株式投資

【2026年10月発表・上半期決算】きょくとう(2300)上期だけで通期の利益予想を超えたのに、なぜ予想は据え置き? 「春に1年分を稼ぎ、残り9か月は待つ」クリーニング店の数字を読む

本記事は2026年10月6日時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。**執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。**特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • きょくとうの上半期(2026年3〜8月)は営業利益2億47百万円。通期予想の1億円をすでに超えていますが、これは上方修正のサインではありません。過去3期とも、下半期(9月〜翌2月)は2億5千万〜3億円規模の営業赤字だったからです
  • 14四半期を並べると、黒字なのは毎年3〜5月の3か月だけ。6〜8月・9〜11月・12〜2月は3年続けて営業赤字です
  • 会社の通期予想が成り立つには、下半期の売上が前年同期比+12.3% 伸びる必要があります。上半期は△4.9%でした
  • 上半期の営業減益6,240万円の内訳は、「売上が減ったこと」が△1億1,380万円、「原価率の上昇」が△2,670万円、「販管費の削減」が+7,810万円。会社が理由に挙げた燃料費・原材料費の上昇より、売上の減少のほうが大きい
  • 有価証券報告書の「重要な会計上の見積り」では、一部の工場に減損の兆候があり、判定の前提は「翌期予算の売上高の成長率」でした。その翌期予算は売上+2.0%、実際の上半期は△4.9%です
  • 配当11円(利回り2.2%)と株主優待1,000円相当(100株で2.0%)。純資産の約3割を占める白洋舍株の保有や、元取締役への請求と引当についても整理します

1. 前提知識:きょくとうはどんな会社か

軸となる例え:「春の3か月で1年分を稼ぎ、残り9か月は店の明かりを灯して待つ会社」

衣替えの季節を思い出してください。4月か5月、冬のコートやダウン、厚手のセーターを家で洗えずにまとめてクリーニング店へ持ち込む。この一回の持ち込みが、町のクリーニング店にとって1年でいちばん大きな稼ぎ時です。

きょくとう(福岡市、東証スタンダード)は、九州・中国地方を中心に470店(2026年8月末)のクリーニング店と、その裏で衣類を洗う工場(会社は「プラント」と呼んでいます)を持つ会社です。家で洗えない服を預かる仕事を、店と工場の網ごと引き受けていると言い換えられます。

この例えには、強みと弱みが同時に入っています。

  • 強み:店と工場を自前で持っているので、春の持ち込みが多い年は粗利率78%前後という高い採算で稼げる
  • 弱み①:いつ・どれだけ持ち込まれるかは、天気と暮らし方が決める。春が肌寒ければ冬物の持ち込みが遅れ、ビジネスウェアがカジュアルになれば持ち込む服そのものが減る
  • 弱み②:店と工場と人の費用は、客が来ない季節も止まらない。だから春以外の9か月は、ほぼ毎月赤字になる

この例えは、このあと「14四半期の赤字の形」「下半期の予想の置き方」「減損の判定」「株価の見方」で回収します。

事業の構造

項目内容
事業ホームクリーニング事業の単一セグメント(非連結)
店舗数470店(2026年8月末。上半期に新規3店・閉鎖11店)
売上の中身(2026年2月期)クリーニング売上50億99百万円、会員カード売上1億14百万円、商品その他29百万円
決算期2月末(第1四半期=3〜5月、第2四半期=6〜8月、第3四半期=9〜11月、第4四半期=12〜2月)
配当中間(8月31日基準)・期末(2月末日基準)の年2回、各5.5円
株主優待あり(2月末日基準、年1回。クリーニング金券またはJCBギフトカード)
筆頭株主牧平年廣氏(代表取締役会長)30.3%(2026年2月末、自己株式を除く発行済株式に対する比率)
潜在株式なし

会社自身も有価証券報告書の「事業等のリスク」の最初に、季節変動を挙げています。

会社は次のように書いています(原文) 最需要期が上半期に当たることから売上高及び利益が上半期に偏る傾向があり、この最需要期の結果が、通期の業績に大きく影響する可能性があります。

2つ目のリスクは「クリーニング需要の減少」で、一般家庭のクリーニング需要は1993年をピークに減り続けていると書かれています。今回の上半期決算の説明でも、会社は「ビジネスウェアのカジュアル化などのライフスタイルの変化に伴いクリーニング需要の減少が続いて」いると書いています。

5期の業績推移

有価証券報告書(2026年5月26日提出)の「主要な経営指標等の推移」から抜き出しました(単位:百万円、1株当たりは円)。

決算期売上高経常利益当期純利益1株当たり純利益1株配当配当性向ROE自己資本比率
2022年2月期4,580△371△784△149.046.00--51.0%
2023年2月期4,688△93△169△32.276.00--47.1%
2024年2月期4,91716311922.628.5037.6%6.1%48.9%
2025年2月期5,3801828315.7811.0069.7%3.9%48.7%
2026年2月期5,244955310.2411.00107.4%2.4%52.2%

この表のポイントは2つです。

1つ目は、売上は事業の譲り受けで伸びてきたこと。2023年12月に福岡県で48店、2025年5月に久留米市で4店を事業譲受で取得しています。2025年2月期の+9.4%増収はこの上乗せが大きく、2026年2月期は△2.5%と減収に戻りました。

