本記事は2026年10月12日時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。**執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。**特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
この記事でわかること
- 北雄ラッキーの上半期(2026年3〜8月)は、売上183億円に対して営業利益が7百万円。売上100円あたりに直すと4銭で、粗利27.13円・不動産賃貸収入0.67円から販管費27.77円を引いた残りです
- 減益の中身を3か月ずつに割ると、6〜8月の3か月は粗利率が前年より上がっていた一方、売上の減少(数量効果)と販管費の増加で利益が削られていました
- 部門別では生鮮食料品が前年比△6.0%、一般食料品が+4.5%。期初の会社計画(生鮮+1.8%、一般+0.7%)とは逆向きで、粗利の高い生鮮の縮小が粗利額を押し下げています
- 8月21日に下方修正した通期予想が下期(9月〜2月)に置いている営業利益は1億73百万円で、前年の下期の実績1億73百万円とほぼ同額。過去2年の「上期決算時点で据え置いた予想」は下期の達成率が45〜47%でしたが、今年は8月の時点で修正済みという違いがあります。一方で、下期の売上には前年比+0.8%が置かれており、上期の既存店98.7%からの持ち直しが前提です
- 上期の営業キャッシュ・フローは39百万円(前年同期15億87百万円)。差の大部分は買掛金の増減で、中間期末日(8月31日)が日曜だった前年と月曜だった今年で残高の振れ方が違う形になっています
- 配当予想50円は5期連続の同額で、予想EPS 41.43円に対する配当性向は約121%。株主優待は200株で1株あたり25円相当になる設計です
1. 前提知識:北雄ラッキーはどんな会社か
1-1. 事業の形
北雄ラッキーは、札幌市手稲区に本社を置く食品スーパーです。2026年8月末時点の店舗数は33店。札幌市内の「ラッキー」に加え、網走・紋別・稚内・遠軽・美幌といった道東・道北の町の「シティ」「シティマート」、それに函館・札幌の衣料品単独店を持っています。小樽市銭函には生鮮・総菜の加工場(ラッキー生鮮・デリカセンター)、美幌町にも加工場、札幌に低温の配送センターがあります。決算は非連結(子会社なし)・単一セグメントで、2月決算です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業 | スーパーマーケット事業のみ(単一セグメント・非連結) |
| 店舗数 | 33店(2026年8月末。上期中の開店・閉店なし) |
| 店舗の種類 | コンビネーション店21・SM店7・衣料品単独店5 |
| 売上構成(上期) | 生鮮食料品40.9%、一般食料品50.3%、衣料品5.2%、住居品3.4% |
| 決算期 | 2月末(上半期=3〜8月、下半期=9月〜翌2月) |
| 上場市場 | 東証スタンダード・札証本則 |
| 筆頭株主 | 株式会社桐生興産(議決権22.98%、その他の関係会社) |
| 株主優待 | あり(2月末基準、100株以上。§5で詳述) |
売上構成は2026年2月期中間決算補足資料(会社IRサイト掲載)の上期の数字から筆者が計算しました。
1-2. 軸となる例え:「町の台所」と「100円のうちの27円」
この会社を一言で表すと、北海道の町ごとに台所を預かり、100円の売上から残る粗利27円を、人と電気と建物の経費でほぼ使い切っている会社です。
町に一軒の食品スーパーは、その町の人にとって台所の延長です。道東の小さな町では、ほかに選べる売場が多くありません。ここがこの会社の強みで、来店する理由が生活そのものにあります。
ただ、レジを通る100円のうち、仕入代金を払って手元に残る粗利は27円程度です。そこからパート・社員の人件費、店の電気代、建物やレジの減価償却費、家賃を払うと、残りはほとんどありません。
| 売上100円あたり(円) | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|
| 粗利 | 28.26 | 27.52 | 27.41 |
| 不動産賃貸収入 | 0.66 | 0.66 | 0.66 |
| 販売費及び一般管理費 | 27.58 | 27.53 | 27.45 |
| 営業利益 | 1.34 | 0.66 | 0.62 |
この表のポイントは2つです。1つは、販管費がほぼ27円台半ばで動かず、利益は粗利の1円未満の上下でほぼ決まること。もう1つは、2024年2月期の粗利28.26円から2年で約0.85円下がり、その分だけ営業利益が半分になったことです。
この例えは弱点も同じ一文から出ます。
- 弱点①(粗利の側):100円の中身は客が決めます。来店客数が減る、相場の高い精肉・鮮魚を避けて加工食品に寄る、といった動きはそのまま粗利の27円を削ります
- 弱点②(経費の側):人と電気と建物の経費は、客が少ない月も同じように出ます。売上が1%減っても経費はほとんど減らないので、利益が先に消えます
以下、この「100円あたり」の物差しを記事の最後まで使います。
1-3. 業績の推移(5期)
有価証券報告書(2026年2月期)の「主要な経営指標等の推移」からの転記です。
| 決算期 | 売上高 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | ROE | 自己資本比率 | 配当 | 配当性向 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022年2月期 | 389.65億円 | 3.91億円 | 2.44億円 | 193.40円 | 4.7% | 28.1% | 50円 | 25.9% |
| 2023年2月期 | 377.14億円 | 4.18億円 | 1.28億円 | 101.58円 | 2.4% | 30.1% | 50円 | 49.2% |
| 2024年2月期 | 379.19億円 | 5.35億円 | 3.06億円 | 242.57円 | 5.6% | 31.3% | 50円 | 20.6% |
| 2025年2月期 | 369.12億円 | 2.05億円 | 1.42億円 | 112.71円 | 2.5% | 31.4% | 50円 | 44.4% |
| 2026年2月期 | 371.99億円 | 2.22億円 | 1.08億円 | 85.73円 | 1.9% | 34.0% | 50円 | 58.3% |
