株式投資

【2026年10月発表・上半期決算】天満屋ストア(9846)営業利益は上期計画の83%。それでも据え置かれた通期予想は、下期に「前年比2割増」を置いている

本記事は2026年10月8日時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • 上半期(2026年3〜8月)の営業利益は9億54百万円。前年同期比△10.8%で、**期初に会社が出していた上期予想11億50百万円の83.0%**にとどまりました。それでも通期予想は据え置きで、修正の開示も出ていません。なぜ開示が出ないのかを、適時開示の基準から説明します
  • 14四半期を差し引くと、6〜8月の3か月は粗利率25.20%・営業利益率2.55%で、14四半期のなかで最も低い水準でした。粗利率が前年から2pt以上下がる一方、販管費は4%以上減っています。この「同時に起きた2つの変化」の読み方を整理します
  • 据え置かれた通期予想は、下期(9月〜2027年2月)に**営業利益13億46百万円=前年下期比+20.7%、営業収益は+11.1%**を置いています。過去3期、上期決算の時点で予想が置いていた下期と実際の下期を並べると、達成率は115.5%・90.4%・83.8%でした
  • 純利益は前年同期比+14.8%と増益ですが、これは前年にあった店舗閉鎖損失(1億86百万円)がなくなったためです。逆に、通期の純利益予想は経常利益予想に対して約3億円の特別損失等を置ける計算になっています
  • 株主構成は、筆頭株主の丸田産業(23.95%)・イトーヨーカ堂(20.00%)・天満屋(12.77%)を含む上位10者で76.32%。イトーヨーカ堂は2025年9月からベインキャピタルが60%を持つ会社の傘下に入っています。開示で確認できる資本関係を時系列で並べます
  • 配当は年15.5円→20円予想。株主優待は年2回のギフトカードで、100株なら年2,000円分。配当と合わせた名目利回りは100株で約4.1%ですが、200株以上では1株あたりの優待額が急に下がる設計です

1. 天満屋ストアはどんな会社か

軸となる例え:「百貨店ののれんを掛けた、町の台所」

岡山市の繁華街に、地元の百貨店「天満屋」があります。天満屋ストアは、その天満屋が1969年に作った食品スーパーで、今は岡山県を中心に「天満屋ハピータウン」「天満屋ハピーズ」の看板で店を構えています。

この会社を一言で言うと、**「百貨店ののれん(看板と信用)を掛けて、毎日の食卓の材料を売っている会社」**です。

この例えで、強みと弱みが同じところから出てきます。

  • 強み(のれん側):地元で50年以上積み上げた百貨店系の信用があり、ギフトカードや商品券は天満屋と共通で使えます(株主優待の天満屋ギフトカードも、天満屋ストアと天満屋の直営売場で使えます)。加えて、2013年からイトーヨーカ堂が資本を入れ、セブン&アイ・ホールディングスと天満屋を含む3社で業務提携しているので、売場には全国チェーンのプライベートブランド「セブンプレミアム」も並びます
  • 弱み①(台所側):売っているのは毎日の食卓の材料なので、1回の買い物の値段は自分ひとりでは決められません。物価の上昇、近隣のディスカウント店、消費者の節約志向に合わせて値札を下げると、その分は粗利率に出ます。今期は新しい販促「値下げ宣言」を始めています
  • 弱み②(のれんの持ち主側):のれんの持ち主(丸田産業・天満屋)と全国チェーン(イトーヨーカ堂)が大株主として株の多くを持っているので、市場で売買される株が少なく、1日の出来高は数千株程度の日が多い銘柄です

この例えは、このあと「粗利率の低下」(第3章)、「下期の置き方」(第4章)、「優待」(第7章)、「株主構成」(第8章)、「株価の見方」(第9章)で使います。

事業の構造

区分中身上半期の営業収益上半期のセグメント利益
小売事業食品スーパー(天満屋ハピータウン・ハピーズ等)、店舗の賃貸、子会社ヒナセショッピングセンター(2025年4月取得)、移動スーパー259億26百万円8億12百万円
小売周辺事業惣菜の製造販売(でりか菜、三好野本店)、飲食・サービスエリア運営(でりかエッセン)40億89百万円1億41百万円
連結セグメント利益の合計=連結営業利益(全社費用の配賦なし)300億16百万円9億54百万円

(出所:2027年2月期 中間決算短信のセグメント情報。営業収益は外部顧客向け)

小売事業の営業収益のうち、食料品が228億52百万円で約9割を占めます。有価証券報告書(2026年2月期)の設備の状況には、提出会社の店舗として岡山県43・広島県2・鳥取県1が記載されています。

  • 決算期:2月末(第1四半期=3〜5月、第2四半期=6〜8月、第3四半期=9〜11月、第4四半期=12〜2月)
  • 市場:東証スタンダード
  • 株主優待:あり(年2回、詳細は第7章)
  • 決算補足説明資料・決算説明会:いずれも「無」(今回の短信表紙の記載)

用語メモ:「営業収益」は、商品の売上高に、テナントからの家賃などの「営業収入」を足したものです。スーパーは店の一部を専門店に貸しているので、売上高とは別にこの収入があります。今回の上半期は、売上高283億58百万円+営業収入16億57百万円=営業収益300億16百万円です。

直近5期の業績

決算期売上高経常利益親会社株主に帰属する当期純利益EPSROE自己資本比率1株配当
2022年2月期640億39百万円24億56百万円10億55百万円91.76円4.8%52.3%6円
2023年2月期545億79百万円20億99百万円10億67百万円92.77円4.6%54.1%6円
2024年2月期553億20百万円23億86百万円11億93百万円103.76円4.9%58.0%10円
2025年2月期554億07百万円24億06百万円15億78百万円137.50円6.2%62.5%14円
2026年2月期560億16百万円22億71百万円13億50百万円117.56円5.0%60.9%15.5円
2027年2月期(会社予想)―23億円14億円121.66円――20円

(出所:有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」。2023年2月期から収益認識基準を適用しているため、2022年2月期の売上高とは比べられません。予想は中間短信)