2つ目は、利益は2期続けて減り、配当性向が107.4%まで上がったこと。配当は11円で据え置かれています(§7で詳しく見ます)。

営業利益は2024年2月期83百万円 → 2025年2月期96百万円 → 2026年2月期2.9百万円です。売上50億円規模の会社で、営業利益が1年でほぼゼロになりました。

用語メモ:2024年2月期の売上高は、会社が2025年2月期から収益認識の会計方針を変更し、遡って修正した後の数字(4,917百万円)です。2024年2月期の決算短信の当初の数字(5,072百万円)とは一致しません。本記事の前年比較はすべて修正後の数字を使っています。

中期経営計画との距離

会社は2025年4月15日に中期経営計画「NBM2025〜2027」(2026年2月期〜2028年2月期)を公表しています。最終年度(2028年2月期)の目標は売上高65億円、経常利益5億円、純利益4億円、ROE8%、営業所数600店です。

項目中計最終年度の目標(2028年2月期)今期予想(2027年2月期)今期予想から目標までに必要な伸び
売上高65億円53億50百万円1年で+21.5%
経常利益5億円1億80百万円1年で約2.8倍
ROE8%約5.1%(筆者の概算)-
店舗数600店470店(8月末)1年で+130店

2026年5月26日に提出された有価証券報告書の「経営方針」には、この中計の数値目標への言及がなく、「売上高伸長率5%及び売上高経常利益率8%を目指し」という目安だけが書かれています。会社が中計の数値を見直したかどうかには、今回の短信も有報も触れていません。

会社予想の達成履歴:「期中に一度も修正しない会社」

きょくとうは、直近3期とも期中に業績予想を修正していません。期初に出した予想のまま決算を迎え、決算発表の日に「予想と実績の差異」を開示する形です。

決算期期初の通期予想(営業利益)期中の修正実績期初予想に対する着地差異の開示
2025年2月期150百万円なし96百万円64.0%2025年4月15日(決算と同日)
2026年2月期200百万円なし2.9百万円1.5%2026年4月15日(決算と同日)
2027年2月期100百万円なし(10月5日時点)---

経常利益で見ても、2025年2月期は予想250百万円に対し実績182百万円(72.8%)、2026年2月期は予想300百万円に対し95百万円(31.9%)です。2期続けて期初予想を大きく下回り、それでも期中には修正していません。

用語メモ:業績予想の修正の適時開示は、原則として売上高で10%以上、利益で30%以上ずれる見込みになったときに求められます。今回の上半期は、上期予想に対して営業利益が△22.8%、経常利益が△19.8%でした。30%に届かないので、上期予想の修正開示は出ていません。開示が出ていないことは、予想どおりだったことを意味しません。


2. 決算ハイライト(2026年10月5日14時00分発表)

損益

項目(千円)前年上半期(2025年3〜8月)今期上半期(2026年3〜8月)増減率上期予想(期初)上期予想比
売上高3,130,1512,976,505△4.9%3,200百万円△7.0%
売上総利益2,318,4222,177,917△6.1%--
販売費及び一般管理費2,009,0341,930,892△3.9%--
営業利益309,388247,025△20.2%320百万円△22.8%
経常利益355,439288,554△18.8%360百万円△19.8%
中間純利益245,535207,585△15.5%250百万円△17.0%
1株当たり中間純利益46.66円39.45円-47.51円-

通期予想は売上高53億50百万円、営業利益1億円、経常利益1億80百万円、当期純利益1億20百万円、1株当たり当期純利益22.80円で、2026年4月15日の公表から変わっていません。

通期予想に対する進捗率

項目今期上半期の進捗率前期上半期の進捗率(対期初予想)前々期上半期の進捗率(対期初予想)
売上高55.6%56.9%59.7%
営業利益247.0%154.7%250.0%
経常利益160.3%118.5%168.0%
純利益173.0%122.8%195.1%

この表のポイントは、進捗率が100%を超えるのはこの会社では毎年のことだという点です。前々期(2025年2月期)は営業利益の進捗率250.0%でしたが、通期の着地は期初予想の64.0%でした。この会社の進捗率は、上方修正のサインとしては読めません。理由は次の章で数字にします。

営業外・特別損益:7月6日に開示された2つの項目

上半期には、普段の決算にない2つの項目が入っています。どちらも第1四半期決算と同じ2026年7月6日16時00分に開示されました。

項目区分金額開示された理由(要旨)
貸倒引当金繰入額営業外費用17,927千円2026年4月30日に辞任した元取締役の不適切な経費精算(2025年12月上旬に発覚)と調査費用について、会社が元取締役に約17百万円を請求している
役員退職慰労引当金戻入額特別利益17,760千円同じ元取締役に予定していた退職慰労金を支給しないことになり、積んでいた引当金を取り崩した

金額はほぼ同じで、経常利益は約18百万円押し下げられ、税引前利益ではほぼ相殺されています。貸借対照表の流動資産の貸倒引当金は△3,616千円から△20,633千円に増えています。

用語メモ:貸倒引当金は、回収できないかもしれない債権について、あらかじめ損失として計上しておく金額です。今回、会社は元取締役への請求額のほぼ全額を引当てています。回収できれば、その分は将来の利益に戻ります。

