株式投資

コニシ(4956) 石油由来の原料を仕入れて、「ボンド」の名前で値札を書いて売っている会社 上期の営業利益が6割増えたのに、なぜ会社は下期を上期より低く置いたのか?【2026年10月発表・上半期決算】

本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • コニシが2026年10月28日(11時30分)に発表した上半期決算と、同時に出した通期予想の上方修正(営業利益115億円→140億円)の中身
  • 営業利益が前年同期比+59.2%になった理由を、「売上が増えた分」「利益率が上がった分」「販管費」の3つに分けた結果。駆け込み需要のあった4〜6月より、7〜9月のほうが利益率が高かったこと
  • 上方修正25億円のうち、上期の上振れが20億円、下期の引き上げは約5億円にとどまること。修正後の下期は、営業利益が上期を下回る置き方になっていること(過去2年は下期のほうが大きい)
  • 下期の「売上の伸び」と「利益率」の組み合わせで通期営業利益がどこに着地するかの感応度表(筆者の試算)
  • 配当性向30%目安の会社が、利益予想を上げたのに配当予想を据え置いた結果、修正後の配当性向が約24.8%になっていること。決算当日夕方に決議した4回目のToSTNeT-3による自己株式取得
  • 中期経営計画2027(最終年度は今期)の営業利益目標115億円を、修正後予想が上回ったこと

1. 前提知識:コニシはどんな会社か

ホームセンターの黄色いボンドの裏側

ホームセンターの接着剤売り場に行くと、黄色いチューブに「ボンド」と書かれた商品が並んでいます。あの「ボンド」を作っているのがコニシです。ただ、会社全体の売上で見ると、家庭用の接着剤は一部にすぎません。住宅の床や壁を貼る接着剤、ビルの外壁の継ぎ目を埋めるシーリング材、橋やトンネルのコンクリートを補修する材料など、売り先の多くは住宅・建築・土木の現場です。

さらにコニシは、自社で作る接着剤のほかに、化学品を仕入れてメーカーに売る専門商社の事業(化成品)と、インフラや建物の補修工事を請け負う事業(工事事業)も持っています。

セグメント何をしているか2026年3月期 売上高同 セグメント利益利益率
ボンド接着剤・シーリング材・補修材などの製造販売743億15百万円67億60百万円9.1%
化成品工業薬品・合成樹脂・電子部品材料などの仕入販売(商社)391億94百万円14億27百万円3.6%
工事事業橋梁・道路・建物の補修・改修・補強工事230億59百万円23億63百万円10.2%
調整額セグメント間取引の消去等-△87百万円-
連結1,365億69百万円104億64百万円7.7%

※売上高は外部顧客への売上高。利益率は筆者の算出(セグメント利益÷外部顧客への売上高)。出所は2026年3月期決算短信のセグメント情報

この表のポイントは2つです。1つ目は、売上の半分強、利益の6割強をボンド事業が稼いでいることです。2つ目は、化成品の利益率が3%台と低いことです。化成品は他社の化学品を仕入れて売る商社なので、利益率は売上の大きさのわりに小さくなります。

軸となる例え:「石油由来の原料を仕入れて、『ボンド』の名前で値札を書いて売っている会社」

この記事では、コニシを「石油由来の原料を仕入れて、『ボンド』の名前で値札を書いて売っている会社」として読みます。

接着剤やシーリング材の主な原料は、石油から作られる樹脂や溶剤です。コニシはこの原料を外から買っています。原料の値段も、原料が手に入る量も、コニシが決めることはできません。一方で、できあがった製品には「ボンド」という名前が付いています。工務店や工事業者が「いつものボンド」を指名して買う商品であれば、原料が高くなったときに、値札を書き換える(価格を改定する)余地があります。

