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マニー(7730) 外科医と歯科医が使い捨てる小さな刃と針を、ベトナムで作って世界中の棚に並べている会社 中国の棚が埋まり直した翌年、利益はどこまで伸びるのか?【2026年10月発表・通期決算】

本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • マニーの2026年8月期は営業利益99億43百万円(前期比+21.4%)で過去最高。ただしデンタルの増収12億39百万円のうち12億31百万円は「中国デンタル」の回復で、中国以外のデンタルは前期比+0.1%(筆者の差し引き)
  • 中国の歯科用ダイヤバーは、販売再開直後の12〜2月に回収前の156%まで売れました。来期の上半期予想(営業利益△1.9%)は、この「棚の埋め直し」の裏を背負った形と読めます
  • 来期予想は上半期△1.9%・下半期+19.7%の営業増益という後半偏重。過去2期の「予想が置いた残り期間」と実際を並べました
  • 来期の営業利益+8.6%は、花岡工場(スマートファクトリー)の費用が「営業外」から「営業費用」に移る年の数字です。移る割合ごとに見え方がどう変わるかを感応度表にしました
  • 配当は41円→42円。中期経営計画の「DOE8%目安」に対し、今期は7.18%、来期は筆者の試算で約6.8%と、目安から離れる向きです
  • 株主優待(300株以上・1年以上保有でQUOカード3,000円)の、新しく買った人が最初に受け取れる基準日

1. 前提知識:マニーはどんな会社か

軸となる例え:使い捨ての小さな刃と針を、世界中の棚に並べている会社

手術室で白内障の手術をする眼科医は、目に入れる小さなナイフを患者ごとに使い捨てます。歯科医院では、虫歯を削るダイヤモンドの粒がついた細い棒(ダイヤバー)や、歯の根の中を掃除する針金のようなやすり(リーマ・ファイル)が、何本も使われては捨てられます。縫合糸の先につく「穴のない針(アイレス針)」は、糸メーカーが仕入れて自社の針付き縫合糸に仕立てます。

マニーが作っているのは、こうした医師の手元で消耗される小さな刃と針です。会社自身が「製造工程の大半についてベトナムを中心とした東南アジア諸国へ生産移管」していると書いており(2025年8月期決算短信)、海外売上高比率は約85%です。

この記事では、マニーを**「外科医と歯科医が使い捨てる小さな刃と針を、ベトナムで作って世界中の棚に並べている会社」**として読みます。この一文には、強みと弱みが同時に入っています。

  • 強み:使い捨てである。手術や治療のたびに減るので、医師が道具を気に入れば繰り返し買われます。営業利益率が30%前後で推移しているのは、この性質と無関係ではないという見方が成り立ちます
  • 弱み①:棚は自分のものではない。医療機器は国ごとに登録(薬事承認)が要り、病院への流通は代理店や、中国ではGPO(政府主導の集中購買)が握っています。書類1枚の不備で棚から商品が消えることがあります。2025年3月に中国で起きたダイヤバーの自主回収は、まさにこれでした
  • 弱み②:売るのは外貨、帳簿は円。ドル・ユーロ・人民元で売った分が円に換算されて決算に載るので、作る量や売る量が同じでも、為替で数字が動きます

この3つは、決算ハイライト(2章)、深掘り(3章)、株価の見方(6章)でそれぞれ回収します。

事業の構造

マニーの報告セグメントは製品別の3つです(2026年8月期決算短信)。

セグメント主な製品売上高(百万円)セグメント利益(百万円)利益率
サージカル関連製品眼科ナイフ、ステイプラーなど10,1723,55134.9%
アイレス針関連製品アイレス針、針付縫合糸12,0984,67838.7%
デンタル関連製品リーマ・ファイル、ダイヤバー、歯科修復材10,7481,71315.9%
連結―33,0189,94330.1%

この表のポイントは2つです。1つ目は、セグメント利益の合計がそのまま連結営業利益になっていること(調整額ゼロ。全社費用は各セグメントに配分済み)。2つ目は、デンタルだけ利益率が低いことです。デンタルにはドイツ子会社MANI MEDICAL GERMANY(以下MMG)の歯科修復材事業が入っており、会社は中期経営計画でMMGを「赤字からの脱却を図り」と位置づけています。

用語メモ:アイレス針(eyeless needle)は、糸を通す穴がなく、後端に糸を埋め込む構造の縫合針。マニーは針を作って縫合糸メーカーに納めます(B to B)。中期経営計画では「グローバル№2ポジション」と書いています。

直近3期と来期予想の推移

項目2024年8月期2025年8月期2026年8月期2027年8月期(会社予想)
売上高(百万円)28,51329,96833,01836,500
営業利益(百万円)8,3928,1939,94310,800
営業利益率29.4%27.3%30.1%29.6%
経常利益(百万円)8,4648,27110,55410,900
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)6,2864,6437,2377,600
EPS(円)63.8247.1473.4777.17
ROE12.3%8.8%12.9%―
自己資本比率91.5%92.4%90.6%―
1株配当(円)39394142
配当性向(連結)61.1%82.7%55.8%54.4%

出典は各期の決算短信。2025年8月期は、2025年10月20日に短信が訂正されています(後述)。表の数値は訂正後です。

2025年8月期の落ち込みは、中国のダイヤバー回収(営業利益への影響額11億92百万円、会社開示)と、MMGの固定資産の減損損失11億90百万円(特別損失)の2つが重なったものです。2026年8月期はその両方が外れた年なので、「最高益」の中身を前々期(2024年8月期)とも比べながら読む必要があります。