(億円未満は四捨五入)
売上は370億円台でほぼ横ばい、利益は年ごとに上下し、配当は5期とも50円です。潜在株式はなく、発行済株式数(1,264,640株)も5期変わっていないので、EPSの動きは純利益の動きと一致します。
用語メモ:この会社は2018年9月に5株を1株にまとめる株式併合をしています。それ以降の株数は変わっていないため、上の5期分は株数の調整をしなくてもそのまま比べられます。
1-4. 会社予想の達成履歴
業績予想の修正と差異の開示を時系列に並べます(営業利益、百万円)。
| 決算期 | 期初予想 | 上期予想→上期実績 | 期中の修正(開示日) | 実績 | 期初予想比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年2月期 | 402 | — | なし(期末後に差異開示:2024年4月12日) | 509 | +26.8% |
| 2025年2月期 | 497 | 269→29(達成率11.0%) | 210へ下方修正(2025年1月9日・第3四半期決算と同日) | 243 | △51.1% |
| 2026年2月期 | 427 | 196→57(達成率29.1%) | 250へ下方修正(2026年1月9日・第3四半期決算と同日) | 229 | △46.2% |
| 2027年2月期 | 360 | 160→△18(8月21日修正)→7 | 180へ下方修正(2026年8月21日・上期末の10日前) | — | — |
この表のポイントは3つです。
- 2025年2月期と2026年2月期は、上期予想を大きく下回っても上期決算の時点では通期予想を据え置き、第3四半期決算と同じ日(1月上旬)に下方修正しています
- 今期は初めて、上期が終わる前(8月21日)に上期・通期の両方を修正しました。修正の開示日が過去2年より約4か月早くなっています
- 2024年2月期は逆に、電気料金の補助で経費が想定を下回り、期初予想を上回って着地しています(差異開示の理由より要旨)。下にも上にも外れる予想であることは、今期の予想を読む前提になります
上期決算の時点で、通期予想が下期に置いていた営業利益と、実際の下期を並べるとこうなります。
| 決算期 | 上期決算時点の予想が置いた下期 | 実際の下期 | 達成率 | 下期売上の必要伸び率(前年下期比) | 実際の下期売上の伸び |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年2月期 | 114.5百万円 | 222.3百万円 | 194.1% | — | — |
| 2025年2月期 | 467.4百万円 | 213.5百万円 | 45.7% | +1.6% | △1.0% |
| 2026年2月期 | 370.0百万円 | 172.6百万円 | 46.6% | +3.4% | △0.3% |
| 2027年2月期(今期) | 172.7百万円 | — | — | +0.8% | — |
(2024年2月期の上期予想・前々期の下期売上は今回確認した開示に含まれないため空欄。下期=通期−上期で筆者が差し引き)
過去2年は、利益だけでなく売上の置き方も実際より強すぎました。今期は営業利益の置き方が前年下期の実績とほぼ同額で、ここが過去2年との大きな違いです。ただし売上にはまだ+0.8%の伸びが置かれています。これは深掘りの3章で扱います。
用語メモ:業績予想の修正の適時開示は、売上10%・利益30%の変動が基準です。上期予想に対して大きく外れても、通期予想が基準の範囲内に収まる見込みなら通期の修正開示は出ません。開示が出ないことは「予想どおり」を意味しません。
1-5. 中期経営計画
会社は2027年2月期から2029年2月期までの中期3か年経営計画をスタートさせたと短信に書いています。重点項目(6つの商品政策の柱「6MD」の強化、来店頻度の向上、ファミリー層の拡大、生鮮・デリカセンターの供給拡大、ローコスト運営、財務体質の強化)は列挙されていますが、売上・利益などの数値目標は、筆者が確認した短信・有価証券報告書・決算補足資料には見当たりません。有価証券報告書では、経常利益を最も重視する指標としています。
2. 決算ハイライト(2026年10月9日15時00分発表)
2-1. 損益
| 項目(百万円) | 2026年2月期上期 | 2027年2月期上期 | 増減 | 8月21日修正予想 | 期初予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 18,483 | 18,338 | △0.8% | 18,300 | 18,700 |
| 売上総利益 | 5,025 | 4,975 | △1.0% | — | — |
| 粗利率 | 27.19% | 27.13% | △0.06pt | — | — |
| 販売費及び一般管理費 | 5,093 | 5,091 | △0.0% | — | — |
| 営業利益 | 57 | 7 | △87.3% | △18 | 160 |
| 経常利益 | 47 | △11 | — | △37 | 140 |
| 中間純利益 | 22 | △33 | — | △49 | 77 |
| 1株当たり中間純利益 | 17.67円 | △26.51円 | — | △39.07円 | 60.92円 |
(百万円未満切り捨て。粗利率は千円単位から筆者計算)
実績は8月21日の修正予想を上回りました。会社は差異の理由として、売上と営業総利益はおおむね修正予想どおりで、8月の一般管理費が人件費を中心に想定を下回ったことを挙げています(差異開示より要旨)。
8月21日の修正理由は、要旨として次の2点でした。上期は、食品値上げが続くなかで節約志向による買い控えが強まり売上が計画を下回ったこと、7月以降は気温の低い日が多く盛夏商品や衣料品が伸び悩んだこと。通期はこれに加えて、中東情勢、原料や資材の値上がりを利益を圧迫する要因として挙げています。
2-2. 販管費の中身
| 販管費の主な科目(百万円) | 前年上期 | 今期上期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 給料及び手当 | 917 | 914 | △2 |
| 雑給(パート等) | 1,200 | 1,211 | +10 |
| 水道光熱費 | 511 | 453 | △58 |
| 減価償却費 | 300 | 328 | +28 |
| 配送費 | 431 | 434 | +3 |
