本記事は2026年10月7日時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
この記事でわかること
- サーラコーポレーションが「何で稼ぎ、何を自分で決められないのか」を、“冬に稼ぐ町の燃料屋”という1つの例えで整理します
- 2026年10月6日発表の第3四半期決算の中身。9か月(2025年12月〜2026年8月)の営業利益は81億68百万円で、通期予想78億円をすでに4.7%上回りました。それでも予想は据え置きです
- 据え置いた通期予想から9か月の実績を引くと、9〜11月の3か月に営業赤字3億68百万円が置かれている計算になります。過去3年の9〜11月は12〜17億円の黒字でした
- その「赤字」はどのセグメントから来ているのか。ガス事業には過去にない大きな赤字が置かれる一方、カーライフ・アニマルヘルスケアには過去にない黒字が置かれています
- 11四半期の差し引きで見えた、毎年いちばん弱かった6〜8月の3か月が2年続けて黒字になったこと
- 配当予想34円は「デリバティブ評価損益を除く連結配当性向40%以上」という方針の下限とほぼ同じ水準で、9〜11月を赤字と置いた予想に連動した数字であること
- 2026年3月の金融機関8社による株式売出し(593万株)と、並行して進む自己株式取得(上限200万株)の進み具合
1. 前提知識:サーラコーポレーションは「冬に稼ぐ町の燃料屋」から始まった会社
1-1. 軸となる例え:冬に稼ぐ燃料屋が、夏の仕事を増やしてきた
昔の町には燃料屋がありました。冬になると家々に灯油やガスを配り、店はいちばん忙しくなります。夏は暖房の燃料が売れないので暇になります。そこで燃料屋は、お得意さんの家の給湯器を替えたり、台所の配管を直したり、ついでに家の修繕や建て替えの相談に乗ったりして、夏の仕事を増やしてきました。
サーラコーポレーションは、愛知県東部(東三河)と静岡県西部(遠州)を地盤にする、この燃料屋の大きな版です。中核は都市ガス・LPガス・電力を売るエネルギー&ソリューションズ事業で、そこから設備・土木・建築の工事(エンジニアリング&メンテナンス事業)、注文住宅と住宅資材(ハウジング事業)、輸入車の販売(カーライフサポート事業)、動物用医薬品の卸(アニマルヘルスケア事業)、不動産(プロパティ事業)へと広がっています。
この例えで押さえておきたいのは、燃料屋が自分で決められないことが2つあることです。
- 燃料の仕入値:都市ガスの原料は輸入の液化天然ガスなどで、仕入値は原油価格と為替で決まります。都市ガスには、原料の値動きを販売価格に反映させる「原料費調整制度」がありますが、反映されるまでに時間差(タイムラグ)があります。有価証券報告書は「販売価格に反映されるまでのタイムラグにより期間収支に影響を受ける可能性」と書いています
- 季節:ガスは冬に売れて夏に売れません。有価証券報告書は「当社グループの利益は上半期に偏る収益構造」と明記し、その対策として「エネルギー以外の成長分野に注力することにより、季節偏重の解消に取り組みます」と書いています
今回の決算は、燃料屋の「夏の仕事」が育ってきたことと、会社予想が「秋の燃料屋」をかなり厳しく見ていることが同時に出た決算として読むと、数字の並びが一本の線になります。この例えは、以下の深掘りと株価の見方で何度か使います。
1-2. 事業の構造
| セグメント | 主な中身 | 2025年11月期 売上高 | 2025年11月期 営業利益 | 2026年11月期 会社予想の営業利益 |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー&ソリューションズ | 都市ガス、LPガス、電力、ガス器具・リフォーム工事 | 1,208億70百万円 | 42億87百万円 | 36億円 |
| エンジニアリング&メンテナンス | 設備工事、土木、建築、メンテナンス | 352億64百万円 | 34億54百万円 | 32億円 |
| ハウジング | 注文住宅、住宅資材の加工・販売、リフォーム(安江工務店など) | 448億53百万円 | 9億12百万円 | 11億円 |
| カーライフサポート | フォルクスワーゲン等の輸入車販売・整備 | 179億55百万円 | △6億29百万円 | 50百万円 |
| アニマルヘルスケア | 動物用医薬品の卸 | 234億16百万円 | △5億66百万円 | 50百万円 |
| プロパティ | 不動産の賃貸・売買、ホテル | 73億47百万円 | 4億05百万円 | 3億円 |
| その他・調整額 | 18億24百万円 | △4億82百万円 | △5億円 | |
| 連結 | 2,515億33百万円 | 73億81百万円 | 78億円 |
出所:2025年11月期連結決算発表参考資料、2026年11月期第2四半期(中間期)連結決算発表参考資料(2026年7月7日)。売上高は外部顧客への売上高と内部取引の扱いが資料ごとに異なるため、参考資料の表記に従っています。株主優待:制度あり(第7章)。
この表のポイントは2つです。
- 営業利益の大半はエネルギーと工事の2セグメントで稼いでいます。 2025年11月期は2つで77億円強、連結の営業利益(73億81百万円)を上回ります。カーライフとアニマルヘルスケアの赤字を、この2つが埋めている構造です
- 今期の会社予想は、カーライフとアニマルヘルスケアをともに黒字50百万円と置いています。 9か月の実績はそれぞれ△3億07百万円、△2億93百万円です。この点は第4章で効いてきます
1-3. 直近5期の業績
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 1株当たり純利益 | ROE | 自己資本比率 | 1株配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021年11月期 | 2,279億35百万円 | 65億92百万円 | 83億12百万円 | 52億62百万円 | 83.13円 | 8.36% | 34.90% | 23円 |
| 2022年11月期 | 2,348億48百万円 | 68億91百万円 | 86億01百万円 | 56億82百万円 | 89.12円 | 8.27% | 38.22% | 26円(記念2円含む) |
| 2023年11月期 | 2,420億59百万円 | 60億83百万円 | 78億70百万円 | 60億99百万円 | 95.46円 | 8.18% | 40.78% | 26円 |
| 2024年11月期 | 2,404億98百万円 | 63億08百万円 | 81億93百万円 | 52億49百万円 | 81.90円 | 6.51% | 41.52% | 30円 |
| 2025年11月期 | 2,515億33百万円 | 73億81百万円 | 99億27百万円 | 58億70百万円 | 91.44円 | 6.68% | 42.00% | 32円 |
出所:2025年11月期有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」、2025年11月期連結決算発表参考資料。純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
この表で見ておきたいのは、経常利益が毎年、営業利益を15〜26億円上回っていることです。理由の一つは、第5章で扱う「為替予約に係るデリバティブ評価益」で、2023年11月期9億93百万円、2024年11月期10億77百万円、2025年11月期18億92百万円が営業外収益に入っています。現金の出入りを伴わない時価評価の利益で、会社は配当の計算からこれを除いています。
1-4. 会社予想の達成履歴
| 決算期 | 期初予想(営業利益/経常利益/純利益) | 期中の修正(開示日) | 修正後予想 | 実績 | 修正後予想比(営業利益) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年11月期 | 73億円/82億円/56億円(2024年1月12日) | 2024年7月5日(中間決算と同日)下方修正 | 63億円/80億円/54億円 | 63億08百万円/81億93百万円/52億49百万円 | +0.1% |
| 2025年11月期 | 70億円/75億円/50億円(2025年1月14日) | 2025年4月7日(第1四半期決算と同日)安江工務店の連結による上方修正 | 72億円/77億円/51億円 | 73億81百万円/99億27百万円/58億70百万円 | +2.5% |
| 2026年11月期 | 75億円/84億円/52億円(2026年1月13日) | 2026年7月7日(中間決算と同日)上方修正。第3四半期は据え置き | 78億円/94億円/59億円 | 第3四半期累計:81億68百万円/95億99百万円/63億18百万円 | 9か月で104.7% |
出所:各期の決算短信、各修正の適時開示。