この例えから、強みと弱みが同じ1文で出てきます。

  • 強み:値札を自分で書ける。 原料高を価格改定で売値に乗せられれば、売上と利益率の両方が上がる
  • 弱み①:原料の値段と量は決められない。 原料がいつ、いくらで、どれだけ入ってくるかで、利益率(率効果)が揺れる
  • 弱み②:売れる量は住宅・建築・土木の現場の量で決まる。 新設住宅の着工戸数や公共工事の量(数量効果)は、コニシが決められない

今回の決算は、この3つが同時に動いた半年でした。2026年春に中東情勢が緊迫し、原料の値段が上がり、原料そのものが足りなくなりました。コニシは値札を書き換え(価格改定)、さらに欠品を防ぐために出荷を絞りました(出荷調整)。この記事では、営業利益の増加を「売れた量」と「利益率」と「販管費」に分け、軸の3つの要素がそれぞれどれだけ効いたのかを見ていきます。

用語メモ:数量効果・率効果 営業利益の増減を分ける方法の1つです。数量効果は「売上が増えた分に、前年の粗利率を掛けたもの」で、量が増えたことによる粗利の増加を表します。率効果は「今年の売上に、粗利率の変化(今年−前年)を掛けたもの」で、値上げや原価の変化で利益率が動いたことによる粗利の増減を表します。これに販管費の増減を足すと、営業利益の増減に一致します。

直近3期と今期予想

項目2024年3月期2025年3月期2026年3月期2027年3月期 修正後予想
売上高1,329億69百万円1,356億90百万円1,365億69百万円1,500億円
営業利益102億86百万円105億55百万円104億64百万円140億円
営業利益率7.7%7.8%7.7%9.3%
経常利益108億06百万円111億94百万円110億98百万円147億円
親会社株主に帰属する当期純利益73億44百万円80億84百万円80億33百万円95億円
1株当たり当期純利益(EPS)108.87円121.03円124.90円153.01円
自己資本当期純利益率(ROE)9.4%9.7%9.2%-
自己資本比率56.6%63.1%63.4%(9月末63.1%)
年間配当33円(分割換算)38円(うち記念5円)38円38円(予想)

※2026年3月期から、不動産賃貸の損益を売上高・売上原価から営業外損益に移す表示方法の変更がありました。2025年3月期の売上高・営業利益は変更後に組み替えた値(2026年3月期決算短信の前期欄)です。2024年3月期は変更前の値で、そのまま比べることはできません。2024年1月1日に1株を2株に分割しており、2024年3月期の配当は分割後に換算した値(中間27円÷2+期末19.5円)です。営業利益率は筆者の算出です。

この表のポイントは、過去3期の営業利益が102億〜106億円の範囲でほぼ横ばいだったことです。今期の修正後予想140億円は、その横ばいから一段上に出る置き方です。

会社予想の達成履歴

コニシは期初に通期と上期(第2四半期累計)の両方の予想を出す会社です。過去の予想の当たり方を並べます。

期期初予想の発表期初の営業利益予想(前期実績比)期中の修正営業利益の実績期初予想比売上高の期初予想比
2024年3月期2023年4月93億円2024年1月に105億円へ上方修正102億86百万円110.6%(修正後比98.0%)103.1%
2025年3月期2024年4月25日107億円(+4.0%)なし106億49百万円99.5%97.8%
2026年3月期2025年4月25日106億70百万円(+0.2%)なし104億64百万円98.1%96.2%
2027年3月期2026年4月24日115億円(+9.9%)2026年10月28日に140億円へ上方修正---
期上期の営業利益予想上期の実績上期予想比上期の売上高予想比
2025年3月期46億円48億86百万円106.2%98.9%
2026年3月期47億50百万円46億22百万円97.3%97.5%
2027年3月期53億50百万円73億58百万円137.5%102.5%

※2025年3月期の実績は表示方法の変更前の値(当時の短信)。2024年3月期の期初予想と修正は、株予報(ifis)の業績予想修正履歴によるもので、筆者は当時の短信原文を確認していません。比率は筆者の算出です。

