株式投資

信越ポリマー(7970) 親会社から樹脂を仕入れ、半導体ウエハーを運ぶケースや車のスイッチに形づくって世界で売っている会社 その会社の上方修正は、7〜9月の勢いを下期にどこまで残しているのか?【2026年10月発表・上半期決算】

本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • 上半期(4〜9月)は売上643.3億円(+14.4%)、営業利益93.5億円(+31.6%)。増益22.4億円のうち19.2億円は7〜9月の3か月に集中しています
  • 7〜9月の主役は、半導体ウエハーの運搬ケースを含む精密成形品事業。3か月の営業利益38.9億円・利益率20.8%は、筆者が並べた10四半期で最も高い水準です
  • 上半期の増益22.4億円のうち4.6億円は、減価償却費の減少と同じ額です。〈営業利益+減価償却費〉で比べると、伸びは+31.6%ではなく+17.4%になります
  • 上方修正後の通期予想が下期に置いた営業利益は88.5億円。下期÷上期の比率は過去3年の範囲内ですが、下期の利益率14.1%は過去3年のどの下期(10.1〜11.8%)よりも高い置き方です
  • 純利益の伸びが+11.2%にとどまったのは主に税負担率の上昇(24.4%→32.9%)で、通期予想も暗黙に34.4%の負担率を置いています
  • 配当は年72円(前期62円)に増配、配当性向は49.0%。自己株式取得45万株はストック・オプション交付用です

1. 信越ポリマーはどんな会社か

樹脂を「形」にして売る会社

半導体の材料になる薄いシリコンの円盤(ウエハー)は、工場から工場へ運ばれるとき、専用の樹脂ケースに何十枚も立てて収められます。わずかなほこりも許されない中身なので、ケースそのものに精密さと清浄さが求められます。信越ポリマーは、このケースを作っている会社の一つです。

同じ「樹脂を形にする」技術で、車のハンドル周りのスイッチ、電気自動車のバッテリーの延焼を防ぐクッション、プリンターのローラ、医療用カテーテルの部品、そして外食店で使われる食品用ラップまで作っています。材料の合成樹脂の一部は親会社の信越化学工業から仕入れ、ウエハーケースの一部は同じグループの信越半導体に売っています。

この記事では、信越ポリマーを「親会社から樹脂を仕入れ、半導体ウエハーを運ぶケースや車のスイッチに形づくって世界で売っている会社」として読みます。この一文から、強みと弱みが出てきます。

軸の要素中身決算書のどこに出るか
強み形にする技術そのもの。ケースは中身を傷めないことが価値なので、値段だけで乗り換えられにくい精密成形品の利益率(20%前後)
弱み①何個売れるかは、客の工場がどれだけウエハーを作るかで決まる。量は自分で決められない営業利益の「数量効果」
弱み②形にする場所が世界に散っている。海外子会社15社はすべて12月決算で、連結には3か月遅れの数字が届く「どの3か月の数字を見ているのか」という読み方
弱み③形にする機械は自前。機械を買った直後ほど償却費が重く、年がたつと軽くなる減価償却費の増減

この表のポイントは、弱み①が数量効果に、弱み②が四半期の読み方に、弱み③が減価償却費に対応していることです。この記事の深掘りは、この3つを順番に使います。

用語メモ:信越化学工業は信越ポリマーの株式の53.48%(自己株式を除く発行済株式に対する割合、2026年3月末)を持つ親会社です。前期は親会社から合成樹脂を36.98億円仕入れ、同じ親会社を持つ信越半導体に半導体関連容器を33.27億円販売しました(有価証券報告書の関連当事者情報)。取引条件はいずれも「市場価格を勘案して価格交渉の上、一般的取引条件と同様に決定」と書かれています。

4つの事業と、利益の置き場所

上半期の事業別の数字です。

事業主な製品売上前年同期比営業利益前年同期比利益率
電子デバイス車載スイッチ、延焼防止クッション、コネクター131.9億円+4.0%6.8億円+4.7%5.1%
精密成形品半導体関連容器、OA機器用ローラ、キャリアテープ、医療用シリコーンゴム部品340.3億円+16.6%67.3億円+21.9%19.8%
住環境・生活資材食品用ラップ、機能性コンパウンド120.8億円+11.1%16.3億円+109.0%13.5%
その他工事関連など50.3億円+44.7%3.2億円+91.1%6.3%
連結―643.3億円+14.4%93.5億円+31.6%14.5%

億円表示は百万円単位の開示値を四捨五入しています(記事全体で同じ)。前年同期比は会社の開示どおりです。

この表のポイントは2つです。売上の53%を占める精密成形品が営業利益の72%を稼いでいること。そして、この会社はセグメント利益の合計がそのまま連結の営業利益になり、全社費用の調整額がないことです(9,352百万円と9,354百万円の差2百万円は百万円未満切捨てによるもの)。この会社の利益を読むことは、ほぼ精密成形品を読むことです。

海外の数字は3か月遅れで届く

前期の売上1,151億円のうち55.3%が海外の顧客向けで、精密成形品に限ると69.2%が海外です(有価証券報告書の収益の分解)。そして海外子会社15社の決算日は12月31日で、有価証券報告書には「仮決算を行わず個々の決算日の財務諸表を使用」と書かれています。

