株式投資

【2026年10月発表・上半期決算】わらべや日洋HD(2918)売上は増えたのに営業利益は25%減。下方修正後の「下期20億円」はどれだけ現実的か?

本記事は2026年10月7日時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • わらべや日洋HDが「セブン-イレブンの台所を、店の外に建てて引き受けている会社」だという見方と、その強み・弱みが同じ1文から出てくる理由
  • 上半期(2026年3〜8月)の営業利益△13.2億円を、筆者の3分解(数量+2.4億円・粗利率△7.2億円・販管費△8.4億円)と、会社の要因分解(製造コスト△58.0億円を商品規格の見直し+47.6億円で約8割しか取り返せなかった)の2経路で読む
  • 14四半期を並べると、3年続けて「上期で稼いで下期は薄い」形になっていること。期初予想は下期の営業利益を前年比+55.7%と置いていたが、修正後は△5.6%に引き直された
  • 修正後予想が下期に置いているもの:国内の製造コスト増を規格見直しで約9割取り返す前提と、海外の+3.0億円の改善
  • 米オハイオ新工場(2023年の計画時は投資総額約110億円)が「稼働中止」になり、約7億円の特別損失を見込むこと。米国の数字は12月決算で、連結の「上半期」に入っているのは1〜6月であること
  • 純利益予想35億円に対して配当120円は据え置き。配当性向は約59.6%と、方針の40%を大きく上回る

1. 前提知識:わらべや日洋HDは何をしている会社か

1-1. 軸の例え:「セブン-イレブンの台所を、店の外に建てて引き受けている会社」

コンビニの棚に並ぶおにぎり、弁当、サンドイッチ、惣菜。あれは店の奥で作っているわけではありません。夜中から朝にかけて、店から離れた工場で炊き、詰め、包み、1日に何度もトラックで運び込まれています。わらべや日洋HDは、その「店の外にある台所」を何十年も引き受けてきた会社です。

取引の始まりは1978年。有価証券報告書の「事業等のリスク」には、売上の大半がセブン-イレブン・ジャパンの加盟店・直営店向けであることが、実数で書かれています。

決算期セブン-イレブン・ジャパン加盟店・直営店への売上連結売上高比率
2023年2月期1,549億円1,944億円79.7%
2024年2月期1,607億円2,070億円77.6%
2025年2月期1,670億円2,224億円75.1%
2026年2月期1,774億円2,338億円75.9%

この表のポイントは、売上の4分の3が1社向けだということです。しかもセブン-イレブン・ジャパンは同社の筆頭株主(2026年2月末時点で12.46%)でもあります。客であり、株主でもある関係です。

この例えで、強みと弱みが同じ1文から出てきます。

  • 強み:全国1万8千店を超える棚の「台所」を任されている。需要の土台は極めて厚い(国内の納品店舗数は2026年8月末で18,457店)
  • 弱み①(値段と献立):何をいくらで売るかは店側と一緒に決める。原材料が上がっても、すぐに値札へ乗せられるとは限らない。会社が「商品規格の見直し」と呼んでいるのは、この調整のことです
  • 弱み②(台所の場所):台所をどこに建てるかは、店側の供給網の都合で変わり得る。そして建てた工場の固定費は自分持ち

今回の上半期決算は、弱み①と弱み②が同時に数字に出た決算です。①は国内の営業減益として、②は米国オハイオ新工場の稼働中止として現れました。

1-2. 事業構造

セグメント中身2026年2月期 売上(外部)2026年2月期 セグメント利益利益率
食品関連事業米飯・調理パン・調理麺・惣菜・和菓子等の製造販売(日本・米国)2,099億円70.0億円3.3%
食材関連事業食品用材料の仕入・加工・販売111億円4.8億円4.3%
物流関連事業食品関係の配送126億円9.3億円7.4%
調整額(全社費用等)——△9.7億円—
連結—2,338億円74.4億円3.2%

利益率は外部顧客への売上で割っています。物流はグループ内の配送(内部売上68億円)が大きく、内部売上を含む「計」(195億円)で割ると4.8%です。食品関連事業が売上も利益も9割を占める、という構造をまず押さえておけば十分です。

米国事業は食品関連事業の中に入っています。ハワイ(WARABEYA U.S.A.)と、テキサス・バージニア(WARABEYA NORTH AMERICA、当社の持分は間接70%)で、米国のセブン-イレブン(7-Eleven, Inc.)向けに製造しています。2026年2月期の米国売上は268億円で、連結の約11%です。

用語メモ:決算日のずれ 米国の連結子会社3社(WARABEYA U.S.A.、WPM FOODS、WARABEYA NORTH AMERICA)は12月決算で、仮決算を組まずに12月末の財務諸表をそのまま連結しています(有価証券報告書「連結子会社の事業年度等に関する事項」)。そのため、連結の「上半期(2026年3〜8月)」に入っている米国の数字は、実際には2026年1〜6月の数字です。説明資料の米国の表も「2026年度 1Q・2Q」と暦年で書かれています。

なお株主優待はありません。2022年1月11日に「株主優待制度の廃止」を開示しており(2022年2月末の株主への贈呈が最後)、有価証券報告書の「株主に対する特典」欄も「該当事項はありません」です。両者の内容は一致しています。

1-3. 業績の推移(5期)

説明資料の巻末「連結業績・セグメント情報等 通期」から転記しました。

決算期売上高営業利益営業利益率純利益EPSROE年間配当配当性向
2022年2月期1,923億円44.4億円2.3%32.6億円186.98円7.1%50円26.7%
2023年2月期1,944億円49.9億円2.6%28.1億円160.94円5.7%65円40.4%
2024年2月期2,070億円63.8億円3.1%42.7億円244.71円8.2%90円36.8%
2025年2月期2,225億円45.2億円2.0%26.8億円153.41円4.9%90円58.7%
2026年2月期2,338億円74.4億円3.2%53.4億円307.34円9.2%120円39.0%
2027年2月期(修正予想)2,380億円60.0億円2.5%35.0億円201.34円5.8%(会社)120円(予)59.6%

