本記事は2026年10月1日時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
スローガン株式会社(東証グロース、証券コード9253)は2026年9月29日15時30分、2027年2月期の上半期(2026年3月〜8月)決算を発表しました。
売上高988百万円(前年同期比+1.4%)、営業利益342百万円(同+3.6%)、親会社株主に帰属する中間純利益239百万円(同+21.4%)。数字だけを見ると「小幅な増収増益」です。
ところが、この会社の通期の営業利益予想は302百万円です。上期の6か月だけで、通期予想を40百万円も上回っています。 それでも会社は予想を据え置きました。翌9月30日の終値は760円で、前日比△8.76%でした。
「上期で通期を超えたのに据え置き」は、多くの会社なら「会社が保守的すぎる」「上方修正が近い」と読まれるところです。しかしスローガンの場合、この読み方はそのまま当てはまりません。この会社は、毎年下期に赤字を出すことを前提に1年の計画を組んでいる会社だからです。
この記事では、決算短信に載っている14四半期分の数字と、過去3期分の業績予想の修正履歴を並べて、「据え置き」が何を意味しているのかを読み解きます。あわせて、時価総額を上回る現預金を持ちながら無配を続けている資本政策と、2030年から適用されるグロース市場の時価総額基準との距離も確認します。
この記事でわかること
- スローガンの売上と利益が、なぜ3〜5月(第1四半期)に集中し、下期が毎年赤字になるのか(新卒の人材紹介手数料を「入社日」に計上する仕組み)
- 通期予想が下期に置いている営業損失△39.9百万円は、過去3期の実際の下期(△34.7〜△50.8百万円)と比べて保守的なのか楽観的なのか
- 過去3期の業績予想の修正履歴。上期時点で「据え置き」だった年に何が起きたか
- 経常利益・純利益の予想に残っている「差し引きの結果としての保守性」
- 貸借対照表の前受金553百万円が、来年4月の売上について何を示しているか
- 時価総額(自己株式を除き約19億円)を上回る現預金23億円と、無配・自己株式取得・新株予約権という資本政策の現在地
- グロース市場の「上場5年経過後に時価総額100億円」基準に対して、株価がどれだけ離れているか
1. スローガンはどんな会社か
ベンチャー企業の代わりに、キャンパスで学生を口説いている会社
東京大学や早稲田大学の3年生が就職活動を始めるとき、多くの学生はまず、名前を知っている大企業の採用ページを開きます。社員数30人のスタートアップが同じ学生に会いたいと思っても、合同説明会で大企業のブースの隣に並べば、学生の足は止まりません。スタートアップには、学生を振り向かせるための「ブランド」も「採用担当者の人数」もありません。
スローガンは、この「学生を振り向かせる仕事」を、ベンチャー企業に代わって引き受けている会社です。主力サービスの「Goodfind」は、成長志向の強い学生を集めるセミナーや個別面談を運営し、その学生を新興企業に紹介します。会社自身は説明資料で、自社の強みの一つを「新産業領域の魅力を伝え、学生の志向に変化をもたらす」力と説明し、ナビ媒体やスカウト型サービスではベンチャー企業が学生を採用しきれない点に介在価値があるとしています。
この記事では、スローガンを 「ベンチャー企業の代わりに、キャンパスで学生を口説いている会社。ただし報酬の大半は、口説いた学生が入社式の日を迎えたときにしか受け取れない会社」 として読んでいきます。
この一文の後半が、この会社の決算を読むうえでいちばん大事な部分です。新卒の人材紹介手数料(成功報酬)は、学生が内定を承諾した時点で企業から入金されますが、売上高に計上されるのは入社日です。新卒の多くは4月1日に入社するので、1年分の成功報酬のかなりの部分が、3〜5月の第1四半期に一度に計上されます。口説く仕事は1年中続いているのに、報酬を「売上」として受け取れるのは年に一度、入社式の季節だけ、という構造です。
【用語メモ】入社日基準
人材紹介の成功報酬を、内定が決まった日ではなく、紹介した人が実際に入社した日に売上として計上する方法です。入社前に辞退されれば手数料は返金されるため、「入社して初めて売上が確定する」という考え方です。スローガンの場合、入金は内定承諾時(原則として請求の翌月末)に先に行われ、入社日までは貸借対照表の「前受金」として負債に置かれています。
事業の全体像
| 区分 | 主なサービス | 収益の形 | 2026年2月期売上高 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|
| キャリアサービス(学生向け) | Goodfind(新卒)、FactLogic(コンサル就活)、Intern Street(長期インターン) | 成功報酬(入社日に計上)、採用コンサルティングの年間基本料金、メディア掲載・イベント出展料 | 1,280百万円 | 80.5% |
| キャリアサービス(社会人向け) | G3(社会人3年目までの転職支援)。Goodfind Careerは2026年4月に終了 | 成功報酬、メディア・イベント | 122百万円 | 7.7% |
| メディア・SaaS | FastGrow(ビジネスメディア)、TeamUp(1on1のSaaS、子会社チームアップ株式会社が運営) | 記事制作・掲載料、月額利用料 | 186百万円 | 11.7% |
| 合計 | 報告セグメントは「新産業領域における人材創出事業」の単一 | — | 1,589百万円 | 100.0% |
| 株主優待 | 制度なし(有価証券報告書「株主に対する特典」欄に「該当事項はありません」) | — | — | — |
この表のポイントは2つです。
1つ目は、売上の8割が学生向けサービスだということです。社会人向けとメディア・SaaSは合わせても2割弱で、しかも今期は不採算サービスの終了で縮小を計画しています。この会社の業績は、ほぼ「Goodfindがその年の新卒採用市場でどれだけ稼げたか」で決まります。
2つ目は、学生向けサービスの中に性質の違う2種類の売上が混ざっていることです。4月に集中する成功報酬と、年間を通じて提供するコンサルティング・メディア・イベントの売上です。後者は2年後に卒業する学生(今なら2028年卒)向けの採用活動の早期化に乗って伸びています。前者は1年に1回、後者は毎月。この2つの重なり方が、四半期ごとの損益の形を決めています。
直近5期の業績推移
有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」から転記します。
| 決算期 | 売上高 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1株当たり当期純利益 | ROE | 自己資本比率 | 1株当たり配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022年2月期 | 1,418百万円 | 283百万円 | 207百万円 | 92.14円 | 24.17% | 61.40% | 0円 |
| 2023年2月期 | 1,471百万円 | 209百万円 | 139百万円 | 53.31円 | 10.74% | 72.30% | 8円 |
| 2024年2月期 | 1,418百万円 | 151百万円 | 91百万円 | 34.43円 | 6.50% | 73.11% | 0円 |
| 2025年2月期 | 1,350百万円 | 119百万円 | 86百万円 | 33.18円 | 5.93% | 71.03% | 0円 |
| 2026年2月期 | 1,589百万円 | 279百万円 | 189百万円 | 74.14円 | 12.28% | 68.81% | 0円 |
| 2027年2月期(会社予想) | 1,620百万円 | 297百万円 | 194百万円 | 77.49円 | — | — | 0円 |