この件は§6で、過去の開示と合わせて事実関係だけを整理します。

財政状態

項目(千円)2026年2月末2026年8月末増減
現金及び預金322,301336,963+14,662
投資有価証券840,846789,711△51,135
有形固定資産1,915,7411,929,638+13,897
短期借入金300,000200,000△100,000
長期借入金(1年内返済予定を含む)664,717542,868△121,849
未払法人税等14,727112,092+97,365
純資産2,302,9712,446,345+143,374
自己資本比率52.2%56.2%+4.0pt

有利子負債は9億64百万円から7億42百万円へ約2億22百万円減りました。現預金を差し引いた純有利子負債は約4億6百万円(筆者の概算)です。

自己資本比率の上昇は、上半期の黒字が利益剰余金に積み上がったことと、借入返済で総資産が減ったことの両方です。ただし下半期は毎年赤字なので、この比率は期末にかけて戻る方向にあります(前期も8月末52.6%→2月末52.2%)。

未払法人税等が1億12百万円まで増えているのは、上半期の黒字に対する税金を計上したまま、まだ払っていないためです。

キャッシュ・フロー(中間)

項目(千円)前年上半期今期上半期
営業活動によるキャッシュ・フロー330,541374,683
投資活動によるキャッシュ・フロー△4,556△64,186
財務活動によるキャッシュ・フロー△164,705△265,834
現金及び現金同等物の中間期末残高575,814311,963

営業CFが前年より増えたのは、法人税等の支払額が43,836千円から4,424千円に減ったことが大きく、利益が増えたからではありません(前期の利益が小さかったため、今期上半期に払う税金が少なかった)。投資CFでは無形固定資産の取得51,200千円が新しく出ています(内容は短信に記載がありません)。


3. 深掘り①:14四半期を並べると、黒字は毎年「3〜5月」だけ

ここからが本題です。この決算でいちばんわかりにくく、いちばん大事な問いは、**「上半期だけで通期予想を超えたのに、なぜ会社は予想を変えないのか」**です。答えは3段階に分かれます。まず、この会社の1年の形を数字で確かめます。

きょくとうは四半期ごとの損益を開示していません。短信は累計(3か月、6か月、9か月、12か月)しか出ないので、前の累計を引き算して3か月ごとの数字を出しました(筆者の差し引き)。各年度とも、4四半期の合計が通期の開示値と千円単位で一致することを確認しています。

四半期売上高(百万円)粗利率販管費(百万円)販管費率営業利益(百万円)営業利益率
2023年3〜5月1,784.778.1%967.354.2%427.323.9%
2023年6〜8月1,077.566.1%806.074.8%△94.1△8.7%
2023年9〜11月1,077.468.4%812.475.4%△74.9△7.0%
2023年12月〜2024年2月977.865.6%816.083.5%△175.0△17.9%
2024年3〜5月2,034.478.6%1,094.053.8%504.924.8%
2024年6〜8月1,148.566.5%893.877.8%△129.9△11.3%
2024年9〜11月1,149.970.3%890.577.4%△82.5△7.2%
2024年12月〜2025年2月1,047.966.9%897.485.6%△196.4△18.7%
2025年3〜5月1,938.878.2%1,098.656.7%417.321.5%
2025年6〜8月1,191.367.4%910.476.4%△107.9△9.1%
2025年9〜11月1,132.069.3%897.479.3%△113.3△10.0%
2025年12月〜2026年2月982.166.9%849.886.5%△193.1△19.7%
2026年3〜5月1,854.977.0%1,055.856.9%372.620.1%
2026年6〜8月1,121.666.8%875.178.0%△125.5△11.2%

※ 2024年2月期(2023年3月〜2024年2月)の数字は、2025年2月期の各四半期短信の「前年同期」欄(会計方針変更後の遡及修正値)から差し引いています。2023年12月に48店を事業譲受で取得しているため、2023年12月以降の四半期とそれ以前とでは店舗網が異なります。

この表のポイントは3つです。

1つ目。3〜5月は3年続けて営業利益率20%超、それ以外の3つの四半期は3年続けて営業赤字です。12四半期(3年分)で同じ形が出ているので、これは季節性と言えます。いちばん赤字が大きいのは毎年12〜2月です。

2つ目。売上は季節で2倍近く動くのに、費用はほとんど動きません。四半期の総費用(売上高−営業利益)は、直近2年で12億〜15億円の範囲に収まっています。一方の売上は9.8億〜20.3億円です。3〜5月にだけ費用が少し増えるのは、持ち込みが増えた分の原材料費や人件費が増えるためと見られます。

3つ目。粗利率も季節で動きます。3〜5月は77〜79%、ほかの季節は66〜70%です。工場の人件費や設備の費用が売上原価に入っているため、売上が少ない季節は粗利率も下がります。

例えに戻ると、これが「春の3か月で1年分を稼ぎ、残り9か月は店の明かりを灯して待つ」の数字の姿です。待っている9か月の間も、店の家賃、人件費、工場の費用は出ていきます。

用語メモ:累計でしか開示されない会社の3か月ごとの数字は、自分で引き算するしかありません。第2四半期(6〜8月)の数字=上半期累計−第1四半期累計、です。会社が出していない数字なので、本記事では「筆者の差し引き」と書いています。

上半期と下半期に分けると

決算期上半期の営業利益下半期の営業損益通期の営業利益
2024年2月期333百万円△250百万円83百万円
2025年2月期375百万円△279百万円96百万円
2026年2月期309百万円△306百万円3百万円
2027年2月期247百万円?予想100百万円

