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日本BS放送(9414) 全国に届く放送枠を時間貸ししてきた大家が、枠に流す番組とアニメを自分で持ち始めた会社 売上計画に3年続けて届かなかった会社の「来期18.9%増益」は、何を前提にしているのか?【2026年10月発表・通期決算】

本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • 2026年8月期は売上高119億21百万円(+0.9%)、営業利益17億69百万円(△8.4%)。減益は上半期(△26.7%)に集中し、下半期だけを見ると営業利益は前年同期比+19.1%だったこと
  • 会社予想に対して、売上高は3期続けて3〜5%届かず(97.2%→95.9%→94.8%)、費用も3期続けて4〜6%使い残し(95.0%→95.8%→94.2%)、その結果として営業利益は計画の近くに着地してきたこと
  • 2027年8月期の会社予想(営業利益+18.9%)は、個別ベースの売上増加額の約8割を「放送以外の収入(配信・アニメ・イベント等)」の+57.6%に置き、増益の大半を下半期に置いていること。下半期の営業利益率18.5%は、過去4期のどの下半期よりも高いこと
  • 過去3期の外れ方に近い「売上も費用も5%下振れ」を当てはめると営業利益は約20億円(+12.9%)、「売上だけ5%下振れ」なら約14.6億円(△17.2%)になる、という感応度
  • 時価総額約167億円に対し、現預金137億円・有価証券5億円・投資有価証券33億円を持ち、負債は23億円。親会社ビックカメラが議決権の61.40%を持つこと、株主優待は2022年に廃止済みであること
  • 配当は30円→35円(予想)の増配。配当性向40%程度という方針に、予想EPSの40%(34.6円)をわずかに上回る水準に置かれていること

1. 前提知識:日本BS放送はどんな会社か

軸となる例え:「放送枠の大家」が、枠に流す中身を自分で持ち始めた

日本BS放送は、チャンネル名「BS11」を運営する全国無料のBS放送局です。1999年にビックカメラが設立し、2007年に今のハイビジョン放送を始めました。キー局の系列に属さない「独立系」のBS局で、親会社のビックカメラが議決権の61.40%を持っています。

この会社の仕事は、全国の家庭の居間に届く「24時間の放送枠」という売場を持ち、その売場を時間単位で貸す大家の仕事に近いものです。

  • 枠を番組ごと買い取る広告主に、時間で貸す(タイム収入。個別売上の70.7%)
  • 番組と番組の間のCM枠を貸す(スポット収入。同18.9%)
  • 枠に流した番組やアニメを、放送の外(配信・イベント・グッズ・製作委員会の配当)でも売る(その他収入。同10.4%)

大家としての強みは、建物の維持費が安いことです。地上波は全国に中継局(電波塔)の網を張る必要がありますが、BSは衛星1つで全国に届きます。会社の説明資料も、地上波に比べて「ネットワーク維持費」が不要な点を高効率の理由に挙げています。

一方で、大家には自分では決められないことが2つあります。

  1. 借り手が枠をいくら借りるかは、借り手が決める。 タイム収入の大きな部分は通販番組(会社の言葉では「ショッピングカテゴリー」)で、2026年8月期はここが「年間を通じて厳しい状況」でした
  2. 中身を自分で持つと、費用が先に出て、回収は後になる。 この会社はここ数年、借り手を待つだけでなく、枠に流す番組・アニメを自前で作り、放送の外で稼ぐ方向に舵を切っています。番組制作費は前期比+10.3%増えました

この2つが、本記事の数字の読み方そのものになります。1つ目は「売上が計画に届かない」理由、2つ目は「費用と利益のタイミングがずれる」理由です。

事業構造(個別ベース、2026年8月期)

区分売上(百万円)前期比構成比中身
タイム収入7,883△3.3%70.7%番組枠ごとの販売。スポーツ特番は好調、通販番組は伸び悩み
スポット収入2,105+3.3%18.9%CM枠の販売。日中帯ドラマの編成強化で純広・通販とも増
その他1,155+36.6%10.4%TVer等の配信、アニメ製作委員会の出資配当、イベント
個別売上高11,144+1.0%100.0%—

この表のポイントは、売上の9割を占める放送収入(タイム+スポット)が減り、1割の「その他」が4割近く伸びたことです。なお、連結ではこのほかに出版子会社2社(理論社・国土社)の売上が加わり、連結売上高は119億21百万円になります。連結の「その他事業収入」19億32百万円には出版の売上が含まれるので、個別の「その他」11億55百万円とは数字が違います。