(注)配当は提出会社(単体)の1株当たり配当額。2027年2月期は2026年4月7日公表の会社予想で、2026年9月29日時点で修正なし。
この表から読み取れることは2つです。
1つ目は、2023年3月の社長交代を挟んで、利益が2年間落ち込み、2026年2月期に回復したことです。創業経営者から現社長(仁平理斗氏)への経営継承(サクセッション)のあと、会社は2024〜2026年を「大改革期」と位置づけ、人員と業務委託を絞り込んできました。2026年2月期の経常利益279百万円は、上場直後の2022年2月期(283百万円)とほぼ同じ水準です。
2つ目は、売上高が5年間ほとんど伸びていないことです。2022年2月期の1,418百万円に対し、2027年2月期の会社予想は1,620百万円。5年で1.14倍です。利益の回復は、売上の伸びよりも費用の絞り込みで生まれています。この点は、後で「株価の見方」の弱気材料として回収します。
会社予想は「上にも下にも動く」
スローガンは中期経営計画の数値目標を開示していません。会社は2026年9月の説明資料で、Vision(ありたい姿)と財務目標を「2027年4〜5月(通期決算等)」に公表することを目指すとしています。
代わりに、この会社の予想の読み方を決めるのが、過去の修正履歴です。営業利益の予想を、修正開示の日付とともに並べます。
| 決算期 | 期初予想 | 上期決算時点 | その後の修正 | 実績 | 期初予想比 | 最終修正比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年2月期 | 30百万円(2023年4月13日) | 118百万円に上方修正(2023年10月11日) | 140百万円に上方修正(2024年1月12日) | 155百万円 | +418.0% | +11.0% |
| 2025年2月期 | 180百万円(2024年4月12日) | 据え置き | 110百万円に下方修正(2025年2月20日) | 124百万円 | △30.9% | +13.1% |
| 2026年2月期 | 151百万円(2025年4月11日) | 210百万円に上方修正(2025年10月7日) | 251百万円に上方修正(2026年2月25日) | 280百万円 | +85.5% | +11.6% |
| 2027年2月期 | 302百万円(2026年4月7日) | 据え置き(2026年9月29日) | — | — | — | — |
(注)2024年2月期の期初予想の日付は、2023年10月11日の修正開示に記載された「前回発表予想」の公表日。
この表のポイントは3つあります。
1つ目は、期初予想と実績の差が大きく、方向も一定しないことです。5倍になった年もあれば、3割届かなかった年もあります。「保守的な会社」と一言で括れる履歴ではありません。
2つ目は、3期とも、決算期末の直前(1月〜2月)に最後の修正を出していることです。そして3期とも、実績はその最後の修正をさらに1割強上回って着地しました。2026年2月期について会社は、実績との差異の理由を「販売費及び一般管理費等の各種コストを保守的に見積もっておりました」と説明しています。
3つ目は、今回の「上期決算時点で据え置き」は、2025年2月期以来だということです。2025年2月期は、上期決算時点で据え置いたあと、期末直前に下方修正しています。ただし、今回と2025年2月期では、据え置いた時点の中身がまったく違います。これが深掘りパートの主題です。
2. 決算ハイライト(2026年3月〜8月)
損益計算書
| 項目 | 2026年2月期上半期 | 2027年2月期上半期 | 増減率 | 通期会社予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 974,590千円 | 988,590千円 | +1.4% | 1,620,817千円 | 61.0% |
| 売上原価 | 13,588千円 | 16,192千円 | +19.2% | 約42百万円 | — |
| 売上総利益 | 961,001千円 | 972,397千円 | +1.2% | — | — |
| 販売費及び一般管理費 | 630,162千円 | 629,609千円 | △0.1% | 約1,275百万円 | 49.4% |
| 営業利益 | 330,839千円 | 342,787千円 | +3.6% | 302,840千円 | 113.2% |
| 営業外損益 | △1,196千円 | +13,547千円 | — | △5,409千円 | — |
| 経常利益 | 329,643千円 | 356,334千円 | +8.1% | 297,431千円 | 119.8% |
| 法人税等 | 132,276千円 | 116,813千円 | △11.7% | — | — |
| 親会社株主に帰属する中間純利益 | 197,367千円 | 239,520千円 | +21.4% | 194,462千円 | 123.2% |
| 1株当たり中間純利益 | 76.63円 | 95.94円 | +25.2% | 77.49円 | — |
(注)通期予想の売上原価・販管費は説明資料の百万円単位の表示。進捗率は筆者の計算。会社は「業績の季節的変動のため」利益の進捗率を記載していません。
この表のポイントは3つです。
1つ目は、営業利益の増加(+11.9百万円)は、ほぼ全額が売上総利益の増加(+11.4百万円)で、販管費はほぼ横ばいだったことです。売上が14百万円増えて、費用がほとんど増えなかった。スローガンの費用の大半は人件費を中心とする販管費で、これは売上の季節変動とは関係なく毎月ほぼ一定額かかります。
2つ目は、営業利益+3.6%に対し、経常利益+8.1%、純利益+21.4%と、下の段ほど伸び率が大きいことです。原因は2つあります。営業外で持分法による投資利益10,113千円(前年同期は持分法による投資損失2,786千円)が出たこと。そして税負担率が下がったことです。税金等調整前中間純利益に対する法人税等の比率は、前年同期の40.1%から今期は32.8%に下がりました。
3つ目は、1株当たり中間純利益(95.94円)が、すでに通期予想(77.49円)を上回っていることです。これは通期予想が、下期に純損失△45.1百万円を置いていることを意味します。
【用語メモ】持分法による投資利益
スローガンは、投資事業を営む「UT創業者の会投資事業有限責任組合」(出資比率10.70%)とその運営組合(同25.00%)を持分法適用関連会社にしています(有価証券報告書「関係会社の状況」)。ファンドの損益のうちスローガンの持分に当たる金額が、営業外に「持分法による投資利益(損失)」として計上されます。投資先の評価によって毎期の金額が上下するので、本業の実力とは切り離して読むのが安全です。
【用語メモ】税負担率が下がった理由
短信の注記によれば、中間期の税金費用は「年間の見積実効税率を税引前中間純利益に掛ける」方法で計算されています。つまり中間期の32.8%は、会社が現時点で見込んでいる通期の税負担率です。前年同期の40.1%が高かったのは、前年は同じ方法で見積もった通期の負担率が高かったためで、実際の2026年2月期の通期の負担率は32.1%(法人税等合計89,796千円÷税金等調整前当期純利益279,371千円)でした。会社は2026年2月期の予想との差異の理由の一つに「法人税等の負担率が当初の想定を下回った」ことを挙げています。
事業部門別の売上高
| 事業部門 | 2026年2月期上半期 | 2027年2月期上半期 | 前年同期比 | 通期予想 | 進捗率 | 前年の進捗(実績に対して) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| キャリアサービス分野 | 882,900千円 | 902,212千円 | +2.2% | 1,454,607千円 | 62.0% | 62.9% |
| 学生向けサービス | 811,777千円 | 836,945千円 | +3.1% | 1,347,081千円 | 62.1% | 63.4% |