この表のポイントは2つです。
- 営業利益は、修正後予想に対してほぼぴったり着地してきた会社です。 2024年11月期は+0.1%、2025年11月期は+2.5%でした。上にも下にも大きく外さない予想を出してきた会社が、今期は9か月の時点で通期予想を超えています
- 経常利益と純利益は、営業利益ほど当たっていません。 2025年11月期の経常利益は修正後予想比+28.9%でした。期初の計画にデリバティブ評価損益を織り込まない方針のためで(2025年11月期の決算発表参考資料に「上記計画には、為替予約に係るデリバティブ評価損益の影響は織り込んでおりません」と注記)、評価益が出た年は経常利益が予想を大きく上回ります
1-5. 中期経営計画との距離
会社は2026年1月13日に第6次中期経営計画(2026年11月期〜2030年11月期)を公表しました。
| 項目 | 2025年実績 | 2026年(初年度計画) | 2028年(3年目計画) | 2030年(5年目計画) |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,515億円 | 2,600億円 | 2,800億円 | 3,000億円 |
| 営業利益 | 73億円 | 75億円 | 100億円 | 120億円 |
| 当期純利益 | 58億円 | 52億円 | 70億円 | 84億円 |
| 売上高営業利益率 | 2.9% | 2.9% | 3.6% | 4.0% |
| ROE | 6.7% | 5.6% | 7.6% | 10.0% |
出所:第6次中期経営計画(2026年1月13日)。計画にはデリバティブ評価損益を含まないと注記されています。
今期の初年度計画(営業利益75億円)は、9か月の実績(81億68百万円)がすでに上回っています。修正後の今期予想78億円から2030年の120億円までは、年率11.4%の増益が必要です(筆者の計算)。会社は前の第5次中計(営業利益80億円・営業利益率3.0%・ROE8.0%)について、中計資料で「数値計画は未達となり、収益性向上の観点では課題を残す結果となった」と自ら書いています。
2. 決算ハイライト(2025年12月〜2026年8月の9か月)
2026年10月6日16時30分、第3四半期決算短信が開示されました。業績予想・配当予想の修正はありません。決算短信の表紙は「決算補足説明資料作成の有無:無」「決算説明会開催の有無:無」で、この四半期について会社の説明は短信本文に限られます。
2-1. 損益
| 項目 | 2025年11月期 第3四半期累計 | 2026年11月期 第3四半期累計 | 増減率 | 修正後通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,869億27百万円 | 1,934億60百万円 | +3.5% | 2,600億円 | 74.4% |
| 売上総利益 | 461億36百万円 | 488億09百万円 | +5.8% | — | — |
| 販売費及び一般管理費 | 400億45百万円 | 406億41百万円 | +1.5% | — | — |
| 営業利益 | 60億90百万円 | 81億68百万円 | +34.1% | 78億円 | 104.7% |
| うちデリバティブ評価益 | 6億99百万円 | 10億21百万円 | — | — | — |
| 経常利益 | 72億65百万円 | 95億99百万円 | +32.1% | 94億円 | 102.1% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 50億35百万円 | 63億18百万円 | +25.5% | 59億円 | 107.1% |
| 1株当たり四半期純利益 | 78.44円 | 99.06円 | +26.3% | 92.85円 | — |
出所:2026年11月期第3四半期決算短信。デリバティブ評価益は営業外収益の内訳。進捗率は筆者の計算。
この表のポイントは2つです。
- 営業利益、経常利益、純利益のすべてが、9か月で通期予想を超えています。 それでも会社は「2026年7月7日に公表しました業績予想に変更はありません」とだけ書き、理由は説明していません
- 純利益の伸び(+25.5%)が営業利益の伸び(+34.1%)より小さいのは、税金が増えたためです。 法人税等は20億08百万円→28億87百万円、税負担率は28.1%→30.7%に上がっています。前年同期は特別利益に新株予約権戻入益71百万円がありました
2-2. 9か月の営業増益20億77百万円を分解する
| 要因 | 金額 | 計算方法 |
|---|---|---|
| 数量効果(売上の増加) | +16億12百万円 | 売上の増加額(+65億33百万円)×前年の売上総利益率(24.68%) |
| 率効果(粗利率の改善) | +10億61百万円 | 今年の売上高×売上総利益率の差(25.23%−24.68%) |
| 販管費の増加 | △5億96百万円 | 400億45百万円→406億41百万円 |
| 合計 | +20億77百万円 | 実際の営業利益の増減(+20億78百万円)と一致(百万円未満の丸め) |
出所:筆者の計算。
売上の伸びと粗利率の改善がほぼ6対4で効き、販管費の増加は小さく抑えられた9か月でした。
2-3. セグメント(9か月累計)
| セグメント | 売上高(前年→今年) | 営業利益(前年→今年) | 会社予想(通期) | 9か月の進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー&ソリューションズ | 930億12百万円→936億88百万円(+0.7%) | 46億33百万円→50億39百万円 | 36億円 | 140.0% |
| エンジニアリング&メンテナンス | 256億86百万円→281億60百万円(+9.6%) | 27億17百万円→28億79百万円 | 32億円 | 90.0% |
| ハウジング | 310億98百万円→350億39百万円(+12.7%) | 2億14百万円→8億10百万円 | 11億円 | 73.6% |
| カーライフサポート | 131億79百万円→126億86百万円(△3.7%) | △8億07百万円→△3億07百万円 | 50百万円 | — |
| アニマルヘルスケア | 178億62百万円→183億83百万円(+2.9%) | △3億19百万円→△2億93百万円 | 50百万円 | — |
| プロパティ | 49億92百万円→47億76百万円(△4.3%) | 63百万円→3億57百万円 | 3億円 | 119.0% |
| その他・調整額 | — | △4億11百万円→△3億16百万円 | △5億円 | — |
出所:2026年11月期第3四半期決算短信のセグメント情報(外部顧客への売上高)、2026年7月7日の中間期連結決算発表参考資料(通期予想)。進捗率は筆者の計算。
短信本文の説明(要約)は次のとおりです。
- エネルギー&ソリューションズ:原料費調整制度に基づき都市ガスの販売価格を下方調整した(都市ガスの売上は345億49百万円→326億48百万円、△5.5%)一方、リフォーム提案やビジネス向けのソリューション提案で「器具・工事の販売が好調」。豊橋・浜松の蓄電所が安定稼働し電力事業が順調
- エンジニアリング&メンテナンス:全部門で大型案件が順調に進捗
- ハウジング:注文住宅「SINKA」シリーズの受注が堅調、住宅資材は施工を伴う販売が伸長
- カーライフサポート:フォルクスワーゲンの新車販売台数は減少。前年同期の中古車の在庫処分の反動で赤字が縮小
- アニマルヘルスケア:価格競争の激化で利益率は低下したが、販管費の減少で赤字が縮小
- プロパティ:駐車場など自社保有資産の売却と、新規取得物件の賃貸収入
エネルギーの通期予想36億円に対し、9か月ですでに50億39百万円です。 進捗率140%は、ガス事業の利益が冬に集中する季節性だけでは説明しきれない水準で、ここが第4章の論点になります。
2-4. 財政状態とキャッシュ・フロー(2025年11月末→2026年8月末)
| 項目 | 2025年11月末 | 2026年8月末 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 現金及び預金 | 318億81百万円 | 264億10百万円 | △54億70百万円 |
| 有形固定資産 | 826億94百万円 | 865億40百万円 | +38億45百万円 |
| 投資有価証券 | 124億63百万円 | 168億08百万円 | +43億44百万円 |
| 短期借入金 | 43億56百万円 | 59億59百万円 | +16億03百万円 |
| 長期借入金(1年内返済予定を含む) | 559億21百万円 | 640億10百万円 | +80億89百万円 |
| 工事損失引当金 | 85百万円 | 3億00百万円 | +2億15百万円 |