下半期の赤字は3年続けて広がっています(△250→△279→△306百万円)。通期の営業利益は、「春に稼いだ分から、残り9か月の赤字を引いた残り」です。上半期の数字だけを見て通期を判断できない理由はここにあります。


4. 深掘り②:上半期の減益6,240万円は「売上の減少」が主因

前の章で、この会社の利益は春の稼ぎで決まることを確かめました。では、その春を含む今期の上半期の減益は何が原因だったのか。会社は短信で、中東情勢の悪化による燃料費や原材料費の上昇を挙げています。数字で確かめます。

営業利益の増減を3つに分けました(筆者の計算)。

  • 数量効果=売上高の増減額×前年の粗利率(売上が減ったことで失った粗利)
  • 率効果=今期の売上高×粗利率の変化(原価率が上がったことで失った粗利)
  • 販管費の増減(減れば利益にプラス)
期間営業利益の増減数量効果率効果販管費の増減
上半期(3〜8月)△62.4百万円△113.8百万円△26.7百万円+78.1百万円
うち3〜5月△44.7百万円△65.6百万円△22.0百万円+42.8百万円
うち6〜8月△17.6百万円△47.0百万円△5.9百万円+35.3百万円

※ 3項目の合計は、いずれも実際の営業利益の増減と一致します(筆者の計算)。

この表のポイントは2つです。

1つ目。減益の最大の要因は売上の減少(数量効果△113.8百万円)です。会社が挙げた燃料費・原材料費の上昇は、率効果に当たります。上半期の売上原価率は25.9%から26.8%へ0.9pt上がっており、コスト上昇は数字にも表れていますが、規模は△26.7百万円で、数量効果の4分の1以下です。

2つ目。販管費は78.1百万円(△3.9%)削っています。上半期に不採算店を11店閉鎖したことも寄与していると見られますが、短信には販管費の内訳がなく、何をどれだけ削ったかは確認できません。

会社の説明も、燃料費・原材料費だけを挙げているわけではありません。今回の短信は「ビジネスウェアのカジュアル化などのライフスタイルの変化に伴いクリーニング需要の減少が続いて」いること、消費者の「出し控え」にも触れています。数字で分解すると、この「需要の減少」のほうが利益への影響は大きかった、というのが筆者の読み方です。

売上は2年前の水準を下回った

上半期売上高前年比
2024年2月期2,862百万円-
2025年2月期3,182百万円+11.2%(2023年12月の48店譲受の上乗せを含む)
2026年2月期3,130百万円△1.7%
2027年2月期2,976百万円△4.9%

今期上半期の売上は2年前(2025年2月期)の上半期を6.5%下回っています。前期も今期も、春の天候と衣替えのずれを会社は理由に挙げていますが、2年続けて減収になっていることは、例えで言う弱み①(いつ・どれだけ持ち込まれるかは自分で決められない)が、天候だけでなく暮らし方の変化からも来ていることを示していると読めます。

計画比と前年比は別の問い

上期予想(売上32億円、営業利益3億20百万円)に対しても、売上△7.0%、営業利益△22.8%でした。会社は上期予想の内訳(原価率や販管費の前提)を開示していないので、計画からのずれが売上側と費用側のどちらで大きかったかは、数字では確かめられません。前年比の分解と計画比のずれは別の問いへの答えであり、上の表は前年比の分解です。


5. 深掘り③:会社予想が下半期に置いている前提は「売上+12.3%」

ここまでで、①この会社は下半期に毎年赤字を出す形をしていること、②今期の春は売上の減少で稼ぎが細ったこと、がわかりました。最後の段階は、それでも据え置かれた通期予想が、残り6か月に何を置いているかです。

予想が置いている下半期と、過去の下半期

通期予想から上半期の実績を引くと、会社予想が下半期(2026年9月〜2027年2月)に置いている数字が出ます。同じ計算を過去2期の上半期決算の時点についても行いました。

決算期上期決算時点で予想が置いた下半期の売上前年下半期比実際の下半期の売上予想が置いた下半期の営業損益実際の下半期の営業損益
2025年2月期2,147百万円+4.5%2,198百万円(+6.9%)△225百万円△279百万円
2026年2月期2,370百万円+7.8%2,114百万円(△3.8%)△109百万円△306百万円
2027年2月期2,373百万円+12.3%?△147百万円?

この表のポイントは3つです。

1つ目。今期の予想は、下半期の売上が前年より12.3%増えることを前提にしています。上半期は△4.9%でした。下半期の新規出店・閉店の計画は短信に書かれておらず、店舗数は上半期で478店から470店に減っています。

2つ目。下半期の営業赤字を△147百万円に収める前提です。過去3期の実際の下半期は△250、△279、△306百万円でした。

3つ目。過去2期とも、上期決算時点で予想が置いた下半期の赤字より、実際の赤字のほうが大きかった。2025年2月期は売上が予想を上回ったのに赤字は予想より54百万円大きく、2026年2月期は売上も赤字も予想から大きく外れました。

