本記事は2026年9月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. この記事でわかること
- 売上高が前年同期比59.9%増、営業利益が7.1倍になった決算の「7.1倍」が、どこまで実力でどこからが前年の反動なのか
- 2026年5月に発表したばかりの中期経営計画「MIRAI 2030」の売上目標500億円を、初年度の今期予想509億円が追い越してしまった経緯と、それでも営業利益率だけが目標に遠い理由
- 9四半期分を差し引いて並べた、単独四半期の売上・粗利率・販管費・営業利益の推移(会社の説明資料と一致することを確認済み)
- 売上の69.4%が東京エレクトロングループという依存構造が、強みと弱みの両方をどう説明するか
- 期末配当を110円から144円へ引き上げながら、配当性向は38.5%から30.0%へ「下がった」という一見ねじれた事実の読み方
- 株主優待制度の有無と、資本政策まわりで見るべき数字
2. この会社を一言で言うと何をしているのか
内外テックは、**「東京エレクトロンという一社の購買部と組立工場を、外から丸ごと引き受けている会社」**です。
具体的な風景で言うとこうなります。半導体をつくる機械(半導体製造装置)は、1台に真空バルブ、継手、配管、センサー、電源、制御部品といった部品が数万点使われます。装置メーカーがそれを自前で1点ずつ発注し、検品し、在庫を持ち、ラインの横まで運ぶのは大変な手間です。内外テックは、その部品を約1,500社の仕入先から集めて装置メーカーの生産ラインへ届けます(販売事業)。さらに、装置そのものの組み立てを請け負い(受託製造事業)、半導体工場に据え付けられた後の保守・メンテナンスまで引き受けています。
この「誰の仕事を代わりにやっているのか」という視点を持っておくと、この決算の数字はかなり読みやすくなります。以降、強気材料のところでも弱気材料のところでも、この軸に戻ってきます。
用語メモ:半導体製造装置とコンポーネンツ 半導体は、シリコンウェハーに回路を焼き付け、削り、洗い、積み上げる工程を何百回も繰り返してつくられます。その各工程で使う機械が「半導体製造装置」です。装置メーカー(東京エレクトロン、アプライドマテリアルズなど)は装置を設計・販売しますが、中身の部品(コンポーネンツ)の多くは外部から調達します。内外テックのような専門商社は、その調達を代行する立場にあります。
2-1. 直近5期の業績推移
まず「どういうペースで動いてきた会社か」を先に渡しておきます。有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」からの転記です。
| 決算期 | 売上高 | 経常利益 | 純利益 | EPS | 自己資本比率 | ROE | 営業CF |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 375億51百万円 | 21億07百万円 | 15億41百万円 | 442.17円 | 37.6% | 17.5% | 23億45百万円 |
| 2023年3月期 | 452億81百万円 | 23億36百万円 | 16億38百万円 | 469.41円 | 35.7% | 16.2% | 10億28百万円 |
| 2024年3月期 | 390億13百万円 | 11億89百万円 | 8億48百万円 | 242.66円 | 42.1% | 7.7% | 11億85百万円 |
| 2025年3月期 | 353億37百万円 | 15億25百万円 | 10億49百万円 | 299.93円 | 48.5% | 9.0% | △2億77百万円 |
| 2026年3月期 | 326億14百万円 | 13億89百万円 | 9億71百万円 | 277.74円 | 50.9% | 7.9% | 14億01百万円 |
この表のポイントは2つあります。
ひとつめは、この会社は一本調子で伸びてきたわけではないということです。2023年3月期の452億円がこれまでのピークで、そこから3期連続で減収し、2026年3月期は326億円まで縮みました。ピーク比で28.0%の減収です。半導体製造装置市場の循環(シリコンサイクル)をそのまま受け止める位置にいることが、この5行に出ています。
ふたつめは、2025年3月期の営業キャッシュ・フローがマイナスであることです。経常利益は15億25百万円の黒字なのに、営業CFは△2億77百万円。商社型のビジネスでは、仕入れと販売のタイミングのずれ(運転資金)が損益と現金を乖離させます。この論点は今期の第1四半期でも形を変えて出てきますので、覚えておいてください。
そして今期(2027年3月期)の会社予想は、売上高509億円です。2023年3月期の過去最高452億円を12.4%上回ります。EPS予想479.71円も、過去最高の469.41円(2023年3月期)を上回る水準です。
2-2. 2つの報告セグメントと、5つの事業
会社は報告セグメントを2つに分けています。
| セグメント | 中身 | 2026年3月期の売上(連結調整前) | 同 セグメント利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 販売事業 | 半導体・FPD製造装置向けの各種コンポーネンツ(部品)および装置等の販売 | 284億36百万円 | 6億89百万円 | 2.42% |
| 受託製造事業 | 半導体・FPD製造装置などの組立、保守メンテナンス等 | 65億27百万円 | 5億55百万円 | 8.50% |
売上は販売事業が圧倒的に大きく、利益率は受託製造事業のほうが3.5倍ほど高い、という構造です。「部品を集めて届ける仕事」は売上が大きく粗利が薄く、「組んで直す仕事」は売上が小さく粗利が厚い。この非対称が、この記事の後半の深掘りパートにつながります。
会社は社内の管理単位として、さらに5つの事業に分けて売上を開示しています。
| 事業 | 内容 | 2026年3月期 売上 | 構成比 | 2027年3月期1Q | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|
| SS事業(サプライチェーン・ソリューション) | 部品の仕入販売 | 199億36百万円 | 61.1% | 76億28百万円 | 66.1% |
| MS事業(マニュファクチャリング・ソリューション) | 装置の受託組立 | 70億14百万円 | 21.5% | 23億10百万円 | 20.0% |
| FS事業(フィールド・ソリューション) | 保守メンテナンス | 29億38百万円 | 9.0% | 9億02百万円 | 7.8% |
| PS事業(プレシジョンマシニング・ソリューション) | 精密加工 | 19億11百万円 | 5.9% | 4億89百万円 | 4.2% |
| TS事業(テクニカル・ソリューション) | 製品・技術開発 | 8億07百万円 | 2.5% | 2億05百万円 | 1.8% |
この事業別売上は決算説明資料のグラフから筆者が読み取った値ですが、5事業の合計は2026年3月期が326億06百万円(決算短信の売上高326億14百万円との差8百万円)、2027年3月期第1四半期が115億34百万円(同115億36百万円との差2百万円)となり、短信の開示値とほぼ一致します。表の読み方は後述します。
2-3. 中期経営計画「MIRAI 2030」──ただし過去の目標は2回外している
2026年5月15日、会社は中期経営計画「MIRAI 2030」を発表しました。2030年度(2031年3月期)の目標は次のとおりです。
| 項目 | 2030年度目標 |
|---|---|
| 売上高 | 500億円以上(うちAI関連100億円) |
| 営業利益率 | 7.0% |
| ROE | 12.5% |
| PBR | 1.0倍以上 |
| 配当性向 | 30%以上 |
| DOE(株主資本配当率) | 3%以上 |
ここで大事なのは、会社自身が前の中計を外したことを資料に明記している点です。中計資料にはこう書かれています。
半導体市場は年間20~30%の変動が常態であり、前中計では固定的な中間年度目標が市場環境と乖離し、計画の信頼性を損なう結果となりました。
