一致しています。ただし、Aコースの買物券が使えない店舗の書き方が違います。有価証券報告書は「丸久不動産事業部、AruKEX及び㈱永野(ナガノヤ、ウメコウジ)を除く」と書き、IRサイトのページでは「不動産事業部を除く」「テナントでは利用できない」とあり、永野の店の扱いは確認できませんでした。宮崎の永野の店で使えるかどうかは、会社に確認するのが確実です。

内容。 毎年2月末日と8月31日現在の100株以上の株主が対象で、Aコース(株主ご優待券=買物券)とBコース(JCBギフトカード)から選びます。

保有株数Aコース(1回)Bコース(1回)Aの年額Aの1株当たり(年)Bの年額Bの1株当たり(年)Aの名目利回り
100〜499株100円券10枚1,000円分2,000円20.0円(100株時)2,000円20.0円(100株時)1.44%
500〜999株100円券20枚1,000円分4,000円8.0円(500株時)2,000円4.0円(500株時)0.58%
1,000〜1,999株100円券50枚3,000円分10,000円10.0円(1,000株時)6,000円6.0円(1,000株時)0.72%
2,000〜2,999株100円券100枚3,000円分20,000円10.0円(2,000株時)6,000円3.0円(2,000株時)0.72%
3,000〜3,999株100円券150枚5,000円分30,000円10.0円(3,000株時)10,000円3.3円(3,000株時)0.72%
4,000〜4,999株100円券200枚5,000円分40,000円10.0円(4,000株時)10,000円2.5円(4,000株時)0.72%
5,000株以上100円券250枚5,000円分50,000円10.0円(5,000株時)10,000円2.0円(5,000株時)0.72%

名目利回りは10月21日終値1,390円、各区分の下限株数で計算(筆者の計算)。

この表のポイントは3つです。

1つ目は、1株当たりの優待額が最も厚いのは100株(年20円)で、配当(年40円)の半分に当たることです。100株保有での配当+優待(Aコース)の名目利回りは約4.3%(配当2.88%+優待1.44%)です。

2つ目は、区分の境目の手前で1株当たりが急に薄くなることです。100株から499株までは優待の額が同じなので、499株持つと1株当たり約4.0円。500〜999株でも年4,000円のままなので、999株では約4.0円です。100株から買い増しても、1,000株に届くまでは1株当たりの優待はむしろ下がります。

3つ目は、Bコース(ギフトカード)は500株以上でほとんど増えないことです。100株と999株が同じ1,000円分で、1,000〜2,999株が3,000円分、3,000株以上が5,000円分です。

名目と実質のギャップ。 Aコースの買物券は「税込1,000円の買い物につき100円券1枚」使える券なので、実質は10%の割引券です。100株の10枚を使い切るには1回あたり1万円以上、年2回で2万円以上の買い物が必要です。有効期限は、8月31日基準分が翌年5月31日まで、2月末日基準分が同年11月30日までです(有価証券報告書)。グループの店(山口・福岡・大分・宮崎・熊本・佐賀・長崎・広島・島根)が生活圏にない人には、Aコースの実質価値はほぼゼロで、その場合の実質はBコースの年2,000円(1株20円)になります。100株ならAとBの年額は同じで、使い道の自由度はBが上です。

長期保有特典。 2月末日時点で3年以上継続して1,000株以上保有している株主には、通常の優待に加えてJCBギフトカードが年1回届きます(1,000株以上2,000円分、3,000株以上3,000円分)。「3年以上」の判定は、2月末日と8月31日の株主名簿に同一の株主番号で連続7回以上記載されていることです。いま買って最初に載る名簿が2027年2月末なら、7回目は2030年2月末で、そこで初めて対象になります。会社は、名義変更や全株売却で株主番号が変わると連続性が途切れることがあると注意しています。

