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【2026年10月発表・上半期決算】平和堂(8276)営業利益17%減でも通期予想は据え置き。下期に「前年比33%増益」を置いた会社予想をどう読むか

本記事は2026年10月1日時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。**執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。**特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • 平和堂の2027年2月期上半期(2026年2月21日〜8月20日)は、営業収益が過去最高の2,304億円(+3.1%)だった一方、営業利益は56.6億円(△17.1%)、純利益は35.8億円(△27.0%)でした
  • 営業利益の減少11.7億円を「売上が増えた効果」「粗利率が下がった効果」「販管費が増えた効果」に分けると、粗利率の低下はマイナス3億円にとどまり、主因は販管費の増加(36.9億円)が売上と営業収入の増加分(28.2億円)を上回ったことです
  • 会社は通期予想(営業利益143億円)を据え置きました。これは下期(8月21日〜2月20日)に前年同期比+33.3%の営業利益を置いた予想で、下期の営業利益率3.49%は直近3期の下期(2.79〜3.16%)のどれよりも高い水準です
  • 平和堂は過去2期(2025年2月期・2026年2月期)とも、上期に会社予想を下回り、通期予想を据え置き、通期でも予想に届かなかったという同じ経過をたどっています
  • セグメントの「小売事業の経常利益+13.3%」と単体の「経常利益+15.2%」は、子会社からの受取配当が増えたことによる見え方で、連結では消去されています
  • 配当は年66円の予想を維持。「累進配当」の方針は2027年2月期までと期限が明記されています。株主優待(買物券、年2回)は名目利回り0.78%ですが、使い方の条件があります

1. 前提知識:平和堂はどんな会社か

商店街を一つの屋根の下に丸ごと引き受けた会社

夕方、仕事帰りに駅前の商店街を歩く場面を思い浮かべてください。八百屋で野菜を、魚屋で切り身を、総菜屋でコロッケを買い、ついでに衣料品店で子どもの靴下を、本屋で雑誌を手に取る。昔の地方都市では、こうした買い物は何軒もの個人商店が分担していました。

平和堂(滋賀県彦根市)は、この商店街の役割を一つの建物の中に丸ごと引き受けた会社だと捉えると分かりやすくなります。1953年に創業者が彦根で靴・鞄の店を開いたのが始まりで、1966年に食料品の販売を始め、いまは滋賀・京都・大阪・北陸・東海に170店舗(2026年2月時点)を構えています。大型ショッピングセンター「アル・プラザ」、食品スーパー「フレンドマート」などの業態があり、総菜・米飯・精肉・鮮魚の加工は子会社ベストーネの工場(プロセスセンター)が担い、自社のポイント・電子マネー「HOP」で客の財布までつないでいます。

この比喩には強みと弱みが同時に入っています。

  • 強み:商店街を一つにまとめたので、客は1回の来店で用事が済みます。地元で店を密集させる「ドミナント」が効いている地域(会社資料では彦根の食品販売シェア26.4%)では、来店頻度と客単価の両方が取れます
  • 弱み:商店街の家賃・人件費・電気代・修繕費もすべて自分持ちです。商店街なら売れない店は自分で閉めますが、平和堂では衣料品売場の売上が落ちても、照明も空調もレジの人員も止められません。売上が少し伸びなかっただけで、利益が大きく削れる構造です

この「全部自分持ち」という性格が、今回の決算を読む鍵になります。

項目内容
本社滋賀県彦根市
決算期2月20日(2月末ではない点に注意)
四半期の区切り第1四半期:2月21日〜5月20日/第2四半期:5月21日〜8月20日/第3四半期:8月21日〜11月20日/第4四半期:11月21日〜2月20日
報告セグメント小売事業(平和堂単体・中国の百貨店・書籍等)、小売周辺事業(総菜製造のベストーネ、ビル管理等)、その他(外食:ココス等のファイブスター、KFCのシー・オー・エム)
店舗数(単体)170店舗(2026年8月時点、管理会計上の既存店集計の店舗数)
上場市場東証プライム
潜在株式なし(有報・短信とも「潜在株式調整後1株当たり利益」は記載なし)
株主優待あり(年2回、買物券またはデジタルギフト。§8)

用語メモ:営業収益と売上高。平和堂の損益計算書の一番上は「営業収益」で、これは商品の「売上高」に、テナントからの家賃などの「営業収入」を足したものです。2027年2月期上半期では売上高2,106億円、営業収入199億円、合計2,305億円でした。「売上総利益(粗利)」は売上高から商品の原価を引いたもの、「営業総利益」は粗利に営業収入を足したものです。

直近の業績推移

決算期営業収益(百万円)営業利益(百万円)営業利益率親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)EPS(円)ROE1株配当(円)
2024年2月期425,42413,2573.1%6,784129.373.70%42
2025年2月期444,89813,3603.0%10,727209.085.70%63
2026年2月期456,01013,3132.9%9,409189.294.88%66
2027年2月期(会社予想)478,00014,3003.0%9,800198.16—66(予想)

出典:有価証券報告書(第69期)「主要な経営指標等の推移」、決算短信。

この表のポイントは2つです。

  1. 営業収益は3期で7%伸びたのに、営業利益は132〜134億円でほぼ横ばいです。売上を伸ばしても、その分だけ費用も増えて利益が残っていません
  2. 純利益は年によって大きく動きますが、これは特別損益(投資有価証券の売却益、減損損失など)の差によるもので、本業の稼ぐ力(営業利益)はこの3年間ほぼ同じ水準にあります

会社予想の達成履歴

平和堂は期初に「上期(第2四半期累計)」と「通期」の2本の予想を出します。直近3期の営業利益の推移を並べます。

決算期上期予想上期実績上期の達成率通期予想(期初)期中の修正通期実績期初予想比
2024年2月期2,9006,386220.2%6,8002023年9月22日に13,000へ上方修正13,257期初比+95.0%/修正後比+2.0%
2025年2月期6,8006,30692.7%13,700なし(据え置き)13,360△2.5%
2026年2月期7,1006,83396.2%14,500なし(据え置き)13,313△8.2%
2027年2月期6,9005,66582.1%14,300上期決算時点でなし(据え置き)——

単位:百万円。出典:各期の決算短信、2023年9月22日の業績予想修正の開示(日付は開示文書と報道で確認)。

この表のポイントは、直近2期と今期が同じ形をしていることです。上期が予想に届かず、それでも通期予想を据え置き、通期でも予想に届かなかった、という流れが2025年2月期と2026年2月期の2回続いています。今期は上期の未達幅(△17.9%)が過去2期より大きいまま、通期予想を据え置きました。この点は§4で詳しく見ます。

