本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。**執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。**特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
この記事でわかること
- 2026年8月期の営業利益44億40百万円(前期1億17百万円の約38倍)が、どこから来たのか。会社が挙げた3つの理由と、「仕入れてから売るまで数か月かかる」という事業の性質から読む
- 来期予想(売上+27.8%・営業利益△30.2%)の前提にある「銅13,000ドル・1ドル160円」が、今期の平均や足元の相場と比べてどの位置にあるか。そこから逆算される「1トンあたりの稼ぎ」の置き方(筆者の試算)
- 過去3期の会社予想の外れ方。期初予想は3年続けて6〜7億円台だったのに、今回だけ31億円で始まった意味
- 銅高が貸借対照表に残すもの(売掛金・在庫・借入金)と、営業キャッシュ・フローが純利益を下回った理由
- 配当(記念・特別込み40円→来期30円)と、中期経営計画の「配当性向30%」との距離、株主優待(QUOカード)の開示の食い違い
- 決算翌日の株価△15.6%を、どう読み分けられるか
1. 前提知識:MERFはどんな会社か
1-1. 古い銅を買い集めて、仕分けるか、溶かすか
MERF(旧社名:黒谷株式会社。2025年1月に商号変更)は、富山県射水市に本社と工場を置く非鉄金属のリサイクル会社です。社名は「MEtal Recycling for the Future」の頭文字です。
仕事の風景から説明します。解体された建物から出る銅線、工場で出る真鍮の削りくず、使い終わった銅管。こうした「古い銅」を、国内外の問屋やメーカーから買い集めます。集めた銅は約150品種に仕分けてプレスし、電線メーカーや製錬会社にそのまま売る(リサイクル原料)。あるいは自社の炉で配合・溶解し、約50品種の「インゴット(地金の塊)」にして売る。インゴットの主な行き先は、大型船のスクリューを作るメーカーです。会社は船舶用スクリュー素材の供給で世界最大のシェアだと説明しています(会社サイトの記載)。
この記事では、MERFを**「古い銅を世界中から買い集めて仕分け、そのまま売るか溶かして船のスクリューの材料にして売っている会社」**として読みます。この1文には、強みと弱みが同じ形で入っています。
- 強み:買い集める網(国内外の仕入先)と、仕分け・配合・溶解の技術。同じ「古い銅」でも、どう仕分けてどう混ぜるかで売り値が変わる
- 弱み①:銅の値段は自分で決められない。 仕入れも販売も、ロンドン金属取引所(LME)の銅価格を基準に毎日動きます。しかも、買ってから売るまでに数か月かかります。その間に銅の値段が上がれば利ざやが広がり、下がれば縮みます
- 弱み②:買い集めるには、先にお金が要る。 在庫を持ち、前渡金を払い、売った代金は後から入る。銅の値段が上がるほど、同じ量を扱うのに必要なお金が増え、借入金が膨らみます
この「弱み①」は筆者の解釈ではなく、会社自身が書いていることです。2024年8月期の業績が予想を下回ったときの開示で、会社は次のように説明しています(原文)。
当社グループでは、リサイクル原料の仕入れから販売までに数か月を要し、短期的な価格変動に影響されやすい特徴があります。 (2024年10月11日「2024年8月期通期業績と業績予想との差異に関するお知らせ」)
この2つの弱みは、今回の決算の読み方にそのまま対応します。弱み①は損益計算書の「粗利率」に、弱み②は貸借対照表の「売掛金・在庫・借入金」に出ます。
1-2. 事業の中身を1つの表で
| 区分 | 2026年8月期 売上高 | 前期比 | 中身 |
|---|---|---|---|
| インゴット | 457億42百万円 | +28.7% | 古い銅を配合・溶解した地金。船のスクリュー、給水設備向け等 |
| リサイクル原料 | 599億88百万円 | +30.1% | 仕分け・プレスした古い銅を、電線メーカー・製錬会社等へ販売 |
| その他 | 3億円 | +30.3% | 伸銅品等の仕入販売 |
| 非鉄金属事業 計 | 1,060億31百万円 | +29.5% | セグメント利益42億87百万円 |
| 美術工芸事業 | 8億13百万円 | +45.8% | 金製品・キャラクター製品等。セグメント利益1億52百万円 |
| 連結 | 1,068億45百万円 | +29.6% | 営業利益44億40百万円 |
この表のポイントは2つです。1つ目は、売上の99%以上が非鉄金属事業で、利益もほぼすべてここから来ていること。2つ目は、売上が3割増えたのに、販売数量はインゴットで3.6%減、リサイクル原料で8.5%減、全体で6.3%減だったことです(会社の決算短信)。売上の増加は「量」ではなく「値段」から来ています。
用語メモ:会社の決算短信によると、2026年8月期のLME銅価格の期中平均は前期比32.7%高、為替は5.3%の円安で、円に直した銅の価格(期中平均円ベースCash価格)は前期比40.0%高でした。数量が6.3%減っても、値段が4割上がれば売上は3割増えます(0.937×1.40≒1.31)。
1-3. 直近3期の業績と来期予想
| 項目 | 2024年8月期 | 2025年8月期 | 2026年8月期 | 2027年8月期(会社予想) |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 820億70百万円 | 824億63百万円 | 1,068億45百万円 | 1,365億38百万円 |
| 売上総利益 | 31億20百万円 | 23億33百万円 | 73億98百万円 | 開示なし |
| 売上総利益率 | 3.80% | 2.83% | 6.92% | 開示なし |
| 営業利益 | 14億50百万円 | 1億17百万円 | 44億40百万円 | 31億円 |
| 営業利益率 | 1.77% | 0.14% | 4.16% | 2.27% |
| 経常利益 | 10億37百万円 | △2億20百万円 | 43億42百万円 | 26億64百万円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5億32百万円 | △2億3百万円 | 27億91百万円 | 18億33百万円 |
| 1株当たり当期純利益(EPS) | 37.72円 | △14.37円 | 197.33円 | 129.51円 |
| 1株当たり純資産(BPS) | 671.51円 | 652.05円 | 879.81円 | ― |
| 自己資本利益率(ROE) | 5.6% | △2.2% | 25.8% | ― |
| 自己資本比率 | 35.6% | 35.9% | 37.2% | ― |
| 1株当たり配当 | 20円 | 20円 | 40円 | 30円 |
| 配当性向(連結) | 53.0% | ― | 20.3% | 23.2% |
出典:各期の決算短信、有価証券報告書、2025年8月期決算説明資料(株主懇談会資料)。利益率・配当性向は開示値または筆者の計算(四捨五入)。
この表のポイントは2つです。1つ目は、売上はほぼ同じなのに、営業利益が1億円台から44億円まで振れる会社だということ。粗利率が1%動くだけで、売上800〜1,000億円規模では営業利益が8〜10億円動きます。2つ目は、来期予想の営業利益率2.27%が、今期(4.16%)と2024年8月期(1.77%)の間に置かれていることです。この「間」の意味を、第3章で掘り下げます。
株式分割は2018年3月の1株→2株が最後で、上の表の期間は分割の調整は不要です。潜在株式(新株予約権等)もありません(決算短信の「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」は記載なし、有報の新株予約権等の状況は「該当事項はありません」)。
