株式投資

【2026年10月発表・第1四半期(6〜8月)決算】クリエイトSDホールディングス(3148)売上6.5%増でなぜ営業減益? 据え置いた会社予想が「9〜11月の3か月」に置いた前提を読む

本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。**執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。**特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • 6〜8月の3か月は、過去13四半期で粗利率(25.01%)も営業利益率(4.17%)も最も低い3か月だったこと。減益229百万円の中身を「売上の増加」「粗利率の低下」「販管費の増加」の3つに分けると、販管費の増加1,923百万円の6割が給料及び手当だったこと
  • これまでは「粗利率が下がっても販管費率がもっと下がる」ことで利益率を保ってきたが、今回初めて販管費率が上がったこと
  • 会社は予想を据え置いたが、上期予想から逆算すると9〜11月の3か月に営業利益で前年比+13.2%を置いていること。過去2年の同じ計算では、9〜11月は予想の95.6%・97.3%で着地していること
  • 経常利益は+5.0%の予想なのに純利益は+0.1%にとどまる理由を、税負担率と特別損失の逆算表で読むこと
  • 株主優待について、会社IRサイトと有価証券報告書の記載が食い違っていること(確認が必要な前提として扱います)

1. 前提知識:八百屋の値段で人を呼び、薬局のカウンターで稼ぐ店

1-1. この会社を一言でいうと

神奈川県を地盤に、首都圏と静岡・愛知でドラッグストア「薬クリエイト」を800店あまり展開する会社です。2026年8月末の店舗数は、ドラッグストア815店、食品スーパー13店、生鮮食品専門店5店、調剤専門薬局48店、ドラッグストア併設の調剤薬局444店の合計881店舗(短信の記載)。持株会社の下で、事業会社の株式会社クリエイトエス・ディー(以下CSD)が店を運営しています。

この記事では、この会社を**「八百屋の値段で人を呼び、薬局のカウンターで稼ぐ店」**として読みます。

店に入ると、売場のいちばん広い面積を占めているのは食品です。2026年5月期のCSD単体の売上のうち、食料品は44.0%。豆腐や卵、肉や野菜を、毎日同じ安い値段(EDLP:エブリデイ・ロープライス)で並べて、近所の人に週に何度も来てもらう。これが「八百屋の値段で人を呼ぶ」部分です。そして店の奥には、医薬品・化粧品の棚と、処方箋を受け付ける調剤のカウンターがあります。食品より粗利の厚いこちらで稼ぐ、という組み立てです。

この例えのいいところは、強みと弱みが同じ一文から出てくることです。

  • 強み:毎日の食品で客を呼ぶので、来店頻度が高い。調剤のついでに食品も買う、食品のついでに薬も買う、という往復が起きる
  • 弱み①:八百屋の棚が増えるほど、店全体の粗利率は下がる。食品は粗利が薄いので、食品の売上比率が上がるだけで粗利率は下がります
  • 弱み②:カウンターの値段は国が決める。調剤の売上は薬価と調剤報酬で決まり、2年ごとの改定で動きます
  • 弱み③:どちらの売場も人が要る。品出し・レジ・薬剤師。売上が伸びても、人件費が同じかそれ以上に伸びれば利益は残りません

今回の決算は、この弱み①と③が同じ3か月に重なった決算でした。

1-2. 売上の中身(2026年6〜8月)

短信の補足情報に、商品部門ごとの売上と前年同期比が載っています。

区分2026年6〜8月 売上(百万円)前年同期比構成比(ドラッグストア事業内)
医薬品(OTC+調剤)32,908+7.6%26.0%
うちOTC(市販薬)15,484+1.2%12.2%
うち調剤17,424+14.0%13.8%
化粧品14,097+1.7%11.1%
食料品55,379+5.8%43.7%
日用雑貨品18,802+4.1%14.8%
その他5,506+2.6%4.3%
ドラッグストア事業 小計126,693+5.4%100.0%
スーパーマーケット事業2,153+195.5%—
介護事業620+8.6%—
合計(その他の収益73を含む)129,540+6.5%—

(出典:2027年5月期第1四半期決算短信の補足情報。構成比は筆者計算。医薬品はOTCと調剤の合計で、ドラッグストア事業の小計は医薬品・化粧品・食料品・日用雑貨品・その他の合計です)

この表のポイントは2つです。

1つ目は、伸びているのが調剤(+14.0%)と食料品(+5.8%)で、粗利の厚いOTC(+1.2%)と化粧品(+1.7%)がほとんど伸びていないことです。「カウンター」は伸びていますが、そのカウンターも前期に粗利率を下げています(後述)。

2つ目は、スーパーマーケット事業が約3倍になっていることです。2025年10月に買収した八百半ホールディングス(栃木県、食品スーパー8店)が、前年の6〜8月には入っておらず、今年の6〜8月には入っているからです。この「買収の上乗せ」は第5章で分けます。

用語メモ:EDLP(エブリデイ・ロープライス) 特売日に大きく値引きするのではなく、毎日ほぼ同じ安い値段で売る売り方です。チラシや特売の費用を抑えられる一方、粗利率は高くなりにくい売り方です。

1-3. 5期の業績推移

有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」から転記します。

決算期売上高(百万円)経常利益(百万円)純利益(百万円)EPS(円)ROE自己資本比率1株配当(円)
2022年5月期350,74418,66512,595199.2412.4%60.1%46
2023年5月期380,96319,42812,925204.4611.6%59.7%52
2024年5月期422,33020,88213,691215.6111.1%60.2%64
2025年5月期457,09323,41415,685242.8211.5%60.3%78
2026年5月期497,12825,23216,990263.0011.4%60.4%93
2027年5月期(会社予想)541,00026,50017,000263.15——96

4年で売上は1.42倍、EPSは1.32倍、配当は2.02倍です。売上は毎年8〜10%伸び、利益もほぼ毎年伸びている、という「安定成長」の会社です。だからこそ、6〜8月に営業利益が前年を下回ったことの意味を、丁寧に見る必要があります。

通期の利益率の流れも並べておきます。

決算期粗利率販管費率営業利益率経常利益率
2024年5月期26.09%21.30%4.79%4.94%
2025年5月期26.08%21.13%4.95%5.12%
2026年5月期25.54%20.72%4.82%5.08%
2027年5月期(会社計画)25.32%20.65%4.68%4.90%

(2027年5月期の粗利・販管費は2026年7月16日の決算説明資料の計画値137,000百万円・111,700百万円から筆者計算)