連結上の3か月国内の月海外子会社の月
4〜6月(第1四半期)4〜6月1〜3月
7〜9月(第2四半期)7〜9月4〜6月
10〜12月(第3四半期)10〜12月7〜9月
1〜3月(第4四半期)1〜3月10〜12月

この記事で「7〜9月」と書くのは、連結上の7〜9月を指します。その3か月の海外部分は、春(4〜6月)の数字です。

直近3期の業績推移

有価証券報告書と決算短信から抜き出します。

決算期売上営業利益経常利益純利益EPSROE配当配当性向
2024年3月期1,043.8億円110.5億円115.3億円86.7億円107.31円8.0%46円42.9%
2025年3月期1,105.8億円132.7億円132.2億円94.3億円116.99円8.0%52円44.4%
2026年3月期1,151.2億円140.4億円140.1億円99.0億円123.15円7.9%62円50.3%
2027年3月期(修正後予想)1,270億円182億円180億円118億円146.82円―72円49.0%

自己資本比率は84.4%(前期末)で、貸借対照表に借入金の科目はありません。株主総利回り(5年)は216.1%で、比較指標の配当込みTOPIXの202.2%を上回っています。株主優待は実施していません(第7節)。

会社予想の達成履歴:本決算では予想を出さない会社

この会社の予想の出し方には特徴があります。2025年3月期から、本決算の時点では翌期の予想を「未定」とし、7月下旬の第1四半期決算と同時に初めて通期予想を出しています。2026年3月期の決算短信は、理由をこう書いています(原文)。

当社グループの主力製品の中には、原材料価格が市況や需給変動の影響を大きく受ける製品や為替変動の影響を受ける外貨建て取引の製品があります。そのため、当社グループの業績予想を合理的に算定することが困難であり、次期の連結業績予想は未定といたしました。

予想を出した日と、その後の動きです(営業利益)。

決算期予想を出した日当初予想期中の修正実績当初予想比
2024年3月期2023年4月26日(本決算時)130億円2024年1月25日に105億円へ下方修正110.5億円△15.0%
2025年3月期2024年7月25日(第1四半期時)128億円なし132.7億円+3.7%
2026年3月期2025年7月23日(第1四半期時)139億円なし140.4億円+1.0%
2027年3月期2026年7月23日(第1四半期時)160億円2026年10月26日に182億円へ上方修正――

2024年3月期の予想日・修正値は株予報の修正履歴で確認し、実績は決算短信の値です。

この表のポイントは2つです。本決算で予想を出していた2024年3月期は、半導体関連容器の需要の調整で期中に下方修正しました(弱み①が数字に出た年)。予想を7月に出すようになってからの2期は、一度も修正せず小幅に上回って着地しています。上半期決算で上方修正したのは、この並びの中で今回が初めてです。

用語メモ:業績予想の修正の適時開示は、売上10%・利益30%の基準に届かなければ出ません。過去2期に修正がなかったことは、予想どおりだったことと同じではありません。実際、2期とも実績は予想を上回っています。

中期経営計画との距離

会社は2025年11月に中期経営計画を更新し、最終年度を2028年3月期から2030年3月期へ2年延ばしました。目標の水準は更新前と同じです。会社は延長の理由を次のように書いています(原文)。

半導体市場の在庫過多の影響等により、事業収益の拡大時期については当初想定との差異が生じる結果となりました。

項目2026年3月期実績2027年3月期 修正後予想2030年3月期 目標目標までの年率
売上1,151億円1,270億円1,500億円+5.7%
経常利益140億円180億円200億円+3.6%
ROE7.9%約8.9%(筆者の概算)約10%―
配当性向50.3%49.0%50%〜―

前提為替は1ドル140円・1ユーロ165円です。目標までの年率は修正後予想から3年で届く伸び(筆者の計算)、今期のROEは純利益予想を期首・9月末の自己資本の平均で割った概算です。

修正後予想の経常利益180億円は、最終年度の目標の90%に当たります。会社は今回の開示で、中期経営計画の見直しには触れていません。

2. 上半期決算のハイライト

2026年10月26日(月)15時30分、上半期決算と同時に、通期予想の上方修正・増配と自己株式取得の決定が開示されました。

項目2026年3月期 上半期2027年3月期 上半期前年同期比
売上高562.2億円643.3億円+14.4%
売上総利益172.8億円203.1億円+17.5%
販管費101.7億円109.6億円+7.7%
営業利益71.1億円93.5億円+31.6%
経常利益72.5億円91.3億円+26.0%
純利益54.8億円61.0億円+11.2%
EPS68.12円75.79円+11.3%
営業利益率12.6%14.5%+1.9pt

この表のポイントは、下に行くほど伸び率が小さくなることです。営業利益+31.6%、経常利益+26.0%、純利益+11.2%。経常利益で鈍るのは為替差損(1.2億円→4.6億円)、純利益でさらに鈍るのは税金で、これは第6節で分けます。

