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マルヨシセンター(7515) 仕入れと物流の裏方を筆頭株主の大手スーパーと一本にして、売場の味と鮮度で勝負している香川の会社 なぜ、上期で通期予想を超えた純利益が、下期は赤字の計算になるのか?【2026年10月発表・中間決算】

本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • マルヨシセンターの2027年2月期の上期(2026年3〜8月)は、営業利益が前年同期の2.1倍の2億43百万円。ただし3〜5月は減益で、増益はほぼすべて6〜8月の3か月に集まっていること。6〜8月の増益1億47百万円を「売上の増加・粗利率の改善・営業収入・販管費」の4つに分けた内訳
  • 会社は通期予想を上方修正したが、修正後の予想が下期(2026年9月〜2027年2月)に置いた営業利益は86百万円で、前年の下期(2億23百万円)より約6割少ないこと。過去2期の下期と比べた「置き方」の位置
  • 純利益は上期で1億14百万円と、修正後の通期予想(1億円)をすでに超えていること。予想が下期に置いた純利益は計算上△14百万円になる理由と、短信の予想EPS(117.67円)が純利益予想÷株数(106.97円)と一致しないこと
  • 8月に物流子会社レックスの残り30%を1億44百万円で取得し、非支配株主持分(約2億87百万円)との差額が資本剰余金に入って、自己資本比率が19.7%から21.1%に上がった仕組み
  • 期末日・中間期末日の曜日(銀行休業日)で、営業キャッシュ・フローが前年の+23億円から今年は△2億円に振れて見えること
  • 配当(年30円・5年据え置き)と株主優待。有価証券報告書の「株主に対する特典」欄は「なし」だが、会社IRサイトには優待制度が載っているという食い違い

1. 前提知識:マルヨシセンターはどんな会社か

仕入れと物流の裏方を、筆頭株主の大手スーパーと一本にした町のスーパー

商店街の個人商店が、仕入れを共同組合にまとめて大口で買う、という光景は昔からあります。1軒では問屋に強く出られなくても、まとめて買えば値段と品ぞろえで大手に近づけるからです。ただし、組合に入っても店先の仕事は変わりません。店に立つ人の給料、冷蔵ケースの電気代、魚を捌く手間は、それぞれの店が自分で払います。

マルヨシセンターは、香川県を中心に徳島・愛媛・兵庫で食品スーパー33店(2026年8月時点の補足資料の県別店舗数の合計)を営む会社です。2019年11月に広島の大手スーパー、イズミと資本業務提携を結び、イズミは議決権の19.81%を持つ筆頭株主になりました。2024年6月からは、イズミと「システム、仕入、物流」を統合して本格稼働しています(短信の記載)。共同組合のたとえで言えば、組合の役を筆頭株主である大手スーパーが担っている形です。

一方で、売場の側は自分たちで持ち続けています。会社が掲げるのは「健康とおいしさ」で、社内の「味Gメン」による味と品質のチェック、生鮮惣菜の開発、時間帯別の売場管理などを、香川・四国の地域一番店を目指す「四国戦略」として進めています。惣菜や麺を作る工場(子会社フレッシュデポ)と、加工食品・雑貨の物流センター(子会社レックス)も自前です。

この記事では、マルヨシセンターを次の一文で読みます。

「仕入れと物流の裏方を筆頭株主の大手スーパーと一本にして、売場の味と鮮度で勝負している香川の会社」

この一文から、強みと弱みが同じ理由で出てきます。

観点内容数字で見る場所
強み仕入れの量を大手と合わせることで、原価と物流の効率を取りにいける粗利率(売上総利益÷売上高)
弱み①売場の費用(人・電気・修繕)は自分持ちで、量で薄めることができない販管費(人件費・水道光熱費)
弱み②裏方を一本にした相手の事故は、自分の決算にも出る。そして会社は、その種の費用を厚めに置いて予想を作る計画比(期初予想と実績の差)

弱み②は、2025年2月期に実際に起きました。会社はこの期の業績が予想を下回った理由として、次のように書いています(原文)。

当社のその他の関係会社である株式会社イズミのランサムウェア感染被害の影響や同社とのシステム統合に伴う当社システム整備のための費用の発生による上期の利益減を6月から本格稼働した仕入、物流、システム統合による利益増で回収を見込んでおりました。しかしながら、人件費の増や物価上昇に伴う各種経費の高騰の影響もあり、上期の利益減を回収するには至らず(以下略)

(2025年4月14日「業績予想と実績値との差異に関するお知らせ」)

この表のポイントは、弱み①が「前年比」の数字に、弱み②が「計画比」の数字に効くことです。後の章で、今回の上期の増益(前年比)と、下期の予想(計画)を、この2つの物差しで分けて読みます。

イズミからの仕入れは、仕入全体の3分の1を超えた

裏方を一本にした結果は、関連当事者情報に出ています。有価証券報告書によると、イズミからの商品仕入は次のとおりです。

決算期イズミからの商品仕入期末の買掛金(イズミ向け)
2025年2月期74億93百万円12億98百万円
2026年2月期105億10百万円13億40百万円

2026年2月期の連結の仕入実績は299億35百万円なので、イズミからの仕入は約35.1%(筆者の算出)に当たります。取引条件について、会社は「一般取引条件と同様に決定しております」と書いています。

用語メモ:「その他の関係会社」は、議決権の20%前後を持ち、経営に重要な影響を与えうる株主のこと。親会社(過半数)ではない。マルヨシセンターはイズミの持分法適用会社で、イズミ出身の取締役1名(イズミでの現在の役職はなし)と、イズミからの出向者1名を受け入れている(2026年5月21日「支配株主等に関する事項について」)。

単一セグメントで、決算説明会はない

セグメントは「小売事業」だけで、レストラン等の「その他」は重要性が乏しいとして記載が省略されています。決算説明会は開催されず、中間決算では3ページの決算補足資料(数値の表のみ)が出ています。そのため、四半期の損益は短信の累計値から筆者が引き算して出すしかありません。

用語メモ:「営業収益」は、売上高(商品の販売)に「営業収入」を足したもの。マルヨシセンターの営業収入は、有報の収益認識の注記によると主に「配送料収入等」(仕入先に代わって店舗へ商品を届けることによる収入など)と不動産賃貸収入。営業利益は〈売上総利益+営業収入−販管費〉で決まる。

直近5期の業績推移

決算期売上高(百万円)経常利益(百万円)純利益(百万円)EPS(円)ROE自己資本比率1株配当
2022年2月期37,913687417449.9616.1%16.9%30円
2023年2月期37,238264142153.375.0%17.9%30円
2024年2月期38,341397135145.724.6%18.8%30円
2025年2月期39,7661451314.760.5%18.5%30円
2026年2月期40,754323131140.464.2%19.7%30円