この表のポイントは2つです。売上高は4期続けて550億円前後でほとんど動いていないこと。そして経常利益も21〜24億円の幅に収まっていることです。大きく伸びも縮みもしない会社で、だからこそ「計画との数億円の差」が今回の論点になります。

なお、会社は目標とする経営指標として「営業収益経常利益率」と「総資産経常利益率」を挙げていますが、数値目標や中期経営計画の数値は有価証券報告書に記載がありません。前期の営業収益経常利益率は3.8%(前の期は4.1%)でした。

会社予想の達成履歴

決算期期初予想の営業利益(上期/通期)期中の修正修正の開示日上期実績(上期予想比)通期実績(期初予想比)
2024年2月期12億50百万円/23億円通期を21億円に下方修正2023年10月4日(上期決算と同時)9億56百万円(76.5%)22億77百万円(99.0%)
2025年2月期11億円/24億円なし―11億95百万円(108.6%)22億83百万円(95.2%)
2026年2月期11億50百万円/24億円なし―10億69百万円(93.0%)21億85百万円(91.0%)
2027年2月期11億50百万円/23億円なし(据え置き)―9億54百万円(83.0%)―

(出所:各期の決算短信、2024年2月期第2四半期決算短信。達成率は筆者の計算)

この表のポイントは2つです。1つ目、通期の着地は3期続けて期初予想を下回っています(99.0%・95.2%・91.0%)。2つ目、上期予想を大きく下回ったのは2024年2月期(76.5%)と今期(83.0%)ですが、2024年2月期は上期決算と同時に通期予想を下げ、今期は下げていません。この違いは第4章で扱います。


2. 上半期決算のハイライト(2026年10月7日 15時30分発表)

損益

項目2026年2月期上半期2027年2月期上半期前年同期比期初の上期予想上期予想比
営業収益295億45百万円300億16百万円+1.6%315億円95.3%
営業利益10億69百万円9億54百万円△10.8%11億50百万円83.0%
経常利益11億29百万円9億70百万円△14.0%11億50百万円84.4%
親会社株主に帰属する中間純利益6億02百万円6億91百万円+14.8%7億円98.8%
1株当たり中間純利益52.44円60.11円+14.6%60.92円―

(出所:中間決算短信、2026年2月期決算短信の業績予想。予想比は筆者の計算)

通期予想(営業収益630億円、営業利益23億円、経常利益23億円、純利益14億円、EPS121.66円)は据え置きです。

減益なのに純利益が増えた理由は単純で、前年の上期にあった店舗閉鎖損失1億86百万円が今期はありません。税金等調整前中間純利益は9億11百万円→9億94百万円(+9.1%)でした。前年の店舗閉鎖損失は、建て替えのために閉めた西大寺店に関するものと読めますが、短信は店舗名を書いていません。

経常利益が営業利益より大きく減った理由

営業外の項目前年上期今期上期差
受取配当金43百万円50百万円+8百万円
補助金収入23百万円―△23百万円
受取利息・協賛金・その他の収益21百万円11百万円△10百万円
支払利息△19百万円△42百万円△24百万円
その他の営業外費用△8百万円△2百万円+6百万円
営業外の純額+60百万円+17百万円△43百万円

(出所:中間連結損益計算書。千円単位から百万円に四捨五入)

営業利益の減少額1億15百万円に、営業外の悪化43百万円が重なり、経常利益は1億58百万円減りました。支払利息は前年の2.2倍です。理由は第6章の借入の増加です。

財政状態とキャッシュ・フロー

項目2026年2月末2026年8月末
総資産455億06百万円473億64百万円
建物及び構築物(純額)98億98百万円128億69百万円
借入金合計42億36百万円44億63百万円
現金及び預金5億81百万円5億22百万円
自己資本277億10百万円283億88百万円
自己資本比率60.9%59.9%

(借入金合計は短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・長期借入金の合計。中間期末の貸借対照表では1年内返済分が短期借入金に含めて表示されています)

上半期のキャッシュ・フローは、営業活動で17億86百万円の収入、投資活動で18億88百万円の支出(うち有形固定資産の取得20億14百万円)でした。差し引きのフリー・キャッシュ・フローは△1億1百万円です。財務活動では、短期借入金を13億円返し、長期借入で20億円を調達しています。

用語メモ:「見積実効税率」。この会社の中間期の税金費用は、通期の見込みの税率を中間期の税引前利益に掛けて計算しています(短信の注記)。今期上期の税負担率は30.3%で、前年上期の33.7%より低くなっています。


3. 深掘り①:6〜8月の3か月に何が起きたか

ここからの3つの章は、1つの問いの3段階です。「上期の営業利益はなぜ計画の83%にとどまり、それでも据え置かれた通期予想は何を前提にしているのか」。まずこの章で、上期の不足がどの3か月で、どの費目で生じたかを確かめます。

14四半期の差し引き

この会社の短信は累計の数字しか出さないので、第2四半期だけの数字は「上半期累計−第1四半期」で自分で引き算するしかありません。2024年2月期から並べました。

決算期四半期(月)売上高粗利率販管費営業利益営業利益率
2024年2月期1Q(3〜5月)13,54329.60%4,2345703.98%
2024年2月期2Q(6〜8月)13,98628.26%4,3663862.61%
2024年2月期3Q(9〜11月)13,53929.86%4,2525924.13%
2024年2月期4Q(12〜2月)14,25029.07%4,2617284.82%
2025年2月期1Q(3〜5月)13,46229.42%4,1136664.67%
2025年2月期2Q(6〜8月)14,28927.93%4,2905283.49%
2025年2月期3Q(9〜11月)13,44028.85%4,2054663.28%
2025年2月期4Q(12〜2月)14,21527.44%4,1086224.14%
2026年2月期1Q(3〜5月)13,55228.63%4,0925994.17%
2026年2月期2Q(6〜8月)14,38127.58%4,2964693.10%
2026年2月期3Q(9〜11月)13,72228.83%4,2335093.51%
2026年2月期4Q(12〜2月)14,35927.60%4,1846053.99%
2027年2月期1Q(3〜5月)13,88226.47%3,9315633.83%
2027年2月期2Q(6〜8月)14,47625.20%4,0943902.55%