| 社会人向けサービス | 71,123千円 | 65,267千円 | △8.2% | 107,525千円 | 60.7% | 58.0% |
| メディア・SaaS分野 | 91,690千円 | 86,378千円 | △5.8% | 166,210千円 | 52.0% | 49.1% |
| 合計 | 974,590千円 | 988,590千円 | +1.4% | 1,620,817千円 | 61.0% | 61.3% |
(注)事業部門別の売上高は監査法人の監査・レビューの対象外と短信に記載されています。「前年の進捗」は前年上半期÷2026年2月期通期実績で、筆者の計算です。
この表のポイントは、学生向けサービスの進捗率(62.1%)が前年(63.4%)をわずかに下回っていることです。売上高全体の進捗も61.0%で、前年の61.3%とほぼ同じです。売上の面では「前年並みのペース」であって、「前年を上回るペース」ではありません。
社会人向けサービスの減収は、2026年4月に「Goodfind Career」を終了したことによるもので、会社は期初からこの影響(売上減少18,013千円)を予想に織り込んでいます。メディア・SaaS分野の減収は、TeamUpの育成コンサルティングサービスの提供停止によるものです(「メタノビ」の終了と合わせて売上減少影響20,111千円を期初予想に織り込み済み)。
6〜8月(第2四半期)だけを取り出すと
説明資料には第2四半期(6〜8月)単独の数字も載っています。
| 項目 | 6〜8月(今期) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 332百万円 | △2.5% |
| 学生向けサービス | 255百万円 | +2.2% |
| 社会人向けサービス | 34百万円 | △21.3% |
| メディア・SaaS分野 | 42百万円 | △9.6% |
| 販売費及び一般管理費 | 296百万円 | △4.9% |
| 営業利益 | 33百万円 | +35.6% |
| 営業利益率 | 10.0% | +2.8pt |
6〜8月は、減収でも増益でした。販管費が前年同期より約15百万円少なく、会社はその内訳を「人的資本投資が188百万円(前年同期比△21百万円)」と説明しています。人的資本投資とは、給与・賞与・法定福利費・採用活動費・教育研修費などの人材にかかる支出の合計です(会社の定義)。
つまり今期の増益は、人にかかる費用を前年より抑えたことで生まれています。会社は説明資料で「売上成長のために人員増加を先行させるのではなく、現在の人員体制における生産性の向上を優先」と書き、同時に「人員の拡大局面では、一時的に本指標(1人当たり営業利益)が低下する場合があります」とも書いています。この一文は、後で弱気材料として回収します。
貸借対照表とキャッシュ・フロー
| 項目 | 2026年2月末 | 2026年8月末 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 現金及び預金 | 2,014,364千円 | 2,334,608千円 | +320,243千円 |
| 売掛金 | 87,817千円 | 45,489千円 | △42,327千円 |
| 投資有価証券 | 140,540千円 | 150,617千円 | +10,077千円 |
| 資産合計 | 2,325,822千円 | 2,630,499千円 | +304,676千円 |
| 前受金 | 493,804千円 | 553,697千円 | +59,892千円 |
| 未払法人税等 | 65,308千円 | 118,917千円 | +53,609千円 |
| 負債合計 | 692,106千円 | 766,127千円 | +74,021千円 |
| 自己株式 | △179,063千円 | △193,027千円 | △13,964千円 |
| 新株予約権 | 33,424千円 | 36,567千円 | +3,143千円 |
| 純資産合計 | 1,633,716千円 | 1,864,371千円 | +230,655千円 |
| 自己資本比率 | 68.8% | 69.5% | +0.7pt |
(増減は短信本文の記載値。千円未満の端数処理のため、両期末の差し引きと1千円ずれる項目があります)
借入金はありません。負債の7割強は前受金です。
上半期の営業活動によるキャッシュ・フローは318,366千円の収入(前年同期は425,923千円)、投資活動はゼロ、財務活動は1,877千円の収入でした。前年同期より営業CFが少ないのは、法人税等の支払額が65,811千円(前年同期15,653千円)に増えたためで、前年度の利益が大きかったことの裏返しです。
財務活動の内訳を見ると、自己株式の取得による支出が20,948千円ある一方、「自己株式取得のための預け金の増減額」が21,506千円の収入になっています。証券会社に預けていた自己株式取得用の資金を使い切った、ということで、2025年11月13日決議の取得枠(上限5,000万円)は2026年7月17日に金額の上限まで取得を終えています(第7章)。
3. 深掘り①:14四半期を並べると、「下期は赤字」が3年続いている
ここからが本題です。この記事の問いは1つです。
「上期で通期予想を超えたのに据え置いた」ことを、どう読めばよいのか。
この問いに答えるには、3つの段階を踏む必要があります。まず、この会社の1年がどういう形をしているのか(第3章)。次に、会社予想が下期にどんな数字を置いているのか、それは過去と比べてどうなのか(第4章)。最後に、来年4月の売上について、いま貸借対照表に何が見えているのか(第5章)。
1年の形を14四半期で確認する
スローガンは、決算短信に四半期ごとの売上高と営業利益を毎回載せています。累計から自分で引き算する必要がないので、そのまま転記して並べます。第1四半期は3〜5月、第2四半期は6〜8月、第3四半期は9〜11月、第4四半期は12〜2月です。
| 期 | 第1四半期(3〜5月) | 第2四半期(6〜8月) | 第3四半期(9〜11月) | 第4四半期(12〜2月) | 通期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年2月期 売上高 | 481.7 | 346.8 | 284.4 | 305.5 | 1,418.4 |
| 2024年2月期 営業利益 | 149.5 | 40.6 | △28.9 | △5.8 | 155.4 |
| 2025年2月期 売上高 | 542.1 | 231.6 | 265.2 | 311.3 | 1,350.2 |
| 2025年2月期 営業利益 | 231.6 | △67.6 | △44.6 | 5.0 | 124.4 |
| 2026年2月期 売上高 | 633.2 | 341.4 | 297.3 | 318.0 | 1,589.9 |
| 2026年2月期 営業利益 | 306.3 | 24.6 | △41.2 | △9.6 | 280.1 |
| 2027年2月期 売上高 | 655.7 | 332.9 | — | — | — |
| 2027年2月期 営業利益 | 309.4 | 33.3 | — | — | — |
(単位:百万円、百万円未満を四捨五入。決算短信の「各四半期連結会計期間の推移」から転記。4四半期の合計は通期の開示値と±2千円の範囲で一致することを確認済み)
この表のポイントは3つです。
1つ目は、3〜5月の営業利益が、通期の営業利益とほぼ同じか、それ以上だということです。第1四半期の営業利益が通期に占める割合は、2024年2月期96.2%、2025年2月期186.2%、2026年2月期109.3%でした。1年分の利益を3〜5月に稼ぎ、残りの9か月でそれを少し減らす。これがこの会社の標準的な1年の形です。
2つ目は、9〜11月(第3四半期)は3年連続で営業赤字だということです(△28.9、△44.6、△41.2百万円)。12〜2月(第4四半期)も、3年のうち2年が赤字です。上期(3〜8月)と下期(9〜2月)に分けると、下期の営業損益は3年連続でマイナスでした。