出所は2026年2月期の有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」(連結。金額は千円から百万円未満を切り捨て)。売上高(営業収入を含まない)は5年で約7%増えた一方、経常利益は2022年2月期の6億87百万円から3億円前後に下がったままです。配当は5期とも30円です。

この表のポイントは2つです。1つは、売上は伸びていても、利益は「億円の一桁台前半」の幅で上下しており、数千万円の費用の違いで増益・減益が入れ替わる規模の会社だということ。もう1つは、自己資本比率が20%を下回る水準で推移していることです。後者は会社自身が課題に挙げています(第8章)。

会社予想の達成履歴:売上は上振れ、利益は上下に大きく外れる

決算期期初予想の営業利益(開示日)期初予想の前期比期中の修正実績期初予想比
2025年2月期310百万円(2024年4月15日)前期411百万円から減益なし(期末後に差異を開示)132百万円△57.2%
2026年2月期320百万円(2025年4月14日)+140.9%2025年10月15日に営業収益のみ上方修正、利益は据え置き339百万円+5.9%
2027年2月期180百万円(2026年4月15日)△47.0%2026年10月15日に330百万円へ上方修正--
決算期期初予想の営業収益実績期初予想比期初予想の純利益実績期初予想比
2025年2月期40,000百万円41,738百万円+4.3%80百万円13百万円△82.8%
2026年2月期41,000百万円42,991百万円+4.9%100百万円131百万円+31.0%

出所は各期の決算短信と「業績予想と実績値との差異に関するお知らせ」(増減率は会社の表記。2026年2月期の営業収益の期初予想比のみ筆者の算出)。

この表のポイントは、営業収益は2期続けて期初予想を4〜5%上回った一方、利益は「大きく下」と「やや上」に外れていることです。売上の見通しは控えめに当たり、利益は費用の出方で上下に振れる会社の予想だ、という前提でこの先を読みます。

2. 決算ハイライト(2026年10月15日 15時30分発表)

損益

項目(百万円)前年上期今年上期前年比修正後の通期予想進捗率
営業収益21,45322,330+4.1%44,70050.0%
売上高20,34721,167+4.0%--
売上総利益4,6734,953+6.0%--
粗利率22.97%23.40%+0.44pt--
営業収入1,1061,162+5.1%--
販管費5,6625,872+3.7%--
営業利益116243+108.3%33073.8%
経常利益106228+114.1%28081.6%
親会社株主に帰属する中間純利益43114+165.9%100114.9%
1株当たり中間純利益46.23円122.94円---

金額は短信の千円単位から百万円未満を切り捨て。進捗率・粗利率は千円単位から筆者が算出。

前年の上期の進捗率は、実績を分母にすると営業利益34.4%・経常利益33.0%・純利益32.9%、当時の会社予想(営業320・経常300・純利益100百万円)を分母にすると36.5%・35.6%・43.2%でした(筆者の算出)。今年は修正後の予想を分母にしても営業利益73.8%で、前年の倍の進み方です。

用語メモ:進捗率は〈累計実績÷通期予想〉。分母が予想の修正で動くと、同じ実績でも進捗率が変わる。今年の期初予想(営業利益180百万円)を分母にすると135.3%で、上期だけで期初の通期予想を超えている。

会社の修正理由(原文)

原油価格の上昇に伴う商品原価の高騰及び電気、運賃、消耗品価格の上昇、さらに、賃上げや採用競争の激化による人件費の増加などを想定し、それらすべてを吸収することは難しいと判断した上で前回発表予想としておりましたが、売上高が好調に推移したことで利益が押し上げられたことや政府の「電気・ガス料金負担軽減支援事業」による効果などにより、当中間連結会計期間が想定より好調に推移していることから、業績予想を修正いたします。

(2026年10月15日「業績予想の修正に関するお知らせ」)

修正額は営業収益+700百万円(+1.6%)、営業利益+150百万円(+83.3%)、経常利益+140百万円(+100.0%)、純利益+90百万円(+900.0%)です(会社の表記)。修正後も、通期は前期比で営業利益△2.8%、経常利益△13.6%、純利益△16.2%の減益予想です。

スーパーマーケットの指標:増収はほぼ値段

指標(スーパーマーケット事業)前年上期今年上期前年比
売上高20,263百万円21,104百万円+4.2%
客数8,823千人8,796千人△0.3%
客単価2,297円2,399円+4.4%
1品単価242円252円+4.1%
買上点数(客単価÷1品単価)9.49点9.52点+0.3%

出所は決算補足資料。買上点数と前年比は筆者の算出。

この表のポイントは、客数がわずかに減り、1品単価が4%上がって増収になっていることです。通期でも、2026年2月期の客数は前期比△0.2%、客単価は+2.8%でした。来店客が増えて売上が伸びているのではなく、1品あたりの値段が上がって売上が伸びている、という形が2年続いています。店舗数は2025年3月の片原町店の閉店以降、補足資料の県別では香川19・愛媛6・徳島6・兵庫2で変わっていません。

財政状態

項目(百万円)2026年2月末2026年8月末増減
現金及び預金923936+13
売掛金8011,057+256
商品1,5201,540+20
有形固定資産10,80710,974+166
投資有価証券538767+228
総資産16,63617,307+670
買掛金3,5283,360△167
借入金+社債6,1887,137+949
純資産3,5343,659+124
うち非支配株主持分2640△264
自己資本3,2703,659+388
自己資本比率19.7%21.1%+1.4pt

金額は短信の千円単位から百万円未満を切り捨て(増減は千円単位の差から切り捨て)。借入金+社債は短期借入金・1年内償還予定の社債・1年内返済予定の長期借入金・社債・長期借入金の合計で、補足資料の「有利子負債」(6,188→7,137百万円)と一致します。

有形固定資産の増加の中には、2月末にゼロだった建設仮勘定が2億63百万円あります。どの設備かは短信・半期報告書に記載がありません。

キャッシュ・フロー(半期報告書)

中間決算短信にはキャッシュ・フロー計算書が載っていないため、同じ10月15日に提出された半期報告書から取りました。

項目(百万円)前年上期今年上期
営業キャッシュ・フロー+2,339△232
投資キャッシュ・フロー△303△512
財務キャッシュ・フロー△1,441+758
減価償却費322332

営業キャッシュ・フローが23億円の黒字から2億円の赤字に変わったのは、利益が悪化したからではありません。第6章で、期末日の曜日から説明します。

3. 深掘り①:上期の増益は、ほぼ6〜8月の3か月に集まっている

ここからの3章は、1つの問いを3段階で追います。**「上期の利益はどこから来て、下期にどこへ消える予想なのか」**です。最初は「どこから来たか」です。

10四半期を並べる

マルヨシセンターは2月決算なので、第1四半期は3〜5月、第2四半期は6〜8月、第3四半期は9〜11月、第4四半期は12〜2月です。累計しか開示されないので、短信の累計値から筆者が引き算しました。