| 地代家賃 | 330 | 329 | △0 |
| 合計 | 5,093 | 5,091 | △1 |
販管費の合計は前年とほぼ同額ですが、中身は「電気代が58百万円減り、その分を減価償却費・雑給などの増加が食った」形です。減価償却費の増加は、2025年9月の千歳錦町店の改装と低温センターの耐震改修(前期の設備投資9億39百万円)によるものと読めます。会社の補足資料では、今期の減価償却費(リース分を含む)を前期比+9.5%の6億83百万円と見込んでいます。上期の実績は3億28百万円なので、下期には3億55百万円(前年下期比+31百万円)が置かれている計算です。
2-3. 営業外・特別損益と税金
- 支払利息は44百万円で、前年上期の32百万円から+37%。2024年5月に40億円のシンジケートローン(10年)で借り換えたあと、金利の上昇が続いている形です
- 減損損失は31百万円(前年上期1百万円)。店舗の固定資産です
- 法人税等は△9百万円(税金の戻り)。税引前の赤字に対し、法人税等調整額(益)が14百万円出ています
用語メモ:減損損失は、店舗の設備などが将来の稼ぎで回収できないと判断したときに帳簿上の金額を切り下げる処理です。現金は出ていきませんが、純資産は減ります。この会社は店舗ごとに判定しており、本社費を配った後の店舗の損益が続けてマイナスなら「兆候あり」として判定します(有価証券報告書の「重要な会計上の見積り」より要旨)。
2-4. 財政状態とキャッシュ・フロー
| 項目(百万円) | 2026年2月末 | 2026年8月末 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 現金及び預金 | 685 | 615 | △70 |
| 売掛金 | 1,061 | 1,228 | +166 |
| 買掛金 | 2,833 | 2,699 | △134 |
| 短期借入金 | 550 | 950 | +400 |
| 長期借入金(1年内返済分を含む) | 4,285 | 4,033 | △252 |
| リース債務(流動・固定合計) | 1,009 | 1,013 | +3 |
| 純資産 | 5,916 | 5,881 | △34 |
| 自己資本比率 | 34.0% | 33.9% | △0.1pt |
営業キャッシュ・フローは39百万円で、前年上期の15億87百万円から大きく減りました。いちばん大きい差は「仕入債務の増減額」で、前年は+9億20百万円、今年は△1億34百万円です。
この買掛金の振れを、中間期末日・期末日の曜日と並べてみます。
| 時点 | 曜日 | 買掛金残高 | 上期中の仕入債務の増減 | 上期の営業CF |
|---|---|---|---|---|
| 2023年8月31日 | 木 | — | +4億45百万円 | 7億34百万円 |
| 2024年2月29日 | 木 | 23億30百万円 | — | — |
| 2024年8月31日 | 土 | 32億32百万円 | +9億02百万円 | 12億31百万円 |
| 2025年2月28日 | 金 | 23億27百万円 | — | — |
| 2025年8月31日 | 日 | 32億47百万円 | +9億20百万円 | 15億87百万円 |
| 2026年2月28日 | 土 | 28億33百万円 | — | — |
| 2026年8月31日 | 月 | 26億99百万円 | △1億34百万円 | 39百万円 |
期末日・中間期末日が土日だった時点の買掛金は大きく、平日だった時点は小さい形が4年分そろっています。仕入代金の支払日が金融機関の休日に当たると翌営業日にずれ、その分だけ期末の買掛金と現預金が膨らむ、という説明が成り立ちますが、これは筆者の推測で、会社は理由を開示していません。短信の説明は「仕入債務の減少」という事実だけです。
営業キャッシュ・フローから仕入債務・預り金・未払消費税等の増減を除くと、前年上期3億39百万円、今年上期76百万円です。曜日の影響を除いても、稼ぐ力そのものは前年より細っていると読むのが自然です。
次の期末日、2027年2月28日は日曜日です。曜日だけで残高が決まるとは限らないので「膨らむ」とは断定しませんが、通期の営業キャッシュ・フローや自己資本比率(分母の総資産が膨らむと比率は下がる)を見るときの注意点として置いておきます。
3. 深掘り:上期の「4銭」はどこで消え、下期の予想は何を前提にしているのか
問いは1つです。売上100円あたり4銭しか残らなかった上期は、どの3か月で何が起きたのか。そして、8月に引き下げた通期予想は、下期に何を求めているのか。 これを3段階で見ます。
3-1. 14四半期を並べる:100円あたりの営業利益は1円を超えない
この会社の四半期決算短信は累計でしか開示されないので、筆者が累計から差し引いて3か月ずつに割りました(4四半期の合計が通期の開示値と一致することを確認済み)。
| 3か月 | 売上(百万円) | 粗利率 | 販管費率 | 営業利益(百万円) | 100円あたり営業利益 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3〜5月 | 9,209 | 28.04% | 28.25% | 47.0 | 0.51円 |
| 2023年6〜8月 | 9,752 | 28.21% | 26.40% | 240.5 | 2.47円 |
| 2023年9〜11月 | 9,043 | 28.34% | 28.05% | 88.3 | 0.98円 |
| 2023年12月〜24年2月 | 9,916 | 28.45% | 27.69% | 134.0 | 1.35円 |
| 2024年3〜5月 | 8,904 | 27.80% | 27.94% | 49.3 | 0.55円 |
| 2024年6〜8月 | 9,236 | 27.43% | 28.32% | △19.7 | △0.21円 |
| 2024年9〜11月 | 8,794 | 27.38% | 27.66% | 35.4 | 0.40円 |
| 2024年12月〜25年2月 | 9,979 | 27.48% | 26.30% | 178.1 | 1.78円 |
| 2025年3〜5月 | 9,040 | 27.21% | 28.31% | △36.3 | △0.40円 |
| 2025年6〜8月 | 9,444 | 27.17% | 26.84% | 93.3 | 0.99円 |
| 2025年9〜11月 | 8,806 | 27.46% | 28.44% | △26.7 | △0.30円 |