一方、2024年2月期は逆に上期が予想を大きく上回り、期中に上方修正しています。「平和堂の予想はいつも高すぎる」と一方向に決めつけることもできないことは、表の1行目が示しています。

用語メモ:業績予想の修正と「差異」の開示。上場会社は、売上高で10%以上、利益で30%以上、直近の予想と実績(または新しい見通し)がずれる場合に開示が求められます。今回の上期の営業利益は予想比△17.9%で、この基準には届かないため、上期予想と実績の差異についての独立した開示は出ていません。

中期経営計画と2030年の目標

平和堂は「第5次中期経営計画(2024〜2026年度)」を進めており、今期(2027年2月期)が最終年度です。その先に「2030年の定量目標」を置いています。

指標2030年目標2026年2月期実績2027年2月期会社予想
営業収益(連結)5,000億円以上4,560億円4,780億円
営業利益率(連結)4.5%以上2.9%3.0%
ROE8%4.88%約5.0%(筆者の概算)

営業収益は目標の95.6%まで来ていますが、営業利益率とROEは目標との距離が大きいままです。営業収益5,000億円で営業利益率4.5%なら営業利益は225億円で、今期予想143億円の約1.6倍です。会社自身も2026年2月期の決算短信で「営業収益が先行して向上しております」と書いており、売上は目標に近づいているが利益が追いついていないという自己認識が読み取れます。

2. 決算ハイライト(2026年10月1日発表)

損益

項目2026年2月期上半期2027年2月期上半期増減率上期会社予想予想比
営業収益223,539230,489+3.1%234,000△1.5%
売上高204,686210,620+2.9%——
営業収入18,85219,868+5.4%——
売上総利益62,30163,807+2.4%——
営業総利益81,15383,676+3.1%——
販売費及び一般管理費74,32078,011+5.0%——
営業利益6,8335,665△17.1%6,900△17.9%
経常利益7,5126,190△17.6%7,200△14.0%
親会社株主に帰属する中間純利益4,9043,580△27.0%5,000△28.4%
1株当たり中間純利益(円)98.2372.39△26.3%101.10—

単位:百万円(1株当たりは円)。出典:決算短信。

この表のポイントは2つです。

  1. 営業収益・営業総利益はどちらも+3.1%なのに、販管費が+5.0%伸びたため営業利益が17.1%減りました。「売上が減ったから減益」ではありません
  2. 純利益の減少率(△27.0%)が営業利益(△17.1%)より大きいのは、特別損益の悪化(前年+76百万円→今期△192百万円)と、税負担率の上昇(34.6%→39.4%)が重なったためです(§5)

用語メモ:販売費及び一般管理費(販管費)。商品の仕入原価以外の、店を動かすための費用です。平和堂では人件費(上期401億円)が販管費の半分強を占め、ほかに賃借料、減価償却費、水道光熱費、荷造費(物流費)、改装の一時費用などが入ります。

財政状態とキャッシュ・フロー

項目2026年2月20日2026年8月20日増減
総資産313,095320,355+7,260
現金及び預金23,22723,659+432
有利子負債(短期借入金+長期借入金)21,24120,601△640
純資産197,962201,512+3,550
自己資本比率62.5%62.2%△0.3pt
1株当たり純資産(円)3,959.034,029.16+70.13
キャッシュ・フロー2026年2月期上半期2027年2月期上半期
営業活動11,29711,426
投資活動△6,878△9,217
財務活動△6,575△2,281
うち自己株式の取得△2,697△0
うち配当金の支払△1,664△1,632

単位:百万円。出典:決算短信。

財務は健全で、現預金が有利子負債を上回る状態(約20億円のネットキャッシュ、筆者の概算)が続いています。営業キャッシュ・フローは前年並みを確保しましたが、設備投資が増えて(有形・無形固定資産の取得△91.7億円、前年△72.2億円)、営業CFから投資CFを引いた額は22億円と前年(44億円)の半分になりました。会社は今期の連結設備投資を259億円(前期192億円、+34.9%)と計画しており、下期だけで150億円を見込んでいます。

3. 深掘り①:営業利益が17%減った理由を3つに分ける

ここからが本題です。今回の決算の問いは1つ、**「営業利益が減ったのはなぜで、会社予想は下期に何を置いているのか」**です。この章では前半(なぜ減ったのか)を、次の章で後半(下期に何を置いているのか)を扱います。

減益の内訳:数量効果・率効果・販管費

営業利益の増減は、次の4つの足し算に分解できます。

  • 数量効果=売上高の増加額×前年の粗利率(売上が増えた分だけ、前年と同じ利幅で粗利が増える効果)
  • 率効果=今期の売上高×粗利率の変化(粗利率が下がった分だけ粗利が減る効果)
  • 営業収入の増減(テナント家賃など)
  • 販管費の増減(増えればマイナス)
区分上半期第1四半期(2〜5月)第2四半期(5〜8月)
粗利率(売上総利益÷売上高)30.44%→30.29%(△0.14pt)30.09%→29.87%(△0.21pt)30.77%→30.69%(△0.07pt)
数量効果+1,806+970+834
率効果△300△220△78
営業収入の増加+1,016+435+581
販管費の増加△3,691△1,557△2,134
合計△1,169△372△797
実際の営業利益の増減△1,168△373△795

単位:百万円。筆者の算出(決算短信の連結損益計算書から)。合計と実際の差(±2百万円)は百万円未満切捨てによる端数です。

この表のポイントは2つです。

  1. 粗利率の低下(率効果)は上期で△3億円にすぎません。 減益11.7億円のうち、7割以上は「販管費の増加が、売上と営業収入の増加で稼いだ分を上回った」ことで説明できます
  2. 第2四半期(5月21日〜8月20日)は、粗利率の低下がほぼ止まった(△0.07pt)のに減益幅が広がっています。**第2四半期の販管費は前年同期比+5.6%**で、売上(営業収益+2.9%)の倍近いペースで増えました

会社の説明資料は「粗利益率不足」と「売上不足」を減益要因に挙げています。これは社内計画に対しての不足の説明として正しく、計画では売上がもっと伸び、粗利率も前年より改善する前提でした。一方、前年同期と比べた減益の主因は、販管費の伸びです。同じ決算が「計画比」と「前年比」で別の顔を見せている例です。