四半期営業収益粗利率営業収入販管費営業利益営業利益率
2024年3〜5月9,86124.09%3762,568930.94%
2024年6〜8月10,57123.09%5112,890△57△0.54%
2024年9〜11月10,31623.40%5432,903△73△0.71%
2024年12〜2025年2月10,99023.27%5422,8041701.55%
2025年3〜5月10,50623.05%5382,7341020.97%
2025年6〜8月10,94722.89%5692,929150.14%
2025年9〜11月10,58222.96%5582,772880.83%
2025年12〜2026年2月10,95623.58%5722,8861351.23%
2026年3〜5月10,87023.23%5402,859810.74%
2026年6〜8月11,46123.57%6223,0141631.42%

単位は百万円(千円単位から筆者が差し引き、百万円単位に四捨五入)。粗利率は売上高に対する比率、営業利益率は営業収益に対する比率。各期の4四半期の合計が通期の開示値と一致することを確認済みです(営業利益は千円単位で一致)。

この表のポイントは3つです。

1つ目は、今回の上期の増益は、ほぼ6〜8月に集まっていることです。3〜5月の営業利益は81百万円で前年同期の102百万円を下回り、6〜8月は163百万円で前年同期の15百万円から大きく増えました。上期の増益1億27百万円に対し、6〜8月だけで1億47百万円の増益です。

2つ目は、6〜8月は過去2年、年間で弱い3か月だったことです。2024年は△57百万円(年間で2番目に低い)、2025年は15百万円(年間で最も低い)でした。今年は10四半期の中で2番目に高い営業利益です。

3つ目は、12〜2月が2年続けて年間で最も高い四半期だったことです。2年しか確認できないので「季節性」とまでは書きませんが、下期の予想を読むときの前提になります(第4章)。

用語メモ:累計しか開示されない会社では、「上期」の数字の中に、片方の四半期の落ち込みともう片方の跳ねが混ざる。四半期ごとの姿は、自分で引き算するしかない。

6〜8月の増益1億47百万円を4つに分ける

食品スーパーは粗利率と販管費率の差が数%しかないので、営業利益の増減を〈売上の増減(数量効果)〉〈粗利率の変化(率効果)〉〈営業収入の増減〉〈販管費の増減〉の4つに分けると、何が効いたかが見えます。

要因(百万円)3〜5月(前年比)6〜8月(前年比)上期(前年比)6〜8月(2年前比)
数量効果(売上の増減×前年の粗利率)+83.1+105.4+188.5+179.8
率効果(当期売上×粗利率の差)+18.5+73.9+92.4+52.1
営業収入の増減+2.8+53.4+56.2+111.2
販管費の増減△125.1△85.5△210.5△124.0
合計=営業利益の増減△20.6+147.2+126.6+219.1

筆者の算出(千円単位で計算し、百万円単位で小数1桁に四捨五入)。各列の合計は実際の営業利益の増減と一致します(3〜5月は各項目の丸めのため、項目の和が△20.7になります)。

この表のポイントは2つです。

1つは、3〜5月と6〜8月で販管費の伸び方が違うことです。売上の伸びは3〜5月+3.6%、6〜8月+4.4%とほぼ同じなのに、販管費の伸びは3〜5月+4.6%、6〜8月+2.9%でした(筆者の算出)。3〜5月は販管費の増加が売上と粗利の増加を食べきって減益、6〜8月は販管費の伸びが売上より小さく、増益になりました。

もう1つは、6〜8月に粗利率が前年から0.68pt、2年前からも0.48pt上がり、営業収入も前年比+9.4%と伸びたことです。前年の6〜8月はフレッシュデポの麺ラインの停止で自社製造の麺が売れなかった時期で(前年の短信の記載)、粗利率は低い年でした。ただ、2年前の6〜8月(23.09%)と比べても今年(23.57%)は高く、前年の落ち込みの戻りだけでは説明しきれません。営業収入が6〜8月だけ伸びた理由は、短信に記載がありません。

軸に戻ると、6〜8月は「裏方を一本にした強み」(粗利率)が出て、「売場の費用は自分持ち」という弱み①(販管費)が比較的小さく済んだ3か月だった、と読めます。

販管費の中身:人件費は+7%、光熱費は△7%

科目(百万円)2025年6〜8月2026年6〜8月増減前年比参考:3〜5月の増減
給料手当及び賞与1,2561,344+88.1+7.0%+83.4
修繕維持費124148+24.1+19.5%+20.4
福利厚生費178186+7.3+4.1%+11.5
減価償却費131135+4.3+3.3%+6.0
水道光熱費300280△19.6△6.6%△18.3
消耗品費9368△24.6△26.4%+12.8
運賃142138△4.3△3.0%△7.0

筆者の差し引き(短信の第1四半期と中間期の販管費内訳から算出。百万円単位に四捨五入)。

この表のポイントは、人件費は3〜5月も6〜8月も同じように前年比+7%前後で増えており、6〜8月だけ費用が軽かったのは消耗品費と光熱費・運賃の減少によるということです。

会社は修正理由に「電気・ガス料金負担軽減支援事業」の効果を挙げています。政府の支援は2026年7〜9月の使用分の電気料金を値引きするもので(電力会社各社の案内による。高圧契約は1kWhあたり1.8〜2.3円)、6〜8月の決算には7・8月の使用分が入ります。ただし、前年比で見ると水道光熱費の減少は3〜5月(△18.3百万円)と6〜8月(△19.6百万円)でほぼ同じです。会社が冷蔵庫の入れ替えなどの省エネ投資を続けていることもあり、光熱費の減少のうち補助の分がいくらかは開示から分かりません。

用語メモ:会社の修正理由は「期初の計画に比べて」の説明で、前年同期に比べた増減の説明ではない。計画は電気代や人件費の上昇を厚めに置いて作られていたので、補助は計画との差には大きく効く。一方、前年比で見ると、6〜8月の増益の大部分は売上・粗利率・営業収入の側から来ている。2つの物差しは別の問いに答えている。

4. 深掘り②:予想が下期に置いた営業利益は、前年の下期より約6割少ない

上期の利益は、6〜8月の売上・粗利率と、軽く済んだ費用から来ていました。では、修正後の予想は下期にどれだけを置いているのか。これが問いの2段階目です。

〈通期予想−上期実績〉=予想が置いた下期

項目2025年2月期の下期(実績)2026年2月期の下期(実績)2027年2月期の下期(予想が置いた値)
営業収益21,306百万円21,538百万円22,370百万円(前年比+3.9%)
営業利益97百万円223百万円87百万円(前年比△61.2%)
営業利益率0.45%1.03%0.39%
経常利益112百万円217百万円51百万円(前年比△76.3%)
参考:同じ年の上期の営業利益率0.18%0.54%1.09%
下期−上期の営業利益率の差+0.28pt+0.49pt△0.70pt

