本記事は2026年10月9日時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
この記事でわかること
- メディアファイブが何で稼いでいる会社なのかを、「弟子を育てて、よその現場に出す親方」という1つの例えで整理します
- 6〜8月の営業利益が前年の約1.9倍(30百万円)になった理由を、「数量・率・販管費」と「事業別」の2通りに分けます。増えた分はほぼすべてソリューション事業から来ており、主力のSES事業の利益は前年より減っています
- 会社の上半期予想(営業利益21百万円)は、すでに6〜8月の実績(30百万円)を下回っています。予想どおりなら9〜11月は約9百万円の営業赤字という計算になり、その読み方を前期の同じ形と並べて考えます
- 純利益が2倍強になっても、税金の負担率が38%と高めに出ている理由(賞与の支払いと繰延税金資産の関係)を説明します
- 売上の22.8%を占める最大顧客、株主429名・個人92%という株主構成、福岡証券取引所Q-Board単独上場ゆえの流動性を、資本政策のセクションでまとめます
1. 前提知識:メディアファイブはどんな会社か
弟子を育てて、よその現場に「常用」で出す親方
大工の世界には、親方が若い弟子を抱えて仕込み、腕が付いたら他の工務店の現場へ日当で出す「常用(じょうよう)」という働き方があります。現場を持つ工務店は自前で新人を育てる手間が省け、親方は弟子の日当から自分の取り分を得ます。
メディアファイブ(福岡市、1996年設立)は、これをITエンジニアでやっている会社です。有価証券報告書(以下、有報)によると、同社は新規学卒者やIT業界の未経験者を採用し、OJTを含めて約6か月の独自研修で育て、正社員のまま取引先のシステム開発・運用の現場へ送り出しています(SES事業)。親方が自分で仕事を請けて弟子と一緒に仕上げる部分がソリューション事業(受託開発と、中小企業向けの巡回保守「OFFICE DOCTOR」)です。
この例えで、強みと弱みが同じ1文から出てきます。
- 強み:人手不足の業界で、「育てる仕組み」ごと人を供給できる。取引先から見れば新人教育を外に出せる
- 弱み①:弟子の日当(エンジニアの給与)は、労働市場の相場で決まり、親方が自由には決められない。給与を上げても取引先への単価がすぐ同じだけ上がるとは限らない
- 弱み②:修業中の弟子は稼がない一方で、給料は出る。育った弟子が他所へ移れば、育成にかけた分は回収できない
以降の章では、この3つを数字で確かめていきます。
事業の構造(2026年5月期)
| 項目 | SES事業 | ソリューション事業 | 全社 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 16億75百万円 | 1億20百万円 | 17億95百万円 |
| 売上構成比 | 93.3% | 6.7% | 100% |
| セグメント利益 | 4億19百万円 | 12百万円 | — |
| セグメント利益率 | 25.0% | 10.2% | — |
| 全社費用(配分しない一般管理費) | — | — | △3億66百万円 |
| 営業利益 | — | — | 65百万円 |
| 従業員数(2026年5月末) | 194名 | 8名 | 230名(管理部門28名を含む) |
出所:2026年5月期決算短信・有報。セグメント利益は全社費用を配分する前の数字です。
この表のポイントは2つです。1つは、SES事業が4億円を稼いでも、全社費用3億66百万円でほとんどが消え、営業利益は65百万円しか残らないことです。売上高営業利益率は3.6%で、全社費用がわずかに増えるか、SES事業の利益がわずかに減るだけで営業利益が大きく振れる構造です。もう1つは、従業員の大半がSES事業に属し、売上原価の97.0%が労務費(有報の売上原価明細書)であることです。売っているのは、ほぼ「人の時間」だけです。
用語メモ:SES(システム・エンジニアリング・サービス)は、エンジニアを取引先の現場に常駐させ、働いた時間や月単位で対価を受け取る契約形態です。メディアファイブは準委任型の「役務提供契約」と、労働者派遣法に基づく「人材派遣契約」の両方を使っています(一般労働者派遣事業の許可の次回更新は2028年11月30日)。
株主優待:制度なし(有報「株主に対する特典」は「該当事項はありません」。詳細は第6章)。
直近の業績推移
同社は2024年12月に唯一の子会社(内装工事の匠工房)の全株式を譲渡し、2025年5月期の第3四半期から非連結決算に移っています。そのため、ここでは有報の「提出会社の経営指標等」(単体)の5期分を使います。
| 決算期 | 売上高 | 経常利益 | 当期純利益 | 1株利益 | 1株配当 | ROE | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022年5月期 | 16億30百万円 | 20百万円 | 22百万円 | 23.88円 | 0円 | 7.7% | 43.7% |
| 2023年5月期 | 16億45百万円 | 19百万円 | 11百万円 | 12.31円 | 0円 | 3.8% | 48.3% |
| 2024年5月期 | 17億29百万円 | 4百万円 | 0.6百万円 | 0.68円 | 0円 | 0.2% | 48.8% |
| 2025年5月期 | 17億19百万円 | 70百万円 | 59百万円 | 63.22円 | 5円 | 17.3% | 53.3% |
| 2026年5月期 | 17億95百万円 | 63百万円 | 41百万円 | 44.33円 | 15円 | 10.6% | 49.2% |
| 2027年5月期(会社予想) | 18億60百万円 | 65百万円 | 43百万円 | 45.74円 | 10円 | — | — |