継続性。 有価証券報告書の所有者別状況によると、2026年2月末の単元株主は29,069人です。全員が100株区分でAコースを選んだと仮定すると、額面で年約58百万円です(筆者の試算で、実際の区分の分布は開示されていません)。上期の営業利益(27億76百万円)に比べれば小さく、自社の買物券なら会社の実負担は額面より小さくなる可能性があります。一方、Bコース(ギフトカード)を選ぶ株主が多いほど、負担は額面に近づきます。優待費用の実額は開示されていません。

権利付き最終日。 優待と配当の基準日は同じ(2月末日・8月31日)です。次の2027年2月28日(日)基準の権利付き最終日は2月24日(水)、2027年8月31日(火)基準は8月27日(金)です。

優待を目当てに買うかどうかの判断軸は、「グループの店で月に1万円以上買い物をするか」と「100株で止めるか、1,000株まで買うか」の2つです。株価が1割動けば、100株で約1万4千円の損益になり、優待の年額(2,000円)の約7年分に当たります。


7. 株価の見方

株価の基準点:2026年10月21日終値1,390円(Yahoo!ファイナンスの時系列)。

指標値計算の前提
時価総額(自己株式控除後)約576億円41,475,685株(8月末)
時価総額(発行済ベース)約648億円46,646,059株
PER(会社予想EPS 124.62円)11.2倍自己株式取得前の株数ベース
PER(8月末株数のEPS 129.0円)10.8倍筆者の計算
PBR0.63倍8月末の1株当たり純資産2,189.93円
配当利回り2.88%年40円(予想)

一次情報からの株価の照合点として、有価証券報告書の株価収益率11.5倍×EPS119.70円から逆算した2026年2月末の株価は約1,377円、短信の時価ベースの自己資本比率43.3%から逆算した値は約1,374円で、ほぼ一致します。自己株式の平均取得単価は約1,365円でした。株価は半年前とほぼ同じ水準にあります。

決算発表日の値動き:決算は10月15日(木)15時00分の発表で、当日の取引の最後の30分は発表後です。10月15日は始値1,419円、高値1,447円、安値1,388円、終値1,433円(前日比+7円)、出来高103,400株(前日は53,300株)。高値・安値が発表の前か後かは、日足からは確認できません。翌16日の終値も1,433円で、10月21日は1,390円です。

強気の読み

  • 粗利率は前年並みを守り、6〜8月は前年を上回った。共同調達・PBの効果が出ているなら、人件費の上昇ペースが落ち着いた時点で利益が戻りやすい
  • 下期は毎年、年末年始の12〜2月が最も強い。過去2期とも下期の売上は計画を上回っている
  • PBR0.6倍台、ネットキャッシュ約112億円、累進配当。今期の自己株式取得20億円と合わせ、株主還元の姿勢ははっきりしている
  • 経常利益の予想は営業外を控えめに置いており、営業利益が届けば上振れの余地がある

弱気の読み

  • 下期に求められる営業利益は前年比+29.1%で、過去3年のどの下期よりも8.7%以上多い。感応度表で予想に届くのは9マス中1マスだけ
  • 過去2期とも、上期決算時点で据え置いた通期予想に届かず、期中に修正しなかった。今期の上期の外れ方は過去2期より大きい
  • 永野の上乗せが抜けた9月の全店売上は101.5%。客数は前年割れが続き、売上は客単価頼み
  • 9〜11月の利益率は3年連続で低下しており、直近4四半期のうち3つが14四半期の下位3つ
  • 純利益予想は、例年の年度末の減損をほとんど置いていない計算になる

どちらの読みも、同じ「下期にどれだけ戻るか」という1つの問いに対する答え方の違いです。答えは、10月以降の月次と、2027年1月の第3四半期決算で9〜11月の数字が出た時点で、かなり見えてきます。