実際の推移を並べると、こうなります。
| 指標 | MIRAI 2026(2024年5月策定)の2026年度目標 | 同 修正(2025年5月) | 2026年3月期 実績 | 2027年3月期 期初予想(2026年5月) | MIRAI 2030(2030年度目標) |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 600億円 | 448億円 | 326億円 | 406億円 | 500億円以上 |
| 営業利益率 | 5.0% | 2.7% | 4.3% | 3.7% | 7.0% |
| ROE | 14.0% | 6.3% | 7.9% | 7.6% | 12.5% |
前中計は2026年度に売上600億円を掲げ、1年後に448億円へ下方修正し、実績は326億円でした。当初目標に対して45.6%の未達です。会社はこれを受けて「2030年度の目標を定めつつ、当該年度の予想を開示し、中間年度の数値は各年度の業績予想発表時に開示する」という方式に切り替えました。中間年度の固定目標を置くのをやめた、ということです。
そして──ここが本記事の出発点ですが──その中計を発表してからわずか3か月後の2026年8月7日、会社は今期の売上予想を509億円に引き上げました。2030年度目標の500億円を、初年度で超えてしまったことになります。
3. 2027年3月期 第1四半期(2026年4〜6月)の決算ハイライト
2026年8月7日発表の第1四半期決算短信からの転記です。
| 項目 | 2027年3月期1Q | 2026年3月期1Q | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 115億36百万円 | 72億12百万円 | +59.9% |
| 売上総利益 | 14億57百万円 | 8億30百万円 | +75.5% |
| 売上総利益率 | 12.63% | 11.51% | +1.12pt |
| 販売費及び一般管理費 | 8億66百万円 | 7億47百万円 | +15.9% |
| 営業利益 | 5億90百万円 | 0億82百万円 | +612.5% |
| 経常利益 | 5億97百万円 | 0億83百万円 | +612.9% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 3億63百万円 | 0億46百万円 | +673.4% |
| 1株当たり四半期純利益 | 103.80円 | 13.42円 | — |
見出しになるのは「営業利益7.1倍」ですが、この倍率には分母の事情が強く効いています。前年同期(2025年4〜6月)は営業利益82百万円、営業利益率1.1%で、後で見るとおり直近9四半期でいちばん利益が薄い四半期でした。谷と比べた倍率なので大きく出ます。
財政状態とキャッシュの状況は次のとおりです。
| 項目 | 2026年6月末 | 2026年3月末 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 総資産 | 283億12百万円 | 250億81百万円 | +32億31百万円 |
| 現金及び預金 | 107億21百万円 | 90億59百万円 | +16億62百万円 |
| 商品及び製品 | 21億83百万円 | 14億06百万円 | +7億76百万円 |
| 支払手形及び買掛金 | 45億26百万円 | 36億28百万円 | +8億97百万円 |
| 電子記録債務 | 51億76百万円 | 32億21百万円 | +19億55百万円 |
| 有利子負債 | 29億22百万円 | 31億59百万円 | △2億37百万円 |
| 純資産 | 131億65百万円 | 127億61百万円 | +4億04百万円 |
| 自己資本比率 | 46.5% | 50.9% | △4.4pt |
自己資本比率が4.4ポイント下がっていますが、借金が増えたわけではありません。有利子負債はむしろ2億37百万円減っています。下がった理由は、買入債務(支払手形・買掛金+電子記録債務)が合計28億52百万円増えて分母の総資産が膨らんだためです。売上が6割増えれば、その分の仕入れも増え、仕入代金の未払い残高も増えます。これは「購買部を預かっている会社」の宿命のようなもので、商売が伸びるほど自己資本比率は下がります。
用語メモ:第1四半期にキャッシュ・フロー計算書はない 日本基準では、第1四半期と第3四半期は四半期連結キャッシュ・フロー計算書を作成しない会社が多く、内外テックも作成していません。短信には減価償却費だけが注記されており、当第1四半期は97百万円(前年同期96百万円)です。したがって「売上が6割増えた四半期に現金がどう動いたか」は、この時点では貸借対照表の増減から推測するしかありません。
なお、現金及び預金が16億62百万円増えて107億21百万円になっており、有利子負債29億22百万円を差し引いたネットキャッシュは約78億円です。時価総額(2026年9月18日終値ベースで約145億円)の半分強が手元資金という計算になります。
4. 9四半期を差し引いて並べる──「7.1倍」の中身
この会社の四半期決算短信は累計(期初からの合計)でしか損益を開示しません。そのため「その3か月だけでいくら稼いだか」は、自分で引き算しないと出てきません。
用語メモ:累計開示と「差し引き」 第2四半期の短信に載っている「売上高」は4〜9月の6か月合計、第3四半期は4〜12月の9か月合計です。7〜9月だけの数字が知りたければ、第2四半期累計から第1四半期累計を引きます。この引き算は他の銘柄でもそのまま使えるので、覚えておくと決算の読み方が一段深くなります。検算の方法も簡単で、4つの四半期を足して通期の開示値と一致すれば、差し引きは正しくできています。
以下は筆者が各四半期の短信から差し引いて算出した、単独四半期ベースの損益です。2025年3月期・2026年3月期とも、4四半期の合計が通期の開示値と一致することを確認しています(売上高・売上原価・売上総利益・販管費・営業利益の全科目で一致)。また、会社が第1四半期決算説明資料に掲載している四半期別の棒グラフの数値とも一致しました。
| 四半期 | 売上高 | 売上総利益 | 売上総利益率 | 販管費 | 販管費率 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025/3期 1Q(24年4〜6月) | 81億15百万円 | 9億43百万円 | 11.6% | 7億33百万円 | 9.0% | 2億10百万円 | 2.6% |
| 2025/3期 2Q(24年7〜9月) | 80億46百万円 | 9億89百万円 | 12.3% | 7億77百万円 | 9.7% | 2億12百万円 | 2.6% |
| 2025/3期 3Q(24年10〜12月) | 100億69百万円 | 13億59百万円 | 13.5% | 7億80百万円 | 7.7% | 5億79百万円 | 5.8% |
| 2025/3期 4Q(25年1〜3月) | 91億06百万円 | 13億27百万円 | 14.6% | 7億78百万円 | 8.5% | 5億49百万円 | 6.0% |
| 2026/3期 1Q(25年4〜6月) | 72億12百万円 | 8億30百万円 | 11.5% | 7億47百万円 | 10.4% | 0億82百万円 | 1.1% |
| 2026/3期 2Q(25年7〜9月) | 80億27百万円 | 11億10百万円 | 13.8% | 7億06百万円 | 8.8% | 4億04百万円 | 5.0% |
| 2026/3期 3Q(25年10〜12月) | 77億73百万円 | 10億26百万円 | 13.2% | 7億29百万円 | 9.4% | 2億97百万円 | 3.8% |
| 2026/3期 4Q(26年1〜3月) | 96億00百万円 | 14億73百万円 | 15.3% | 8億55百万円 | 8.9% | 6億17百万円 | 6.4% |
| 2027/3期 1Q(26年4〜6月) | 115億36百万円 | 14億57百万円 | 12.6% | 8億66百万円 | 7.5% | 5億90百万円 | 5.1% |