1-4. 米国子会社の決算日は6月30日
2025年1月17日、米国子会社のCMX Metalsが、カリフォルニア州で約40年操業してきた銅合金インゴットメーカー「California Metal-X」の事業を譲り受けました。譲受価額は約11億18百万円です(有報の企業結合等関係注記・連結キャッシュ・フロー計算書)。
ここで1つ、読み方の注意があります。米国子会社2社(KUROTANI NORTH AMERICA INC.とCMX Metals)の決算日は6月30日で、MERFはその決算日の財務諸表をそのまま連結しています(有報の「連結子会社の事業年度等に関する事項」)。
| 項目 | 2025年8月期 | 2026年8月期 | 2027年8月期 |
|---|---|---|---|
| MERF本体の期間 | 2024年9月〜2025年8月 | 2025年9月〜2026年8月 | 2026年9月〜2027年8月 |
| 連結に含まれた譲受事業の期間 | 2025年1月17日〜6月30日(約5.5か月) | 2025年7月〜2026年6月(12か月。筆者の整理) | 2026年7月〜2027年6月(12か月。筆者の整理) |
2025年8月期の期間は有報の注記に明記されています。2026年8月期・2027年8月期の期間は、決算日が6月30日で同決算日の財務諸表を使うという注記からの筆者の整理で、2026年8月期の有報(11月18日提出予定)で確認できます。
この表のポイントは、2026年8月期は前期より約6.5か月分多く米国の事業が入っていて、2027年8月期にはその「上乗せ」がなくなることです。会社は7月の上方修正で、営業利益の改善理由の1つに「年間で連結化した米国子会社の寄与」を挙げています。この寄与は来期には「前年もあった」ものになり、増益要因にはなりません。
参考までに、有報には「事業譲受が期首に完了していたら」の試算があり、2025年8月期の売上高が46億83百万円、営業利益が63百万円多かったとされています(監査を受けていない概算額)。ただしこれは2025年8月期の相場での数字で、CMX単独の2026年8月期の利益は開示されていません。
1-5. 会社予想の達成履歴:期初予想は3年続けて6〜7億円台だった
| 期 | 期初予想の営業利益(開示日) | 期初予想の前期比 | 修正(開示日) | 実績 | 期初予想比 | 最終予想比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年8月期 | 6億34百万円(2023/10/13) | +19.2% | 22億71百万円(2024/7/12・第3四半期と同日) | 14億50百万円 | 228.7% | 63.8% |
| 2025年8月期 | 7億39百万円(2024/10/11) | △49.0% | △1億97百万円(2025/4/11・中間と同日) | 1億17百万円 | 15.8% | ―(予想は赤字) |
| 2026年8月期 | 7億44百万円(2025/10/10) | +535.9% | 27億56百万円(2026/2/13)→45億61百万円(2026/7/13・第3四半期と同日) | 44億40百万円 | 596.8% | 97.3% |
| 2027年8月期 | 31億円(2026/10/14) | △30.2% | ― | ― | ― | ― |
出典:各期の決算短信、業績予想の修正・差異に関する適時開示。比率は筆者の計算。
この表のポイントは3つです。
1つ目は、期初予想が3年続けて6〜7億円台に置かれ、実績はそのたびに上にも下にも大きく外れてきたことです。外れ方は228.7%、15.8%、596.8%で、方向も一定しません。「控えめに置いて上振れる会社」とも「強気に置いて下振れる会社」とも言えず、銅の値動き次第でどちらにも外れる予想だと読むのが、表から言える範囲です。
2つ目は、第3四半期で上方修正した年に、最後の3か月で届かなかったことが2回あることです。2024年8月期は7月の修正が6〜8月に約7億72百万円の営業利益を置いていましたが、実際の6〜8月は49百万円の営業損失でした。会社は理由を、5月に過去最高値を付けた銅が8月末にかけて急落し、利ざやが縮んだためと説明しています。2026年8月期も、7月の修正が6〜8月に置いた営業利益11億59百万円に対し、実際は10億38百万円(達成率89.6%)でした。
3つ目は、2027年8月期の期初予想31億円は、この3年間の「置き方」とまったく違うことです。過去3年の期初予想はいずれも6〜7億円台でした。今回は前期実績の約7割を、期初の時点で置いています。過去と同じだけ上振れる、とは表からは言えません。
用語メモ:業績予想の修正を開示する基準は、売上高で10%、利益で30%以上のずれです。修正が出ていないことは、予想どおりに進んでいることを意味しません。
1-6. 中期経営計画2027との距離
会社は2025年11月の決算説明資料で、「中期経営計画2027」の最終年度(2027年8月期)の目標を引き下げています。
| 重点指標 | 当初計画 | 修正計画(2025年11月) | 2026年8月期 実績 | 2027年8月期 会社予想 | 修正計画に対して |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,000億円 | 900億円 | 1,068億45百万円 | 1,365億38百万円 | 到達済み(予想ベース) |
| 売上高経常利益率 | 3.0% | 2.4% | 4.06% | 1.95% | 予想では未到達 |
| 当期純利益 | 21億円 | 15億円 | 27億91百万円 | 18億33百万円 | 到達済み(予想ベース) |
| 自己資本比率 | 40.0% | 38.0% | 37.2% | ― | 未到達 |
| ROE | 10.0% | 8.0% | 25.8% | ― | 実績は到達 |
| 配当性向 | 30.0% | 30.0% | 20.3% | 23.2% | 未到達 |
出典:2025年8月期決算説明資料(株主懇談会資料)、決算短信。2026年8月期・2027年8月期の比率は筆者の計算。
この表のポイントは、計画を引き下げた1年後に、実績が引き下げ後の目標を大きく超え、来期予想も純利益では修正計画を上回っていることです。一方で、来期予想の経常利益率1.95%は修正計画の2.4%に届かず、配当性向は実績・予想とも30%を下回っています。会社は今回の決算短信で中計の見直しに触れていません(説明資料・説明会とも「無」)。
2. 決算ハイライト(2026年10月14日(水)15時30分発表)
2-1. 損益
| 項目 | 2025年8月期 | 2026年8月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 824億63百万円 | 1,068億45百万円 | +29.6% |
| 売上総利益 | 23億33百万円 | 73億98百万円 | +50億65百万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 22億15百万円 | 29億57百万円 | +7億41百万円 |
| 営業利益 | 1億17百万円 | 44億40百万円 | 約38倍 |
| 営業外損益 | △3億37百万円 | △98百万円 | ― |
| 経常利益 | △2億20百万円 | 43億42百万円 | ― |
| 法人税等合計 | △13百万円 | 15億50百万円 | 税負担率35.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △2億3百万円 | 27億91百万円 | ― |
営業外では、為替差益1億98百万円とデリバティブ評価損1億78百万円がほぼ打ち消し合いました。前期の有報では、MERFのデリバティブは外貨建取引の為替予約と、非鉄金属の価格変動に備える商品先渡取引だと説明されています。前期末時点で注記に載っていたのは米ドルの為替予約(売建)でした。今期の評価損がどの取引から出たかは、2026年8月期の有報で確認できます。