下半期を過去3期と同じ形で当てはめると

予想ではなく、過去3期の実際の下半期の数字をそのまま今期の上半期に足すと、通期はこうなります(筆者の試算。将来の見通しではありません)。

下半期の前提下半期の営業損益通期の営業利益下半期の経常損益通期の経常利益
会社予想△147百万円100百万円△109百万円180百万円
2024年2月期の下半期と同じ△250百万円△3百万円△209百万円80百万円
2025年2月期の下半期と同じ△279百万円△32百万円△238百万円51百万円
2026年2月期の下半期と同じ△306百万円△59百万円△260百万円29百万円

過去3期のどの下半期を当てはめても、通期の営業利益はゼロ近辺かマイナスになります。経常利益は営業外収益(受取家賃・受取配当金等で年間1億円程度)があるので黒字が残りますが、予想の1億80百万円には届きません。

下半期の売上と粗利率による感応度

もう少し細かく、下半期の売上の伸びと粗利率を変えた場合を試算しました(筆者の試算)。前提は、下半期の販管費が前年下半期から上半期と同じ率(△3.9%)で減ること、粗利率は前年下半期(68.2%)とそこから1pt低い場合の2通りです。

下半期の売上の前年比粗利率68.2%の場合の通期営業利益粗利率67.2%の場合の通期営業利益
△6%△78百万円△98百万円
△4%△49百万円△69百万円
△2%△20百万円△41百万円
±0%9百万円△13百万円
+2%37百万円16百万円
+5%81百万円58百万円
+12%186百万円162百万円

※ 筆者の試算。前年下半期の売上21億14百万円、販管費17億47百万円をもとに計算。粗利率・販管費の実際の値は会社開示ではありません。

この表のポイントは、通期予想の営業利益1億円に届くには、販管費を上半期並みに削れたとしても、下半期の売上が前年比で+5〜7%程度は必要だということです。下半期の売上が前年並みなら、通期の営業利益はゼロ前後になります。

会社予想の前提(売上+12.3%)は、販管費をほぼ前年並み(+1.0%)に置いていると逆算できます(筆者の計算)。会社は売上の伸びの根拠を短信で説明しておらず、予想については次のように書いています。

会社は次のように書いています(2026年10月5日の短信、要旨) 通期の業績予想は2026年4月15日に発表した予想と変更はない。中東情勢の長期化による影響は現時点で合理的に見積もることが困難であり、修正が必要になった場合は適切に開示する。

7月6日の2つの開示(貸倒引当金・特別利益)でも、会社は第2四半期累計と通期の業績予想を「精査中」と書いていました。その結果として、今回は上期予想の修正開示も通期予想の修正も出ていません。

有価証券報告書の「減損の兆候」の前提

もう1つ、この下半期の前提と同じ数字につながる開示があります。2026年2月期の有価証券報告書の「重要な会計上の見積り」です。

項目内容
対象ホームクリーニング事業の一部の資産グループ(工場を基本単位にグルーピング)
帳簿価額(2026年2月末)有形固定資産1,915,741千円、無形固定資産206,433千円(事業全体の金額)
2026年2月期末の判断収益性の低下等により減損の兆候があると判断。割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価額を上回るため、減損損失は認識せず
主要な仮定取締役会が承認した事業計画(翌期予算)を基礎とした、翌期以降の売上高の成長率
会社が書いた影響売上高の成長率が見込みどおりにならない場合は、翌事業年度以降に減損損失が発生する可能性

この「翌期予算」は今期(2027年2月期)の予算で、公表予想の売上は前期比+2.0%です。実際の上半期は△4.9%、通期予想を達成するには下半期+12.3%が必要です。

筆者の整理:会社が減損を見送った前提(売上高の成長率)と、今期の売上の実績は、今のところ離れています。ただし、上の表の帳簿価額は事業全体の金額で、兆候があるのは「一部の資産グループ」です。どの工場・どの金額が対象かは開示されておらず、上の表は減損損失の見込額でも上限でもありません。減損の判定は通常、期末に行われます。前々期(2025年2月期)には、福岡県那珂川市と島根県出雲市のクリーニング工場・営業店舗で98,756千円の減損損失を計上しています。

用語メモ:減損損失は、事業のために持っている資産が将来の稼ぎで回収できないと判断したときに、帳簿上の金額を切り下げる処理です。まず「兆候」があるかを確かめ、兆候があれば将来のキャッシュ・フローを見積もって判定します。現金は出ていきませんが、純利益と純資産は減ります。

3つの深掘りをつなぐと

例えに戻ります。春の3か月で稼ぎ、残り9か月は待つ会社です。

  • 深掘り①:待つ9か月の赤字は、3年続けて広がってきた
  • 深掘り②:今期は春の稼ぎそのものが、持ち込みの減少で細った
  • 深掘り③:それでも予想は、待つ9か月の売上が12.3%増えて赤字が半分になる前提のまま据え置かれ、同じ「売上の成長率」が減損の判定の前提にもなっている

「上半期だけで通期予想を超えた」という見え方の裏には、この3つが重なっています。


6. 元取締役への請求と、過去の開示の時系列

7月6日の2つの開示(§2)に関連して、過去の開示を日付順に並べます。以下は会社の適時開示に書かれた事実の並びであり、個々の出来事の因果関係について筆者は判断しません。