この表からは、見出しだけでは絶対に見えない事実が3つ出てきます。
(1) 直前の四半期(2026年1〜3月)と比べると、営業利益は減っている。
2026年1〜3月の営業利益は6億17百万円、今回の4〜6月は5億90百万円です。売上は96億00百万円から115億36百万円へ20.2%増えているのに、営業利益は4.3%減りました。「前年同期比7.1倍」と「前四半期比4.3%減」は、同じ四半期についての、どちらも正しい記述です。
(2) 理由は粗利率にある。
売上総利益率が15.3%から12.6%へ2.71ポイント落ちています。売上が19億35百万円増えたのに、売上総利益は14億73百万円から14億57百万円へ16百万円「減った」。この不思議な動きは、次のように分解できます。
数量効果 = 売上増加額 19億35百万円 × 前四半期の粗利率 15.35% = +2億97百万円
率効果 = 当四半期の売上 115億36百万円 × 粗利率の差 △2.71pt = △3億13百万円
合計 = △16百万円(実際の売上総利益の減少額と一致)
つまり、売上が2割増えて稼いだ粗利3億円弱を、粗利率の2.7ポイント低下が全部食い潰したという構図です。
なお、この粗利率低下には会社自身の説明があります。決算説明資料には「前4Qに計上された販売報奨金から前4Qと比べ減益になるも、前1Q比で大幅に増益」「売上総利益率は、4Qの特別要因(販売報奨金)を除き、一定の水準で推移」とあります。販売報奨金(仕入先から一定の販売量を達成したときに受け取るリベート)が1〜3月に集中したため、その四半期の粗利率15.3%は高めに出ていた、という説明です。これは開示に書かれている事実なので、そのまま受け取ってよいと思います。ただし、「一定の水準」とされる11.5〜13.8%のレンジのなかでも、今回の12.6%は真ん中よりやや下であることは、表を見れば分かります。
(3) 営業利益を押し上げたのは販管費率の低下。
販管費は8億55百万円から8億66百万円へ1.2%しか増えていません。売上が20.2%増えたので、販管費率は8.9%から7.5%へ1.4ポイント下がりました。この7.5%は表の9四半期のなかで最も低い水準です。人件費中心の固定費は四半期単位では簡単には動かないので、売上が増えた分だけまるごと利益になります。今回の営業利益率5.1%は、粗利率の低下を販管費率の低下が上回った結果、という読み方が成り立ちます。
用語メモ:四半期の営業利益を「4倍」してはいけない 上の表を見れば分かるとおり、この会社の単独四半期の営業利益は0億82百万円から6億17百万円まで7倍以上のレンジで動きます。第1四半期の5億90百万円を4倍して「年間24億円ペース」と読むのは、前年の第1四半期0億82百万円を4倍して「年間3億円の会社」と読むのと同じくらい的外れです。季節性と受注タイミングの両方が効くため、通期は会社予想と受注残高から考えるほうが素直です。
5. セグメント別に見ると何が起きているか
5-1. 第1四半期のセグメント実績
| セグメント | 売上高(連結調整前) | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 販売事業 | 102億99百万円 | +65.1% | 3億68百万円 | △0億26百万円(損失) | 3.58% |
| 受託製造事業 | 19億67百万円 | +33.7% | 1億79百万円 | +167.7% | 9.10% |
| 調整額 | △7億30百万円 | — | +0億43百万円 | — | — |
| 連結 | 115億36百万円 | +59.9% | 5億90百万円 | +612.5% | 5.12% |
用語メモ:セグメント間の内部売上と調整額 販売事業と受託製造事業のあいだでは、グループ内の取引(たとえば販売事業が仕入れた部品を受託製造事業が組立に使う)が発生します。セグメントごとの売上にはこれが含まれているため、連結全体の売上をつくるときに相殺消去します。当第1四半期の消去額は7億30百万円で、セグメント売上合計の6.0%にあたります。セグメント利益の調整額+0億43百万円は、各セグメントが負担する営業費用および営業外収益の消去差異等である旨が短信に注記されています。
販売事業が前年同期のセグメント損失26百万円から3億68百万円の黒字へ転じたのが、連結の営業利益が7.1倍になった最大の要因です。一方、利益率で見ると受託製造事業(9.10%)が販売事業(3.58%)の2.5倍であることは変わりません。
会社の説明資料によれば、セグメント利益率は直前の四半期と比べると両方とも下がっています(販売事業4.5%→3.6%、受託製造事業11.0%→9.1%)。受託製造事業については「今後の増産に向けたキャパシティ確保の先行投資により、前4Qに比べ減益」と説明されています。5月に仙台第二工場を新設して生産エリアを2倍にし、宮城物流センターを移転して1.5倍に増床しているので、その費用が先に出ている形です。
5-2. 受注高と受注残高──通期予想を支えている数字
この会社は決算短信の「補足情報」に受注実績を開示しています。商社・受託製造の会社では、ここが売上の先行指標になります。
| 区分 | 前期末 受注残高 | 当1Q 受注高 | 当1Q末 受注残高 |
|---|---|---|---|
| 販売事業 | 90億25百万円 | 126億87百万円 | 115億61百万円 |
| 受託製造事業 | 2億76百万円 | 14億97百万円 | 3億87百万円 |
| 合計 | 93億01百万円 | 141億84百万円 | 119億49百万円 |
用語メモ:受注高・受注残高・ブックトゥビル 「受注高」はその期間に新しく受けた注文の金額、「受注残高」はまだ売上になっていない注文の残りです。関係は〈期首受注残高+受注高−売上高=期末受注残高〉で、この会社の場合も検算が合います。販売事業なら 90億25百万円+126億87百万円−115億61百万円=101億50百万円となり、短信のセグメント外部売上高101億50百万円と一致します(千円単位で1千円差。百万円未満切捨ての丸めによるものです)。受注高÷売上高を「ブックトゥビル・レシオ」と呼び、1を超えていれば受注残が積み上がっていることを意味します。
当第1四半期のブックトゥビルは 141億84百万円 ÷ 115億36百万円 = 1.23倍。前期(2026年3月期)通期は354億78百万円 ÷ 326億14百万円 = 1.09倍でしたから、受注の積み上がりが加速しています。受注残高は前期末93億01百万円から119億49百万円へ、3か月で28.5%増えました。
会社の説明資料に載っている四半期ごとの受注高(販売事業)を並べると、回復の角度がよく分かります。
| 期間 | 販売事業の受注高 |
|---|---|
| 2026年3月期 1Q | 53億50百万円 |
| 2026年3月期 2Q | 63億01百万円 |
| 2026年3月期 3Q | 84億31百万円 |
| 2026年3月期 4Q | 107億30百万円 |
| 2027年3月期 1Q | 126億87百万円 |
5四半期連続で増えています。直近の126億87百万円を単純に4倍すれば507億円で、販売事業の通期予想445億50百万円(後述)を上回ります。通期予想の上方修正は、この受注の実測値に裏打ちされていると読むのが自然です。
一方で、通期予想との距離も測っておきます。
通期売上予想 509億00百万円 − 1Q実績 115億36百万円 = 残り 393億64百万円
1Q末の受注残高 119億49百万円 ÷ 393億64百万円 = 30.4%
つまり、残り9か月に必要な売上の約3割はすでに受注済みで、残る7割はこれから受注するものです。この比率をどう見るかは、後述する「株価の見方」で両論併記します。
6. 深掘り:2030年の売上目標を初年度で超えたのに、営業利益率が5%で止まる理由
ここが今回の決算でいちばん分かりにくく、いちばん大事な論点だと考えています。
6-1. 何が起きたか
2026年5月15日、会社は中期経営計画「MIRAI 2030」で2030年度の売上高目標を500億円以上と定めました。同じ日に発表した今期(2027年3月期)の予想は406億円でした。5年かけて406億円から500億円へ、という絵です。