通期予想は次のように修正されました。

項目7月23日公表10月26日修正増減率前期比
売上高1,200億円1,270億円+5.8%+10.3%
営業利益160億円182億円+13.8%+29.6%
経常利益160億円180億円+12.5%+28.5%
純利益105億円118億円+12.4%+19.2%
EPS130.64円146.82円―+19.2%

増減率は会社の表記です。会社は修正の理由を次のように書いています(原文)。

半導体関連容器及びラッピングフィルムが引き続き好調に推移することが見込まれることから、業績予想を修正いたしました。

修正後予想に対する上半期の進捗率は、売上50.6%、営業利益51.4%。前期の上半期の進捗率(実績比)は売上48.8%、営業利益50.6%でした。

財政状態とキャッシュ・フロー

項目2026年3月末2026年9月末増減
現金及び預金500.7億円551.1億円+50.3億円
売掛金・電子記録債権等279.4億円322.2億円+42.8億円
棚卸資産214.6億円216.3億円+1.7億円
総資産1,530.0億円1,628.1億円+98.0億円
自己資本1,291.1億円1,349.1億円+58.0億円
自己資本比率84.4%82.9%△1.5pt

自己資本比率が下がったのは、自己資本が減ったからではなく、分母の総資産が膨らんだからです。総資産が3月末のままなら、比率は88.2%になる計算です。売上債権の増加は、7〜9月の売上が前年同期比+19.5%伸びたことと同じ向きの動きです。

上半期の営業キャッシュ・フローは86.6億円の収入(前年同期77.5億円)、有形・無形固定資産の取得による支出は16.4億円でした。投資キャッシュ・フローの支出47.4億円のうち30.6億円は定期預金への預け入れです。

用語メモ:会社は11月6日(金)にアナリスト向け説明会を開き、説明資料を同日に掲載する予定です。この記事は説明資料と質疑応答を反映していません。下期の事業別見通しや前提為替は、説明資料で示される可能性があります。

3. 深掘り①:7〜9月に何が起きたのか

この記事の問いは「上方修正は、7〜9月の勢いを下期にどこまで残しているのか」です。まず、その勢いの中身を確かめます。

上半期の増益は、後半の3か月に偏っている

この会社は四半期ごとの数字を単独では開示しないので、累計から引き算して3か月ごとの数字を出します(筆者の差し引き)。

3か月売上前年同期比営業利益前年同期比粗利率営業利益率
2026年3月期 4〜6月279.8億円―38.2億円―31.3%13.7%
2026年3月期 7〜9月282.4億円―32.9億円―30.2%11.7%
2027年3月期 4〜6月305.9億円+9.3%41.5億円+8.6%31.0%13.6%
2027年3月期 7〜9月337.4億円+19.5%52.1億円+58.2%32.1%15.4%

上半期の営業利益の増加22.4億円のうち、19.2億円(85.4%)が7〜9月の3か月で生まれました。4〜6月だけを見れば、売上+9.3%・営業利益+8.6%の「普通の増益」でした。

用語メモ:累計しか開示されない会社では、上半期から第1四半期を引くと第2四半期(7〜9月)の単独の数字が出ます。会社が出していない数字ですが、開示された数字だけから誰でも再計算できます。

3つに分けると、7〜9月は量と率の両方が効いた

営業利益の増減を、売上の増加による分(数量効果)、粗利率の変化による分(率効果)、販管費の増減に分けます(筆者の計算)。

期間数量効果率効果販管費の増加合計実際の増減
4〜6月+8.2億円△1.1億円△3.8億円+3.3億円+3.3億円
7〜9月+16.6億円+6.6億円△4.0億円+19.2億円+19.2億円
上半期+24.9億円+5.3億円△7.8億円+22.4億円+22.4億円

数量効果=売上の増加額×前年の粗利率、率効果=今期の売上×粗利率の差、で計算しています。

この表のポイントは2つです。4〜6月は率効果がマイナスで、増益は量だけで生まれていました。7〜9月は粗利率が30.2%から32.1%に上がり、率効果が+6.6億円まで出ています。量が増えて工場の稼働が上がると、固定費が多くの製品に分散され、1個あたりの利益が厚くなります。軸で言えば、弱み①(量は客が決める)が、この3か月は追い風として働いた形です。

主役は精密成形品の7〜9月

事業別に7〜9月の増益を分けます(筆者の差し引き)。

事業7〜9月の売上前年同期比7〜9月の営業利益前年同期増益額増益への寄与
精密成形品187.2億円+26.0%38.9億円26.3億円+12.6億円65.7%
住環境・生活資材58.5億円+10.7%7.9億円2.9億円+5.1億円26.4%
電子デバイス67.7億円+7.5%3.9億円3.2億円+0.7億円3.7%
その他24.1億円+33.2%1.4億円0.5億円+0.8億円4.3%

精密成形品の7〜9月がどれだけ大きいかは、過去と並べると分かります(筆者の差し引き)。

四半期売上営業利益営業利益率
2025年3月期 4〜6月124.8億円22.8億円18.3%
2025年3月期 7〜9月149.0億円29.4億円19.7%
2025年3月期 10〜12月146.8億円29.0億円19.7%
2025年3月期 1〜3月139.6億円21.2億円15.2%
2026年3月期 4〜6月143.2億円28.9億円20.1%
2026年3月期 7〜9月148.6億円26.3億円17.7%
2026年3月期 10〜12月155.2億円25.1億円16.2%
2026年3月期 1〜3月150.7億円21.9億円14.6%
2027年3月期 4〜6月153.1億円28.4億円18.5%
2027年3月期 7〜9月187.2億円38.9億円20.8%