この表のポイントは2つです。売上は5年で約2割伸びた一方、営業利益率は2〜3%台を行ったり来たりしていること。そして利益が落ちた年(2025年2月期)も配当は90円を据え置き、配当性向が58.7%まで上がったことです。今期も同じ形になろうとしています(§8)。

1-4. 会社予想の達成履歴:3年続けて「10月に動かす」会社

わらべや日洋HDは、期初に上半期予想と通期予想を出し、上半期決算(10月)で通期予想を修正するのが3年続いています。修正の向きは下・上・下です。

決算期期初の通期営業利益上半期予想上半期実績(達成率)修正の開示日修正後の通期営業利益通期実績期初比修正後比
2025年2月期45.0億円42.0億円42.6億円(101.3%)2024年10月8日(下方)36.0億円45.2億円100.3%125.4%
2026年2月期60.0億円38.0億円52.9億円(139.2%)2025年10月7日(上方)73.0億円74.4億円124.0%101.9%
2027年2月期77.0億円43.5億円39.7億円(91.2%)2026年10月7日(下方)60.0億円———

ここで見るべきは、「予想が下期にいくら置いていたか」と「実際の下期」です(〈通期予想−上半期実績〉で計算した筆者の差し引き)。

決算期期初予想が置いた下期10月の修正後予想が置いた下期実際の下期修正後に対する達成率
2025年2月期3.0億円△6.6億円2.6億円赤字予想に対し黒字で着地
2026年2月期22.0億円20.1億円21.5億円107.0%
2027年2月期33.5億円20.3億円——

この表のポイントは2つです。

1つ目は、過去2年とも10月の修正後予想が置いた下期を、実績が上回って着地していることです。2025年2月期は下期の赤字(△6.6億円)を見込んでいたのに2.6億円の黒字、2026年2月期は20.1億円の想定に対し21.5億円でした。

2つ目は、今期の期初予想が置いていた下期33.5億円が、過去の下期(2.6億円、21.5億円)に比べて突出して大きかったことです。前年下期比で+55.7%。今回の修正で20.3億円(前年下期比△5.6%)に引き直されました。つまり今回の下方修正は「上半期が悪かった」以上に、「期初に置いていた下期の大きな回復を取り下げた」修正だと読めます。§5で中身を見ます。

1-5. 中期経営計画との距離

2026年5月27日の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(アップデート)」で、会社は2028年2月期の目標として売上高2,500億円、営業利益100億円、ROE10%以上を示しています。

項目2028年2月期目標2027年2月期 期初予想2027年2月期 修正予想修正予想から目標への必要な伸び
売上高2,500億円2,410億円2,380億円+5.0%
営業利益100億円77億円60億円+66.7%
ROE10%以上7.9%5.8%—

営業利益は1年で+66.7%が必要な位置になりました。今回の決算短信・修正開示・説明資料のいずれも、この目標を見直すかどうかには触れていません。


2. 決算ハイライト

2-1. 損益(2026年3〜8月、2026年10月7日15時30分発表)

項目前年上半期今期上半期増減率期初の上半期予想予想比
売上高1,196億34百万円1,208億53百万円+1.0%1,215億円99.5%
売上総利益235億01百万円230億16百万円△2.1%——
販管費182億12百万円190億47百万円+4.6%——
営業利益52億89百万円39億69百万円△25.0%43億50百万円91.2%
経常利益52億37百万円42億03百万円△19.7%43億50百万円96.6%
親会社株主に帰属する中間純利益40億00百万円26億38百万円△34.1%27億円97.7%
1株当たり中間純利益229.53円151.96円△33.8%155.93円—

売上は前年並みで、利益だけが2〜3割減っています。経常利益の減益率(△19.7%)が営業利益(△25.0%)より小さいのは、前年にあった工場閉鎖費用(2億12百万円)・固定資産除却損(1億21百万円)が営業外費用から消え、札幌工場の操業休止関連費用(1億77百万円)が新たに入った差し引きで、営業外費用が2億52百万円減ったためです。

純利益の減益率がさらに大きい(△34.1%)のは、前年に特別利益(資産除去債務戻入益1億16百万円)があったこと、今期の特別損失(減損1億87百万円)、そして税負担率の上昇です。税金等調整前中間純利益に対する法人税等の比率は、前年上半期21.7%から今期31.7%に上がりました。

2-2. セグメント

セグメント前年上半期の利益今期上半期の利益増減会社の説明
食品関連事業49億50百万円37億29百万円△12億20百万円(△24.7%)伊勢崎工場の収支は改善したが、原材料価格・労働コストの上昇、札幌工場操業休止
食材関連事業2億89百万円1億47百万円△1億42百万円(△49.2%)仕入価格の上昇
物流関連事業5億42百万円5億38百万円△4百万円(△0.7%)ほぼ前年並み
調整額△4億92百万円△4億46百万円+46百万円—
連結営業利益52億89百万円39億69百万円△13億20百万円—

減益のほぼ全額が食品関連事業です。食品関連事業の利益率は4.6%から3.4%に下がりました。

国内の製品別売上(説明資料の巻末)を見ると、売上の中身は入れ替わりながら合計は+1.6%でした。

製品前年上半期今期上半期増減率
米飯625億91百万円624億52百万円△0.2%
常温弁当81億66百万円65億08百万円△20.3%
チルド弁当164億03百万円174億97百万円+6.7%
おにぎり323億41百万円326億75百万円+1.0%
調理パン72億67百万円66億81百万円△8.1%
惣菜・調理麺133億60百万円153億03百万円+14.5%
和菓子44億99百万円50億21百万円+11.6%
国内合計(寿司・その他含む)935億93百万円951億22百万円+1.6%