この2つの表のポイントは2つです。

1つ目は、過去2年の売上高が、通期でも上期でも期初予想を2〜4%下回っていたことです。営業利益は期初予想のほぼ近くに着地していました。つまり、コニシの予想は「売上は少し強めに置き、利益は大きく外さない」形が2年続いていました。

2つ目は、今期の上期が、その2年とまったく違う形になったことです。売上高が予想を2.5%上回り、営業利益は37.5%上回りました。上期予想比で営業利益が3割以上外れたのは、この表の範囲では初めてです。


2. 決算ハイライト:上半期(2026年4〜9月)

損益

項目2026年3月期 上期2027年3月期 上期前年同期比上期予想(4月24日)上期予想比
売上高655億33百万円737億68百万円+12.6%720億円+2.5%
売上総利益131億87百万円160億41百万円+21.6%--
売上総利益率20.1%21.7%+1.6pt--
販管費85億65百万円86億83百万円+1.4%--
営業利益46億22百万円73億58百万円+59.2%53億50百万円+37.5%
経常利益48億65百万円77億50百万円+59.3%56億円+38.4%
親会社株主に帰属する中間純利益32億99百万円51億75百万円+56.9%33億50百万円+54.5%
EPS50.62円83.36円+64.7%53.67円-
EBITDA(会社開示)61億22百万円88億35百万円+44.3%--

※出所:2027年3月期第2四半期(中間期)決算短信、同日の業績予想との差異に関するお知らせ。売上総利益率・販管費の増減率・EPSの増減率は筆者の算出。EBITDAは会社の定義(営業利益+減価償却費+のれん償却額)

この表のポイントは2つです。

1つ目は、売上が12.6%増えたのに対して、販管費は1.4%しか増えていないことです。売上総利益の増加(28億54百万円)がほぼそのまま営業利益の増加(27億36百万円)になっています。

2つ目は、売上総利益率が1.6ポイント上がったことです。売上が増えただけでなく、売上1円あたりの粗利も増えています。この「率」がどこから来たのかが、この記事の深掘りの中心になります。

EPSの伸び(+64.7%)が純利益の伸び(+56.9%)より大きいのは、自己株式の取得で期中平均株式数が65,177,272株から62,086,701株に約4.7%減ったためです。(1+0.569)÷(1−0.047)−1=約+64.7%で、EPSの伸びと一致します。

修正理由(原文)

会社は修正理由を次のように書いています(原文)。

当中間連結会計期間におきましては、中東情勢緊迫化による原料価格高騰を背景とした価格改定と、原料不足による当社製品の欠品防止を目的として出荷調整を行ったことにより、大半の製品を安定して供給することができたことから、売上が想定より好調に推移したため、売上高および利益のいずれも業績予想を上回る結果となりました。通期におきましては、今後の情勢等について不透明感はあるものの、直近の動向を踏まえて業績予想を修正するものであります。

また、短信のボンド事業の説明には、4月に駆け込み需要が発生したことが明記されています(原文)。

一般家庭用分野、住関連分野、産業資材分野、建築分野および土木分野において、中東情勢の緊迫化による供給不安を背景とした駆け込み需要が4月に発生しました。その後は原料価格高騰による価格改定と、原料供給不足による当社製品の欠品防止を目的とした出荷調整を行ったことで、大半の製品を安定して供給することができたことから、売上が増加しました。

ここで大事なのは、会社が挙げた理由が「価格改定」「出荷調整」「安定供給できたこと」の3つで、「4月の駆け込み」は修正理由そのものには入っていないことです。駆け込みは、短信のセグメント説明に出てくる事実です。