用語メモ:タイム収入とスポット収入 タイム収入は、番組の枠そのもの(例:毎週土曜夜の1時間)を広告主に売る収入です。通販番組の枠もここに入ります。スポット収入は、番組の合間に流れる15秒・30秒のCM枠を売る収入です。BS局ではタイム収入の比率が高いのが一般的です。

直近4期の業績推移(連結)

決算期売上高営業利益営業利益率純利益EPS配当配当性向
2023年8月期12,4171,98316.0%1,38677.85円26円33.4%
2024年8月期12,2412,08317.0%1,45581.70円30円36.7%
2025年8月期11,8121,93216.4%1,34575.51円30円39.7%
2026年8月期11,9211,76914.8%1,29872.83円30円41.2%
2027年8月期(予想)12,7742,10316.5%1,54186.41円35円40.5%

単位は百万円(EPS・配当を除く)。この表のポイントは、売上高が120億円前後でほとんど動いていないのに、営業利益は17億〜21億円の間で上下していることです。売上が横ばいの会社で利益を動かしているのは費用の側で、その中心は番組制作費です。

会社が掲げている目標

会社は2025年10月の決算説明会で、2030年に向けた目標として、個別売上高130億円超、営業利益率20%超、売上に占めるその他事業の比率15%超を掲げました(説明会資料スクリプト付きより)。個別ベースの今期実績と比べると次のとおりです。

項目2026年8月期実績(個別)2027年8月期予想(個別)2030年目標
売上高111億44百万円120億円130億円超
営業利益率16.3%17.5%20%超
その他の比率10.4%15.2%15%超

来期予想では、その他の比率が2030年の目標を3年前倒しで超える計画になっています。この「その他」の伸びが、来期予想を読むうえでの最大の論点です(§4)。

2. 決算ハイライト:2026年8月期(2026年10月8日15時30分発表)

損益

項目(百万円)2025年8月期2026年8月期増減率期初予想予想比
売上高11,81211,921+0.9%12,57694.8%
売上原価6,1846,409+3.6%——
売上総利益5,6285,512△2.1%——
販管費3,6963,742+1.3%——
営業利益1,9321,769△8.4%1,80498.1%
経常利益1,9851,868△5.9%1,88898.9%
純利益1,3451,298△3.5%1,30699.4%

売上は期初予想に6億54百万円届きませんでしたが、営業利益は34百万円の未達にとどまりました。期中に予想の修正は出ていません。売上の未達幅(△5.2%)は、適時開示が必要になる基準(売上で10%)に届かない水準です。

用語メモ:業績予想の修正が「出ない」こと 上場会社は、売上高が予想から10%以上、利益が30%以上ずれる見込みになると、修正を開示する決まりです。言い換えると、売上が5%届かなくても修正の開示は出ません。修正が出ていないことは「予想どおりだった」ことを意味しません。

減益の中身:3つに分けると

営業利益の減少1億62百万円(千円単位で△162,612千円)を、売上の増減・粗利率の変化・販管費の増減の3つに分けると次のようになります(筆者の計算)。

要因金額(百万円)計算
売上の増加による効果+52売上増加109×前期の粗利率47.65%
粗利率の低下による効果△168当期売上11,921×(46.24%−47.65%)
販管費の増加△463,742−3,696
合計△162実際の営業利益の増減と一致

この表のポイントは、減益のほぼすべてが「粗利率の低下」、つまり売上原価の増加で説明できることです。会社の説明資料によると、売上原価の主な増加要因は番組制作費の+3億41百万円で、減価償却費の△72百万円(いずれも説明資料の連結の変動要因)がその一部を打ち消しました。販管費の増加の主因は広告宣伝費(新聞・WEB広告)の+39百万円です(同)。

番組制作費が増えた理由として、会社は「既存コンテンツの強化及び新規コンテンツの開発」「良質なアニメコンテンツの確保」「イベント施策の充実」を挙げています。大家が、枠に流す中身に自分のお金を入れた1年だったということです。

経常利益が営業利益ほど減らなかった理由

営業利益は△8.4%でしたが、経常利益は△5.9%にとどまりました。営業外収益が5,366万円から1億0,105万円に増えたためで、その大半は受取利息及び配当金(3,970万円→8,665万円)です。受取利息及び配当金は2024年8月期の600万円から2年で約14倍になりました。手元資金を定期預金や債券に振り向けたことと、金利の上昇が重なった結果です。会社は前期の説明会で、投資有価証券の取得について「金利上昇による現預金の価値の目減りを抑えるため」と説明していました。