用語メモ:粗利率の「0.1ポイント」の重さ。上期の連結売上高は2,106億円なので、粗利率が0.1ポイント動くと粗利は約2.1億円動きます。営業利益が56.6億円の会社にとって、0.1ポイントは営業利益の約3.7%に当たります。スーパーの決算で「粗利率が0.2ポイント下がった」という小さく見える数字が大きく扱われるのはこのためです。

販管費は何が増えたのか

費目(連結)2026年2月期上半期2027年2月期上半期増減額
人件費37,89640,187+2,291
減価償却費6,5596,877+318
荷造費6,2416,525+284
消耗品・改装一時費用1,5971,709+112
広告宣伝費・販売促進費2,1852,311+126
賃借料6,8276,804△22
水道光熱費4,4244,351△72
その他8,5899,241+652
合計74,32078,011+3,691

単位:百万円。出典:決算説明資料(連結販売管理費)。広告宣伝費と販売促進費は筆者が合算。

増加分の62%が人件費です。会社は単体の人件費増加1,880百万円のうち1,006百万円が「新店およびエール(2025年8月に吸収合併した子会社)の増加分」と説明しています。説明資料によれば、単体の販管費増加3,655百万円のうち1,907百万円は新店等の影響(新店5店舗1,057百万円、エール849百万円)です。ただしエールは合併前から連結子会社だったので、連結で見たときにエール分が丸ごと「増加」になるわけではありません。連結の人件費増加2,291百万円は、新店の人員と、既存店の賃金単価の上昇が中心と読むのが自然です(後半は筆者の解釈で、会社は連結ベースの内訳を開示していません)。

商店街の比喩に戻ると、新しく店を出せば、その店の家賃と人件費は開店日から全額かかりますが、売上は徐々にしか立ち上がりません。また、既存の店の従業員の時給は、売上の伸びと関係なく毎年上がります。平和堂の販管費は2026年2月期通期で+3.2%、今期上期で+5.0%伸びています。

10四半期を並べる

累計で開示される決算短信から、各四半期の単独の数字を差し引きで出します。

四半期期間営業収益粗利率販管費販管費率営業利益営業利益率
2025年2月期 Q12024年2〜5月105,27830.08%35,29433.52%2,8332.69%
2025年2月期 Q22024年5〜8月111,36730.51%36,70932.96%3,4733.12%
2025年2月期 Q32024年8〜11月109,33930.30%37,30434.12%2,1541.97%
2025年2月期 Q42024年11月〜2025年2月118,91431.17%38,58632.45%4,9004.12%
2026年2月期 Q12025年2〜5月108,54130.09%36,27633.42%2,9442.71%
2026年2月期 Q22025年5〜8月114,99830.77%38,04433.08%3,8893.38%
2026年2月期 Q32025年8〜11月112,33530.16%38,55534.32%1,7831.59%
2026年2月期 Q42025年11月〜2026年2月120,13631.35%39,78933.12%4,6973.91%
2027年2月期 Q12026年2〜5月112,19929.87%37,83333.72%2,5712.29%
2027年2月期 Q22026年5〜8月118,29030.69%40,17833.97%3,0942.62%

単位:百万円。筆者の差し引き(各期の決算短信の累計値から算出)。期間の月は各四半期の21日から翌々月の20日まで(例:Q1は2月21日〜5月20日)。2025年2月期・2026年2月期とも、4四半期の合計が通期の開示値と一致することを確認済み。会社の説明資料では今期第2四半期の営業利益を3,093百万円としており、筆者の差し引き(3,094百万円)とは端数処理で1百万円ずれます。

この表のポイントは3つです。

  1. 季節性ははっきりあります。 営業利益は毎年、第3四半期(8〜11月)が最も小さく、第4四半期(11〜2月、年末年始を含む)が最も大きくなっています。2024年2月期を加えた3年分(第3四半期の営業利益は18.9億→21.5億→17.8億円、第4四半期は49.8億→49.0億→47.0億円)で同じ形が出ているので、季節性と呼んでよい形です
  2. 販管費率は四半期ごとにほとんど動きません(32.5〜34.3%)。 一方で粗利率も30〜31%台の狭い範囲です。この2つの差、つまり営業利益率は2〜4%しかなく、どちらかが0.3〜0.5ポイント動くだけで営業利益が2〜3割動きます
  3. 今期の第1・第2四半期は、どちらも前年同期より販管費率が上がり、粗利率が下がっています。特に第2四半期は販管費率33.97%で、10四半期で3番目に高い水準でした

用語メモ:「第1四半期×4」が当てにならない理由。平和堂の営業利益は第4四半期に年間の35〜38%が集中します。上期だけで通期予想の半分に届いていなくても、それだけで「遅れている」とは言えません。だからこそ次の章では、進捗率ではなく「下期に何が必要か」を前年の下期と比べます。

4. 深掘り②:会社予想は下期に何を置いているのか

前章で、上期の減益は「販管費の伸びが売上の伸びを上回った」ことが主因だと確認しました。では、通期予想を据え置いたことで、会社は下期にどれだけの回復を置いているのでしょうか。

残り期間の含み

通期予想から上期実績を引くと、会社が下期(2026年8月21日〜2027年2月20日)に置いている数字が出ます。

項目通期会社予想上期実績下期に置かれた数字前年下期の実績必要な前年比
営業収益478,000230,489247,511232,471+6.5%
営業利益14,3005,6658,6356,480+33.3%
経常利益15,2006,1909,0107,093+27.0%
親会社株主に帰属する純利益9,8003,5806,2204,505+38.1%

単位:百万円。筆者の算出(決算短信の通期予想と上期実績から)。

下期の営業利益率値
会社予想が置いている下期3.49%
2026年2月期下期(実績)2.79%
2025年2月期下期(実績)3.09%
2024年2月期下期(実績)3.16%
(参考)今期上期(実績)2.46%

筆者の算出。

この表のポイントは2つです。

  1. 会社予想は下期に**営業収益+6.5%、営業利益+33.3%**を置いています。上期の実績は営業収益+3.1%、営業利益△17.1%でした。伸び率を倍にし、利益の方向を逆転させる前提です
  2. 下期の営業利益率3.49%は、直近3期のどの下期よりも高い水準です。今期上期の2.46%から1ポイント以上の改善を置いています