出所:2026年5月期有報、2027年5月期第1四半期決算短信。2024年5月期までの単体には子会社からの配当がない一方、2025年5月期の経常利益には子会社からの受取配当金40百万円が入っています。
この表のポイントは、売上はこの5年で16億円台から18億円台へゆっくり伸びているのに、利益は年によって桁が変わることです。2025年5月期の大幅増益は、子会社からの配当40百万円という一度きりの収入が大きく、営業利益だけで見ると36百万円でした。本業の物差しは営業利益で見る必要があります。
用語メモ:2025年5月期の受取配当金40百万円は、子会社の匠工房を売却する直前に、同社から受け取った配当です(2024年11月22日の適時開示)。単体の決算では利益になりますが、連結では内部の取引として消えるため、連結業績には影響しないと会社は説明していました。
会社予想の達成履歴:「低めに出して、上に直す」が続いている
ここが今回の決算を読むうえでいちばん大事な前提です。非連結に移ってからの2期分を並べます(金額は百万円)。
| 決算期 | 開示日 | 種類 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025年5月期 | 2025年1月9日 | 単体予想(非連結移行に伴い修正) | 1,765 | 10 | 44 | 37 |
| 2025年5月期 | 2025年7月10日 | 実績 | 1,719 | 36 | 70 | 59 |
| 2026年5月期 | 2025年7月10日 | 期初予想 | 1,730 | 10 | 8 | 5 |
| 2026年5月期 | 2026年1月8日 | 中間決算と同日に上方修正 | 1,783 | 36 | 34 | 18 |
| 2026年5月期 | 2026年7月9日 | 実績 | 1,795 | 65 | 63 | 41 |
| 2027年5月期 | 2026年7月9日 | 期初予想(10月8日に据え置き) | 1,860 | 67 | 65 | 43 |
出所:各期の決算短信、業績予想の修正・差異の適時開示。
この表のポイントは2つです。1つは、2026年5月期の営業利益は期初予想10百万円に対して実績65百万円で、6.5倍だったことです。期中の上方修正(36百万円)からもさらに8割上振れました。もう1つは、売上高はどの期もほぼ予想どおり(ずれは±4%以内)で、ずれているのは利益だけであることです。売上は読めていて、費用の見積もりが毎回大きめに置かれている、という形です。
会社は2026年5月期の上振れの理由を、次のように書いています(2026年7月9日「業績予想値と実績値との差異に関するお知らせ」原文)。
利益面につきましては、広告宣伝費、研修費等の見直しによる経費削減を実施した結果、営業利益、経常利益及び当期純利益は前回発表の業績予想を上回る結果となりました。
「上にも下にもよく動く会社の予想」ではなく、**少なくとも直近2期は「上にだけ動いた予想」**です。これを頭に置いて、今期の数字を見ていきます。
2. 決算ハイライト:2027年5月期第1四半期(6〜8月)
2026年10月8日15時30分発表。5月決算なので、第1四半期は6〜8月の3か月です。
損益
| 項目 | 2026年6〜8月 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4億73百万円 | 4億38百万円 | +8.1% |
| 売上総利益 | 1億78百万円 | 1億68百万円 | +5.8% |
| 売上総利益率 | 37.6% | 38.5% | △0.8pt |
| 販売費及び一般管理費 | 1億48百万円 | 1億52百万円 | △2.7% |
| 営業利益 | 30百万円 | 16百万円 | +85.7% |
| 経常利益 | 29百万円 | 15百万円 | +92.1% |
| 四半期純利益 | 18百万円 | 8百万円 | +111.6% |
| 1株当たり四半期純利益 | 19.60円 | 9.26円 | — |
出所:2027年5月期第1四半期決算短信(千円単位の開示値を百万円未満切り捨て)。
この表のポイントは、売上の伸び(+8.1%)よりも粗利の伸び(+5.8%)が小さく、粗利率は下がっているのに、販管費が減ったことで営業利益が大きく伸びた、という形になっていることです。中身は第3章で分解します。
事業別
| 事業 | 売上高 | 前年同期 | セグメント利益 | 前年同期 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| SES事業 | 4億22百万円 | 4億05百万円 | 1億04百万円 | 1億09百万円 | 24.7%(前年27.0%) |
| ソリューション事業 | 51百万円 | 32百万円 | 19百万円 | 1百万円 | 38.4%(前年5.4%) |
| 全社費用 | — | — | △93百万円 | △94百万円 | — |
| 営業利益 | — | — | 30百万円 | 16百万円 | — |
この表のポイントは、SES事業は売上が4.1%増えたのに利益は4.8%減り、ソリューション事業の利益が1百万円から19百万円に跳ねたことです。会社は短信で、SES事業について「前期以上に給与水準の引き上げを行っております」と書いています。
財政状態:現金が1億26百万円減ったのは賞与の支払い
| 項目 | 2026年8月末 | 2026年5月末 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 現金及び預金 | 3億60百万円 | 4億86百万円 | △1億26百万円 |
| 売掛金 | 1億60百万円 | 1億68百万円 | △7百万円 |
| 繰延税金資産 | 40百万円 | 51百万円 | △11百万円 |
| 未払費用 | 28百万円 | 1億71百万円 | △1億42百万円 |