| 期 | 上期営業利益 | 下期営業利益 |
|---|---|---|
| 2024年2月期 | 190.1百万円 | △34.7百万円 |
| 2025年2月期 | 164.0百万円 | △39.6百万円 |
| 2026年2月期 | 330.8百万円 | △50.8百万円 |
| 2027年2月期 | 342.8百万円 | (予想△39.9百万円) |
(筆者の差し引き。下期=通期−上期)
3つ目は、この形が3年続けて同じだということです。1年だけなら「その年はそうだった」にすぎませんが、3年同じ形が出ているので、これは季節性と呼んでよい構造です。会社自身も有価証券報告書の「事業等のリスク」で、上半期に売上高と営業利益が集中する傾向を「業績の季節的変動」として説明しています。
なぜ下期は赤字になるのか:費用はほとんど動かない
四半期ごとの「売上高−営業利益」、つまり売上原価と販管費の合計を並べると理由がはっきりします。
| 期 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年2月期 | 332.2 | 306.1 | 313.3 | 311.3 |
| 2025年2月期 | 310.5 | 299.1 | 309.9 | 306.3 |
| 2026年2月期 | 327.0 | 316.8 | 338.5 | 327.6 |
| 2027年2月期 | 346.2 | 299.6 | — | — |
(単位:百万円。売上高−営業利益で筆者が算出)
売上高は四半期によって232百万円から656百万円まで3倍近く振れるのに、費用は299百万円から346百万円の間にほぼ収まっています。スローガンの費用の中心は社員の人件費と事務所費で、学生を口説く仕事は1年中続いているからです。
軸の例えに戻ると、この会社は「口説く仕事」には毎月同じだけお金を払い、「報酬」は入社式の季節にまとめて受け取っています。報酬がまとまって入る3〜5月は大きな黒字、報酬が入らない9〜2月は赤字。これは経営の失敗ではなく、入社日基準という会計ルールと新卒採用の暦が組み合わさった結果です。
【用語メモ】「第1四半期×4」が意味を持たない理由
季節性の強い会社では、ある四半期の利益を4倍しても通期の予想にはなりません。スローガンの場合、3〜5月の営業利益309百万円を4倍すると約1,238百万円になりますが、実際の通期予想は302百万円です。進捗率も同じで、上期の営業利益の進捗率113.2%は「通期を超えた」のではなく「毎年この時期は通期を超えている」という意味になります。前年の上期の営業利益は、実績の通期営業利益に対して118.1%でした。
4. 深掘り②:会社予想が下期に置いている数字を、過去と比べる
第3章で、下期は毎年赤字であることを確認しました。次の段階は、会社の通期予想が、今期の下期にどれだけの赤字を置いているかを取り出し、過去の実際の下期と比べることです。
「残り期間の含み」を科目ごとに出す
通期予想から上期実績を引いた「残り6か月(2026年9月〜2027年2月)の含み」を、前年の同じ6か月の実績と並べます。
| 項目 | 通期会社予想 | 上期実績 | 下期の含み(予想−上期) | 前年下期の実績 | 前年下期比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,620.8 | 988.6 | 632.2 | 615.3 | +2.7% |
| 学生向けサービス | 1,347.1 | 836.9 | 510.1 | 468.8 | +8.8% |
| 社会人向けサービス | 107.5 | 65.3 | 42.3 | 51.5 | △18.0% |
| メディア・SaaS分野 | 166.2 | 86.4 | 79.8 | 95.0 | △16.0% |
| 売上原価+販管費 | 1,318.0 | 645.8 | 672.2 | 666.1 | +0.9% |
| 営業利益 | 302.8 | 342.8 | △39.9 | △50.8 | — |
| 経常利益 | 297.4 | 356.3 | △58.9 | △50.3 | — |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 194.5 | 239.5 | △45.1 | △7.8 | — |
(単位:百万円。筆者の差し引き。前年下期=2026年2月期通期−同上半期)
この表から読み取れることは3つです。
1つ目:営業利益の段では、下期の含み(△39.9百万円)は過去3年の実際の下期(△34.7〜△50.8百万円)の範囲の中にある。
過去3年の下期の営業損益は、△34.7、△39.6、△50.8百万円で、平均は△41.7百万円でした。会社予想の下期△39.9百万円は、この平均とほぼ同じです。下期が過去3年のどの年と同じだったとしても、通期の営業利益がどうなるかを計算すると次のようになります。
| 下期が次の年と同じだった場合 | 下期営業損益 | 通期営業利益(筆者の試算) | 会社予想比 |
|---|---|---|---|
| 2024年2月期並み | △34.7 | 308.1 | +1.7% |
| 2025年2月期並み | △39.6 | 303.2 | +0.1% |
| 2026年2月期並み | △50.8 | 292.0 | △3.6% |
| 会社予想 | △39.9 | 302.8 | — |
(単位:百万円。上期実績342.8百万円+過去の下期実績。筆者の試算)
つまり、営業利益の予想は「保守的すぎる」わけでも「楽観的すぎる」わけでもなく、過去3年の下期をそのまま置いた数字です。「上期で通期を超えたから、いずれ大きく上方修正される」という読み方は、少なくとも営業利益については、過去の下期の実績からは支持されません。
2つ目:ただし売上の中身を見ると、下期の学生向けサービスに前年比+8.8%の伸びを置いている。
上期の学生向けサービスの伸びは+3.1%、6〜8月単独では+2.2%でした。会社予想は、下期にこの伸びが+8.8%まで加速することを前提にしています。一方、社会人向け(△18.0%)とメディア・SaaS(△16.0%)は下期に大きく落ちる前提で、サービス終了の影響がそのまま出ています。費用側は前年下期比+0.9%とほぼ横ばいです。
下期の学生向けサービスの売上は、主に成功報酬以外(採用コンサルティング、イベント、メディア掲載)で構成されます。成功報酬の多くは4月の入社分として第1四半期に計上されるためです(会社は説明資料で「入社日がQ1以外に帰属する場合もあります」と注記しています)。会社は上期について「2028年卒学生向けサービスにおいて、イベント開催等による母集団形成や採用コンサルティングのニーズが増加」と説明しており、この流れが下期にさらに強まることが予想の前提になっている、と読めます。下期の予想で唯一「伸び」を置いている場所がここなので、第3四半期(9〜11月)の学生向けサービスの前年同期比が、予想の前提を検証する最初の数字になります。
3つ目:経常利益と純利益の段には、「据え置いたことによる機械的な保守性」が残っている。
経常利益の下期の含みは△58.9百万円で、営業利益の含み(△39.9百万円)より19.0百万円大きい赤字です。これは通期予想が、営業外損益を年間で△5.4百万円(経常297.4−営業302.8)と見込んでいるのに対し、上期の営業外損益がすでに+13.5百万円だったためです。予想を据え置いた結果、下期に△19.0百万円の営業外損失が「差し引きで」置かれている形になっています。前年の下期の営業外損益はほぼゼロ(+0.5百万円)でした。
純利益はさらに開きます。通期予想の税負担率は34.6%((経常297.4−純194.5)÷経常297.4)ですが、上期の見積実効税率は32.8%です。
仮に下期の営業外損益がゼロで、通期の税負担率が上期と同じ32.8%だったとすると、次のようになります。