筆者の算出(下期の実績は通期から上期を差し引き。予想の値は修正後の通期予想から今年の上期実績を差し引き。百万円単位に四捨五入)。

この表のポイントは2つです。

1つは、売上は前年並みの伸び(+3.9%)を置き、利益だけを大きく下げていることです。営業利益率0.39%は、過去2年のどちらの下期よりも低い水準です。

もう1つは、過去2年はいずれも下期の利益率が上期より高かったのに、予想は逆の形を置いていることです。第3章で見たとおり、12〜2月は2年続けて年間で最も利益の出た四半期でした。

用語メモ:「予想が置いた下期」は、会社が下期の予想を別に発表したものではなく、通期予想から上期実績を引いた計算上の値。会社がこの金額を下期の見通しとして説明しているわけではない。

過去2期、上期決算の時点で予想が置いた下期と、実際の下期

決算期上期決算時点の予想が置いた下期の営業利益実際の下期達成率予想が置いた下期の営業収益実際達成率
2025年2月期274百万円97百万円35.3%19,568百万円21,306百万円108.9%
2026年2月期203百万円223百万円109.7%21,047百万円21,538百万円102.3%
2027年2月期87百万円--22,370百万円--

筆者の算出。2025年2月期は期中に予想の修正がなく、2026年2月期は上期決算時に営業収益だけを修正し利益は据え置いていました。

この表のポイントは、下期の営業収益は2年とも予想を上回った一方、下期の営業利益は「大きく下回った年」と「1割上回った年」に分かれたことです。今年の置き方(87百万円)は、達成率が低かった2025年2月期の実際の下期(97百万円)よりもさらに低い水準です。「過去と同じだけ上振れする」とは書けませんが、今年の予想は過去2期の上期決算時点のどちらの置き方とも違い、利益をかなり低く置いている、ということは言えます。

予想が置いた下期の費用を逆算する

会社は下期の費用計画を開示していません。そこで、粗利率と営業収入の比率を固定し、予想が置いた営業利益から下期の販管費を逆算しました。

前提下期の売上高売上総利益営業収入逆算した下期の販管費前年下期(5,658百万円)比
粗利率を前年下期(23.28%)で固定21,195百万円4,934百万円1,174百万円6,021百万円+6.4%
粗利率を今年上期(23.40%)で固定21,195百万円4,960百万円1,174百万円6,048百万円+6.9%

筆者の試算。営業収益22,370百万円のうち営業収入の比率を前年下期(5.25%)で固定した機械的な計算で、会社の費用計画ではありません。

この表のポイントは、粗利率が上期並みなら、予想は下期の販管費が前年比6〜7%増えることを置いている計算になることです。上期の販管費の伸びは+3.7%でした。会社の期初の説明では、原油高に伴う原価・電気・運賃・消耗品の上昇と、賃上げ・採用競争による人件費の増加を「すべてを吸収することは難しい」としていました。下期は電気料金の補助が9月使用分まで(その先は2026年10月時点で筆者が確認した範囲では未定)で、12〜2月は人件費・光熱費の負担が重い季節でもあります。予想はその分を厚めに見ている、と読むのが自然です。ただし、会社は下期の費用の内訳を説明していないので、ここから先は筆者の推測です。

感応度表:下期の利益率が決め手

下期の営業収益の前年比 \ 下期の営業利益率0.39%(予想の置き方)0.45%(2025年2月期の下期並み)1.03%(2026年2月期の下期並み)
+2.0%328343471
+3.9%(予想の置き方)330345475
+5.0%331346477

単位は百万円で、通期の営業利益(上期実績243百万円+下期の試算)。筆者の試算で、前年下期の営業収益(21,538百万円)に伸び率を掛け、営業利益率を当てた機械的な計算です。将来の見通しではありません。

この表のポイントは、売上の伸びを動かしても通期の営業利益はほとんど変わらず、下期の営業利益率でほぼ決まることです。会社予想(330百万円)は、表の一番左の列、つまり過去2年の下期のどちらよりも低い利益率の上に置かれています。2025年2月期の下期並みでも約3.45億円、2026年2月期の下期並みなら約4.75億円になる計算です。

軸に戻ると、弱み②「会社はその種の費用を厚めに置いて予想を作る」が、ここでも出ています。2025年2月期は「費用を見込みきれずに大きく下振れた」年でした。その経験を経た今期の予想は、下期の費用をかなり重く置いています。強気に読めば「上振れの余地を残した予想」、弱気に読めば「会社自身が下期の費用増をそれだけ重く見ている」という読み方になり、どちらも同じ数字から出てきます。

5. 深掘り③:純利益は、下期に赤字を置いた計算になっている

問いの3段階目は、純利益です。営業利益と経常利益は下期にプラスを置いていますが、純利益だけは計算上マイナスになっています。

〈通期予想−上期実績〉を科目ごとに出す

科目(百万円)修正後の通期予想上期実績予想が置いた下期前年の下期(実績)
営業利益330243.586.5222.8
経常利益280228.651.4217.2
親会社株主に帰属する純利益100114.9△14.988.1

筆者の算出(千円単位の実績から算出し、百万円単位で小数1桁に四捨五入)。

上期の純利益(114.9百万円)がすでに通期予想(100百万円)を超えているので、予想は下期に△14.9百万円の純損失を置いている計算になります。

用語メモ:累計が通期予想を超えたまま予想を据え置く(または超える水準に修正する)と、残り期間の予想は計算上マイナスになる。会社が「下期は赤字になる」と発表したわけではない。

下期の経常利益51百万円が、純利益で△15百万円になるには

経常利益から純利益までの間には、特別損益と税金、それに非支配株主に帰属する利益があります。今回は3つめが下期にはほぼなくなります。8月25日にレックスを完全子会社にしたので(第6章)、上期に22百万円あった「非支配株主に帰属する中間純利益」は、下期には生じない構造です。

そこで、税負担率を3通り置いて、予想が下期に置いている特別損失(または追加の税負担)を逆算しました。

税負担率の置き方必要な下期の税引前利益下期の経常利益(51.4)との差=置かれた特別損失等
今年上期の実績(38.2%)△24.2百万円約75.6百万円
法定実効税率(30.5%)△21.5百万円約72.9百万円
住民税均等割(半期約12.5百万円)を固定し、残りに30.5%△3.4百万円約54.9百万円

筆者の試算。住民税均等割は、2026年2月期の有報の税率差異注記(9.1pt)×税引前利益÷2で概算。非支配株主に帰属する利益は下期ゼロとしました。

過去2期の下期の特別損失は、2025年2月期が約28百万円、2026年2月期が約42百万円です(通期から上期を差し引き。筆者の算出)。予想は、経常利益の予想が達成された場合に、過去2期より大きい55〜76百万円程度の特別損失か追加の税負担を見込んでいる計算になります。