日付開示・出来事
2023年5月31日過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を提出(2024年12月10日の開示に記載)
2024年10月15日社内調査委員会設置、半期報告書の提出期限延長の承認申請
2024年11月12日社内調査委員会の調査報告書を受領(コロナ禍の雇用調整助成金の申請に関する調査)
2024年12月10日証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告(過去の有価証券報告書等の虚偽記載)
2025年2月5日金融庁による課徴金納付命令の決定(15百万円)。2025年2月期に特別損失として計上
2025年12月上旬取締役の不適切な経費精算が発覚(2026年7月6日の開示に記載)
2026年2月16日代表取締役の異動(3月1日付で会長兼社長→会長、副社長→社長)と組織変更を開示
2026年4月30日当該取締役が辞任(7月6日の開示に記載)
2026年7月6日元取締役への請求約17百万円の全額を貸倒引当金として計上、退職慰労引当金17.76百万円を戻入

決算への影響は、§2で見たとおり経常利益で約18百万円の押し下げ、税引前利益ではほぼ相殺です。金額は会社の規模に対して小さくありません(通期の営業利益予想の約18%)。

筆者の推測であり会社の開示に基づくものではありませんが、ここ数年、決算・ガバナンス面での開示が続いている点は、業績とは別の論点として残ります。会社は課徴金の決定時に再発防止策の実効性を高めるとしています。2026年5月27日開催の定時株主総会では社外取締役を1名増やし3名とする議案が出されていました(有報の記載)。総会の議決権行使結果(臨時報告書)は本記事では確認していません。


7. 資本政策と株主還元

配当:方針と実績

有価証券報告書の配当政策は次のとおりです。

会社は次のように書いています(原文) 業績を勘案しながら、将来の事業展開や経営基盤の強化のための内部留保を確保しつつ、株主の皆様への利益還元を重視し、安定した配当を継続していくことを経営の基本方針としておりますが、利益確保が困難な場合は、経営状態や市場動向を慎重に判断し配当を決定いたします。

配当の決定機関は取締役会です。

決算期1株配当(うち中間)配当の決め方1株当たり純利益配当性向
2022年2月期6.00円(3.00円)方針は上記の安定配当△149.04円-
2023年2月期6.00円(3.00円)同上△32.27円-
2024年2月期8.50円(3.00円)同上22.62円37.6%
2025年2月期11.00円(5.50円)同上15.78円69.7%
2026年2月期11.00円(5.50円)同上10.24円107.4%
2027年2月期(予想)11.00円(5.50円は支払決定済み)同上22.80円(予想)48.2%(予想)

この表のポイントは、赤字の2期も6円を払い、配当性向が100%を超えた前期も11円を据え置いたことです。方針の文言どおり、配当は利益に連動させず安定を優先しています。

ただし、§5の試算のように下半期が過去並みになれば、今期の1株当たり純利益は予想の22.80円を下回ります。配当総額は約57.9百万円(期末の自己株式控除後株数×11円、筆者の再現。前期の開示値57百万円と一致)で、今期も配当性向が100%を超える可能性はあります。方針には「利益確保が困難な場合は〜慎重に判断」とあるので、配当の据え置きは約束されたものではありません。

権利確定日の早見表

権利基準日権利付き最終日
中間配当(5.5円)2026年8月31日(月)終了(2026年8月27日(木))
期末配当(5.5円予想)と株主優待2027年2月末日2027年2月24日(水)

2027年2月28日は日曜日なので、直前の営業日である2月26日(金)を起点に2営業日さかのぼり、2月24日(水)が権利付き最終日になります(2月23日(火)は天皇誕生日で休場)。優待の基準日は2月末日の年1回だけで、8月31日の中間配当の基準日には優待はありません。

株主優待(2月末日基準、年1回)

有価証券報告書「株主に対する特典」の記載は次のとおりです。会社IRサイトのFAQにも「株主優待制度はあります(実施しています)」と書かれており、両者に食い違いはありません。

保有株数優待(クリーニング金券またはJCBギフトカードの選択)1株当たり優待額株価496円での優待利回り配当(年11円)と合わせた利回り
100〜499株1,000円相当10.0円(100株の場合)2.0%4.2%
500〜999株2,000円相当4.0円(500株の場合)0.8%3.0%
1,000〜4,999株3,000円相当3.0円(1,000株の場合)0.6%2.8%
5,000株以上5,000円相当1.0円(5,000株の場合)0.2%2.4%

※ 利回りはすべて名目。1株当たり優待額は各区分の下限株数で計算(筆者の計算)。

この表のポイントは3つです。

1つ目。優待の額は保有株数に比例しません。100株の1,000円相当が最も効率がよく、100株から200株に増やすと1株当たりの優待額は10円から5円に半減します。100株保有なら、1株当たり優待額(10円)は1株当たり配当(11円)とほぼ同じ大きさです。

2つ目。JCBギフトカードを選べるので、近くにきょくとうの店がなくても名目に近い価値で受け取れます。クリーニング金券はきょくとうの店舗網(九州・中国地方中心)で使うことが前提なので、店が近くにない人にとってはギフトカード一択です。

3つ目。継続保有条件は、有報・会社IRサイトとも記載がありません。2月末日の株主名簿に100株以上で載れば対象です。

継続性について:会社は優待の費用総額を開示していません(本記事で読んだ範囲)。有報の所有者別状況では、単元株主(100株以上)は12,047名(2026年2月末)です。全員が最も小さい区分(1,000円相当)だったとしても、優待の費用は約12百万円になります(筆者の試算。ギフトカードを選んだ株主の分は額面どおりの費用、金券を選んだ株主の分は実際の利用時のクリーニング原価になるため、実際の費用はこれより小さい可能性もあります)。これは前期の営業利益(2.9百万円)を上回り、今期予想の営業利益(1億円)の約12%に当たる規模です。個人株主の比率が82.2%と高く、株主数が増えるほど費用が膨らむ設計であることは、継続性を考えるうえで押さえておきたい点です。