| 賞与引当金 | 56百万円 | — | +56百万円 |
| 未払法人税等 | 2百万円 | 42百万円 | △39百万円 |
| 契約負債(前受金) | 19百万円 | 38百万円 | △18百万円 |
| 借入金(1年内返済分を含む) | 81百万円 | 87百万円 | △6百万円 |
| 純資産 | 4億14百万円 | 4億10百万円 | +4百万円 |
| 自己資本比率 | 60.4% | 49.2% | +11.2pt |
この表のポイントは、現金の減少は業績の悪化ではなく、5月末に未払費用として積んでいた賞与などの支払い(未払費用△1億42百万円)と、法人税の納付、配当14百万円の支払いでおおむね説明できる、ということです。6〜8月の間に次の賞与に向けた賞与引当金56百万円が新たに積まれています。自己資本比率が11pt上がったのも、負債(未払費用)が払われて総資産が縮んだ分母側の効果で、純資産そのものは4百万円しか増えていません。
第1四半期はキャッシュ・フロー計算書が作成されていません。減価償却費は2百万円(前年1百万円)です。
用語メモ:「未払費用」は、すでに発生しているがまだ払っていない費用です。同社の5月末の繰延税金資産の内訳に「未払費用」45百万円があり、法定実効税率30.46%で割り戻すと約1億48百万円になります。5月末の未払費用1億71百万円の大半が、税務上は支払った期に損金になる費用(賞与など)であることがここから読み取れます。
3. 深掘り①:営業利益ほぼ倍増の中身
2通りの分解
営業利益の増加13.9百万円を、2つの方法で分けます。
分解A:数量・率・販管費
| 要因 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|
| 数量効果(売上が増えた分) | +13.7百万円 | 売上増加額35.6百万円 × 前年の粗利率38.5% |
| 率効果(粗利率が下がった分) | △3.9百万円 | 当期売上 × 粗利率の差(37.6% − 38.5%) |
| 販管費の減少 | +4.2百万円 | 152.2百万円 → 148.1百万円 |
| 合計 | +13.9百万円 | 実際の営業利益の増加13,951千円と一致 |
分解B:事業別
| 要因 | 金額 |
|---|---|
| SES事業のセグメント利益 | △5.2百万円 |
| ソリューション事業のセグメント利益 | +18.1百万円 |
| 全社費用の減少 | +1.1百万円 |
| 合計 | +13.9百万円(丸めにより±1千円) |
出所:決算短信の千円単位の数値から筆者が計算。
2つの表を合わせて読むと、こうなります。売上は全体で増えたが、主力のSES事業では粗利率が下がって利益が減り、その減少をソリューション事業の利益の跳ね上がりと販管費の削減が埋めて、さらに上乗せした。 「営業利益85.7%増」の見出しから受ける印象とは、かなり違う中身です。
SES事業:弟子の日当を上げた分、親方の取り分が減った
SES事業のセグメント利益率は24.7%で、前年同期の27.0%から2.3pt下がりました。前期(2026年5月期)の四半期ごとの推移と並べます。
| 期間 | SES売上 | SESセグメント利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 2025年6〜8月 | 4億05百万円 | 1億09百万円 | 27.0% |
| 2025年9〜11月 | 4億20百万円 | 1億05百万円 | 25.0% |
| 2025年12月〜2026年2月 | 4億27百万円 | 1億23百万円 | 28.9% |
| 2026年3〜5月 | 4億21百万円 | 81百万円 | 19.3% |
| 2026年6〜8月 | 4億22百万円 | 1億04百万円 | 24.7% |
出所:各四半期短信の累計値から筆者が差し引き。
この表のポイントは2つです。1つは、SES事業の売上は4億2千万円前後でほぼ横ばいになっていることです。前年同期比では+4.1%ですが、前四半期(3〜5月)比ではほぼ同じです。もう1つは、利益率が四半期ごとに19〜29%と大きく振れていて、今期の24.7%はその中ほどにあることです。
会社は有報で、2026年5月期の平均年間給与が502万円で前期比+7.5%だったと開示しています。そのうえで今期は「前期以上に給与水準の引き上げ」を行ったと書いています。一方、SES事業の売上総利益率の目標を、前期の36%(実績34%)から今期は35%に1pt下げています(有報「目標とする経営指標」)。稼働率の目標は前期の95%(実績95%)から98%に上げています。
親方の例えで言えば、弟子の日当を相場に合わせて上げた分、取引先への単価交渉と稼働率の引き上げで取り戻せるかどうかが今期のSES事業の勝負どころです。1四半期目は、売上の伸び(+4.1%)が給与の上昇に追いつかず、利益が減った、という結果でした。
用語メモ:稼働率は、在籍しているエンジニアのうち、取引先の現場で働いて売上を生んでいる人の割合です。研修中や案件の切れ目で現場にいない人は、給与は出るのに売上を生みません。有報の目標値は年1回しか開示されず、四半期ごとの稼働率は開示されていません。
ソリューション事業:前期末に積み上がった受注が6〜8月に売上になった
ソリューション事業は、6〜8月の売上が51百万円で、前年同期の32百万円から58.5%増えました。前期の四半期売上は28〜32百万円で推移していたので、この3か月だけ一段高い水準です。
この増加と整合する数字が、貸借対照表と有報に2つあります。
| 指標 | 数値 | 出所 |
|---|---|---|
| ソリューション事業の受注残高(2026年5月末) | 42百万円(前年同期比350.2%) | 2026年5月期有報「受注実績」 |