各期の4四半期の合計は、通期のセグメント売上・利益の開示値と一致しています。

この表のポイントは、7〜9月の売上187.2億円が、それまでの最高(155.2億円)を2割上回ったことです。営業利益38.9億円も、それまでの最高(29.4億円)を約3割上回っています。会社は精密成形品について、半導体関連容器の出荷容器・工程内容器の需要が「世界的に高い水準で推移」し、AIサーバー向け大型電子部品用途のキャリアテープも好調が続いたと説明しています。客の工場が作るウエハーの量が増え、それを運ぶケースの量も増えた3か月です。

ただし、ここで弱み②が効きます。精密成形品の売上の約7割は海外向けで、連結上の7〜9月に入っている海外子会社の数字は4〜6月のものです。7〜9月の跳ね上がりのうち、どれだけが日本の7〜9月で、どれだけが海外の4〜6月なのかは、短信からは分けられません。

住環境・生活資材も別の水準に

食品用ラップと機能性コンパウンドの事業は、四半期の営業利益が2025年3月期に1.7〜5.8億円、2026年3月期に2.9〜5.0億円で推移していましたが、今期は8.4億円、7.9億円と2四半期続けて別の水準にあります。会社は「付加価値の高い独自製品の出荷が拡大した」と説明しています。修正理由に名前が出た2製品(半導体関連容器とラッピングフィルム)は、7〜9月の増益の9割を生んだこの2事業の主力製品です。

4. 深掘り②:その増益のうち、償却が軽くなった分はいくらか

7〜9月の勢いが量と率から来ていることは分かりました。次に、その増益の中に「会社の機械が年をとって償却が軽くなった分」がどれだけ含まれているかを確かめます。下期にも残るかを考えるうえで、増益の中身を分けておく必要があるからです。

減価償却費は前年より4.6億円少ない

キャッシュ・フロー計算書と四半期の注記から、減価償却費を3か月ごとに並べます(筆者の差し引き)。

3か月営業利益減価償却費営業利益+減価償却費
2025年3月期 10〜12月39.4億円14.9億円54.2億円
2025年3月期 1〜3月24.1億円17.3億円41.4億円
2026年3月期 4〜6月38.2億円15.0億円53.2億円
2026年3月期 7〜9月32.9億円16.2億円49.1億円
2026年3月期 10〜12月39.0億円15.2億円54.2億円
2026年3月期 1〜3月30.3億円16.2億円46.5億円
2027年3月期 4〜6月41.5億円13.0億円54.5億円
2027年3月期 7〜9月52.1億円13.5億円65.6億円

上半期で並べると、減価償却費は31.1億円から26.5億円へ4.6億円減りました。上半期の営業利益の増加22.4億円の20.6%に当たります。

物差し2026年3月期 上半期2027年3月期 上半期前年同期比
営業利益71.1億円93.5億円+31.6%
営業利益+減価償却費102.2億円120.0億円+17.4%

3か月ごとに見ると、4〜6月の〈営業利益+減価償却費〉は+2.5%で、ほぼ横ばいでした。7〜9月は+33.6%です(営業利益だけなら+58.2%)。

この表のポイントは2つです。7〜9月の伸びは、償却を足し戻しても+33.6%あり、本業の量と率が伸びたことは変わりません。一方、4〜6月の営業利益+8.6%は、償却の減少を除くとほぼ横ばいだった計算です。

用語メモ:「営業利益+減価償却費」は会計上の利益ではなく、機械や建物の取得費用を何年に分けて費用にするかという配分の影響を除くための物差しです。償却が減って営業利益が増えた分は、現金が新たに入ってきたわけではありません。

なぜ償却が減っているのか

有価証券報告書の会計方針には、当社と国内子会社の有形固定資産は定率法(建物と2016年4月以降の建物附属設備・構築物は定額法)、海外子会社は主に定額法と書かれています。機械装置の耐用年数は2〜10年です。定率法は、取得した直後の年ほど償却費が大きく、年がたつほど小さくなる方法です。

同社の有形固定資産の取得額は、2025年3月期に106.8億円(中期経営計画の資料によると糸魚川工場の拡張・東京工場の新棟などウエハーケースの増能力)でしたが、2026年3月期は40.8億円、今期の上半期は16.1億円に減っています。大きな投資の翌年に償却費が増え(2025年3月期57.1億円→2026年3月期62.6億円)、その後に減り始めた形です。

ただし、償却が減っている理由を会社は説明していません。定率法と投資額の推移から見て「大きな投資の償却が軽くなり始めた」と読める、というのは筆者の推測で、会社の開示に基づくものではありません。

この論点は弱み③(形にする機械は自前)の回収です。機械を自前で持つ会社は、投資の波が数年遅れて償却費の波として利益に出ます。中期経営計画は2030年3月期までの5年間に設備投資・戦略投資680億円(うち半導体関連製品220億円)を置いており、投資が再び増えれば、償却費はまた増える方向に動きます。