粗利率は下がり続け、販管費率がそれ以上に下がることで営業利益率を保ってきた、というのがここ数年の形です。会社も2026年5月期の説明資料で、粗利率の低下を「食品構成比増に伴う荒利ミックス影響および各部門荒利率の低下」と説明し、販管費は「適正コントロール」で計画内に収めたと書いています。今期の計画も同じ形(粗利率△0.2pt、販管費率△0.1pt)を置いています。

1-4. 中期経営計画「Next STAGE 2030」との距離

2025年7月に公表した中期経営計画の定量目標は次の3つです。

目標項目2030年5月期目標2026年5月期実績2027年5月期 会社計画2027年5月期 第1四半期
売上高6,800億円4,971億円5,410億円(3か月で1,295億円)
経常利益率5.0%以上5.08%4.90%4.35%
ROE12.0%以上11.4%約10.6%(筆者試算)—

(ROEの今期試算は、純利益予想17,000百万円を期首純資産154,321百万円と、期末純資産を期首+純利益予想−年間配当総額(96円×64,602,264株≒62億円)で置いた平均で割った筆者の概算です)

売上目標は、今期計画の5,410億円から3年で年率約7.9%伸びれば届く計算で、過去の伸び(8〜10%)からは遠くありません。

気になるのは経常利益率です。今期の会社計画そのものが4.90%で、中計の「5.0%以上」を下回っています。前期は5.08%で目標の上にいましたから、会社は今期、目標の線を一度割る計画を自分で出していることになります。会社はこの点について決算説明資料で触れていません。6〜8月の経常利益率は4.35%でした。

1-5. 会社予想の達成履歴

この会社は期初に通期予想と上期(6〜11月)予想の両方を出します。直近の修正と着地を並べます。

決算期期初の営業利益予想修正(開示日)実績期初予想比第1四半期の進捗率(期初予想比)
2024年5月期19,24020,980(2024年4月8日、第3四半期決算と同日に上方修正)20,227105.1%(修正後比96.4%)24.8%
2025年5月期22,000修正なし22,625102.8%24.0%
2026年5月期24,100修正なし23,97099.5%23.4%
2027年5月期25,300———21.4%

(単位:百万円。2024年5月期の修正は「通期業績予想の修正および配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」)

上期予想との比較も並べます。

決算期上期 営業利益予想上期 実績上期達成率通期の着地(期初予想比)
2025年5月期10,70010,46297.8%102.8%
2026年5月期11,26011,10698.6%99.5%
2027年5月期11,600———

(2024年5月期の上期予想は今回取得していないため空欄としています)

この表のポイントは2つです。

1つ目は、**直近2年は「上期予想に少し届かず、通期はほぼ予想どおり」**という形で、期中に一度も修正していないことです。上にも下にも大きくは外さない会社です。

2つ目は、今期の第1四半期の進捗率21.4%が、この4年で最も低いことです。ただし、この会社は第1四半期の進捗率で通期を判断できるほど季節性が単純ではないので、第4章で「残り期間」を前年と並べて読みます。


2. 決算ハイライト(2026年10月5日15時30分発表)

2-1. 損益

科目2025年6〜8月2026年6〜8月増減増減率
売上高121,586129,540+7,954+6.5%
売上総利益30,70432,398+1,694+5.5%
粗利率25.25%25.01%△0.24pt—
販売費及び一般管理費25,07026,993+1,923+7.7%
販管費率20.62%20.84%+0.22pt—
営業利益5,6335,404△229△4.1%
営業利益率4.63%4.17%△0.46pt—
経常利益5,9085,630△278△4.7%
税金等調整前四半期純利益5,9085,630△278△4.7%
法人税等1,9111,842△69—
親会社株主に帰属する四半期純利益3,9963,788△208△5.2%
1株当たり四半期純利益(円)61.8758.64△3.23△5.2%

(単位:百万円。出典:2027年5月期第1四半期決算短信)

増収率と減益率の食い違い(+6.5%と△4.1%)が、この決算のすべてです。理由は第3章で分解します。

経常利益の減少(△278)が営業利益の減少(△229)より大きいのは、営業外費用に**「商品廃棄損」64百万円**が新しく出ているからです。この科目は前期1年間で6百万円しかありませんでした。3か月で前期1年分の約10倍です。会社は理由を説明していません。金額は小さいですが、「売れなかった商品を捨てた費用」が営業費用ではなく営業外費用に置かれている、という区分も含めて、次の四半期で続くかを見る数字です。

用語メモ:短信に会社の説明がない四半期 この会社は第1四半期と第3四半期に決算補足説明資料も説明会もありません(短信の表紙に「無」と記載)。今回の短信本文も、売上が伸びた理由(EDLP、調剤の伸び)は書いていますが、営業利益が減った理由は一文も書いていません。本記事で減益の中身として書くことは、短信の数字から筆者が分解したものです。

2-2. 財政状態

科目2026年5月末2026年8月末増減
現金及び預金37,09932,273△4,825
商品46,34944,823△1,525
のれん8841,837+953
土地42,51344,281+1,768
買掛金65,47463,114△2,360
有利子負債(社債・長短借入金)1,3601,052△307
純資産154,321154,988+667
自己資本比率60.4%62.0%+1.6pt

(単位:百万円。有利子負債は1年内償還予定の社債・1年内返済予定の長期借入金・長期借入金の合計で筆者計算)

手元資金が約48億円減ったのは、配当の支払い(3,100百万円)、法人税の支払い(未払法人税等が1,705百万円減)、賞与の支払い(未払費用3,786百万円減)が重なる時期だからで、毎年この時期に起きることです。財務はほぼ無借金で、懸念のある形ではありません。

のれんが953百万円増えたのは、2026年6月25日に買収した株式会社やおふく(長野県上田市、食品スーパー4店)によるものと筆者は見ています(短信に内訳の記載はなく、筆者の推測です)。前期の有価証券報告書の後発事象注記によれば、やおふくの取得原価は300百万円です。のれんの増加額が取得原価を上回っていることになりますが、のれんの金額は「現時点では確定しておりません」(有報)とされており、短信にも内訳の説明はありません。数字の並びとしてだけ記録しておきます。

なお、第1四半期はキャッシュ・フロー計算書が作られていません。減価償却費(のれんを除く無形固定資産の償却を含む)は1,528百万円、のれん償却額は33百万円です(短信の注記)。