用語メモ:「売建」の為替予約は、将来ドルを決まったレートで売る約束です。円安が進むと、約束したレートが市場より不利になり、評価損が出ます。一方で、手元のドル建ての売掛金などは円安で円換算額が増え、為替差益が出ます。片方だけを見ると損益の向きを読み違えます。
税負担率35.7%は、法定実効税率(前期の有報の税効果会計の注記では、今後解消される一時差異について31.4%)より高めです。理由は決算短信からは分かりません。税率差異の内訳は有報で確認します。
2-2. 財政状態とキャッシュ・フロー
| 項目 | 2025年8月末 | 2026年8月末 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 総資産 | 257億05百万円 | 334億56百万円 | +77億51百万円 |
| 現金及び預金 | 16億39百万円 | 40億70百万円 | +24億31百万円 |
| 売上債権(受取手形・電子記録債権・売掛金) | 91億07百万円 | 127億38百万円 | +36億31百万円 |
| 棚卸資産 | 75億36百万円 | 81億02百万円 | +5億66百万円 |
| 有利子負債(借入金・リース債務) | 131億76百万円 | 145億66百万円 | +13億90百万円 |
| 純資産 | 92億18百万円 | 124億52百万円 | +32億34百万円 |
| 自己資本比率 | 35.9% | 37.2% | +1.3pt |
(百万円未満切り捨て。売上債権・棚卸資産・有利子負債は貸借対照表の科目を筆者が合算)
| キャッシュ・フロー | 2025年8月期 | 2026年8月期 |
|---|---|---|
| 営業活動 | 23億22百万円 | 19億66百万円 |
| 投資活動 | △19億80百万円 | △3億67百万円 |
| 財務活動 | △29百万円 | 5億64百万円 |
この2つの表のポイントは、純利益が27億91百万円出た年に、営業キャッシュ・フローは19億66百万円と前期より少なかったことです。売上債権の増加35億29百万円が、稼いだ現金を吸い込みました。前期は逆に、売上債権が32億02百万円減って営業キャッシュ・フローを押し上げていました。銅の値段が上がると、同じ量を売っても売掛金の金額が膨らみます。これが軸の「弱み②」です(第4章)。
純資産の増加32億34百万円のうち、8億06百万円は「その他有価証券評価差額金」、つまり保有株式の値上がりです。投資有価証券は11億80百万円増えましたが、評価差額金の増加を税効果で割り戻すと〈8億06百万円÷(1−31.4%)≒11億75百万円〉で、増加額とほぼ一致します。買い増したのではなく、値上がりしたと読めます(前期末の主な保有先はほくほくフィナンシャルグループ、古河電気工業、CKサンエツ、UACJ等。今期末の内訳は有報で確認)。
3. 深掘り:銅高で売上3割増なのに、なぜ来期は利益3割減を見込むのか
この章は1つの問いを3段階で読みます。①今期の利益はどこから来たのか、②来期予想はその源泉をどう置いているのか、③その置き方は過去と比べてどうか、の順です。
3-1. 今期の利益はどこから来たのか
まず、12四半期を並べます。MERFは累計しか開示しないので、各四半期の数字は筆者が累計から差し引いて出しました。
| 期間 | 売上高 | 売上総利益 | 粗利率 | 販管費 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年9〜11月 | 177億45百万円 | 6億40百万円 | 3.61% | 4億09百万円 | 2億32百万円 | 1.31% |
| 2023年12〜2月 | 176億63百万円 | 5億63百万円 | 3.19% | 3億61百万円 | 2億02百万円 | 1.14% |
| 2024年3〜5月 | 223億52百万円 | 15億14百万円 | 6.77% | 4億48百万円 | 10億65百万円 | 4.77% |
| 2024年6〜8月 | 243億10百万円 | 4億03百万円 | 1.66% | 4億52百万円 | △49百万円 | △0.20% |
| 2024年9〜11月 | 213億50百万円 | 4億72百万円 | 2.21% | 4億58百万円 | 14百万円 | 0.07% |
| 2024年12〜2月 | 217億15百万円 | 4億37百万円 | 2.01% | 6億15百万円 | △1億79百万円 | △0.82% |
| 2025年3〜5月 | 189億28百万円 | 3億40百万円 | 1.80% | 5億51百万円 | △2億11百万円 | △1.12% |
| 2025年6〜8月 | 204億71百万円 | 10億84百万円 | 5.30% | 5億92百万円 | 4億93百万円 | 2.41% |
| 2025年9〜11月 | 210億99百万円 | 13億62百万円 | 6.45% | 6億24百万円 | 7億37百万円 | 3.49% |
| 2025年12〜2月 | 244億93百万円 | 24億81百万円 | 10.13% | 7億02百万円 | 17億78百万円 | 7.26% |
| 2026年3〜5月 | 279億00百万円 | 15億48百万円 | 5.55% | 6億62百万円 | 8億86百万円 | 3.18% |
| 2026年6〜8月 | 333億54百万円 | 20億08百万円 | 6.02% | 9億69百万円 | 10億39百万円 | 3.11% |
筆者の差し引き(四捨五入)。各期の4四半期の合計が通期の開示値と一致することを確認済み。2025年1月17日以降は米国の譲受事業を含みます。
この表のポイントは3つです。
1つ目は、販管費は四半期あたり4〜10億円で比較的なだらかなのに、粗利率が1.66%から10.13%まで動き、それがそのまま営業利益の振れになっていることです。この会社の利益は、ほぼ粗利率で決まります。
2つ目は、季節性と呼べる形は出ていないことです。3年のうち最も利益が大きかった四半期は、2024年は3〜5月、2025年は6〜8月、2026年は12〜2月で、毎年違います。四半期の利益を「1年の4分の1」として読むことはできません。
3つ目は、2024年3〜5月の粗利率6.77%の直後に、6〜8月が1.66%まで落ちていることです。この2つの四半期は、LME銅価格が5月に1トン10,129ドルの過去最高値を付け、8月にかけて急落した時期にあたります(前期の有報の月次データ)。上がっている間は利ざやが広がり、下がり始めると縮む。冒頭で引いた「仕入れから販売まで数か月」が、数字にそのまま出た例です。
用語メモ:MERFの棚卸資産は「総平均法による原価法」で評価されています(有報の会計方針)。一定期間に仕入れた分の平均単価で売上原価を計算する方法です。値段が上がり続ける局面では、売上は新しい(高い)値段で立ち、原価には過去の(安い)仕入れが混ざるので、粗利が厚く出やすくなります。値段が下がる局面では逆に働きます。会社は在庫評価の影響額を開示していないので、筆者もこの効果の金額は推定しません。
参考として、前期の有報にある月次データから、2024年8月期・2025年8月期の四半期平均の銅価格を出すと次のとおりです。
| 期間 | LME銅(ドル/トン、四半期平均) | 円換算(円/kg、筆者の計算) | 粗利率 |
|---|---|---|---|
| 2023年9〜11月 | 8,128 | 1,211.8 | 3.61% |
| 2023年12〜2月 | 8,350 | 1,225.3 | 3.19% |
| 2024年3〜5月 | 9,429 | 1,445.6 | 6.77% |
| 2024年6〜8月 | 9,333 | 1,440.3 | 1.66% |
| 2024年9〜11月 | 9,290 | 1,384.2 | 2.21% |
| 2024年12〜2月 | 9,076 | 1,398.4 | 2.01% |