| 項目 | 会社予想 | 筆者の試算 | 差 |
|---|---|---|---|
| 営業利益 | 302.8 | 302.8(会社予想のまま) | — |
| 経常利益 | 297.4 | 316.4 | +6.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 194.5 | 212.7 | +9.4% |
(単位:百万円。筆者の試算であり、会社の開示に基づくものではありません。前提:下期営業損益は会社予想どおり△39.9、下期営業外損益ゼロ、通期税負担率32.8%)
ここで注意したいのは、この差は「会社が保守的に見積もっている」ことの証拠ではなく、4月に作った予想を据え置いたことで、上期の実績との差が下期に押し込まれているという計算上の結果だということです。持分法による投資損益は投資ファンドの評価次第で下期にマイナスになることもあり、税負担率も通期決算で確定します。上方修正の余地があるとすれば、それは営業利益ではなく、この「営業外と税」の段です。
上期時点で「据え置き」だった年と、今年の違い
第1章の修正履歴に、「上期決算の時点で、予想が下期に置いていた営業損益」を加えます。
| 決算期 | 上期営業利益 | 上期決算時点の通期予想 | 予想が置いていた下期 | 実際の下期 | その後 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年2月期 | 190.1 | 118(上方修正後) | △72.1 | △34.7 | 1月に再度上方修正、実績はさらに上 |
| 2025年2月期 | 164.0 | 180(据え置き) | +16.0 | △39.6 | 2月に下方修正 |
| 2026年2月期 | 330.8 | 210(上方修正後) | △120.8 | △50.8 | 2月に再度上方修正、実績はさらに上 |
| 2027年2月期 | 342.8 | 302.8(据え置き) | △39.9 | — | — |
(単位:百万円。予想が置いていた下期=上期決算時点の通期予想−上期実績。筆者の差し引き)
この表で、今年の位置がはっきりします。
2024年2月期と2026年2月期は、上期の時点で上方修正したものの、修正後の予想が下期に置いた赤字(△72.1、△120.8百万円)は、実際の下期(△34.7、△50.8百万円)よりずっと大きかった。だから期末直前にもう一度上方修正し、さらに実績がそれを上回りました。この2年は、下期の見積もりそのものに大きな余裕がありました。
2025年2月期は逆です。上期の時点で予想を据え置いたため、予想は下期に+16.0百万円の黒字を置いていました。この会社の下期が黒字になったことは、表の3年間で一度もありません。結果は△39.6百万円で、期末直前に下方修正しています。
今年の据え置きは、どちらとも違います。予想が置いている下期△39.9百万円は、過去3年の実際の下期とほぼ同じ水準です。2024年・2026年のような「下期の見積もりの余裕」はなく、2025年のような「下期黒字という無理な前提」でもありません。据え置きの中身は、「過去3年と同じ下期が来れば、ちょうど予想どおりに着地する」というものです。
会社は説明資料で、上期の営業利益について「季節特性(Q1偏重)を織り込んだ年間の通期計画に対し、想定通り順調に進捗」と書いています。上の表は、この説明を数字で裏付ける形になっています。
5. 深掘り③:前受金553百万円は、来年4月の売上の「予約票」
第4章までで、今期(2027年2月期)の予想の読み方は整理できました。最後の段階は、来期の第1四半期(2027年3〜5月)について、いま何が見えているかです。この会社の1年の利益はほぼ3〜5月で決まるので、来期を考えることは、来年の3〜5月を考えることとほとんど同じです。
前受金は「口説き終えた学生の分の報酬」
軸の例えで言えば、学生が内定を承諾した時点で、企業はスローガンに成功報酬を先に払います(原則として請求の翌月末に入金)。しかし売上に計上されるのは学生が入社する日なので、それまでの間、このお金は貸借対照表の負債の部に「前受金」として置かれます。辞退があれば返金されます。
説明資料によれば、前受金は2種類に分かれます。
| 種類 | 発生のタイミング | 売上になるタイミング | 意味 |
|---|---|---|---|
| 成功報酬に関連する前受金 | 学生の内定承諾時 | 入社時(主に4月)に一括 | 入社予定者に対する成功報酬の売上見込み |
| 契約サービスに関連する前受金 | コンサルティング・メディア等の契約締結時 | サービスの履行に応じて | 提供予定のサービスの売上見込み |
2026年8月末の前受金残高は553,697千円で、2026年2月末から59,892千円増え、前年同期(2025年8月末)からは約32百万円増えています。会社は内訳について、成功報酬関連は「2027年卒生の内定承諾が堅調に進捗し、前年同期(200百万円)を上回る残高」、契約サービス関連は「前年同期(320百万円)に対して増加」と説明しています。今期の内訳の金額は、説明資料のグラフからは本文に数値として読み取れなかったため記載を見送ります。
この数字のポイントは2つです。
1つ目は、成功報酬関連の前受金は、今期の売上ではなく来期の3〜5月の売上の見込みだということです。2027年卒の学生の多くは2027年4月に入社します。スローガンの決算期は2月末なので、2027年4月は来期(2028年2月期)の第1四半期です。今期の下期の予想にはほとんど効きません。
2つ目は、この残高が前年同期を上回っていることは、来期の第1四半期について「現時点では前年より多くの報酬を預かっている」という事実を示している、ということです。ただし、8月末の残高は就職活動の途中の数字で、9月以降も内定承諾は積み上がります。また内定辞退があれば返金されます。前年を上回っていることは明るい材料ですが、それが来年4月の売上をどれだけ押し上げるかは、第3四半期(11月末)と通期(2月末)の前受金残高を追っていく必要があります。
【用語メモ】前受金と現預金の関係
前受金は負債ですが、お金はすでに会社の口座に入っています。スローガンの8月末の現預金2,334百万円のうち、553百万円は「まだ売上になっていない、顧客から先に受け取ったお金」です。サービスを提供すれば負債は消えて売上に変わりますが、辞退やサービス未提供の場合は返す必要があるお金です。第7章で現預金と時価総額を比べるときは、この点を差し引いて考えます。
6. 事業ポートフォリオの整理と「生産性」の指標
終了・停止したサービス
会社は2026年4月に新たな経営方針「内発的動機と営業利益の循環経営」を策定し、ミッションを「人の可能性を引き出し、豊かな未来をともにつくる。」に変更しました。その財務規律として、市場シェア・営業利益率・1人当たり営業利益の3つを挙げ、不採算のサービスを整理しています。
| サービス | 分野 | 対応 | 期初予想に織り込んだ売上減少影響 |
|---|---|---|---|
| Goodfind Career(ベンチャー・スタートアップ求人特化型エージェント) | 社会人向け | 2026年4月にサービス終了 | 18,013千円 |
| メタノビ(動画×経験学習プラットフォーム) | メディア・SaaS | 2026年3月にサービス終了 | 20,111千円(TeamUpと合算) |
| TeamUpの育成コンサルティングサービス | メディア・SaaS | 提供停止 | 同上 |
メタノビは2023年4月に始めた新規事業で、2024年2月期にソフトウエアの減損(特別損失12百万円)を出していました。Goodfind Careerは2014年から続いていたサービスです。
社会人向けに残ったG3(社会人3年目までの転職支援)は、2026年2月期に社会人向けサービス全体を+54.5%に押し上げた成長の担い手でした。会社は説明資料で、社長自身がG3に関わってきたこと、今期はその実践を組織に展開する局面と位置づけていることを説明しています。上期のG3は「概ね前年同期水準」で、会社は「増員により下期の成長を目指す」としています。ただし社会人向けサービス全体の通期予想は前期比△12.3%です。