会社予想の達成履歴

マニーは期初に上期予想と通期予想を出します。直近2期の予想と実績を並べます(各期の決算短信・業績予想の修正の開示から筆者作成)。

期期初予想(開示日)期初の前期比修正(開示日)実績実績÷期初実績÷修正後
2025年8月期 営業利益8,900(2024/10/7)+6.1%7,900(2025/7/9)8,193△7.9%+3.7%
2025年8月期 純利益6,350+1.0%5,4504,643△26.9%△14.8%
2026年8月期 営業利益9,200(2025/10/8)+12.3%9,700(2026/7/15)9,943+8.1%+2.5%
2026年8月期 純利益6,450+38.9%6,8007,237+12.2%+6.4%

単位は百万円。この表のポイントは2つです。

1つ目は、2期とも修正は第3四半期決算と同日(7月)に1回だけだったことです。2026年8月期は上期の営業利益が上期予想を18.5%上回ったのに(2026年4月14日の差異開示)、その時点では通期予想を据え置き、7月に上方修正しました。

2つ目は、修正後の予想が置いた「最後の3か月」は、2期とも実際のほうが大きかったことです。

期7月の修正後予想が置いた6〜8月の営業利益実際の6〜8月達成率
2025年8月期1,7652,058116.6%
2026年8月期2,2142,457111.0%

修正後予想から第3四半期累計を引いた筆者の差し引き(百万円)。一方で、上期決算時点の通期予想が置いていた下期は、2025年8月期が実際の85.0%(回収の影響)、2026年8月期が118.1%と、上にも下にも外れています。「この会社の予想は控えめ」と一方向に決めつけられる履歴ではない、というのが表から言えることです。

中期経営計画2029との距離

2025年10月8日に公表した「中期経営計画2029」(2026年8月期〜2029年8月期)の数値目標は次のとおりです(中計資料の「業績目標」の表から転記)。

項目2025年8月期実績2029年8月期ベースプラン2027年8月期会社予想予想から目標までの必要年率(2年)
売上高300億円450億円365億円+11.0%
営業利益(率)82億円(27.3%)145億円(32%)108億円(29.6%)+15.9%
純利益46億円105億円76億円+17.5%
ROE8.8%16%――

必要年率は筆者の計算。中計はさらに「M&A投資枠200億円を活かし売上500億円以上を目指す」としています。注意点は、中計の為替前提が1ドル=143円であることです。2026年8月期の実績平均は156.73円、来期予想の前提は150円で、中計より円安の前提に立っています。円安は売上を膨らませる方向に働くので、「為替を中計と同じ143円に戻したら、どこまで届いているのか」は、この記事の材料からは計算できません(通貨別の売上が開示されていないため)。


2. 決算ハイライト(2026年10月15日 15時30分発表)

損益

項目2025年8月期2026年8月期前期比
売上高29,96833,018+10.2%
売上総利益19,31721,976+13.8%
粗利率64.5%66.6%+2.1pt
販売費及び一般管理費11,12412,032+8.2%
営業利益8,1939,943+21.4%
営業外収益4021,198―
営業外費用324588―
経常利益8,27110,554+27.6%
特別損失1,212312―
税金等調整前当期純利益7,08710,284+45.1%
法人税等合計2,4433,047―
親会社株主に帰属する当期純利益4,6437,237+55.9%

単位は百万円(百万円未満切捨て)。売上+10.2%に対し、営業利益+21.4%、純利益+55.9%と、下の段に行くほど伸び率が大きくなっています。理由は段ごとに違います。

営業利益:数量・率・販管費の3分解(筆者の計算)

要因金額(百万円)計算
数量効果(売上の増加)+1,966売上増加3,050×前期粗利率64.46%
率効果(粗利率の改善)+693当期売上33,018×(66.56%−64.46%)
販管費の増加△90812,032−11,124
合計+1,751実際の増減1,750(丸めで1ずれ)

増益の大半は売上の増加で説明でき、粗利率の改善がそれに上乗せされています。会社は粗利率改善の理由を「ダイヤバー販売再開による売上原価率の改善」と書いています。前期は回収品の返品(△3億81百万円、会社開示)が売上から差し引かれていたので、その裏返しも含まれるという見方が成り立ちます。

経常利益:円安の為替差益

営業外収益のうち為替差益が7億12百万円(前期71百万円)。為替差益を除いた経常利益は98億42百万円で、営業利益99億43百万円をわずかに下回ります(筆者の計算)。軸の弱み②「売るのは外貨、帳簿は円」が、ここでは追い風として出ています。

純利益:前期の特別損失がなくなった

前期はMMGの減損損失11億90百万円がありました。今期の特別損失は3億12百万円で、うち減損損失3億2百万円は「高根沢工場閉鎖等に伴い」計上したものです(セグメント別ではデンタル14百万円、全社288百万円)。高根沢工場の閉鎖は、中計の「グローバル生産体制の最適化」の施策として挙げられていたものです。

用語メモ:前期(2025年8月期)の決算短信は、公表後の2025年10月20日に訂正されています。訂正理由は「会社法監査における確認作業の過程で監査法人と協議を行った結果、繰延税金資産についてより保守的に見積ることが望ましいと判断」したためで、繰延税金資産を1,004百万円から455百万円に修正しました。この記事の前期の数値は訂正後のものです。