政策保有株式:純資産の約3割が白洋舍株

有報の「株式の保有状況」によると、上場株式の政策保有は6銘柄・8億15百万円(2026年2月末)です。そのうち1銘柄が突出しています。

銘柄株式数貸借対照表計上額(2026年2月末)前期末保有目的(有報の記載)相手の当社株式保有
白洋舍202,000株747,400千円568,428千円クリーニング業界内における関係強化無
西日本フィナンシャルホールディングス8,000株35,632千円15,744千円財務基盤の確保を踏まえた関係強化有
佐賀銀行6,000株31,080千円13,296千円同上有

白洋舍株は2026年2月末の純資産(23億03百万円)の約32%、1株当たりでは約142円(筆者の計算)に当たります。前期は1株も買い増しておらず、計上額の増加は株価の上昇によるものです。

この保有には両面があります。

  • 強気側:本業の利益が小さい年でも、純資産の一定部分を時価のある資産が支えている。株価に対して、この保有分だけで時価総額の約29%に当たる(筆者の計算、株価496円・自己株式控除後の株数)
  • 弱気側:純資産が白洋舍の株価に左右される。今期上半期だけで投資有価証券は51百万円減り、その他有価証券評価差額金は35百万円減っている。また、保有の経済合理性について会社は「定量的な保有効果については記載が困難」としている

賃貸等不動産の含み益

有報の注記では、賃貸等不動産の貸借対照表計上額365百万円に対し、期末の時価は596百万円です(2026年2月末)。差額は約2億31百万円の含み益(税効果考慮前)になります。営業外収益の受取家賃(前期65百万円)は、この不動産から生まれています。

大株主と流動性

株主持株比率(自己株式を除く発行済株式に対する比率、2026年2月末)
牧平年廣(代表取締役会長)30.3%
きょくとう社員持株会5.1%
西日本シティ銀行4.8%
十八親和銀行4.2%
永田光春2.8%
佐賀銀行2.7%
牧平京子2.5%

筆頭株主の会長が約3割を持ち、地元の銀行3行で約1割、社員持株会が5%を持つ構成です。大株主表には同じ姓の株主が2名いますが、両者の関係は本記事で読んだ開示には書かれていないため、持株比率は合算していません。

個人株主の比率は82.2%(株式数ベース)で、株主数は12,047名(単元株主)です。出来高は少なく、2026年9月の1日あたり出来高は600〜8,900株でした(Yahoo!ファイナンスの株価時系列、報道ベース)。売りたいときに思った値段で売れない可能性は、小型株を持つうえでの前提として押さえておきたい点です。

自己株式は290,234株(発行済株式の5.2%)で、今期の取得は単元未満株の買取(30株)だけです。


8. 株価の見方

株価に関する数字(2026年10月5日終値496円ベース)

指標値計算の前提
時価総額約26.1億円自己株式控除後5,260,996株(発行済ベースでは約27.5億円)
予想PER21.8倍会社予想EPS22.80円
PBR約1.07倍2026年8月末の1株当たり純資産465.0円(筆者の計算)
配当利回り2.2%年11円(予想)
優待を含む利回り(100株)4.2%(名目)優待1,000円相当を含む
年初来高値・安値534円(1月5日)・483円(3月18日)Yahoo!ファイナンス(報道ベース)

決算発表日の株価

決算は10月5日14時00分に発表されました。同日の値動きは、始値500円、高値530円、安値496円、終値496円、出来高51,400株です(Yahoo!ファイナンスの株価時系列、報道ベース)。9月の1日あたり出来高(600〜8,900株)の数倍に当たる売買がありました。発表後90分の取引が含まれますが、高値530円が発表の前に付いたのか後に付いたのかは、本記事では確認できていません。

開示書類から復元できる株価の履歴

時点株価出所
2024年2月末約523円有報の株価収益率23.1倍×1株当たり純利益22.62円
2025年2月末約492円有報の株価収益率31.2倍×15.78円。中期経営計画資料の「株価492円(2025年2月末)」とも一致
2026年2月末約501円有報の株価収益率48.9倍×10.24円
2026年2月期(2025年3月〜2026年2月)の最高・最低560円・411円有報
2026年10月5日496円Yahoo!ファイナンス(報道ベース)

株価は過去3年、500円前後でほとんど動いていません。有報の株主総利回り(5年前を100とした配当込みの指数)は108.9%で、比較指標の配当込みTOPIX(238.4%)を大きく下回っています。

強気の見方

  • PBRは約1倍で、資産の裏付けがある。純資産24億円のうち、白洋舍株(7億47百万円、2月末)や賃貸不動産(含み益約2億31百万円)など、本業の利益とは別に時価のある資産を持っている
  • 配当と優待を合わせた利回りが名目4%台。会社は赤字の期も配当を維持してきた
  • 販管費を削る余地を示した。上半期は売上が4.9%減る中で販管費を3.9%減らし、不採算店11店を閉めた。下半期も同じペースで費用を削れれば、赤字幅は過去より縮む可能性がある
  • 有利子負債を減らしている。上半期だけで約2億22百万円返済し、自己資本比率は56.2%まで上がった
  • 春の稼ぎは残っている。3〜5月の営業利益率は今期も20.1%あり、店と工場の網が稼ぐ力そのものを失ったわけではない(例えの「強み」)