会社が重視する「生産性」の指標
| 指標 | 2025年2月期(通期) | 2026年2月期上半期時点 | 2027年2月期上半期時点 |
|---|---|---|---|
| 1人当たり営業利益(直近12か月) | 123万円 | 285万円 | 291万円 |
| 営業利益率(直近12か月) | 9.2% | 18.7% | 18.2% |
| 平均就業人員数 | 101.0名(2025年2月期第4四半期) | 101.4名 | 100.0名 |
(説明資料から転記。直近12か月の営業利益率は筆者の検算でも18.2%(営業利益292.0百万円÷売上高1,603.9百万円)と一致)
この表のポイントは、1人当たり営業利益は2.4倍になったが、その間、人の数はほぼ増えていないことです。説明資料に載っている平均就業人員数の推移は、2024年2月期第1四半期の119.5名から、直近の100.0名まで減っています。
利益率の改善は、売上を伸ばしたことよりも、人を増やさずに(むしろ減らして)同じ売上を回したことで生まれています。会社はこれを「まずは高収益なオペレーションを確立し、その上で人の可能性への再投資と人員の拡大を図る」と説明し、人員拡大の局面では1人当たり営業利益が「一時的に低下する場合があります」と明記しています。
軸の例えに戻ると、スローガンが稼ぐためには、誰かがキャンパスで学生を口説かなければなりません。口説く人の数を増やさずに報酬を増やすやり方には、どこかで限界が来ます。いつ、どれだけ人を増やすのかは、来年4〜5月に公表予定のVision・財務目標で最も注目すべき点の一つです。
7. 資本政策と株主還元
基本情報:無配、優待なし、配当基準日は年2回
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 配当 | 2024年2月期以降無配。2027年2月期も無配予想(期末0円) | 決算短信 |
| 配当政策 | 「安定した配当を継続して実施していくこと」が基本方針だが、「現在成長過程にある」として内部留保を優先し配当を実施していない | 有価証券報告書「配当政策」 |
| 配当基準日 | 毎年8月31日、毎事業年度末日(定款上、中間配当は取締役会決議で可能) | 有価証券報告書「株式事務の概要」 |
| 株主優待 | 制度なし(「株主に対する特典」欄に「該当事項はありません」) | 有価証券報告書 |
| 自己株式 | 278,215株(2026年8月末、発行済株式総数の10.04%) | 決算短信・半期報告書 |
| 株式分割・併合 | 比較期間内になし(株数の調整は不要) | 有価証券報告書 |
無配の会社にとっての権利付き最終日は、議決権のためだけの日付です。今期末(2027年2月28日)は日曜日なので、基準日前の最終営業日は2月26日(金)、権利付き最終日はその2営業日前の**2027年2月24日(水)**です(筆者の計算)。
配当の歴史を振り返ると、2023年2月期に1株8円の配当を出したあと、会社は2024年1月12日に2024年2月期の期末配当予想を8円から無配に修正しました。そのときの理由は「安定した利益還元としての配当を継続的に実施できる経営状態には至っていない」というものでした。同じ日に、会社は自己株式の取得も決議しています。それ以降、この会社の株主還元は配当ではなく自己株式取得で行われてきました。
自己株式取得の履歴
| 取締役会決議日 | 取得枠 | 取得期間 | 実績 | 平均取得単価(筆者の計算) |
|---|---|---|---|---|
| 2025年2月20日 | 80,000株・5,000万円 | 2025年2月21日〜2026年1月31日 | 65,500株・49,954,700円 | 762.7円 |
| 2025年11月13日 | 80,000株・5,000万円 | 2025年11月17日〜2026年11月16日 | 64,400株・49,999,500円(2026年7月17日に取得終了) | 776.4円 |
(有価証券報告書「自己株式の取得等の状況」、2026年7月17日「自己株式の取得状況及び取得終了に関するお知らせ」から転記)
直近の取得枠は、株数上限(80,000株)ではなく金額上限(5,000万円)に先に達して終了しました。株数の消化率は80.5%、金額の消化率は100.0%です。2026年7月1日〜17日の最終局面では6,800株を平均713.2円で取得しており、この間の市場の出来高合計(34,900株、Yahoo!ファイナンスの時系列による)の約19.5%に当たります。
2026年8月末時点で、新しい自己株式の取得枠は開示されていません。
現預金と時価総額を並べる
ここで、この会社の資本政策を考えるうえでいちばん大きな数字を並べます。
| 項目 | 金額 | 1株当たり(自己株式控除後2,493,660株) |
|---|---|---|
| 株価(2026年9月30日終値) | — | 760円 |
| 時価総額(自己株式控除後) | 約1,895百万円 | 760円 |
| 時価総額(発行済株式総数ベース) | 約2,107百万円 | — |
| 現金及び預金(2026年8月末) | 2,334百万円 | 936円 |
| 現預金−前受金 | 1,780百万円 | 714円 |
| 現預金−負債合計 | 1,568百万円 | 629円 |
| 現預金−負債合計+投資有価証券 | 1,719百万円 | 689円 |
| 1株当たり純資産(自己資本÷株数) | 1,827百万円 | 733円 |
(筆者の計算。借入金はなし)
この表のポイントは2つです。
1つ目は、自己株式を除いた時価総額(約19億円)が、現預金(約23億円)を下回っていることです。ただし第5章で見たとおり、現預金のうち5.5億円は前受金で、これはまだ売上になっていない顧客からの預かり金です。負債をすべて差し引き、投資有価証券を足した「手元に残る金融資産」は1株当たり689円で、株価760円との差は71円です。会社予想の1株当たり当期純利益(77.49円)とほぼ同じ額です。
2つ目は、この計算が意味を持つのは「現預金を株主に返す」場合に限られることです。会社は説明資料で、PBR改善の取り組みとして「自己株式取得を含む機動的な資本政策」「現預金水準の継続的な見直し」を挙げ、さらに「成長投資・人的資本投資・株主還元の優先順位を示すキャピタルアロケーション方針の策定」を経営で議論中としています。ただし、現時点で具体的な方針や数値は開示されていません。会社が現預金を事業に使う(人員増やM&A等)なら、上の計算の「手元に残る金融資産」は変わります。
【用語メモ】時価総額の2つの計算方法
時価総額は「株価×株数」ですが、株数に自己株式を含めるかどうかで2つの数字が出ます。株価情報サイトの多くは発行済株式総数(自己株式を含む)で計算し、スローガンの場合は約21億円になります。会社が持っている自己株式には配当も議決権もないので、「株主が持っている会社の値段」としては自己株式を除いた約19億円のほうが実態に近い数字です。この記事の1株当たりの数字は、すべて自己株式を除いた株数(2,493,660株)で計算しています。一方、後で扱うグロース市場の時価総額基準は、自己株式を含む上場株式数で判定されます。
株主構成:上位3名で57%
| 株主 | 所有株式数 | 割合(自己株式を除く) |
|---|---|---|
| 伊藤 豊 | 578,300株 | 23.19% |
| REAPRA VENTURES PTE. LTD. | 539,000株 | 21.61% |
| 織田 一彰 | 300,000株 | 12.03% |
| KMFG株式会社 | 102,000株 | 4.09% |
| XTech1号投資事業有限責任組合 | 100,000株 | 4.01% |
| スローガン社員持株会 | 80,681株 | 3.24% |