財政状態とキャッシュ・フロー

項目(百万円)2025年8月末2026年8月末増減
現金及び預金13,98813,757△231
うち預入期間3か月超の定期預金11,00011,0000
有価証券299498+198
棚卸資産616734+117
投資有価証券2,6153,379+764
土地4,0344,0340
負債合計2,4722,307△165
純資産24,42625,190+763
自己資本比率90.7%91.5%+0.8pt

営業キャッシュ・フローは14億15百万円(前期18億28百万円)。投資キャッシュ・フローは△11億31百万円で、主な使い道は投資有価証券の取得12億60百万円です(定期預金は140億円の払戻しと140億円の預入でほぼ相殺)。財務キャッシュ・フローは配当金の支払い5億34百万円が中心です。

棚卸資産の増加1億17百万円について、会社の説明資料(個別)は「出資アニメ作品の未放送原価」の増加+1億34百万円を挙げています。お金はすでに払ったが、放送するまでは費用にならない番組の原価が、資産として積まれているということです。これらは放送された期に費用になります。

用語メモ:番組勘定(未放送の番組の原価) 放送局は、番組を作ったり買ったりした費用を、放送するまでは「番組勘定」などの名前で棚卸資産に計上し、放送したときに売上原価に振り替えます。棚卸資産が増えているときは、翌期以降に費用になる番組の原価が先に積み上がっていると読めます。

3. 四半期で見る:減益は上半期に集中し、下半期は前年を上回った

この会社は累計の数字しか開示していないので、四半期ごとの数字は各四半期の短信の累計値から筆者が差し引いて出しました。千円単位の開示値から差し引き、4四半期の合計が通期の開示値と一致することを確認しています(売上−原価−販管費と営業利益の差は±2千円)。

四半期売上高粗利率販管費営業利益営業利益率
2023年8月期 9〜11月3,03950.8%92661720.3%
12〜2月3,00146.6%90649216.4%
3〜5月3,07247.8%96250616.5%
6〜8月3,30346.0%1,15236711.1%
2024年8月期 9〜11月2,95444.9%94737712.8%
12〜2月2,98248.4%89255018.4%
3〜5月3,13149.3%91662820.1%
6〜8月3,17346.0%93152716.6%
2025年8月期 9〜11月2,89250.9%92554518.8%
12〜2月2,99749.3%86261420.5%
3〜5月2,85845.5%91438513.5%
6〜8月3,06445.0%99338712.6%
2026年8月期 9〜11月2,87944.9%90538813.5%
12〜2月2,95446.4%91046015.6%
3〜5月3,01747.7%96047715.8%
6〜8月3,07045.9%96644214.4%

単位は百万円(筆者の差し引き、百万円未満切り捨て)。本記事の百万円表示は、すべて千円単位の値から百万円未満を切り捨てています。この表のポイントは2つです。

1つ目は、四半期の売上が28億〜33億円の狭い範囲に収まっている一方、営業利益率は11%〜21%の間で大きく動いていることです。売上が安定している大家なので、利益を動かしているのは、どの四半期にどれだけ番組の費用を使ったかです。

2つ目は、毎年同じ四半期に同じ形が出ているわけではないことです。最も利益率が低い四半期は、2023年8月期は6〜8月、2024年8月期は9〜11月、2025年8月期は6〜8月、2026年8月期は9〜11月と、年によって変わります。4年分を並べても決まった季節の形は見えないので、「この会社は◯月期に稼ぐ」とは言えません。

上半期と下半期に分けると

決算期上半期の営業利益下半期の営業利益下半期の比率上半期の利益率下半期の利益率
2023年8月期1,10987344.0%18.4%13.7%
2024年8月期9271,15555.5%15.6%18.3%
2025年8月期1,15977240.0%19.7%13.0%
2026年8月期84992052.0%14.6%15.1%

上半期が強い年と下半期が強い年が交互に来ています。2026年8月期は、上半期の営業利益が前年比△26.7%と落ち込み、下半期は+19.1%と前年を上回りました。四半期では、9〜11月△28.7%、12〜2月△24.9%、3〜5月+23.8%、6〜8月+14.3%です。