弱気の見方

  • 通期予想は下半期の売上+12.3%を前提にしている。過去3期のどの下半期を当てはめても、通期の営業利益はゼロ前後かマイナスになる(§5の試算)。その場合、実質的なPERは予想の21.8倍よりかなり高くなる
  • 予想の修正は決算期末後になりやすい。直近2期とも期中に修正せず、期末の差異開示で大きく下回った。今期も上期予想を2割下回りながら修正開示は出ていない
  • 減損判定の前提(売上高の成長率)と実績が離れている。減損が計上されれば、純利益と純資産が減る(金額は開示されていない)
  • 需要の減少が構造的に続いている。会社自身がクリーニング需要は1993年をピークに減少と書き、今期の説明でもビジネスウェアのカジュアル化を挙げている(例えの弱み①)
  • 待つ9か月の費用は簡単には減らない。下半期の赤字は3年続けて広がった(例えの弱み②)
  • 配当性向が再び100%を超える可能性。配当方針には「利益確保が困難な場合は慎重に判断」とある
  • 流動性が低い。1日の出来高は数千株程度の日が多い
  • ガバナンス面の開示が続いている(§6)

9. 今後のカレンダーと見るべきKPI

時期イベント見るポイント
2026年10月14日半期報告書の提出予定日販管費の内訳、賃貸不動産・政策保有株式の状況
2026年11月10日中間配当(5.5円)の支払開始予定日-
2027年1月上旬〜中旬(例年)第3四半期決算(9〜11月)9〜11月の単独営業損益(過去3期は△75、△83、△113百万円)。通期予想の修正の有無
2027年2月24日(水)期末配当・株主優待の権利付き最終日基準日は2月末日(2月28日は日曜)
2027年4月中旬(例年)通期決算下半期の実際の営業損益(予想は△147百万円)、減損損失の有無、来期予想、配当
2027年5月下旬(例年)定時株主総会・有価証券報告書「重要な会計上の見積り」の書き方の変化、優待制度の継続、中計の扱い
2028年2月期中期経営計画の最終年度売上65億円・経常利益5億円の目標の扱い

見るべきKPI

  1. 9〜11月の単独営業損益:第3四半期累計から上半期を引いて自分で計算できます。前期は△113百万円
  2. 下半期の売上の前年比:予想は+12.3%。第3四半期の時点で9〜11月の売上が前年(1,132百万円)を上回っているか
  3. 販管費の前年比:上半期は△3.9%。下半期も削減が続くか
  4. 店舗数:上半期末470店。閉店と出店のバランス
  5. 白洋舍の株価:純資産の約3割を占める保有株の評価
  6. 通期予想の修正開示:期中に出るか、期末の差異開示になるか

10. 3行まとめ

  • きょくとうは「春の3か月で1年分を稼ぎ、残り9か月は待つ」会社で、14四半期を並べると黒字は毎年3〜5月だけ。上半期の利益が通期予想を超えるのは毎年のことで、上方修正のサインではない
  • 今期の春は持ち込みの減少で稼ぎが細り(減益の主因は売上の減少)、それでも据え置かれた通期予想は、下半期の売上+12.3%と赤字の半減を前提にしている
  • 配当11円と優待1,000円相当(100株)で名目利回りは4%台、PBRは約1倍。一方で、下半期の着地、減損判定の前提、配当性向の行方は、通期決算まで見えない

免責事項

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘・助言を目的としたものではありません。数値の出典は、株式会社きょくとうの決算短信(2024年2月期〜2027年2月期上半期の各四半期・通期)、適時開示(業績予想と実績の差異、特別利益・貸倒引当金繰入額の計上、課徴金に関する開示、代表取締役の異動等)、有価証券報告書(2026年5月26日提出)、中期経営計画資料(2025年4月15日公表)、会社IRサイトです。四半期ごとの損益、上半期・下半期の分割、営業利益の3分解、下半期の試算・感応度表、利回り、時価総額、優待費用の試算は筆者の計算・試算です。株価・出来高・年初来高値安値はYahoo!ファイナンスの表示に基づく報道ベースの数値です。当四半期について会社は決算補足説明資料を作成しておらず、決算説明会も開催していないため、本文の会社の説明は短信の記載に限られ、会社の追加説明や質疑応答は反映していません。中期経営計画資料の数値目標は資料の要約に基づき記載しており、資料の全ページを確認したものではありません。「重要な会計上の見積り」に関する表は会社の有価証券報告書の記載を筆者が整理したもので、減損損失の見込額や上限を示すものではありません。§6の時系列は会社の開示の並びであり、個々の出来事の因果関係について会社は開示しておらず、ガバナンス面に関する記述は筆者の推測を含みます。元取締役の氏名・経費精算の具体的な内容は本記事では扱っていません。2026年5月27日の定時株主総会の議決権行使結果(臨時報告書)と、2026年8月末時点の大株主の状況(半期報告書、10月14日提出予定)は確認していません。決算発表日の高値・出来高が発表の前後どちらで生じたかは確認できていません。

記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。

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