(単位:百万円、百万円未満切り捨て。各期の短信の累計値から筆者が差し引き。粗利率=売上総利益÷売上高、営業利益率=営業利益÷営業収益。4四半期の合計が通期の開示値と一致することを2024〜2026年2月期の全科目で確認済み)

この表のポイントは3つです。

  1. 6〜8月の営業利益率2.55%は14四半期で最も低い水準です。2024年2月期の同じ3か月(2.61%)とほぼ同じですが、2025・2026年2月期(3.49%・3.10%)よりは明確に低くなりました
  2. 粗利率は今期の2四半期がいずれも過去12四半期のどれよりも低い(26.47%・25.20%)です。前年同期と比べて1Qで△2.16pt、2Qで△2.39ptです
  3. その一方で、販管費は今期の2四半期がいずれも前年同期を下回っています(1Q △3.9%、2Q △4.7%)。1Qの39億31百万円は14四半期で最も小さい金額です

用語メモ:「季節性」と書くには、毎年同じ四半期に同じ形が出ていることを確かめる必要があります。この会社の6〜8月の営業利益率は、2024年2月期と2026年2月期では年間で最も低く、2025年2月期では9〜11月のほうが低くなっています。3年のうち2年なので、本記事では「6〜8月は利益率が低めに出やすい」と書くにとどめ、季節性とは書きません。

営業利益の減少を4つに分ける

食品スーパーの営業利益の増減は、①売上が増えたことによる粗利の増加(数量効果)、②粗利率が変わったことによる増減(率効果)、③テナント家賃など営業収入の増減、④販管費の増減、の4つに分けると見通しがよくなります。

比べる期間数量効果率効果営業収入販管費合計=営業利益の増減
上半期(前年同期比)+119△644+47+362△115
うち3〜5月+94△300+8+161△36
うち6〜8月+26△346+39+201△79

(単位:百万円。数量効果=売上高の増加額×前年の粗利率、率効果=今期の売上高×粗利率の変化。販管費は減少をプラスで表示。千円単位で計算した4項目の合計が実際の営業利益の増減と一致することを確認済みです。各項目を百万円に四捨五入して表示しているため、各行の4項目の和は合計欄と1ずれます)

この表を素直に読むと、「粗利率の低下(△6億44百万円)を、販管費の削減(+3億62百万円)で半分ほど埋めた」という形です。会社は短信で、生活防衛意識に応える低価格戦略(新販促「値下げ宣言」によるEDLP、プライベートブランド「くらし良好」の導入)を書いています。軸の例えでいう「台所側は自分で値段を決められない」が、率効果の大きさとして表れていると読めます。

ただし、粗利率と販管費の同時の変化には注意が必要

ここで1つ、読み方の注意があります。

粗利率が2pt以上下がり、販管費が4%以上減るという2つの変化は、今期の第1四半期から同時に始まっています。2025・2026年2月期の8四半期では、粗利率の前年差は△1.63pt〜+0.16pt、販管費の前年比は△3.6%〜+1.9%の範囲で動いていました。今期は粗利率の前年差が△2.16pt・△2.39pt、販管費の前年比が△3.9%・△4.7%で、その両方が過去8四半期の範囲の外側に出ています。

この2つが同時に動く理由として、筆者には次の2通りが考えられます。

  • 値下げによって粗利率が下がり、同時に経費削減やセルフレジ等による省人化が進んだ(会社が短信や有報の「対処すべき課題」で書いている施策の方向と一致します)
  • 費用の計上区分(売上原価と販管費のどちらに入れるか)が変わった

ただし、短信の注記には会計方針の変更・表示方法の変更の記載はありません(会計上の見積りの変更は、退職給付の数理計算上の差異の処理年数を10年から8年にしたもので、影響は軽微とされています)。また、四半期の販管費の内訳は開示されておらず、内訳が分かるのは通期の決算短信と有報だけです。上の2通りのどちらか(あるいは両方)は、筆者の推測であり、会社は理由を開示していません。

そこで本記事では、粗利率と販管費率をそれぞれ前年と比べるより、両方を差し引いた営業利益率を物差しにします。営業利益率で見ても、上半期は3.18%(前年3.62%、前々年4.06%)と2年続けて下がっています。粗利率と販管費の動きの解釈がどちらであっても、「営業利益率が下がった」こと自体は変わりません。

用語メモ:売上原価と販管費の境界が動くと、粗利率は大きく動いても営業利益は変わりません。そのため、費用の計上区分が変わった可能性がある期は、粗利率ではなく営業利益率で前年と比べるのが安全です。今期の販管費の内訳は、2027年2月期の決算短信(2027年4月ごろ)の「販売費及び一般管理費」の内訳で初めて確認できます。

セグメント別に見ると

セグメント上半期の利益(前年→今期)増減うち6〜8月の増減6〜8月の利益率(前年→今期)
小売事業9億15百万円→8億12百万円△1億03百万円△52百万円3.02%→2.61%
小売周辺事業1億53百万円→1億41百万円△12百万円△26百万円3.26%→1.95%
合計10億69百万円→9億54百万円△1億15百万円△79百万円―

(単位:百万円。6〜8月はセグメントの累計値から筆者が差し引き。利益率はセグメント間取引を含む営業収益に対する比率)

この表のポイントは、科目別の4分解の合計(△1億15百万円)と、セグメント別の合計(△1億15百万円)が同じ数字に着地することです。上半期の減益の約9割は小売事業から出ています。ただし6〜8月だけを見ると、惣菜・飲食の小売周辺事業の利益率も1.95%まで下がり、この3か月は2つの事業がそろって落ちています。会社は小売周辺事業について「原材料価格高騰の影響を受けて厳しい経営環境が続く」と書いています。