| 契約負債(前受金)の減少(5月末→8月末) | 38百万円 → 19百万円(△18百万円) | 第1四半期短信 |
前期末にソリューション事業の受注残が前年の3.5倍に積み上がり、前受金も38百万円あった。それが6〜8月に検収・納品されて売上になり、前受金が取り崩された、という流れで数字はつながります。ただし、会社は6〜8月のソリューション事業の伸びの理由を、短信で「安定的に行っております」「営業活動に注力してまいりました」としか書いておらず、どの案件が売上になったかは開示していません。上の流れは筆者が数字の整合から組み立てたもので、会社の説明ではありません。
ここから言えるのは、ソリューション事業の売上は案件の納品時期で大きく動くということです。有報の収益認識の注記では、2025年5月期のソリューション事業の売上1億85百万円のうち1億69百万円が「一時点で移転される財」(納品・検収時に一括で計上する売上)でした。2026年5月期は一時点で計上した売上が36百万円まで減り、ソリューション事業の売上も1億20百万円に減っています。ソリューション事業の利益率38.4%を、これからの四半期の巡航速度として読むのは危険です。前期のソリューション事業の四半期利益は△4〜8百万円でした。
販管費:前期からの経費削減が続いている
販管費は前年同期比で4.2百万円減りました。第1四半期短信には販管費の内訳はありませんが、前期の通期では広告宣伝費が30百万円から23百万円に、従業員給料(販管費に計上される管理部門など)が1億57百万円から1億44百万円に減っています。会社は前期の通期決算で、未経験者向けプログラミングスクール「アキバ・テックドリーム・アカデミー」の「運営の最適化を図る」と書いていました。
親方の例えで言えば、弟子を集めるための宣伝と、修業場の運営費を絞っていることになります。目先の利益にはプラスですが、弱み②(修業中の弟子が稼がない)とは裏表で、育成の規模を絞れば将来の稼ぎ手の数にも効きます。会社は有報で、採用環境が「従前の予想以上に厳しい状況が続く」と書いており、育成の絞り込みが採用難への対応なのか、効率化なのかは開示からは判断できません。
4. 深掘り②:会社予想は9〜11月に「赤字」を置いている
第3章で見たとおり、6〜8月の増益はソリューション事業の一時的な上振れの色が濃いものでした。では、会社自身は残りの期間をどう見ているのか。ここからは会社予想の中身を逆算します。
上半期予想はすでに超えている
会社は期初(2026年7月9日)に、上半期(6〜11月)の予想を営業利益21百万円としていました。10月8日の第1四半期決算で、この予想は据え置かれています。
| 項目 | 上半期予想 | 6〜8月実績 | 予想から逆算した9〜11月 | 前年の9〜11月実績 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 9億22百万円 | 4億73百万円 | 4億48百万円 | 4億48百万円 |
| 営業利益 | 21百万円 | 30百万円 | △9.2百万円 | 13.1百万円 |
| 経常利益 | 19百万円 | 29百万円 | △10.7百万円 | — |
| 純利益 | 13百万円 | 18百万円 | △5.4百万円 | — |
出所:決算短信の予想値と実績から筆者が差し引き。前年9〜11月の経常・純利益は省略。
この表のポイントは、予想どおりに着地するなら、9〜11月は売上が前年並みで、営業利益は約9百万円の赤字という計算になることです。上半期予想に対する6〜8月の営業利益の進捗率は144.0%で、すでに100%を超えています。
会社がなぜ9〜11月に赤字を見込んでいるのか、その理由は開示されていません。考えられる読み方は2通りあり、どちらも数字は同じです。
- 保守的な見積もりの読み方:期初の予想をそのまま据え置いただけで、9〜11月に本当に赤字を見込んでいるわけではない。第1章で見たとおり、直近2期は利益予想が毎回大きく上振れている
- 費用が先行する読み方:給与水準の引き上げ、採用・育成の費用、賞与の積み増しなどを9〜11月に置いている。6〜8月の上振れはソリューション事業の納品のずれ込みによるもので、通期の見通しは変えていない
前期もまったく同じ形だった
この「第1四半期で上半期予想を超えたのに据え置き、9〜11月に赤字を置いた予想」は、前期とまったく同じ形です。
| 時点 | 上半期の営業利益予想 | 6〜8月実績 | 予想が置いた9〜11月 | 実際の9〜11月 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年10月(前期の第1四半期決算) | △9百万円 | 16.3百万円 | △25.3百万円 | +13.1百万円 |
| 2026年10月(今期の第1四半期決算) | 21百万円 | 30.2百万円 | △9.2百万円 | ? |
出所:前期の期初予想(2025年7月10日公表)は2026年1月8日の差異の開示に「前回発表予想」として記載。前期は第1四半期決算で予想を据え置いています。
前期は、予想が置いた△25百万円に対して、実際は+13百万円でした。そして2026年1月8日の中間決算で通期予想を10百万円から36百万円に上方修正し、さらに実績は65百万円でした。
| 時点 | 予想が置いた下期(12〜5月)の営業利益 | 実際の下期 |
|---|---|---|
| 2026年1月(前期の中間決算・上方修正後) | 6.6百万円(36 − 上期実績29.4) | 35.8百万円(予想の約5.4倍) |
| 今期の期初予想 | 46百万円(67 − 上半期予想21) | ? |
「過去と同じだけ上振れする」とは書けません。 今期の予想は、前期の予想に比べて置き方がすでに高くなっています(下期の置き方は前期の修正後予想の約7倍)。今期の通期予想67百万円は、前期実績65百万円とほぼ同じ水準で、前期のように「10百万円の予想が65百万円になる」ほどの余白は、少なくとも金額の上ではありません。