| 純資産 | 935億67百万円 | 975億06百万円 | +39億38百万円 |
| 自己資本比率 | 42.0% | 43.1% | +1.1pt |
| キャッシュ・フロー(9か月) | 2025年11月期 | 2026年11月期 |
|---|---|---|
| 営業活動 | +113億85百万円 | +16億42百万円 |
| 投資活動 | △105億73百万円 | △127億97百万円 |
| 財務活動 | +36億99百万円 | +60億49百万円 |
出所:2026年11月期第3四半期決算短信。
この表のポイントは3つです。
- 営業キャッシュ・フローは、利益が増えたのに前年の7分の1になりました。 短信が挙げる主な減少要因は、営業キャッシュ・フローの「その他」△49億70百万円、法人税等の支払36億55百万円、仕入債務の減少26億87百万円、棚卸資産の増加22億21百万円です。前年同期は売上債権の減少で89億95百万円の資金が入っていましたが、今年は17億23百万円でした。「その他」の中身を会社は説明していません。貸借対照表では流動負債の「その他」が175億45百万円→109億01百万円に66億44百万円減っています
- 設備投資(有形固定資産の取得106億09百万円)と投資有価証券の取得(22億40百万円)を、主に長期借入(150億05百万円)で賄っています。 借入金の合計は約700億円で、現金を差し引いた純有利子負債は約436億円です(筆者の計算)。自己資本比率は43.1%で、中計の「自己資本比率は40%程度にコントロール」という目安の範囲にあります
- 工事損失引当金が85百万円から3億00百万円に増えました。 将来の損失が見込まれる工事について、すでに損失を前倒しで計上した額です。どのセグメントのどの工事かは開示されていません。積み増した2億15百万円は9か月の損益にすでに入っています。次の四半期末の残高で、さらに積み増すか取り崩すかが分かります
3. 深掘り①:毎年いちばん弱かった6〜8月が、2年続けて黒字になった
この会社は四半期ごとの業績を開示しておらず、決算短信は累計値しか載せません。3か月ごとの数字は、累計値を自分で引き算して作るしかありません。燃料屋の「夏」にあたるのが6〜8月(第3四半期)です。
3-1. 15四半期を並べる
| 四半期(月) | 売上高 | 売上総利益率 | 販管費 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年11月期 第1四半期(2022年12月〜2月) | 641億54百万円 | 24.1% | 124億45百万円 | 30億04百万円 | 4.7% |
| 第2四半期(3〜5月) | 618億22百万円 | 24.0% | 128億14百万円 | 20億18百万円 | 3.3% |
| 第3四半期(6〜8月) | 553億15百万円 | 21.4% | 125億20百万円 | △6億81百万円 | △1.2% |
| 第4四半期(9〜11月) | 607億68百万円 | 22.6% | 119億66百万円 | 17億42百万円 | 2.9% |
| 2024年11月期 第1四半期 | 591億66百万円 | 25.1% | 123億33百万円 | 25億41百万円 | 4.3% |
| 第2四半期 | 597億31百万円 | 25.4% | 128億52百万円 | 23億48百万円 | 3.9% |
| 第3四半期 | 575億28百万円 | 22.3% | 130億88百万円 | △2億63百万円 | △0.5% |
| 第4四半期 | 640億73百万円 | 22.4% | 126億43百万円 | 16億82百万円 | 2.6% |
| 2025年11月期 第1四半期 | 659億86百万円 | 25.0% | 134億66百万円 | 30億40百万円 | 4.6% |
| 第2四半期 | 652億67百万円 | 25.0% | 135億03百万円 | 28億46百万円 | 4.4% |
| 第3四半期 | 556億74百万円 | 23.9% | 130億76百万円 | 2億04百万円 | 0.4% |
| 第4四半期 | 646億06百万円 | 23.4% | 138億29百万円 | 12億91百万円 | 2.0% |
| 2026年11月期 第1四半期 | 662億43百万円 | 26.4% | 129億54百万円 | 45億40百万円 | 6.9% |
| 第2四半期 | 634億29百万円 | 25.9% | 135億13百万円 | 29億15百万円 | 4.6% |
| 第3四半期(6〜8月) | 637億88百万円 | 23.3% | 141億74百万円 | 7億13百万円 | 1.1% |
出所:各期の決算短信の累計値から筆者が差し引き。2023〜2025年11月期は、4四半期の合計が通期の開示値と一致することを確認しています。
この表のポイントは3つです。
- 3年続けて、6〜8月が1年で最も弱い3か月です。 2023年11月期と2024年11月期は営業赤字でした。ガスが売れない夏に利益が細る形は、毎年同じに出ています。会社が有報で「利益は上半期に偏る」と書いている季節性そのものです
- その6〜8月の営業利益は、△6億81百万円→△2億63百万円→+2億04百万円→+7億13百万円と、3年続けて良くなっています。 燃料屋の「夏の仕事」が、夏の赤字を埋めるところまで育ってきたと読めます
- 9〜11月(第4四半期)は、3年とも12〜17億円の黒字でした。 夏の谷を越えて、暖房需要が始まる秋に利益が戻る形です。第4章で、この3か月を会社予想がどう見ているかを見ます
用語メモ:累計から四半期を作る引き算 決算短信の数字は「期首からの累計」です。6〜8月だけの数字は、「12月〜8月の9か月累計」から「12月〜5月の6か月累計」を引いて作ります。今期の営業利益なら81億68百万円−74億55百万円=7億13百万円です。会社はこの数字を開示していないので、自分で引くしかありません。
3-2. 6〜8月の改善はどのセグメントから来たのか
| 6〜8月の3か月の営業利益 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 | 2026年11月期 |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー&ソリューションズ | △10億35百万円 | △5億92百万円 | △4億47百万円 | △4億03百万円 |
| エンジニアリング&メンテナンス | 6億11百万円 | 5億06百万円 | 7億46百万円 | 6億90百万円 |
| ハウジング | △98百万円 | 89百万円 | 2億70百万円 | 6億87百万円 |
| カーライフサポート | △54百万円 | △32百万円 | △1億14百万円 | 9百万円 |
| アニマルヘルスケア | △12百万円 | △71百万円 | △2億36百万円 | △1億03百万円 |
| プロパティ | △4百万円 | 45百万円 | 66百万円 | 72百万円 |
| その他・調整額 | △89百万円 | △2億07百万円 | △83百万円 | △2億37百万円 |
| 営業利益 | △6億81百万円 | △2億63百万円 | 2億04百万円 | 7億13百万円 |
出所:各期の決算短信のセグメント情報から筆者が差し引き。セグメントの合計と連結営業利益の差は百万円未満の丸めによるもので、±3百万円の範囲です。
この表のポイントは2つです。
- エネルギーの夏の赤字は、4年で10億円台から4億円台に縮みました。 今年の6〜8月の△4億03百万円は、並べた4年で最も小さい赤字です。短信が挙げる「器具・工事の販売が好調」「蓄電所の安定稼働」は、どちらもガスの季節性に左右されにくい収益です
- 今年の改善(前年比+5億09百万円)の最大の寄与は、ハウジング(+4億17百万円)です。 注文住宅の引渡しと住宅資材の販売で、燃料屋が「家」の仕事を増やした分がそのまま夏に効いています。カーライフとアニマルヘルスケアの赤字縮小も加わりました
3-3. 同じ3か月を、売上・粗利率・販管費に分ける
| 要因 | 金額 | 計算方法 |
|---|---|---|
| 数量効果(売上の増加) | +19億35百万円 | 売上の増加額(+81億14百万円、+14.6%)×前年の売上総利益率(23.85%) |
| 率効果(粗利率の低下) | △3億27百万円 | 今年の売上高×売上総利益率の差(23.34%−23.85%) |
| 販管費の増加 | △10億98百万円 | 130億76百万円→141億74百万円(+8.4%) |
| 合計 | +5億10百万円 | 実際の営業利益の増減(+5億10百万円)と一致 |
出所:筆者の計算。