用語メモ:短信の誤記と思われる箇所 今回の短信には、数字が合わない箇所が2つあります。①財政状態の説明文で売掛金の減少が「326万円」と書かれていますが、貸借対照表では20,788→20,461百万円で、減少は約327百万円です。②地区別売上実績の表の構成比が、金額と合いません(当期の神奈川県は77,444百万円で、合計129,540百万円に対しては59.8%ですが、表は60.9%と記載)。どちらも短信の金額欄を正として読んでいます。


3. 深掘り①:6〜8月は、13四半期で最も利益率の低い3か月だった

ここからの3章は、1つの問いの3つの段階です。「売上は6.5%伸びたのに利益が減った。会社はそれでも予想を据え置いた。その予想は何を前提にしているのか」。最初の段階として、まず6〜8月に何が起きたのかを、過去の3か月と並べて確かめます。

3-1. 13四半期の差し引き

この会社の短信は累計の数字しか出しません。各四半期の短信の累計値(当期と前年同期の列)を引き算して、3か月ごとの数字を作りました。2023年6月から2026年8月までの13四半期です。

3か月売上高前年比粗利率販管費率営業利益前年比営業利益率給料及び手当/売上
2023年6〜8月104,078—25.63%21.04%4,775—4.59%8.58%
2023年9〜11月103,373—26.40%21.49%5,077—4.91%8.68%
2023年12〜2月105,668—26.42%21.00%5,736—5.43%8.50%
2024年3〜5月109,211—25.91%21.67%4,639—4.25%8.48%
2024年6〜8月113,898+9.4%25.51%20.87%5,284+10.7%4.64%8.33%
2024年9〜11月110,908+7.3%26.32%21.65%5,178+2.0%4.67%8.73%
2024年12〜2月114,663+8.5%26.03%20.82%5,969+4.1%5.21%8.39%
2025年3〜5月117,624+7.7%26.46%21.20%6,194+33.5%5.27%8.52%
2025年6〜8月121,586+6.7%25.25%20.62%5,633+6.6%4.63%8.40%
2025年9〜11月120,340+8.5%25.92%21.37%5,473+5.7%4.55%8.68%
2025年12〜2月124,292+8.4%25.36%20.53%6,004+0.6%4.83%8.49%
2026年3〜5月130,910+11.3%25.61%20.37%6,860+10.8%5.24%8.54%
2026年6〜8月129,540+6.5%25.01%20.84%5,404△4.1%4.17%8.79%

(単位:百万円。筆者が各期の決算短信の累計値から差し引いて作成。3つの通期について、4四半期の合計が通期の開示値と全科目で一致することを確認済み)

この表のポイントは3つです。

1つ目は、6〜8月の粗利率25.01%と営業利益率4.17%は、どちらも13四半期で最も低いことです。給料及び手当の売上比8.79%は13四半期で最も高い。悪い数字が3つ、同じ3か月に並びました。

2つ目は、6〜8月の粗利率が4年続けてその年の最低だということです(25.63%、25.51%、25.25%、25.01%)。6〜8月は粗利率が低くなりやすい3か月であり、これは3年分の形がそろっているので「季節性」と書いてよい水準です。ただし、季節性だけでは説明できないのは、その最低値が毎年0.1〜0.3ptずつ切り下がっていることです。

3つ目は、販管費率の動きが変わったことです。6〜8月の販管費率は、21.04%→20.87%→20.62%と毎年下がってきました。粗利率が下がっても販管費率がもっと下がるので、6〜8月の営業利益率は4.59%→4.64%→4.63%と横ばいを保ってきました。今回、その販管費率が20.62%→20.84%と初めて上がりました。粗利率の低下(△0.24pt)と販管費率の上昇(+0.22pt)が同じ向きに重なったので、営業利益率が0.46ptも下がった、という構図です。

用語メモ:累計しか開示されない会社の「3か月の数字」 決算短信は「6月から8月まで」「6月から11月まで」のように期首からの累計で数字を出します。3か月ごとの数字を知るには、読者が自分で引き算するしかありません。たとえば2025年9〜11月の営業利益は、上期累計11,106百万円−第1四半期5,633百万円=5,473百万円です。

3-2. 減益229百万円を3つに分ける

営業利益の増減を、「売上が増えた効果(数量効果)」「粗利率が変わった効果(率効果)」「販管費が増えた効果」の3つに分けます。

要因計算2026年6〜8月(今期)2025年6〜8月(前期)2024年6〜8月(前々期)
数量効果売上の増加額×前年の粗利率+2,009+1,961+2,517
率効果当期売上×粗利率の変化△315△316△136
販管費の増加販管費の増加額(マイナス)△1,923△1,295△1,873
合計=営業利益の増減△229+350+508

(単位:百万円。合計は各期の営業利益の実際の増減と一致。前期は四捨五入の関係で表の合計と実際の増減349百万円が1ずれます)

この表のポイントは、率効果(粗利率の低下)は前期とほぼ同じ規模(△315と△316)だったことです。粗利率の低下は今期に始まったことではなく、前期もほぼ同じだけ利益を削っていました。前期はそれでも増益で、今期は減益になった。差を生んだのは販管費の増加が前期より628百万円大きかったことです。

3-3. 増えた販管費の中身

販管費の内訳を前年同期と並べます。

科目2025年6〜8月2026年6〜8月増減増減率売上比
給料及び手当10,21311,387+1,174+11.5%8.40%→8.79%
賞与引当金繰入額1,9722,121+149+7.6%1.62%→1.64%
地代家賃4,6984,908+210+4.5%3.86%→3.79%
減価償却費1,3551,430+75+5.5%1.11%→1.10%
ポイント引当金繰入額200260+60+30.0%0.16%→0.20%
のれん償却額1533+18+120.0%—
その他(退職給付費用・役員賞与を含む)6,6136,851+238+3.6%—
販管費合計25,07026,993+1,923+7.7%20.62%→20.84%

(単位:百万円。「その他」は短信の「その他」に退職給付費用・役員賞与引当金繰入額を足した筆者の集計。内訳は百万円未満切捨てのため、合計と3〜4百万円ずれます)

**給料及び手当だけで、販管費の増加1,923百万円の61%(1,174百万円)**を占めています。売上が6.5%しか伸びていないのに、給料及び手当は11.5%伸びました。前年同期の伸びは7.7%(9,486→10,213)でしたから、伸び方が一段上がっています。