5. 深掘り③:上方修正後の予想は、下期をどう置いたか

7〜9月の勢いは量と率の両方から来ていて、そのうち償却の軽さは一部でした。では、修正後の予想はその勢いを下期にどこまで残しているのかを見ます。

予想が置いた下期は、7〜9月の2倍の85%

修正後の通期予想から上半期の実績を引くと、予想が下期(10〜3月)に置いた数字が出ます(筆者の計算)。

項目前年下期の実績予想が置いた下期前年下期比7〜9月の実績×2
売上589.0億円626.8億円+6.4%674.8億円
営業利益69.3億円88.5億円+27.6%104.1億円
経常利益67.6億円88.7億円+31.2%―
純利益44.2億円57.1億円+29.2%―
営業利益率11.8%14.1%+2.3pt15.4%

予想の下期の営業利益は、7〜9月を2倍した額の85.0%です。この数字だけを見ると控えめに見えます。

7月の当初予想と比べると、もう一つ分かることがあります。7月の時点で予想が残り9か月(7〜3月)に置いていた営業利益は118.5億円でした。今回の予想では、7〜9月の実績52.1億円+下期88.5億円=140.5億円で、ちょうど上方修正額の22億円だけ増えています。

季節の形と比べると、普通の置き方

この会社の下期は、毎年上期より弱くなっています。連結の四半期の営業利益を3年分並べます(筆者の差し引き)。

決算期4〜6月7〜9月10〜12月1〜3月下期÷上期
2024年3月期30.5億円(11.5%)28.4億円(10.6%)30.4億円(11.3%)21.2億円(8.8%)0.878
2025年3月期32.2億円(12.6%)37.0億円(12.7%)39.4億円(13.7%)24.1億円(8.9%)0.917
2026年3月期38.2億円(13.7%)32.9億円(11.7%)39.0億円(12.8%)30.3億円(10.6%)0.975
2027年3月期41.5億円(13.6%)52.1億円(15.4%)――予想0.946

カッコ内は営業利益率です。各期の4四半期の合計は、通期の開示値と一致しています(2024年3月期の四半期の値は、筆者が開示から差し引いたデータで、通期の開示値との一致を確認したもの)。

この表のポイントは2つです。3年続けて、10〜12月が7〜9月を上回り、1〜3月が年間で最も低い営業利益になっています。そして、下期÷上期の比率は0.878〜0.975で、予想の0.946はこの範囲の中にあります。この物差しでは、季節の形どおりに置いた予想と読めます。

用語メモ:連結上の1〜3月は、国内の1〜3月と海外子会社の10〜12月の合計です。1〜3月が毎年弱い理由を会社は説明していないので、国内の年度末と海外の年末のどちらの要因が大きいかは分かりません。

売上は控えめ、利益率は過去のどの下期より高い

もう一段分けると、予想の置き方は売上と利益率で向きが逆です。

物差し過去3年の下期今期の上期実績予想が置いた下期
売上の前年同期比―+14.4%+6.4%
営業利益率10.1% / 11.4% / 11.8%14.5%14.1%
下期÷上期(営業利益)0.878 / 0.917 / 0.975―0.946

この表のポイントは、3つの物差しで印象が変わることです。比率だけなら「季節どおり」、売上だけなら「控えめ」、利益率だけなら「過去にない水準」に見えます。予想は「量の伸びは上期の半分以下に落ち着くが、利益率は上期並みを保つ」という形をしていて、予想に届くかどうかの鍵は、売上より利益率の側にあります。

下期の売上の伸びと利益率を動かした試算

下期の売上の伸び3通りと、下期の営業利益率3通りを組み合わせ、通期の営業利益を出しました(筆者の試算)。

下期の売上の伸び\下期の営業利益率11.8%(前年下期並み)14.1%(予想の置き方)15.4%(7〜9月並み)
+3.0%164.9億円179.2億円187.1億円
+6.4%(予想の置き方)167.3億円182.0億円190.2億円
+14.4%(上期並み)172.8億円188.7億円197.5億円

上半期の実績93.5億円に、前年下期の売上589.0億円×(1+伸び率)×利益率を足しています。粗利率と販管費を別々には置いていません。筆者の試算で、将来の見通しではありません。

この表のポイントは2つです。利益率が前年下期並み(11.8%)に戻ると、売上が上期並みに伸びても予想(182億円)に届きません。逆に、7〜9月の利益率(15.4%)が続けば、売上の伸びが3%でも予想を超えます。予想に届くのに必要な下期の利益率は、売上の伸びが3%なら14.6%、上期並みなら13.1%です。

前節の償却の話とつなぐと、下期の利益率14.1%のうち一部は償却の軽さが支えている可能性があります。前年下期の減価償却費は31.4億円で、今期の上半期と同じペース(26.5億円)なら下期の利益率を約0.8pt押し上げる計算です(筆者の試算。下期の償却費は開示されていません)。