「進捗率39.6%(上期営業利益÷通期予想)は前年の47.1%より低い」とだけ書くと、季節性の話と混ざって何が問題か見えにくくなります。**「下期に前年比33%の増益が必要」**と言い直すと、予想の前提がはっきりします。

過去2期の「据え置き」はどうなったか

決算期上期決算時点で予想が置いた下期の営業利益前年下期必要だった前年比実際の下期実際の前年比
2025年2月期7,3946,871+7.6%7,054+2.7%
2026年2月期7,6677,054+8.7%6,480△8.1%
2027年2月期8,6356,480+33.3%——

単位:百万円。筆者の算出。2024年2月期の上期営業利益は6,386百万円、通期は13,257百万円(いずれも決算短信)。

過去2期、据え置き時点の通期予想が下期に求めていた伸びは+7〜9%でした。実際の下期は+2.7%と△8.1%で、どちらも届いていません。今期はそれが**+33.3%**です。

これは会社を批判する材料として並べているのではありません。会社が据え置きを選ぶ理由は、外からは分かりません。ただ、平和堂の「上期決算時点の据え置き」は、過去2期とも下期に前年を上回る伸びを求める予想で、その伸びは実現しなかったという事実を、今期の据え置きを読むときの前提として持っておく価値はあります。

会社が挙げる下期の回復材料

説明資料は、下期の回復策として次の項目を挙げています。

区分会社が挙げた材料
売上下期の新店2店舗(アルプラフーズマーケット富山掛尾:2026年9月18日開業、同高岡:11月開業予定)、改装7店舗、KVI(来店動機となる重点商品)の販売強化、PBの育成
粗利率値入率(仕入値に乗せる利幅)管理の徹底、9〜11月のメーカー値上げの寄与、「備蓄米反動は第3四半期で収束」、総菜の時間帯別製造基準によるロス圧縮
費用投資案件・経費の精査(前年下期の新店4店舗・投資額67億円に対し、今期下期は2店舗・35億円)
実績単体の粗利率は「8月度は前期を上回った」、9月度の既存店売上高は前年比105.0%

出典:決算説明資料(2026年10月1日)、月次営業情報。

強気の材料として最も具体的なのは、9月度の既存店売上高が前年比105.0%(全店107.1%)と、上期(既存店102.0%)を大きく上回る出だしだったことです。ただし会社は9月度について「企業セールを追加した影響で(衣料品・住居関連品が)伸長」と説明しており、衣料品は+27.1%、住居関連品は+18.5%でした。食品は既存店+2.3%で、上期の食品(+2.1%)と大きくは変わっていません。

もう1つ、**下期の新店が前年(4店舗)より少ない(2店舗)**ことは、販管費の伸びを抑える方向に働きます。前年下期に開業した4店舗はすでに既存の費用構造に入っているので、今期下期の販管費の伸びは上期(+5.0%)より低くなる可能性があります。

下期の営業利益の感応度

下期の営業利益がいくらになるかは、「売上がどれだけ伸びるか」「粗利率がどうなるか」「販管費がどれだけ伸びるか」の組み合わせで決まります。前年下期の実績(売上高2,133億円、粗利率30.78%、営業収入192億円、販管費783億円)を出発点に、いくつかの前提を置いて試算します。

下期の売上高の伸び粗利率(前年下期比)販管費の伸び下期営業利益通期営業利益
+6.5%前年並み+5%7,78913,454
+6.5%△0.14pt(上期と同じ悪化幅)+5%7,46513,130
+5.0%前年並み+5%6,80412,469
+5.0%△0.14pt+5%6,48512,150
+3.0%前年並み+5%5,49111,156
(会社予想)——8,63514,300

単位:百万円。筆者の試算で、会社の開示に基づくものではありません。前提:営業収入は前年下期比+5%(上期は+5.4%)、販管費は+5%(上期は+5.0%)。

会社予想(下期営業利益8,635百万円)に届くための粗利率販管費+4%販管費+5%
下期売上高+6.5%30.80%(前年比+0.03pt)31.15%(+0.37pt)
下期売上高+5.0%31.24%(+0.47pt)31.59%(+0.82pt)

筆者の試算(前提は上の表と同じ)。

この2つの表のポイントは2つです。

  1. 会社予想に届くのは、売上高が予想どおり+6.5%伸び、かつ販管費の伸びが4%程度に収まる場合で、このときは粗利率が前年並みで足ります。売上高の伸びが+5%にとどまると、粗利率を前年より0.5〜0.8ポイント改善させる必要があります。今期上期の粗利率は前年より0.14ポイント低く、前年同期と比べられる直近6四半期で、粗利率の改善幅は最大でも+0.26ポイント(2026年2月期第2四半期)でした
  2. 上期と同じペース(売上高+3%前後、販管費+5%)が続けば、通期の営業利益は110億円台になり、前期(133億円)を下回ります

下期の売上高+6.5%という前提は、会社の既存店売上高の目標(下期103.7%)に新店の上乗せを加えたものと読めます。上期の既存店実績は102.0%(目標103.9%)でした。9月度の105.0%が続くかどうかが、最初の確認点になります。

5. 見え方が誤解を生む数字

「小売事業の経常利益+13.3%」と「単体経常利益+15.2%」

決算短信のセグメント情報では、小売事業の利益(経常利益ベース)が6,842百万円から7,748百万円へ**+13.3%**増えています。連結の経常利益が△17.6%なのに、主力事業が増益に見えます。

項目2026年2月期上半期2027年2月期上半期増減
小売事業のセグメント利益6,8427,748+906
小売周辺事業883958+75
その他(外食等)553410△143
セグメント利益の合計8,2789,117+839
調整額(受取配当金の取引消去等)△765△2,927△2,162
連結経常利益7,5126,190△1,322

単位:百万円。出典:決算短信のセグメント情報。

理由は調整額にあります。平和堂(親会社)は子会社から受け取る配当を今期大きく増やしており、単体の営業外収益は14.1億円から35.1億円へ+21.0億円増えました(決算説明資料)。親会社単体の経常利益が+15.2%、中間純利益が+16.2%と増益になっているのはこのためです。グループ内でお金が子会社から親会社に移っただけなので、連結では消去されます(調整額が△21.6億円増えたのがその消去分)。小売事業のセグメント利益には平和堂単体の数字が入っているので、受取配当の増加がそのまま「小売事業の増益」に見えています。