これは「下期に大きな損失が出る」という意味ではありません。減損などの見込額を会社は開示しておらず、筆者も推測しません。有報の「重要な会計上の見積り」で会社は固定資産の減損を重要な見積りに挙げ、会計監査人も「固定資産の減損損失の認識判定」を監査上の主要な検討事項にしています。今年の上期にも香川県の店舗で4.9百万円の減損損失を計上しています。

もう1つの読み方として、期初予想から続く「純利益を低く置く作り方」があります。〈純利益予想÷経常利益予想〉の推移は次のとおりです。

決算期期初予想の純利益÷経常利益実績
2025年2月期26.7%9.5%
2026年2月期33.3%40.5%
2027年2月期7.1%(期初)→35.7%(修正後)上期50.3%

筆者の算出。

予想EPSが2つある

短信のサマリーと修正開示に載っている予想の1株当たり当期純利益は117.67円です。一方、純利益予想100百万円を期中平均株式数934,814株で割ると106.97円になり、こちらは同じ日に出た決算補足資料の値と一致します。

出所予想EPS計算
短信サマリー・業績予想の修正に関するお知らせ117.67円117.67円×934,814株=約110百万円
決算補足資料106.97円100百万円÷934,814株=106.97円
参考:修正前(期初)の予想10.70円10百万円÷934,814株=10.70円(一致)

117.67円に株数を掛けると約110百万円になり、純利益予想の100百万円とは合いません。自己株式は185株で、株数の違いでは説明できません。差の理由は開示から分からないので、この記事では106.97円を使います。

3つの深掘りを1本の線でつなぐ

上期の利益は、6〜8月に「裏方を一本にした強み」が粗利率に出て、売場の費用の一部(光熱費・消耗品)が軽く済んだところから来ていました(第3章)。修正後の予想は、その費用が下期に重く戻る前提で、下期の営業利益を前年の約4割、利益率を過去2年のどちらの下期よりも低く置いています(第4章)。純利益はさらに、過去より大きい特別損失か税負担を置いた計算になっています(第5章)。

つまり、「上期で通期予想を超えた純利益が、下期は赤字の計算になる」のは、下期の事業が赤字になるという見通しではなく、会社が下期の費用と特別損失を過去2年よりも重く置いていることの、計算上の帰結です。それが慎重さなのか、会社にしか見えていない費用の増加なのかは、9〜11月の決算で最初の答えが出ます。

6. イベント解説

レックスの完全子会社化:簿価の約半分で残り30%を取得

2026年8月19日、会社は物流センターを運営する連結子会社レックスの株式30%(1,440株)を、もう1社の株主スリーキューブから追加取得し、8月25日に完全子会社にしました。取得価額は、適時開示では「相手先の要望により開示を差し控えて」いますが、半期報告書のキャッシュ・フロー計算書には「連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出」144百万円が載っています。

この取得で、貸借対照表は次のように動きました。

項目金額
非支配株主持分(2月末)264.4百万円
+上期の非支配株主に係る中間包括利益22.9百万円
=取得時の非支配株主持分(筆者の概算)287.3百万円
−取得の支出(半期報告書)144.0百万円
=差額143.3百万円
参考:資本剰余金の増加(2月末→8月末)143.3百万円

筆者の算出(千円単位で計算し、差は2千円)。

この表のポイントは、帳簿上の非支配株主持分(約2億87百万円)の約半分の金額で残り30%を買い取り、その差額がそのまま資本剰余金に入ったということです。子会社の株式を追加で買うときの差額は、損益ではなく資本剰余金で処理されます(連結の範囲は変わらないため)。その結果、自己資本は2月末から3億88百万円増え、内訳は資本剰余金+1億43百万円、利益剰余金+87百万円、その他の包括利益累計額+1億59百万円です。

用語メモ:「非支配株主持分」は、連結子会社の純資産のうち親会社以外の株主の取り分。連結の自己資本には含まれない。子会社株式を追加取得すると非支配株主持分が減り、支払った金額との差額が資本剰余金に入る。今回は支払額が持分より小さかったので、自己資本が増えた。

レックスの非支配株主に帰属する利益は2026年2月期に27.7百万円、今年上期に22.1百万円でした。今後はこの分も親会社の株主の利益になります。会社は「今後の連結業績に与える影響は軽微」としています。

軸に戻ると、仕入れ・物流・システムの裏方をイズミと一本にしながら、物流センターそのもの(レックス)は自前で100%持つ形を選んだ、という動きです。

期末日の曜日で、営業キャッシュ・フローが20億円以上振れる

期末日曜日会社の記載
2025年2月28日金-
2025年8月31日日「当中間連結会計期間末が銀行の休業日だったため8月末の支払が翌月9月となった」
2026年2月28日土「当連結会計年度末日が銀行の休業日だった」
2026年8月31日月(前期末の買掛金・未払金の減少として記載)
2027年2月28日日-

曜日は筆者が算出。

仕入代金を月末に払う小売では、期末日が銀行の休業日だと支払いが翌月にずれ、期末の買掛金・未払金と現金が同時に膨らみます。前年の上期は8月31日が日曜日で、仕入債務の増加(+15億14百万円)と未払金の増加(+4億88百万円)が営業キャッシュ・フローを押し上げました。今年は2月28日(土曜日)に膨らんでいた支払いが3月以降に出ていき、8月31日(月曜日)は平常どおりだったので、逆向きに振れています。

仕入債務と未払金の増減を除いた営業キャッシュ・フローは、前年上期が+3億37百万円、今年上期が+1億38百万円です(筆者の算出)。今年が小さいのは、売上債権(キャッシュレス決済の売掛金)の増加と、法人税等の支払いの増加などによります。

自己資本比率も、分母の総資産がこの買掛金で動きます。2月末の19.7%は買掛金が膨らんだ総資産で割った値です。次の期末日(2027年2月28日)も日曜日ですが、会社が残高の動きを説明するまで、膨らむとは断定できません。

借入の増加と設備投資

上期の借入金は、短期借入金が6億17百万円から17億円に増え、借入金+社債の合計で9億49百万円増えました。資金の使い道は、半期報告書のキャッシュ・フローで見ると、有形固定資産の取得4億85百万円、レックス株式の取得1億44百万円、配当27百万円と、前期末の休日要因で膨らんでいた支払いの決済です。支払利息は前年比+16.8%の31百万円でした。有報によると、期末の平均利率は短期借入金0.65%、長期借入金0.73%です。