常温弁当と調理パンが減り、チルド弁当・惣菜・和菓子が増えています。調理パンの減少には、札幌工場(調理パンの拠点の1つ。5月25日から暫定の調理パン専用拠点「札幌西工場」で一部製造を再開)の操業停止が含まれている可能性がありますが、会社は製品別の減少要因を説明していないため、ここは筆者の推測にとどめます。

2-3. 財政状態とキャッシュ・フロー

項目2026年2月末2026年8月末増減
現金及び預金103億78百万円67億37百万円△36億41百万円
売掛金192億44百万円233億44百万円+41億円
1年内返済予定の長期借入金34億30百万円90億13百万円+55億83百万円
長期借入金220億64百万円154億56百万円△66億08百万円
純資産621億31百万円647億20百万円+25億89百万円
自己資本比率45.1%47.0%+1.9pt

上半期の営業CFは50億76百万円(前年同期86億28百万円)、投資CFは△53億94百万円(うち有形固定資産の取得△48億22百万円)、財務CFは△34億56百万円でした。現金が36億円減ったのは、営業CFで設備投資をほぼ賄ったうえで、借入返済・リース返済・配当の合計約35億円を手元資金から払ったためです。

売掛金の増加(+41億円)は、前年上半期にも売上債権が65億円増えており、2月末から8月末にかけて売掛金が膨らむのは前年と同じ形です。今回の短信は増加理由を説明していません。

目を引くのは1年内返済予定の長期借入金が90億円まで増えたことです。有価証券報告書の借入金等明細表では、2026年2月末時点で「1年超2年以内」に返済予定の長期借入金が90億90百万円ありました。それが1年以内の区分に移ってきた形です。借り換えるのか、手元資金と営業CFで返すのかは、次の四半期以降の財務CFで分かります。長期借入金の平均利率は2.50%(2026年2月末)でした。

2-4. 修正の原文

会社は修正理由を次のように書いています(原文)。

売上高につきましては、主に食材関連事業において想定を下回る見込みとなりました。 利益面につきましては、主に国内食品関連事業において、長期化する中東情勢の影響により、包装材料価格やエネルギーコストが当初の想定を上回ると見込んでおり、営業利益および経常利益は前回公表した業績予想を下回る見込みとなりました。 また、親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の影響に加え、米国中西部エリアにおける新工場(オハイオ州コロンバス市)の稼働中止に係る特別損失を計上する見込みであることから、業績予想を修正いたします。

通期予想期初(2026年4月8日)修正(2026年10月7日)増減率前期実績
売上高2,410億円2,380億円△1.2%2,338億33百万円
営業利益77億円60億円△22.1%74億41百万円
経常利益76億50百万円60億50百万円△20.9%74億14百万円
親会社株主に帰属する当期純利益48億円35億円△27.1%53億39百万円
1株当たり当期純利益277.20円201.34円—307.34円

用語メモ:修正後予想に対する「進捗率」 修正後の通期営業利益60億円に対し、上半期実績39億69百万円の進捗率は66.1%です。前期の上半期進捗率(実績74.4億円に対し71.1%)より低く見えますが、予想を下げた後の進捗率は分母が小さくなった分だけ高く出ます。期初予想77億円に対しては51.5%でした。進捗率は「何に対して」を必ず確認してください。


3. 深掘り①:14四半期を並べると見える「売上が増えても利益が減る」仕組み

ここからの3章は、「売上が増えているのに、なぜ利益が減るのか。そして下期の予想はどれだけ現実的か」という1つの問いを、3段階に分けて読みます。まずは過去の物差しを作ります。

3-1. 四半期の差し引き

わらべや日洋HDの短信は累計で開示されるので、3か月ごとの数字は引き算で出すしかありません。2024年2月期の第1四半期から今期の第2四半期まで、14四半期を筆者が差し引きました(各期の4四半期合計=通期開示値を確認済み)。

決算期四半期(月)売上高粗利率販管費率営業利益営業利益率
2024年2月期1Q(3〜5月)497億86百万円19.6%14.8%23億69百万円4.8%
2024年2月期2Q(6〜8月)532億25百万円18.6%14.6%21億22百万円4.0%
2024年2月期3Q(9〜11月)501億73百万円17.3%15.4%9億73百万円1.9%
2024年2月期4Q(12〜2月)538億25百万円15.9%14.2%9億16百万円1.7%
2025年2月期1Q547億20百万円18.9%14.8%22億19百万円4.1%
2025年2月期2Q589億16百万円18.2%14.8%20億37百万円3.5%
2025年2月期3Q556億47百万円16.9%14.9%10億95百万円2.0%
2025年2月期4Q531億84百万円15.1%16.7%△8億36百万円△1.6%
2026年2月期1Q575億01百万円19.3%15.4%22億47百万円3.9%
2026年2月期2Q621億33百万円19.9%15.0%30億42百万円4.9%
2026年2月期3Q580億97百万円19.5%15.6%22億86百万円3.9%
2026年2月期4Q561億02百万円16.2%16.5%△1億34百万円△0.2%
2027年2月期1Q583億54百万円18.8%16.0%16億53百万円2.8%
2027年2月期2Q624億99百万円19.2%15.5%23億16百万円3.7%

(筆者の差し引き。累計の百万円未満切捨て開示から引いているため、各四半期には±1百万円程度の幅があります。米国子会社分は2か月前にずれた期間が入っています。例:3〜5月の四半期には米国の1〜3月)