会社も説明資料で「単体経常利益・純利益については、連結子会社からの配当増加にともない増益(連結では消去)」と明記しています。読む側が気をつけるのは、セグメント表だけを見て「本業は好調」と受け取らないことです。今期の単体通期予想(経常利益151億円、前期比+24.1%)も同じ理由で高く見えます。

純利益が営業利益より大きく減った理由:税負担率

項目2026年2月期上半期2027年2月期上半期
税金等調整前中間純利益7,5885,998
法人税等2,6262,366
税負担率34.6%39.4%

単位:百万円。出典:決算短信。税負担率は筆者の算出。

平和堂は中間期の税金を「通期の見積実効税率」を税引前利益に掛けて計算しています(短信の注記)。今期上期の税負担率39.4%は、会社が現時点で見込む通期の実効税率を示しています。前年と同じ34.6%だった場合、上期の純利益は約38.7億円で、開示値より約2.9億円多かった計算になります(筆者の試算)。

ここで1つ数字が合わない点があります。通期予想の純利益98億円を、上期の見積実効税率39.4%で割り戻すと、税金等調整前利益は約164億円必要になり、経常利益予想(152億円)を上回ります(非支配株主に帰属する利益を約1.1億円と置いた筆者の試算)。特別利益で12億円を見込む説明は開示にないので、通期予想の純利益は、上期の見積税率より低い税負担率を前提にしていると読むのが自然です。見積実効税率が上がった理由と、通期予想の税負担率の前提は、会社は開示していません(筆者の推測であり、会社の開示に基づくものではありません)。

用語メモ:見積実効税率。四半期・中間期の税金を、期末に確定する方法ではなく「年間の税率の見込み」で前倒し計算する方法です。交際費や住民税の均等割のように利益の大小と関係なく発生する税金があるため、年間の利益見込みが下がると見積税率は上がる傾向があります。下期に利益が回復すれば税率は下がり、通期の純利益は上期の税率から計算した値より増えます。逆に下期の回復が弱ければ、税率は高いまま残ります。

1株当たり中間純利益の減少率が純利益より小さい理由

純利益は△27.0%ですが、1株当たり中間純利益は△26.3%(98.23円→72.39円)です。期中平均株式数が4,993万株から4,946万株に減ったためで、2024年8月〜2025年7月の自己株式取得の効果が分母に残っています。式で確かめると、3,580百万円÷49,455,725株=72.39円で開示値と一致します。

6. 部門・子会社・店舗のトピック

単体の部門別:衣料品の不振と生鮮の好調

部門(単体・管理会計)上期売上高(百万円)前年比既存店前年比粗利率(前年差)
食品計172,885+4.1%+2.1%25.96%(△0.30pt)
うち生鮮食品81,234+6.3%+4.1%26.23%(△0.23pt)
うちグロサリー91,650+2.2%+0.5%25.72%(△0.37pt)
衣料品10,657△2.6%△2.4%38.17%(+0.01pt)
住居関連品19,098+2.5%+2.3%28.79%(+0.35pt)
合計208,501+3.6%+2.0%26.47%(△0.25pt)

出典:決算説明資料(収益認識基準変更前の管理会計数値。財務会計の単体売上高は197,779百万円)。

生鮮食品(精肉・鮮魚)は既存店+4.1%と好調でした。一方、グロサリー(加工食品・飲料・米など)は既存店+0.5%にとどまり、粗利率も0.37ポイント下がりました。会社は「前年の米需給(備蓄米を中心に数量を確保して販売)の反動」と「今期は米余りによる価格競争」を挙げています。衣料品は天候不順で前年・計画とも下回りました。

商店街の比喩でいえば、魚屋と肉屋は繁盛しているが、乾物屋(グロサリー)は隣のドラッグストアとの値下げ競争に巻き込まれ、洋品店(衣料品)は夏物が売れなかったという上期です。衣料品は粗利率38%と高い部門なので、売上の減少が粗利全体に与える影響は売上構成比(約5%)以上に大きくなります。

既存店売上高の分解

項目(単体既存店)店計食品
売上高102.0%102.1%
客数100.5%100.6%
客単価101.6%101.5%
買上点数99.4%99.1%
一品単価102.3%102.5%

出典:決算説明資料。

客単価の上昇は「一品単価の上昇(値上げと大容量パックの構成比上昇)」によるもので、買上点数は減っています。客数は+0.5%で、会社計画(102.1%)を下回りました。「客数が計画ほど増えなかった」ことが、売上不足の最大の要因というのが会社の説明です。

地域別

単体既存店の前年比は、滋賀県100.5%、京阪神103.0%、北陸102.3%、東海104.3%でした。本拠地の滋賀県が最も低い伸びです。説明資料では、滋賀県内で新店を出したエリアの既存店が前年を下回った例(堅田エリアのアル・プラザ堅田89.2%、南郷エリアのフレンドマート石山寺辺店74.9%など)が示されており、新店とエリア合計では前年を14%以上上回っています。自社の新店が自社の既存店の客を一部引き取る構図で、エリア全体のシェアを取りにいくドミナント戦略の、既存店の数字には出にくい側面です。

子会社

子会社上期営業収益前年比上期営業利益前年比
ベストーネ(総菜・生鮮加工)23,713+9.6%522+45.3%
ファイブスター(外食:ココス等)6,468+4.7%195△43.7%
ナショナルメンテナンス(ビル管理)5,171+5.8%148△44.1%
シー・オー・エム(KFC)2,182+9.3%198+56.4%
平和堂(中国)2,966+4.6%195+10.1%
連結子会社計44,434△1.8%1,541△6.8%

単位:百万円。出典:決算説明資料。連結子会社計の減収減益は、エール・ヤナゲン(いずれも親会社に吸収合併)が抜けた影響を含みます。

設備投資の増加

連結設備投資2026年2月期実績2027年2月期上期実績下期計画年間見込み
連結合計19,20410,87915,03425,913
うち単体・新設店舗5,1541,3894,3545,743
うち単体・改装修繕8,1753,2714,9248,195
うち単体・IT2,6311,2702,9304,200

単位:百万円。出典:決算説明資料。

ITは「サイバー攻撃による業務影響を鑑みネットワーク・セキュリティの投資を拡大」と説明されています。設備投資が増えると、翌期以降の減価償却費(販管費)が増えます。今期の投資増は、来期の販管費の伸びとして戻ってくる点は、来期の利益を考えるときの材料です。