税負担率

税負担率(法人税等÷税引前利益)は、前期34.5%→今期29.6%に下がりました。今期は法人税等調整額が△2億78百万円(税金費用を減らす側)で、繰延税金資産は455百万円→706百万円に増えています。前期の訂正で保守的に見積もった繰延税金資産の一部が、今期に積み増された形と読めますが、内訳は有価証券報告書(11月20日提出予定)の税効果の注記で確認する必要があります。

財政状態とキャッシュ・フロー

項目2025年8月末2026年8月末
現金及び預金18,42426,494
有形固定資産25,75825,015
総資産57,98765,087
リース債務(流動+固定)7681
純資産53,56158,986
自己資本比率92.4%90.6%
キャッシュ・フロー2025年8月期2026年8月期
営業CF7,01711,844
投資CF△7,154△855
財務CF△3,895△3,999

単位は百万円。現預金は総資産の40.7%、借入金はなくリース債務のみです。

営業CFの増加には一時的な要因が入っています。前期は花岡工場の建設に伴う仮払消費税で「その他の流動資産」が膨らみ(増減額△968百万円)、今期はその還付で逆に+991百万円となりました。会社も営業CFの増加理由に「未収消費税等の還付金収入など一時的な収入」を挙げています。投資CFの縮小は、花岡工場の建設が終わり有形固定資産の取得が64億18百万円→11億15百万円に減ったためです。

自己資本比率が下がったのは、利益が積み上がらなかったからではなく、未払法人税等(10億89百万円→20億32百万円)などで負債が増え、現預金が膨らんで総資産(分母)が大きくなったためです。


3. 深掘り:中国の棚が埋まり直した翌年、何が残るのか

この決算で一番大事で、一番わかりにくいのは、「今期の増益のどこまでが一度きりの回復で、来期以降に何が残るのか」です。3段階で見ていきます。

3-1. デンタルの増収は、ほぼ全部が中国の棚の埋め直し

マニーは短信の冒頭に、中国デンタルとダイヤバーの四半期売上を「回収前(2024年8月期)の同じ期間」に対する指数つきで載せています。

期間中国デンタル売上(百万円)指数うちダイヤバー(百万円)指数
2024年8月期 通期3,939100%2,553100%
2025年8月期 通期2,46763%1,49759%
2026年8月期 9〜11月74060%29837%
2026年8月期 12〜2月1,121136%831156%
2026年8月期 3〜5月98394%57987%
2026年8月期 6〜8月853102%52998%
2026年8月期 通期3,69894%2,23888%

指数は会社の開示(当該期間の2024年8月期実績に対する比率)。この表のポイントは2つです。

1つ目は、12〜2月の136%・156%が突出していることです。販売再開は2025年11月で、会社は第1四半期の決算説明会資料で再販開始後に「流通在庫を補充」すると説明していました。空になった棚にまとめて商品を並べ直した四半期、という見方が成り立ちます。3〜5月以降は回収前の9割〜10割の水準に落ち着いています。

2つ目は、**通期のダイヤバーは回収前の88%、中国デンタル全体は94%**で、会社の当初目標「2年間で回収前の約9割に回復」に1年でほぼ届いたことです。

ここからデンタル全体の増収を分けます(筆者の差し引き)。

項目2024年8月期2025年8月期2026年8月期前期比
デンタル売上高10,1399,50910,748+1,239
うち中国デンタル3,9392,4673,698+1,231
中国以外のデンタル6,2007,0427,050+0.1%

単位は百万円。デンタルの増収12億39百万円のうち12億31百万円が中国デンタルで、中国以外は前期とほぼ同額でした。前期は「中国以外の地域でのダイヤバー販売はロシアや日本を中心に前期比20.4%増加」と会社が書いた年で、その伸びは今期止まっています。地域別の収益分解では、日本のデンタル売上が12億82百万円→10億19百万円(△20.5%)と減っています。ユーロ高でMMGの売上は円換算で膨らむ方向なのに中国以外が横ばい、という点も含め、会社は中国以外のデンタルが伸びなかった理由を短信で説明していません。

用語メモ:「中国デンタル売上高」は会社が短信に載せた区分の数字で、セグメント情報の地域別分解(顧客の所在地ベース)とは別に開示されています。定義の細部は開示されていないので、上の差し引きは「会社が示した2つの数字の差」として読んでください。

デンタルの6〜8月は利益率9.1%

デンタルのセグメント利益を四半期に割ると、回復の形がもう一段はっきりします(筆者の差し引き。第1四半期・中間・第3四半期・通期の各短信の累計から算出)。

期間デンタル売上(百万円)セグメント利益(百万円)利益率
2025年8月期 9〜11月2,3682229.4%
2025年8月期 12〜2月2,16723811.0%
2025年8月期 3〜5月2,43526811.0%
2025年8月期 6〜8月2,53938215.0%
2026年8月期 9〜11月2,37532213.6%
2026年8月期 12〜2月2,96868223.0%
2026年8月期 3〜5月2,76046917.0%
2026年8月期 6〜8月2,6452409.1%

棚を埋め直した12〜2月に利益率23.0%、最後の6〜8月は9.1%で、前年同期(15.0%)を下回りました。会社は通期の販管費増加の理由に「MMGの組織改革を進めていること」を挙げ、MMGの改革(OEM顧客80社の取引条件の見直し、自社ブランドへの転換、欧州のデンタル事業のMMGへの移管)を説明しています。6〜8月の落ち込みをこの改革費用と結びつける記載は短信にないので、ここでは事実の並びにとどめます。