買収したヒナセの「上乗せ」について

2025年4月に子会社化したヒナセショッピングセンター(岡山県備前市・兵庫県赤穂市のスーパー)について、有報の企業結合注記には「連結財務諸表に含まれている被取得企業の業績の期間」が2025年5月1日から2026年1月31日までと書かれています。

ここから、ヒナセは親会社と1か月ずれた期間で連結されており、今期の第1四半期(3〜5月)には前年の第1四半期になかったヒナセの3か月分(2〜4月)が入っている、と読めます(筆者の推測)。つまり上半期の増収+1.6%には、前年同期にはなかった買収の上乗せが含まれていることになります。ヒナセの売上高は相手先の要望で非開示で、上乗せの規模は分かりません。参考までに、有報の地域別売上高では兵庫県(ヒナセの赤穂市の店舗)が前期の9か月で6億63百万円でした。

一方、下期(9月〜2月)は前年の下期にもヒナセが入っているので、この上乗せはありません。この点は次の章で効いてきます。


4. 深掘り②:上期予想の83%で、なぜ修正の開示が出ないのか。据え置かれた通期予想は下期に何を置いているか

前の章で、上期の不足は粗利率の低下と、とくに6〜8月の3か月から生じていることを確かめました。この章では、それでも据え置かれた通期予想が下期に何を求めているのかを見ます。

中間短信には「上期予想」が載らない

まず、読者が見落としやすい点を1つ。

今回の中間短信の1ページ目には、前年同期比(営業利益△10.8%)は載っていますが、期初に会社が出していた上期予想(営業利益11億50百万円)は載っていません。上期予想は、半年前の2026年4月13日の通期決算短信の「第2四半期(累計)」の欄にしかありません。上期予想に対して営業利益は△17.0%、経常利益は△15.6%でした。

それでも業績予想の修正や差異の開示が出ていないのは、上場規則上の開示の基準に届いていないためと考えられます。

用語メモ:業績予想の修正の適時開示は、売上高で10%以上、利益で30%以上の差が出たときに求められます。今回の上期予想との差は、営業収益△4.7%、営業利益△17.0%、経常利益△15.6%、純利益△1.2%で、いずれも基準に届いていません。開示が出ていないことは、予想どおりであることを意味しません。前期の通期実績(営業利益が期初予想比△9.0%、純利益△14.5%)でも、同じ理由で差異の開示は出ていません。

第1四半期の「概ね計画どおり」と、6〜8月

第1四半期決算(2026年7月8日)の短信で、会社は業績予想について「概ね計画どおり推移しておりますので」変更はない、と書いていました。上期予想から第1四半期の実績を引くと、会社が6〜8月の3か月に置いていた営業利益が逆算できます。

決算期第1四半期の営業利益上期予想から逆算した6〜8月の置き方6〜8月の実績達成率
2025年2月期6億66百万円4億33百万円5億28百万円121.9%
2026年2月期5億99百万円5億50百万円4億69百万円85.4%
2027年2月期5億63百万円5億86百万円3億90百万円66.6%

(筆者の計算。6〜8月の置き方=期初の上期予想−第1四半期実績)

今期の6〜8月は、前年の同じ3か月(4億69百万円)に対して+24.8%の営業利益を置いていたことになり、実績はその3分の2でした。

もう1つ、事実として記録しておきます。中間短信の業績予想の説明文は、前期と今期で次のように違っています。

前期(2025年10月10日の中間短信)は次のとおりです(原文)。

業績予想につきましては、概ね計画どおり推移しておりますので、2025年7月11日公表の業績予想からの変更はありません。

今期(2026年10月7日の中間短信)は次のとおりです(原文)。

業績予想につきましては、2026年7月8日公表の業績予想からの変更はありません。 なお、今後の情勢や業績の進捗を注視し、連結業績予想の見直しが必要となった場合には、速やかに開示いたします。

「概ね計画どおり」という文言がなくなり、見直しの可能性に触れる一文が加わっています。この変化の意味について会社は説明しておらず、本記事も解釈を加えません。

予想が置いていた下期と、実際の下期

ここがこの記事の中心の表です。上期決算の時点で、通期予想(その時点の値)から上期実績を引くと、会社が下期に置いていた営業利益が出ます。それを実際の下期と並べました。

決算期上期決算時点の通期予想予想が置いた下期実際の下期達成率前年下期
2024年2月期21億円(上期決算と同時に下方修正)11億43百万円13億20百万円115.5%―
2025年2月期24億円(据え置き)12億04百万円10億88百万円90.4%13億20百万円
2026年2月期24億円(据え置き)13億30百万円11億15百万円83.8%10億88百万円
2027年2月期23億円(据え置き)13億45百万円――11億15百万円

(営業利益。筆者の計算。予想が置いた下期=上期決算時点の通期予想−上期実績、実際の下期=通期実績−上期実績)

この表のポイントは3つです。

  1. 据え置いた2期(2025・2026年2月期)は、どちらも下期が予想に届きませんでした(90.4%・83.8%)。逆に、上期決算と同時に下方修正した2024年2月期は、修正後の下期を上回りました(115.5%)。一方向に決めつけられる会社ではありませんが、据え置きの年は2回とも下期で届いていません
  2. **今期の予想が置いている下期は13億45百万円で、前年下期(11億15百万円)比+20.7%、前々年下期(10億88百万円)比+23.6%**です。過去3期の下期の実績(10億88百万円〜13億20百万円)の上限近くを求めています
  3. 下期の営業利益率で見ると、予想が置いているのは4.08%で、前年下期3.76%、前々年下期3.72%を上回ります。上期の実績(3.18%)からは、約0.9pt高い水準です

下期の売上の置き方はさらに強い

科目予想が置いた下期前年下期の実績必要な前年比
営業収益329億83百万円296億94百万円+11.1%
営業利益13億45百万円11億15百万円+20.7%
経常利益13億29百万円11億41百万円+16.4%
親会社株主に帰属する当期純利益7億08百万円7億48百万円△5.3%

(筆者の計算。予想が置いた下期=通期予想−上期実績)