財政状態とキャッシュ・フロー

項目2026年3月末2026年9月末増減
現金及び預金212億94百万円228億14百万円+15億20百万円
受取手形、売掛金及び契約資産+電子記録債権497億84百万円516億88百万円+19億04百万円
棚卸資産(商品及び製品・仕掛品・原材料及び貯蔵品)110億38百万円125億57百万円+15億19百万円
うち原材料及び貯蔵品16億40百万円21億15百万円+4億75百万円(+29.0%)
支払手形及び買掛金+電子記録債務351億74百万円375億98百万円+24億24百万円
有利子負債(借入金)63百万円44百万円△19百万円
純資産888億60百万円930億34百万円+41億73百万円
自己資本比率63.4%63.1%△0.3pt

※合算と増減率は筆者の算出

キャッシュ・フロー2026年3月期 上期2027年3月期 上期
営業活動66億09百万円51億89百万円
投資活動△29億72百万円△12億52百万円
財務活動△49億78百万円△24億74百万円
うち自己株式の取得△35億46百万円△12億47百万円
うち配当金の支払△14億03百万円△11億87百万円

この2つの表のポイントは、利益が6割増えたのに、営業キャッシュ・フローは前年より14億19百万円減ったことです。理由は運転資金です。売上債権が18億52百万円、棚卸資産が15億09百万円増えました(キャッシュ・フロー計算書の値)。仕入債務の増加(23億92百万円)で一部は相殺されましたが、前年上期は売上債権が26億74百万円減って現金を生んでいたので、その差が大きく出ています。

原材料及び貯蔵品が半年で29.0%増えたのは、原料の値段が上がったこと、原料を確保したこと、その両方が考えられますが、会社はどちらがどれだけかを説明していません。

有利子負債はほぼゼロで、現金及び預金228億円に対して借入金は44百万円です。


3. 深掘り:上期の6割増益は何でできていて、会社はそれを下期にどれだけ残すと置いたのか

今回の決算でいちばん分かりにくく、いちばん大事なのは、「上期の大幅増益」と「修正後の下期予想」の関係です。この問いを3段階に分けて読みます。

  • 第1段階:上期の増益は、量・率・販管費のどれでできていたのか。駆け込みのあった4〜6月と、その後の7〜9月で中身は違ったのか
  • 第2段階:上方修正の25億円は、上期の上振れと下期の引き上げにどう分かれるのか
  • 第3段階:修正後の下期は、過去の下期と比べてどこに置かれているのか

3-1. 第1段階:4〜6月と7〜9月に分けると、7〜9月のほうが強い

コニシは第1四半期と上期の累計を開示しているので、上期から第1四半期を引くと7〜9月の3か月が出ます。10四半期分を並べます。

用語メモ:累計から差し引く 決算短信は「4月から◯月まで」の累計で数字を出します。7〜9月だけの数字は開示されないので、上期の累計から第1四半期(4〜6月)を引いて自分で出すしかありません。この記事の単独四半期の数字は、すべて筆者が差し引いたものです。4四半期を足すと通期の開示値に一致することを確認しています。

四半期売上高売上総利益率販管費営業利益営業利益率
2025年3月期 4〜6月322億23百万円19.3%41億02百万円21億01百万円6.5%
2025年3月期 7〜9月334億60百万円20.3%40億57百万円27億47百万円8.2%
2025年3月期 10〜12月368億63百万円21.3%42億77百万円35億68百万円9.7%
2025年3月期 1〜3月331億44百万円20.0%45億07百万円21億39百万円6.5%
2026年3月期 4〜6月322億41百万円20.0%43億27百万円21億36百万円6.6%
2026年3月期 7〜9月332億92百万円20.2%42億38百万円24億86百万円7.5%
2026年3月期 10〜12月354億45百万円21.1%45億27百万円29億62百万円8.4%
2026年3月期 1〜3月355億91百万円20.7%44億85百万円28億80百万円8.1%
2027年3月期 4〜6月362億02百万円21.1%43億98百万円32億57百万円9.0%
2027年3月期 7〜9月375億66百万円22.3%42億85百万円41億01百万円10.9%

※筆者の差し引き。2025年3月期は表示方法の変更後に組み替えた値(2026年3月期の各短信の前年同期欄)。百万円未満切捨ての開示値どうしの差なので、±1〜2百万円の幅があります