6〜8月は売上が+14.6%伸び、その粗利の増加の半分以上を販管費の増加(+8.4%)が食った3か月でした。上期(12〜5月)の販管費は前年比△1.9%だったので、販管費が増えたのは6〜8月に入ってからです。会社は6〜8月の販管費の増加について説明していません。2026年6月にエネルギー事業のサーラエナジーで新基幹システムが稼働を始めたことが短信に書かれていますが、それが販管費にどれだけ効いたかは開示されていません(両者を結びつけるのは筆者の推測で、会社の開示に基づくものではありません)。
4. 深掘り②:据え置いた通期予想は、9〜11月に何を置いているのか
第3章で、毎年いちばん弱い6〜8月が黒字になったことを見ました。次の問いは、通期予想を据え置いたことで、残りの9〜11月の3か月にどんな数字が置かれているかです。予想の数字そのものより、「予想−9か月実績=残りの3か月」を前年と比べるほうが、予想の中身がよく見えます。
4-1. 予想が置いている9〜11月
| 項目 | 予想が置く9〜11月 | 2023年11月期の9〜11月 | 2024年11月期の9〜11月 | 2025年11月期の9〜11月 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 665億40百万円 | 607億68百万円 | 640億73百万円 | 646億06百万円 |
| 営業利益 | △3億68百万円 | 17億42百万円 | 16億82百万円 | 12億91百万円 |
| 経常利益 | △1億99百万円 | — | 24億04百万円 | 26億62百万円 |
| 純利益 | △4億18百万円 | — | — | — |
出所:修正後通期予想−第3四半期累計実績、各期の通期−第3四半期累計。筆者の計算。
この表のポイントは2つです。
- 売上高は前年比+3.0%を置きながら、営業利益は3億68百万円の赤字を置いています。 過去3年の9〜11月は一度も赤字になっていません。予想どおりなら、並べた4年で初めての9〜11月の営業赤字になります
- この「赤字」は、会社が9〜11月の赤字を予想すると発表したものではありません。 7月に作った通期予想を10月に見直さなかった結果、計算上そうなっているものです。会社は据え置きの理由を説明していません
4-2. 過去2年、第3四半期の時点で予想は9〜11月に何を置き、実際はどうだったか
| 決算期 | 第3四半期時点の通期予想(営業利益) | 9か月の進捗率 | 予想が置いていた9〜11月 | 実際の9〜11月 | 予想が置いていた9〜11月の経常利益 | 実際の9〜11月の経常利益 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年11月期 | 63億円 | 73.4% | 16億74百万円 | 16億82百万円 | 22億11百万円 | 24億04百万円 |
| 2025年11月期 | 72億円 | 84.6% | 11億10百万円 | 12億91百万円 | 4億35百万円 | 26億62百万円 |
| 2026年11月期 | 78億円 | 104.7% | △3億68百万円 | — | △1億99百万円 | — |
出所:各期の決算短信。筆者の計算。
過去2年、第3四半期の時点で予想が置いていた9〜11月の営業利益は、実際とほぼ一致するか、やや控えめでした。 2024年11月期は8百万円差、2025年11月期は1億81百万円の上振れです。経常利益は2025年11月期に22億円以上上振れしましたが、これは9〜11月にデリバティブ評価益が11億93百万円出たためで(第5章)、営業利益の話ではありません。
今期は、過去2年と同じ時点で、予想が9〜11月にマイナスを置いています。 これまで営業利益の予想を大きく外してこなかった会社の予想としては、置き方が過去2年と大きく違います。
4-3. 7月の上方修正は、下期を11億55百万円引き下げていた
この「9〜11月の赤字」は10月に生まれたものではありません。7月7日の中間決算と同時の上方修正の時点ですでに、下期(6〜11月)の予想は小さく置かれていました。
| 項目 | 1月の期初予想 | 7月の修正後予想 |
|---|---|---|
| 上期(12〜5月)営業利益 | 60億円(予想) | 74億55百万円(実績) |
| 通期営業利益 | 75億円 | 78億円 |
| 下期(6〜11月)に置かれた営業利益 | 15億円 | 3億45百万円 |
出所:2026年1月13日の決算発表参考資料、2026年7月7日の業績予想の修正。下期は筆者の計算。
上期は期初予想を14億55百万円上回りましたが、通期予想に上乗せしたのは3億円だけでした。下期の予想を11億55百万円引き下げたのと同じです。修正理由の原文は次のとおりです。
通期の連結業績予想は、売上高につきましては前回予想どおりとなる見込みであります。利益面は、中東情勢をはじめとする先行き不透明な要因はあるものの、第2四半期連結累計期間までの実績を勘案し、上記のとおり前回予想を修正いたします。
7月の時点で予想が下期に置いた3億45百万円は、過去3年の下期の実績(10億61百万円、14億19百万円、14億95百万円)の4分の1から3分の1の水準でした。そして6〜8月の3か月だけで7億13百万円の黒字が出たため、下期の予想に対して3億68百万円上回り、その差がそのまま9〜11月の「赤字」として残っています。
4-4. どのセグメントが9〜11月の「赤字」を作っているのか
会社は7月の修正と同時に、セグメント別の通期予想も出しています(エネルギーを35億円→36億円、エンジニアリングを30億円→32億円に変更し、他は1月の計画のまま)。この予想から9か月の実績を引くと、セグメントごとに9〜11月に何が置かれているかが分かります。
| 9〜11月の営業利益 | 予想が置く9〜11月 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 | 過去3年との比較 |
|---|---|---|---|---|---|
| エネルギー&ソリューションズ | △14億39百万円 | △32百万円 | △4億40百万円 | △3億46百万円 | 過去3年のどの年より10億円以上低い |
| エンジニアリング&メンテナンス | 3億21百万円 | 6億64百万円 | 8億21百万円 | 7億37百万円 | 過去3年の半分以下 |
| ハウジング | 2億90百万円 | 6億40百万円 | 8億38百万円 | 6億98百万円 | 過去3年の半分以下 |
| カーライフサポート | 3億57百万円 | 2億06百万円 | 3億34百万円 | 1億78百万円 | 過去3年のどの年より高い |
| アニマルヘルスケア | 3億43百万円 | 48百万円 | 39百万円 | △2億47百万円 | 過去3年のどの年より3億円近く高い |
| プロパティ | △57百万円 | 4億33百万円 | 3億54百万円 | 3億42百万円 | 過去3年はすべて黒字 |
| その他・調整額 | △1億84百万円 | △2億20百万円 | △2億66百万円 | △71百万円 | ほぼ同水準 |
| 営業利益 | △3億68百万円 | 17億42百万円 | 16億82百万円 | 12億91百万円 |
出所:2026年7月7日の中間期連結決算発表参考資料のセグメント別通期予想−第3四半期累計実績、各期の通期−第3四半期累計。筆者の計算。合計は百万円未満の丸めで±1百万円ずれます。
この表のポイントは3つです。
- 9〜11月の「赤字」の大部分は、エネルギー&ソリューションズに置かれた△14億39百万円です。 過去3年の9〜11月は△32百万円〜△4億40百万円で、予想はそれより10億円以上低い数字を置いています。7月の修正理由にある「中東情勢をはじめとする先行き不透明な要因」が、燃料屋の仕入値(液化天然ガス・LPガスの輸入価格)の上昇と、それが販売価格に反映されるまでのタイムラグを指している可能性がありますが、会社はセグメント別の予想の前提を説明していません(筆者の推測で、会社の開示に基づくものではありません)
- エンジニアリング、ハウジング、プロパティにも、過去の半分以下か赤字が置かれています。 7月の修正時に1月の計画のまま残したセグメント(ハウジング、プロパティ)は、上期・第3四半期の上振れが計画に反映されていないため、残り期間が機械的に小さくなっています
- 逆に、カーライフとアニマルヘルスケアには、過去3年のどの年よりも高い利益が置かれています。 通期予想をともに黒字50百万円とした1月の計画が残っているためで、9か月の赤字(△3億07百万円、△2億93百万円)を9〜11月で取り返す前提です。過去3年の9〜11月の実績からすると、この2つは予想に届かない可能性のほうが高く見えます
つまり、据え置かれた予想の中には、明らかに控えめなセグメント(エネルギー、エンジニアリング、ハウジング、プロパティ)と、明らかに強気なセグメント(カーライフ、アニマルヘルスケア)が同居しています。全体として控えめに見えても、セグメントごとに読むと、両方向の外れが打ち消し合う構造です。
4-5. 9〜11月が過去並みだったら(筆者の試算)