ただし下半期の増益は、前年の下半期(利益率13.0%)が低かったことの裏返しでもあります。2026年8月期の下半期の利益率15.1%は、4期の下半期の中では2番目の水準で、突出して高いわけではありません。

放送とその他を四半期で見ると(連結)

四半期放送事業収入前年同期比その他事業収入前年同期比
9〜11月2,512△2.4%366+14.8%
12〜2月2,430△4.6%524+16.7%
3〜5月2,525+1.8%491+30.7%
6〜8月2,520△2.7%549+15.8%

単位は百万円(筆者の差し引き)。その他事業収入は4四半期すべてで前年を上回りました。放送事業収入が前年を上回ったのは3〜5月だけです。「その他」の伸びは一時的な1四半期の跳ねではなく、毎四半期続いていることが確認できます。

4. 深掘り:来期の「営業利益+18.9%」は、何を前提にしているのか

ここからが本記事の中心です。問いは1つ、「売上計画に3年続けて届かなかった会社が出した18.9%増益の予想は、どこにどんな前提を置いているのか」です。3段階で見ていきます。

4-1. 3期分の会社予想と実績:売上は3〜5%届かず、費用も4〜6%使い残す

まず、この会社の予想がどう外れてきたかを並べます。3期とも、期中の修正は一度も出ていません。

決算期期初予想の発表日売上 期初予想の前期比売上 実績の前期比売上 達成率費用 計画費用 実績費用 使用率営業利益 達成率
2024年8月期2023年10月5日+1.5%△1.4%97.2%10,69010,15795.0%109.1%
2025年8月期2024年10月10日+0.6%△3.5%95.9%10,3109,88095.8%96.4%
2026年8月期2025年10月9日+6.5%+0.9%94.8%10,77210,15294.2%98.1%

費用は〈売上高−営業利益〉で筆者が計算(百万円)。この表のポイントは、売上は3期とも計画に届かず、費用も3期とも計画より少なく、その結果、営業利益は計画の±10%の範囲に着地してきたことです。

会社自身は、有価証券報告書の「目標とする経営指標」で、期初予算で設定した売上高と営業利益を「経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として取締役会等で監視」すると書いています。売上が計画を下回った分、番組の費用などの使い方を調整して営業利益を計画に近づける、という運営をしてきたと読める数字です。ただし、会社が費用の調整を意図的に行っているかどうかは開示から確かめられないので、ここでは「結果としてそうなってきた」という事実にとどめます。

個別ベースで、売上を区分ごとに見るとこうなります。

区分(個別)2025年8月期 計画実績達成率2026年8月期 計画実績達成率
タイム収入8,3598,15597.6%8,3587,88394.3%
スポット収入2,3572,03886.5%2,1862,10596.3%
その他88384595.7%1,2541,15592.1%
売上高11,60011,03995.2%11,80011,14494.4%

計画は各期の期初の決算補足説明資料から取りました(百万円)。「その他」は2期とも計画に届いていません。 2026年8月期は前期比+48.4%の計画に対して、実績は+36.6%でした。

用語メモ:2026年8月期の計画内訳が資料によって違う 2026年8月期の個別の売上計画は、2025年10月の資料ではタイム8,358・スポット2,186・その他1,254百万円でしたが、2026年10月の資料の「計画」欄ではタイム8,287・スポット2,263・その他1,249百万円になっています。合計の11,800百万円は同じです。内訳の違いについて会社は説明していないので、本記事では期初の資料の数字を使っています。

上半期と下半期に分けて、予想が置いていた下半期と実際の下半期を並べると、次のようになります(連結)。

決算期期初予想が置いた下半期の営業利益実際の下半期達成率期初予想が置いた下半期の売上実際達成率
2024年8月期1,0841,155106.6%6,6186,30495.3%
2025年8月期1,04777273.8%6,4085,92292.4%
2026年8月期97492094.5%6,4976,08793.7%

下半期の売上は3期とも予想に届かず(92〜95%)、営業利益は上にも下にも外れています。

4-2. 来期予想の置き方:増収の8割が「その他」、増益の大半が下半期

では、来期の予想はどう置かれているか。連結の数字から見ます。

項目(連結、百万円)2026年8月期 実績2027年8月期 予想増減増減率
売上高11,92112,774+853+7.1%
費用(売上高−営業利益)10,15210,671+519+5.1%
営業利益1,7692,103+334+18.9%
経常利益1,8682,262+394+21.0%
純利益1,2981,541+243+18.7%