大口顧客の比率11.2%

今期の短信の「主要な顧客ごとの情報」には、デンタル関連製品の顧客として納馳(北京)医療科技有限公司が売上高37億3百万円で載っています(連結売上高の11.2%)。前期は「10%以上を占める相手先がない」、2024年8月期は別の北京の会社が載っていました。この顧客と上の「中国デンタル」の関係を会社は説明していないので、記事でも結びつけません。言えるのは、連結売上の1割強を1社が占める構造が戻ったという事実です。軸の弱み①「棚は自分のものではない」の、もう一つの側面です。

3-2. 来期予想は「上半期は横ばい、下半期に+20%」

3-1で見たとおり、今期の12〜2月は棚の埋め直しで膨らみました。来期(2027年8月期)の会社予想を上期・下期に割ると、その裏をはっきり背負った形になっています。

項目2026年8月期 上期実績2027年8月期 上期予想前年比2026年8月期 下期実績2027年8月期 下期予想前年比
売上高16,10617,700+9.9%16,91218,800+11.2%
営業利益5,0975,000△1.9%4,8465,800+19.7%
営業利益率31.6%28.2%―28.7%30.9%―
経常利益5,6195,000△11.0%4,9355,900+19.6%
純利益3,8983,500△10.2%3,3394,100+22.8%

単位は百万円。下期予想は〈通期予想−上期予想〉の筆者の差し引き。

用語メモ:決算短信のサマリーの予想欄は、テキストとして取り出すと「△」の記号が落ちることがあります。上期の営業利益5,000百万円は前年上期5,097百万円を下回るので、前年比は△1.9%です(経常△11.0%、純利益△10.2%)。

この表のポイントは3つです。

1つ目は、上期の売上は+9.9%伸ばすのに、営業利益は前年を下回る予想であることです。上期の営業利益率は31.6%→28.2%に下がる前提です。今期上期は棚の埋め直しで粗利率の高いダイヤバーが厚く売れた期なので、その裏で率が下がる置き方と読めます。

2つ目は、**下期は営業利益+19.7%、利益率30.9%**を置いていることです。過去3年の下期の営業利益率は28.7%(2024年8月期)、26.5%(2025年8月期)、28.7%(2026年8月期)で、30.9%はこの範囲より高い水準です。

3つ目は、**上期の経常利益が営業利益と同額(5,000百万円)**で、営業外損益をほぼゼロと置いていることです。今期上期は営業外で5億22百万円のプラス(為替差益が中心)がありました。為替の前提(1ドル=150円、1ユーロ=175円、1元=22円)は今期実績平均(156.73円、182.37円、22.65円)より4%前後円高で、会社は「予想される為替変動リスクを織り込み、現行レートより円高水準で設定」と書いています。

12四半期を並べると、今期の12〜2月がどれだけ突出していたかが見えます(筆者の差し引き。4四半期の合計が各期の通期開示値と一致することを確認済み)。

期間売上高粗利率営業利益営業利益率
2024年8月期 9〜11月7,11462.5%2,22331.2%
2024年8月期 12〜2月6,79462.5%1,97429.1%
2024年8月期 3〜5月7,70263.8%2,30129.9%
2024年8月期 6〜8月6,90362.1%1,89427.4%
2025年8月期 9〜11月7,65565.3%2,10727.5%
2025年8月期 12〜2月7,15562.8%2,06528.9%
2025年8月期 3〜5月7,47063.7%1,96326.3%
2025年8月期 6〜8月7,68865.9%2,05826.8%
2026年8月期 9〜11月7,82865.9%2,25528.8%
2026年8月期 12〜2月8,27867.2%2,84234.3%
2026年8月期 3〜5月8,29067.0%2,38928.8%
2026年8月期 6〜8月8,62266.1%2,45728.5%

単位は百万円。営業利益率が34%台に乗ったのは12四半期で今期の12〜2月だけです。最も低い四半期は年によって違い(2024年8月期は6〜8月、2025年8月期は3〜5月)、毎年同じ形が出ているわけではないので、この会社に「季節性がある」とは書けません。12〜2月の34.3%は季節ではなく、棚の埋め直しという一度きりの出来事と読むのが自然です。

来期の上期予想を「前年並みの率」で置き直すと

来期上期の売上予想17,700百万円に、棚の埋め直しのない直近2四半期(3〜5月・6〜8月)の営業利益率28.6%(2四半期合計で筆者計算)を当てると約50.7億円で、会社予想の50億円とほぼ同じ水準になります。会社の上期予想は、「埋め直しの四半期を除いた最近の利益率で、売上だけ1割伸ばした」置き方に近い、という見方が成り立ちます(筆者の試算で、会社が予想の作り方をこう説明しているわけではありません)。

3-3. 来期の「営業利益+8.6%」は、費用の置き場所が変わる年の数字

3-2で、来期は売上+10.5%に対して営業利益+8.6%、経常利益+3.3%と、伸び率が下の段ほど小さくなる予想だと見ました。今期とちょうど逆の形です。ここには、決算書を素直に並べただけでは見えない理由があります。