| 9〜11月の仮定 | 9〜11月の営業利益 | 通期の営業利益 | 修正後予想比 |
|---|---|---|---|
| 会社予想どおり | △3億68百万円 | 78億円 | 0% |
| 前年(2025年11月期)の9〜11月と同じ | 12億91百万円 | 94億59百万円 | +21.3% |
| 過去3年の各セグメントの平均 | 約15億70百万円 | 約97億38百万円 | 約+24.8% |
| 前年の9〜11月のうち、エネルギーだけ予想どおり△14億39百万円 | 1億98百万円 | 83億66百万円 | +7.3% |
出所:筆者の試算。最下段は、2025年11月期の9〜11月のセグメント別実績のうち、エネルギーだけを予想の△14億39百万円に置き換えたもの。各セグメントの前提は表の直上の4-4による。
この表は予想ではなく、「9〜11月が過去の形をなぞった場合」の幅を示したものです。エネルギーが予想どおり過去にない赤字になっても、他のセグメントが前年並みなら、通期の営業利益は予想を上回る計算になります。 逆に、予想を下回るには、エネルギーの赤字が予想よりさらに大きくなるか、他のセグメントも同時に崩れる必要があります。
用語メモ:「据え置き」は会社の見通しを示すとは限らない 業績予想の修正の適時開示は、売上高で10%、利益で30%以上ずれる見込みになったときに求められます。予想を据え置いていることは、会社が「予想どおりになる」と見ていることを必ずしも意味しません。会社が予想を見直す作業をしなかった、あるいは基準に届かないので開示しなかった、という可能性も含みます。今回の短信は据え置きの理由に触れていません。
5. 深掘り③:経常利益の下に埋まった「22年間の為替予約」と、配当34円の計算
第4章で見たのは営業利益まででした。最後の段階は、営業利益の下にある経常利益と純利益、そして配当です。ここには、燃料屋が22年分の為替をまとめて予約した、という少し変わった事情が埋まっています。
5-1. 毎四半期に出るデリバティブ評価損益とは何か
会社は決算のたびに「営業外収益(デリバティブ評価益)の計上に関するお知らせ」を出しています。原文の要旨は次のとおりです。
当社連結子会社のサーラeパワー株式会社は、2017 年において外貨建輸入材の購入契約を締結しており、当該為替予約はこの支払いに充てるため同時期に締結したものであります。(中略)事業期間中の輸入材購入に係る為替変動リスクの低減を目的に、外貨建輸入材の購入契約を締結した2017年(2017年11月期)から、固定価格買取制度の適用期間である2039年までの22年間において当該為替予約を締結したものであります。
サーラeパワーは、輸入したパーム椰子殻(バイオマス燃料)を燃やして発電し、固定価格買取制度(FIT)で20年間決まった値段で電気を売っています。売値は固定、燃料は外貨建てで輸入なので、為替が円安になると燃料代が膨らみます。そこで2017年に、2039年までの燃料代の支払いに使う外貨をあらかじめ決まったレートで買う予約(為替予約)を結びました。2025年からの14年間分は前期に追加で予約しています。
この予約は会計上「デリバティブ」で、四半期末ごとに時価で評価し直します。円安が進むと、「今の為替より有利なレートで外貨を買える権利」の価値が上がるので、評価益が出ます。
| 時点 | 為替予約の時価評価益(累計) | その期に営業外損益に計上した評価損益 |
|---|---|---|
| 2023年11月末 | 41億06百万円 | 9億93百万円(2023年11月期) |
| 2024年11月末 | 51億83百万円 | 10億77百万円(2024年11月期) |
| 2025年11月末 | 70億76百万円 | 18億92百万円(2025年11月期) |
| 2026年2月末 | 73億89百万円 | 3億13百万円(第1四半期累計) |
| 2026年5月末 | 78億69百万円 | 7億93百万円(中間期累計) |
| 2026年8月末 | 80億97百万円 | 10億21百万円(第3四半期累計) |
出所:2026年10月6日「営業外収益(デリバティブ評価益)の計上に関するお知らせ」。
会社は同じ開示で、「為替予約未決済残高は事業の進捗に伴い減少し、固定価格買取制度の適用最終年度となる2039年に0円となる」「2017年及び2025年から2039年までに計上されるデリバティブ評価損益は、洗替処理により全て損益通算されるため、当該為替予約に係るデリバティブ評価損益の累積額も0円となります」と書いています。
用語メモ:「累積でゼロになる」評価益 2026年8月末までに計上された評価益の累計は80億97百万円です。会社の説明どおりなら、この80億円は2039年までに評価損として同じ額だけ戻っていき、合計はゼロになります。その代わり、有利なレートで外貨を買えた分は、燃料代が安く済むという形で営業利益のほうに出てきます。経常利益に乗っている評価益は、いわば「将来の燃料代の節約分を、今の時価で先に数えたもの」で、現金は動いていません。会社が配当の計算からこれを除いているのはこのためです。
5-2. 通期予想の経常利益は、評価益をどこまで入れているのか
1月の期初計画は「為替予約に係るデリバティブ評価損益の影響は織り込んでおりません」と明記していました。7月の修正では、経常利益の予想を84億円→94億円に10億円上げましたが、修正理由に評価益への言及はありません。
数字から逆算すると、次のようになります(筆者の推測で、会社の開示に基づくものではありません)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 修正後予想の営業外損益(経常利益−営業利益) | +16億円 |
| 上期の営業外損益の実績 | +10億67百万円(うち評価益7億93百万円) |
| 前期(2025年11月期)の営業外損益から評価益を除いた額 | +6億54百万円 |
予想の+16億円は、「上期に出た評価益7億93百万円」と「評価益以外の営業外損益(前期で+6億54百万円)」を足した水準に近く、上期の評価益を実績として入れ、下期の評価益はゼロと置いた予想と読むのが自然です。2024年7月の修正では、会社は「上期に円安の影響により為替予約に係るデリバティブ評価益892百万円を計上したことを勘案し」と明記して経常利益予想を修正しており、同じ置き方を今回も取っている可能性があります。
5-3. 配当34円は、方針の下限とほぼ同じ
配当方針の原文は次のとおりです(2025年11月期有価証券報告書「配当政策」)。
配当は前期以上を維持しつつ、かつ為替予約に係るデリバティブ評価損益の影響を除く連結配当性向40%以上とします。また、自己株式の取得につきましては、市場環境や資本効率を勘案し機動的に実施します。
2024年7月に、それまでの「連結配当性向30%を目途」から変更された方針です。配当の推移を、方針の切り替え前から並べます。
| 決算期 | 1株配当 | 配当の決め方 | デリバティブ評価損益を除く配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2022年11月期 | 26円(記念2円含む) | 配当性向30%を目途 | — |
| 2023年11月期 | 26円 | 配当性向30%を目途 | — |
| 2024年11月期 | 30円 | 期末から「前期以上+配当性向40%以上」 | — |
| 2025年11月期 | 32円 | 前期以上+配当性向40%以上 | 45.7%(会社開示) |
| 2026年11月期(予想) | 34円(中間16円・期末18円) | 前期以上+配当性向40%以上 | 約40.4〜40.6%(筆者の試算) |
出所:有価証券報告書、2024年7月5日・2026年7月7日の配当予想の修正。2026年11月期の配当性向は筆者の試算(次の表)。
今期の予想34円を、方針の物差しに当ててみます。
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| 通期の純利益予想 | 59億円 |
| 予想EPS | 92.85円(分母は約6,354万株) |
| 予想に入っていると見られる評価益(上期分) | 7億93百万円 |
| 評価益の税引後(税率27〜31%と仮定) | 約5.5〜5.8億円 |
| 評価益を除いた予想EPS | 約83.8〜84.2円 |
| その40% | 約33.5〜33.7円 |
| 配当34円の配当性向 | 約40.4〜40.6% |
出所:筆者の試算。会社は評価益を除く配当性向の計算で使う税効果の前提を開示していません。2025年11月期の45.7%は、税率を約27%と置くと再現できますが、法定実効税率に近い30%で計算すると45.2%になります。
この表のポイントは2つです。