過去の下期の置き方と実際

上半期決算の時点で予想が置いていた下期と、実際の下期を並べます(営業利益)。

決算期上半期時点の通期予想予想が置いた下期前年下期比実際の下期達成率
2024年3月期130億円71.2億円―51.7億円72.6%
2025年3月期128億円58.8億円+13.8%63.5億円108.0%
2026年3月期139億円67.9億円+6.9%69.3億円102.1%
2027年3月期182億円88.5億円+27.6%――

この表のポイントは、今期の置き方の重さが過去2年と違うことです。2025年と2026年は前年下期比+7〜14%の控えめな置き方で、小幅に上回りました。今期は前年下期比+27.6%です。過去の上振れがそのまま今期も繰り返されるとは書けません。2024年3月期の72.6%は、需要の調整で大きく届かなかった年で、弱み①が下振れの方向に出た例です。

6. 純利益の伸びが小さい理由:税金の行

ここまでで、営業利益の勢いと予想の置き方を見ました。最後に、その営業利益がどれだけ株主の取り分(純利益)に残るかを確かめます。

純利益の増加を行ごとに分ける

行増減
営業利益の増加+22.4億円
営業外損益の悪化(為替差損 1.2億円→4.6億円など)△3.6億円
特別損益の悪化(業務委託契約解約損 0.5億円など)△0.5億円
法人税等の増加△12.2億円
純利益の増加+6.1億円(実際の増加と一致)

最も大きいのは税金です。税負担率(法人税等÷税引前利益)は、前年同期の24.4%から32.9%に上がりました。

期間税負担率
2026年3月期 4〜6月22.1%
2026年3月期 7〜9月27.2%
2027年3月期 4〜6月40.9%
2027年3月期 7〜9月26.5%

3か月ずつに分けると、4〜6月が特に高かったことが分かります。4〜6月には法人税等調整額が4.6億円計上され、貸借対照表の繰延税金資産が7.8億円から3.7億円へ4.1億円減っていますが、会社は理由を説明していません。前年同期と同じ24.4%の負担率なら、上半期の純利益は約68.7億円で+25.3%の伸びになっていた計算です(筆者の試算)。

通期予想が置いている税負担率

純利益予想118億円を経常利益予想180億円で割ると、特別損益をゼロとした場合の暗黙の税負担率が出ます。

物差し税負担率
修正後予想が置いた負担率(通期)34.4%
同(下期だけ)35.7%
7月の当初予想が置いた負担率34.4%
今期上半期の実績32.9%
前期(2026年3月期)の実績27.4%
前々期(2025年3月期)の実績28.6%
法定実効税率30.5%

この表のポイントは2つです。予想の作り方は修正の前後で変わっておらず、どちらも34.4%です。そして、法定実効税率の30.5%なら純利益は約125億円で、予想との差は約7億円になります(筆者の試算)。この差は、予想が特別損失を置いているとも、上半期のように高い負担率が続くと見込んでいるとも読めます。会社はどちらとも説明していません。

用語メモ:前期は、評価性引当額(将来の税金を減らせないと判断して差し引く額)の減少が負担率を2.0ポイント押し下げ、27.4%になっていました。前期の負担率が低かった分、今期は比べる相手が低い位置にあります。

3つの深掘りを1本につなぐ

7〜9月の勢いは、精密成形品の量と率から生まれました(深掘り①)。その中には償却の軽さが一部含まれ、4〜6月の増益はほぼそれで説明できます(深掘り②)。予想は下期に、量は控えめに、利益率は過去にない高さで置いています(深掘り③)。そして、その営業利益が純利益に残る割合は、税負担率の上昇で前年より小さくなっています。上方修正は「7〜9月の勢いが利益率の形で下期にも残る」ことを前提にした予想で、量(弱み①)、海外の3か月遅れ(弱み②)、償却の波(弱み③)のどれが動いても、利益率の側から外れる構造です。

7. マレーシアの金型会社の買収

9月25日、シンガポールの子会社を通じて、マレーシアのPRESTIGE DYNAMICS INDUSTRIES(精密プラスチック製品と金型・治具の製造販売)の全株式を取得すると開示しました。

項目内容
取得する会社SHIN-ETSU POLYMER SINGAPORE(100%子会社)
対象会社の所在地マレーシア・ペナン州
取得株式数200万株(議決権の100%)
株式譲渡契約の締結2026年10月1日(予定)
株式譲渡の実行2026年12月31日(予定)
取得価額・対象会社の業績守秘義務を理由に非開示
今期業績への影響「軽微」

軸の言葉で言えば、形をつくるための「型」を作る会社を手に入れた案件です。会社は、対象会社の金型・治具の設計・製作技術と自社の樹脂加工技術を組み合わせ、コスト競争力と海外生産体制を強めると説明しています。海外子会社は12月決算なので、この会社の損益が連結のどの四半期から入るかは、次の決算以降の開示で確かめる必要があります。

8. 資本政策・株主還元

配当

配当は中間・期末の年2回で、基準日は9月30日と3月31日です。株式分割・併合はなく、1株あたりの数字の調整は不要です。配当方針は、修正開示に次のように書かれています(原文)。

財務体質の健全性並びに研究開発投資や生産設備投資及びM&Aなどのための資金を確保しつつ、業績に応じた中期的に安定的な配当を継続して行うことを基本方針としております。