この表で目を引くのは営業収益の+11.1%です。上期は期初に+6.6%を置いて実績+1.6%でした。しかも第3章で見たとおり、上期の増収にはヒナセの3か月分の上乗せが含まれていたと読めるのに対し、下期にはその上乗せがありません。下期の+11.1%は、上乗せなしで達成しなければならない伸び率です。

会社は新しい「天満屋ハピーズ西大寺モール」を今秋グランドオープン予定としており(核店舗のスーパーは2026年3月に先行開業、専門店は7月から順次開業)、テナント家賃(営業収入)とモールの集客を下期の伸びの一部として見込んでいる可能性はあります。ただし、会社は下期の増収の内訳を開示していません。西大寺店のスーパー自体は3月から営業しているので、上期の数字にすでに入っています。上期の営業収入(家賃など)は16億57百万円で、前年比+2.9%でした。

用語メモ:「予想が置いていた残り期間」は、通期予想から累計の実績を引くだけで出せます。進捗率(上期実績÷通期予想)の41.5%よりも、「下期に前年比+20.7%の営業利益を求めている」と書いたほうが、予想の前提が具体的に見えます。

2つの読み方

この表から言えることは、どちらか一方には決まりません。

  • 据え置きは無理のある前提だ、という読み方:据え置いた過去2期はいずれも下期で届かず、今期は求める伸びが過去2期より大きい。上期の粗利率の低下が下期も続けば、届かない可能性がある
  • 下期に固有の上積みがある、という読み方:西大寺モールのグランドオープンが下期に入り、店の建て替えで前期に閉めていた売場が戻っている。2024年2月期のように、下期が予想を上回った年もある

どちらに近いかは、11月以降の数字で確かめるしかありません。この会社は月次売上を開示していないため、**次に確認できるのは第3四半期決算(例年1月上旬)**です。


5. 深掘り③:経常利益と純利益——純利益予想には約3億円の余白がある

第4章で下期の営業利益の置き方を見ました。最後の段階として、営業利益の下にある経常利益と純利益の置き方を確かめます。

純利益予想が置いている特別損失

通期の純利益予想は14億円で、経常利益予想23億円の約61%です。税負担率がおよそ30%なら、経常利益がそのまま税引前利益になる場合の純利益は16億円前後になるはずです。つまり、純利益予想は経常利益予想との間に、特別損失等を置ける余白を持っています。

下期について逆算すると、次のようになります。

前提とする税負担率下期の純利益(予想が置く7億08百万円)に必要な税引前利益予想が置く下期の経常利益差(特別損失等を置ける額)
30.3%(今期上期の実績)10億16百万円13億29百万円約3億13百万円
29.0%(前期通期の実績)9億97百万円13億29百万円約3億31百万円
30.5%(法定実効税率)10億19百万円13億29百万円約3億10百万円

(筆者の試算。非支配株主に帰属する利益は年間3百万円程度と小さいため省略しています)

ここから言えることは2つです。

  1. 前期は通期で3億75百万円の特別損失(店舗閉鎖損失2億10百万円、除却損99百万円、減損65百万円)を出しており、純利益予想はそれに近い規模の特別損失を下期に置いている計算になります。会社がどんな特別損失を想定しているかは開示されていません
  2. 裏返すと、下期の経常利益が予想に届かなくても、特別損失が少なければ純利益予想は届く可能性があります。前期は通期の純利益予想15億80百万円に対して実績13億50百万円(△14.5%)で、特別損失は上期だけで2億28百万円出ていました。今期の上期の特別損失は13百万円です

この「余白」は強気・弱気のどちらにも置けます。強気側では「純利益予想は営業利益の未達をある程度吸収できる」、弱気側では「会社が下期にも一定の特別損失を想定している可能性がある」。数字は同じです。

用語メモ:「特別損失」は、店を閉める費用や、店舗の資産価値を切り下げる減損など、毎年は起きない損失です。有報の「重要な会計上の見積り」には、店ごとに資産をまとめて、営業損益がマイナスの店や土地の値下がりが大きい店に減損の兆候がないかを判定していると書かれています。

支払利息の増加は下期も続く

経常利益に効くもう1つの要素が支払利息です。上期は42百万円で前年の2.2倍でした。8月末の借入金は44億63百万円で、2月末から2億27百万円増えています。前期末の有報の借入金等明細表では、平均利率は短期1.35%、長期1.48〜1.50%でした。会社は有報の事業等のリスクで「金利変動リスクを回避するため固定金利での調達に努めて」いると書いています。


6. 西大寺モールと生鮮センター:設備投資と借入

計画投資予定総額既支払額(2026年2月末)着手完了予定
西大寺店の建て替え(岡山市東区、売場面積7,283㎡)35億11百万円11億58百万円2025年5月2026年秋
生鮮センター(物流倉庫)の改修(岡山市南区)25億32百万円5億30百万円2026年2月2027年6月

(出所:有価証券報告書「設備の新設、除却等の計画」。資金調達方法はいずれも「自己資金及び借入金等」)

2つの計画の残り(約43億円)は、前期の営業キャッシュ・フロー(29億51百万円)の約1.5年分にあたります。前期の設備投資は総額44億97百万円で、上期の有形固定資産の取得も20億14百万円でした。

この投資は、強気・弱気の両方に置けます。

  • 強気:西大寺モールは当社初のモール形式で、スーパー・専門店・惣菜(でりかエッセンの「おむすび」「鯛焼き」の出店)を1か所に集める施設です。軸の例えでいう「のれん」を地域の拠点として建て直す投資であり、テナント家賃は営業収入として入ります
  • 弱気:完成した建物は毎年の減価償却費になります。上期の減価償却費は8億39百万円で前年比+10.2%でした。生鮮センターの改修が終わる2027年6月以降も費用は増える方向です。2029年2月期からは新しいリース会計基準の適用も予定され、会社は影響を「評価中」としています