- 配当34円は、評価益を除いた予想EPSの40%(約33.5〜33.7円)を1円単位で切り上げた水準です。 7月の増配(期末17円→18円)は、方針の下限に合わせた増配と読めます。逆に言えば、評価益を一切含まない予想(EPS 92.85円)だと仮定すると、34円の配当性向は36.6%で方針の40%を下回ります。このことも、5-2の「予想は上期の評価益を含んでいる」という読みと整合します
- 配当予想は、9〜11月を営業赤字と置いた業績予想に連動しています。 9か月の純利益(63億18百万円)から評価益(10億21百万円、税引後で約7億円)を除くと約55.9億円、EPSで約87.8円です(期中平均株式数6,378万株)。9〜11月の純利益がゼロでも、評価益を除いたEPSの40%は約35円になります。9〜11月が前年並みなら40円前後です(いずれも筆者の試算で、9〜11月の営業外損益・特別損益・評価損益をゼロと置いた粗い計算)
期末配当の最終決定は、取締役会決議(例年、通期決算と同日の1月中旬)で行われます。方針の「40%以上」は下限であって、実際の業績に応じて配当がいくらになるかを会社が約束しているわけではありません。ただ、方針が数式で書かれている会社では、業績予想の置き方がそのまま配当予想の置き方になることは押さえておきたい点です。
5-4. 3つの深掘りを1本の線でつなぐ
- 第3章:燃料屋の夏(6〜8月)は、住宅と工事とガス器具の仕事が育ち、3年続けて改善して2年連続の黒字になった
- 第4章:それでも通期予想は据え置かれ、計算上、秋(9〜11月)に営業赤字が置かれている。その中身は、燃料屋の本業(エネルギー)に過去にない赤字を置き、輸入車と動物用医薬品に過去にない黒字を置いた、両方向に外れた予想の組み合わせ
- 第5章:経常利益には「22年分の為替予約」の評価益が乗っているが、会社はそれを配当から除いている。配当予想34円は、秋を赤字と置いた業績予想から方針の下限で計算した数字になっている
燃料屋が自分で決められない2つのもの、**仕入値(中東情勢)と季節(秋の需要)**のうち、会社が今期の予想でとくに慎重に見ているのは仕入値のほうだと読めます。それが外れたかどうかは、1月の通期決算で初めて分かります。
6. 資本政策:金融機関8社の株式売出しと、並行する自己株式取得
6-1. 時系列
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年1月13日 | 第6次中期経営計画とキャピタル・アロケーション方針の更新(累進配当、機動的な自己株式取得、自己資本比率40%程度) |
| 2026年3月2日 | 株式の売出し(引受人の買取引受515万7,100株、オーバーアロットメント上限77万3,500株)、自己株式取得(上限200万株・30億円、期間は11月30日まで)、従業員持株会向け譲渡制限付株式(上限51万3,600株、1株1,222円)を同時に決議 |
| 2026年3月4日 | ToSTNeT-3で自己株式50万株を5億76百万円(1株1,153円)で取得。政策保有目的で保有する一部の株主が応じたと開示 |
| 2026年3月11日 | 売出価格を1株1,054円に決定(算定基準日3月11日の終値1,087円からのディスカウント率3.04%) |
| 2026年4月13日 | 市場での自己株式取得を再開(投資一任契約) |
| 2026年7月27日 | 従業員持株会向け譲渡制限付株式47万1,600株の処分の払込完了(同意した会員数の確定で一部失権) |
| 2026年8月31日 | 自己株式取得の累計155万0,900株・16億95百万円 |
出所:各日の適時開示。
売出しの目的について、会社は「当社株式の流動性の向上を課題と認識し、より幅広く多様な投資家の方々にご支援いただける開かれた株主構成を実現するため、主要な政策保有株主様と協議を重ねてまいりました」と書いています。売出人と株数は次のとおりです。
| 売出人 | 売出株数 | 2025年11月末の保有株数(有報) |
|---|---|---|
| 三井住友信託銀行 | 116万8,000株 | 292万株 |
| 三菱UFJ銀行 | 103万7,200株 | 259万2,000株 |
| 三井住友海上火災保険 | 89万7,300株 | 大株主上位10位に記載なし |
| 静岡銀行 | 87万2,400株 | 218万株 |
| 三井住友銀行 | 56万5,900株 | 141万4,000株 |
| 共栄火災海上保険 | 24万9,700株 | 同上 |
| みずほ銀行 | 21万7,600株 | 同上 |
| 損害保険ジャパン | 14万9,000株 | 同上 |
| 合計 | 515万7,100株 |
出所:2026年3月2日「株式の売出しに関するお知らせ」、2025年11月期有価証券報告書「大株主の状況」(千株単位の記載)。
この表のポイントは2つです。
- 大株主上位の銀行4行は、いずれも保有株のちょうど4割(40.0%)を売り出しました。 売出し後の保有株数は、売出しのほかに市場での売買がなければ、三井住友信託銀行約175万株、三菱UFJ銀行約155万株、静岡銀行約131万株、三井住友銀行約85万株の計算になります(筆者の計算。売出し後の正確な保有株数は次の有報で確認が必要です)
- 売出しは、オーバーアロットメントを含めて自己株式を除く発行済株式の約9.2%(会社表記9.2%)にあたります。 一方、自己株式取得の上限200万株は同3.1%で、売出株数の約3分の1です。売出しの需給への影響を、自己株式取得だけで打ち消す規模ではありません
3月4日のToSTNeT-3による取得(50万株)の相手方について、会社は「当社普通株式を政策保有目的で保有する一部の株主」とだけ書いており、どの株主かは開示されていません。
用語メモ:売出しと公募の違い 「売出し」は、すでにある株を既存の株主が売るもので、会社にお金は入らず、発行済株式数も増えません。「公募(増資)」は会社が新しく株を発行して資金を集めるもので、株数が増えます。今回は売出しなので、1株当たり利益が薄まる(希薄化する)ことはありません。市場に出回る株が増える(流動性が上がる)一方、一時的に売りが増える、という需給の話になります。
6-2. 流動性は変わったか
| 期間 | 1日あたり平均出来高 |
|---|---|
| 2026年2月(9日〜27日、13営業日) | 約9万9千株 |
| 2026年8月(20営業日) | 約14万6千株 |
| 2026年9月(19営業日) | 約13万8千株 |
出所:Yahoo!ファイナンスの株価時系列から筆者が計算(報道ベース)。
売出し前の2月と比べ、8〜9月の出来高は4割強多くなっています。売出しの目的に挙げた「流動性の向上」は、出来高の上では表れていると読めます。株価の水準や市場全体の売買の増減の影響もあるため、売出しだけの効果とは言い切れません。
6-3. 自己株式取得の進み具合
| 月 | 取得株数 | 平均取得単価 | 累計株数(上限200万株に対する進捗) | 累計金額の進捗(上限30億円) |
|---|---|---|---|---|
| 3月(ToSTNeT-3) | 50万0,000株 | 1,153.0円 | 50万0,000株(25.00%) | 19.22% |
| 4月 | 21万4,900株 | 1,055.2円 | 71万4,900株(35.75%) | 26.78% |
| 5月 | 22万4,900株 | 1,022.1円 | 93万9,800株(46.99%) | 34.44% |
| 6月 | 29万6,000株 | 1,006.9円 | 123万5,800株(61.79%) | 44.37% |
| 7月 | 18万9,400株 | 1,134.2円 | 142万5,200株(71.26%) | 51.53% |
| 8月 | 12万5,700株 | 1,187.5円 | 155万0,900株(77.55%) | 56.51% |
出所:各月の「自己株式の取得状況に関するお知らせ(経過報告)」。平均取得単価は取得価額の総額÷株数で筆者が計算。8月末の株数進捗について、会社の開示と短信本文は77.75%と記載していますが、155万0,900株÷200万株は77.55%です(筆者の計算)。金額進捗は会社開示56.50%、筆者の計算56.51%。
この表のポイントは3つです。
- 株価の上昇とともに、月の取得株数は減っています。 6月の29万6千株(平均1,006.9円)から、8月は12万5,700株(平均1,187.5円)でした。8月の取得は1日あたり約6,300株で、同月の平均出来高の約4%です
- 先に効くのは株数の上限です。 残りは株数で44万9,100株、金額で13億04百万円です。株数の残りを10月6日の終値1,165円で全部買っても約5億23百万円で、金額の上限には届きません。期限の11月30日までに株数の上限まで取得した場合でも、取得総額は約22億円(上限30億円の約74%)にとどまる計算です(筆者の試算)
- 9月分の経過報告は、10月6日時点のYahoo!ファイナンスの適時開示一覧には見当たりませんでした。 9〜11月の約60営業日で残り44万9,100株を買うには、1日あたり約7,500株(9月の平均出来高の約5%)が必要です