| 2025年3〜5月 | 9,484 | 1,386.7 | 1.80% |
| 2025年6〜8月 | 9,753 | 1,427.0 | 5.30% |
円換算は月次のLME価格×月中平均の為替(TTM)の3か月平均。2026年8月期の月次データは有報(11月18日提出予定)に載る見込みで、この記事では使えていません。
この表は、粗利率が銅価格の「水準」ではなく「動き」と関係していそうなことを示していますが、きれいに連動しているわけではありません。たとえば2024年6〜8月は、四半期平均では前の四半期とほぼ同じ価格なのに粗利率は大きく落ちています。四半期の平均は、四半期の中での急落(5月の高値から8月末へ)を均してしまうからです。粗利率と銅価格の関係は、会社自身が過去の開示で説明した方向(上昇局面で利ざや拡大、下落局面で縮小)として受け取るにとどめ、数式で結ぶことはしません。
では、今期の利益について会社は何と言っているか。2026年7月の上方修正で、会社は営業利益の改善理由を次の3つに整理しています(原文)。
営業利益の改善は、銅価格高騰による原材料価格高騰を受けて販売価格に転嫁できたこと、低マージン販売先の見直し、年間で連結化した米国子会社の寄与が主要因となります。 (2026年7月13日「2026年8月期通期業績予想の修正に関するお知らせ」)
3つを、来期にも続くかどうかで並べると次のようになります。
| 会社が挙げた要因 | 性質 | 来期の扱い(筆者の整理) |
|---|---|---|
| 銅価格高騰を販売価格に転嫁 | 相場の上昇局面で出る | 来期の前提は「銅13,000ドル」。上昇が続く前提ではない(3-2) |
| 低マージン販売先の見直し | 会社の判断。数量を減らして率を取る | 続く可能性はある。ただし数量はすでに2年続けて減っている |
| 米国子会社の通年連結 | 連結期間の差(約5.5か月→12か月) | 来期は前年も12か月。上乗せはなくなる(1-4) |
さらに、前期の営業利益1億17百万円には一時的な費用が含まれていました。米国の事業譲受のアドバイザリー費用等2億24百万円(有報の企業結合注記)と、新規事業(基板事業)の営業債権にかかる貸倒引当金繰入額1億06百万円(有報の販管費注記)です。足し戻すと前期の営業利益は約4億48百万円で、「38倍」は約10倍になります(会計上の利益ではなく筆者の参考値)。それでも、10倍が大きいことに変わりはありません。
最後に、今期の利益の大きさを「1トンあたり」に直してみます。MERFは販売トン数を開示していませんが、前期比の増減率は開示しています(連結ベース:2025年8月期△7.4%、2026年8月期△6.3%)。2024年8月期を100とした数量の指数で売上総利益を割ると、次のようになります。
| 期 | 数量指数(2024年8月期=100) | 売上総利益 | 1単位あたりの売上総利益 | 円建て銅価格の指数 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年8月期 | 100.0 | 31億20百万円 | 31.2 | 1.000 |
| 2025年8月期 | 92.6 | 23億33百万円 | 25.2 | 1.051 |
| 2026年8月期 | 86.8 | 73億98百万円 | 85.3 | 1.471 |
筆者の試算。数量指数は会社が開示した前期比の増減率を掛け合わせたもので、品目構成(インゴットとリサイクル原料、国内と米国)の違いを無視しています。円建て銅価格の指数は、会社が開示した期中平均円ベース価格の前期比(+5.1%、+40.0%)を掛け合わせたもの。
この表のポイントは、円建ての銅価格が2年で約1.47倍になったのに対し、1単位あたりの売上総利益は約2.7倍になっていることです。値段が上がった分だけ利ざやの「金額」が膨らんだ、という説明だけでは足りません。上昇局面の時間差、低マージン取引の整理、米国事業の上乗せが重なった結果と読むのが、会社の説明とも整合します。
用語メモ:販売数量の増減率は書類によって違うことがあります。2025年8月期について、招集通知の事業報告は「当社においては」として全体△11.1%(インゴット+6.2%、リサイクル原料△17.9%)、有報は「当社グループにおいては」米国の事業譲受込みで全体△7.4%(インゴット+17.8%、リサイクル原料△17.3%)と書いています。前者は単体、後者は連結の数字とみられますが、会社は定義を明記していません。この記事では連結の数字を使っています。
3-2. 来期予想は、その源泉をどう置いているのか
前の節で見た「今期の利益の源泉」のうち、米国子会社の上乗せは来期には消えます。では残りの2つ、相場と取引の選別を、来期予想はどう置いているのか。
会社は決算短信に、来期予想の前提を3つだけ書いています(原文の要旨)。為替レート(TTM)160円、銅価格13,000ドル、銅建値2,080円/kgです。2,080円は13,000ドル×160円をkgに直した値と一致します。
この前提を、今期の平均と足元の相場に並べます。
| 項目 | 2025年8月期 平均 | 2026年8月期 平均(筆者の推計) | 2026年9月1日 | 2027年8月期 会社の前提 |
|---|---|---|---|---|
| LME銅(ドル/トン) | 9,401 | 約12,475 | 14,395.5 | 13,000 |
| 為替(円/ドル) | 148.91 | 約156.8 | ― | 160 |
| 円建て銅(円/kg) | 約1,399 | 約1,959 | ― | 2,080 |
2025年8月期の平均は前期の有報の月次データから筆者が計算。2026年8月期の平均は、会社が開示した前期比(LME+32.7%、円安5.3%、円ベース+40.0%)を当てはめた推計で、有報の月次データで確認が必要。2026年9月1日の値はチリ銅委員会の日次データを伝えた報道によるLME現物価格(報道ベース)。
この表のポイントは2つです。
1つ目は、会社の前提は今期の平均より少し高い(ドル建てで約+4%、円建てで約+6%)が、9月初めの相場(14,395.5ドル)よりは約1割低いことです。来期予想は「銅がここから上がり続ける」前提でも「大きく崩れる」前提でもなく、今期の平均を少し上回る水準で横ばい、という置き方に近いと読めます。足元の相場から見れば、銅がやや下がる前提です。
2つ目は、売上の伸び(+27.8%)が、銅価格の前提の伸び(円建てで約+6%)を大きく上回ることです。単純に割り算すると、数量か品目構成で約2割の増加を置いている計算になります(1.278÷1.062≒1.20。筆者の試算)。2025年8月期・2026年8月期と、数量は2年続けて減ってきました。会社は来期の数量の前提を開示しておらず、この約2割がどこから来るのか(国内の取引拡大か、米国での増産か、取扱品目の追加か)は分かりません。売上予想の大きさには、この確かめられない前提が入っています。
次に、利益側です。来期の販管費の予想は開示されていないので、販管費を何通りか置いて、営業利益31億円に必要な粗利率を逆算します。
| 販管費の置き方 | 販管費 | 必要な売上総利益 | 必要な粗利率 |
|---|---|---|---|
| 今期並み | 29億57百万円 | 60億57百万円 | 4.44% |
| 今期比+5% | 31億05百万円 | 62億05百万円 | 4.54% |
| 今期比+10% | 32億53百万円 | 63億53百万円 | 4.65% |
筆者の試算。売上高は会社予想の1,365億38百万円で固定。
来期予想は、粗利率4.4〜4.7%前後を置いていることになります。今期の6.92%よりは低く、2024年8月期の3.80%よりは高い水準です。12四半期の表で見ると、4%台の四半期は1つもありません。粗利率は「1〜3%台」か「5%以上」のどちらかに振れてきた会社で、その真ん中に予想が置かれています。
さらに、売上高と粗利率の組み合わせで、営業利益がどう変わるかを並べます。