| 仁平 理斗(代表取締役社長) | 77,269株 | 3.10% |
| 渡邊 秀和 | 58,200株 | 2.33% |
| 楽天証券株式会社 | 43,800株 | 1.76% |
| アイビー投資事業有限責任組合 | 38,200株 | 1.53% |
| 上位10名計 | 1,917,450株 | 76.89% |
(2026年8月31日現在。半期報告書「大株主の状況」から転記)
上位3名の合計は56.83%です。有価証券報告書によれば、2026年2月末の株主数は607人(うち個人554人)でした。株主の数が少なく、株式が一部の大株主に集中しています。上位3名の間の関係を示す開示は確認できなかったため、この記事では3名の持分を「一体」とは扱いません。
2026年5月27日の定時株主総会では、監査等委員会設置会社への移行(定款変更)、取締役の選任、譲渡制限付株式報酬の導入がいずれも賛成率99.5%以上で可決されました(臨時報告書)。
株式が集中していることは、売買の少なさとして表れています。2026年7月21日から9月28日までの37営業日(取引が成立した日)の1日平均出来高は約960株でした(Yahoo!ファイナンスの時系列から筆者が集計)。100株単位で、1日に10単元前後しか売買されない銘柄です。
新株予約権:潜在株式は自己株式控除後の9.2%
| 回次 | 株式数(2026年4月30日現在) | 行使価額 | 行使期間 | 株価760円との位置 |
|---|---|---|---|---|
| 第3回 | 44,500株 | 223円 | 〜2027年5月19日 | 下回る(イン・ザ・マネー) |
| 第4回 | 2,500株 | 223円 | 〜2027年9月21日 | 下回る |
| 第5回 | 1,000株 | 660円 | 〜2028年2月14日 | 下回る |
| 第7回 | 6,500株 | 1,160円 | 〜2029年2月25日 | 上回る |
| 第8回 | 40,500株 | 1,160円 | 〜2031年2月26日 | 上回る |
| 第9回 | 134,800株 | 660円 | 2026年6月29日〜2034年5月29日 | 下回る |
| 第10回 | 500株 | 660円 | 2026年6月29日〜2034年5月29日 | 下回る |
| 合計 | 230,300株 | — | — | うち行使価額が株価を下回るもの183,300株 |
(有価証券報告書「ストックオプション制度の内容」から転記。第6回は2026年4月30日現在で残数なし)
潜在株式の合計230,300株は、自己株式控除後の株数の9.24%、行使価額が株価を下回るもの(183,300株)だけでも7.35%に当たります。
最も大きい第9回(134,800株、取締役4名・従業員83名)は、2024年5月29日に決議されたもので、在籍を条件に、割当日から1年経過後に20%、その後半年ごとに20%ずつ行使できる割合が増え、3年経過後に100%になる設計です。行使期間はすでに始まっています。上半期には新株予約権の行使で2,000株が新たに発行されました(払込額1,320千円、1株660円)。
ここで並べておきたいのは、会社が持つ自己株式(278,215株)が、潜在株式の合計(230,300株)より多いことです。上半期の行使では新株が発行されており、自己株式を行使に充てる方針は開示されていません。自己株式を買い、同時に新株予約権の行使で新株を出す、という状態が続くと、自己株式取得による株数削減の効果は行使の分だけ相殺されます。
グロース市場の「上場5年経過後に時価総額100億円」基準
東京証券取引所は、グロース市場の上場維持基準のうち時価総額基準を見直し、2030年3月1日から「上場5年経過後から100億円以上」を適用するとしています(現行は「上場10年経過後から40億円以上」)。判定は「事業年度の末日以前3か月間の日々の終値の平均×事業年度の末日における上場株式数」で行われます(日本取引所グループのウェブサイト)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 上場日 | 2021年11月25日(東証マザーズ。2022年4月にグロース市場へ移行) |
| 上場5年の経過 | 2026年11月25日 |
| 上場株式数(自己株式を含む、2026年8月末) | 2,771,875株 |
| 時価総額100億円に必要な株価 | 約3,608円 |
| 現在の株価(2026年9月30日終値)との距離 | 約4.75倍 |
| 自己株式をすべて消却した場合に必要な株価 | 約4,010円 |
(筆者の計算)
スローガンは2月決算なので、2030年3月1日以後に最初に来る事業年度末は2031年2月末です。筆者の理解では、ここが新しい基準の最初の判定になり得ますが、最初の判定基準日・経過措置・不適合時の改善期間の細部は、筆者は日本取引所グループの規則原文までは確認していません。
会社はこの基準に対する方針を開示していません。説明資料の「企業価値向上に向けて」の章でも、この基準への言及は見当たりませんでした。基準に届かない会社が一般に取り得る選択肢としては、業績の拡大、株主還元の強化、他市場への区分変更などが考えられますが、これは筆者の一般論であって、スローガンがそのいずれかを検討していることを示す開示はありません。
8. 株価の見方
株価の基準点(一次情報から復元できる株価)
株価情報サイトのキャッシュは古いことがあるので、まず会社の開示書類に出てくる株価を並べます。
| 経路 | 株価 | 出所 |
|---|---|---|
| 2026年2月期末の株価(逆算) | 約779円 | 有価証券報告書の株価収益率10.51倍×1株当たり当期純利益74.14円 |
| 2026年2月期の最高・最低株価 | 929円・590円 | 有価証券報告書 |
| 自己株式の平均取得単価 | 776.4円(2025年11月〜2026年7月)、713.2円(2026年7月1〜17日) | 取得状況の開示から筆者が計算 |
| 譲渡制限付株式の処分価額 | 738円(2026年6月22日終値) | 2026年6月23日の適時開示 |
| 直近終値 | 760円(2026年9月30日) | Yahoo!ファイナンス(報道ベース) |
株主総利回り(配当込みの株価の推移)は、2026年2月期末で50.5%でした(上場後最初の期末である2022年2月期末を100とした値。有価証券報告書に記載された比較指標のTOPIXは230.6%)。上場直後の2022年2月期には最高2,140円を付けていましたが、ここ3年間はおおむね600円〜900円台の範囲で推移しています。
決算発表前後の値動き
決算は2026年9月29日(火)15時30分、東証の取引終了後に発表されました。したがって9月29日の終値(833円、前日比+58円、+7.5%)には、決算の内容は反映されていません。翌9月30日の終値は760円(前日比△73円、△8.76%)で、出来高は21,800株でした。7月以降の1日平均(約960株)の20倍以上です。値動きの理由について、この記事では推測しません。
株価に依存する指標
| 指標 | 値 | 前提 |
|---|---|---|
| PER(会社予想) | 9.8倍 | 会社予想EPS 77.49円 |
| PER(直近12か月) | 8.2倍 | 直近12か月の純利益231.7百万円÷2,493,660株=92.93円(筆者の計算) |
| PBR | 1.04倍 | 1株当たり純資産733円(2026年8月末、筆者の計算) |
| ROE(2026年2月期) | 12.28% | 有価証券報告書 |
| 配当利回り | 0% | 無配 |
(2026年9月30日終値760円ベース。筆者の計算)
【用語メモ】会社予想EPSの分母
会社予想の1株当たり当期純利益77.49円は、2026年2月末の株数(自己株式を除く2,509,401株)で割った値と短信に注記されています。8月末の株数(2,493,660株)で割り直すと77.98円です。自己株式取得を続けている会社では、実績のEPSが予想のEPSより少し高く出ることがあります。