| 2025年12月〜26年2月 | 9,910 | 27.78% | 26.38% | 199.3 | 2.01円 |
| 2026年3〜5月 | 9,040 | 26.95% | 28.12% | △43.9 | △0.49円 |
| 2026年6〜8月 | 9,298 | 27.31% | 27.42% | 51.1 | 0.55円 |
(筆者の差し引き。売上は百万円未満四捨五入、営業利益は千円単位から計算)
この表から読めることは3つです。
- 12月〜2月の3か月は3年とも黒字で、2024年・2025年の2年は年間で最大の利益を出しています。年末年始の需要と、販管費率が年間で最も低い水準(26.30〜27.69%)になる季節です
- 3〜5月は3年とも100円あたり0.6円を下回り、直近2年は赤字です。9〜11月も88百万円→35百万円→△27百万円と切り下がってきました
- 6〜8月は240百万円→△20百万円→93百万円→51百万円と年によって大きく違い、3年同じ形は出ていません。この3か月は「季節性」とは書けない、というのが正直なところです
粗利率は2023年の28%台から、2025〜2026年は27%前後に下がったまま戻っていません。1章の例えでいえば、100円から残る27円が、2年で約1円目減りしたことになります。
3-2. 減益を3つに分ける:6〜8月は「粗利率は上がったのに減益」
営業利益の増減を、次の4つに分けます。
- 数量効果:売上の増減 × 前年の粗利率(売上が減った分だけ粗利も減る)
- 率効果:今年の売上 × 粗利率の差(粗利率の上下)
- 不動産賃貸収入の増減
- 販管費の増減(増えればマイナス)
| 営業利益の増減(百万円) | 上期合計 | 3〜5月 | 6〜8月 |
|---|---|---|---|
| 数量効果 | △39.5 | +0.1 | △39.5 |
| 率効果 | △10.9 | △24.1 | +13.1 |
| 不動産賃貸収入 | △1.0 | △0.7 | △0.3 |
| 販管費 | +1.6 | +17.0 | △15.4 |
| 合計(=実際の増減) | △49.8 | △7.6 | △42.2 |
(筆者の試算。各項目は四捨五入、合計は実際の営業利益の増減と一致)
上期をまとめて見ると「売上が減って、粗利率も少し下がって減益」ですが、3か月ずつに割ると別々の顔が出ます。
- 3〜5月:売上は前年と同じ(+0.0%)。粗利率が0.26pt下がり、電気代の減少などで販管費は減ったものの、減益
- 6〜8月:売上が前年比△1.5%。粗利率は0.14pt上がって率効果はプラスでしたが、売上減少の数量効果と、販管費の増加(+15百万円)がそれを上回りました
8月21日の修正理由に挙がった「7月以降の低温で盛夏商品・衣料品が伸び悩んだ」は、6〜8月の売上減少(数量効果)として数字に出ています。月次の既存店売上高前年比は6月98.7%、7月97.6%、8月98.7%でした。
前年の同じ比較もしておきます。前年上期(2025年3〜8月)は、売上増の数量効果+95百万円を率効果△78百万円がほぼ打ち消し、販管費の減少(+10百万円)で増益でした。**前年は「売れたが粗利率が下がった」、今年は「粗利率は持ちこたえたが売れなかった」**という、反対向きの減益・増益です。1章の弱点①の中身が、年によって数量と率のどちらに出るかが入れ替わっている、と言えます。
3-2の補足:生鮮が減り、一般食料品が増えた
決算補足資料(会社IRサイト掲載。短信表紙では「補足説明資料作成の有無:無」となっていますが、同じ日に会社のIRサイトに中間決算補足資料が掲載されています)の部門別売上と粗利率を並べます。
| 部門 | 前年上期売上 | 今期上期売上 | 前年比 | 前年粗利率 | 今期粗利率 | 粗利額の増減(筆者試算) | 期初の通期計画 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 生鮮食料品 | 79.85億円 | 75.08億円 | △6.0% | 34.5% | 33.8% | 約△2.2億円 | +1.8% |
| 一般食料品 | 88.24億円 | 92.17億円 | +4.5% | 20.6% | 21.2% | 約+1.4億円 | +0.7% |
| 衣料品 | 10.15億円 | 9.61億円 | △5.3% | 30.5% | 30.3% | — | △0.7% |
| 住居品 | 6.34億円 | 6.28億円 | △0.9% | 19.5% | 19.9% | — | +0.6% |
(粗利額の増減は、補足資料の売上×粗利率で筆者が概算。粗利率が小数1桁で開示されているため誤差を含む。期初の通期計画は2026年2月期決算補足資料の2027年2月期予想の前期比)
この表のポイントは2つです。
- 粗利率の高い生鮮(33〜34%台)が6%縮み、粗利率の低い一般食料品(21%前後)が4.5%伸びました。部門ごとの粗利率がそれぞれ大きく崩れていなくても、売上の中身が粗利率の低い側に寄るだけで、全体の粗利額は減ります
- 期初の会社計画は「生鮮+1.8%、一般食料品+0.7%」で、実績は逆向きでした。会社は短信・補足資料で、この部門の入れ替わりの理由を説明していません。補足資料に部門区分を変更した旨の注記もありません
前期の上期の差異開示では、来店客数の減少で生鮮・総菜が計画を下回ったこと、精肉の粗利率確保が追いつかなかったことが理由に挙がっていました(2025年10月10日の差異開示より要旨)。今年の上期について同じ説明はされていませんが、生鮮の弱さが2年続いている点は事実として並べておきます。
用語メモ:既存店の客数は上期98.1%、客単価は101.1%でした。客数が2%減り、1人あたりの買上額が1%増えた結果、既存店売上は98.7%です。客数は2022年2月期以降、5期連続で前年を下回っています(補足資料の年次推移)。
3-3. 下期の予想は「前年の下期をもう一度」
ここからが3段目です。8月21日に修正した通期予想から上期の実績を引くと、予想が下期に置いている数字が出ます。前年の下期の実績と並べます。
| 下期(9月〜2月) | 前年下期の実績 | 修正後予想が置く下期 | 差 | 期初予想が置いていた下期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 18,716百万円 | 18,862百万円 | +0.8% | 19,262百万円(+2.9%) |
| 粗利 | 5,171百万円 | 5,205百万円 | +0.7% | 5,525百万円 |