花岡工場の費用は、今期まで「営業外」にあった

マニーは2025年1月、栃木県に花岡工場(スマートファクトリー)を竣工させました。ところが、量産はまだ始まっていませんでした。その間の工場の減価償却費等は、損益計算書の「営業外費用」に「未稼働用地関連費用」として計上されてきました。会社は前期の短信で「花岡工場(スマートファクトリー)の減価償却費等(未稼働用地関連費用)」と、この科目が花岡工場の費用であることを明記しています。

期未稼働用地関連費用(営業外費用、百万円)
2024年8月期23
2025年8月期310
2026年8月期518

今期の第3四半期短信によると、新製品のNiTiロータリーファイル「JIZAI」は「スマートファクトリーでの量産を2026年9月から開始」、つまり来期の初日から花岡工場が動き始めます。来期予想の説明で、会社は売上原価・販管費の両方について「花岡工場の本格稼働に伴う減価償却費の増加」を見込むと書いています。

ここから言えるのは、今期まで営業利益の下(営業外)にあった費用が、来期から営業利益の上(売上原価・販管費)に入ってくるということです。営業利益だけを並べると、今期は花岡工場の費用を負担していない数字、来期は負担した数字になり、物差しがそろっていません。

用語メモ:工場のように事業に使う設備の減価償却費は、ふつう売上原価や販管費(営業費用)に入ります。まだ稼働していない設備の費用を営業外費用に置くのは、「本業の稼ぎ(営業利益)には、まだ使っていない設備のコストを含めない」という考え方によるものです。稼働すれば営業費用に移るので、その年は営業利益が見かけ上重くなります。

移る割合ごとに、来期の伸び率を置き直す(筆者の試算)

来期にいくらが営業費用に移るかは開示されていません。そこで、今期の未稼働用地関連費用5億18百万円のうち、何割が「本来なら営業費用だった」とみなすかを3段階で置き、今期の営業利益を置き直します。

営業費用に移る割合置き直した今期の営業利益(百万円)来期予想10,800百万円の伸び率
0%(置き直さない)9,943+8.6%
50%9,684+11.5%
100%9,425+14.6%

固定した前提:来期の営業利益は会社予想10,800百万円。今期の未稼働用地関連費用518百万円を、割合に応じて今期の営業費用に加えた。来期の花岡工場の費用は今期と同額とは限らず(稼働で償却が増える可能性、量産品の原価に吸収される分がある)、この表は筆者の試算で、将来の見通しではありません。

物差しをそろえると、来期の営業増益率は+8.6%〜+14.6%の幅で読めることになります。

経常利益+3.3%の中身

経常利益と営業利益の差(営業外損益)は、今期の+6億11百万円から、来期予想では+1億円に縮みます。今期の営業外から一過性の2項目を外すと、次のようになります(筆者の計算)。

項目今期(百万円)
営業外収益1,198
うち為替差益712
営業外費用588
うち未稼働用地関連費用518
為替差益と未稼働用地関連費用を除いた営業外損益+416

受取利息3億24百万円などで、一過性の項目を除いても4億円強のプラスが残る計算です。来期予想の+1億円はこれより約3億円小さく、為替差損(前提が現行より円高なので、外貨建て資産の評価で差損が出る置き方)や、営業外に残る費用を見込んでいる可能性があります。どちらかは開示されていません。言えるのは、来期の経常利益予想は、為替差益をゼロ以下と置いた保守的な科目と読めることです。為替が今期並みの円安で推移すれば、経常段階には上振れの余地が残り、円高に振れれば営業段階の売上も削られます。軸の弱み②「売るのは外貨、帳簿は円」は、来期予想の作り方そのものに入っています。

暗黙の税負担率(〈1−純利益予想÷経常利益予想〉、特別損益ゼロとした場合)は、通期30.3%・上期30.0%で、今期実績29.6%とほぼ同じ水準です。税の置き方に特別な前提は見当たりません。

3つの段階を1本の線でつなぐ

今期の増益は、「中国の棚が埋まり直した」ことでほぼ説明できます(3-1)。その埋め直しは12〜2月に集中した一度きりの出来事で、来期の上期はその裏を背負います(3-2)。そして来期は、花岡工場の費用が営業利益の上に入ってくる年でもあり、営業利益の伸び率だけを見ると、本業の伸びを小さめに見ることになります(3-3)。

「使い捨ての刃と針を世界の棚に並べる」という仕事の強さそのものは、棚が戻るとすぐ数字が戻ったことで示されました。来期以降に問われるのは、棚が戻った後の伸び、つまり中国以外のデンタル、北米・欧州のサージカル、中国GPOのアイレス針が、埋め直しの上乗せなしでどこまで伸びるかです。


4. セグメント別・イベント

3セグメントの通期

セグメント2024年8月期 利益率2025年8月期 利益率2026年8月期 利益率増益額(百万円)
サージカル32.4%33.2%34.9%+471
アイレス針37.9%35.8%38.7%+676
デンタル18.5%11.7%15.9%+603

注意点として、2024年8月期にセグメント利益の算出方法(販管費の配分)が変更されています。2024年8月期の値は変更後の数字です。

サージカル(眼科ナイフ等):売上+9.7%、利益+15.3%。白内障手術用の眼科ナイフが欧州・北米で好調で、会社は利益率改善の理由に「値上げ実施」を挙げています。一方、中国では「医療政策に伴う市場環境の変化や、代理店における在庫調整の影響が継続」し、売上は若干のマイナスでした。6〜8月単独の利益率は35.8%(前年同期31.2%、筆者の差し引き)。北米では2025年4月に米MicroSurgical Technology社と販売の戦略的パートナーシップを結んでいます。