一方、地代家賃(+4.5%)と減価償却費(+5.5%)は売上の伸びより低く、売上比は下がっています。店の固定費は効率化が進んでいて、人の費用だけが売上より速く増えている、というのが販管費の中身です。

給料が増えた理由を会社は説明していません。考えられる要因として、①賃上げ、②新店・買収した食品スーパーの人員、③2026年6月に買収したやおふくの取得関連費用(有報によればアドバイザリー費用等48百万円。どの科目に計上されたかは短信に記載なし)が挙げられますが、これらは筆者の推測であり、会社の開示に基づくものではありません。②の買収分を切り分けると、スーパーマーケット事業の売上の増加は1,425百万円で、全体の増収7,954百万円の約18%です。食品スーパーは一般にドラッグストアより人手の要る業態なので、売上比の人件費を押し上げる方向に働いた可能性はありますが、子会社の販管費は開示されていないので、切り分けられません。

3-4. 「軸」で読み直すと

第1章の例えで言えば、今回の3か月は次のように読めます。

  • **八百屋の棚(食料品)**は+5.8%と伸びたが、前年同期(+9.0%)より伸びが鈍った。それでも食料品の構成比は43.5%→43.7%と上がり、粗利率を押し下げる方向は変わらない
  • **薬局のカウンター(調剤)**は+14.0%と伸びたが、前期の説明資料によればカウンター自体の粗利率が前期に1.1pt下がっている(薬価改定・高額処方の増加)。今回の仕入実績でも、調剤の仕入は+16.1%と売上(+14.0%)より速く伸びています
  • 粗利の厚いOTC・化粧品の棚はほぼ横ばい。会社は短信で「雨天、台風等の天候不順の影響による季節商材の販売不振」を挙げています
  • そして人の費用が売上より速く増えた

用語メモ:「仕入実績」は粗利率そのものではない 短信の補足情報には、商品部門ごとの仕入金額も載っています。売上から仕入を引くと粗利に近い数字が出ますが、在庫の増減(今回は商品在庫が1,525百万円減少)や、買収で受け入れた在庫が混ざるため、粗利率そのものではありません。本記事では「仕入の伸びが売上の伸びを上回った部門がある」という事実の確認にとどめています。


4. 深掘り②:据え置いた予想は、9〜11月の3か月に何を置いているか

第3章で、6〜8月が13四半期で最も利益率の低い3か月だったことを確かめました。それでも会社は予想を据え置きました。次の段階として、据え置いた予想が残りの期間に何を求めているかを、上期予想と通期予想の両方から逆算します。

4-1. 上期予想から逆算した「9〜11月の3か月」

この会社は上期(6〜11月)の予想を出しています。上期予想から第1四半期の実績を引くと、9〜11月の3か月に会社が置いている数字が出ます。同じ計算を過去2年についても行い、実際の9〜11月と並べます。

決算期9〜11月に置いた売上前年比9〜11月に置いた営業利益前年比置いた営業利益率実際の9〜11月 営業利益達成率実際の前年比
2025年5月期113,402+9.7%5,416+6.7%4.78%5,17895.6%+2.0%
2026年5月期119,114+7.4%5,627+8.7%4.72%5,47397.3%+5.7%
2027年5月期133,260+10.7%6,196+13.2%4.65%———

(単位:百万円。〈上期予想−第1四半期実績〉で筆者計算。前年比の分母は前年の9〜11月の実績)

この表のポイントは3つです。

1つ目は、今期の9〜11月に置かれている営業利益の伸び(+13.2%)は、過去2年の置き方(+6.7%、+8.7%)より一段高いことです。

2つ目は、過去2年とも、9〜11月は会社が置いた数字に届かなかった(95.6%、97.3%)ことです。上期予想が少し届かない形は、第1章の達成履歴の表と同じです。

3つ目は、置いている営業利益率(4.65%)自体は過去2年(4.78%、4.72%)より低いことです。会社は利益率の回復を大きく置いているわけではなく、売上の伸び(+10.7%)で利益を取りにいく形になっています。売上の伸びを前年比で+10.7%置いたのは、この3年で最も高い数字です。

4-2. 9〜11月の売上+10.7%は、どこから来る前提か

9〜11月の売上133,260百万円のうち、どれだけを買収した食品スーパーが占めるかで、ドラッグストア事業に求められる伸びが変わります。スーパーマーケット事業の売上を複数置いて、ドラッグストア事業の必要な伸びを逆算します。

9〜11月のスーパーマーケット事業の売上(仮定)ドラッグストア事業に必要な売上前年の9〜11月(118,946)比
2,000130,540+9.7%
2,500130,040+9.3%
3,000129,540+8.9%
3,500129,040+8.5%

(単位:百万円。筆者の試算。介護事業を645百万円、その他の収益を75百万円と置いています。スーパーマーケット事業は6〜8月が2,153百万円で、前年の9〜11月は746百万円でした)

どの仮定を置いても、ドラッグストア事業は9〜11月に前年比+8.5〜9.7%の伸びが要る計算です。6〜8月のドラッグストア事業の伸びは+5.4%でした。

この伸びを、月次の既存店売上と並べると、前提の重さが分かります。会社はCSD単体の月次売上の前年比を毎月公表しています。

3か月2023年度(2024年5月期)2024年度(2025年5月期)2025年度(2026年5月期)2026年度(2027年5月期)
6〜8月 既存店(単月の単純平均)106.2%103.4%103.1%101.7%
9〜11月 既存店(単月の単純平均)107.1%101.3%104.5%?
6〜8月 全店(累計)110.7%109.4%106.8%105.4%

(出典:会社IRサイト「月次業績」。CSD単体の営業速報で、短信の売上とは一致しません。3か月の値は単月の前年比を筆者が単純平均したもの(全店は会社公表の累計値))

会社は決算説明資料(2026年7月16日)で、今期の既存店売上の前提を**上期103.0%、下期104.2%**と置いています。6〜8月の実績が101.7%でしたから、上期で103.0%に届くには、**9〜11月の既存店は単純平均で約104.3%**が必要です(筆者の概算)。

ところが、前年の9〜11月は既存店104.5%と、ここ3年で2番目に高い月が並んでいました(11月単月は106.0%)。高い前年の上に、さらに約4%の既存店の伸びを積む前提になっています。