売上が853百万円増え、費用の増加は519百万円にとどまる、という置き方です。費用の伸び(+5.1%)は、今期の番組制作費の伸び(+10.3%)の半分程度です。会社は短信で、次期は「番組関連費用の効果的な使用とその他の費用の削減に努めることで費用効率を更に高めてまいります」と書いています。

売上増加の中身を個別の区分で見ると、偏りがはっきりします。

区分(個別)2026年8月期 実績2027年8月期 計画増減率上半期 計画の前年比下半期 計画の前年比
タイム収入7,8838,111+2.9%+1.0%+4.8%
スポット収入2,1052,068△1.8%△3.5%±0.0%
その他1,1551,820+57.6%+34.7%+78.8%
売上高11,14412,000+7.7%+3.5%+11.7%

下半期は通期計画から上半期計画を引いて筆者が計算(百万円)。この表のポイントは2つです。

1つ目は、個別の売上増加856百万円のうち665百万円(約78%)が「その他」の増加であることです。放送収入はほぼ横ばいの計画で、増収のほとんどを配信・アニメ・イベントに置いています。

2つ目は、「その他」の下半期に前年比+78.8%を置いていることです。上半期の+34.7%も今期の通期の伸び(+36.6%)並みですが、下半期はそれを大きく上回る伸びを前提にしています。

次に、増益がどの半期に置かれているかを見ます(連結)。

項目(連結、百万円)上半期 予想前年上半期比下半期 予想前年下半期比
売上高5,990+2.7%6,784+11.4%
営業利益850+0.1%1,253+36.2%
営業利益率14.2%—18.5%—

下半期は通期予想から上半期予想を引いて筆者が計算。上半期の営業利益は前年並みで、増益334百万円のほぼすべてを下半期に置いています。 下半期の営業利益率18.5%は、過去4期の下半期(13.7%、18.3%、13.0%、15.1%)のどれよりも高い水準です。

整理すると、来期予想は「放送収入はほぼ横ばい」「その他は下半期に大きく伸びる」「費用の伸びは今期より抑える」という3つの前提の組み合わせでできています。

4-3. 過去の外れ方を当てはめると:感応度表

3期分の実績では、売上も費用も計画を下回ってきました。来期予想の売上と費用に、それぞれ達成率を置いて営業利益を試算すると次のようになります。

売上の達成率\費用の使用率100%97%95%
100%2,103(+18.9%)2,423(+36.9%)2,637(+49.0%)
97%1,720(△2.8%)2,040(+15.3%)2,253(+27.4%)
95%1,464(△17.2%)1,784(+0.8%)1,998(+12.9%)

単位は百万円、括弧内は2026年8月期実績比。売上12,774百万円・費用10,671百万円(いずれも会社予想)に達成率・使用率を掛けた筆者の試算で、将来の見通しではありません。費用の中には放送委託費など売上に関係なく出る費用もあるので、実際には費用を売上と同じ比率で動かせるとは限りません。

この表の読み方は、どのマスに着地するかを当てることではありません。予想がどこに置かれているかを見るためのものです。

  • 過去3期に近い形(売上も費用も5%下振れ)なら、右下の約20億円(+12.9%)。 予想には届かないが増益は残る
  • 売上だけが下振れし、費用を計画どおり使えば、左下の約14.6億円(△17.2%)。 「その他」を伸ばすための投資は、売上が届かなくても先に出やすい性格の費用です
  • 売上の未達が小さく、費用を大きく使い残せば、予想を上回る。 2024年8月期は売上97.2%・費用95.0%で、表の「97%×95%」のマスに近い形でした。営業利益は予想比109.1%でした

3段階をつなぐと

大家の例えに戻ります。この会社は、枠を貸す収入(放送)が横ばいの中で、枠に流す中身(番組・アニメ)に自分のお金を入れ始めました。今期はそのお金が先に出て減益になり、来期はその回収が「その他」の収入として下半期に大きく出てくる、というのが会社予想の組み立てです。過去3期、売上の計画は毎年3〜5%届かず、そのたびに費用も使い残すことで利益を計画に近づけてきました。来期は、売上の増加の大部分を、まだ2期続けて計画に届いていない「その他」に置いています。来期予想を読むうえで見るべきは、営業利益の数字そのものより、「その他」が上半期に計画(個別749百万円)どおり伸びているかどうかです。