| 粗利率 | 27.63% | 27.59% | △0.04pt | 28.68% |
| 販管費 | 5,119百万円 | 5,151百万円 | +0.6% | 5,292百万円 |
| 営業利益 | 172.6百万円 | 172.7百万円 | ±0 | 352.7百万円 |
| 100円あたり営業利益 | 0.92円 | 0.92円 | ±0 | 1.83円 |
(粗利・販管費の予想は、会社の補足資料に載った修正後の通期売上総利益10,180百万円・営業収入243百万円から筆者が逆算。販管費=粗利+営業収入−営業利益)
修正後の予想は、下期について粗利率も販管費もほぼ前年並み、売上だけ0.8%増という形です。期初予想は下期の粗利率に28.68%(前年下期より1pt以上高い)を置いていたので、8月の修正で取り下げられたのは主に「粗利率の回復」だったことが分かります。
これを強気・弱気の両方から読むと、次のようになります。
強気の読み
- 過去2年の下方修正は、上期決算の時点では行われず、下期に置かれていた利益が実際の倍以上でした(達成率45.7%・46.6%)。今年は8月の時点で、前年の下期の実績と同じ水準まで引き下げ済みです
- 前年の9月は既存店が96.0%と弱い月でした。今年の9月はその低い前年と比べることになります
- 上期の実績は修正予想を25百万円上回り、その理由は8月の人件費が想定を下回ったことでした
弱気の読み
- 下期の販管費は前年比+0.6%(+33百万円)しか置かれていませんが、会社自身の計画で減価償却費(リース含む)が下期に+31百万円増える計算です。電気代・雑給・配送費がすべて前年並みでないと収まりません。上期は電気代の△58百万円が減価償却費の増加を吸収しましたが、修正理由には中東情勢(エネルギー)も挙がっています
- 売上には+0.8%が置かれています。上期中の開店はなく、会社は今期の新装・改装投資を予定していないと短信に書いているので、売上は実質的に既存店で作るしかありません。上期の既存店は98.7%、前年下期の月次既存店は96.0〜101.4%でした
- 季節の形でいえば、前年の下期は9〜11月が△27百万円、12〜2月が+199百万円でした。下期の利益の大半は12〜2月の3か月に依存しています
売上と粗利率がずれた場合の下期営業利益を表にします。
| 下期売上の前年比\下期粗利率 | 27.40% | 27.59%(予想) | 27.80% |
|---|---|---|---|
| △1.0%(18,529百万円) | 45百万円 | 80百万円 | 119百万円 |
| +0.8%(予想:18,862百万円) | 136百万円 | 172百万円 | 212百万円 |
| +2.0%(19,091百万円) | 199百万円 | 235百万円 | 275百万円 |
(筆者の試算で、将来の見通しではありません。販管費は修正予想の下期5,151百万円、不動産賃貸収入は119百万円で固定)
この表のポイントは、粗利率0.2ptの差(約38百万円)が、売上0.7%の差とほぼ同じ重さだということです。下期の売上が前年比△1%に留まれば、粗利率が予想どおりでも下期の営業利益は約80百万円で、予想の半分以下になります。1章の例えでいえば、100円から残る27.6円のうち0.2円が動くか、レジを通る金額が0.7%動くかで、下期の利益は2割前後変わる、ということです。
3-3の補足:経常利益と純利益の置き方
営業利益の下は、次のように置かれています。
| 下期 | 前年下期の実績 | 修正後予想が置く下期 |
|---|---|---|
| 営業利益 | 172.6百万円 | 172.7百万円 |
| 営業外損益 | +2.4百万円 | △30.9百万円 |
| 経常利益 | 174.9百万円 | 141.8百万円 |
| 当期純利益 | 86.0百万円 | 85.5百万円 |
営業外損益は、前年下期のプラスから、今期は△31百万円が置かれています。上期の営業外損益は△19百万円だったので、支払利息の増加が続く前提として、下期の置き方は現実的な水準に見えます。
純利益の側では、下期の経常利益141.8百万円から85.5百万円しか残らない置き方です。税負担率を3通り置いて、下期に特別損失をいくら置いているかを逆算します。
| 税負担率の置き方 | 下期に置かれた特別損失(筆者の逆算) |
|---|---|
| 法定実効税率31.3%+住民税均等割の半期分約5百万円 | 約10百万円 |
| 2026年2月期の実績35.8% | 約9百万円 |
| 2025年2月期の実績37.4% | 約5百万円 |
(筆者の試算。法定実効税率は防衛特別法人税を反映した31.3%。均等割は2026年2月期の税率差異注記5.7ptを税引前利益に当てて半期分に換算)
前年の下期の減損損失は44百万円で、ほぼ全額が12〜2月の3か月に計上されていました。2025年2月期の下期も15百万円です。経常利益の予想が達成された場合、純利益の予想が下期の特別損失として見込んでいるのは5〜10百万円程度という計算になり、前年の下期の減損より小さい置き方です。これは減損の見込額を示すものではありません。会社は下期の特別損失について何も開示していません。有価証券報告書では、店舗の固定資産77億99百万円(総資産の約45%)を「重要な会計上の見積り」に挙げ、会計監査人も監査上の主要な検討事項にしています。
3つの段階をつなぐと
上期の4銭は、3〜5月の粗利率の低下と、6〜8月の売上減少で消えました。8月の修正後予想は、下期を「前年の下期と同じ利益」に置き直しています。利益の置き方は過去2年よりずっと現実的になった一方、売上+0.8%と販管費+0.6%という前提は、上期の既存店98.7%と、減価償却費・金利の増加を考えると、余裕のある前提とは言えません。町の台所の100円から残る27.6円を、下期も前年並みに守れるかが、通期予想の分かれ目です。
4. 財務:借入金・財務制限条項・店舗の資産
4-1. 借入金と金利
2026年8月末の借入金は、短期9.5億円、長期40.3億円(1年内返済分を含む)、合計49.8億円です。リース債務10.1億円を足すと約60億円で、現金及び預金6.2億円を大きく上回ります。
2026年2月期の有価証券報告書の借入金等明細表では、期末の平均利率は短期0.91%、長期1.56〜1.58%でした。主要な借入先は北洋銀行(14.2億円)、北海道銀行(11.9億円)、三菱UFJ銀行(6.5億円)などで、北海道シジシー(2.5億円)も借入先に入っています(招集通知より、2026年2月末時点)。代表取締役社長は北海道シジシーの取締役を兼ねています。