会社説明資料の前提と6〜8月の実績を並べるとこうなります。

項目会社の前提(上期)6〜8月の実績
既存店売上(全社)103.0%101.7%(月次の単純平均)
うちOTC102.0%短信ではOTC全店+1.2%(既存店値は未公表)
うち調剤110.2%短信では調剤全店+14.0%(既存店値は未公表)

調剤は前提を上回るペース、OTCと全社の既存店は前提を下回るペースです。

4-3. 通期で見た「残りの9か月」

上期だけでなく、通期予想から6〜8月の実績を引いた「残り9か月」も、過去2年と並べます。

決算期第1四半期終了時点で 予想が置いた残り9か月の営業利益前年同期間比置いた営業利益率実際の残り9か月達成率実際の前年比
2025年5月期16,716+8.2%4.86%17,341103.7%+12.2%
2026年5月期18,467+6.5%4.99%18,33799.3%+5.7%
2027年5月期19,896+8.5%4.84%———

(単位:百万円。〈期初の通期予想−第1四半期実績〉で筆者計算)

通期で見ると、残り9か月に置いている伸び(+8.5%)は、過去2年の置き方(+8.2%、+6.5%)と大きくは変わりません。置いている営業利益率(4.84%)も前年同期間の実績(4.88%)より少し低めです。通期の残り9か月の置き方は「無理な前提」とまでは言えない、というのが公平な見方です。

ただし、通期の残り9か月の中で、上期の残り(9〜11月)に+13.2%を置いているので、12〜5月の6か月に置かれている伸びは、計算上それより低いことになります。言い換えると、会社予想は「6〜8月の遅れを9〜11月で取り戻す」形の数字になっています。

そして、12〜5月にはもう1つ、前年の特殊要因があります。会社は2026年5月期の説明資料で、2026年3月以降の「ホルムズ海峡封鎖による買い溜め特需」が売上増に寄与したと書いています。前年の3〜5月は全店売上が単月110%を超え(4月110.7%、5月110.5%)、3か月の営業利益6,860百万円は13四半期で最高でした。今期の3〜5月は、この高い前年と比べられる3か月になります。

4-4. 2つの読み方

この章の数字は、強気にも弱気にも読めます。数字は同じで、どちらの読みもその数字から出ています。

強気の読み:通期の残り9か月の置き方は過去並みで、利益率も控えめに置かれている。過去2年の通期の着地は期初予想比102.8%と99.5%で、大きくは外していない。6〜8月の天候不順は一時的な要因で、9〜11月に風邪・インフルエンザの流行などで医薬品が伸びれば、取り戻せる余地はある。

弱気の読み:過去2年とも9〜11月は会社が置いた数字に届かなかった。今期はその9〜11月に、過去2年より高い+13.2%を置いている。既存店は前提の103.0%に対して101.7%で始まり、9〜11月の前年は高い。人件費が売上より速く伸び始めたのが一時的かどうかは、まだ分からない。

次の検証点は、10月中旬に出る9月の月次(既存店)と、2027年1月中旬(例年)の上期決算です。上期で予想に届かなかった場合、過去2年と違って「少し届かない」で済むかどうかは、9〜11月の既存店がどこまで戻るかで決まります。


5. 深掘り③:経常利益は+5.0%なのに、純利益は+0.1%

第4章では営業利益の前提を見ました。最後の段階として、営業利益から純利益までの残りの段差を見ます。会社予想の損益を上から並べると、最後の1行だけ伸びが消えています。

段2026年5月期 実績2027年5月期 会社予想増減率
売上高497,128541,000+8.8%
営業利益23,97025,300+5.5%
経常利益25,23226,500+5.0%
親会社株主に帰属する当期純利益16,99017,000+0.1%
1株当たり当期純利益(円)263.00263.15+0.1%

経常利益が12億円増えるのに、純利益は1,000万円しか増えない。会社はこの段差の理由を説明していません。経常利益と純利益の間には「特別損益」と「税金」の2つしかないので、どちらにどれだけ置いているかを逆算します。

5-1. 逆算表

経常利益予想26,500百万円から純利益予想17,000百万円を出すための、特別損失と税負担率の組み合わせです。

特別損失の前提税引前利益純利益17,000に必要な税負担率
026,50035.8%
1,00025,50033.3%
1,658(前期と同額)24,84231.6%

(単位:百万円。筆者の逆算。前期の特別損失1,658百万円の大半は減損損失1,538百万円)

この会社の実際の税負担率は、ここ3年で次のとおりです。

決算期第1四半期(見積実効税率)通期の実績
2024年5月期32.2%29.3%
2025年5月期32.2%28.7%
2026年5月期32.3%28.3%
2027年5月期32.7%—

この表のポイントは、毎年、第1四半期の見積税率(32%台)より通期の実績(28〜29%台)のほうが3〜4pt低いことです。前期の有価証券報告書の税率差異の注記を見ると、法定実効税率31.4%から実際の28.3%まで下げた最大の項目は「所得拡大促進税制による特別控除」△2.8ptでした。いわゆる賃上げ税制の控除です。

前期と同じ特別損失(1,658百万円)と前期と同じ税負担率(28.3%)を置くと、純利益は約17,810百万円になる計算です(筆者の試算)。会社予想17,000百万円はそれより約8億円低く、特別損失を前期より多く置いているか、税負担率を前期より高く置いているか、その両方ということになります。

5-2. 2つの読み方

保守的な予想という読み:過去2年、純利益は期初予想を108.9%、104.2%と上回って着地しています。経常利益の上振れ(104.5%、101.3%)より純利益の上振れのほうが大きく、税負担率の見積りが毎年保守的だったことと整合します。今期も同じなら、純利益の予想には余裕がある、という見方が成り立ちます。

減損を置いているという読み:前期の有価証券報告書は、「重要な会計上の見積り」として、CSDの店舗固定資産の減損を挙げています。CSDの店舗固定資産は81,728百万円(連結総資産の32.01%)で、会社は「実績が損益計画から著しく下方に乖離するなどして、翌連結会計年度に多数の店舗について減損の兆候があると判定され」た場合に影響が出るおそれがある、と書いています。減損損失は前々期950百万円、前期1,538百万円と増えています。予想が前期以上の減損を置いている可能性もあります。

どちらの読みも会社の説明に基づくものではなく、筆者の推測です。賃上げ税制の控除を今期も同じ規模で受けられる前提かどうかも、会社は説明していません。確認先は、上期決算での特別損失と税負担率、通期決算の税率差異の注記です。