ところが2026年8月7日、会社は今期予想を509億円へ引き上げました。中計発表から84日後に、5年後の目標売上を追い越したことになります。
| 指標 | 2026年3月期 実績 | 2027年3月期 期初予想(5月15日) | 2027年3月期 修正予想(8月7日) | MIRAI 2030 目標(2030年度) |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 326億14百万円 | 406億00百万円 | 509億00百万円 | 500億円以上 |
| 営業利益 | 14億02百万円 | 15億00百万円 | 25億60百万円 | 35億円(売上500億×7%) |
| 営業利益率 | 4.30% | 3.69% | 5.03% | 7.0% |
| ROE | 7.9% | 7.6% | 約12.3%(筆者の概算) | 12.5% |
表の右2列を見比べてください。売上高は101.8%、ROEは98%あまりと、2030年度の目標水準にすでに届く計算になります。届いていないのは営業利益率だけです。5.03%対7.0%、差は1.97ポイント。金額にすると、売上509億円で営業利益率7.0%なら35億63百万円ですから、予想の25億60百万円との差は約10億円です。
ROEの概算根拠も書いておきます。会社は8月7日の開示で、今期の配当を144円としたうえで「連結配当性向30.0% 連結株主資本配当率3.7%」としています。1株144円×期末株数(自己株控除後3,503,887株)=約5億04百万円が配当総額で、これがDOE3.7%に相当するなら分母の株主資本は約136億円。純利益予想16億80百万円をこれで割ると12.3%です。目標の12.5%とほぼ同じ水準になります。
6-2. なぜ営業利益率だけが動かないのか
会社は中計資料のなかで、課題としてこう書いています。
既存モデルでは営業利益率5%が限界
そして今期の修正予想の営業利益率は5.03%。会社が自分で「限界」と名指しした数字に、ぴたりと張り付いています。偶然の一致かもしれませんが、構造を見ると偶然とも言い切れません。
理由は、増収が「低採算の事業」に偏っているからです。前掲の5事業別の構成比をもう一度、2030年度目標と並べてみます。
| 事業 | 2026年3月期 構成比 | 2027年3月期1Q 構成比 | MIRAI 2030の目標構成比 |
|---|---|---|---|
| SS事業(部品の仕入販売) | 61.1% | 66.1% | 60%(300億円) |
| MS事業(受託組立) | 21.5% | 20.0% | 20%(100億円) |
| FS事業(保守メンテナンス) | 9.0% | 7.8% | 10%(50億円) |
| PS事業(精密加工) | 5.9% | 4.2% | 5%(25億円) |
| TS事業(製品・技術開発) | 2.5% | 1.8% | 5%(25億円) |
中計は「高粗利事業(技術開発、フィールドソリューション)の比率拡大」を掲げています。ところが第1四半期の実績を見ると、比率が上がったのはSS事業(部品の仕入販売)だけで、FS事業もTS事業も比率を下げています。会社が目指す方向と、足元の売上構成の動きが逆を向いている、ということです。
これは報告セグメント単位の通期予想でも同じ形で出ます。会社が決算説明資料に掲載したセグメント別予想は次のとおりです(グラフから筆者が読み取った値ですが、セグメント利益の合計に調整額を足すと連結の営業利益予想と整合することを確認しています)。
| セグメント | 2026年3月期 実績 | 2027年3月期 修正予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 販売事業 売上高 | 284億36百万円 | 445億50百万円 | +56.7% |
| 販売事業 セグメント利益 | 6億89百万円 | 16億23百万円 | +135.6% |
| 販売事業 利益率 | 2.42% | 3.64% | +1.22pt |
| 受託製造事業 売上高 | 65億27百万円 | 93億20百万円 | +42.8% |
| 受託製造事業 セグメント利益 | 5億55百万円 | 7億81百万円 | +40.7% |
| 受託製造事業 利益率 | 8.50% | 8.38% | △0.12pt |
検算:セグメント利益の合計 16億23百万円+7億81百万円=24億04百万円と、連結の営業利益予想25億60百万円との差は1億56百万円です。期初予想でも 9億71百万円+3億76百万円=13億47百万円で、連結予想15億00百万円との差は1億53百万円。どちらも第1四半期の調整額0億43百万円の4四半期分(1億74百万円)に近い水準で、グラフから読み取った値どうしの整合が取れています。売上側も、445億50百万円+93億20百万円=538億70百万円に対して連結予想509億00百万円ですから、消去額は29億70百万円(5.5%)。第1四半期の消去率6.0%と近い水準です。
この表のポイントは2つです。
ひとつは、利益の出どころが低採算の販売事業に移っていることです。2026年3月期はセグメント利益の55.4%が販売事業、44.6%が受託製造事業でした。今期の修正予想では67.5%対32.5%になります。
もうひとつは、高採算の受託製造事業は増収しても利益率が下がる予想になっていることです。売上は42.8%増えるのに利益率は8.50%から8.38%へわずかに低下します。会社の説明は「キャパシティ確保の先行投資により利益増加幅は限定的」。仙台第二工場の新設、宮城物流センターの増床、仙台開発センター(2026年11月操業開始予定)といった投資が、利益率の改善を先送りしている形です。
6-3. ここで最初の例えに戻る
冒頭で、この会社を「東京エレクトロンという一社の購買部と組立工場を、外から丸ごと引き受けている会社」と表現しました。営業利益率が5%で止まる理由は、この表現のなかにすでに入っています。
購買部の代行は、売上を大きくする仕事であって、利益率を高くする仕事ではありません。 部品を仕入れて届ける仕事の粗利率は12〜15%、そこから販管費を引くと営業利益率は2〜4%です。装置メーカーの投資が増えれば売上は素直に増えますが、増えた分の利益率は低いほうに寄ります。だから「売上が2030年目標を超えても、営業利益率は目標の7%に届かない」という、一見ねじれた状態が生まれます。
会社が営業利益率7%への道筋として示しているのは、次の3つです。
| 施策 | 中計での説明 |
|---|---|
| 調達コスト削減 | AIエージェントで調達コスト30%削減(2030年) |
| 販管費適正化 | AI活用で間接コスト削減 |
| M&Aシナジー | 新規事業の利益貢献 |
このうち、今回の第1四半期で実際に動いたのは3番目のM&A(後述のOMT社取得)だけです。そして、そのOMT社の売上は4億14百万円。今期の連結売上予想509億円に対して0.8%です。会社自身も「2027年3月期の連結業績に与える影響は軽微」と開示に明記しています。
強気に読むなら、「営業利益率の改善はこれから効いてくる施策で、今期はまず売上が先行している段階」となります。弱気に読むなら、「売上だけが5年ぶんジャンプして、利益率の構造は変わっていない」となります。どちらの読み方も、いまの開示からは等しく成り立つと考えています。
7. 業績予想の修正と、この会社の予想の「振れ幅」
7-1. 今回の修正の内容
2026年8月7日、第1四半期決算と同時に業績予想と配当予想が修正されました。
| 項目 | 前回予想(5月15日) | 今回修正(8月7日) | 増減額 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 通期 売上高 | 406億00百万円 | 509億00百万円 | +103億00百万円 | +25.4% |
| 通期 営業利益 | 15億00百万円 | 25億60百万円 | +10億60百万円 | +70.7% |
| 通期 経常利益 | 14億60百万円 | 25億40百万円 | +10億80百万円 | +74.0% |