アイレス針:売上+8.2%、利益+16.9%。会社によると、中国では顧客(縫合糸メーカー)が複数の省でGPO契約を獲得し、マニーからの出荷が下期から増えました。6〜8月単独の利益率は38.3%(前年同期33.6%)。来期も中国のGPO向け出荷の増加を見込んでいます。中計では、中国について「国産化、GPO(Group Purchase Organization)への対応」を主要施策に挙げています。

デンタル:3-1のとおり、増収はほぼ中国の回復で、6〜8月の利益率は9.1%。来期は、JIZAIの中国発売(第3四半期短信では、中国の薬事承認を2026年5月に取得し、2026年9月から正式販売)と、MMGの自社ブランド品の販売本格化を見込んでいます。

主なイベント(2025年10月〜2026年10月)

日付内容
2025年10月8日中期経営計画2029を公表
2025年10月20日前期決算短信を訂正(繰延税金資産)
2025年10月30日中国でダイヤバーの販売再開を開示
2025年12月22日ドイツの眼科販売代理店iRIS EYE GmbHの持分36.67%を取得(持分法適用関連会社化)
2026年1月14日中国生産子会社の設立を開示(中計では中国工場の稼働を2028年としている)
2026年7月15日通期予想を上方修正
2026年9月10日スイスの歯科スタートアップOdne AGとの資本業務提携(出資額は非開示。日本での独占販売権を取得、ただし日本での販売開始は薬事承認が前提で時期未定)

Odne AGとの提携は、中計で掲げた根管治療の「洗浄・充填」領域への参入の一歩と会社は位置づけています。今期末後の出来事なので、今期の数字には入っていません。


5. 資本政策と株主還元

配当

配当の決定機関は取締役会です(定款に会社法459条第1項の規定。会社IRサイトの配当方針ページで確認)。中間・期末の年2回で、基準日は2月末日と8月31日です。

期中間期末年間配当性向(連結)DOE(会社開示の純資産配当率)配当の決め方
2023年8月期14円21円35円57.9%7.2%総合勘案
2024年8月期16円23円39円61.1%7.5%総合勘案
2025年8月期16円23円39円82.7%7.3%総合勘案
2026年8月期17円24円41円55.8%7.2%中計2029の「安定的増配」
2027年8月期(予想)18円24円42円54.4%―同上

今期の配当総額40億38百万円は、〈中間17円×98,502,602株〉+〈期末24円×98,484,644株〉でおおむね再現できます(筆者の計算。中間は第3四半期短信の期中平均株式数で近似)。

方針の原文はこうです。会社は次のように書いています(原文、2026年8月期決算短信)。

2025年10月8日発表の中期経営計画で定めた財務運営を実行し、安定的増配による株主還元を実現します。

中計の「ROE向上に向けて」には、資本構造の項目として「DOE8%を目安」とあります。そこで、DOEを並べてみます(筆者の計算。分母は期首・期末の自己資本の平均)。

項目2026年8月期2027年8月期(筆者の試算)
配当総額4,038百万円約4,136百万円
自己資本(期首・期末平均)56,274百万円約60,718百万円
DOE7.18%約6.81%
DOE8%に届く1株配当―約49円

来期の試算は、期末自己資本を〈今期末58,986+来期純利益予想7,600−来期中の配当支払(期末24円+中間18円)〉で置いたもので、為替換算調整勘定などの変動は含めていません。筆者の試算で、将来の見通しではありません。

利益が伸びる一方で配当は+1円なので、DOEは目安の8%から離れる向きに動きます。 読み方は2つあります。

  • 強気側:中計は「安定的増配」を株主還元の柱とし、DOE8%は「目安」です。M&A投資枠200億円を設定した計画期間の初期に、現金を残しておく判断と読めます。実際、現預金は265億円と総資産の4割あり、中計のキャピタルアロケーションでもM&A枠を確保しています
  • 弱気側:中計はROE16%の達成手段として「手許現預金の適正化」と「DOE8%を目安」を並べています。来期のROEは筆者の試算で約12.5%で、現預金は今期1年で80億円増えました。M&Aが実行されない限り、現金が積み上がってROEの分母(自己資本)が膨らむ構造は変わりません

自己株式の取得は今期も来期の方針にも出てきません。自己株式は8,518,633株(発行済株式の7.96%)を保有し、消却もしていません。潜在株式はなく(短信の「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」は記載なし)、株式分割もないので、EPSは期中平均株式数で割った値をそのまま使えます。

株主優待

マニーには株主優待があります。会社IRサイトの「配当方針・株主優待」ページの記載は次のとおりです。

  • 対象:毎年8月31日現在の株主名簿に記載された、300株以上かつ1年以上継続保有の株主
  • 内容:3,000円のQUOカード、または日本赤十字社への寄付を選択
  • 1年以上継続保有の定義:「2月末日及び8月31日現在の株主名簿に同一株主番号で連続3回以上記載または記録され」、各基準日に基準の株数以上を継続保有
保有株数優待1株当たり優待額年間配当(来期予想42円)1株当たり配当÷1株当たり優待
100〜299株なし0円4,200〜12,558円―
300株QUOカード3,000円10.0円12,600円4.2倍
500株QUOカード3,000円6.0円21,000円7.0倍
1,000株QUOカード3,000円3.0円42,000円14.0倍