有報の「設備の新設、除却等の計画」には、馬場病院店(香川県高松市)の2026年6月の閉店に伴う除却が載っていましたが、上期の補足資料の県別店舗数(香川19店)にこれが反映されているかは、資料から確認できません。8月末の建設仮勘定2億63百万円の対象も記載がありません。設備投資が新店・改装として形になれば、翌期以降は減価償却費が増える要因になります。

7. 資本政策・株主還元

配当:5年続けて30円、業績と連動しない「安定配当」

会社の配当方針は次のとおりです(有報の原文)。

当社の利益配分につきましては、経営成績の動向及び今後の経営環境を総合的に勘案して、継続的な企業価値の向上を通じて安定した配当をすることを基本方針としております。

決算期配当の決め方1株配当1株当たり純利益配当性向(連結)
2025年2月期総合勘案・安定配当30円14.76円203.3%
2026年2月期総合勘案・安定配当30円140.46円21.4%
2027年2月期(期初予想)総合勘案・安定配当30円10.70円280.4%
2027年2月期(修正後予想)総合勘案・安定配当30円106.97円28.0%

配当性向は短信の表記(修正後は筆者の算出。EPSは第5章の106.97円を使用)。配当総額は30円×934,814株=約28百万円で、2026年2月期の配当総額28,044千円と一致します。

この表のポイントは、配当性向が21%から280%まで動いても配当は30円のままだということです。業績が下振れても配当が下がりにくい一方、業績が上振れても増えにくい配当です。配当性向(単体)は有報の5期表で6.7%〜318.0%と、さらに大きく動いています。

配当は期末の年1回で、定款には8月31日を基準日とする中間配当の規定がありますが、実施していません。期末配当は株主総会で決議します。基準日の2027年2月28日は日曜日なので、直前の営業日(2月26日・金曜日)から2営業日さかのぼり、**権利付き最終日は2027年2月24日(水曜日)**です(筆者の算出)。

株主優待:この前提自体に確認が必要です

有価証券報告書(2026年5月27日提出)の「提出会社の株式事務の概要」では、「株主に対する特典」は「なし」と書かれています。 一方、会社IRサイトの「株主優待制度のお知らせ」には、優待券またはVISAギフトカードの優待制度が掲載されています(2026年10月21日時点で確認)。理由は開示から分からないので推測しません。以下は会社IRサイトの掲載を前提に書きますが、制度の現状は会社IRへの確認をおすすめします。

保有株数の区分と金額は、会社IRサイトの資料では表の部分が画像のため文字として取れず、複数の証券会社・株価情報サイトの掲載(いずれも同じ内容)で確認しました。

保有株数(2月末)優待券(200円券)または VISAギフトカード1株当たり(優待券)1株当たり(VISA)
100株以上50枚(10,000円相当)5,000円相当100.0円50.0円
300株以上100枚(20,000円相当)5,000円相当66.7円16.7円
500株以上150枚(30,000円相当)5,000円相当60.0円10.0円
1,000株以上250枚(50,000円相当)7,000円相当50.0円7.0円
3,000株以上500枚(100,000円相当)7,000円相当33.3円2.3円

加えて、300株以上を3年以上(2月末と8月末の株主名簿に同一株主番号で連続7回以上)保有すると、自社オリジナルの「小豆島手延素麺」1箱が贈られます。1株当たりの金額は筆者の算出。

この表のポイントは3つです。

1つ目は、どちらを選んでも、上位の区分ほど1株当たりの金額が下がる設計だということです。100株を超えて買い増すと、次の区分(300株)に届くまでは優待は増えません。299株で持つと、優待券の1株当たりは約33.4円で、100株のときの3分の1になります。

2つ目は、優待券は「1,000円の買い物につき200円券1枚」の割引券だということです(会社IRサイトの資料の記載)。100株の50枚を使い切るには、有効期間(到着後から翌年6月末まで)に5万円以上の買い物が必要です。酒類・タバコ・商品券などは対象外で、優待券の値引き分にはポイントが付きません。店舗網のある香川・徳島・愛媛・兵庫に住んでいて日常的にマルヨシセンター(またはグランデリーズ、レストランミケイラ)を使う人にとっては額面に近い価値があり、そうでない人にとっての実質は、VISAギフトカードの5,000円です。

3つ目は、配当との比較です。100株なら配当は年3,000円(税引前)で、優待のVISAギフトカード5,000円のほうが大きく、優待券の名目額10,000円はさらにその3倍以上です。

100株保有(株価4,665円・2026年10月21日終値)年間の金額名目利回り?
配当のみ3,000円0.64%
配当+VISAギフトカード8,000円1.71%
配当+優待券(名目額)13,000円2.79%

筆者の算出(税引前・手数料考慮前)。優待券の名目額は買い物の割引額で、現金と同じ価値ではありません。

優待の権利確定日は配当と同じ2月末で、権利付き最終日も同じ2027年2月24日(水曜日)です。3年以上の長期保有特典は、いま買って最初に名簿に載るのが2027年2月末だとすると、連続7回目は2030年2月末の名簿になります(筆者の換算)。

優待の費用は開示されていません。目安として、株主数1,487名(2026年2月末、単元未満株式を除く。決算補足資料)が全員100株区分で受け取ると仮定すると、VISAで約7百万円、優待券の額面で約15百万円です(筆者の試算。上位区分の株主がいるので実際は異なり、優待券は使われた分だけが割引になるので会社の実負担は額面より小さい可能性があります)。修正後の通期営業利益予想330百万円の2〜5%程度に当たります。

株主構成:筆頭株主は仕入先、上位に取引先と銀行

順位株主名持株比率
1株式会社イズミ19.81%
2佐竹 睦子9.90%
3マルヨシセンター取引先持株会9.01%
4有限会社佐竹興産5.34%
5株式会社百十四銀行3.39%
6株式会社阿波銀行3.28%
7佐竹 克彦2.82%
8マルヨシセンター従業員持株会1.93%
9ロージー 美佳1.82%
10黒田 真由美1.22%

出所は半期報告書の大株主の状況(2026年8月31日現在、発行済株式(自己株式を除く)に対する比率)。

有報によると、佐竹興産は「当社代表取締役佐竹克彦及びその近親者が100%を直接保有する会社」です。これを根拠に、佐竹克彦氏と佐竹興産を合わせると8.16%になります(筆者の合算)。他の個人株主との関係は開示で確認できないので合算しません。

この表のポイントは、筆頭株主のイズミが仕入の3分の1以上を担う取引先でもあり、3位に取引先持株会、5・6位に借入先でもある地元の2銀行が並ぶことです。会社は百十四銀行と阿波銀行の株式を「資金借入取引その他の金融取引において、良好な取引関係の維持強化のため」に政策保有しており、2026年2月末の計上額は阿波銀行2億44百万円、百十四銀行1億88百万円でした。上期の投資有価証券の増加2億28百万円は、その他有価証券評価差額金の増加1億56百万円を(1−30.5%)で割り戻した約2億25百万円とほぼ一致し、株を買い増したのではなく株価が上がったことによるものです(筆者の検算)。評価差額金3億49百万円は自己資本の約9.6%に当たり、銀行株の値動きで自己資本が動く構造でもあります。