強気の見方
- 営業利益の予想は、過去3年の下期をそのまま置いた現実的な水準です(第4章)。2025年2月期のように「下期に黒字を置いた」据え置きではありません。
- 経常利益・純利益には、据え置きによる機械的な保守性が残っています。下期の営業外損益がゼロ、通期税負担率が上期並みなら、純利益は予想を約9%上回る計算になります(筆者の試算)。
- 前受金が前年同期を上回っています。2027年卒の内定承諾が前年を上回るペースで積み上がっていることは、来期の3〜5月の売上にとって明るい材料です(第5章)。
- 自己株式控除後の時価総額が現預金を下回り、PBRは約1倍です。負債をすべて差し引いた金融資産は1株当たり689円で、会社が「現預金水準の継続的な見直し」とキャピタルアロケーション方針の策定を議論中と明言しています。2027年4〜5月にVision・財務目標の公表を目指すとしており、資本政策の具体化が株価の見直しにつながる可能性があります。
- 借入金はなく、自己資本比率は69.5%です。
弱気の見方
- 売上の伸びが止まりかけています。上半期は+1.4%、6〜8月単独では△2.5%でした。5年前(2022年2月期)と比べた売上高は、今期予想でも1.14倍です。利益の回復は、売上よりも費用の絞り込みから生まれています(第1章・第6章)。
- 下期の予想は、学生向けサービスの前年比+8.8%を前提にしています。上期は+3.1%でした。この前提が崩れると、営業利益の予想も揺らぎます(第4章)。
- 人を増やさずに利益率を上げてきた局面は、いずれ終わります。会社自身が「人員の拡大局面では、一時的に本指標(1人当たり営業利益)が低下する場合があります」と明記しています(第6章)。
- 会社予想は上にも下にも大きく動く履歴を持っています。期初予想比で+418.0%の年もあれば△30.9%の年もありました(第1章)。
- 流動性が極端に低い銘柄です。1日平均の出来高は約960株で、9月30日のように出来高が20倍に膨らんだ日には株価が1日で9%近く動きました。自己株式取得も、出来高の制約を受けやすい構造です。
- **潜在株式は自己株式控除後の9.2%**あり、うち7.35%は行使価額が株価を下回っています(第7章)。
- グロース市場の新しい時価総額基準(上場5年経過後に100億円)に対し、株価は4.75倍の距離があります。会社はこの基準への方針を開示していません(第7章)。
- 株主総利回りは50.5%で、有価証券報告書の比較指標であるTOPIX(230.6%)を大きく下回っています。
- 主力のGoodfindの顧客は新興成長企業で、会社自身が短信で、スタートアップの資金調達環境について投資対象の「選別」が鮮明化していると書いています。顧客の採用予算は、この環境の影響を受けます。
9. 今後のカレンダーと見るべきKPI
| 日付 | イベント | 見るポイント |
|---|---|---|
| 2026年11月25日(水) | 上場から5年 | グロース市場の新しい時価総額基準(2030年3月1日から適用)で「上場5年経過」の条件を満たす日 |
| 2026年12月22日(火)15時30分 | 第3四半期決算(予定) | 9〜11月の営業損失(過去3年は△28.9〜△44.6百万円)、学生向けサービスの前年同期比、前受金残高、会社が予告した「Visionの検討状況」の報告 |
| 2027年2月24日(水) | 権利付き最終日(筆者の計算) | 無配予想のため議決権のみ |
| 2027年2月28日(日) | 決算期末 | 過去3期はいずれも1〜2月に予想を修正している |
| 2027年4月 | 2027年卒の入社 | 成功報酬が来期第1四半期の売上に計上される |
| 2027年4月6日(火)15時30分 | 通期決算(予定) | 下期営業損益が△39.9百万円の予想に対してどう着地したか、来期予想 |
| 2027年4〜5月 | Vision・財務目標の公表(会社が「目指す」とした時期) | キャピタルアロケーション方針、人員計画、株主還元の方針 |
| 2027年5月19日(水) | 第3回新株予約権(44,500株・行使価額223円)の行使期間満了 | 行使による株数の増加 |
見るべきKPI
- 学生向けサービスの下期の伸び率:予想は前年下期比+8.8%を置いている。第3四半期(9〜11月)の単独の前年同期比が最初の検証点
- 下期の営業損益:予想は△39.9百万円。過去3年は△34.7〜△50.8百万円
- 前受金残高(特に成功報酬関連):来期3〜5月の売上の先行指標。前年同期(成功報酬関連200百万円、契約サービス関連320百万円)との比較
- 平均就業人員数と人的資本投資の額:増員に転じるタイミングと、その間の1人当たり営業利益の変化
- 自己株式取得の新しい枠と、キャピタルアロケーション方針:現預金の使い道を会社がどう決めるか
- 持分法による投資損益と税負担率:経常利益・純利益の予想との差を生む項目
10. 3行まとめ
- スローガンは、成功報酬を「入社日」に計上するため、1年の利益を3〜5月に稼ぎ、下期は毎年赤字になる会社。上期で通期予想の営業利益を超えるのは、この会社にとっては毎年のことです。
- 今回据え置かれた予想が下期に置く営業損失△39.9百万円は、過去3年の実際の下期(△34.7〜△50.8百万円)とほぼ同じ水準。営業利益の上方修正の余地は小さく、余地があるとすれば営業外と税の段です。
- 自己株式控除後の時価総額は約19億円で、現預金23億円を下回ります。無配のまま、自己株式取得と新株予約権の行使が並走するなか、2027年4〜5月に予定するキャピタルアロケーション方針と、グロース市場の新基準(必要株価は現在の4.75倍)への対応が、今後の資本政策の焦点です。
本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。
本記事は投資勧誘・投資助言を目的としたものではありません。数値は、スローガン株式会社の決算短信(2027年2月期第2四半期(中間期)、2026年2月期、2025年2月期)、決算説明資料(2027年2月期第2四半期)、業績予想の修正・差異に関する適時開示(2023年10月11日、2024年1月12日、2025年2月20日、2025年10月7日、2026年2月25日、2026年4月7日)、自己株式の取得・処分に関する適時開示、有価証券報告書(2026年2月期)、半期報告書(2027年2月期)、臨時報告書(2026年5月28日提出)から転記し、比率・差し引き・試算は筆者が算出しています。株価・出来高はYahoo!ファイナンスの時系列(2026年10月1日取得)による報道ベースの数値です。以下の点にご注意ください。2026年2月期通期決算説明会の質疑応答資料(2026年4月8日公表)と2027年2月期第1四半期決算説明会レポート(2026年7月3日公表)は、PDFの文字情報を筆者の環境で読み取ることができず、内容を反映していません。2027年2月期第2四半期の決算説明会(2026年9月29日開催)の質疑応答も反映していません。前受金の今期の内訳(成功報酬関連・契約サービス関連)は、説明資料のグラフから数値として読み取れなかったため記載していません。「下期の営業外損益がゼロ、通期の税負担率が上期と同じ」とした純利益の試算、およびグロース市場の新基準の最初の判定時期に関する記述は筆者の試算・理解であり、会社の開示に基づくものではありません。グロース市場の時価総額基準の最初の判定基準日・経過措置・改善期間の細部は、日本取引所グループの規則原文では確認していません。大株主上位3名の間の関係は開示で確認できなかったため、持分を合算していません。本記事は次の四半期決算(2026年12月22日予定)の約3か月前に執筆しており、公開時点で新たな開示が出ている可能性があります。
記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。