7. 資本政策と株主還元

配当:「累進配当」は2027年2月期までと明記

決算期1株配当(円)中間/期末連結配当性向配当の決め方(会社の説明)
2023年2月期4219/2329.3%安定配当
2024年2月期4219/2332.5%安定配当
2025年2月期6330/3330.1%配当性向30%以上
2026年2月期6633/3334.9%配当性向30%以上+累進配当
2027年2月期(予想)6633/33(中間は実施済み)33.3%配当性向30%以上+累進配当(2027年2月期まで)

出典:決算短信、有価証券報告書、会社IRサイト、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(アップデート)」、決算説明資料。配当性向は連結ベース(有報の単体ベースでは2026年2月期34.4%)。

この表のポイントは2つです。

  1. 2025年2月期に配当の決め方が変わりました。 「安定配当」の時代(年42円)から「配当性向30%以上」に切り替わり、1株配当は1年で42円から63円へ5割増えています。配当の推移を見るときは、この切り替えより前と後を分けて見る必要があります
  2. 会社は資料で**「2027年2月期まで配当政策については『累進配当』とします」**と書いています。累進配当(前年より減配しない方針)には期限が付いており、今期がその最終年度です。来期以降の方針は、次の中期経営計画とあわせて示されると見られますが、時期は開示されていません

用語メモ:累進配当。「配当を前年から減らさず、維持または増やす」という方針です。利益が減っても配当は下がらないので、株主には安心材料になります。一方で、利益が減った年は配当性向が上がり、会社の手元に残るお金が減ります。

下期が前年並みだった場合の配当性向

ケース通期の純利益1株当たり利益年66円の配当性向
会社予想どおり9,800198.16円33.3%
下期が2025年2月期並み(61.6億円)9,743197.0円33.5%
下期が2026年2月期並み(45.1億円)8,085163.5円40.4%

単位:百万円(1株当たりは円)。筆者の試算。1株当たり利益の分母は8月20日時点の自己株式控除後の株数(49,456,844株)。

下期が前年並みにとどまっても、配当性向は40%程度で、「30%以上」という方針の範囲内です。年66円の配当は、今期については方針上も財務上も維持しやすい水準と言えます。配当性向30%ちょうどで計算した1株配当は、会社予想で約59円、下期が前年並みなら約49円で、いずれも66円を下回ります。今期の66円を支えているのは「配当性向30%」ではなく「累進配当」の方です。だからこそ、累進配当の期限が切れる来期以降の方針が論点になります。

配当総額も確認します。中間配当33円×自己株式控除後の株数49,456,844株=1,632百万円で、有報に記載された前期の中間配当総額(1,632百万円)と同じ水準です。

自己株式の取得

平和堂は2024年6月27日の取締役会で、200万株・60億円を上限とする自己株式取得を決議し、2024年8月21日〜2025年8月20日の期間で200万株(取得総額50.36億円、1株平均約2,518円)を取得しました(金額上限の未使用割合16.05%、有報)。このうち100万株は2024年10月に消却しています。今期上期は自己株式の取得を行っていません(CFの取得額は単元未満株の買取りのみ)。

2026年2月期の総還元性向(配当総額32.6億円+自己株式取得26.96億円)÷純利益94.1億円は約63%でした(筆者の概算)。今期は自己株式取得がないため、現時点では配当のみの約33%です。会社のキャッシュアロケーション方針(2026年2月期〜2027年2月期)は「業績の状況に応じた増配・自己株買いの実施により総還元性向向上」「大型成長投資については借入金でROE改善」としています。

株主構成

株主(2026年2月20日時点)持株比率(自己株式を除く)
日本マスタートラスト信託銀行(信託口)7.40%
夏原商事株式会社7.08%
平和堂共栄会(取引先持株会)6.23%
公益財団法人平和堂財団6.07%
株式会社滋賀銀行5.06%
株式会社ピース&グリーン3.94%
日本生命保険相互会社3.76%
平和観光開発株式会社3.43%
平和堂社員持株会2.34%
上位10名計47.34%

出典:有価証券報告書(第69期)「大株主の状況」。

取引先持株会・社員持株会・財団・地元銀行が上位に並ぶ、地域企業らしい株主構成です。個人株主は14,469人で、所有株式数の33.25%を持っています(自己株式を含む)。有報では夏原商事株式会社と株式会社ピース&グリーンの住所が同じ(滋賀県彦根市西今町40番地1)と記載されていますが、両社の関係や他の株主との関係は有報の大株主表からは確認できないため、本記事では持株比率を合算していません。

平和堂は滋賀銀行の株式を政策保有しており(貸借対照表計上額34.4億円、2026年2月期末)、滋賀銀行も平和堂株の5.06%を持つ相互保有の関係です。上期の投資有価証券の増加(+18.6億円)は、その他有価証券評価差額金の増加(+12.8億円)を税効果(約30%)で割り戻した額(約18.3億円)とほぼ一致しており、株式を買い増したのではなく保有株の値上がりと読めます(筆者の検算)。

株主総会の賛成率

2026年5月14日の定時株主総会では、すべての議案が可決されました。取締役選任議案の賛成率は、代表取締役社長の平松正嗣氏が88.12%で、他の取締役(95〜98%)より低くなっています(臨時報告書)。誰が反対したかは開示されていません。議決権行使助言会社や機関投資家の一部はROE等の基準で経営トップの選任に反対することがありますが、今回の反対票がそれによるものかは分かりません(筆者の推測であり、会社の開示に基づくものではありません)。

社債の発行登録

平和堂は2025年12月8日に社債の発行登録書を提出しています(手取金の使途は「設備投資、投融資資金、運転資金及び借入金返済資金」、発行額等は未定と記載)。会社の「大型成長投資は借入金で」という方針と整合する手当てです。現時点で発行の開示は確認していません。

8. 株主優待:買物券の名目と実質

制度の内容

保有株式数1回あたり(買物券を選んだ場合)年間(2回)1株あたり年間1回あたり(デジタルギフトを選んだ場合)
100〜299株1,000円分(100円券×10枚)2,000円分20.0円500円相当
300〜499株3,000円分6,000円分20.0円500円相当
500〜999株5,000円分10,000円分20.0円500円相当
1,000〜1,999株10,000円分20,000円分20.0円2,000円相当
2,000〜2,999株20,000円分40,000円分20.0円2,000円相当
5,000株以上50,000円分100,000円分20.0円2,000円相当