残り9か月の含み
通期予想から6〜8月の実績を引いた「残り9か月の含み」を、前年の同じ9か月と並べます。
| 項目 | 予想が置いた残り9か月(2026年9月〜2027年5月) | 前年の同じ9か月の実績 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 13億86百万円 | 13億57百万円 | +2.1% |
| 営業利益 | 36.8百万円 | 48.9百万円 | △24.7% |
| 営業利益率 | 2.7% | 3.6% | △0.9pt |
この表のポイントは、会社予想は残り9か月について、売上は前年並みに少し伸び、営業利益は前年より4分の1減る前提を置いていることです。6〜8月に給与の引き上げでSES事業の利益率が2.3pt下がったことを考えると、「売上の伸びより費用の伸びが大きい」という前提自体には、今期の実績と整合する部分があります。一方で、前期の同じ9か月の営業利益48.9百万円には、3〜5月の営業赤字(△8.3百万円)も含まれています。
季節性は言えるか:まだ言えない
参考に、非連結に移ってから比較できる四半期を並べます。
| 期間 | 売上高 | 粗利率 | 販管費率 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年6月〜2025年2月(9か月計) | 12億93百万円 | 36.0% | 33.8% | 28.3百万円 | 2.2% |
| 2025年3〜5月 | 4億26百万円 | 35.7% | 33.7% | 8.2百万円 | 1.9% |
| 2025年6〜8月 | 4億38百万円 | 38.5% | 34.7% | 16.3百万円 | 3.7% |
| 2025年9〜11月 | 4億48百万円 | 32.5% | 29.6% | 13.1百万円 | 2.9% |
| 2025年12月〜2026年2月 | 4億57百万円 | 35.9% | 26.3% | 44.1百万円 | 9.6% |
| 2026年3〜5月 | 4億51百万円 | 30.9% | 32.8% | △8.3百万円 | △1.8% |
| 2026年6〜8月 | 4億73百万円 | 37.6% | 31.2% | 30.2百万円 | 6.4% |
出所:各期の決算短信の累計値から筆者が差し引き(千円単位で計算し、粗利−販管費=営業利益を±1千円で確認。4四半期の合計は2026年5月期の通期開示値と一致)。
用語メモ:同社の短信は「累計」しか開示しません。9〜11月だけの数字は、上半期(6〜11月)の累計から6〜8月の累計を引いて自分で出すしかありません。また、2025年5月期の第1・第2四半期は子会社を含む連結で開示されていたため、単体の四半期の数字は2024年6月〜2025年2月の9か月をまとめてしか取れません。比較できる四半期は、まだこの7つしかありません。
この表のポイントは、3〜5月が2年続けて弱いことです(2025年3〜5月は1.9%で、その前の9か月の平均2.2%を下回り、2026年3〜5月は比較できる期間で唯一の営業赤字の△1.8%)。有報によると新卒社員は入社後6か月の研修を受けるので、4月入社の新人が研修中の3〜5月に費用だけが先に出る形は理屈としては合いますが、これは筆者の推測で、会社は四半期ごとの費用の内訳を開示していません。2年分しかないので、「季節性」とまでは書けません。 9〜11月についても、前期の1年分しかデータがありません。
このため、「9〜11月は毎年弱いから会社予想の赤字は妥当」とも、「毎年強いから予想は保守的すぎる」とも、過去の数字からは言えない、というのが現時点の正直な整理です。次の中間決算(例年1月上旬)で9〜11月の実績が出れば、少なくとも前期との比較が2年目になります。
5. 深掘り③:純利益2倍強でも、税金の負担率は38%
最後に、営業利益の下、純利益までを見ます。
| 項目 | 2026年6〜8月 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 営業利益 | 30.2百万円 | 16.3百万円 |
| 保育事業の収益 − 費用 | △0.7百万円 | △1.0百万円 |
| その他の営業外損益(受取利息・雑収入・支払利息) | +0.2百万円 | +0.2百万円 |
| 経常利益(=税引前利益) | 29.7百万円 | 15.5百万円 |
| 法人税・住民税・事業税 | 0.3百万円 | 0.3百万円 |
| 法人税等調整額 | 11.0百万円 | 6.5百万円 |
| 税負担率 | 38.1% | 43.8% |
| 四半期純利益 | 18.4百万円 | 8.7百万円 |
保育園は営業の外に置かれている
同社は2017年から福岡市中央区で企業主導型保育園「メディアファイブ保育園薬院」を運営しており、その収益と費用を営業外に計上しています(毎四半期「営業外収益及び営業外費用の計上に関するお知らせ」を開示)。6〜8月は収益12.1百万円、費用12.8百万円で、差し引き△0.7百万円です。前期の通期でも収益49.5百万円・費用51.5百万円とほぼ見合っており、利益への影響は小さい一方、売上高にも営業利益にも入っていないことは知っておいてよい点です。
税金の大半は「法人税等調整額」
6〜8月の税金11.3百万円のうち11.0百万円が「法人税等調整額」で、これは繰延税金資産が5月末の51.7百万円から8月末の40.7百万円へ減った額(11.0百万円)とぴったり一致します。
第2章の用語メモで見たとおり、5月末の繰延税金資産の大半は、賞与などの未払費用に対応するものでした。賞与を払うと、税務上の損金になって実際の税金が減る一方、その分の繰延税金資産を取り崩すので、会計上の税金費用(法人税等調整額)が出ます。現金で払う税金はほとんど出ていないのに、損益計算書の税金は11百万円出ているのはこのためです。