| 通期 純利益 | 10億00百万円 | 16億80百万円 | +6億80百万円 | +68.0% |
| 通期 EPS | 285.83円 | 479.71円 | — | — |
| 上期 売上高 | 190億00百万円 | 245億00百万円 | +55億00百万円 | +28.9% |
| 上期 営業利益 | 5億52百万円 | 11億85百万円 | +6億33百万円 | +114.7% |
| 期末配当 | 110円 | 144円 | +34円 | +30.9% |
修正の理由は、原文でこう説明されています。
第1四半期において、AI・データセンター投資の急拡大を背景とした半導体メーカーの積極的な設備投資が継続し、当社グループの販売事業・受託製造事業が共に当初計画を上回る水準で推移したこと、および第2四半期以降におきましても、原材料価格や人件費の上昇といったコスト面の不安定要素はあるものの、AI関連を中心とした半導体需要の拡大基調は継続しており、当社グループの受注高も堅調に推移していることから
ここから読み取れる、修正後予想の「形」を分解しておきます。
上期予想 営業利益 11億85百万円 − 1Q実績 5億90百万円 = 2Q単独 5億95百万円
通期予想 営業利益 25億60百万円 − 上期予想 11億85百万円 = 下期 13億75百万円
下期の比率 = 13億75百万円 ÷ 25億60百万円 = 53.7%
下期偏重の度合いは53.7%で、極端ではありません。1四半期あたりに均すと、第2四半期が5億95百万円、下期が平均6億88百万円。直近実績の5億90百万円(1Q)・6億17百万円(前4Q)とほぼ同じ水準を維持し続ける、という予想です。急激な加速を見込んでいるわけではない、という点は押さえておいてよいと思います。
7-2. 進捗率は、分母を3つ並べないと意味がない
第1四半期の進捗率を出すときは、比べる相手が必要です。ところがこの会社は前期の予想を期中に2回変えているので、「前年同期の進捗率」が分母次第で大きく変わります。3つとも並べます。
| 期・分母 | 分母 | 1Q営業利益 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期/期初予想(25年5月14日) | 12億30百万円 | 0億82百万円 | 6.7% |
| 2026年3月期/11月修正後 | 8億10百万円 | 0億82百万円 | 10.2% |
| 2026年3月期/通期実績 | 14億02百万円 | 0億82百万円 | 5.9% |
| 2027年3月期/期初予想(26年5月15日) | 15億00百万円 | 5億90百万円 | 39.4% |
| 2027年3月期/8月修正後 | 25億60百万円 | 5億90百万円 | 23.1% |
売上高でも同じことをしておきます。
| 期・分母 | 分母 | 1Q売上高 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期/期初予想 | 355億00百万円 | 72億12百万円 | 20.3% |
| 2026年3月期/11月修正後 | 295億00百万円 | 72億12百万円 | 24.4% |
| 2026年3月期/通期実績 | 326億14百万円 | 72億12百万円 | 22.1% |
| 2027年3月期/期初予想 | 406億00百万円 | 115億36百万円 | 28.4% |
| 2027年3月期/8月修正後 | 509億00百万円 | 115億36百万円 | 22.7% |
売上の進捗率は22.7%で、前年の実績ベース22.1%とほとんど同じです。つまり修正後の通期予想509億円は、「第1四半期のペースを前年と同じ季節性で伸ばしたらこうなる」という水準に置かれている、と読めます。営業利益の進捗23.1%も、下期偏重をふまえればおおむね均された位置です。
7-3. この会社の予想は、よく動く
投資判断の前提として、会社予想の「信頼区間」を知っておく価値があります。前期(2026年3月期)の推移です。
| 開示日 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | 期末配当 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年5月14日(期初予想) | 355億00百万円 | 12億30百万円 | 6億40百万円 | 102円 |
| 2025年11月12日(下方修正) | 295億00百万円 | 8億10百万円 | 3億80百万円 | 100円 |
| 2026年4月28日(上方修正) | 326億14百万円 | 14億02百万円 | 9億45百万円 | 105円 |
| 実績 | 326億14百万円 | 14億02百万円 | 9億71百万円 | 105円 |
期初から11月にかけて営業利益を34.1%切り下げ、その5か月半後に73.2%引き上げています。純利益にいたっては3億80百万円から9億45百万円へ2.5倍の上方修正です。結果として期初予想に対する着地は、売上△8.1%・営業利益+14.1%・純利益+51.8%でした。
そして今期は、期初から3か月で営業利益を70.7%引き上げています。上にも下にも大きく動く会社の予想であるという前提は、持っておいたほうがよいと思います。会社自身も中計で「半導体市場は年間20~30%の変動が常態」「前中計では固定的な中間年度目標が市場環境と乖離し、計画の信頼性を損なう結果となりました」と書いており、中間年度の目標を置く方式をやめています。
8. 第1四半期以降に起きたこと──OMT社の子会社化と熊本地震
8-1. 株式会社OMTの完全子会社化
2026年7月15日に取締役会決議、8月1日に株式譲渡が実行されました。第1四半期(6月末)の連結範囲には含まれていません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社OMT(宮城県黒川郡大衡村) |
| 事業内容 | 半導体製造設備のメンテナンス・オーバーホール |
| 設立 | 2003年9月12日 |
| 売主 | ラピスセミコンダクタ株式会社(持株比率100%) |
| 取得株数 | 200株(議決権比率100%) |
| 取得価額 | 非開示(連結純資産額の15%未満のため開示基準に該当せず) |
| 取得資金 | 自己資金 |
| 直前期(2026年3月期)売上高 | 4億14百万円 |
| 同 営業利益 | 0億17百万円 |
| 同 純資産 | 0億63百万円 |
会社は取得理由を「中期経営方針に掲げる『メンテナンスサポート(FS事業)の強化』の実現を加速するもの」と説明しています。また第1四半期短信では「対応装置機種の拡充、技術者の増強、対応エリアの拡大等、FS事業の拡充・発展のほか、業務の効率化による営業利益率の向上が図られるものと見込んでおります」と書かれています。
規模を確認しておきます。OMT社の売上4億14百万円は、今期の連結売上予想509億円に対して0.8%、FS事業の前期売上29億38百万円に対しては14.1%です。会社も「当社の2027年3月期の連結業績に与える影響は軽微」と明記しています。FS事業の2030年度目標は50億円ですから、前期実績29億38百万円+OMT社4億14百万円で33億円あまり。残り17億円を4年で積む必要があり、この1件で目標に届く規模ではないということになります。M&Aを中計の柱に据えている以上、続きがあるかどうかがKPIになります。
なお、有価証券報告書の「事業等のリスク」には、M&Aについて「買収した企業の収益力が当初の見込みを下回った場合はのれんの減損等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります」という記載があります。取得価額が非開示のため、のれんの金額は現時点では分かりません。第2四半期(中間期)の決算で貸借対照表に無形固定資産・のれんとして出てくるはずです。
8-2. 熊本地震の影響
2026年7月28日に熊本県熊本地方で発生した地震について、会社は2回の開示を出しています。熊本営業所、九州物流センター、子会社の内外エレクトロニクス熊本サービスセンターが所在地にあたります。