なお、自己資本比率は59.9%、借入金は自己資本の約16%で、借入が増えても財務の余力そのものはまだ大きい状態です。


7. 株主還元:配当と株主優待

配当の推移

決算期中間期末年間配当性向(連結)配当の決め方
2022年2月期3円3円6円6.5%安定配当
2023年2月期3円3円6円6.5%安定配当
2024年2月期5円5円10円9.6%安定配当
2025年2月期7円7円14円10.2%安定配当
2026年2月期7円8.5円15.5円13.2%安定配当(期末に1.5円増配)
2027年2月期(予想)10円(実施)10円20円16.4%安定配当

(出所:各期の決算短信。配当性向は短信記載の連結ベース、今期は会社予想EPS121.66円で筆者が計算)

配当方針は有報に「長期的な視野に立ち安定的な配当を継続することを基本方針」とあり、配当性向やDOE(自己資本に対する配当の比率)の数値目標はありません。4年で6円→20円と3倍以上になりましたが、配当性向は16.4%、DOEは0.8%程度(筆者の計算)で、利益に対しても純資産に対してもまだ低い水準です。

前期は利益が期初予想を下回ったにもかかわらず、期末配当を7円→8.5円に増やしました(2026年4月13日の配当予想の修正)。会社は理由を「今後の事業展開や内部留保の状況、株主への還元等を総合的に勘案」と書いています。

  • 中間配当:基準日8月31日、取締役会で決定。今期は1株10円(総額は約1億15百万円)、支払開始は2026年11月9日
  • 期末配当:基準日2月末日、株主総会で決定

次の権利付き最終日:期末の基準日2027年2月28日は日曜日なので、直前の営業日2月26日(金)を起点に2営業日さかのぼり、**2027年2月24日(水)**です。期末配当と、次に述べる株主優待の両方がこの日で確定します。

用語メモ:「権利付き最終日」は、その日の取引終了時に株を持っていれば配当や優待の権利が得られる最終日です。株の受け渡しは売買の2営業日後なので、基準日の2営業日前になります。

株主優待(年2回)

有報の「株主に対する特典」と会社IRサイトの株主ご優待制度のページを確認しました。両者の内容は一致しています。

8月31日と2月末日の株主名簿に記載された100株以上の株主に、「天満屋ギフトカード」か「VJAギフトカード」のどちらかが、年2回届きます。

保有株式数天満屋ギフトカード(1回)VJAギフトカード(1回)年間の1株あたり(天満屋GC)年間の1株あたり(VJA)
100〜499株1,000円分1,000円分20.0円(100株の場合)20.0円(100株の場合)
500〜999株2,000円分1,000円分8.0円(500株の場合)4.0円(500株の場合)
1,000〜1,999株3,000円分3,000円分6.0円(1,000株の場合)6.0円(1,000株の場合)
2,000〜2,999株4,000円分3,000円分4.0円(2,000株の場合)3.0円(2,000株の場合)
3,000〜3,999株5,000円分3,000円分3.3円(3,000株の場合)2.0円(3,000株の場合)
4,000〜4,999株7,000円分3,000円分3.5円(4,000株の場合)1.5円(4,000株の場合)
5,000株以上10,000円分3,000円分4.0円(5,000株の場合)1.2円(5,000株の場合)

(出所:有価証券報告書、会社IRサイト。1株あたりは筆者の計算で、各区分の下限の株数で割っています)

この表のポイントは、優待の効率が100株に極端に集中していることです。

  • 100株なら年2,000円分で、1株あたり20円=年間配当20円(予想)と同じ額です
  • 200株持っても優待は100株と同じ年2,000円分なので、1株あたりは10円に半減します。100株から買い増すと、次の区分の500株までは、株数を増やすほど優待の利回りは下がります
  • VJAギフトカードを選ぶ場合、100株と999株の優待は同じです

名目利回り?(2026年10月7日終値981円で計算)

保有株式数投資額優待(年、名目)配当(年、予想)優待+配当の名目利回り
100株98,100円2,000円2,000円4.08%
500株(天満屋GC)490,500円4,000円10,000円2.85%
1,000株981,000円6,000円20,000円2.65%

(筆者の試算。配当は税引前)

名目と実質のギャップ

  • 天満屋ギフトカードは、天満屋ストア・天満屋・米子しんまち天満屋の直営売場でしか使えません。ショッピングセンター内の専門店(テナント)では使えません。有効期限はありません。岡山・広島・鳥取の店舗に通える人には名目に近い価値がありますが、そうでない人には実質的な価値は低くなります。軸の例えでいう「のれん」の及ぶ範囲で使うギフトカードです
  • VJAギフトカードは全国のVJAギフトカード取扱加盟店で使えるので、店に通えない人でも使い道があります。ただし現金への引き換えはできません
  • 2025年8月31日の基準日から、優待の選択方法が変わりました。返送はがきが必要なのは、それまでの「VJAギフトカード希望者」から「天満屋ギフトカード希望者」に変わっています(2025年8月28日のお知らせ)。何もしなければVJAギフトカードが届く形です

制度の継続性

優待の費用は開示されていません。有報の所有者別状況では、2026年2月末の株主数は8,174人(うち個人8,003人)でした。全員が最小の区分(年2,000円分)だとすると、年間の費用は約16百万円で、前期の営業利益の約0.7%です(筆者の試算。実際は保有株数の多い株主の分だけ増えます)。費用の規模から見て、制度の負担は現時点では大きくありません。ただし、制度の変更・廃止の可能性について会社は何も述べておらず、継続を保証するものでもありません。

8月27日(木)が中間配当と優待の権利付き最終日で、その翌日の8月28日(金)の終値は前日比△10円(994円→984円)でした。中間配当10円と、100株あたり1,000円分(1株10円相当)の優待の権利が落ちた日の値動きです(事実のみ記載します)。