通期予想の経常利益65百万円と純利益43百万円から逆算した税負担率は33.8%で、前期の実績32.3%(有報の税率差異注記:法定実効税率30.46%+住民税均等割1.86pt+交際費等8.16pt−評価性引当額の減少4.91pt−税額控除1.66pt−その他1.62pt)に近い水準です。6〜8月の38.1%は、賞与の支払いのタイミングで一時的に高く出ていると読むのが自然です。
用語メモ:住民税均等割や交際費の損金不算入は、利益の大きさにかかわらずかかる税金・かかりやすい費用です。同社のように税引前利益が数千万円の会社では、これらが税負担率を法定実効税率より数pt押し上げます。利益が減る年ほど、負担率は高く出やすくなります。
3つの深掘りを1本の線でつなぐ
ここまでをまとめると、次のようになります。
- 6〜8月の営業利益の増加は、親方が自分で請けた仕事(ソリューション事業)の納品が重なったことが中心で、弟子を現場に出す本業(SES事業)では、日当(給与)の引き上げで取り分が減っていた
- 会社予想は、その上振れを通期には織り込まず、9〜11月に赤字、残り9か月で前年比△25%の営業利益を置いたまま据え置いている
- 前期も同じ形の予想が、最後は6.5倍で着地した。ただし今期の予想は前期実績とほぼ同額で、前期ほどの余白は金額の上ではない
6. 主要顧客:楽天銀行が売上の22.8%
有報の「主要な顧客ごとの情報」では、売上高の10%以上を占める顧客が2社開示されています。
| 顧客 | 2025年5月期 | 比率 | 2026年5月期 | 比率 | 事業 |
|---|---|---|---|---|---|
| 楽天銀行株式会社 | 3億24百万円 | 18.9% | 4億08百万円 | 22.8% | SES事業 |
| 株式会社インフォメーション・ディベロプメント | 2億11百万円 | 12.3% | 1億99百万円 | 11.1% | SES事業 |
| 2社合計 | 5億36百万円 | 31.2% | 6億08百万円 | 33.9% | — |
出所:2026年5月期有報。
この表のポイントは、前期の売上の増加額76百万円のうち、楽天銀行向けの増加(84百万円)だけで増加額を上回っていることです。SES事業の売上に対する比率で見ると、楽天銀行は24.4%になります。有報によると、稼働しているエンジニアの約65%が首都圏、約35%が福岡県で、会社は首都圏での営業強化を課題に挙げています。
親方の例えで言えば、いちばん多くの弟子を出している現場が1か所に集中してきている状態です。強気側には「大口の現場から継続的に人を求められている」、弱気側には「その現場の方針が変われば売上の4分の1近くが動く」という、同じ数字の両面があります。なお、有報の「事業等のリスク」には、特定顧客への依存に関する項目は設けられていません。
7. 資本政策と株主還元
配当:8年ぶりの復配から2期目、今期予想は10円
| 決算期 | 1株配当 | 内訳 | 配当性向 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2017年5月期 | 実施(金額は本記事では未確認) | — | — | 会社は、この期の期末配当を最後に配当を見送ってきたと説明 |
| 2018〜2024年5月期 | 0円 | — | — | 無配 |
| 2025年5月期 | 5円 | 普通配当 | 7.9% | 復配(2025年7月10日決議) |
| 2026年5月期 | 15円 | 普通10円+創立30周年記念5円 | 33.8% | 5月25日に記念配当を追加、7月9日に普通配当を5円増配 |
| 2027年5月期(予想) | 10円 | 普通配当 | 21.9% | 中間配当は予想なし |
出所:各期の配当関連の適時開示、有報。配当性向は会社予想の1株利益45.74円で筆者が計算。
この表のポイントは、今期の予想10円は前期の15円から減っているように見えるが、普通配当は10円のままで、記念配当5円がなくなるだけ、ということです。前期の普通配当だけで計算した配当性向は22.6%で、今期の予想(21.9%)とほぼ同じです。
配当方針について、会社は有報で「事業成長に必要かつ十分な内部留保を維持する政策をとりながら」「配当での利益還元を積極的に実施していく」と書いており、配当性向やDOEといった数値の目標は掲げていません。また、有報には「中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針」とありますが、実際の配当は期末の1回だけです(定款上は11月30日を基準日とする中間配当ができる)。
前期は、5月に記念配当、7月に利益の上振れを受けた増配と、期中に2回配当予想を引き上げています。今期も利益が予想を上回った場合に同じ判断がされるかは、方針の文言からは読み取れません。
権利付き最終日:期末配当の基準日は2027年5月31日(月)なので、配当を受け取るには2営業日前の**2027年5月27日(木)**までに株式を買う必要があります。中間配当の基準日(2026年11月30日、月)の権利付き最終日は11月26日(木)ですが、今期の中間配当の予想は0円です。
株主優待
有報「提出会社の株式事務の概要」の「株主に対する特典」は「該当事項はありません」です。会社IRサイトの投資家向け情報のメニュー(IRリリース・IRライブラリー・IRカレンダー・株式情報)にも、優待制度のページはありません。なお、会社は2025年7月に「株主親睦会のご案内」を適時開示していますが、これは株主向けの催しの案内で、有報上の株主優待ではありません。
株数・自己株式・新株予約権
- 発行済株式総数:986,000株(自己株式46,000株、4.67%)
- 配当や1株利益の計算に使われる株数:940,000株(自己株式を除く)