取引先持株会は8.76%から9.01%に増えており、毎月一定額で買い付ける構造的な買い手が1つあります。株主数は1,487名で、所有株式数の52.1%を個人等が持っています。

潜在株式・自己株式

潜在株式はなく(短信の潜在株式調整後EPSは記載なし、半期報告書の新株予約権等は「該当事項はありません」)、自己株式は185株(単元未満株式の買取りによるもの)だけです。株式分割もなく、EPSの比較に調整は不要です。

資本コスト対応:ROEではなく「ROA3.0%・自己資本比率23.0%」

会社は2025年11月12日更新の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」で、次の方針を示しています(原文)。

当社の最重要課題は自己資本(比率)を向上させ、安定した財務基盤を構築することにある。現状では、自己資本比率と反比例の関係にあるROEの向上よりも、自己資本比率の向上を優先させる。

数値目標は「自己資本比率 23.0%、ROA 3.0%(2028年2月末時点)」で、ROAは総資産経常利益率です。

指標2026年2月期実績2027年2月期の現在地目標(2028年2月末)
自己資本比率19.7%21.1%(8月末)23.0%
ROA(経常利益÷総資産)2.0%(短信)修正後予想で約1.6%(筆者の概算)3.0%

2027年2月期の概算は、経常利益予想280百万円を2026年2月末と8月末の総資産の平均で割った値です。8月末の総資産(173億円)のままROA3.0%を達成するには、経常利益は約5.2億円が必要で、修正後予想の約1.9倍です。自己資本比率23.0%には、8月末の総資産のままなら自己資本をさらに約3.2億円積み上げる計算です(いずれも筆者の試算)。

この表のポイントは、自己資本比率は今期、レックスの取得差額(+1.43億円)と銀行株の値上がり(+1.56億円)で目標に近づいた一方、ROAは修正後予想でも2026年2月期の実績を下回るということです。財務戦略として会社は「保有株式の売却」「現預金の圧縮」「遊休資産の整理」を挙げていますが、政策保有の2銀行株については有報で「保有の合理性が薄れたと判断できる株式はありません」としています。

流動性

株価の日足(東証、筆者確認)を見ると、2026年9月の営業日19日のうち売買が成立したのは13日で、1日の出来高は100〜900株でした。決算発表日(10月15日)の出来高も1,000株です。思った値段で売買できない可能性は、弱気側の材料として意識しておく必要があります。

8. 株価の見方

株価の基準点

この記事の株価は、2026年10月21日(水)の終値4,665円を基準にしています。一次情報から復元できる株価の基準点と並べると、次のとおりです。

時点株価経路
2025年2月末3,905円2026年2月期決算補足資料の前期末株価
2025年8月末4,165円2027年2月期中間決算補足資料の前年同期末株価
2026年2月末4,545円決算補足資料の期末株価。有報の株価収益率32.36倍×EPS140.46円=約4,545円、短信の時価ベースの自己資本比率25.54%×総資産166.37億円÷934,814株=約4,545円と一致
2026年8月末4,600円中間決算補足資料の期末株価。東証の8月31日終値4,600円と一致
2026年10月21日4,665円東証終値

2026年の年初来高値は4,790円(2月25日)、安値は4,300円(3月23日)です(高値の日付は株価情報サイトの表示による報道ベース。安値は東証の日足で確認)。有報によると株主総利回りは2026年2月期までの5年で145.1%、同じ期間の配当込みTOPIXは238.4%でした。

決算発表と値動き(事実のみ)

決算は2026年10月15日(木)の15時30分、取引終了と同時刻に発表されました。同日の終値4,555円(出来高1,000株)は発表前の取引です。最初の反応日は10月16日(金)で、始値4,595円、終値4,580円(前日比+0.5%)、出来高400株でした。その後、10月21日の終値は4,665円で、発表日の終値から+2.4%です。値動きと決算の因果関係は、日足からは分かりません。

指標

指標値計算
時価総額約43.6億円4,665円×934,814株(自己株式を除く)
PER(修正後予想、106.97円)43.6倍4,665÷106.97
参考:PER(短信の予想EPS117.67円)39.6倍4,665÷117.67(第5章のとおりEPSは一致しない)
参考:PER(経常利益予想×(1−法定実効税率30.5%)÷株数=208.2円)22.4倍特別損失ゼロ・非支配株主利益ゼロとした場合
PBR1.19倍4,665÷BPS3,914.38円(8月末)
配当利回り0.64%30÷4,665

筆者の算出。

この表のポイントは、会社予想ベースのPER(43.6倍)と、経常利益予想から税金だけを引いたPER(22.4倍)の差が約2倍あることです。その差は、第5章で見た「純利益予想が下期に置いている特別損失・税負担」に対応しています。どちらのPERで見るかで、同じ株価の見え方が変わります。

強気の読み方

  • 上期の営業利益(2.43億円)は、6〜8月の売上・粗利率・営業収入の改善から来ており、光熱費の補助だけで説明できるものではない。粗利率は2年前の同じ3か月と比べても上がっている
  • 修正後の予想は、下期の営業利益率を過去2年のどちらの下期よりも低く(0.39%)置いている。2025年2月期の下期並みでも通期約3.45億円、2026年2月期並みなら約4.75億円の計算になる
  • 純利益予想は過去より大きい特別損失か税負担を置いた計算で、その分だけ経常利益から見たPER(22.4倍)とは開きがある
  • レックスの完全子会社化で、これまで非支配株主に回っていた利益(前期27.7百万円)が親会社の株主の利益になる。取得は帳簿上の持分の約半分の価格で、自己資本を押し上げた
  • 営業収益は2期続けて期初予想を上回っている
  • 配当は5年続けて30円で、業績が下振れた年(配当性向203%)も維持された。100株なら優待のVISAギフトカード(5,000円)が配当(3,000円)を上回る

弱気の読み方

  • 上期の増益は、ほぼ6〜8月の3か月に集まっている。3〜5月は販管費の増加(+4.6%)が売上の伸びを上回り、減益だった
  • 増収は客数の増加ではなく1品単価の上昇による。客数は上期△0.3%、前期通期△0.2%と2年続けて微減
  • 人件費は四半期ごとに前年比+7%前後で増え続けている。下期の予想は販管費が前年比6〜7%増える計算で、会社自身が下期の費用増を重く見ている
  • 2025年2月期は、上期決算時点の予想が置いた下期の営業利益に対し、実際は35%しか届かなかった。裏方を一本にした相手(イズミ)のシステム障害の影響も出た年だった
  • 電気料金の補助は2026年9月使用分まで(10月時点で筆者が確認した範囲)
  • 短期借入金が上期に11億円増え、支払利息は+16.8%。自己資本比率は21.1%で、金利上昇の影響を受けやすい財務構成
  • 自己資本の約1割は銀行株の評価差額金で、銀行株の値動きで自己資本が動く
  • ROAは修正後予想でも約1.6%で、2028年2月末の目標3.0%まで経常利益を約1.9倍にする必要がある
  • 1日の出来高は数百株で、売買が成立しない日もある