この表のポイントは3つです。

1つ目。12〜2月(第4四半期)は3年続けて粗利率が最も低く(15.9%・15.1%・16.2%)、営業利益率も最も低い。直近2年は営業赤字でした。3年とも同じ形なので、これは季節性と言ってよい形です。冬場の需要減と、年末年始・決算期末前の費用が重なる時期だと考えられます(理由は会社が説明していないので筆者の推測)。

2つ目。上半期の営業利益が下半期を上回る形も3年続いています。下半期の営業利益が通期に占める割合は、29.6%(2024年2月期)、5.7%(2025年2月期)、28.9%(2026年2月期)でした。わらべや日洋HDは「上期で稼いで、下期は薄い」会社です。上半期の減益は、通期の利益の大半が出る時期の減益だということになります。

3つ目。今期の第1四半期(△26.4%)と第2四半期(△23.9%)は、どちらも前年同期から2割以上の減益です。一過性の1四半期ではなく、半年を通して同じ力が働いていました。

3-2. 営業利益の減少を3つに分ける

売上が+1.0%増えているのに、営業利益が△13億20百万円減ったのはなぜか。筆者の分解は次のとおりです。

要因計算金額
数量効果売上の増加12億19百万円 × 前年の粗利率19.64%+2億39百万円
率効果今期売上1,208億53百万円 × 粗利率の差(19.05%−19.64%)△7億24百万円
販管費の増加190億47百万円−182億12百万円△8億35百万円
合計—△13億20百万円(実際の増減と一致)

(筆者の試算。各項目は四捨五入)

この表のポイントは、売上が増えたことによる増益(+2.4億円)を、粗利率の低下(△7.2億円)と販管費の増加(△8.4億円)がそれぞれ単独で上回っていることです。粗利率は0.6pt下がり、販管費率は15.2%から15.8%へ0.5pt上がりました。

粗利率が0.6pt下がっただけで7億円消えるのは、売上が1,200億円と大きく、そこから利益として残るのが3〜4%しかないためです。台所を引き受ける商売は、売上の大半が材料費・人件費・光熱費で出ていき、残る取り分が薄い。その薄い取り分の、さらに一部が削られると、利益は大きく割合で減ります。

四半期ごとに分けると、第1四半期は数量+1.7億・率△2.9億・販管△4.7億、第2四半期は数量+0.7億・率△4.4億・販管△3.6億円でした(筆者の試算)。第2四半期にかけて、販管費よりも粗利率のほうが重くなっています。


4. 深掘り②:会社の要因分解で読む「どれだけ取り返せたか」

§3の3分解は「どの科目で減ったか」です。次は会社が説明資料に載せた要因分解で、「何が上がって、何で取り返したか」を見ます。前章の率効果と販管費の中身を、費目別に開くことになります。

4-1. 上半期:製造コスト△58.0億円に対し、取り返したのは+47.6億円

要因1Q(3〜5月)2Q(6〜8月)上半期
前年の営業利益22.4億円30.4億円52.8億円
原材料価格△23.6△24.4△48.0
人件費△3.4△3.3△6.7
水道光熱費/物流費△2.2△1.1△3.3
商品規格の見直し/増収+22.8+24.8+47.6
伊勢崎工場+5.8+1.0+6.8
工場再編△0.5△0.5△1.0
札幌工場△1.1△1.0△2.1
システム△0.7△1.0△1.7
メンテナンス費用△2.6+2.1△0.5
その他—△0.1△0.1
海外△0.5△2.7△3.2
グループ関連事業等+0.0△1.0△1.0
今期の営業利益16.5億円23.1億円39.6億円

(単位:億円。説明資料4ページの表から転記し、ページを描画して項目の並びを目視で確認しました。各列の合計は1Q 16.4、2Q 23.2、上半期39.6で、表示値との差は四捨五入の範囲です)

この表のポイントは2つです。

1つ目。原材料・人件費・光熱費物流費の「製造コスト増加」は計△58.0億円で、うち原材料が△48.0億円と8割を占めます。これに対して「商品規格の見直し/増収」は+47.6億円。**上がったコストのうち、規格見直しで取り返せたのは約82%**でした。残りの約10億円が、国内の減益(△9.0億円)のほぼ全額に当たります。会社も説明資料の見出しで「商品規格の見直しを上回る製造コスト増加(△10.4億円)」と書いています。

2つ目。海外が△3.2億円、うち第2四半期に△2.7億円が集中しています。連結の第2四半期に入っている米国の数字は2026年4〜6月です。米国売上はドル建てで上半期(1〜6月)△9.0%、4〜6月だけでは△11.5%(筆者の差し引き)でした。納品店舗数も2,193店(前年6月末)から2,107店に減っています。

用語メモ:「商品規格の見直し」とは 中食メーカーは、原材料が上がったときに単純に値上げするだけでなく、内容量・具材・容器などの仕様(規格)を見直した新商品として納品価格を改めることがあります。会社はこれを「商品規格の見直し」と呼び、増収効果と一緒に要因分解の1項目にしています。どの商品をいくら見直したかは開示されていません。

4-2. 「規格見直しで取り返せる割合」は、上期82%→下期予想90%

同じ要因分解は、修正後の通期予想についても載っています(説明資料10ページ)。

要因上半期実績下半期予想通期予想
前年の営業利益52.821.574.4
製造コスト増加(原材料・人件費・光熱費物流費)△58.0△60.6△118.6
商品規格の見直し/増収+47.6+54.5+102.1
取り返した割合82.1%89.9%86.1%
伊勢崎工場+6.8+1.0+7.8
工場再編・札幌・システム・メンテナンス・その他△5.4△0.8△6.2
国内食品の小計△9.0△5.9△15.0
海外△3.2+3.0△0.2
グループ関連事業等△1.0+1.7+0.7
今期の営業利益39.620.360.0