2025年11月の中期経営計画では「配当の絶対額の成長を意識しつつ、配当性向は長期的に50%超に引上げ」を掲げています。

今回、中間配当を予想の33円から36円に増やし、期末予想も36円に引き上げました。中間配当の総額は28.96億円で、自己株式を除く株式数80,458,009株×36円=28.96億円と一致します。

決算期配当予想の動き年間配当配当性向(連結)配当の決め方
2024年3月期期初44円 → 実績46円46円42.9%安定配当
2025年3月期7月48円 → 10月50円 → 実績52円52円44.4%安定配当(中計で〜50%)
2026年3月期7月56円 → 10月60円 → 実績62円62円50.3%同上
2027年3月期7月66円 → 10月72円72円(予想)49.0%(予想EPS比)中計で50%〜

この表のポイントは2つです。過去2期は、期中に配当予想を2回ずつ引き上げてきました。今期の配当性向49.0%は、計画の「50%〜」をわずかに下回ります。ただし予想EPSに対する比率なので、純利益の着地で上下します。増配率+16.1%は、予想EPSの伸び+19.2%より小さく、配当性向が前期より下がるのは分子より分母が大きく伸びたためです。

次の期末配当を受け取るための権利付き最終日は、2027年3月29日(月)です。

自己株式取得

10月26日、自己株式取得を決めました。

項目内容
取得株数の上限45万株(自己株式を除く発行済株式の0.56%)
取得金額の上限12.5億円
期間2026年10月27日〜12月31日
方法東京証券取引所での市場買付
理由ストック・オプション権利行使時に交付する株式として使用するため

同じ目的の取得は3年続けて10月に決まっています。

決議上限結果
2024年10月50万株・9億円50万株を8.10億円で取得(平均1,619円)
2025年10月50万株・10億円50万株を9.45億円で取得(平均1,890円)
2026年10月45万株・12.5億円―

過去2回はどちらも株数の上限で終わっています。今回、金額の上限を使い切るには平均2,778円で買う必要があり、10月28日の終値2,522円で45万株を買うと約11.3億円です。今の株価なら、先に株数の上限が効く計算です。期間中の営業日は45日で、1日あたり約1万株。9〜10月の1日の出来高(10万〜40万株程度)に比べて小さく、市場での自己株式取得の目安(1日の売買高の25%以内)にも収まる水準です。

取得の理由がストック・オプションへの交付なので、取得した株は行使に合わせて再び市場に出ていきます。発行済株式の純減にはつながりにくく、1株利益を押し上げる効果も限られます。自己株式は9月末で2,165,367株(発行済株式の2.6%)で、前期末の2,251,655株から減っています(ストック・オプションの行使による処分)。

株主構成・優待・保有有価証券

親会社の信越化学工業が53.48%を持ち、株主数は14,646名です。株主優待は実施していません(有価証券報告書の「株主に対する特典」は「なし」、会社IRサイトのFAQも「今のところは実施していません」と書いています)。投資有価証券は15.7億円で総資産の1%に満たず、政策保有株式は論点になる規模ではありません。

9. 株価の見方

株価は2026年10月28日(水)の終値2,522円(東京証券取引所)を基準にします。

指標値計算の前提
時価総額約2,029億円自己株式を除く株式数80,458,009株
予想PER17.2倍修正後の予想EPS 146.82円
予想PER(法定実効税率ベース)16.2倍経常予想180億円×(1−30.5%)÷株数=155.48円
PBR1.50倍9月末の自己資本から計算した1株純資産1,677円
予想配当利回り2.85%年72円
年初来の値幅1,893円(3月30日)〜2,580円(10月27日)Yahoo!ファイナンスの表示

決算の発表は10月26日(月)15時30分で、同日の終値2,236円は発表前の取引です。最初の反応日の10月27日(火)は、始値2,424円、終値2,505円(前日比+12.0%)、出来高177.8万株でした。9〜10月の1日の出来高は10万〜40万株程度です。翌28日(水)は終値2,522円、出来高54.2万株でした。同じ時刻に決算、予想の修正と増配、自己株式取得の3つが開示されており、どの開示がどれだけ効いたかは分かりません。

前期末(2026年3月期)の有価証券報告書の株価収益率は15.6倍でした。今回の上昇で、予想ベースでは17倍台になっています。

強気の材料

  • 7〜9月の営業利益は52.1億円で、予想が下期の6か月に置いた88.5億円の約6割に当たる。7〜9月の利益率が続けば、下期の売上の伸びが3%でも予想を超える計算になる
  • 7〜9月の伸びは、償却の減少を足し戻しても+33.6%ある。本業の量と率が伸びたことは、償却の物差しを変えても変わらない
  • 予想を7月に出すようになってからの2期は、上半期時点で置いた下期を上回って着地してきた
  • 純利益予想は34.4%という高めの税負担率を前提にしている。負担率が法定実効税率並みに戻れば、営業利益が予想どおりでも純利益は約7億円上振れる計算になる
  • 配当予想は過去2期とも期中に2回増額された。配当性向49.0%は計画の50%〜に届いておらず、方針の上では引き上げの余地が残る
  • 経常利益予想180億円は、2030年3月期の目標200億円の9割に当たる。目標までに必要な伸びは年3.6%