8. 株主構成と資本関係

上位株主

株主持株比率当社との関係(開示の記載)
丸田産業23.95%筆頭株主。「その他の関係会社」。不動産賃貸中心で、当社と重要な取引・人的関係なし
イトーヨーカ堂20.00%「その他の関係会社」。2013年12月に資本提携。商品仕入の取引あり。社外取締役1名が同社の従業員
天満屋12.77%関連当事者(法人主要株主)。商品券等の発行・回収業務の受託、敷金の預り
天満屋ストア共栄会8.35%有報に会の性格の説明はありません
中国銀行3.26%―
天満屋ストア共和会3.15%有報に会の性格の説明はありません
三菱食品1.52%―
大和証券1.49%―
百十四銀行1.04%―
三井住友銀行0.80%―
上位10者の合計76.32%―

(出所:有価証券報告書の大株主の状況(2026年2月28日現在)、支配株主等に関する事項(2026年5月19日)。持株比率は自己株式50株を除いた発行済株式に対する比率)

のれんの持ち主側:丸田産業と天満屋

「非上場の親会社等の決算に関するお知らせ」(2026年5月19日)で、筆頭株主の丸田産業の中身が開示されています。

  • 丸田産業の株主は、丸田ビル(議決権の100%)と、天満屋(発行済株式の62.7%を持つが、会社法の相互保有の規定により議決権はない)
  • 丸田産業の代表取締役会長は伊原木一衛氏(元・天満屋社長、元・天満屋ストア社長・会長)、代表取締役社長は伊原木省五氏(天満屋会長、元・天満屋ストア代表取締役会長)
  • 丸田産業の総資産は112億円、うち投資有価証券31億円

開示から確認できるのは、丸田産業と天満屋が資本(議決権のない持分)と役員で結びついているという事実までです。天満屋ストアの開示は丸田産業と天満屋を別々の株主として扱っており、本記事でも両社の持株比率を合算した数字は主表示にしません。参考として、仮に合算すると36.72%で、株主総会の特別決議を否決できる3分の1を超える水準です(筆者の合算。共同保有等の開示はありません)。

用語メモ:「その他の関係会社」は、当社の議決権の20%以上を持つなど、当社に重要な影響を与えうる会社のことです。丸田ビルは丸田産業の親会社として、間接的に「その他の関係会社」に当たります。

全国チェーン側:イトーヨーカ堂の親会社が変わった

イトーヨーカ堂の上にいる会社は、この1年半で2回変わっています。

日付出来事(当社の開示)
2013年12月10日イトーヨーカ堂と資本提携、セブン&アイ・ホールディングス・天満屋との3社で業務提携(物流・情報システム・人材開発・商品調達・店舗開発)
2025年2月28日イトーヨーカ堂がセブン&アイの完全子会社ヨーク・ホールディングスの子会社に(グループ内再編)
2025年9月1日ヨーク・ホールディングスの事業がベインキャピタル側の会社に移り、イトーヨーカ堂は(新)ヨーク・ホールディングスの子会社に。その親会社BCJ-95の株主はベインキャピタル60%、セブン&アイ35.07%、その他4.93%
2025年9月11日ベインキャピタル・BCJ-95の詳細は「相手先の意向により非開示」。当社との人的関係・営業取引なし
2026年2月28日現在イトーヨーカ堂の持株比率は20.00%のまま

(出所:その他の関係会社の異動に関するお知らせ(2025年1月10日、9月5日、9月11日)、有価証券報告書)

会社はこの異動について、業績への影響は「軽微」としています。有報の「重要な契約等」には、2013年の資本提携・業務提携の契約が引き続き記載されており、売場ではセブンプレミアムを展開しています。

一方、20%を持つ株主の親会社がファンドを中心とする会社に変わったことで、その株主が将来どう動くかは、当社の開示からは分かりません。本記事はこの点について推測を書きません。次の有報(2027年5月)の大株主の状況と、その他の関係会社に関する開示が確認先です。

議決権行使の結果と流動性

2026年5月26日の定時株主総会では、期末配当の議案の賛成割合が99.34%、取締役8名の選任議案の賛成割合が99.18〜99.32%でした(臨時報告書)。

株式の流動性は低めです。2026年7〜10月の1日の出来高は900株〜21,800株、終値は978円〜1,008円の範囲で推移しました(Yahoo!ファイナンスの時系列、報道ベース)。信用買残は62,200株、信用売残は0株です(10月2日時点)。売買したいときに思った値段で売買できない可能性は、軸の例えの弱み②として、株価の見方の弱気側に置きます。


9. 株価の見方

基準となる数字(2026年10月7日終値981円)

指標値計算の前提
時価総額約113億円発行済株式11,550,000株×981円
予想PER8.1倍会社予想EPS121.66円
PBR0.40倍8月末の自己資本283億88百万円÷自己株式・信託分を除いた株数11,508,340株=1株約2,467円
予想配当利回り2.04%年20円
優待+配当の名目利回り(100株)4.08%第7章

(筆者の計算)

今回の決算は10月7日15時30分、取引終了と同時刻に発表されたので、10月7日の終値981円には決算への反応は含まれていません。同日の出来高14,000株も、開示の前の取引です。決算を受けた値動きは10月8日以降に出ます。

一次情報から株価の履歴をたどると、有報の株価収益率8.3倍×1株当たり当期純利益117.56円から逆算した2026年2月末の株価は約976円です。有報の最高・最低株価は、直近5期で925円〜1,255円の範囲でした。有報の株主総利回り(5年)は89.5%で、比較指標の配当込みTOPIX(238.4%)を大きく下回っています。

強気の材料

  • PBR0.40倍は、純資産に対して株価が4割の水準です。自己資本比率は約60%で、財務の安全性は高い
  • 配当は4年で6円→20円に増え、配当性向は16.4%とまだ低く、増配の余地はあります。前期は利益が予想を下回っても増配しました
  • 100株なら優待と配当で名目4%強になり、株価の値動きは7〜10月で30円程度の幅に収まっています
  • 下期には西大寺モールのグランドオープンが入り、2024年2月期のように下期が予想を上回った年もあります
  • 純利益予想は経常利益予想との間に約3億円の余白を持っており、営業利益が届かなくても純利益は届く可能性があります(第5章)