(単位:億円。説明資料の図から筆者が転記・集計。「取り返した割合」は規格見直し÷製造コスト増加で筆者が計算。各列の合計は表示値と一致)

この表のポイントは、修正後予想が下期に何を置いているかが3つに分けて見えることです。

  1. 製造コストは下期も上期並み(△60.6億円)に上がる前提。中東情勢による包材・エネルギーの上振れを新たに織り込んだ結果です
  2. それを規格見直しで約9割取り返す前提。上期の82%から8pt上がります
  3. 海外が上期の△3.2億円から、下期は+3.0億円へ反転する前提。グループ関連事業等も+1.7億円です

国内食品の下期の減益幅(△5.9億円)は上期(△9.0億円)より小さく置かれていますが、そのぶん規格見直しの比率が上がる前提に乗っています。期初予想との差(77.0億→60.0億、△17.0億円)の内訳は、製造コスト△12.9億円(伊勢崎工場の△2.0億円を含む)、規格見直し/売上高△1.5億円、メンテナンス費用△1.4億円、その他+0.3億円、海外△1.2億円(減収影響)、グループ関連事業等△0.3億円でした。

ここは両方の読み方ができます。

  • 強気の読み:規格見直しは店側との協議を経て時間差で効いてくるので、上期よりも下期の比率が上がるのは自然。前期(2026年2月期)の通期では、増収と規格見直しで原材料高を吸収し、営業利益を64.8%増やした実績もある
  • 弱気の読み:比率が82%から90%に上がる根拠は開示されていない。原材料・包材の上昇がさらに続けば、同じ取り返し額でも比率は下がる。値段を決める相手が売上の4分の3を占める1社である以上、比率はこちらだけでは決められない

軸の例えに戻ると、ここが弱み①です。台所の材料費は自分で払い、値札は店と相談して決める。上期はその相談が材料費の上がり方に約2割追いつかず、下期の予想は「追いつく」ほうに賭けています。


5. 深掘り③:下期20.3億円は、過去の下期と比べてどの位置か

前章で下期予想の「中身」を見ました。最後に、その「大きさ」を過去と比べます。§1-4の達成履歴と、§3の14四半期をつなげる章です。

5-1. 下期の予想を前年と並べる

項目前年下期(実績)期初予想が置いた下期修正後予想が置く下期修正後の前年比
売上高1,141億99百万円1,195億円1,171億47百万円+2.6%
営業利益21億52百万円33億50百万円20億31百万円△5.6%
営業利益率1.88%2.80%1.73%△0.15pt
経常利益21億77百万円33億円18億47百万円△15.2%
純利益13億39百万円21億円8億62百万円△35.6%

(〈通期予想−上半期実績〉で筆者が計算。期初予想の下期は〈期初通期予想−期初上半期予想〉)

この表のポイントは、修正後の下期営業利益率1.73%が、前年下期1.88%を少し下回る水準に置かれたことです。過去3年の下期の営業利益率は1.82%(2024年2月期)、0.24%(2025年2月期)、1.88%(2026年2月期)で、期初予想の2.80%はそのどれも上回る水準を前提にしていました。

修正後の下期20.3億円を四半期に割った予想は開示されていません。前年の形(9〜11月22.9億円、12〜2月△1.3億円)を当てはめると、9〜11月に前年並みを稼ぎ、12〜2月の赤字を前年並みに抑えれば届く水準です。逆に、12〜2月に2025年2月期のような赤字(△8.4億円)が出れば届きません。

5-2. 下期の経常利益と純利益は、営業利益より大きく削られている

下期の営業利益が△5.6%なのに、経常利益は△15.2%、純利益は△35.6%と置かれています。

  • 経常利益:上期の営業外損益は+2.3億円の黒字でしたが、修正後の通期予想(営業60.0億円・経常60.5億円)だと、年間の営業外損益は+0.5億円。下期の営業外は約△1.8億円の赤字を置いていることになります。札幌工場の操業休止関連費用や村山第二工場(2027年2月末閉鎖予定)の閉鎖関連費用が営業外に出る会社なので、それを置いた可能性がありますが、会社は内訳を示していません
  • 純利益:オハイオ新工場の稼働中止に伴う約7億円の特別損失が下期に入ります

純利益予想35億円を逆算するとどうなるか。上期の特別損失(1億87百万円)とオハイオの約7億円を足した約8.9億円を年間の特別損失とし、非支配株主に帰属する利益の置き方を変えた筆者の試算です。

非支配株主に帰属する利益(年間)税金等調整前利益必要な税金税負担率
051.6億円16.6億円32.2%
1億円51.6億円15.6億円30.3%
2億円51.6億円14.6億円28.3%
3億円51.6億円13.6億円26.4%

(筆者の試算。特別損失は上期実績+オハイオ約7億円のみとし、それ以外の特別損益はゼロと仮定)

上期の税負担率は31.7%、前期通期は22.5%でした。純利益予想は、年間の税負担率をおおむね上期並みから少し低い水準に置いていると読めます。

ここで1点、注意があります。オハイオ新工場を運営する予定だったのは、当社の持分が間接70%のWARABEYA NORTH AMERICA(2023年3月28日の開示で、新工場を新設する主体として名前が挙がっています)です。仮に損失がこの子会社で計上されると、その30%は非支配株主に帰属し、親会社株主に帰属する純利益への影響は約7億円より小さくなる可能性があります。ただし、損失をどの会社で計上するか、税効果を認識できるかは開示されていません。上の表で非支配株主の行を複数置いたのはそのためです。