出典:会社IRサイト「配当・株主優待情報」、有価証券報告書「株主に対する特典」(両者の記載は一致)。3,000〜4,999株の区分は省略。

  • 基準日:2月20日と8月20日(年2回。配当の基準日と同じ)
  • 長期保有特典:同一の株主番号で5回以上連続して株主名簿に載り(約2年以上)、300株以上を継続保有している株主に、1回あたり買物券1,000円分(またはデジタルギフト500円相当)を追加
  • 利用できる店舗:平和堂の直営店(テナント・共同組合を除く)、ファイブスターの店舗(ココス、すし処海座など)
  • 有効期限:2月20日基準分は同年11月30日まで、8月20日基準分は翌年5月31日まで

買物券は保有株数に比例する

この優待は、買物券を選ぶ限り保有株数に比例して増える設計です。1株あたりの年間優待額は、100株でも5,000株でも20円で変わりません。上位区分で1株あたりが下がる優待(よくあるのは「100株でも1,000株でも同じ品」の設計)とは違い、買い増しても優待利回りが薄まりません。

一方、デジタルギフトを選ぶと、100〜999株は一律500円相当、1,000株以上は一律2,000円相当です。デジタルギフトは平和堂の店舗がない地域の株主でも使える選択肢ですが、金額で見ると買物券の半分以下(100株で買物券1,000円分に対しデジタルギフト500円相当)になり、999株保有では買物券の10分の1です。

名目の利回り?

2026年10月1日終値2,564円で計算します。

保有株式数必要資金年間配当(66円)年間優待(買物券)配当+優待の名目利回り?
100株256,400円6,600円2,000円3.35%?
300株(長期保有特典あり)769,200円19,800円8,000円3.61%?
1,000株2,564,000円66,000円20,000円3.35%?

筆者の計算。配当利回りは2.57%、買物券の名目優待利回りは0.78%(長期保有の300株は1.04%)。

名目と実質のギャップ

買物券には使い方の条件があります。

  1. 1回の買い物(1枚のレシートの税込金額)1,000円以上につき、1,000円ごとに100円券1枚しか使えません。つまり実質は「最大10%引きの割引券」で、1,000円分の券を一度に全部使うには1回で10,000円以上の買い物が必要です
  2. QR決済(PayPay等)での支払い時は使えません
  3. 商品券や専売品など、一部の商品には使えません
  4. 有効期限は約6か月です

商店街の比喩でいえば、これは**「商店街の共通商品券」ではなく「商店街での買い物が10%引きになる割引券」**です。平和堂の店で日常的に食品を買う人にとっては、年2,000円分(100株)の券を使い切るのは難しくありません。月に数回、1回1,000円以上の買い物をするだけで消化できます。一方、近くに平和堂の店がない人にとっては、買物券の価値はほぼゼロで、デジタルギフト(100株で年1,000円相当、利回り0.39%)が現実的な選択肢になります。優待の実質価値は「どこに住んでいるか」で大きく変わる優待です。

長期保有特典の受け取りまでの期間

長期保有特典は「同一株主番号で5回以上連続して名簿に記載」が条件です。基準日は年2回なので、5回目の記載は最初の記載から2年後です。

  • 次の基準日2027年2月20日(土)の名簿に初めて載る場合、5回目は2029年2月20日で、**長期保有特典の初回は2029年2月基準分(同年5月下旬発送)**になります
  • 貸株サービスの利用や、全株売却後の買い戻しで株主番号が変わると、カウントがリセットされることがあると会社は注意喚起しています

権利付き最終日

基準日曜日権利付き最終日
2027年2月20日(期末配当・優待)土曜日2027年2月17日(水)
2027年8月20日(中間配当・優待)金曜日2027年8月18日(水)

筆者の計算。基準日が土曜日のため、直前の営業日(2月19日・金)を起点に2営業日前が権利付き最終日になります。「2月末決算だから2月末に買えばよい」と考えると間違えます。 平和堂の基準日は2月20日・8月20日です。

優待コストの継続性

会社は優待費用の総額を開示していません。有報の所有者別状況では個人株主が14,469人で、仮に全員が100〜299株区分(年2,000円分)だとすると年約2,900万円、より多く持つ株主を含めても数千万円台から1億円程度の規模と見られます(筆者の推測)。営業利益(年130億円台)に対しては小さい規模で、コストの面から制度の継続性を心配する段階ではありません。買物券は自社店舗での買い物を前提にした割引券なので、利用された分の一部は売上として戻ってくる設計でもあります。

ただし、優待は会社の判断で変更・廃止できる制度です。累進配当の期限(2027年2月期まで)と同じく、次の中期経営計画で株主還元の全体像が見直される可能性はあります。

優待だけを目当てに買うかの判断軸

  • 平和堂の店を日常的に使う人:買物券は実質的に現金に近い価値を持ちます。配当と合わせた名目利回り3.35%(100株)を、ほぼそのまま受け取れます
  • 店が近くにない人:デジタルギフトを選ぶと優待利回りは0.39%(100株)に下がり、配当利回り(2.57%)が中心になります
  • 株価の変動:今年の高値(3,250円、2月18日)から現在値は約21%下にあります。100株の年間優待2,000円は、株価が20円(約0.8%)動けば相殺される金額で、優待の価値より株価の値動きのほうがはるかに大きいことは前提として持っておく必要があります

9. 株価の見方

株価に関する記述はこの節に集約します。基準は2026年10月1日終値2,564円です。

指標値計算方法
終値(10月1日)2,564円前日比△22円(△0.85%)
時価総額(発行済株式数ベース)約1,322億円51,546,470株×2,564円
時価総額(自己株式控除後)約1,268億円49,456,844株×2,564円
PER(会社予想ベース)12.9倍2,564円÷198.16円
PER(前期実績ベース)13.5倍2,564円÷189.29円
PBR0.64倍2,564円÷4,029.16円(8月20日時点のBPS)
配当利回り(予想)2.57%66円÷2,564円
年初来高値・安値3,250円(2月18日)/2,366円(6月26日)Yahoo!ファイナンス(報道ベース)

筆者の算出。会社予想EPS198.16円の分母(予想純利益98億円÷198.16円≒4,945.5万株)は、8月20日時点の自己株式控除後の株数とほぼ一致します。

決算は10月1日13時30分(取引時間中)に発表されました。当日は始値2,551円、安値2,504円、終値2,564円で、出来高は33.1万株と直近10営業日平均の約3.5倍でした。発表後の時間帯に安値をつけたのかどうかは、日足のデータからは確認できません。