弱気の材料

  • 上期の営業利益は上期予想の83.0%で、据え置かれた通期予想は下期に前年比+20.7%を求めています。据え置いた過去2期は、いずれも下期で予想に届きませんでした(第4章)
  • 下期の営業収益に置かれた+11.1%は、上乗せ(ヒナセ)なしで達成しなければならない伸び率です
  • 粗利率は2四半期続けて前年から2pt以上下がっています。台所側が値段を自分で決められない限り、値下げ競争の影響は続く可能性があります(理由の切り分けは第3章の注意を参照)
  • 西大寺店の建て替えと生鮮センターの改修で減価償却費と支払利息が増える局面に入っています
  • 上位10者で76.32%を持ち、出来高は1日数千株の日が多い。流動性が低く、5年の株主総利回りは配当込みTOPIXを大きく下回っています
  • 20%を持つイトーヨーカ堂の親会社がファンド主導の会社に変わり、その株主の今後の方針は開示されていません

個人的な整理

この会社は、売上も利益も大きく動かない代わりに、「会社予想どおりに着地するか」が数字の読みどころになる銘柄です。今回の上期は、期初の上期予想を17%下回りながら修正の開示基準には届かず、通期予想は据え置かれました。据え置きの中身は「下期に前年比2割増」です。個人的には、この置き方を前提にPERを計算するより、前年下期並み(11億円台)の営業利益だった場合の数字も手元に置いて、第3四半期決算を待つのが自然な読み方だと考えています。前年下期並みなら通期の営業利益は約20億7千万円となり、予想を約1割下回ります(筆者の試算)。


10. 今後のカレンダーと見るべきKPI

時期イベント見るところ
2026年10月8日以降決算発表後の初めての取引15時30分発表のため、反応はこの日以降
2026年10月14日(水)半期報告書の提出予定日注記の追加情報、セグメント情報の補足
2026年秋天満屋ハピーズ西大寺モールのグランドオープン予定営業収入(テナント家賃)の伸び
2026年11月9日中間配当(10円)の支払開始―
2026年11月上旬ごろ8月末基準の株主優待の発送―
2027年1月上旬(例年)第3四半期決算9〜11月の粗利率と営業利益率、通期予想の修正の有無
2027年2月24日(水)期末配当・株主優待の権利付き最終日基準日2月28日は日曜日
2027年4月中旬(例年)通期決算販管費の内訳(区分の変化の有無)、特別損失の中身、来期予想
2027年5月有価証券報告書・定時株主総会大株主の状況、その他の関係会社の開示
2027年6月生鮮センター改修の完了予定減価償却費
2028年3月〜新リース会計基準の適用(2029年2月期の期首から)会社は影響を評価中

(第3四半期決算・通期決算の日付は例年の発表日からの推定)

見るべきKPI

  1. 9〜11月の粗利率と営業利益率:前年は28.83%・3.51%。下期の予想は営業利益率4.08%を置いています
  2. 下期の営業収益の伸び:予想は前年比+11.1%。第3四半期の3か月で+11%に近づいているか
  3. 販管費の水準:今期は四半期39〜41億円。西大寺モールの開業後も前年を下回り続けるか
  4. 特別損失:純利益予想が置ける余白は約3億円
  5. 支払利息と借入金:上期は支払利息42百万円、借入金44億63百万円

11. 3行まとめ

  • 上半期の営業利益は9億54百万円(前年比△10.8%)で、期初の上期予想の83.0%。粗利率が2四半期続けて2pt以上下がり、販管費の減少では埋めきれませんでした。6〜8月の営業利益率2.55%は14四半期で最も低い水準です
  • 修正の開示基準には届かず通期予想は据え置かれましたが、その中身は下期に営業利益で前年比+20.7%、営業収益で+11.1%を置くもので、据え置いた過去2期の下期はいずれも届いていません
  • 配当20円予想とPBR0.40倍、100株なら優待込みで名目4%強という支えがある一方、大株主の構成と流動性の低さ、イトーヨーカ堂の親会社の変化も含めて、第3四半期決算(例年1月上旬)が次の確認点です

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘・助言を目的としたものではありません。数値の出典は、天満屋ストアの決算短信(2024年2月期〜2027年2月期上半期の各四半期)、有価証券報告書(2026年5月25日提出)、臨時報告書(2026年5月27日提出)、適時開示(配当予想の修正、その他の関係会社の異動、支配株主等に関する事項、非上場の親会社等の決算、子会社の株式取得、代表取締役の異動)、会社IRサイトの株主ご優待制度のページとお知らせです。四半期単独の数値、増減の分解、達成率、予想が置いた下期、税負担率からの逆算、利回り、PER・PBRは、開示値をもとにした筆者の計算・試算です。株価・出来高・信用残はYahoo!ファイナンスの表示(報道ベース)によります。

当四半期について、会社は決算補足説明資料を作成しておらず、決算説明会も開催していません。本記事の会社の説明は中間決算短信と過去の短信・有報の記載によるもので、当四半期についての会社の追加説明・質疑応答は一切反映していません。粗利率の低下と販管費の減少が同時に起きた理由に関する記述(値下げ・省人化の影響、または費用の計上区分の変更の可能性)、ヒナセショッピングセンターの連結期間から読んだ上期の買収の上乗せ、前期の店舗閉鎖損失と西大寺店の関係、西大寺モールが下期の増収見込みに含まれている可能性は、いずれも筆者の推測であり、会社の開示に基づくものではありません。ヒナセショッピングセンターの売上高・取得価額以外の業績は非開示で、上乗せの規模は分かりません。株主優待は金額が開示されていますが、費用の総額は開示されておらず、本文の費用は筆者の試算です。丸田産業と天満屋の持株比率の合算は筆者による参考値で、共同保有等の開示に基づくものではありません。ベインキャピタル・BCJ-95の詳細は相手先の意向で非開示とされており、本記事は同社の方針に触れていません。決算発表は2026年10月7日15時30分(取引終了と同時刻)で、本記事の株価は同日の終値であり、決算への反応は含まれていません。

記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。

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