5. その他の論点

エフエム東京株式の追加取得

決算と同時に、エフエム東京(TOKYO FM)との連携強化を目的とした株式追加取得のお知らせが出ています。2024年3月に44,500株、2026年3月に44,500株を取得し、現在89,000株(議決権比率10.00%)を保有しているという内容です。会社は、本件は適時開示の義務がないが決算短信の補足情報として知らせると書いています。

項目内容
保有株数89,000株(議決権比率10.00%、エフエム東京側の大株主表では9.89%・第2位)
取得時期2024年3月、2026年3月(各44,500株)
取得額開示なし
人的関係当社の代表取締役会長がエフエム東京の社外取締役
取引関係広告出稿、イベントの共同出資・共同開催等
今後の取り組み(会社の記載)ラジオ番組から派生する映像コンテンツ、大型イベント、デジタル領域、共同投資も視野に入れた協業領域の拡張検討 等

前期の有価証券報告書では、非上場株式3銘柄の貸借対照表計上額は816百万円でした(2024年8月末・2025年8月末とも同額)。今期は投資有価証券が764百万円増えていますが、このうち2回目のエフエム東京株式がいくらかは開示されていません。債券の取得も含まれている可能性があるので、内訳は2026年11月10日提出予定の有価証券報告書で確認が必要です。

出版子会社

連結子会社は児童書・教育図書の理論社・国土社の2社です。前期の決算説明会では、2024年8月期に課題図書に選ばれた反動で2025年8月期に赤字幅が拡大したと説明されていました。今期の個別営業利益は18億21百万円、連結は17億69百万円で、連結のほうが52百万円低い状態です(前期は個別19億88百万円、連結19億32百万円で56百万円差)。

社長交代と役員報酬制度の変更

2025年11月の定時株主総会を経て、社長は近藤和行氏から玉井忠幸氏に交代しました。同じ総会で、取締役向けの株式報酬をストック・オプションから譲渡制限付株式(年50百万円・5万株以内)に切り替える議案が諮られています。今期中に譲渡制限付株式の発行の開示は見当たりませんでした。

6. 資本政策と株主還元

株主優待:制度なし(2022年に廃止)

会社IRサイトによると、株主優待(ビックカメラ商品券)は、2022年8月末の株主名簿に記載された株主への進呈(2022年11月発送)をもって廃止されています。

配当:配当性向40%程度、年1回の期末配当

配当方針は有価証券報告書と決算説明資料で同じ内容で、「配当性向40%程度を基準として、株主還元の拡充を図っていく」「年1回の期末配当を行うことを基本」です。

決算期1株配当EPS配当性向配当の決め方
2021年8月期20円104.83円19.1%—
2022年8月期20円89.84円22.3%—
2023年8月期26円77.85円33.4%—
2024年8月期30円81.70円36.7%—
2025年8月期30円75.51円39.7%配当性向40%程度を基準
2026年8月期30円72.83円41.2%同上
2027年8月期(予想)35円86.41円40.5%同上

方針の文言が年ごとにいつ切り替わったかは、本記事では2025年8月期以降の資料(有価証券報告書・決算補足説明資料)でしか確認できていません(それ以前の列は「—」としました)。この表のポイントは、2025年8月期・2026年8月期はEPSが下がっても配当を30円に据え置き、配当性向が上がったことです。来期の35円は、予想EPS 86.41円の40%(34.6円)をわずかに上回る水準です。

配当性向40%を基準にしている以上、来期の配当は利益の着地に連動しやすい形です。仮に営業利益が感応度表の右下(約20億円)に着地した場合、EPSは予想を下回り、35円の配当性向は40%を超えます。過去2期のように配当を据え置くのか、利益に合わせるのかは、来期の決算で分かります。

配当総額を自分で再現すると、30円×期末株式数17,833,994株(自己株式238株を除く)=535百万円で、短信の配当金総額535百万円と一致します。権利付き最終日は、基準日の2027年8月31日(火)から2営業日前の**2027年8月27日(金)**です。

なお、定款には取締役会の決議で剰余金の配当ができる規定がありますが、有価証券報告書では期末配当の決定機関を株主総会としています。

親会社ビックカメラ:議決権61.40%

株主(2025年8月31日現在)所有株式数発行済株式(自己株式を除く)に対する割合
株式会社ビックカメラ10,930,136株61.35%
株式会社テレビ東京ホールディングス210,000株1.18%
INTERACTIVE BROKERS LLC134,300株0.75%
川上 英之122,100株0.69%
株式会社毎日映画社111,340株0.62%