株価は2026年2月期末(2026年2月20日)の約3,000円(有報の株価収益率15.85倍×1株当たり利益189.29円から逆算)から約15%下がっています。有報によれば2026年2月期の株主総利回りは155.8%(配当込みTOPIX222.8%)でした。

強気の見方

  • 営業収益は連結・単体とも過去最高で、売上の土台は崩れていない。生鮮食品は既存店+4.1%と好調で、9月度の既存店売上高は105.0%と下期の出だしは強い
  • 上期の減益の主因は販管費で、うち新店の立ち上げ費用や改装8店舗分の一時費用(改装に伴う除却損は特別損失)は一時的な性格を持つ。下期の新店は前年の4店舗から2店舗に減り、費用の伸びは鈍る可能性がある
  • 会社は粗利率について「8月度は前期を上回った」「備蓄米反動は第3四半期で収束」と説明しており、9〜11月のメーカー値上げも粗利率の追い風になりうる
  • PBR0.64倍で、会社自身がPBR1倍を目標に掲げている。自己資本比率62%、ネットキャッシュの財務で、配当性向40%程度までなら年66円を維持できる余力がある
  • 上期の税負担率39.4%は通期では下がる可能性が高く、下期に利益が戻れば純利益の戻りは営業利益の戻りより大きくなる

弱気の見方

  • 会社予想は下期に**前年比+33.3%の営業増益と、直近3期で最も高い下期営業利益率(3.49%)**を置いている。過去2期は据え置き時点で+7〜9%を求め、実際は+2.7%と△8.1%だった
  • 販管費は2026年2月期通期で+3.2%、今期上期で+5.0%伸びており、人件費の上昇は一時費用ではない。売上がそれ以上に伸びない限り、減益の構造は続く
  • 設備投資を前期比+35%の259億円に増やしており、来期以降の減価償却費の増加として販管費に戻ってくる
  • 客数は計画(102.1%)に対し100.5%で、ドラッグストア・ディスカウントストアとの競争(会社の中計資料でも課題として明記)は続いている
  • 累進配当は2027年2月期までと期限があり、来期以降の配当方針は未定。利益が伸びないまま期限を迎えると、配当方針が変わる可能性も排除できない
  • ROEは5%前後で、会社が目安とする8%(資本コストの上限側)との距離は大きく、株主総会での社長の賛成率も他の取締役より低かった

判断の分かれ目

この銘柄の株価を考えるうえで、**「下期の回復を会社がどこまで実現できるか」**が分かれ目になります。会社予想どおりなら、予想PER12.9倍・PBR0.64倍は、2030年目標(営業利益率4.5%・ROE8%)への道筋とあわせて評価される可能性があります。上期と同じペースなら、通期の営業利益は110〜120億円台(筆者の試算)で、予想の下方修正と、来期の配当方針の見直しが論点になります。どちらの見方を取るかは、読者ご自身の判断です。

10. 今後のカレンダーと見るべきKPI

時期イベント見るポイント
毎月上旬月次営業情報(既存店・全店売上高の前年比)下期の既存店目標103.7%に対する実績。9月度は105.0%
2026年10月2日半期報告書の提出—
2026年11月2日中間配当(33円)の支払開始—
2026年11月アルプラフーズマーケット高岡の開業予定、8月基準日分の優待発送(11月上旬)—
2026年12月下旬(例年)第3四半期決算(前年は12月25日)第3四半期単独の営業利益(前年17.8億円、例年最も小さい四半期)、粗利率の前年差、通期予想の修正の有無
2027年2月17日(水)期末配当・優待の権利付き最終日—
2027年2月20日決算期末・基準日—
2027年4月上旬(例年)通期決算通期の着地、2028年2月期の予想、累進配当の期限後の配当方針、次期中期経営計画
2027年5月中旬(例年)定時株主総会取締役選任の賛成率

見るべきKPI

  1. 既存店売上高の月次前年比:下期目標103.7%。上期は目標103.9%に対し102.0%
  2. 単体の粗利率の前年差:上期は△0.25pt。会社は「8月度は前期を上回った」と説明
  3. 連結の販管費の伸び率:上期+5.0%。売上の伸びを上回るかどうか
  4. 第3四半期単独の営業利益:前年17.8億円。下期の会社予想(86.4億円)の達成には、第3・第4四半期合計で前年(64.8億円)を21.6億円上回る必要がある
  5. 通期予想の修正の有無と、修正の時期

11. 3行まとめ

  • 2027年2月期上半期は営業収益が過去最高(+3.1%)でも営業利益は△17.1%。主因は粗利率の低下(△3億円)より、販管費の伸び(+5.0%)が売上の伸びを上回ったことでした
  • 通期予想の据え置きは、下期に前年比+33.3%の営業増益を置く予想です。過去2期の据え置き時点で求めた下期の伸び(+7〜9%)はいずれも実現していません
  • 配当66円は今期の累進配当で支えられており、方針の期限は2027年2月期まで。優待(買物券)は保有株数に比例し、店を日常的に使うかどうかで実質価値が大きく変わります

本記事について

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘・助言を目的としたものではありません。数値の出典は、平和堂の決算短信(2027年2月期第2四半期・第1四半期、2026年2月期通期・各四半期、2025年2月期通期・各四半期、2024年2月期各四半期)、決算説明資料(2027年2月期第2四半期、2026年2月期)、有価証券報告書(第69期)、臨時報告書(2026年5月18日提出)、発行登録書(2025年12月8日提出)、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(アップデート)」、第5次中期経営計画資料、会社IRサイト(配当・株主優待情報、月次営業情報)です。2024年2月期の業績予想修正の日付(2023年9月22日)は、会社の開示文書のファイルと報道で確認しました。株価・出来高・年初来高値安値はYahoo!ファイナンスの表示(2026年10月1日夜時点)によるもので、報道ベースの扱いです。四半期単独の数値、数量効果・率効果の分解、残り期間の含み、感応度表、配当性向の試算は筆者の算出・試算です。決算説明会(機関投資家・アナリスト向け、10月1日・2日)の質疑応答は本記事の執筆時点で確認しておらず、反映していません。税負担率に関する通期予想の前提、優待費用の規模、株主総会の反対票の背景、連結ベースの人件費増加の内訳についての記述は筆者の推測を含み、会社の開示に基づくものではありません。次期中期経営計画と2028年2月期以降の配当方針は、本記事の執筆時点で会社から示されていません。

記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。

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