なお、上期の予想(経常12,200百万円、純利益8,250百万円)から逆算した税負担率は32.4%で、第1四半期の見積税率32.7%とほぼ同じです。上期の予想は、特別損失をほとんど置かず、見積税率どおりの税金を置いた形になっています。

5-3. 3つの深掘りを1本の線でつなぐ

ここまでの3章を、第1章の例えで1本につなぎます。

  • 6〜8月は、八百屋の棚(食料品の構成比)が粗利率を押し下げる流れが続く中で、人の費用が初めて売上より速く伸び、利益率が13四半期で最も低くなった(第3章)
  • 会社はそれでも予想を据え置き、取り戻しを9〜11月の3か月に置いた。その前提は既存店の約4%の伸びと、買収した食品スーパーの上乗せ(第4章)
  • そして純利益は、税金か減損のどちらかを保守的に置いた分だけ、最初から伸びない予想になっている(本章)

「八百屋の値段で人を呼ぶ」戦略は売上を伸ばし続けていますが、その売上を利益に変える力(販管費率の低下)が今回初めて逆回転しました。これが一時的か、続くのかが、今期の論点です。


6. 買収と店舗:八百半・やおふく・サンエフ

6-1. 買収の一覧と「連結に入っている期間」

この1年で3社を買収しています。有価証券報告書の企業結合注記から、連結損益に入っている期間を確認します。前年同期に何か月分入っているかで、「買収の上乗せ」が決まるからです。

会社事業取得日取得原価連結損益に入っている期間2025年6〜8月に入っていた月数2026年6〜8月に入っていた月数
サンエフ(東京都)調剤専門薬局9店2025年8月29日1,2002025年7月1日から(2026年3月1日にCSDへ吸収合併)2か月3か月
八百半ホールディングス(栃木県)食品スーパー8店2025年10月29日4912025年12月1日から0か月3か月
やおふく(長野県)食品スーパー4店2026年6月25日300短信に記載なし0か月不明

(単位:百万円。出典:2026年5月期有価証券報告書の企業結合等関係注記・重要な後発事象注記)

八百半は2025年12月から連結されているので、上乗せがあるのは今期の6〜11月の6か月だけです。今期の12〜2月以降は、前年同期にもすでに八百半が入っているので、上乗せは消えます。第4章で「9〜11月に売上+10.7%」と書いた前提のうち、八百半の上乗せが効くのはこの9〜11月が最後です。

やおふくがいつから連結損益に入っているかは、短信に書かれていません。6〜8月のスーパーマーケット事業の売上2,153百万円は、八百半を連結した後の2025年12〜2月(2,247百万円)・2026年3〜5月(2,879百万円)より小さいので、やおふくの損益はまだ6〜8月に入っていない可能性があると筆者は見ていますが、これは筆者の推測です。上期決算か半期報告書で確認が必要です。

6-2. 買収の上乗せを除いた伸び

スーパーマーケット事業を除いた売上の伸びは、(129,540−2,153)÷(121,586−728)−1=**+5.4%**です(筆者計算)。全体の+6.5%のうち約1.1ptが食品スーパーの上乗せでした。

6-3. 出店

6〜8月の出店は、ドラッグストア5店(閉店1店)、併設調剤薬局5店(閉店3店)です。会社の今期計画はドラッグストア50店(退店8店)、調剤薬局45店(退店4店)なので、ドラッグストアの出店は3か月で計画の1割にとどまり、残りの45店は9月以降になります。新店の売上は出店した月から立つので、出店が後半に寄るほど、今期の売上に効く月数は短くなります。


7. 資本政策と株主還元

7-1. 配当方針と推移

有価証券報告書の配当政策は次のとおりです(原文)。

連結配当性向、連結純資産配当率を総合的に勘案し、継続的、安定的に配当していくことを基本方針としております。

中期経営計画では「従来の安定的・継続的な連続増配から一歩踏み込み、より一層の株主還元充実と強化を図る」と書いています。配当の推移を、会社IRサイトの配当状況推移から並べます。

決算期中間期末年間前期比配当性向(連結)純資産配当率(DOE)配当の決め方(会社の説明)
2018年5月期17.017.034.0—22.5%3.3%配当性向・DOEを総合的に勘案
2020年5月期19.021.040.0—20.6%3.1%同上
2022年5月期23.023.046.0—23.1%2.9%同上
2023年5月期25.027.052.0+625.4%3.0%同上
2024年5月期27.037.064.0+1229.7%3.3%同上(期中に増配修正)
2025年5月期34.044.078.0+1432.1%3.7%中計で「連続増配から一歩踏み込み」
2026年5月期45.048.093.0+1535.4%4.0%同上(当初計画90円から+3円)
2027年5月期(予想)48.048.096.0+336.5%—同上

(単位:円。出典:会社IRサイト「配当状況推移」。2019年・2021年5月期は表から省略。2022年5月期以降の配当性向は、1株配当÷有報の1株当たり当期純利益で筆者が再計算し、IRサイトの値と一致することを確認しています)

この表のポイントは2つです。

1つ目は、配当性向が20%台前半(2022年5月期23.1%)から36.5%まで、5年で13ptあまり上がっていることです。利益の伸び以上に配当を伸ばしてきました。

2つ目は、今期の増配幅(+3円)は、ここ3年(+12円、+14円、+15円)より小さいことです。今期の純利益予想が+0.1%なので、配当性向は35.4%→36.5%と上がりますが、増配幅は抑えた形です。第5章の「純利益予想が保守的」という読みが当たって純利益が上振れれば、例年のような期末の増配の余地が出ます。逆に純利益が予想どおりなら、配当性向は36.5%で、DOEは4.0%程度です(96円÷前期末BPS 2,388.79円=4.02%、筆者計算)。

配当の総額を自分で再現しておきます。前期の期末配当は48円×64,602,264株=3,100,908,672円で、定時株主総会の臨時報告書に記載された総額3,100,908,672円と一致しました。

配当の権利付き最終日:中間配当の基準日は2026年11月30日(月)なので、権利付き最終日は**2026年11月26日(木)です。期末配当の基準日は2027年5月31日(月)なので、権利付き最終日は2027年5月27日(木)**です(いずれも基準日の2営業日前、筆者計算)。