5-3. 3つの深掘りをつなぐ

ここまでの3章を1本の線にすると、こうなります。

  • わらべや日洋HDは3年続けて「上期で稼ぎ、下期は薄い」会社で、今期は通期の稼ぎの中心である上半期が2割以上の減益になった(§3)
  • その減益は、材料費の上昇を店との規格見直しで約8割しか取り返せなかったことで説明できる(§4)
  • 修正後予想は、下期に取り返す割合が約9割に上がることと、海外の反転を置いたうえで、下期の営業利益を前年並み(△5.6%)に置いた。期初予想にあった「下期の大きな回復」は取り下げられた(§5)

過去2年は、10月の修正後予想が置いた下期を実績が上回りました。今回も同じになるかどうかは、11月以降の規格見直しの効き方と、米国の数字(7〜12月分)で決まります。


6. 米国事業:オハイオ新工場の「稼働中止」まで

6-1. 計画から中止までの時系列

日付開示稼働時期理由(会社の説明)
2023年3月28日米国中西部エリアへの事業進出2024年12月7-Eleven, Inc.の中西部でのフレッシュフード強化の事業パートナーに選出
2024年1月11日開示事項の変更2025年9月商品供給計画の変更に伴う建築工事・導入設備の見直し
2025年4月10日開示事項の変更2026年夏併設される配送センターの建設工事の遅れ
2026年4月8日開示事項の変更未定7-Eleven, Inc.による北米のサプライチェーン見直しの検討
2026年10月7日稼働中止の決定中止需給状況を踏まえ、既存工場の有効活用と生産性改善を優先

2023年の当初計画では、オハイオ州周辺に延床約13,000㎡の工場を建て、投資総額は約81.5百万ドル(約110億円)、土地・建物は賃借、納品先は約2,500店舗(うちSpeedway約1,000店舗)とされていました。

今回の開示によると、保有資産は売却に向けて交渉中で、2027年2月期に約7億円の特別損失を見込みます。会社は「北米市場を重要な成長市場と位置付ける」姿勢は変えないとしています。説明資料では、新工場で予定していた生産をバージニア工場(2023年9月稼働)に集約し、冷凍商品で北米全域に供給する体制に切り替える方針が示されました。冷凍の調理パン(Ookii-Bun)は2027年春に約10,000店への本格展開を予定しています。

6-2. 軸の例えで読む

ここが弱み②です。台所をどこに建てるかは、店側の供給網の都合で変わる。オハイオの工場は、取引先から「パートナー」に選ばれて建て始め、取引先の供給網の見直しで止まりました。

ただし、損失の規模を計画額と比べると見え方が変わります。約7億円は、当初の投資総額約110億円の6%程度です。土地・建物を賃借にしていたことが、損失を小さくとどめた可能性があります(筆者の推測。保有資産の帳簿価額と売却見込額は開示されていません)。

一方、米国では2025年2月期にバージニア工場の遊休の機械装置で5億09百万円の減損を計上した経緯もあります。米国で「建てた台所が想定どおりに使われない」ことが、2年で2回起きたことは事実として記しておきます。

用語メモ:海外の「+3.0億円」はどの期間か 修正後予想の下期に置かれた海外+3.0億円は、連結の下期(2026年9月〜2027年2月)に入る米国子会社の2026年7〜12月の数字です。上期(米国の1〜6月)は△3.2億円でした。オハイオ新工場の立ち上げ準備に関わる費用が中止で止まることが反転の一因になり得ますが、会社は内訳を説明していません(筆者の推測)。


7. 札幌工場の火災

2026年2月16日夕方、札幌工場で火災が発生しました。会社の第3報(2026年5月27日)によると、原因はガス設備の操作誤りと設備不良が複合的に起因したガス漏洩で、製造機械の種火に引火したとみています。工場は操業を停止したままで、再開の目途は立っていません。釧路工場への製造移管と同業他社の協力で供給を続け、5月25日からは暫定の調理パン専用拠点(札幌西工場)で一部製造を再開しました。

数字への出方は3か所です。

期区分金額
2026年2月期特別損失(火災損失:固定資産328・棚卸資産40・その他関連費用197)5億66百万円
2027年2月期上半期営業利益への影響(説明資料の要因分解「札幌工場」)△2.1億円
2027年2月期上半期営業外費用(操業休止関連費用)1億77百万円

火災保険は付保されていますが、受取額は「未確定」のままです。保険金が確定すれば利益側に戻る可能性がありますが、金額も時期も開示されていないため、本記事では試算しません。


8. 資本政策・株主還元

8-1. 配当:120円を据え置き、配当性向は約60%に

決算期年間配当配当性向(連結)配当方針(会社の文言)
2022年2月期50円26.7%連結配当性向25%をめど(2022年1月時点)
2023年2月期65円40.4%—
2024年2月期90円36.8%—
2025年2月期90円58.7%連結配当性向40%をめど
2026年2月期120円39.0%連結配当性向40%をめど
2027年2月期(予想)120円(中間60円・期末60円)59.6%連結配当性向40%をめど

方針の「25%」から「40%」への切り替え時期は、本記事で確認した開示からは特定できていません(2022年1月の開示では25%、2025年10月の開示では40%)。

この表のポイントは、利益が落ちた年に配当を下げていないことです。2025年2月期は利益がほぼ4割減った年でしたが、90円を据え置いて配当性向が58.7%に上がりました。今期も修正後のEPS201.34円に対して120円を維持し、配当性向は59.6%です。方針どおり40%なら1株配当は約80.5円になる計算ですが、修正開示は「今回の業績予想の修正に伴う配当予想の修正はございません」と明記しています。

両方の読み方ができます。

  • 強気:「安定的・継続的に」の文言どおり、減益の年も配当を守ってきた実績が2年分ある。中間配当60円はすでに決定済み(支払開始は11月13日)
  • 弱気:配当性向40%の方針から見ると、120円は「利益が戻る」ことを前提にした水準。下期が予想を下回れば配当性向はさらに上がる。期末配当の決定機関は株主総会で、期末の60円は予想です