| 売上高\粗利率 | 2.83%(2025年8月期) | 3.80%(2024年8月期) | 4.50% | 5.55%(2026年3〜5月) | 6.92%(2026年8月期) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1,068億円(今期並み) | 0.7億円 | 11.0億円 | 18.5億円 | 29.7億円 | 44.4億円 |
| 1,200億円 | 4.4億円 | 16.0億円 | 24.4億円 | 37.0億円 | 53.5億円 |
| 1,365億円(会社予想) | 9.1億円 | 22.3億円 | 31.9億円 | 46.2億円 | 64.9億円 |
筆者の試算で、将来の見通しではありません。販管費は今期実績の29億57百万円で固定し、営業利益=売上高×粗利率−販管費で計算(四捨五入)。
この表のポイントは、会社予想(売上1,365億円・営業利益31億円)は「売上が予想どおり伸び、粗利率が今期の約3分の2に戻る」マスに置かれていることです。売上が今期並みにとどまれば、粗利率が5.5%を保っても営業利益は30億円に届きません。逆に、粗利率が今期並みに残れば、売上が伸びなくても44億円です。予想の当たり外れは、売上の約2割増と粗利率の行方の両方にかかっています。
先ほどの「1単位あたり」の表に来期を加えると、置き方がもう少し見えます。売上の伸びのうち、銅価格の前提で説明できない部分を数量の増加とみなし、販管費を今期並みとすると、来期の1単位あたり売上総利益は約58.0になります(筆者の試算)。今期(85.3)の約68%、2024年8月期(31.2)の約1.86倍です。来期予想は、今期に膨らんだ「1トンあたりの稼ぎ」が3分の1ほど縮み、それでも2年前の倍近くは残る前提と読めます。前提を何重にも置いた試算なので、方向をつかむための目安にとどめてください。
上期・下期の割り振りも見ておきます。
| 項目 | 2026年8月期 上期 | 2026年8月期 下期 | 2027年8月期 上期(予想) | 2027年8月期 下期(予想) |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 455億92百万円 | 612億53百万円 | 642億40百万円 | 722億98百万円 |
| 営業利益 | 25億15百万円 | 19億24百万円 | 13億16百万円 | 17億84百万円 |
| 営業利益率 | 5.52% | 3.14% | 2.05% | 2.47% |
| 営業利益の前年同期比 | ― | ― | △47.7% | △7.3% |
2027年8月期下期は〈通期予想−上期予想〉で筆者が算出。
減益の大半は上期に置かれています。今期の上期には、粗利率10.13%の12〜2月が入っていました。来期の上期はその反動を引き受ける形です。下期の営業利益率2.47%は、今期下期の3.14%(3〜5月3.18%、6〜8月3.11%)より低く置かれています。
経常利益から下も確認します。来期予想は、営業外損益に△4億36百万円(26億64百万円−31億円)を置いています。今期の△98百万円、前期の△3億37百万円、2024年8月期の△4億13百万円と比べると、前期・前々期並みの重さです。今期のような為替差益を見込まない置き方と読めます。純利益予想から逆算した税負担率は31.2%(1−18億33百万円÷26億64百万円)で、法定実効税率31.4%とほぼ同じです。特別損益や税の戻りは置いていない予想です。
3-3. その置き方は、過去と比べてどうか
ここまでを、第1章の達成履歴とつなげます。
過去3年の期初予想は、いずれも営業利益6〜7億円台でした。前期実績から見ると、+19.2%(2024年8月期)、△49.0%(2025年8月期)、+535.9%(2026年8月期)と、前期比の形はばらばらでしたが、金額の水準は毎年ほぼ同じでした。好調な年の翌年も、不調な年の翌年も、同じくらいの数字から始める。そういう置き方の会社でした。
今回は違います。期初から31億円、前期比△30.2%です。この置き方の変化には、2つの読み方があります。
- 強気の読み:過去の期初予想は、銅の値動きを読めない中で最低限の利益を置いた数字だった。今回は、低マージン取引の整理や米国事業という「相場以外の稼ぎ」に手応えがあるから、期初から高く置いた
- 弱気の読み:過去の期初予想は実績から大きく外れてきた。今回は、上振れの余地を残さない水準に置いている。しかも、確かめられない「数量約2割増」を売上の前提に含んでいる
どちらの読みでも、数字は同じです。過去3年の外れ方(期初比228.7%、15.8%、596.8%)からは、この会社の予想は銅の値動き次第でどちらにも大きく外れうるということしか言えません。
1つだけ、過去から言えることがあります。銅が下がり始めたときに、利益が予想より早く・大きく縮んだ年があることです。2024年8月期は、7月に22億71百万円へ上方修正した直後の6〜8月に営業損失になり、通期は14億50百万円(修正後予想比63.8%)で着地しました。2026年8月期も、最後の3か月は予想の約9割でした。来期の前提(13,000ドル)は9月初めの相場より約1割低いので、その水準までの下落はすでに予想に入っていると読むこともできます。ただし、下落の「速さ」がどう効くかは、過去の例が示すとおり予想しにくいところです。
会社自身も、2025年11月の中期経営計画の進捗評価で、「急激な相場変動への体制整備が不十分」を「BAD」と自己評価しています(2025年8月期決算説明資料)。この1年で、その体制がどう変わったかは、今回の決算短信には書かれていません。
ここまでの3段階をまとめると、軸の言葉に戻ります。今期の利益は、古い銅を買い集めてから売るまでの数か月の間に、銅の値段が上がり続けたことに多くを負っていました。来期予想は、その値上がりが止まり、「買い集めて仕分けて売る」本来の利ざやに近づく前提で作られています。ただし、本来の利ざやが今期の3分の2なのか、2年前の水準なのかは、会社も分からないところでしょう。
4. 銅高が貸借対照表に残すもの
軸の「弱み②」、買い集めるには先にお金が要る、を四半期末の貸借対照表で確認します。
| 時点 | 売上債権 | 棚卸資産 | 前渡金 | 仕入債務 | 運転資本 | 短期借入金 | 有利子負債 | 現金及び預金 | ネット有利子負債 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025年8月末 | 9,107 | 7,536 | 2,199 | 2,400 | 16,443 | 7,700 | 13,176 | 1,639 | 11,536 |
| 2025年11月末 | 9,108 | 9,500 | 1,619 | 3,286 | 16,942 | 7,958 | 13,023 | 1,079 | 11,944 |
| 2026年2月末 | 10,887 | 9,045 | 3,562 | 2,520 | 20,975 | 8,161 | 14,521 | 1,102 | 13,418 |
| 2026年5月末 | 11,972 | 12,133 | 3,953 | 3,381 | 24,678 | 12,108 | 18,041 | 1,223 | 16,818 |
| 2026年8月末 | 12,738 | 8,102 | 2,344 | 3,040 | 20,145 | 8,749 | 14,566 | 4,070 | 10,496 |
単位:百万円(千円単位から筆者が集計し切り捨て)。運転資本=売上債権+棚卸資産+前渡金−仕入債務(支払手形・買掛金・電子記録債務)。有利子負債=短期借入金+長期借入金(1年内返済予定を含む)+リース債務。
この表のポイントは2つです。
1つ目は、2026年5月末に運転資本が246億円まで膨らみ、短期借入金が121億円に達したことです。前期末から運転資本は約82億円、有利子負債は約49億円増えていました。銅の値段が上がる局面では、利益が出ていても、その利益以上にお金が在庫と売掛金に吸い込まれます。