7-2. 株主優待:会社IRサイトと有価証券報告書の記載が食い違っている

この節の前提自体に、確認が必要です。

会社IRサイトの「株主優待/配当推移」ページには、次の優待制度が掲載されています(2026年10月6日確認)。

  • 毎年5月31日現在の株主に、「薬クリエイト」お買物優待券(1枚500円相当)を進呈
  • 対象店舗のない地域の株主などは、お米券(100株以上300株未満)またはカタログギフト(300株以上)を選べる
  • お買物優待券は券面額以上の買い物で使え、調剤薬局・処方箋薬・タバコなどには使えない。有効期限は発効日から1年

一方、2026年8月20日提出の有価証券報告書の「提出会社の株式事務の概要」の「株主に対する特典」欄は、**「該当事項はありません。」**となっています。

どちらがどの時点の情報かを並べると、有報は2026年5月期末時点の会社の記載(提出日2026年8月20日)、IRサイトは閲覧時点の掲載です。食い違いの理由を筆者は把握しておらず、推測で埋めることはしません。優待の有無と継続について、会社IRへの確認をおすすめします。 以下は、IRサイトの掲載どおりに制度が続いている場合の計算です。

保有株数優待(IRサイト掲載)金額1株当たり優待額優待利回り(3,240円)配当(96円)と合わせた利回り
100株以上優待券3枚1,500円15.0円0.46%3.43%
300株以上優待券8枚4,000円13.3円0.41%3.37%
1,500株以上優待券16枚8,000円5.3円0.16%3.13%
3,000株以上優待券24枚12,000円4.0円0.12%3.09%

(株価は2026年10月5日終値3,240円。利回りは筆者計算で、優待券を額面で使い切った場合の名目値です)

この表のポイントは、優待額が保有株数に比例して増えないことです。1株当たり優待額は100株保有が最も高く(15.0円)、1株当たり配当(96円)の約6分の1です。100株を超えて持つと、次の区分の境目までは優待が増えません。たとえば200株持っても優待は1,500円のままで、1株当たりは7.5円に下がります。「100株多く買うと1株当たりの優待額が半分になる」区間があります。

名目と実質のギャップとしては、①券面額以上の買い物でしか使えない、②調剤・処方箋薬・タバコには使えない、③対象店舗は神奈川・東京・静岡・千葉などに集中しており、店舗のない地域ではお米券1,320円分(100株の場合)に代わる、の3点があります。近くに店舗があって日常的に使う人にとっては額面に近く、そうでない人にはお米券の価値になります。

優待の権利付き最終日:基準日が5月31日なので、期末配当と同じ**2027年5月27日(木)**です(IRサイトの記載に基づく。継続保有の条件はIRサイトに記載がありません)。

7-3. 支配株主:創業家で議決権の55%

2026年8月24日の「支配株主等に関する事項について」によれば、山本洋平氏(直接所有28.69%)と山本久雄氏(取締役会長、直接所有21.63%)が支配株主で、合算対象分を含めた議決権所有割合は**55.18%**です。同開示は、山本洋平氏が山本久雄会長の長男であり、両氏とその近親者で議決権総数の過半数を所有していると書いています。有報の大株主表(2026年5月31日現在)では、山本いつ子氏が4.85%で3位の個人株主です。

株主(2026年5月31日現在)所有株式数(千株)議決権の割合(自己株式を除く)
山本洋平18,53428.69%
山本久雄13,97321.63%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口)4,4906.95%
山本いつ子3,1364.85%
CEP LUX-ORBIS SICAV2,0603.19%
株式会社PALTAC1,7022.63%
クリエイトエス・ディー従業員持株会1,0131.56%

(出典:2026年5月期有価証券報告書の大株主の状況。支配株主の合算比率は「支配株主等に関する事項について」の記載)

用語メモ:議決権の過半数を持つ株主がいる会社 議決権の過半数を持つ株主は、取締役の選任や配当など、株主総会の普通決議をほぼ単独で決められます。少数株主にとっては「経営方針がぶれにくい」面と、「少数株主の意見が通りにくい」面の両方があります。同開示によれば、支配株主との取引は「該当事項はありません」です。

2026年8月21日の定時株主総会では、取締役3名の選任議案の賛成割合が、山本久雄氏91.5%、廣瀨泰三社長89.7%、瀧屋幸彦氏97.7%でした(臨時報告書)。誰が反対票を投じたかは開示されておらず、筆者も推測しません。

個人株主(「個人その他」)は26,850名(2026年5月末)で、所有株式数の割合では創業家と自己株式を含めて70.55%が「個人その他」に区分されています。

7-4. 2023年の自己株式を使った新株予約権

2023年11月、会社はEVO FUNDに対して、行使価額修正条項付きの新株予約権(第1回〜第3回)を発行しました。行使で交付する株式には新株ではなく自己株式を充てる仕組みで、目的は出店の加速と物流センター建設(建設費70億円)の資金調達と説明されています。下限行使価額3,000円は発行決議日前営業日の終値の92.9%で、逆算するとその終値は約3,229円です(筆者計算)。

自己株式は2023年5月末の3,600,857株から2025年5月末の2,217,058株まで減りました。2024年5月に第2回・第3回は取得・消却されています。現在、潜在株式はありません(短信の「潜在株式調整後1株当たり四半期純利益」は「-」)。証券情報サイトのEPS・PERをそのまま使える会社です。

自己株式の取得は、前期・今期とも単元未満株の買取りだけで、取締役会決議による取得はありません。


8. 株価の見方

この節の株価に依存する数字は、すべて2026年10月5日終値3,240円を基準にしています。 決算は10月5日15時30分の発表で、同日の終値は発表前の取引です。翌10月6日は9時59分時点で3,165円(前日比△2.31%、Yahoo!ファイナンスのリアルタイム表示、報道ベース)でしたが、この記事を書いている時点では当日の終値は出ていません。

指標値(10月5日終値3,240円)計算
時価総額(自己株式控除後)約2,093億円3,240円×64,602,264株
予想PER12.3倍3,240÷263.15円
実績PBR1.36倍3,240÷2,388.79円(前期末BPS)
予想配当利回り2.96%96÷3,240
年初来高値・安値3,555円(7月29日)・3,110円(6月1日)Yahoo!ファイナンス(報道ベース)

一次情報から逆算した株価の基準点も並べておきます。

経路出所値
有報の株価収益率×EPS2026年5月期 有報(12.19倍×263.00円)約3,206円(2026年5月末)
有報の株価収益率×EPS2025年5月期(13.03倍×242.82円)約3,164円(2025年5月末)
新株予約権の下限行使価額2023年11月6日開示(3,000円=終値の92.9%)約3,229円(2023年11月2日)
有報の最高・最低株価2026年5月期 有報3,625円・3,075円