| 開示日 | 内容 |
|---|---|
| 2026年7月29日(第1報) | 人的被害なし。一部の棚から備品等の落下、天井の一部破損。7月29日より一部従業員が出社し復旧作業。業績への影響は「現時点では不明」 |
| 2026年8月5日(第2報) | 8月5日より3拠点すべてが通常業務を再開。業績への影響は「軽微であると思われます」 |
熊本は国内の半導体生産拠点の新増設が集中している地域でもあり、この会社は熊本営業所・九州物流センター・熊本サービスセンター・合志サービスセンターと複数の拠点を置いています。今回は1週間程度で復旧していますが、拠点の地理的な集中がリスク要因として顕在化した事例として記録しておく価値はあると思います。
9. 資本政策と株主還元
内外テックに株主優待制度はありません。 2026年6月23日提出の有価証券報告書「第6 提出会社の株式事務の概要」の「株主に対する特典」欄には「該当事項はありません」と記載されています。これは「調べたが見つからなかった」ではなく、会社が書類で明言している事実です。
優待がない銘柄なので、ここでは配当と資本政策をまとめて見ていきます。
9-1. 配当方針と配当の履歴
会社の配当方針は次のとおりです(有価証券報告書「配当政策」より)。
経営成績、財務状況及び今後の事業展開を勘案し、必要な内部留保を確保しつつ、連結配当性向30%以上かつ連結株主資本配当率(DOE)3%以上を目標とし、業績に応じた配当を継続していく
用語メモ:DOE(株主資本配当率) 配当総額÷株主資本。利益に対する割合である配当性向と違い、蓄積した資本に対する割合なので、赤字や減益の年でも配当の下限をつくる働きがあります。この会社の方針は「配当性向30%以上」と「DOE3%以上」の両方(かつ)を満たすことを目標としているので、毎期、高いほうが実際の配当額を決めることになります。
配当の履歴と今期予想です。
| 決算期 | 年間配当(すべて期末) | 配当性向 | DOE |
|---|---|---|---|
| 2024年3月期 | 93円 | 38.3% | — |
| 2025年3月期 | 100円 | 33.3% | 3.0% |
| 2026年3月期 | 105円 | 37.8% | 3.0% |
| 2027年3月期 期初予想(5月15日) | 110円 | 38.5% | 3.0% |
| 2027年3月期 修正予想(8月7日) | 144円 | 30.0% | 3.7% |
ここに「見え方が誤解を生む数字」がひとつあります。 配当は110円から144円へ30.9%の増配ですが、配当性向は38.5%から30.0%へ「下がって」います。理由は単純で、EPS予想が285.83円から479.71円へ67.8%増えたからです。増配率(30.9%)より利益の伸び(67.8%)のほうが大きければ、増配しても配当性向は下がります。
そして修正後の配当性向30.0%は、会社の方針の下限ちょうどです。方針のもう一方の軸であるDOE3%を当てはめると、配当の下限は次のように逆算できます。
DOE3.7%に相当する株主資本 = 1株144円 × 3,503,887株 ÷ 0.037 = 約136億37百万円
DOE3%での配当総額 = 136億37百万円 × 3% = 約4億09百万円
1株当たり = 4億09百万円 ÷ 3,503,887株 = 約116.76円
つまり方針の2つの下限を当てはめると、配当性向30%基準の144円のほうが、DOE3%基準の約117円より高くなります。今期の144円は、「配当性向30%以上」という条件が効いて決まった金額で、方針の下限そのものです。今後さらに利益が上振れれば配当も連動して増える設計ですが、逆に言えば、いまの144円は経営判断で方針より上乗せされた金額ではありません。
配当は年1回・期末のみです。中間配当は実施していません。ただし定款上は剰余金の配当の基準日として9月30日と3月31日の両方が定められており(有価証券報告書「株式事務の概要」)、制度としては中間配当を行う余地があります。定款上の制度と、実際の実施実績は別物である点に注意してください。また、剰余金の配当は会社法第459条第1項の規定により取締役会決議で行う旨が定款に定められています(2026年3月期の期末配当も2026年5月15日の取締役会決議です)。
用語メモ:権利付き最終日 配当をもらうには、基準日の時点で株主名簿に載っている必要があります。国内株式の受け渡しは約定日から2営業日後(T+2)なので、基準日の2営業日前までに買う必要があります。2027年3月期の期末配当の基準日は2027年3月31日(水曜日)なので、権利付き最終日は**2027年3月29日(月曜日)**となります(筆者の計算。取引所の休業日の設定によって変わる可能性があります)。前期の配当の効力発生日は2026年6月10日でした。
9-2. 株数の増減と希薄化
この会社は潜在株式がありません。有価証券報告書の「新株予約権等の状況」では、ストックオプション制度・ライツプラン・その他の新株予約権等のいずれも「該当事項はありません」。決算短信の潜在株式調整後1株当たり四半期純利益も「-」(潜在株式が存在しないため記載なし)です。2つの書類で裏が取れています。
これは読者にとって実務上の意味があります。株価情報サイトに表示されるEPSやPERを、希薄化の調整なしにそのまま使える数少ないタイプの銘柄だということです。
株数が動く唯一の要因は、役員向けの譲渡制限付株式報酬です。
| 発行日 | 発行株数 | 発行後の発行済株式総数 |
|---|---|---|
| 2021年7月30日 | 3,743株 | 3,541,286株 |
| 2022年7月30日 | 5,635株 | 3,546,921株 |
| 2023年7月31日 | 6,177株 | 3,553,098株 |
| 2024年・2025年 | 発行なし | 3,553,098株 |
| 2026年7月31日 | 5,316株 | 3,558,414株 |
2026年7月14日の取締役会で決議された今回の発行は、当社取締役5名に4,397株、子会社(内外エレクトロニクス)取締役3名に919株。発行価額は1株3,325円で、取締役会決議日の直前営業日(2026年7月13日)の東京証券取引所における終値がそのまま使われています。譲渡制限期間は2026年7月31日から2029年7月30日までの3年間です。
希薄化の規模は 5,316株 ÷ 3,553,098株 = 0.15%。通期予想EPS479.71円の分母を逆算すると 16億80百万円 ÷ 479.71円 = 約3,502,116株で、第1四半期の期中平均3,498,589株に7月31日発行分の期間按分(5,316株×8/12=約3,544株)を足した水準と整合します。EPS予想はこの発行を織り込んでいる、と読めます。
自己株式は2026年6月末で54,527株(発行済株式総数の1.53%)。前期末54,482株からの45株の増加は単元未満株の買取りによるもので、直近に自己株式取得の実施はありません。中計の株主還元方針には「市場環境を踏まえ多様な還元手段を検討」と書かれていますが、具体的な自己株式取得の枠は現時点で公表されていません。
なお、中計の株主還元方針には「より多くの投資家の皆様にご参加いただけるよう、投資単位の引下げを検討」という一文があります。単元株式数は100株で、株価4,000円台なら最低投資金額は40万円前後です。株式分割の可能性を示唆する記述として、事実だけ記録しておきます。
9-3. 売上の69.4%が1グループ──依存構造の数字
有価証券報告書の「事業等のリスク」には、取引先と仕入先の依存度が実数で書かれています。これは投資判断に直結する情報なので、そのまま引きます。
| 区分 | 相手先 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上依存度 | 東京エレクトロングループ | 75.3% | 72.5% | 69.4% |
| 仕入依存度 | SMC株式会社 | 40.6% | 40.8% | 36.6% |
会社の記載はこうです。