上期の支払利息は44百万円で、前年上期の32百万円から+12百万円。上期の営業利益の減少額(△50百万円)の4分の1弱に当たる額が、営業利益の下で金利として出ていった形です。
用語メモ:会社は「対処すべき課題」に、金利上昇局面では支払利息が増えて経営を圧迫する可能性があるとして、有利子負債の圧縮を挙げています(招集通知より要旨)。
4-2. シンジケートローンの財務制限条項
2024年5月31日に実行した40億円のシンジケートローン(期間10年、無担保、三井住友銀行・北洋銀行がアレンジャー)には、純資産維持・利益維持・投融資制限の財務制限条項が付いています。抵触すると一括返済・契約解除のおそれがあると、有価証券報告書に書かれています。
ただし、条項の具体的な水準(純資産をいくら以上に保つか、何期連続の損失で抵触するか等)は開示されていません。今期は上期が経常赤字ですが、通期予想は経常黒字(1.3億円)です。条項の水準が分からない以上、この記事では「抵触に近いかどうかは判断できない」と書くにとどめます。
4-3. 店舗の資産と減損
店舗の固定資産は77億99百万円(2026年2月末)で、総資産173億85百万円の約45%です。会社は店舗ごとに減損を判定しており、主要な仮定は取締役会が承認した事業計画に基づく店舗別の売上予測・粗利率予測・人件費予測です。
前期の減損損失は45百万円、今期は上期だけで31百万円。客数が5期連続で減り、粗利率が27%前後に下がったままの状況は、この主要な仮定(売上予測・粗利率予測)に影響し得ます。ここは弱気材料として置いておきます。
用語メモ:2029年2月期から新しいリース会計基準が適用される予定で、借りている店舗などもリース資産・負債として貸借対照表に載る可能性があります。会社は影響額を「評価中」としています(有価証券報告書より要旨)。
5. 資本政策と株主還元
5-1. 配当:5期連続50円、今期の配当性向は約121%
配当は年1回の期末配当のみです。定款では8月31日を基準日とする中間配当ができますが、これまで実施したことはないと有価証券報告書に書かれています。配当の決定機関は株主総会です。
| 決算期 | 1株配当 | EPS | 配当性向 | 配当の決め方(会社の方針文言) |
|---|---|---|---|---|
| 2022年2月期 | 50円 | 193.40円 | 25.9% | 安定配当 |
| 2023年2月期 | 50円 | 101.58円 | 49.2% | 安定配当 |
| 2024年2月期 | 50円 | 242.57円 | 20.6% | 安定配当 |
| 2025年2月期 | 50円 | 112.71円 | 44.4% | 安定配当 |
| 2026年2月期 | 50円 | 85.73円 | 58.3% | 安定配当 |
| 2027年2月期(予想) | 50円 | 41.43円(予想) | 約120.7% | 安定配当 |
方針の文言は、有価証券報告書では「安定した配当の継続」、決算短信では「業績に応じて安定的な配当を継続」と、書類によって少し表現が違います(いずれも要旨)。実績はEPSが85円〜243円の間で動いても50円で固定されており、利益に連動させる式は持っていません。
配当総額は約63百万円(50円×自己株式を除く1,263,915株)で、2026年8月末の利益剰余金45億71百万円の約1.4%です。今期の純利益予想52百万円を上回る配当でも、資金と剰余金の面では払えない額ではありません。
ここを強気・弱気で読むと、
- 強気:利益が半分になっても配当を変えない会社であることは、5期の実績で示されています。利益剰余金に対して配当総額は小さく、続けられる余力はあります
- 弱気:配当性向が100%を超える状態は、利益の回復がなければ内部留保を取り崩して配当していることを意味します。借入金を約50億円抱え、会社自身が有利子負債の圧縮を課題に挙げている中で、方針と課題のどちらが優先されるかは、会社が説明していません
用語メモ:会社予想EPS 41.43円は、純利益予想52百万円を自己株式控除後の株数1,263,915株で割った値(41.14円)と一致しません。41.43円×1,263,915株=約52.36百万円なので、百万円未満の端数を含んだ予想値で計算されている可能性があります(筆者の推測)。株価情報サイトのPERは41.14円で計算されていることがあります。
5-2. 株主優待
北雄ラッキーには株主優待があります。内容は2026年2月期の決算短信と有価証券報告書の「株主に対する特典」欄に同じ内容で記載されており、両者は一致しています。
| 保有株式数 | 基準日 | 優待内容 | 1株当たり優待額 | 優待利回り(10月9日終値3,195円) | 配当と合わせた利回り |
|---|---|---|---|---|---|
| 100〜199株 | 毎年2月末日 | 1,000円相当のJCBギフトカード | 10.0円(100株時)〜5.0円(199株時) | 0.31%(100株) | 1.88%(100株) |
| 200〜999株 | 毎年2月末日 | 5,000円相当のJCBギフトカード、または北海道特産品 | 25.0円(200株時)〜5.0円(999株時) | 0.78%(200株) | 2.35%(200株) |
| 1,000株以上 | 毎年2月末日 | 10,000円相当のJCBギフトカード、または北海道特産品 | 10.0円(1,000株時) | 0.31%(1,000株) | 1.88%(1,000株) |
(利回りは名目。配当は年50円の会社予想で計算。筆者の計算)
この区分表のポイントは3つです。
- **1株当たりで最も厚いのは200株ちょうど(25円)**で、100株の2.5倍です。100株から200株に増やすと、投資額は2倍ですが優待は5倍になります
- 200株を超えて買い増すと、1,000株に届くまで優待額は5,000円のままなので、1株当たりは下がり続けます。999株では1株5.0円で、100株と同じ水準まで落ちます
- 1,000株で10,000円になりますが、1株当たりは10円で、100株と同じです。200株の25円には及びません
名目の利回りを見出しにすると「200株なら配当と合わせて2.35%?」となりますが、実質は受け取り方で変わります。
- JCBギフトカードは全国の加盟店で使える金券なので、名目と実質の差は小さい部類です