DOE(自己資本配当率)を直近(2026年8月末)の自己資本で計算すると約3.4%です(会社はDOEを方針に掲げていません)。

8-2. 配当の権利日

項目日付
期末配当の基準日2027年2月28日(日)
基準日直前の営業日2027年2月26日(金)
権利付き最終日(T+2)2027年2月24日(水)

2月28日が日曜日なので、権利付き最終日は直前の営業日(2月26日)から2営業日さかのぼった2月24日です(2月23日は祝日ですが、計算には影響しません)。

8-3. 株数・自己株式

発行済株式は17,625,660株で、5年間変わっていません。2026年8月末の自己株式は218,478株で、そのほとんどは役員報酬BIP信託(業績連動の株式報酬)が保有する株式です。BIP信託分は会計上は自己株式ですが、配当は支払われます。新株予約権などの潜在株式はなく、自己株式の取得も行っていません。株式分割・併合もないので、過去との比較に調整は不要です。

8-4. 大株主と持ち合い

2026年2月末時点の上位株主(自己株式を除く発行済株式に対する比率)です。

株主比率
株式会社セブン-イレブン・ジャパン12.46%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口)10.66%
株式会社大友アセットマネジメント7.66%
LEADING GUIDE HONG KONG LIMITED7.38%
大友 啓行3.84%
わらべや日洋ホールディングス共栄会3.27%

筆頭株主は最大の販売先でもあるセブン-イレブン・ジャパンです。関連当事者情報には、同社への製品販売1,774億57百万円(取引価格は「市場価格を参考に決定」)が載っています。逆方向では、わらべや日洋HDがセブン&アイ・ホールディングスの株式317,515株(貸借対照表計上額6億97百万円)を政策保有しており、取引先持株会を通じて買い増しています。有価証券報告書の「当社の株式の保有の有無」は「有」で、相互保有の関係です。

なお大友アセットマネジメントと大友啓行氏(2022年1月時点の代表取締役社長)の関係は、本記事で確認した開示には記載がないため、持株比率は合算していません。LEADING GUIDE HONG KONG LIMITEDの保有目的等も、本記事では確認していません。

8-5. 財務の余力

有利子負債は2026年8月末で約349億円(説明資料)、現預金は67億円です。会社は「有利子負債の活用により、自己資本を肥大化させず資本効率の維持・向上」を掲げ、D/Eレシオは2026年2月期で0.6倍でした。会社の開示によると、2024年2月期〜2026年2月期の3年間で、バージニア・入間・伊勢崎の新工場などに成長投資392億円を投じ、同じ期間に外部から177億円を調達しています。

自己資本比率47.0%と財務の健全性そのものに問題があるわけではありませんが、§2-3で見た1年以内返済の長期借入金90億円は、金利が上がる局面での借り換えになる点で弱気側に置いておきます。


9. 株価の見方

9-1. 株価の基準点

項目値
2026年10月7日終値(決算発表前)2,613円
同日夜間PTS(20時29分、報道ベース)2,548.8円(終値比△2.46%)
年初来高値3,820円(2026年2月13日)
年初来安値2,534円(2026年6月23日)
時価総額(発行済株式ベース、終値)約460億円
時価総額(自己株式控除後、終値)約455億円

決算と修正は10月7日15時30分(取引終了と同時刻)の発表なので、同日の終値2,613円には反応が含まれていません。夜間PTSの値は取引量が小さく、翌営業日の値動きと一致するとは限りません。

年初来高値3,820円は、札幌工場の火災(2月16日夕方)の直前、2月13日に付けています。その後、期初予想を出した4月8日(15時30分発表)の翌営業日に終値2,930円(前日比△7.7%、出来高は前日の約2.7倍の749,800株)と下げ、6月23日に年初来安値を付けました。

9-2. 指標(10月7日終値2,613円ベース)

指標値前提
予想PER(修正後)約13.0倍修正後EPS201.34円
予想PER(修正前)約9.4倍修正前EPS277.20円。株価情報サイトの表示は公開時点でこちらのまま残っていることがあります
PBR約0.74倍2026年8月末の自己資本÷自己株式控除後の株数=約3,550円
配当利回り約4.59%年間120円(予想)
ROE(修正予想)5.8%(会社)中計目標は2028年2月期に10%以上

会社は2026年5月の資本コストの開示で、株主資本コストを「6〜7%程度」と置き、2026年2月期末にPBRが1倍になったものの「足元は1倍を下回る水準」と書いています。修正後予想のROE5.8%は、会社自身が置いた株主資本コストを下回ります。

9-3. 強気の材料

  • 過去2年、10月の修正後予想が置いた下期を実績が上回った(2025年2月期は赤字予想に対し黒字、2026年2月期は107.0%)
  • 修正後の下期予想は前年下期並み(営業利益△5.6%)で、期初のような大きな回復は置いていない
  • 規格見直しで上がったコストの8〜9割を取り返す仕組み自体は機能している。2026年2月期には原材料高の中で営業利益を64.8%伸ばした
  • 国内の製品構成は、チルド弁当・惣菜・和菓子に移りつつある
  • 120円配当を2年続けて減益局面でも維持した実績。予想利回りは約4.6%
  • オハイオの損失は計画投資額の6%程度にとどまる見込みで、米国は冷凍商品でバージニア工場の稼働率を上げる方針に切り替えた
  • 札幌工場の火災保険金が確定すれば利益に戻る可能性(金額・時期は未開示)