- 新株予約権・ストック・オプション:なし(短信の潜在株式調整後1株利益は「記載なし」、有報の「新株予約権等の状況」も該当なし)
- 株式分割・併合:直近5期になし(調整不要)
潜在株式がないので、証券情報サイトに表示される1株利益やPERを、そのまま使える数少ないタイプです。前期の純利益41,672千円を940,000株で割ると44.33円で、開示値と一致します。今期の会社予想の1株利益は当初44.33円と誤記され、7月22日に45.74円(43百万円÷940,000株)へ訂正されています。
手元資金と借入
| 項目 | 2026年8月末 |
|---|---|
| 現金及び預金 | 3億60百万円 |
| 借入金(長期、1年内返済分を含む) | 81百万円(平均利率1.1%、返済期限2028〜2030年) |
| ネットキャッシュ(現預金−借入金) | 2億78百万円 |
| 時価総額(自己株式を除く、762円で計算) | 約7億16百万円 |
5月末と比べてネットキャッシュが減っているのは、第2章で見たとおり賞与と税金の支払いの季節要因です。手元資金は、借入を返そうと思えばいつでも返せる水準ですが、会社は約定どおりの返済を続けています(前期は長期借入金を18.7百万円返済。別に短期借入金1億円を借りて期中に返済)。
時価総額のおよそ半分が現預金、4割弱がネットキャッシュです。これは、現金を株主に返す場合に限って意味を持つ計算で、同社の現金は給与の支払いを中心とする運転資金でもあります(毎年5月末から8月末にかけて1億円前後減る)。会社が現金の還元を約束しているわけではありません。
株主構成:株主429名、個人が92%
有報の所有者別状況(2026年5月末)によると、株主数は429名、そのうち個人等が415名で、所有株式の92.08%を個人等が持っています(自己株式を含む)。
| 大株主(2026年5月末) | 持株数 | 比率(自己株式除く) |
|---|---|---|
| 上野 英理也(創業者・代表取締役会長) | 230,300株 | 24.50% |
| メディアファイブ社員持株会 | 125,800株 | 13.38% |
| 株式会社開心社 | 58,900株 | 6.27% |
| 秀島 正博 | 46,100株 | 4.90% |
| 山本 大助 | 45,000株 | 4.79% |
| 上位10名の合計 | 650,100株 | 69.16% |
この表のポイントは2つです。
1つは、**筆頭株主の創業者が24.50%、社員持株会が13.38%**を持っていることです。有報によると、社員持株会には拠出額の20%の会社補助があり、社員の毎月の積立が構造的な買い手になっていることになります。2位以下の株主のうち、株式会社開心社と創業者・経営陣との関係は、有報・短信には記載がないため、本記事では持株比率を合算していません。
もう1つは、2026年8月27日の定時株主総会で、**代表取締役会長と代表取締役社長の選任議案の賛成割合が88.69%**と、社外取締役(95.01%)や監査役(96.15%)より低かったことです(臨時報告書)。反対の議決権は547個(54,700株分)で、誰が反対したかは開示されておらず、本記事でも推測しません。
流動性:福岡証券取引所Q-Board単独上場
同社は東京証券取引所には上場しておらず、福岡証券取引所のQ-Board市場だけに上場しています。株価時系列(Yahoo!ファイナンス、報道ベース)では、2026年9月に売買が成立したのは10日で、1日の出来高は100〜3,100株でした。発行済株式数986,000株のうち、創業者と社員持株会で約36%が持たれており、市場で売買される株数は多くありません。売買したいときに思った値段で売買できない可能性は、この銘柄を考えるうえで外せない前提です。
8. 株価の見方
株価の基準点
| 時点 | 株価 | 出所 |
|---|---|---|
| 2025年5月末 | 約607円 | 有報の株価収益率9.6倍 × 1株利益63.22円(逆算) |
| 2026年1月14日 | 624円(年初来安値) | Yahoo!ファイナンス(報道ベース) |
| 2026年1月22日 | 887円(年初来高値) | 同上。1月8日の中間決算・上方修正の後 |
| 2026年5月末 | 約692円 | 有報の株価収益率15.6倍 × 1株利益44.33円(逆算) |
| 2026年10月6日 | 733円(終値) | Yahoo!ファイナンス(報道ベース) |
| 2026年10月9日 9時41分 | 762円(前日比+29円、+3.96%) | 同上。決算発表後の最初の取引日の朝の値 |
決算は10月8日15時30分(福岡証券取引所の取引終了と同時刻)に発表されました。10月7日・8日は売買が成立しておらず、10月9日の朝の762円が、決算発表後に初めて付いた値段です。ただし、これは取引時間中の値で終値ではありません。また、売買の成立が少ない銘柄なので、数百株の注文で値段が動くことがあり、この値動きを決算への評価と結びつけることは控えます。
有報の株主総利回り(配当込み、5年前を100とした値)は、2026年5月期が99.2%で、比較指標の配当込みTOPIX(232.4%)を大きく下回っています。
762円で計算した指標
| 指標 | 数値 | 計算 |
|---|---|---|
| 時価総額 | 約7億16百万円 | 762円 × 940,000株(自己株式除く)。発行済ベースでは約7億51百万円 |
| 予想PER | 16.7倍 | 762円 ÷ 会社予想1株利益45.74円 |
| 実績PER | 17.2倍 | 762円 ÷ 前期1株利益44.33円 |
| PBR | 1.73倍 | 762円 ÷ 8月末の1株純資産441.16円 |
| 予想配当利回り | 1.31% | 年10円 ÷ 762円 |