2つ目は、8月末にかけて在庫が約40億円減り、短期借入金も約34億円減って、ネット有利子負債は前期末より小さくなったことです。会社は今期の方針として「利益率の向上とキャッシュ・フローの健全化を最優先課題」と書いています。8月末の数字は、その方針どおりに在庫を絞った形です。ただし、四半期末の残高は1日の断面にすぎず、期中の平均的な借入水準は分かりません。支払利息は前期・今期とも約1億82百万円でした。
来期の売上予想は今期比+27.8%です。同じ回転で回すなら、運転資本も同じくらい増える計算になります。会社は前期の有報で、運転資金は手元資金と長期借入金を基本に、不足は短期借入金で賄うと説明しています。前期末時点の主な借入先は、北陸銀行58億93百万円、北國銀行36億38百万円、三井住友銀行15億50百万円でした(第40回定時株主総会招集通知)。
用語メモ:運転資本は「商売を回すために寝かせているお金」です。売掛金は売ったのにまだもらっていないお金、在庫は買ったのにまだ売っていないもの、前渡金は先に払った仕入代金。ここから、買ったのにまだ払っていない仕入債務を引きます。MERFのように扱う品物の値段が日々動く会社では、値段が上がるだけでこの金額が膨らみます。
5. セグメントと主な取引先
5-1. 美術工芸事業:売上は伸びたが、6〜8月は赤字
美術工芸事業は、富山県高岡市周辺の鋳物の技術を生かした美術工芸品の事業です。今期の売上は8億13百万円(+45.8%)で、会社は金製品の底堅い需要と、新商品やキャラクターのライセンス製品の好調を理由に挙げています。
四半期に差し引くと、セグメント利益は9〜11月52百万円、12〜2月99百万円、3〜5月36百万円、6〜8月△36百万円でした(筆者の差し引き)。通期では1億52百万円の利益ですが、最後の3か月は赤字です。会社はこの点を説明していません。連結の営業利益に占める割合は小さく(約3%)、全体の読み方を変える規模ではありません。
5-2. 主要な販売先
有報の「主要な顧客ごとの情報」(売上高の10%以上)は次のとおりです。
| 販売先 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|
| ナカシマプロペラ株式会社 | 10%未満 | 82億78百万円(10.1%) | 88億90百万円(10.8%) |
| 住友金属鉱山株式会社 | 173億03百万円(20.5%) | 82億27百万円(10.0%) | 10%未満 |
出典:各期の有報。2026年8月期は11月18日提出予定の有報で確認できます。
ナカシマプロペラは船舶用プロペラのメーカーで、会社は有報の「事業等のリスク」でも、売上高の10.8%を占める特定の販売先として名前を挙げ、取引関係の解消や契約内容の大幅な変更があれば業績に悪影響を及ぼす可能性があると書いています。軸の「船のスクリューの材料」は、この取引先との長い関係の上に立っています。
住友金属鉱山向けの比率が3年で20.5%から10%未満へ下がったのは、リサイクル原料の販売が減ったことと重なります(有報は、製錬会社向け故銅の受注環境の変化を理由に挙げています)。依存度の低下は、他の販売先が増えたからではなく、この取引先向けの販売自体が減った結果と読めます。
5-3. 会社の自己評価:GOODとBAD
2025年11月の決算説明資料には、中期経営計画の5つの重点戦略について、会社自身がGOOD・BADを付けた表があります。弱気側の材料として、会社の自己診断を原文のまま並べます。
| 重点戦略 | 会社が「BAD」とした項目 | 会社の総合評価 |
|---|---|---|
| 収益体制の強化 | 急激な相場変動への体制整備が不十分/新規事業(基板事業)のビハインド | △ |
| 製造と営業戦略のリ・ビルド | 販売アイテム拡充は進まず | △ |
| 経営体制の刷新 | 生産体制の省力化、機械化推進が途上 | ○ |
GOODとされた項目には、米国の事業譲受による収益力の拡充、2号電気炉の大型化(5t→8t)、海外向け売上比率の上昇(28%→30%)などがあります。「急激な相場変動への体制整備が不十分」は、第3章で見た「銅が下がり始めたときに利益が早く縮む」性質と同じ方向の自己評価です。
6. 資本政策と株主還元
6-1. 配当:40円の内訳と、来期30円
| 期 | 中間 | 期末 | 年間 | 内訳 | 配当の決め方 | 配当性向(連結) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年8月期 | 10円 | 10円 | 20円 | 普通配当 | 総合勘案 | 53.0% |
| 2025年8月期 | 10円 | 10円 | 20円 | 普通配当 | 総合勘案 | ―(赤字) |
| 2026年8月期 | 20円 | 20円 | 40円 | 普通20円+設立40周年記念10円(中間)+特別10円(期末) | 総合勘案 | 20.3% |
| 2027年8月期(予想) | 15円 | 15円 | 30円 | 内訳の注記なし | 総合勘案 | 23.2% |
出典:決算短信、配当に関する適時開示、有報の配当政策。
会社の配当政策は、有報で次のように書かれています(原文の要旨)。期間収益、内部留保、財務体質等の経営全般にわたる諸要素を総合的に判断の上、決定する方針。配当性向やDOE(純資産配当率)の数値目標は、配当政策の本文にはありません。
この表のポイントは2つです。
1つ目は、今期の40円のうち20円は記念配当と特別配当で、普通配当は20円と前期・前々期と同じだったことです。普通配当だけの配当性向は約10.1%です。来期予想の30円には記念・特別の注記がなく、普通配当として見れば+10円の増配です。ただし会社は内訳を明記していません。
2つ目は、中期経営計画2027の「配当性向30.0%」に、実績も予想も届いていないことです。
| 物差し | 2026年8月期 | 2027年8月期(予想) |
|---|---|---|
| 実際の1株配当 | 40円 | 30円 |
| 配当性向 | 20.3% | 23.2% |
| 配当性向30%で計算した1株配当 | 59.2円 | 38.9円 |
筆者の計算(EPS×30%)。
中計の配当性向30%は、当初計画・修正計画のどちらにも同じ数字で載っています。会社はこの差について説明していません。2つの読み方を並べます。
- 強気の読み:中計の目標に届いていないので、利益が予想どおりなら、さらに増配する余地がある
- 弱気の読み:配当は「総合勘案」で決まっていて、中計の配当性向は実際の決め方ではない。運転資金の需要が大きい年には、目標を下回る配当が続く可能性がある
配当総額は、今期の中間・期末それぞれ約2億82百万円(20円×自己株式控除後の約1,415万株≒2億83百万円)で、年間5億66百万円。開示値と一致します。今期のDOEは5.2%(決算短信)です。
期末配当20円は、2026年11月19日(木)の定時株主総会に付議され、支払開始は11月20日(金)の予定です。期末配当は株主総会、中間配当は取締役会で決める会社です(有報の配当政策)。
| 権利 | 基準日 | 権利付き最終日(筆者の計算) |
|---|---|---|
| 中間配当(2027年8月期) | 2027年2月28日(日) | 2027年2月24日(水) |
| 期末配当・株主優待(2027年8月期) | 2027年8月31日(火) | 2027年8月27日(金) |
2027年2月28日は日曜日なので、直前の営業日(2月26日(金))から2営業日さかのぼります。
6-2. 株主優待:会社サイトと有報で記載が食い違う
まず、この前提自体に確認が必要です。
会社IRサイトの「よくあるご質問」には、株主優待について次の内容が載っています(2026年10月16日に確認)。2015年8月31日から、毎年8月31日時点の株主に、保有株数に応じてQUOカードを贈呈する、というものです。