用語メモ:「自己株式」に入っている役員向け信託の株 短信の「期末自己株式数」(8月末259万3,825株)には、役員向け株式交付信託が保有する株(2025年11月末で181万株)が含まれています。この信託の株は、会計上は自己株式として扱われ1株当たり利益の計算から除かれますが、配当は支払われます。前期末の配当総額10億56百万円を1株配当16円で割ると約6,600万株で、信託分を含めた株数に配当が支払われていることが確認できます。
6-4. 株数と大株主
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発行済株式総数 | 6,604万1,147株(2026年8月末) |
| 自己株式(信託分を含む) | 259万3,825株 |
| 潜在株式 | なし(潜在株式調整後1株当たり純利益は「-」) |
| 株式分割 | 直近なし(調整不要) |
| 大株主(2025年11月30日現在) | 持株比率(自己株式を除く) |
|---|---|
| サーラコーポレーション従業員持株会 | 7.31% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.17% |
| 三井住友信託銀行 | 4.42% |
| 三菱UFJ銀行 | 3.92% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.48% |
| サーラエナジー共栄会 | 3.40% |
| 静岡銀行 | 3.30% |
| 三井住友銀行 | 2.14% |
| 神野 吾郎(代表取締役社長) | 2.09% |
| 明治安田生命保険 | 1.82% |
| 上位10名合計 | 38.08% |
出所:2025年11月期有価証券報告書「大株主の状況」。2026年3月の売出し前の数字です。
筆頭株主は従業員持株会で、6位のサーラエナジー共栄会は名称から取引先の持株会と見られます(有報に会の性格の説明はありません)。2026年7月には従業員持株会向けに譲渡制限付株式47万1,600株が処分されており、従業員持株会の持分はさらに増えています。個人その他の保有比率は48.00%、金融機関は34.31%でした(2025年11月末)。今回の売出しで、金融機関の比率は下がり、個人・国内外の投資家の比率が上がったと見られますが、売出し後の所有者別状況は次の有報で確認が必要です。
7. 株主還元
7-1. 配当
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 配当方針(原文) | 「配当は前期以上を維持しつつ、かつ為替予約に係るデリバティブ評価損益の影響を除く連結配当性向40%以上とします。」 |
| 配当回数 | 年2回(中間・期末)。決定機関は取締役会 |
| 今期予想 | 中間16円(支払済)+期末18円=年34円 |
| 中計の還元方針 | 累進配当、連結配当性向40%以上、機動的な自己株式取得 |
| 期末配当の基準日 | 2026年11月30日(月) |
| 期末配当の権利付き最終日 | 2026年11月26日(木) |
用語メモ:権利付き最終日 配当を受け取るには、基準日(11月30日)に株主名簿に載っている必要があります。株の受け渡しは売買の2営業日後なので、基準日の2営業日前の11月26日(木)までに買う必要があります。11月30日が月曜日のため、27日(金)以降に買うと今期の期末配当と株主優待の対象になりません。
「前期以上を維持」という方針は、減益の年でも配当を下げないという意味で、累進配当と同じ働きをします。配当は2023年11月期の26円から、30円、32円、34円(予想)と3年続けて増えています。
7-2. 株主優待
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 内容 | 保有株数と保有期間に応じた「株主優待ポイント」を付与。オリジナルカタログの商品と交換できる。グループの店舗でガス機器・家具の購入、給油、洗車、宿泊、飲食に使える「株主優待券(金券)」も選べる |
| 基準日 | 毎年11月30日(年1回) |
| 次回の権利付き最終日 | 2026年11月26日(木)(期末配当と同じ) |
| 保有株数 | 3年未満 | 3年以上5年未満 | 5年以上 | 1株当たり(3年未満、区分の下限で) |
|---|---|---|---|---|
| 500株以上2,000株未満 | 1,000P(円) | 1,500P | 2,000P | 2.0円(500株) |
| 2,000株以上5,000株未満 | 2,000P | 3,000P | 4,000P | 1.0円(2,000株) |
| 5,000株以上10,000株未満 | 5,000P | 7,500P | 10,000P | 1.0円(5,000株) |
| 10,000株以上 | 10,000P | 15,000P | 20,000P | 1.0円(10,000株) |
出所:2025年11月期有価証券報告書「株主に対する特典」、2024年10月4日「株主優待制度の拡充に関するお知らせ」。保有10年ごとに500株以上の株主へ記念品の贈呈もあります。
この表のポイントは3つです。
- 優待は500株以上が対象で、100株では受け取れません。 500株の取得には、10月6日の終値1,165円で約58万円かかります。この場合、3年未満の優待1,000円分は投資額の約0.17%、配当(34円×500株=1万7,000円)と合わせて約3.09%です(名目、税引前)
- 1株当たりの優待額は500株ちょうどで最も高く(2.0円)、500株を超えて持つほど下がります。 1,900株では約0.53円です。2,000株以上の区分はどこも下限で1.0円です。1株当たりの配当(34円)と比べると優待の比重は小さく、この銘柄の株主還元の中心は配当です
- 長期保有の判定は、5月末と11月末の株主名簿に同一株主番号で連続して記載された回数で行います。 3年以上は連続7回以上、5年以上は連続11回以上です。いま買って11月30日の名簿に初めて載る場合、連続7回を満たして1.5倍の優待を受けられるのは2029年11月30日の基準日が最初の計算になります(筆者の計算)。5月末は優待の基準日ではありませんが、連続記載の判定には5月末の名簿も使われるので、途中で売却したり、貸株で株主番号が変わったりすると連続が途切れる可能性があります
ポイントの名目額は会社が「P(円)」と表記していますが、カタログ商品で受け取る場合の実質価値は、選ぶ商品と利用者によって変わります。金券を選べば地元の店舗で使えますが、店舗はグループの事業エリア(主に愛知県東部・静岡県西部)が中心で、エリア外の株主にとっては使い道が限られる可能性があります。優待の費用総額を会社は開示していないため、ここでは計算していません。
8. 株価の見方
8-1. 株価の基準点
第3四半期決算は2026年10月6日(火)の16時30分、東証の取引終了後に開示されました。同日の終値1,165円(前日比△3円)には、決算への反応は含まれていません。 開示後の夜間取引(PTS)では、同日23時53分時点で1,180円(東証終値比+1.29%)が付いています(報道ベース。PTSは取引量が小さく、翌営業日の東証の値動きと一致するとは限りません)。
| 指標 | 10月6日終値1,165円で計算 |
|---|---|
| 時価総額(発行済株式ベース) | 約769億円 |
| 時価総額(自己株式を除く) | 約739億円 |
| PBR(8月末の1株当たり純資産 約1,505円) | 約0.77倍 |
| PER(会社予想EPS 92.85円) | 約12.5倍 |
| 配当利回り(予想34円) | 約2.92% |
出所:筆者の計算。株価はYahoo!ファイナンスの時系列(報道ベース)。1株当たり純資産は自己資本954億95百万円÷自己株式を除く株式数6,344万7,322株。
一次情報で確認できる株価の基準点は次のとおりです。
| 経路 | 出所 | 株価 |
|---|---|---|
| 有報の株価収益率×1株当たり純利益 | 2025年11月期有報(12.49倍×91.44円) | 約1,142円(2025年11月末) |
| 譲渡制限付株式の処分価額 | 2026年3月2日の適時開示(取締役会決議の前営業日の終値) | 1,222円(2026年2月27日) |
| ToSTNeT-3の取得価格 | 2026年3月4日の適時開示(576,500,000円÷50万株) | 1,153円(2026年3月3日の終値と一致) |
| 売出価格の算定基準日の価格 | 2026年3月11日の適時開示 | 1,087円(2026年3月11日) |
| 有報の最高・最低株価 | 2025年11月期有報 | 前期の最高1,159円・最低737円 |