議決権ベースでは61.40%です(「支配株主等に関する事項について」2025年11月20日)。親会社が過半数を持つので、普通決議も特別決議(3分の2)も、親会社の賛成なしには通りません。ビックカメラは東証プライム上場で、いわゆる親子上場の状態です。

会社は、ビックカメラとの取引(放送収入他、前期88百万円)について、他社と同様の契約条件や市場価格を参考に妥当性を検証し、社外役員も参加する取締役会で審議していると説明しています。前期の売上高に対して約0.7%の規模です。ビックカメラからは取締役1名・監査役1名を招いています。

株主数は21,355名、所有者別では個人・その他が24.34%、その他の法人が68.62%です(2025年8月末)。親会社以外の株主の持ち分が限られるため、普段の出来高は1日数万株程度です。

株数と潜在株式

期中に新株予約権の行使で17,300株増え、期末の発行済株式数は17,834,232株です。潜在株式(株式報酬型ストック・オプション、行使価格1円)は24,266株と小さく、EPSと希薄化後EPSの差は0.10円です。自己株式は238株で、自己株式の取得は行っていません。

時価総額と手元資金

項目金額1株当たり
時価総額(10月9日終値936円×期末株式数)約167億円936円
現金及び預金137億57百万円約771円
現預金+有価証券−負債合計119億48百万円約670円
同+投資有価証券153億28百万円約859円
自己資本(BPS)251億71百万円1,411.43円

1株当たりは期末株式数(自己株式を除く)で筆者が計算。この表は、会社が手元資金を株主に返す場合に限って意味を持つ計算です。手元資金は番組・アニメへの投資の原資でもあり、会社が還元を約束しているわけではありません。投資有価証券には非上場株式(エフエム東京等)が含まれ、すぐに換金できる資産ではない点にも注意が必要です。このほか、帳簿価額40億34百万円の土地(1株当たり約226円)があります。

7. 株価の見方

株価は2026年10月9日(金)の終値936円を基準にします。決算発表は10月8日(木)15時30分で、取引終了と同時刻だったため、10月8日の終値935円には決算の内容は含まれていません。翌10月9日は始値925円、高値939円、安値925円、終値936円(前日比+1円)、出来高96,300株でした。10月12日(月)は祝日で休場のため、次の取引は10月13日(火)です。

指標数値計算
予想PER10.8倍936円÷会社予想EPS 86.41円
実績PER12.9倍936円÷72.83円
PBR0.66倍936円÷BPS 1,411.43円
予想配当利回り3.74%35円÷936円
2026年の高値・安値1,060円(9月)・885円(6月)Yahoo!ファイナンス月足(報道ベース)

一次情報からも株価の基準点が取れます。短信の「時価ベースの自己資本比率」58.8%×総資産274億97百万円÷期末株式数で逆算すると、2026年8月末の株価は約907円で、Yahoo!ファイナンスの8月31日終値906円と一致します。前期末(2025年8月末)は同じ計算で約922円でした。

9月15日には、前日比+131円の1,050円で引け、出来高は111万株と普段の10倍を超えました。当日、会社の適時開示は出ていません。理由は分からないので、事実として記すにとどめます。

強気の見方

  • 来期予想の営業利益+18.9%に対し、予想PERは10.8倍。過去3期に近い「売上も費用も5%下振れ」の形でも、営業利益は約20億円で増益が残る計算
  • 「その他」は4四半期すべてで前年を上回り、通期で+36.6%。配信・アニメ・イベントの伸びは一時的な跳ねではない
  • 今期は番組・アニメへの投資で減益になったが、未放送のアニメ原価が棚卸資産に積まれており、放送される期に売上と結びつく
  • 自己資本比率91.5%、現預金137億円。PBR 0.66倍は、帳簿上の純資産を株価が下回る水準
  • 配当性向40%程度の方針で、来期は5円の増配予想。過去2期は減益でも配当を据え置いた
  • 受取利息及び配当金が2年で約14倍になり、金利が上がるほど手元資金が利益を生む構造。来期予想も経常利益と営業利益の差を99百万円から159百万円に広げている