- 200株以上で選べる「北海道特産品」は、金額が「5,000円相当」「10,000円相当」と示されていますが、何が届くかは開示されていません。特産品を選ぶ場合の実質価値は、受け取る人の好みで変わります
- 優待は店舗の買物券ではないので、北雄ラッキーの店舗が近くにない株主でも価値が目減りしません
権利の取り方:基準日は2月末日で、配当の基準日と同じです。2027年2月28日は日曜日なので、直前の営業日である2月26日(金)が実質の基準日になり、**権利付き最終日は2月24日(水)**です(2月23日は天皇誕生日で休場)。継続保有の条件は、短信・有価証券報告書のいずれにも記載がありません。
用語メモ:権利付き最終日とは、その日の取引終了時点で株を持っていれば、基準日の株主名簿に載って配当・優待の権利が得られる最後の売買日です。株の受け渡しは売買の2営業日後なので、基準日の2営業日前が最終日になります。
優待の費用と継続性:会社は優待費用の総額を開示していません。有価証券報告書の所有者別状況では、2026年2月末の単元株主(100株以上)は1,676名です。全員が最低区分なら約1.7百万円、全員が最上位区分なら約16.8百万円で、実際はこの間に入ります(筆者の試算)。上限側でも通期の営業利益予想(180百万円)の約9%で、配当総額(約63百万円)よりは小さい額です。株主数は1,773名で前期末比47名増えており(招集通知)、株主が増えるほど費用が増える設計ではありますが、現在の規模では利益を大きく左右する額ではありません。
優待だけを目当てに買うべきかの判断軸としては、200株の名目利回り0.78%は、株価が1日に動く幅(9月の日中の値幅は最大75円、約2.4%)よりも小さい、という比較が分かりやすいと思います。優待と配当で年2.35%を受け取る間に、株価が2〜3%動くことは珍しくありません。株価の動きを受け入れたうえで、北海道の地場スーパーを保有する理由があるかどうかが先に来る問いです。
5-3. 株主構成:筆頭株主は社長の資産管理会社
2026年2月末の大株主の上位は次のとおりです(有価証券報告書。持株比率は自己株式を除く発行済株式に対する割合)。
| 株主 | 持株数 | 持株比率 |
|---|---|---|
| 株式会社桐生興産 | 290,300株 | 22.96% |
| 横山 清 | 73,800株 | 5.83% |
| 株式会社北洋銀行 | 62,000株 | 4.90% |
| 田中 寛密 | 60,200株 | 4.76% |
| 株式会社北海道銀行 | 30,000株 | 2.37% |
| 有限会社まるせん商事 | 28,000株 | 2.21% |
| ノースパシフィック株式会社 | 27,000株 | 2.13% |
| 千葉 サカヱ | 24,000株 | 1.89% |
| 株式会社桐生商店 | 22,400株 | 1.77% |
| グリーンスタンプ株式会社 | 20,000株 | 1.58% |
筆頭株主の桐生興産は「その他の関係会社」で、議決権の22.98%を持ちます。会社の開示によれば、同社は有価証券の保有・管理を行う資産管理会社で、代表取締役社長の桐生宇優氏が同社の代表取締役を兼ね、同社の議決権を100%持っています(他の株主の株式は議決権のないA種株式)。北雄ラッキーとの取引関係はないとされています。
上場規程に基づく「非上場の親会社等の決算に関するお知らせ」(2026年2月6日)では、同社の2025年11月期の財務諸表が開示されています。総資産は約66百万円、損益計算書の営業外収益は約0.4百万円でした。北雄ラッキー株290,300株は、2026年10月9日の終値で約9.3億円、年間配当は約14.5百万円に当たりますが、この持株と配当が同社の貸借対照表・損益計算書にどう計上されているかは、開示からは読み取れません。同社は事業内容に「信託業法の適用を受けない民事信託の引き受け」を挙げていますが、会社はこの点を説明していないので、筆者もこれ以上は推測しません。
大株主表には「株式会社桐生商店」(1.77%)もありますが、桐生興産や社長との関係を示す開示は確認できなかったので、持株比率を合算していません。22.96%は単独では特別決議を否決できる3分の1に届かない水準です。
取締役専務執行役員の田中寛密氏が4.76%を持つ大株主でもあります。
5-4. 政策保有株式
会社は上場株式9銘柄(貸借対照表計上額4億94百万円)と非上場株式3銘柄を政策保有しています(2026年2月末)。最大は北洋銀行の228,500株(2億51百万円)で、北洋銀行も当社株を62,000株持つ相互保有です。主要な借入先が株主でもあり、当社も相手の株を持つ関係です。2026年8月末の投資有価証券は5億86百万円で、純資産の約10%に当たります。北洋銀行株の値動きは、当社の純資産(その他有価証券評価差額金)に影響します。
5-5. 流動性
時価総額は約40億円(10月9日終値、自己株式を除く株数で計算)です。2026年9月は東証の営業日19日のうち売買が成立したのは16日で、1日の出来高は100〜2,100株でした(Yahoo!ファイナンスの時系列、報道ベース)。10月8日は売買が成立していません。信用買残は9,200株(10月2日時点)です。売買したいときに思った値段で売買できない可能性は、弱気材料として常に意識しておく必要があります。
6. 株価の見方
6-1. 株価の基準点
株価に関係する数字はここにまとめます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 2026年10月9日(金)終値 | 3,195円(前営業日10月7日比+35円、+1.1%) |
| 年初来高値・安値 | 3,480円(2月17日)・2,943円(5月29日) |
| 時価総額(自己株式を除く) | 約40.4億円 |
| PER(会社予想EPS 41.43円) | 約77.1倍 |
| PER(経常利益予想×(1−31.3%)のEPS 70.66円) | 約45.2倍 |
| PBR(中間期末BPS 4,653.26円) | 約0.69倍 |
| 配当利回り(予想50円) | 1.56% |
(PER・PBR・利回りは筆者計算。株価・高安値はYahoo!ファイナンス、報道ベース)
一次情報から2026年2月末の株価を逆算すると、有価証券報告書の株価収益率35.17倍×EPS 85.73円=約3,015円、短信の時価ベースの自己資本比率22.0%×総資産÷株数=約3,026円で、2つの経路はほぼ一致します。有価証券報告書の株主総利回りは、5年前を100として105.2%(配当込みTOPIXは238.4%)でした。