| 株主総利回り(5年) | 2025年11月期有報 | 226.8%(同期間のTOPIX Small 184.0%) |
出所:各開示。Yahoo!ファイナンスの時系列の2月27日・3月3日・3月11日の終値は、それぞれ上の開示の価格と一致しています。
年初来の高値は1,260円(2026年9月16日)、安値は943円(6月2日)です(報道ベース)。売出しを発表した3月2日の終値1,222円から6月上旬には900円台まで下がり、7月7日の中間決算・上方修正の翌日以降に戻して、9月に年初来高値を付けています。
8-2. 強気の材料
- 燃料屋の「夏の仕事」が育っています。 毎年いちばん弱い6〜8月の営業利益は、3年で△6億81百万円から+7億13百万円に改善しました。住宅と工事とガス器具の仕事が、季節性を少しずつ薄めています
- 据え置かれた通期予想は、9〜11月に営業赤字を置いています。 過去3年の9〜11月は12〜17億円の黒字でした。セグメント別に見るとエネルギーに過去にない赤字が置かれており、過去並みに近い着地なら予想を上回る計算になります(4-5の試算)
- 配当方針が数式で書かれています。 評価益を除いた利益の40%以上なので、利益が予想を上回れば、方針上の配当の下限も上がります。「前期以上」の条項で、減益の年にも配当は下がりません
- PBRは約0.77倍、配当利回りは約2.9%です。 中計はROE10%(2030年)を掲げています
- 株式の流動性が上がりました。 売出し後、1日の出来高は売出し前の4割強多い水準で推移しています
8-3. 弱気の材料
- 仕入値の上昇は、ガス事業の利益を販売価格への反映が追いつくまで削ります。 会社自身が7月の修正理由で「中東情勢をはじめとする先行き不透明な要因」を挙げ、セグメント予想でエネルギーの下期に過去にない赤字を置いています。予想が慎重なのには理由がある、という読み方もできます
- 据え置かれた予想には、強気の部分も含まれています。 カーライフとアニマルヘルスケアは、9〜11月に過去3年のどの年より高い利益が置かれています。この2つが前年並みにとどまれば、他のセグメントの上振れの一部は相殺されます
- 6〜8月は、販管費が前年比+8.4%増えました。 上期は前年比△1.9%でした。費用の増加が一時的なものか、9〜11月以降も続くものかは開示されていません
- 営業キャッシュ・フローが細っています。 9か月で16億42百万円(前年同期113億85百万円)で、設備投資と投資有価証券の取得は借入で賄っています。純有利子負債は約436億円です
- 経常利益・純利益には、現金を伴わない評価益が乗っています。 9か月で10億21百万円、2026年8月末までの累計は80億97百万円です。会社の説明どおりなら、この累計は2039年までにゼロに戻ります。円高が進めば、評価損として経常利益を押し下げます
- 前の中計の数値目標は未達でした。 第5次中計の営業利益80億円・ROE8.0%に対し、実績は73億円・6.7%で、会社自身が「課題を残す結果」と書いています。2030年の営業利益120億円には、今期予想から年率11.4%の増益が必要です
- 売出しの株数(約593万株、自己株式を除く発行済の約9.2%)は、自己株式取得の上限(200万株)を大きく上回ります。 金融機関の持合い解消が続くかどうかは、会社の開示の外にあります
どちらの材料をどれだけ重く見るかは、読者の判断に委ねます。個人的には、1月の通期決算で「エネルギーの9〜11月が実際にいくらだったか」が、会社が中東情勢による仕入値の上昇をどれだけ見込んでいたのか、その答え合わせになると考えています。
9. 今後のカレンダーと見るべきKPI
| 時期 | イベント | 見るポイント |
|---|---|---|
| 2026年11月上旬(例年の経過報告の時期) | 自己株式の取得状況(経過報告) | 9月・10月の取得株数。残り44万9,100株 |
| 2026年11月26日(木) | 期末配当・株主優待の権利付き最終日 | 予想18円(年34円) |
| 2026年11月30日(月) | 決算期末・配当と優待の基準日、自己株式の取得期間の終了 | 取得枠の消化率 |
| 2026年12月1日 | 株式会社サーラリフォームとしてリフォーム事業を再編(連結子会社間の吸収合併) | ハウジングとエネルギーのリフォーム事業の区分の変化 |
| 2027年1月中旬(例年) | 2026年11月期決算発表、来期予想、期末配当の決定 | 9〜11月のエネルギーの営業利益(予想は△14億39百万円)、通期の営業利益(予想78億円)、評価益を除く配当性向、来期の配当予想 |
| 2027年2月(例年) | 定時株主総会、有価証券報告書の提出 | 売出し後の大株主・所有者別状況、工事損失引当金、税率差異 |
前期の決算発表は2026年1月13日、前々期は2025年1月14日でした。次回の日付は会社から公表されていないため、「例年」としています。
見るべきKPI
- エネルギー&ソリューションズの9〜11月の営業利益:予想が置く△14億39百万円と、過去3年の△32百万円〜△4億40百万円の、どちらに近いか
- 6〜8月の黒字の再現性:来期以降も第3四半期が黒字を保つか。住宅と工事の夏の稼ぎ
- カーライフとアニマルヘルスケアの通期損益:予想はともに黒字50百万円、9か月はともに△3億円前後
- 販管費の四半期推移:6〜8月は141億74百万円(前年比+8.4%)
- デリバティブ評価損益:8月末の時価評価益は累計80億97百万円。為替次第で経常利益を上下させる
- 営業キャッシュ・フローと純有利子負債:9か月の営業CFは16億42百万円、純有利子負債は約436億円
- 工事損失引当金:8月末3億00百万円(前期末85百万円)
10. 3行まとめ
- サーラコーポレーションは、冬にガスで稼ぐ地域の「燃料屋」が、住宅・工事・ガス器具の仕事を増やしてきた会社で、毎年いちばん弱い6〜8月の営業利益は3年で△6億81百万円から+7億13百万円に改善しました
- 9か月で営業利益・経常利益・純利益とも通期予想を超えましたが、予想は据え置かれ、計算上は9〜11月に営業赤字3億68百万円が置かれています。中身は、エネルギーに過去にない赤字(△14億39百万円)、輸入車と動物用医薬品に過去にない黒字を置いた、両方向に外れた予想の組み合わせです
- 配当予想34円は、評価益を除く利益の40%という方針の下限とほぼ同じで、秋を赤字と置いた予想に連動した数字です。1月の通期決算で示される「エネルギーの9〜11月」と期末配当が、この据え置きの答え合わせになります
本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。
本記事は投資勧誘・助言を目的としたものではありません。数値の出所は、サーラコーポレーションの決算短信(2024年11月期〜2026年11月期第3四半期)、連結決算発表参考資料(2025年11月期、2026年11月期中間期)、業績予想の修正に関するお知らせ(2024年7月5日、2025年4月7日、2026年7月7日)、営業外収益(デリバティブ評価益)の計上に関するお知らせ(2026年10月6日)、第6次中期経営計画(2026年1月13日)、株式の売出し・自己株式取得・譲渡制限付株式・売出価格等の決定・ToSTNeT-3による取得結果・自己株式の取得状況に関する各適時開示(2026年3月〜9月)、株主優待制度の拡充に関するお知らせ(2024年10月4日)、2025年11月期有価証券報告書(EDINET)です。四半期ごとの数値、要因分解、残り期間の含み、セグメント別の9〜11月の数値、9〜11月の試算、評価益を除いた配当性向、売出し後の保有株数、各種比率は筆者の計算です。株価・PTS価格・年初来高値安値・出来高はYahoo!ファイナンスの表示によるもので(報道ベース)、PTSの価格は取引量が小さく、翌営業日の東証の値動きと一致するとは限りません。当四半期(2026年6〜8月)について会社は決算補足説明資料を作成しておらず、決算説明会も開催していないため、本文中のセグメント別通期予想は2026年7月7日時点のものであり、当四半期についての会社の追加説明・質疑応答は一切反映していません。修正後の経常利益予想が上期のデリバティブ評価益を含み下期をゼロと置いているという読み、エネルギー事業の下期予想の前提を中東情勢による仕入値の上昇と原料費調整制度のタイムラグと結びつける読み、6〜8月の販管費の増加と新基幹システムの稼働を結びつける読みは、いずれも筆者の推測であり、会社の開示に基づくものではありません。評価益を除いた配当性向の計算で会社が用いた税効果の前提は開示されておらず、本文の試算は筆者が税率を仮定したものです。2026年9月分の自己株式の取得状況は、10月6日時点で確認できていません。売出し後の大株主・所有者別状況は、次の有価証券報告書で確認が必要です。株主優待の費用総額は開示されていないため計算していません。
記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。