弱気の見方

  • 売上は3期続けて期初予想に3〜5%届かず、「その他」も2期続けて計画に届いていない。来期は増収の約78%を、その「その他」の+57.6%に置いている
  • 増益のほぼすべてを下半期に置き、下半期の営業利益率18.5%は過去4期のどの下半期よりも高い
  • 売上が届かず費用だけ計画どおり使えば、営業利益は約14.6億円(△17.2%)になる計算。投資の費用は売上より先に出やすい
  • 放送収入の7割を占めるタイム収入は、通販番組の動向に左右される。今期も「ショッピングカテゴリーで厳しい状況」が続いた
  • 親会社が議決権の61.40%を持ち、少数株主の意向が株主総会の結果を左右する余地は小さい。出来高も1日数万株程度と少ない
  • 手元資金は厚いが、株主還元は配当のみで自己株式の取得は行っていない。投資有価証券の取得(今期12億60百万円)やエフエム東京株式など、事業・提携への資金配分が続いている

8. 今後のカレンダーと見るべきKPI

日付イベント見るポイント
2026年10月13日(火)祝日明けの取引決算後2日目の値動き
2026年10月18日(日)JET STREAM LIVE 2026 in 渋谷音楽祭(エフエム東京との共催イベント)イベント事業の一例
2026年10月22日(木)2026年8月期 決算説明会来期の「その他」+57.6%の内訳と、下半期偏重の理由
2026年11月10日(火)有価証券報告書の提出予定日投資有価証券の内訳、エフエム東京株式の取得額、収益認識注記の「製作委員会出資事業」の金額
2026年11月11日(水)定時株主総会期末配当30円の決議
2026年11月12日(木)配当支払開始予定日—
2027年1月上旬(例年)2027年8月期 第1四半期決算「その他」の伸び、上半期予想(営業利益850百万円)への進捗
2027年4月上旬(例年)中間決算上半期の「その他」が計画(個別749百万円)に届いたか
2027年8月27日(金)期末配当の権利付き最終日予想35円

見るべきKPI

  1. 「その他」の収入の伸び:来期予想の要です。個別の上半期計画は749百万円(前年比+34.7%)、通期は1,820百万円(+57.6%)。四半期の短信では連結の「その他事業収入」として出るので、前年同期比(今期は+14.8%〜+30.7%)と比べます
  2. タイム収入とスポット収入:計画はタイム+2.9%、スポット△1.8%。通販番組の動向が表れるのはタイム収入です
  3. 棚卸資産(未放送の番組の原価):積み上がりが続けば、翌期以降の費用が先に積まれていることになります
  4. 上半期の営業利益の進捗:予想は前年並みの850百万円。ここが届かないと、下半期に置かれた増益幅(+36.2%)がさらに大きくなります

9. 3行まとめ

  • 2026年8月期は番組・アニメへの投資で営業利益△8.4%。減益は上半期に集中し、下半期だけなら+19.1%だった
  • 過去3期、売上は計画に3〜5%届かず、費用も4〜6%使い残して利益を計画に近づけてきた。来期の+18.9%増益は、増収の約8割(個別ベース)を「その他」の+57.6%に、増益のほぼすべてを下半期に置いた予想
  • 予想PER10.8倍・PBR0.66倍・予想利回り3.74%、現預金137億円。親会社ビックカメラが議決権61.40%を持ち、株主還元は配当性向40%程度の配当のみ

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘・助言を目的としたものではありません。数値は日本BS放送の決算短信(2024年8月期〜2026年8月期の各四半期・通期)、決算補足説明資料(2025年8月期・2026年8月期)、2025年8月期決算説明会資料(スクリプト付き)、有価証券報告書(第27期)、適時開示(支配株主等に関する事項、エフエム東京株式の追加取得等)、会社IRサイトによります。四半期・半期の数字、達成率、感応度表、1株当たりの数値は筆者の計算です。2026年8月期の決算説明会(2026年10月22日予定)の前に執筆しているため、説明会の内容・質疑応答は一切反映していません。2026年8月期の有価証券報告書(11月10日提出予定)は提出前のため、投資有価証券の内訳、エフエム東京株式の取得額、大株主の状況(本記事は2025年8月末時点)は確認できていません。費用の使い方を会社が意図的に調整しているかどうかについて、本文で「結果としてそうなってきた」と書いた箇所は数字の並びからの記述であり、会社の開示に基づくものではありません。9月15日の株価・出来高の動きの理由は確認できていません。株価・年初来高値・安値はYahoo!ファイナンス(報道ベース)によります。決算発表は取引終了と同時刻の15時30分で、発表日の値動きには決算の内容が含まれていません。

記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。

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