どちらの読み方も、「下期の利益率がどこに着地するか」という同じ1つの数字に集約されます。軸の言葉で言えば、裏方を一本にした強み(粗利率)が売場の費用(人件費・光熱費)を上回り続けられるか、です。

9. 今後のカレンダーと見るべきKPI

時期イベント見るポイント
2026年9月使用分まで電気料金の補助(政府の支援事業)10月使用分以降の扱い
2027年1月中旬(前年は1月14日)第3四半期決算(2026年9〜11月)9〜11月単独の営業利益(前年88百万円、2年前△73百万円)。予想が置いた下期87百万円との距離
2027年2月24日(水)期末配当・株主優待の権利付き最終日配当30円の予想が維持されているか
2027年2月28日(日)期末日(日曜日)期末の買掛金・現預金・営業キャッシュ・フローの振れ
2027年4月中旬(前年は4月15日)通期決算・来期予想下期の特別損失(減損)の有無、来期の期初予想の置き方、予想と実績の差異の開示
2027年5月定時株主総会・有価証券報告書「株主に対する特典」欄の記載、イズミとの取引額、税率差異
2027年7月上旬株主優待の発送-
2028年2月末資本コスト対応の目標期限自己資本比率23.0%、ROA3.0%

決算日は前年の実績で、会社は2027年の日程をまだ公表していません。

見るべきKPI

  1. 9〜11月単独の営業利益と販管費の伸び:販管費の伸びが売上の伸び(+4%前後)を下回るか上回るか。予想は下期に販管費+6〜7%を置いている計算
  2. 粗利率:6〜8月の23.57%が9〜11月も続くか(前年9〜11月は22.96%)
  3. 客数:微減が続くか。値上げで売上を伸ばす形がいつまで続くか
  4. 水道光熱費と給料手当:補助が終わった後の光熱費、前年比+7%の人件費
  5. 下期の特別損失:純利益予想が置いた55〜76百万円程度の特別損失・税負担に対し、実際はどうなるか
  6. 短期借入金と建設仮勘定:8月末の17億円の短期借入金がどう推移するか、2億63百万円の建設仮勘定が何の設備か

10. 3行まとめ

  • 上期の営業利益は前年の2.1倍の2.43億円だが、増益はほぼ6〜8月に集まり、中身は売上・粗利率・営業収入の改善と、人件費以外の費用が軽く済んだこと。会社は修正理由に電気料金の補助も挙げている
  • 修正後の予想は、下期の営業利益を前年の約4割(87百万円、利益率0.39%)と過去2年のどの下期よりも低く置き、純利益は特別損失か税負担を厚めに置いた計算で下期△15百万円。予想EPSは短信の117.67円と計算上の106.97円が一致しない
  • 仕入れと物流の裏方を大手と一本にした強みが粗利率に出る一方、売場の費用は自分持ちで、会社は予想でその費用を重く見ている。答え合わせの最初の場は、2027年1月の9〜11月の決算

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘・投資助言を目的としたものではありません。数値の出典は、株式会社マルヨシセンターの決算短信(2027年2月期中間・第1四半期、2026年2月期通期・中間・第1四半期・第3四半期)、決算補足資料(2027年2月期中間、2026年2月期通期)、業績予想の修正に関するお知らせ(2026年10月15日)、業績予想と実績値との差異に関するお知らせ(2025年4月14日・2026年4月15日)、連結子会社株式の追加取得による完全子会社化に関するお知らせ(2026年8月19日)、支配株主等に関する事項について(2026年5月21日)、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(2025年11月12日更新版)、株主優待制度のお知らせ(会社IRサイト)、有価証券報告書(2026年2月期)、半期報告書(2027年2月期中間)です。四半期の損益、進捗率、営業利益の4分解、予想が置いた下期、販管費の逆算、感応度表、特別損失の逆算、ROA・自己資本比率の距離、優待の1株当たり金額と利回り、株価指標は、いずれも筆者の算出・試算です。電気料金の補助の対象期間と単価は、政府の発表原文ではなく電力会社各社の案内で確認しました。株価は東証の日足(筆者確認)と会社開示から復元した基準点によります。年初来高値の日付は株価情報サイトの表示による報道ベースです。

本記事で踏み込まなかった・確認できなかった論点は次のとおりです。①決算説明会は開催されておらず、中間期の会社の説明は決算短信の定性的情報と数値のみの決算補足資料に限られます。会社の追加説明・質疑応答は一切反映していません。②中間決算短信にはキャッシュ・フロー計算書が載っていないため、半期報告書で確認しました。③株主優待について、有価証券報告書(2026年5月27日提出)の「株主に対する特典」欄は「なし」、会社IRサイトには優待制度が掲載されており、両者が食い違っています。理由は推測していません。優待の株数区分と金額は、会社IRサイトの資料の表部分が画像で文字を読み取れなかったため、複数の証券会社・株価情報サイトの掲載(内容は一致)で確認しました。優待の費用は開示されておらず、本文の金額は筆者の試算です。④次の箇所は筆者の推測で、会社の開示に基づくものではありません:予想が下期の費用増を厚めに見ているという読み方(第4章)、水道光熱費の減少のうち補助の分が分からないという整理(第3章)。⑤短信・修正開示の予想EPS(117.67円)と、純利益予想÷期中平均株式数(106.97円、決算補足資料と一致)が食い違っており、本文では106.97円を使いました。差の理由は開示から分かりません。⑥減損損失・税金の見込額は会社が開示しておらず、筆者も推測していません。本文の特別損失の逆算は、経常利益予想が達成された場合に純利益予想が見込んでいる計算で、損失の見込額や上限を示すものではありません。⑦営業収入が6〜8月に伸びた理由、建設仮勘定の対象、馬場病院店の閉店予定が補足資料の店舗数に反映されているかは、開示から確認できませんでした。⑧レックス株式の取得の相手先(スリーキューブ)の素性・当社との関係は開示で確認できず、記載していません。⑨決算は取引終了と同時刻の15時30分に発表されたため、発表日の値動きは発表前の取引です。⑩本記事の検算は、執筆者自身が作成した検算スクリプトで行っており、別のエージェントによる検算は行っていません。

記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。

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