一方、2025年11月20日提出の有報(第40期)の「提出会社の株式事務の概要」にある「株主に対する特典」の欄は、「該当事項はありません」となっています。
どちらが正しいかを、筆者は判断できません。有報のこの欄は、優待がある会社でも「該当事項はありません」と書かれる例が他社にもあります。会社サイトのFAQが現行制度として載せていること、株価情報サイト(Yahoo!ファイナンス。大和インベスター・リレーションズ提供)にも同じ内容が載っていることから、この記事では「優待はある」という前提で書きますが、確実を期す場合は会社IRに直接確認してください。 食い違いの理由は推測しません。
優待の内容は、会社サイトのFAQによると次のとおりです。
| 保有株数 | QUOカード | 1株当たり優待額 | 優待利回り(株価1,000円) | 配当30円と合わせた利回り |
|---|---|---|---|---|
| 100株以上500株未満 | 500円分 | 5.0円 | 0.5% | 3.5% |
| 500株以上1,000株未満 | 1,000円分 | 2.0円 | 0.2% | 3.2% |
| 1,000株以上 | 2,000円分 | 2.0円 | 0.2% | 3.2% |
筆者の計算。株価は2026年10月15日(木)終値1,000円。1株当たり優待額は各区分の下限の株数で計算。
この表のポイントは、100株のときが1株当たり5円で最も厚く、500株にすると1株当たり2円に下がることです。たとえば499株持っても優待は500円分のままなので、1株当たりは約1.0円になります。400株から500株に100株買い増すと、優待は500円分から1,000円分に増えますが、それでも1株当たりは2円です。優待を目的にするなら、100株と、それ以上で配当を目的にする場合とで、考え方が分かれます。
QUOカードはコンビニ・書店などで使える金券で、換金性も比較的高く、名目と実質の差は小さい種類の優待です。1株当たり配当(来期予想30円)と比べると、100株でも優待は配当の6分の1程度で、この会社の株主還元の中心は配当のほうです。
継続性も見ておきます。有報の「所有者別状況」によると、2025年8月末の単元株主数は15,092人です。全員が最低区分(500円)なら約7.5百万円、全員が最上位区分(2,000円)なら約30.2百万円で、実際の費用はこの間にあります(筆者の試算。発送費等は含まない)。今期の営業利益44億40百万円に対しては0.2〜0.7%の規模で、業績が多少振れても、費用の面で制度が重荷になる規模ではありません。ただし、株主数が増えるほど費用が増える設計であることは変わりません。継続保有の条件は、会社サイトのFAQには書かれていません。
権利付き最終日は前の表のとおり、2027年8月27日(金)です。8月31日が基準日なので、期末配当と優待の権利は同じ日に確定します。中間配当(2月末)の基準日には優待はありません。つまり、2月末の権利付き最終日に株主でも受け取れるのは中間配当だけで、優待は8月末の名簿に載って初めて受け取れます。
優待利回りは株価で動きます。決算発表前の10月14日(水)終値1,185円なら100株の優待利回りは約0.42%、発表後の1,000円なら0.5%です。株価が下がったから優待の価値が上がったわけではなく、同じ500円分を安く買えるようになっただけです。逆に言えば、優待の価値(年500円)は、今回の決算翌日の値下がり(100株で1万8,500円)の約37分の1にすぎません。この会社の株を持つかどうかは、優待ではなく、第3章で見た利益の振れ幅と配当で考えるほうが筋が通ります。
優待目的で100株だけ持つ場合の判断軸は、2つに整理できます。1つ目は、配当30円(予想)と優待5円を合わせた1株35円が、株価の1年の振れ(2026年に入ってからの月足で安値653円から高値1,935円まで)に対してどれほどの意味を持つか。2つ目は、配当が「総合勘案」で決まる会社なので、利益が予想を下回った年に配当がどう動くかです。2025年8月期は赤字でも20円を維持しましたが、来期以降も同じとは限りません。会社は優待の継続についても、配当と同様に特別な約束はしていません。
なお、会社サイトのFAQの記載は2015年8月31日からの制度として書かれており、制度の変更・廃止の開示は、筆者が確認した範囲(Yahoo!ファイナンスの適時開示一覧で2024年4月以降)では見当たりませんでした。それより前の開示は確認していません。
6-3. 株数と自己株式
2026年8月末の発行済株式総数は14,337,200株、自己株式は183,316株(1.3%)です。前期末の200,016株から減ったのは、譲渡制限付株式報酬として自己株式を処分したためです(2025年12月・2026年2月の適時開示)。自己株式の取得は、今期も前期も行っていません。
EPSの伸びと純利益の伸びの関係は、期中平均株式数がほぼ変わらない(14,131,989株→14,147,614株)ので、そのまま一致します(2,791,693千円÷14,147,614株=197.33円)。
6-4. 支配株主
会社が2025年11月5日に開示した「支配株主等に関する事項」によると、代表取締役会長の黒谷純久氏が支配株主で、議決権の所有割合は直接所有21.37%、合算対象分(株式会社黒谷商店)39.95%、合計61.32%です。合算は会社自身の開示に基づくものです。
| 株主(2025年8月末) | 所有株式数 | 持株比率(自己株式を除く) |
|---|---|---|
| 株式会社黒谷商店 | 5,648,000株 | 39.95% |
| 黒谷純久 | 3,020,900株 | 21.37% |
| 株式会社SMC | 400,000株 | 2.83% |
| 黒谷暁 | 219,500株 | 1.55% |
| 黒谷昌輝 | 200,000株 | 1.41% |
出典:有報の大株主の状況、支配株主等に関する事項。黒谷暁氏(代表取締役社長)・黒谷昌輝氏の持分は、会社の「支配株主等に関する事項」の合算対象に含まれていないため、上の61.32%には足していません。
議決権の6割超を創業家側が握っているので、株主総会の普通決議・特別決議とも、会社の提案が通らないことはまず考えにくい構造です。経営の一貫性という面と、流通している株が相対的に少なく値動きが荒くなりやすい面の、両方があります。株主数は16,094名、個人その他の持株比率は54.75%(2025年8月末、有報)で、1日の出来高は最近の数か月で3万〜27万株程度でした。
なお、2026年7月14日に、2024年8月期・2025年8月期の有報の訂正報告書が提出されています。第40期の訂正は「提出会社の経営指標等」のうち2024年8月期の最高・最低株価(813円→823円、573円→572円)で、業績や財務の数字の訂正ではありません。
7. 株価の見方
7-1. 株価の基準点
株価に依存する数字は、この節にまとめます。基準は2026年10月15日(木)終値1,000円です。
| 指標 | 値 | 計算 |
|---|---|---|
| 終値 | 1,000円 | 2026年10月15日(木) |
| 時価総額(自己株式控除後) | 約141.5億円 | 1,000円×14,153,884株 |
| PER(来期予想EPS) | 約7.7倍 | 1,000÷129.51 |
| PER(今期実績EPS) | 約5.1倍 | 1,000÷197.33 |
| PBR | 約1.14倍 | 1,000÷879.81 |
| 配当利回り(来期予想30円) | 3.0% | 30÷1,000 |
10月16日(金)の前場の終値は1,045円(場中の値)で、公開時に終値へ差し替えます。
一次情報からの照合も1点できます。決算短信の「時価ベースの自己資本比率」59.2%に総資産334億56百万円を掛け、自己株式控除後の株数で割ると、2026年8月末の株価は約1,399円になります。株価の時系列データの8月31日終値1,400円と一致します。
7-2. 決算への反応