取引のパイプが太いことはビジネスチャンスでもありますので、ニーズの先取りに努め、幅広い事業展開により今後も取引の維持・拡大に努める所存ですが、同社グループ各社への依存度が高いことから同社グループ各社との取引が大幅に減少した場合の当社グループ売上高への影響のほか、同社グループ各社が生産計画を変更した場合や主要取扱商品を変更した場合の当社在庫商品の評価への影響が考えられます。
SMC株式会社とは1965年11月から空気圧機器の代理店契約を締結しています。60年以上の関係です。
冒頭の例えに戻ると、この会社は「東京エレクトロンという一社の購買部と組立工場を外から引き受けている会社」でした。引き受けている相手が1社であることは、強みと弱みの両方を同時に説明します。 相手の設備投資が立ち上がれば受注は真っ先に来る(第1四半期の受注高は前年同期の2.2倍)。相手が止まれば自分も止まる(2023年3月期から3期で売上28%減)。依存度は75.3%→72.5%→69.4%と3年で5.9ポイント下がってはいますが、これは分母である自社売上が減るなかで起きた低下でもあり、今期のように東京エレクトロン向けが急増する局面では比率が再び上がる可能性もあります。次の有価証券報告書(2027年6月頃)の数字は見ておきたいところです。
9-4. 政策保有株式と、投資有価証券の増加
2026年6月末の投資有価証券は15億38百万円で、前期末9億43百万円から5億95百万円増えています。中身は政策保有株式で、有価証券報告書に銘柄別の内訳が開示されています。
| 銘柄 | 株式数 | 2026年3月期末 簿価 | 2025年3月期末 簿価 | 保有目的(会社記載の要旨) |
|---|---|---|---|---|
| 東京エレクトロン株式会社 | 12,900株 | 4億80百万円 | 2億59百万円 | 重要取引先。取引関係の維持、発展 |
| SMC株式会社 | 3,213株 | 1億92百万円 | 1億69百万円 | 重要仕入先。代理店契約 |
| 株式会社山善 | 64,204株 | 0億92百万円 | 0億83百万円 | 重要仕入先。特約店契約 |
| 株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループ | 7,400株 | 0億81百万円 | 0億43百万円 | 主要取引金融機関 |
| 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ | 3,000株 | 0億07百万円 | 0億06百万円 | 主要取引金融機関 |
| 上場株式 合計(5銘柄) | — | 8億54百万円 | 5億60百万円 | — |
| 非上場株式(3銘柄) | — | 0億89百万円 | — | — |
この増加は「買った」のではなく「値上がりした」ものです。 検算してみます。第1四半期のその他有価証券評価差額金は5億32百万円から9億40百万円へ4億07百万円増えました。これは税効果控除後の金額なので、実効税率30%と仮定して税引前に戻すと 4億07百万円 ÷ 0.7 = 5億82百万円。投資有価証券の増加額5億95百万円とほぼ一致します(差13百万円は、有価証券報告書に記載のある持株会による定期購入分などと考えられます)。株数はほとんど動いていないのに簿価が増えているのは、時価の上昇によるものだと読めます。
会社は縮減目標を数値で掲げてはおらず、「毎年、取締役会において、銘柄毎に保有目的、含み損益、取引高等を評価し、保有継続の合理性及び株式数の見直し等を確認」したうえで、2026年4月の取締役会で「5銘柄すべてを保有継続することといたしました」と記載しています。純資産に対する投資有価証券の比率は11.7%(2026年6月末)で、政策保有株式の売却が主題になる規模ではありませんが、最大の売上先である東京エレクトロンの株を保有していることは、業績と含み益が同じ方向に動く(=下落局面では両方が同時に縮む)という意味を持ちます。
9-5. 借入と株主構成
主要な借入先は招集通知の事業報告に開示されています。
| 借入先 | 借入額(2026年3月31日現在) |
|---|---|
| 株式会社きらぼし銀行 | 13億55百万円 |
| 株式会社日本政策金融公庫 | 5億08百万円 |
| 株式会社三井住友銀行 | 3億89百万円 |
| 株式会社商工組合中央金庫 | 3億51百万円 |
| 株式会社三菱UFJ銀行 | 3億11百万円 |
| 株式会社七十七銀行 | 2億42百万円 |
| 合計 | 31億59百万円 |
この合計は、決算短信の有利子負債(1年内返済予定の長期借入金8億74百万円+長期借入金22億84百万円=31億59百万円)と一致します。第1四半期末には29億22百万円まで減っています。現金及び預金107億21百万円に対して有利子負債29億22百万円ですから、実質無借金に近い財務です。財務制限条項に関する記載は、確認できた開示のなかには見当たりませんでした。
株主構成です(2026年3月31日現在)。
| 区分 | 所有株式の割合 |
|---|---|
| 個人その他 | 76.20% |
| その他の法人 | 8.05% |
| 外国法人等 | 6.86% |
| 金融機関 | 5.64% |
| 金融商品取引業者 | 2.89% |
| 大株主(上位5名) | 持株数 | 持株比率 |
|---|---|---|
| 権田 浩一(取締役会長) | 351千株 | 10.04% |
| 権田 雄大 | 160千株 | 4.57% |
| 権田 益美 | 144千株 | 4.13% |
| 高橋 祐実 | 109千株 | 3.11% |
| 中島 秀樹 | 105千株 | 3.00% |
株主数は3,557名。個人株主の比率が76.20%と高く、上位10名を合計しても37.15%(筆者の合算)で、議決権の3分の1にわずかに届きません。権田姓の上位3名を合わせると18.74%です。創業家が過半を握るタイプの会社ではなく、一方で流通株式が少ないわけでもありませんが、株主数3,557名・1日の出来高が数万株という規模では、材料が出たときの値動きは荒くなりやすいという点は押さえておく必要があります。
用語メモ:議決権比率の意味 株主総会の普通決議(取締役の選任、配当の決定など)は過半数、特別決議(定款変更、合併など)は3分の2以上の賛成が必要です。したがって3分の1超を持つ株主は特別決議を単独で否決でき、過半数を持つ株主は普通決議を単独で可決できます。この会社の場合、単独でこれらの水準に達している株主はいません。
10. 株価の見方
以下の株価に依存する数値は、すべて2026年9月18日終値4,080円を基準としています(株価情報サイト由来のため報道ベース)。ご覧になる時点では変わっている可能性が高いので、必ずご自身の証券ツールでご確認ください。
| 指標 | 数値 | 算出根拠 |
|---|---|---|
| 株価 | 4,080円(2026年9月18日終値) | 株価情報サイト |
| 時価総額 | 約145億円 | 4,080円 × 3,558,414株 |
| PER(会社予想) | 8.51倍 | 4,080円 ÷ 479.71円 |
| PBR | 1.08倍 | 4,080円 ÷ 1株純資産3,763.22円(2026年6月末、筆者の算出) |
| 配当利回り(会社予想) | 3.53% | 144円 ÷ 4,080円 |
参考までに、一次情報から拾える株価の基準点と、株価情報サイト由来のレンジを並べます。
| 日付 | 株価 | 出所 |
|---|---|---|
| 2026年3月30日 | 2,202円(年初来安値) | 株価情報サイト(報道ベース) |
| 2026年3月末 | 約2,280〜2,300円 | 中計資料記載のPER8.2倍・PBR0.63倍から筆者が逆算 |
| 2026年7月13日 | 3,325円 | 譲渡制限付株式報酬の開示に記載された終値(一次情報) |
| 2026年8月14日 | 4,650円(年初来高値) | 株価情報サイト(報道ベース) |
| 2026年9月18日 | 4,080円 | 株価情報サイト(報道ベース) |