優待額は保有株数にかかわらず一律なので、300株を超えて持っても優待は増えません。名目の利回りは6章でまとめます。

新しく買った人が最初に受け取れる基準日

優待の判定は8月31日の名簿だけで行われ、そこまでに2月末・8月末の名簿に連続3回載っている必要があります(筆者の整理)。

  • 2026年8月31日の名簿はすでに過ぎています
  • 2027年2月末日の名簿から載っても、2027年8月31日の時点では連続2回で、まだ対象外
  • 最初に条件を満たすのは2028年8月31日の名簿(2027年8月・2028年2月・2028年8月の3回、または2027年2月からの4回)

「1年以上」という言葉に対し、いま買った人の実際の待ち時間は約1年10か月です。また、配当の基準日でもある2月末日の名簿が、優待の連続記載の判定にも使われます。会社は貸株等で株主番号が変わった場合の扱いを上記の「同一株主番号」と書いているので、番号が変わる取引では連続が途切れる可能性があります。

優待の費用の規模

会社は優待費用の金額を開示していません。2024年2月末時点の株主数17,780名(会社の中間報告書)が仮に全員対象だったとしても、3,000円×17,780名で約53百万円、今期営業利益の0.5%程度です(筆者の試算で、上限側の目安。実際には300株未満・保有1年未満の株主は対象外)。2025年8月末の株主のうち寄付を選んだ株主分として、会社は日本赤十字社へ441,000円(147名分に相当)を寄付したと開示しています。

なお、今期の有価証券報告書(11月20日提出予定)は執筆時点で未提出で、前期の有価証券報告書の「株主に対する特典」欄は確認できていません。優待の記載は会社IRサイトに基づきます。

大株主

前期の有価証券報告書(2025年8月31日現在)の大株主上位は次のとおりです。比率は自己株式を除く発行済株式数に対する割合です。

株主所有株式数割合
日本マスタートラスト信託銀行(信託口)11,267,90011.44%
マニックス株式会社10,600,00010.76%
松谷技研株式会社5,084,0005.16%
日本カストディ銀行(信託口)4,051,7004.11%
公益財団法人マニー松谷医療奨学財団3,200,0003.25%
NORTHERN TRUST CO. (AVFC) RE UKUC UCITS CLIENTS NON LENDING 10PCT TREATY ACCOUNT2,421,4002.46%
松谷 貫司2,109,8002.14%
株式会社正光2,048,0002.08%
松谷 正光2,034,4002.07%
松谷 正明1,788,2001.82%

上位には同じ姓の個人や、同じ所在地の法人が並びますが、これらの関係を示す記載をこの記事の材料(有報の大株主の状況)では確認していないので、持株比率は合算しません。松谷貫司氏は大量保有報告書(変更報告書、2025年6月30日提出)で保有目的を「発行会社の顧問であり、安定株主として長期保有を目的にしております。」としています。


6. 株価の見方

株価に依存する数字(2026年10月21日終値1,529円で計算)

項目値計算
時価総額(自己株式を除く)約1,506億円1,529円×98,484,644株
PER(実績)20.8倍1,529÷73.47円
PER(来期予想)19.8倍1,529÷77.17円
PBR2.55倍1,529÷598.94円
配当利回り(来期予想42円)2.75%42÷1,529
300株保有時の配当+優待の名目利回り3.40%(42円×300株+3,000円)÷(1,529円×300株)
優待だけの名目利回り(300株)0.65%3,000÷458,700円
現預金÷時価総額17.6%26,494百万円÷約1,506億円

株価・年初来高値安値はYahoo!ファイナンスの時系列(報道ベース)。年初来高値は1,955円(2026年4月21日)、年初来安値は1,400円(2026年9月11日)です。

決算発表への反応

決算は10月15日(木)15時30分、取引終了と同時刻の発表でした。同日の終値1,511円と出来高945,000株は、すべて発表前の取引です。最初に反応が出たのは翌10月16日(金)で、終値1,553円(前日比+2.78%)、高値1,594円、出来高1,120,200株でした。日足からは、どの材料に反応したのかは分かりません。その後は1,515〜1,534円で推移しています。

強気の材料

  • 「使い捨ての刃と針」という仕事の強さは、棚が戻るとすぐ数字に戻ったことで示されました。中国デンタルは1年で回収前の94%に戻り、営業利益率は30%台に戻っています
  • 来期の営業利益+8.6%は、花岡工場の費用が営業費用に入る年の数字で、物差しをそろえると+11.5%〜+14.6%と読めます(3-3、筆者の試算)
  • 来期の経常利益予想は為替差益を見込まない置き方で、為替が今期並みなら経常段階に上振れの余地が残ります
  • 直近2期とも、7月の修正後予想が置いた最後の3か月を実際が上回っています(116.6%、111.0%)
  • 現預金265億円、借入金なし。M&A投資枠200億円を使える財務の余力があります