決算は10月14日(水)15時30分の発表で、当日の終値1,185円は発表前の取引です。最初の反応は10月15日(木)で、始値1,035円、終値1,000円(前日比△15.6%)、出来高266,900株(前日140,200株)でした。
過去の発表後の値動きも、事実として並べます(因果は書きません)。
| 開示 | 発表日時 | 最初の反応日 | 前日比 |
|---|---|---|---|
| 第3四半期決算・通期予想の上方修正 | 2026/7/13 15:30 | 7/14 | △7.5% |
| 特別配当・期末配当予想の修正 | 2026/8/17 15:30 | 8/18 | △3.5% |
| 通期決算・来期予想 | 2026/10/14 15:30 | 10/15 | △15.6% |
7月13日は、発表前の取引で高値1,476円・出来高729,600株を付けています。発表前の値動きで、決算への反応ではありません。
株価は、2025年10月の終値557円から、2026年3月の高値1,935円(月足)まで上がり、その後は月末の終値で1,191〜1,450円の間を推移し、今回1,000円まで下げました(報道ベースの株価時系列)。
7-3. 強気・弱気の材料
強気の材料
- 来期予想でもPERは約7.7倍、今期実績では約5.1倍。予想どおりなら、利益に対する株価の水準は低い
- 来期予想は銅価格を9月初めの相場より約1割低く置いている。相場が足元の水準で続けば、上振れの余地がある
- 低マージン取引の整理と米国事業という、相場以外の稼ぎの源泉が増えている。期初から31億円を置いたことは、その手応えの表れとも読める
- 8月末のネット有利子負債は前期末より小さく、在庫も絞られた
- 配当は普通配当で見れば+10円の増配予想。中計の配当性向30%には未達で、増配の余地を残す
弱気の材料
- 今期の利益は、銅価格が上がり続けた局面の時間差に多くを負っていた。会社自身が「仕入れから販売まで数か月」と書いており、銅が下がり始めれば利ざやが縮む
- 2024年8月期には、上方修正の直後の3か月で営業損失になった例がある。会社自身も「急激な相場変動への体制整備が不十分」を中計の進捗でBADとしている
- 売上予想+27.8%は、銅価格の前提だけでは説明できず、数量か品目構成で約2割の増加を置いている計算になる(筆者の試算)。その中身は開示されていない
- 米国子会社の通年連結による上乗せは来期にはなくなる
- 売上が増えるほど運転資本が膨らみ、借入に頼る構造。今期も営業キャッシュ・フローは純利益を下回った
- 配当性向は中計の30%に届いておらず、「総合勘案」の配当は利益に連動して決まるとは限らない
同じ数字が両側に置けることにも注意してください。「来期の銅価格の前提が足元より約1割低い」は、強気から見れば上振れ余地、弱気から見れば「その水準まで下がっても予想どおりにしかならない」ことです。
8. 今後のカレンダーと見るべきKPI
| 時期 | イベント | 見るポイント |
|---|---|---|
| 2026年11月18日(水) | 有価証券報告書の提出(予定) | 2026年8月期の月次銅価格・為替、棚卸資産評価損、デリバティブの内訳、税率差異、米国子会社の連結期間、主要な販売先、株主に対する特典の欄、保有株式の内訳 |
| 2026年11月19日(木) | 第41期定時株主総会 | 期末配当20円の議案 |
| 2026年11月20日(金) | 期末配当の支払開始(予定) | ― |
| 2027年1月中旬(予定) | 第1四半期決算(2026年9〜11月) | 粗利率(今期9〜11月は6.45%)、上期予想13億16百万円への進捗 |
| 2027年2月24日(水) | 中間配当の権利付き最終日 | 中間配当15円(予想) |
| 2027年4月中旬(予定) | 中間決算(2026年9月〜2027年2月) | 上期予想との差、運転資本と短期借入金 |
| 2027年8月27日(金) | 期末配当・株主優待の権利付き最終日 | ― |
| 随時 | 業績予想の修正 | 修正理由の原文(銅価格・利ざや・米国事業のどれか) |
決算発表の日付は、過去の発表日(1月14日、4月13日、7月13日、10月14日)からの目安で、会社の開示ではありません。
見るべきKPI
- 四半期の粗利率:来期予想は4.4〜4.7%前後を置いている計算(販管費の置き方による)。過去12四半期で4%台の四半期はなかった
- LME銅価格と為替:前提は13,000ドル・160円。とくに「上がっているか、下がっているか」の向き
- 販売数量の前年同期比:売上予想は数量か品目構成で約2割の増加を置いている計算(筆者の試算)。会社が四半期ごとに書く増減率で確認する
- 運転資本と短期借入金:売上が伸びるほど膨らむ。四半期末の残高で
- 配当性向:中計の30%との差
9. 3行まとめ
- 2026年8月期の営業利益44億40百万円(前期の約38倍)は、銅価格の上昇局面の時間差、低マージン取引の整理、米国子会社の通年連結が重なった結果で、会社自身も「仕入れから販売まで数か月」の事業だと書いている
- 来期予想(売上+27.8%、営業利益△30.2%)は、銅13,000ドル・160円で横ばいに近い前提を置き、粗利率を今期の6.92%から4.4〜4.7%前後へ戻す計算になる。売上の伸びには、開示されていない数量約2割増も入っている(筆者の試算)
- 期初予想が3年続けて6〜7億円台だった会社が、今回は31億円から始めた。株価は決算翌日に△15.6%の1,000円(PER約7.7倍、配当利回り3.0%)で、どちらの読みを取るかは、銅の向きと「1トンあたりの稼ぎ」をどう見るかにかかっている
本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。
本記事は特定銘柄の売買を推奨・勧誘するものではなく、投資助言を目的とするものでもありません。数値の出典は、株式会社MERFの決算短信(2024年8月期〜2026年8月期の各四半期)、業績予想の修正・差異および配当に関する適時開示、有価証券報告書(第39期・第40期、2026年7月14日提出の訂正報告書を含む)、第40回定時株主総会招集通知、2025年8月期決算説明資料(株主懇談会資料)、支配株主等に関する事項、会社IRサイト(よくあるご質問)です。株価・出来高・年初来の推移はYahoo!ファイナンスの時系列データ(報道ベース)、2026年9月1日のLME銅価格はチリ銅委員会の日次データを伝えた報道(報道ベース。筆者は原データを確認していない)によります。2026年8月期の銅価格・為替の平均は、会社が開示した前期比を当てはめた筆者の推計です。四半期の数値、運転資本・有利子負債の集計、「1単位あたりの売上総利益」、来期予想の必要粗利率・数量の伸び、感応度表、配当性向30%で計算した1株配当、優待費用の幅は筆者の差し引き・試算で、将来の見通しではありません。米国子会社の2026年8月期・2027年8月期の連結期間は、有報の注記からの筆者の整理です。2026年8月期の決算短信は決算補足説明資料・決算説明会とも「無」で、当期について会社の追加説明・質疑応答は一切反映していません。本文の会社説明は、決算短信、2026年2月・7月の業績予想の修正開示、2025年11月の決算説明資料に基づきます。株主優待は、会社IRサイトのFAQ(現行制度として掲載)と第40期有報の「株主に対する特典」欄(該当事項なし)で記載が食い違っており、2026年8月期の有報(未提出)は確認できていません。棚卸資産の評価方法が粗利率に与えた影響、今期のデリバティブ評価損の取引内容、税負担率の内訳、今期末の保有株式の内訳、販売数量の実数は開示されておらず、推定していません。粗利率と銅価格の関係についての記述は会社の過去の開示の範囲にとどめ、数式で結んでいません。10月16日の株価は前場の値(場中の値)で、終値ではありません。
記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。