弱気の材料

  • 予想が下期に置いた利益率14.1%は、過去3年の下期(10.1〜11.8%)より高い。前年下期の利益率に戻れば、売上が上期並みに伸びても予想に届かない
  • 量は客の工場が決める(弱み①)。2024年3月期は半導体関連容器の需要調整で、予想が置いた下期の72.6%にとどまった
  • 7〜9月の海外部分は海外子会社の4〜6月の数字で、海外の7〜9月の需要はまだ連結の数字に出ていない(弱み②)
  • 上半期の増益の20.6%は減価償却費の減少と同じ額で、4〜6月の増益はほぼこれで説明できる。中計の680億円の投資が進めば、償却費は再び増える方向に動く(弱み③)
  • 上半期の税負担率は32.9%に上がり、理由は説明されていない。営業利益の伸びが純利益に残る割合は前年より小さい
  • 親会社が53.48%を持ち、市場で流通する株式は半分弱。自己株式取得はストック・オプション交付用で、株数を減らす効果は小さい

株価は、7〜9月の勢いが一時的な山なのか、新しい水準なのかについての見方を織り込みにいく位置にあります。10〜12月の決算(連結上は国内10〜12月+海外7〜9月)で、精密成形品の利益率が20%前後を保つかが最初の確認点になります。

10. 今後のカレンダーと見るべきKPI

日付イベント見るポイント
2026年11月6日(金)アナリスト向け説明会・説明資料の掲載予定下期の事業別見通し、前提為替、償却費の見通し
2026年11月10日(火)半期報告書の提出予定大株主の状況、税負担率の説明の有無
2026年11月26日(木)中間配当(36円)の支払開始予定―
2026年12月31日(木)自己株式取得の期限、マレーシアの金型会社の株式譲渡予定日取得株数の進み方
2027年1月下旬第3四半期決算(前年は1月26日)10〜12月の精密成形品の利益率、予想の据え置きか修正か
2027年3月29日(月)期末配当の権利付き最終日―
2027年4月下旬本決算翌期の予想を再び「未定」とするか
KPI直近の値比べる相手
精密成形品の四半期の営業利益率20.8%(7〜9月)過去10四半期は14.6〜20.1%
下期の連結営業利益率予想14.1%過去3年の下期10.1〜11.8%
四半期の減価償却費13.5億円(7〜9月)前年同期16.2億円
税負担率上半期32.9%、予想34.4%前期27.4%、法定実効税率30.5%
住環境・生活資材の四半期の営業利益7.9億円(7〜9月)前期までは1.7〜5.8億円

11. 3行まとめ

  • 上半期の営業利益は93.5億円(+31.6%)で、増加の85%が7〜9月の3か月。主役は半導体ウエハーの運搬ケースを含む精密成形品で、7〜9月の営業利益38.9億円・利益率20.8%は10四半期で最高。ただし増益の約2割は減価償却費の減少と同じ額
  • 修正後の予想は下期に営業利益88.5億円を置いた。下期÷上期の比率は季節の形どおりだが、利益率14.1%は過去3年のどの下期よりも高い
  • 純利益の伸び(+11.2%)が小さいのは主に税負担率の上昇で、通期予想も34.4%の負担率を前提にしている。配当は年72円、配当性向49.0%

免責事項

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘や投資助言を目的としたものではありません。数値の出典は、信越ポリマーの決算短信(2027年3月期上半期・第1四半期、2026年3月期の通期・上半期・第3四半期)、適時開示(業績予想・配当予想とその修正、自己株式取得、株式取得、中期経営計画更新)、有価証券報告書(2026年3月期)、会社IRサイトのFAQです。2024年3月期の予想の公表日・修正値は株予報の修正履歴で確認しており、修正開示の原文は確認していません。2024年3月期と2025年3月期の四半期の数値は、筆者が開示から差し引いたデータを使い、4四半期の合計が通期の開示値と一致することを確認しています。株価・出来高はYahoo!ファイナンスで確認した東京証券取引所の値です。四半期の数字は筆者が累計から差し引いたもので、億円表示は四捨五入しています。試算・逆算の値は「筆者の計算」「筆者の試算」と記載しています。

11月6日掲載予定の決算説明資料と説明会の質疑応答は、執筆時点で公開されておらず、反映していません。連結上の7〜9月に含まれる海外子会社の数字(4〜6月)と国内の数字の内訳は開示されておらず、本記事では分けていません。減価償却費が減っている理由を「大きな投資の償却が軽くなり始めた」と読んだ箇所は筆者の推測で、会社の開示に基づくものではありません。下期の減価償却費は開示されておらず、利益率への影響は筆者の試算です。税負担率の上昇理由、純利益予想が置く負担率の根拠、マレーシアの金型会社の取得価額・業績・連結開始時期は会社が開示しておらず、本記事は推測していません。決算は取引終了と同時刻(15時30分)の発表で、発表日の終値は決算への反応を含みません。本記事の株価は2026年10月28日の終値で、公開までに変動している可能性があります。

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