この表のポイントは、3年近く、株価がほぼ3,200円前後から動いていないことです。その間にEPSは204円(2023年5月期)から263円(2026年5月期)へ約3割伸びました。有報の株主総利回り(5年)は109.9%で、配当込みTOPIXの232.4%を大きく下回っています。利益は伸びたのに、株価は伸びず、PERが下がった(2023年5月期16.43倍→2026年5月期12.19倍)というのが、この数年の形です。

ここから2つの見方が成り立ちます。

強気の材料

  • 売上は毎年8〜10%伸び、出店・M&Aで成長の道筋がはっきりしている
  • 財務はほぼ無借金で、自己資本比率62.0%
  • 配当は5年で2倍になり、配当性向も上がってきた。優待(IRサイト掲載どおりなら)と合わせると100株で3.4%程度
  • 純利益予想は税金・減損のどちらかを保守的に置いた形で、過去2年は純利益が期初予想を上回って着地している
  • PERは12倍台で、ここ数年で最も低い水準にある

弱気の材料

  • 粗利率は毎年下がり続けていて、それを販管費率の低下で補う形が、今回初めて崩れた
  • 給料及び手当が売上より速く伸び始めた。賃上げが続くなら、一時的ではない可能性がある
  • 会社予想は9〜11月に営業利益+13.2%を置いているが、過去2年の9〜11月は予想に届いていない
  • 既存店は会社前提の103.0%に対し101.7%で始まった
  • 前年の3〜5月は買い溜め特需があり、今期の3〜5月は高い前年と比べられる
  • 今期の経常利益率の計画(4.90%)は、中計目標の5.0%を下回っている
  • 創業家が議決権の55%を持ち、流通する株式は限られる

PERが低いことを「割安」と読むか、「利益率の低下を織り込んだ水準」と読むかは、第3章で見た販管費率の逆回転が一時的かどうかの判断にかかっています。筆者はこの決算1回でそれを判断できる材料はないと考えています。


9. 今後のカレンダーと見るべきKPI

時期イベント見るところ
2026年10月中旬(例年)9月の月次業績既存店が会社前提(上期103.0%)に向けて戻るか。9〜11月に必要な既存店は単純平均で約104.3%
2026年11月中旬10月の月次業績同上
2026年11月26日(木)中間配当の権利付き最終日中間配当48円(予想)
2026年12月中旬11月の月次業績前年11月は既存店106.0%と高い
2027年1月中旬(例年)上期決算・機関投資家向け説明会9〜11月の営業利益が6,196百万円(前年比+13.2%)に届くか。販管費率と給料及び手当の伸び。やおふくの連結開始時期。特別損失と税負担率
2027年1月半期報告書やおふくの企業結合注記(のれん、連結に入っている期間)
2027年3〜5月前年の買い溜め特需と比べられる3か月月次の全店・既存店
2027年5月27日(木)期末配当・株主優待(IRサイト掲載どおりの場合)の権利付き最終日期末配当48円(予想)
2027年7月中旬(例年)通期決算税率差異の注記(所得拡大促進税制の控除の有無)、減損損失、来期の配当

見るべきKPI

  1. 月次の既存店売上(会社IRサイト):会社前提は上期103.0%、下期104.2%
  2. 3か月ごとの販管費率と、給料及び手当の売上比:今回8.79%(13四半期で最高)
  3. 3か月ごとの粗利率:6〜8月は4年続けて年間の最低で、今回25.01%
  4. スーパーマーケット事業の売上:八百半の上乗せは11月まで。やおふくの寄与
  5. 減損損失と税負担率:純利益予想の段差の答え合わせ

10. 3行まとめ

  • 6〜8月は売上+6.5%でも、粗利率の低下と、初めて売上より速く伸びた人件費が重なり、営業利益率は13四半期で最低の4.17%(営業利益△4.1%)
  • 会社は予想を据え置いたが、上期予想から逆算すると9〜11月に営業利益+13.2%を置いており、過去2年の同じ3か月は予想に届いていない。検証点は10月中旬からの月次既存店と1月の上期決算
  • 経常利益+5.0%に対し純利益+0.1%の予想は、税金か減損を保守的に置いた形。配当は96円(+3円)予想、株主優待は会社IRサイトと有報の記載が食い違っており、確認が必要

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘・投資助言を目的としたものではありません。数値の出典は、クリエイトSDホールディングスの決算短信(2024年5月期〜2027年5月期第1四半期)、2026年5月期有価証券報告書、臨時報告書(2026年8月26日提出)、適時開示(支配株主等に関する事項について、通期業績予想の修正に関するお知らせ、新株予約権の発行に関するお知らせ等)、2026年5月期決算説明資料(2026年7月16日)、中期経営計画「Next STAGE 2030」(2025年7月17日)、会社IRサイト(月次業績、株主優待/配当推移)です。3か月ごとの数字、利益の3分解、予想の逆算、感応度表、ROE・DOEの試算は筆者の計算です。株価・年初来高値安値はYahoo!ファイナンスの表示(報道ベース)です。以下の点にご注意ください。①当第1四半期について会社は決算補足説明資料も説明会もなく、本文中の会社の説明は2026年7月16日の決算説明資料と短信の定性的情報に基づいており、当四半期についての会社の追加説明・質疑応答は一切反映していません。②減益の要因(賃上げ、買収した子会社の人員、取得関連費用の計上科目)、やおふくの連結開始時期、純利益予想の段差の理由(税負担率・減損)に関する記述は筆者の推測であり、会社の開示に基づくものではありません。③月次業績はCSD単体の営業速報で、短信の売上とは一致しません。3か月の値は単月の前年比を筆者が単純平均したものです。④株主優待は、会社IRサイトに制度が掲載されている一方、2026年5月期有価証券報告書の「株主に対する特典」欄は「該当事項はありません」となっており、本記事では食い違いの理由を確認できていません。優待利回りはIRサイトの掲載どおりに制度が続いている場合の名目値です。⑤2024年5月期の上期業績予想は取得していません。⑥株価は2026年10月5日終値を基準とし、決算発表後の10月6日は取引時間中(9時59分時点)の値しか反映していません。⑦短信の地区別売上の構成比と財政状態の説明文の一部は金額と一致せず、金額欄を正として扱っています。

記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。

-株式投資
-,