この表のポイントは3つです。

1つ目は、2027年3月期の7〜9月の営業利益41億01百万円と営業利益率10.9%が、10四半期で最も高いことです。売上総利益率22.3%も10四半期で最高です。

2つ目は、駆け込み需要が4月にあったにもかかわらず、7〜9月のほうが4〜6月より売上も利益率も高いことです。もし上期の増益が駆け込みだけでできていたなら、7〜9月は反動で落ちるはずですが、そうはなっていません。

3つ目は、過去2年、営業利益が最も大きかったのは10〜12月だったことです(2025年3月期35億68百万円、2026年3月期29億62百万円)。2年続けて、4〜6月が小さく、10〜12月が大きい形でした。2024年3月期以前の四半期は表示方法の変更前の値で組み替えた数字がないため、3年目は確認していません。この記事では「季節性」とは書かず、「2年続けてそうだった」とだけ書きます。

営業利益の増加を3つに分ける

前年同期からの営業利益の増加を、数量効果・率効果・販管費の3つに分けます。

期間数量効果率効果販管費合計(営業利益の増減)
4〜6月+7億94百万円+3億98百万円△71百万円+11億21百万円
7〜9月+8億63百万円+7億99百万円△47百万円+16億15百万円
上期+16億57百万円+11億97百万円△1億18百万円+27億36百万円

※筆者の算出。数量効果=売上高の増加額×前年同期の売上総利益率、率効果=当期売上高×売上総利益率の変化、販管費は増加をマイナスで表示。上期の行は上期の累計どうしで計算しているので、4〜6月と7〜9月の行の合計とは一致しません

この表のポイントは、率効果が4〜6月の4億円から、7〜9月には8億円へと倍になったことです。

4〜6月の増益は、売上が増えた分(数量効果)が中心でした。ここには4月の駆け込み需要が含まれます。7〜9月は、売上の伸び(前年同期比+12.8%)は4〜6月(+12.3%)とほぼ同じでしたが、増益の半分を率効果が占めました。

軸の例えに戻ると、4〜6月は「棚からボンドが早めに消えた」3か月、7〜9月は「書き換えた値札が効いてきた」3か月、と読むことができます。ただし、7〜9月の率効果が値上げだけによるのか、安い時期に仕入れた原料を使ったことによるのか(在庫の時間差)は、短信からは分かりません。会社は率効果の内訳を開示していません。

用語メモ:原料高の局面と在庫の時間差 原料が値上がりする局面では、値上げ前に仕入れた原料で作った製品を、値上げ後の値札で売ることがあります。この間は利益率が一時的に高く出ることがあり、在庫が入れ替わると元に戻ります。棚卸資産をどの方法(総平均法・移動平均法・先入先出法など)で評価しているかで、この時間差の出方が変わります。筆者は今回、コニシの評価方法を有価証券報告書で確認していません。会社はこの影響の金額を開示していないので、本記事では金額を推定しません。

セグメント別に見ると、利益率が上がったのはボンド

セグメント4〜6月 利益率(前年)7〜9月 利益率(前年)上期の売上高(前年同期比)上期のセグメント利益(前年同期比)
ボンド12.5%(8.0%)14.3%(9.3%)402億67百万円(+9.8%)53億91百万円(+69.1%)
化成品4.6%(3.2%)4.7%(3.5%)215億62百万円(+12.8%)10億10百万円(+57.4%)
工事事業4.9%(7.6%)10.4%(8.2%)119億38百万円(+22.5%)9億25百万円(+19.6%)

※利益率はセグメント利益÷外部顧客への売上高。四半期の値は筆者の差し引き。前年同期比は短信本文の会社の表記

この表のポイントは、営業利益の増加27億36百万円のうち、ボンド事業の増加が22億04百万円と8割を占めることです。ボンド事業の利益率は7〜9月に14.3%まで上がり、前年同期を5.0ポイント上回りました。ボンドの売上の伸びは+9.8%で、3事業の中で最も低いのに、利益の伸びは最も高くなっています。