9-4. 弱気の材料

  • 上半期は通期の稼ぎの中心であり、そこで2割以上の減益が2四半期続いた
  • 下期予想は、規格見直しで取り返す割合が82%→90%に上がる前提と、海外の△3.2億→+3.0億円の反転に乗っている。いずれも根拠の内訳は開示されていない
  • 12〜2月は3年続けて最も利益率の低い四半期で、直近2年は営業赤字。ここの赤字幅で下期の着地が左右される
  • 売上の75.9%が1社向けで、値段・献立・工場の立地が取引先の方針に左右される構造は変わらない。米国では2年で2回(バージニアの遊休設備減損、オハイオの稼働中止)、建てた台所が想定どおりに使われなかった
  • 修正後の配当性向は59.6%で、方針の40%から離れている
  • 中計目標(2028年2月期に営業利益100億円)まで、修正後予想から+66.7%が必要。会社は目標を見直すかどうかに触れていない
  • 1年以内に返済予定の長期借入金が90億円あり、借り換えの金利条件次第で支払利息が増える

9-5. 個人的な見方

個人的には、今回の決算の読みどころは「上半期の減益」そのものより、期初予想が下期に置いていた33.5億円という数字が、14四半期の形から見て無理のある水準だったことにあると思います。修正後の20.3億円は過去の下期の範囲に戻した数字で、過去2年はその「戻した数字」を実績が上回ってきました。

ただし、その下期予想を支えるのは規格見直しの比率と海外の反転という、外からは確かめにくい2つの前提です。月次の数字を出していない会社なので、次に確かめられるのは2027年1月の第3四半期決算になります。


10. 今後のカレンダーと見るべきKPI

時期イベント見るポイント
2026年10月8日(木)半期報告書の提出予定日/機関投資家・アナリスト向け決算説明会説明会の質疑(書き起こし・資料が公開されれば)、下期の規格見直しの前提
2026年11月13日(金)中間配当(60円)の支払開始—
2027年1月上旬(例年)第3四半期決算9〜11月単独の営業利益(前年22.9億円)、規格見直しの比率、米国7〜9月の売上
2027年2月24日(水)期末配当の権利付き最終日—
2027年2月末村山第二工場の閉鎖予定閉鎖関連費用の計上、生産集約の効果
2027年2月28日(日)決算期末—
2027年春冷凍倉庫(袖ヶ浦)稼働予定、米国Ookii-Bunの本格展開予定物流の固定費と稼働率、米国の売上の反転
2027年4月上旬(例年)通期決算・2028年2月期予想中計目標(営業利益100億円)を維持するか、配当方針

見るべきKPIは次の5つです。

  1. 規格見直し÷製造コスト増加の比率(説明資料の要因分解。上期82%→下期予想90%)
  2. 9〜11月と12〜2月の単独営業利益(筆者の差し引きで前年同期と比べる。前年は22.9億円と△1.3億円)
  3. 米国のドル建て売上と納品店舗数(上期は△9.0%、2,107店)
  4. オハイオ資産の売却交渉の結果と、特別損失の確定額
  5. 1年以内返済予定の長期借入金90億円の扱い(借り換えか返済か)と支払利息

11. 3行まとめ

  • 上半期は売上+1.0%に対し営業利益△25.0%。材料費の上昇△58.0億円を、セブン-イレブンとの「商品規格の見直し」で約82%(+47.6億円)しか取り返せなかったことが減益のほぼ全額を説明する
  • 通期予想は営業利益77億→60億円に下方修正。期初は下期に前年比+55.7%の回復を置いていたが、修正後は△5.6%と前年下期並みに引き直した。過去2年は10月の修正後予想が置いた下期を実績が上回っている
  • 米オハイオ新工場は稼働中止で約7億円の特別損失見込み。配当120円は据え置きで配当性向は約60%。「店の外の台所」の値段と立地は、取引先と一緒にしか決められないことが、国内と米国の両方で数字に出た決算だった

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘・助言を目的としたものではありません。数値の出典は、わらべや日洋ホールディングスの決算短信(2027年2月期第2四半期、同第1四半期、2026年2月期の各四半期・通期、2025年2月期の各四半期・通期)、2027年2月期第2四半期決算説明資料、通期連結業績予想の修正に関するお知らせ(2026年10月7日)、米国中西部エリアに関する一連の開示(2023年3月28日〜2026年10月7日)、札幌工場の火災に関する開示(第1〜3報)、村山第二工場の閉鎖に関するお知らせ、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(2026年5月27日)、2026年2月期有価証券報告書、配当予想の修正ならびに株主優待制度の廃止に関するお知らせ(2022年1月11日)です。四半期の数値・要因の割合・税負担率の逆算・利回り等の指標は、開示値から筆者が算出したものです。株価・年初来高値安値・夜間PTSの値はYahoo!ファイナンスの表示によるもの(報道ベース)で、確定値をご確認ください。決算は10月7日15時30分の発表で、同日の東証終値には反応が含まれていません。夜間PTSの値は取引量が小さく、翌営業日の値動きと一致するとは限りません。説明資料の要因分解の数値は、テキストから抽出したうえでページを描画して項目の並びを目視で確認しましたが、読み取り誤差の可能性があります。10月8日の決算説明会(機関投資家・アナリスト向け)の内容と質疑応答は一切反映していません。半期報告書は執筆時点で未提出のため反映していません。調理パンの減少と札幌工場の関係、海外の下期反転の要因、オハイオの損失規模と賃借の関係、下期の営業外費用の中身は筆者の推測であり、会社の開示に基づくものではありません。オハイオ関連の特別損失を計上する会社・税効果の扱い・非支配株主への帰属は開示されておらず、純利益の逆算表は仮定を置いた試算です。大友アセットマネジメントと大友啓行氏の関係、LEADING GUIDE HONG KONG LIMITEDの保有目的、大量保有報告書の提出状況は確認していません。配当方針の25%から40%への切り替え時期も特定していません。

記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。

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