弱気の材料

  • デンタルの増収はほぼ中国の回復で、中国以外のデンタルは横ばい、日本のデンタルは△20.5%。回復の上乗せがなくなる来期以降、デンタルを伸ばす材料は中国でのJIZAI発売とMMGの立て直しに移ります
  • 連結売上の11.2%を中国の1社が占めます。棚が他人のものである構造は、回収前と同じです(軸の弱み①)
  • 来期予想は上期△1.9%・下期+19.7%の後半偏重で、下期の営業利益率30.9%は過去3年の下期(26.5〜28.7%)を上回る水準です
  • 為替前提(1ドル150円)より円高になれば、海外売上(今期281億円)が目減りします。仮に円換算で3%目減りすれば約8億円の減収です(筆者の試算。製造コストの一部もベトナムなど外貨建てなので、営業利益への影響はこれより小さい可能性があります。軸の弱み②)
  • 配当は+1円で、DOEは中計の目安8%から離れる向きです。現金が積み上がり、ROEの分母が膨らむ構造は変わっていません

PER20倍前後という水準を、「中計どおり利益が年15%前後伸びる会社」の値段と見るか、「中国の回復が一巡した後の伸びが見えない会社」の値段と見るかで、評価は分かれます。この記事の数字から言えるのは、来期の下期と、中国以外のデンタルが、その分かれ目になるということまでです。


7. 今後のカレンダーと見るべきKPI

日付イベント見るポイント
2026年11月12日(木)期末配当(24円)支払開始予定―
2026年11月20日(金)有価証券報告書の提出予定税効果の注記(繰延税金資産の積み増しの内訳)、高根沢工場の減損の内訳、主要な顧客、株主に対する特典欄、大株主の状況
2026年11月26日(木)定時株主総会取締役選任議案(新任:栗田秀一氏)
2027年1月中旬(前期は1月14日)第1四半期決算9〜11月の営業利益率(花岡工場の費用が営業費用に入った最初の四半期)、未稼働用地関連費用が残っているか
2027年2月24日(水)中間配当(18円予想)の権利付き最終日基準日2月28日が日曜のため、直前営業日の2月26日(金)から逆算。優待の連続記載の判定にも使われる名簿
2027年4月中旬中間決算上期予想(営業利益50億円)に対する達成度、デンタルの上期の利益率(今期上期は棚の埋め直しで高い)
2027年8月27日(金)期末配当・株主優待の権利付き最終日基準日8月31日(火)
2028年8月29日(火)優待の権利付き最終日(いま買った人が最初に対象になる基準日2028年8月31日(木))300株以上・連続3回

見るべきKPI

  • 中国デンタル売上の四半期指数(会社が短信に載せている表)。今期の6〜8月が102%。来期の12〜2月は、今期136%の裏で前年割れになるのが自然な形です
  • 中国以外のデンタル(デンタル売上−中国デンタル)。今期は前期比+0.1%
  • デンタルの四半期セグメント利益率。今期の6〜8月は9.1%
  • 営業外の「未稼働用地関連費用」が来期に残るか、ゼロになるか
  • 下期の営業利益率(予想30.9%)。過去3年の下期は26.5〜28.7%
  • 主要な顧客の売上比率(今期11.2%)

8. 3行まとめ

  • 2026年8月期は営業利益99億円(+21.4%)で過去最高。ただしデンタルの増収12.4億円のうち12.3億円は中国の棚の埋め直しで、中国以外のデンタルは横ばいでした
  • 来期予想は上期△1.9%・下期+19.7%の後半偏重。花岡工場の費用が営業外から営業費用に移る年で、物差しをそろえると営業増益率は+8.6%〜+14.6%と読めます(筆者の試算)
  • 配当は42円に1円増配、DOEは目安8%から離れる向き。現預金265億円とM&A投資枠200億円の使い道が、ROE16%の中計に届くかを左右します

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘・投資助言を目的としたものではありません。数値の出典は、マニー株式会社の決算短信(2024年8月期・2025年8月期(訂正後)・2026年8月期の通期、2026年8月期第3四半期)、業績予想の修正・差異に関する適時開示、個別業績の差異に関する開示、中期経営計画2029(2025年10月8日、修正版)、有価証券報告書(2025年8月期)、大量保有報告書、会社IRサイト(配当方針・株主優待)、および株価情報サイト(Yahoo!ファイナンス、報道ベース)です。四半期の数値は各短信の累計値から筆者が差し引いたもの、比率・感応度表・DOEの試算は筆者の計算です。2026年8月期の決算補足説明資料(短信表紙では「有」)は、執筆時点で会社IRサイトから取得できず、反映していません。2026年10月15日の決算説明会の質疑応答も反映していません。ダイヤバーの「流通在庫を補充」という説明は、会社IRサイトに掲載された2026年8月期第1四半期決算説明会のスクリプト付き資料に基づきます(質疑応答部分は使っていません)。中期経営計画の為替前提との比較は、通貨別の売上が開示されていないため行っていません。花岡工場の費用が来期に営業費用へ移る金額、来期予想の営業外損益の内訳、デンタルの6〜8月の利益率低下の理由、上期予想の置き方についての記述は、筆者の推測・試算であり、会社の開示に基づくものではありません(確認先:次回の決算短信・会社IR)。主要な顧客(納馳(北京)医療科技有限公司)と「中国デンタル売上高」の関係は、会社が説明していないため特定していません。株主優待の有無・内容は会社IRサイトで確認したもので、2026年8月期の有価証券報告書は未提出、2025年8月期の有価証券報告書の「株主に対する特典」欄は確認できていません。株主数は2024年2月末時点の会社資料の値です。大量保有報告書は2025年6月30日提出分までを確認しており、公開までに新たな変更報告書が出ている可能性があります。決算発表は取引終了と同時刻のため、発表日の終値・出来高は決算への反応を含みません。

記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。

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