出所:筆者計算。株価は確定値に差し替える必要があります。
強気の材料
- 直近2期は、会社の利益予想が毎回大きく上振れた。今期も6〜8月だけで上半期予想を44%上回っており、予想が置く9〜11月の赤字(△9百万円)が実際に起きなければ、上方修正の余地がある
- SES事業の売上の伸びは前年同期比+4.1%で続いており、会社は稼働率の目標を98%に引き上げている。給与の引き上げが単価交渉に反映されれば、SES事業の利益率は前期並み(25%)に戻る余地がある
- ネットキャッシュが時価総額の約4割あり、借入も少ない。潜在株式もない
- 社員持株会(13.38%、会社補助20%)という構造的な買い手がいる
弱気の材料
- 6〜8月の増益の大部分は、案件の納品時期で動くソリューション事業から来ており、主力のSES事業の利益は前年より減った。給与の引き上げが続けば、SES事業の利益率はさらに下がり得る
- 会社予想は、残り9か月の営業利益を前年比△24.7%で置いている。「保守的なだけ」ではなく、給与の上昇という今期実際に起きている費用増を織り込んだ数字である可能性もある
- 今期の予想は前期実績とほぼ同額で、前期のように「予想の6.5倍」で着地するほどの余白は、金額の上では見当たらない
- 売上の22.8%を楽天銀行1社に依存しており、比率は上がっている
- 採用環境が厳しいと会社自身が書くなかで、育成の場であるアカデミーの運営を絞っている。弟子の数が増えなければ、SES事業の売上は横ばいに近づく
- 福岡証券取引所Q-Board単独上場で、売買の成立日・出来高とも少ない
同じ「9〜11月に赤字を置いた予想」が、強気側では「上振れの余地」、弱気側では「費用増の織り込み」として読めます。どちらの読みでも数字は同じで、答えが出るのは2027年1月上旬の中間決算です。
9. 今後のカレンダーと見るべきKPI
| 時期 | イベント | 見るポイント |
|---|---|---|
| 2026年11月26日(木) | 中間配当の権利付き最終日 | 今期の中間配当予想は0円 |
| 2027年1月上旬(例年1月8〜9日) | 中間決算(6〜11月) | 9〜11月の単独営業利益(予想の逆算は△9.2百万円、前年は+13.1百万円)、通期予想の修正の有無 |
| 時期未定 | 新中期経営計画 | 会社は「今後を見据えた施策等を検討した後に速やかに開示」としている |
| 2027年4月上旬(例年) | 第3四半期決算 | 12〜2月の単独営業利益(前年は44.1百万円で、比較できる期間で最大) |
| 2027年5月27日(木) | 期末配当の権利付き最終日 | 予想10円(普通配当) |
| 2027年7月上旬(例年) | 通期決算 | 3〜5月の単独営業利益(2年続けて弱い)、来期予想、配当 |
| 2027年8月 | 有報・定時株主総会 | SES事業の売上総利益率(目標35%)、稼働率(目標98%)、主要顧客の比率 |
見るべきKPI
- SES事業のセグメント利益率:今期6〜8月は24.7%(前年27.0%、前期通期25.0%)。給与の引き上げを単価に転嫁できているかの物差し
- SES事業の売上の前四半期比:直近は4億2千万円前後で横ばい。稼働人数が増えているかどうかの代わりの指標
- ソリューション事業の売上と契約負債(前受金):6〜8月は51百万円。8月末の契約負債19百万円が次の売上の手がかり
- 全社費用:6〜8月は93百万円(前期の四半期は85〜97百万円)。アカデミーの運営最適化の効果が出る場所
- 楽天銀行向け売上の比率:有報で年1回
3行まとめ
- 6〜8月の営業利益は前年の約1.9倍の30百万円で、上半期予想(21百万円)を3か月で超えたが、増えた分はほぼソリューション事業の納品によるもので、主力のSES事業は給与の引き上げで利益が4.8%減った
- 会社予想どおりなら9〜11月は約9百万円の営業赤字、残り9か月の営業利益は前年比△24.7%。前期も同じ形の予想が最後は6.5倍で着地したが、今期の予想は前期実績とほぼ同額で、前期ほどの余白は金額の上ではない
- 配当予想は普通配当10円(記念配当がなくなるだけ)、ネットキャッシュは時価総額の約4割。株主429名・福岡証券取引所Q-Board単独上場で流動性は小さく、答え合わせは2027年1月上旬の中間決算
本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。
本記事は投資勧誘・投資助言を目的としたものではありません。数値は、メディアファイブの決算短信(2025年5月期〜2027年5月期第1四半期)、適時開示(業績予想の修正・差異、配当予想の修正、子会社株式の譲渡、営業外収益及び営業外費用の計上等)、有価証券報告書(第30期)、臨時報告書(2026年8月28日提出)に基づきます。四半期単独の数値、営業利益の分解、会社予想から逆算した9〜11月・残り期間の数値、税負担率、株価指標は筆者の計算です。株価・出来高・年初来高値安値はYahoo!ファイナンスによる報道ベースの数値で、2026年10月9日の株価は取引時間中(9時41分)の値であり終値ではありません。同社は決算補足説明資料の作成・決算説明会の開催を行っておらず(過去の短信表紙の記載に基づく)、本記事は当四半期についての会社の追加説明・質疑応答を一切反映していません。ソリューション事業の売上増加を前期末の受注残高・契約負債の納品と結びつけた記述、3〜5月の弱さを新卒研修と結びつけた記述は筆者の推測であり、会社の開示に基づくものではありません。2025年5月期の第1・第2四半期は連結決算で開示されていたため、単体の四半期の数値は比較に使っていません。株主優待の有無は第30期有報と会社IRサイトで確認しました。大株主間の関係は開示で確認できないため合算していません。
記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。