8. 今後のカレンダーと見るべきKPI

時期イベント見るポイント
2026年11月上旬(前回は10月6日)10月の月次業績全店売上の前年比(上乗せなしで+4.3%にどこまで近づくか)、既存店客数
2026年11月18日中間配当(20円)支払開始-
2026年12月上旬11月の月次業績9〜11月の3か月分がそろう
2027年1月中旬(前期は1月14日)第3四半期決算9〜11月の営業利益(過去3年は10億〜14億円台)、通期予想の扱い(修正の有無と開示日)
2027年2月24日(水)期末配当・株主優待の権利付き最終日基準日は2月28日(日)
2027年4月中旬(前期は4月13日)通期決算、来期予想年度末の減損損失の規模、税負担率、来期の配当予想(累進配当)、次期中期経営計画
随時熊本地震の続報業績への影響額の開示の有無

見るべきKPI(優先順)

  1. 月次の全店売上前年比:下期の予想は営業収益で前年比+4.3%を求めています。9月は101.5%でした
  2. 既存店の客数前年比:100%を下回る月が続くかどうか
  3. 第3四半期(9〜11月)単独の営業利益率:3年連続で低下(2.28%→2.13%→1.51%)
  4. 販管費のうち従業員給料・賞与の伸び:上期は+7.2%。売上の伸び(+3.2%)との差が縮むか
  5. 3グループ別の営業利益:特にマルミヤストアグループ(上期の営業利益率約1.0%)

9. 3行まとめ

  • 上期は営業利益△17.2%、上期予想比では77.1%。粗利率は前年並みで、減益の全部を人件費中心の販管費の増加が説明する
  • 通期予想は据え置かれ、下期に前年比+29.1%(過去最高の下期をさらに8.7%上回る営業利益)と、上乗せなしでの+4.3%の売上を同時に求める形になった
  • 過去2期は同じ据え置きから下期に届かなかった。9〜11月の数字と月次の全店売上が、3年目も同じ形になるかの最初の答えになる

免責事項

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘や投資助言を目的としたものではありません。数値の出典は、株式会社リテールパートナーズの決算短信(2024年1月〜2026年10月)・決算参考資料・業績予想の修正に関するお知らせ・自己株式の取得に関する各開示・子会社の株式取得に関するお知らせ・熊本地震に関するお知らせ・配当政策の変更に関するお知らせ、有価証券報告書(2026年2月期)・半期報告書(2027年2月期中間期。いずれもEDINET閲覧サイト)、会社IRサイトの月次業績・株主優待情報です。株価はYahoo!ファイナンスの時系列によります。四半期の数値は累計値からの筆者の差し引き、増減率・利益率・営業利益の4分解・残り期間の数字・感応度表・税負担率の逆算・優待の利回りは筆者の計算・試算で、将来の見通しではありません。以下の点にご留意ください。

  • 決算説明会は開催されておらず、当該四半期についての会社の追加説明・質疑応答は反映していません。会社の説明は決算短信と決算参考資料の記載に基づきます
  • 決算発表は取引時間中(15時00分)で、発表当日の値動きが発表の前後どちらで生じたかは確認できていません
  • 永野の上乗せの規模(約22億円・約24億円)は月次の差と買収時の年商予定からの筆者の概算で、会社の開示に基づくものではありません。丸久グループの販管費率の上昇に永野の分が含まれるという記述、惣栄食品の連結による下期の上乗せが小さいという記述は筆者の推測です
  • 役員報酬の「予算」(約82億6〜7千万円)は、半期報告書の達成率91.4%からの筆者の逆算です
  • 熊本地震の業績への影響額は会社が開示しておらず、筆者は推測していません
  • 株主優待のAコースで永野の店舗が使えるかについて、有価証券報告書と会社IRサイトの記載を一致させることができませんでした。優待費用の総額は開示されておらず、本文の金額は株主数からの試算です
  • 2024年2月期の上期予想(期初の第2四半期累計予想)は、当該期の第1四半期決算短信を取得していないため記載していません
  • 決算参考資料の月次(収益認識基準の適用前)と会社IRサイトの月次の数値は、上期分について一致を確認しています

記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。

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