6-2. 決算発表と株価
決算は10月9日(金)15時00分の発表でした。当日の値動きには発表後30分の取引が含まれますが、終値3,195円・高値3,195円・出来高1,000株が発表の前後どちらで付いたかは、日足では確認できません。10月12日(月)はスポーツの日で休場のため、**決算への反応が最初に出るのは10月13日(火)**です。8月21日(金)15時00分の下方修正のときは、当日終値3,165円、翌営業日(8月24日)が3,120円(△1.4%、出来高400株)でした(因果は書きません)。
6-3. 3つの見方
見方1:資産に対して安い PBRは0.69倍で、純資産58.8億円に対して時価総額は約40億円です。土地は帳簿価額で60.7億円あり、5期連続の50円配当と200株で厚くなる優待もあります。下期の予想を前年並みに引き下げたことで、さらに下に外れる余地は過去2年より小さくなった、という読みも成り立ちます。
見方2:利益に対して高い 会社予想ベースのPERは約77倍、経常利益の予想から法定実効税率で引いたベースでも約45倍です。ROEは前期1.9%で、今期の予想純利益では1%を切ります。100円の売上から1円も残らない状態が3年続いており、資産の価値は「店舗が稼ぐこと」で裏付けられる必要があります。店舗の固定資産約78億円は減損判定の対象です。
見方3:下期の前提を確かめてから 下期の予想は粗利率・販管費を前年並み、売上を+0.8%に置いています。3章の感応度表のとおり、売上が前年比△1%なら下期の営業利益は約80百万円で、予想の半分以下です。月次の既存店売上は会社から月ごとには公表されていないので、確かめられるのは1月上旬の第3四半期決算になります。
どれが正しいかは、下期の売上と粗利率の着地次第で、現時点では判断を読者に委ねます。
7. 今後のカレンダーと見るべきKPI
7-1. カレンダー
| 時期 | イベント | 見るポイント |
|---|---|---|
| 2026年10月13日(火) | 半期報告書提出予定/決算後の最初の取引日 | 中間期末の大株主の状況、株価の反応 |
| 2027年1月上旬(例年) | 第3四半期決算 | 9〜11月の営業利益(前年△27百万円)、通期予想の再修正の有無 |
| 2027年2月上旬(例年) | 桐生興産の決算(非上場の親会社等の決算に関するお知らせ) | 同社の財務状況 |
| 2027年2月24日(水) | 配当・優待の権利付き最終日 | 2月28日(日)基準 |
| 2027年2月28日(日) | 期末日 | 期末日が日曜(買掛金・営業CFの振れ) |
| 2027年4月上旬(例年) | 通期決算・2028年2月期予想 | 下期の営業利益172.7百万円の達成率、減損損失、配当予想 |
| 2027年5月下旬(例年) | 定時株主総会・有価証券報告書 | 配当議案、店舗の減損判定、借入の平均利率 |
(「例年」は過去の発表日からの推定)
7-2. 見るべきKPI
- 既存店売上高前年比(補足資料の月別推移):下期の予想は既存店の持ち直し(売上+0.8%)が前提
- 粗利率:下期予想は27.59%。前年下期27.63%、2023年の28%台との距離
- 生鮮食料品の売上と粗利率:上期は△6.0%。期初計画(+1.8%)からの乖離が続くか
- 水道光熱費と減価償却費:上期は電気代△58百万円が償却費+28百万円を吸収。下期は償却費が+31百万円の計画
- 支払利息:上期+12百万円。借入金約50億円の金利の上がり方
- 12〜2月の営業利益:前年199百万円。下期の利益の大半がこの3か月に依存
8. 3行まとめ
- 上期の営業利益は売上100円あたり4銭。6〜8月は粗利率が上がっていたのに、売上の減少と販管費の増加で減益になり、部門別では粗利率の高い生鮮が6%縮みました
- 8月に引き下げた通期予想は、下期の営業利益を前年の下期とほぼ同額(172.7百万円)に置き直しています。過去2年の据え置きより現実的な一方、売上+0.8%と販管費+0.6%という前提には、減価償却費・金利の増加という逆風があります
- 配当は5期連続50円で今期の配当性向は約121%、優待は200株で1株25円相当。PBR0.69倍の資産面と、PER70倍台の利益面のどちらを重く見るかで、評価が分かれる局面です
本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。
本記事は投資勧誘・投資助言を目的とするものではありません。数値は、北雄ラッキーの決算短信(2024年2月期第3四半期〜2027年2月期中間期)、業績予想の修正・差異に関する適時開示、2026年2月期有価証券報告書、2026年定時株主総会招集通知、中間決算補足資料・決算補足資料(会社IRサイト掲載)、「支配株主等に関する事項について」「非上場の親会社等の決算に関するお知らせ」、シンジケートローン契約締結に関するお知らせに基づき、四半期の差し引き・3分解・下期の逆算・感応度表・税負担率の逆算は筆者の計算です。株価・年初来高値安値・出来高・信用残はYahoo!ファイナンスの表示(報道ベース)で、10月9日時点のものです。短信表紙では決算補足説明資料・決算説明会ともに「無」ですが、会社IRサイトに中間決算補足資料が掲載されており、部門別売上・粗利率・既存店・客数・設備投資の数字はこの資料から転記しました。当四半期について決算説明会・質疑応答はなく、会社の追加説明は反映していません。会社の説明文・修正理由は原文の要旨として記載しています。期末日・中間期末日の曜日と買掛金残高の関係、会社予想EPSが端数を含む予想値で計算されている可能性は、筆者の推測であり会社の開示に基づくものではありません。下期に置かれた特別損失の逆算は、経常利益予想が達成された場合の計算上の値であり、減損損失の見込額や上限を示すものではありません。シンジケートローンの財務制限条項の具体的な水準は開示されておらず、抵触の可能性は判断していません。桐生興産の財務諸表における当社株式・受取配当金の計上方法は開示から読み取れず、推測していません。中期経営計画の数値目標は、筆者が確認した書類には見当たりませんでした。株主優待の費用は会社が開示していないため、単元株主数からの幅として示しています。北海道特産品の内容と金額は開示されておらず、実質価値は評価していません。決算は10月9日15時00分の発表で、当日の値動きが発表の前後どちらで生じたかは確認できていません。
記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。