年初来安値2,202円から高値4,650円まで2.11倍。8月7日の上方修正の前後にあたる日々の値動きは、今回取得できた範囲のデータには含まれていなかったため記載しません。中計資料に記載されたPBR0.63倍(2026年3月末)は、半年で1.08倍になりました。中計の「PBR1.0倍以上」という目標は、計画発表から4か月で達成されたことになります。
強気に読む材料
- 受注残高が3か月で28.5%増え、ブックトゥビルは1.23倍。販売事業の受注高は5四半期連続で増加しており、直近の126億87百万円は年換算で507億円になる。通期予想は「期待」ではなく受注の実測値の延長線上にある
- 売上の進捗率22.7%は前年実績ベースの22.1%とほぼ同じで、修正後予想が極端に強気な置き方になっていない
- 販管費率7.5%は直近9四半期で最低。固定費が動かないまま売上が伸びれば、増収分の多くが利益になる構造は当面続く
- 今期予想のROEは約12.3%で、2030年度の目標12.5%にすでに近い。PBRも1倍を回復しており、中計の資本市場向けの目標のうち2つは前倒しで視野に入っている
- 実質無借金(現金107億円、有利子負債29億円)で、M&Aや工場投資の余力はある
- 配当は144円・利回り3.53%で、方針上は「配当性向30%以上」に連動するため、業績の上振れが配当に直結する設計
弱気に読む材料
- 売上が2030年度目標を超えても、営業利益率は会社自身が「限界」と書いた5%で止まっている。 増収が低採算の販売事業に偏っており、高粗利のTS事業(製品・技術開発)は売上構成比1.8%まで下がっている。中計が掲げる「高粗利事業の比率拡大」と足元の実績は逆を向いている
- 直前の四半期(2026年1〜3月)と比べると営業利益は4.3%減。粗利率は15.3%から12.6%へ2.7ポイント低下しており、売上が2割増えても粗利は増えていない
- 通期予想の残り393億64百万円に対し、受注残高でカバーされているのは30.4%。残りは今後の受注次第
- 売上の69.4%が東京エレクトロングループ。相手の投資計画の変更は、そのままこの会社の売上に反映される。過去には3期で売上が28%縮んだ実績がある
- 会社の業績予想は上にも下にもよく動く。前期は期初から11月に営業利益を34.1%切り下げ、その後73.2%引き上げた。今期予想もまだ第1四半期時点のものである
- 自己資本比率が50.9%から46.5%へ低下。借金によるものではないが、売上が伸びるほど買入債務と在庫が膨らむ構造なので、仮に需要が急に止まると在庫評価のリスクが出る(会社もリスク情報でこれに言及している)
- 株価は年初来安値から2.11倍。PERは8.51倍と絶対水準は高くないが、分母のEPS479.71円は上方修正されたばかりの会社予想であり、この予想の前提が崩れると指標も変わる
11. 今後のカレンダーと見るべきKPI
| 時期 | イベント | 注目点 |
|---|---|---|
| 2026年11月頃(前期は11月12日) | 2027年3月期 中間決算 | 上期予想(売上245億円・営業利益11億85百万円)に対する着地。第2四半期単独の粗利率が12〜13%台を維持できたか。OMT社の連結開始に伴うのれんの金額 |
| 2026年11月 | 仙台開発センター 操業開始予定 | 開発拠点の拡大がTS事業の売上に効き始めるか |
| 2027年2月頃 | 2027年3月期 第3四半期決算 | 通期予想の再修正の有無。受注残高の水準 |
| 2027年3月29日(月) | 期末配当の権利付き最終日(筆者の計算) | 基準日2027年3月31日の2営業日前 |
| 2027年5月頃 | 2027年3月期 通期決算 | 営業利益率が5%台を超えられたか。MIRAI 2030の中間年度目標の開示 |
| 2027年6月頃 | 有価証券報告書 | 東京エレクトロングループへの売上依存度(前期69.4%)の更新値 |
見るべきKPIを5つに絞ると、次のようになります。
- 四半期の売上総利益率。12〜15%のレンジのどこにいるか。販売事業の比重が上がれば下に振れる
- 販売事業の受注高と受注残高。5四半期連続増の流れが続くか、反転するか
- FS事業とTS事業の売上構成比。中計の「高粗利事業の比率拡大」が数字として現れるか(前期FS 9.0%・TS 2.5%、第1四半期FS 7.8%・TS 1.8%)
- 受託製造事業のセグメント利益率。前期8.50%、今期予想8.38%。先行投資が一巡して上向くか
- 追加のM&A。OMT社だけではFS事業の2030年目標50億円には届かない
12. 3行まとめ
- 2027年3月期第1四半期は売上高115億36百万円(前年同期比59.9%増)、営業利益5億90百万円(同7.1倍)で、会社は同日に通期予想を売上509億円・営業利益25億60百万円へ上方修正し、期末配当も110円から144円へ引き上げました
- ただし9四半期を差し引いて並べると、直前の四半期と比べた営業利益は4.3%減で、売上総利益率は15.3%から12.6%へ低下しています。増収の中心が低採算の販売事業であるため、売上は中期経営計画の2030年度目標500億円を初年度で超える一方、営業利益率は会社が「限界」と書いた5%に張り付いています
- 売上の69.4%を占める東京エレクトロングループの投資が続くかどうかが最大の変数で、会社の業績予想は前期に上下34〜73%の幅で修正された実績があります。株主優待制度はなく、還元は年1回の期末配当のみです
免責事項
本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。
本記事は投資勧誘・投資助言を目的としたものではありません。数値の出典は、2027年3月期第1四半期決算短信(2026年8月7日)、同決算説明資料(2026年8月7日)、業績予想の修正および配当予想の修正に関するお知らせ(2026年8月7日、2026年4月28日、2025年11月12日)、2026年3月期決算短信(2026年5月15日)および同期の各四半期決算短信、中期経営計画「MIRAI 2030」(2026年5月15日)、剰余金の配当に関するお知らせ(2026年5月15日)、株式会社OMTの株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ(2026年7月15日)、譲渡制限付株式報酬としての新株式発行に関するお知らせ(2026年7月14日)、熊本県熊本地方で発生した地震の当社グループへの影響に関するお知らせ(2026年7月29日・8月5日)、第65回定時株主総会招集ご通知(2026年5月27日)、および第65期有価証券報告書(2026年6月23日提出)です。単独四半期の売上高・売上総利益・粗利率・販管費・営業利益は、各四半期の累計値から筆者が差し引いて算出したもので、4四半期の合計が通期の開示値と一致することを確認していますが、百万円未満切捨ての丸め誤差により±1百万円程度の幅があります。事業ポートフォリオ別売上高、四半期別の受注高・受注残高、セグメント別の通期予想は、決算説明資料のグラフから筆者が読み取った値であり、読み取り誤差を含む可能性があります(合計値が決算短信の開示値とおおむね一致することは確認しています)。2026年3月末の株価水準は中期経営計画資料に記載されたPER・PBRからの筆者の逆算であり、会社が株価として開示した数値ではありません。今期のROE約12.3%は、会社が開示したDOE3.7%から株主資本を逆算した筆者の概算です。株価・時価総額・年初来高値安値は株価情報サイト由来(2026年9月18日時点)で、キャッシュの日付が古い可能性があります。2026年8月7日の上方修正前後の日々の株価は取得できなかったため記載していません。第1四半期の決算説明動画および質疑応答の内容は本記事に反映していません。OMT社の取得価額は会社が非開示としているため、のれんの金額および償却負担については記載していません。東京エレクトロングループへの売上依存度、SMC株式会社への仕入依存度、政策保有株式の銘柄別内訳、株主優待の不存在は、いずれも第65期有価証券報告書(2025年4月1日〜2026年3月31日)の記載に基づくもので、当第1四半期以降の状況を反映したものではありません。
記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。