これは軸の「値札を自分で書ける」部分がいちばん出たのがボンド事業だった、という読み方と整合します。化成品は他社の化学品を仕入れて売る商社なので、仕入れ値の上昇を売値に乗せても、利益率の上がり方は小さくなります(3.4%→4.7%)。

工事事業は4〜6月の利益率が前年を下回り、7〜9月に戻しました。会社は第1四半期の短信で「一部物件においては工事進捗の遅れにより、利益の計上時期が第2四半期以降となる見込み」と書いており、その分が7〜9月に入ったと読めます。工事事業の売上+22.5%には、2026年1月5日に子会社化した中井土木(三重県松阪市の土木・舗装工事会社)の分が含まれますが、会社はその金額を開示していないので、切り分けられません。

3-2. 第2段階:上方修正25億円は「上期の上振れ20億円」と「下期の引き上げ5億円」

第1段階で、上期の増益は「駆け込み」だけでなく「値札の書き換え」でできていることを見ました。では会社は、その強さを下期にどれだけ残すと置いたのでしょうか。上方修正の中身を、上期と下期に分けます。

項目売上高営業利益
上期の上振れ(実績−上期予想)+17億68百万円+20億08百万円
通期予想の修正額(修正後−期初)0円+25億円
下期の予想の変化(上の2行の差)△17億68百万円+4億92百万円

※筆者の算出。下期の予想=通期予想−上期(期初は上期予想、修正後は上期実績)

この表のポイントは2つです。

1つ目は、営業利益の上方修正25億円のうち、20億円は「すでに終わった上期の上振れ」で、下期の引き上げは約5億円にとどまることです。

2つ目は、売上高の通期予想を1,500億円のまま据え置いたことです。通期を据え置いて上期が17億68百万円上振れたので、下期の売上予想は計算上、同じ額だけ下がります(780億円→762億32百万円)。これは計算上必ずそうなる関係で、それ自体は発見ではありません。会社の説明(4月の駆け込み需要)と整合する置き方、とだけ言えます。

用語メモ:「据え置き」の計算上の結果 通期予想を据え置いたまま上期が上振れすると、残りの期間の予想は自動的に小さくなります。会社が「下期の売上が減る」と発表したわけではなく、通期の数字を動かさなかったことの計算上の結果です。業績予想の修正の適時開示は、売上10%・利益30%の変動が基準なので、通期の売上が予想から大きく動かない限り、売上予想を変える義務はありません。

ここで1つ試算をします。期初の下期予想の営業利益率は7.88%(61億50百万円÷780億円、筆者の算出)でした。下期の売上が17億68百万円減った分に、この利益率を掛けると、約1億39百万円の営業利益が下期から抜けることになります。それでも会社は下期の営業利益を4億92百万円引き上げました。つまり、売上が減る分を差し引いたうえで、利益率を約6億円分上げて置いた、と読めます(筆者の試算で、会社は下期の利益率の前提を開示していません)。

3-3. 第3段階:修正後の下期は、上期を下回る置き方

最後に、修正後の下期を過去の下期と並べます。

項目2025年3月期 下期実績2026年3月期 下期実績2027年3月期 期初予想の下期2027年3月期 修正後予想の下期
売上高700億07百万円710億36百万円780億円762億32百万円
営業利益57億07百万円58億42百万円61億50百万円66億42百万円
営業利益率8.15%8.22%7.88%8.71%
費用(売上高−営業利益)643億00百万円651億94百万円718億50百万円695億90百万円
下期の営業利益÷上期の営業利益1.18倍1.26倍1.15倍0.90倍
下期の売上高の前年同期比-+1.5%+9.8%+7.3%

※筆者の算出。2025年3月期は表示方法の変更後に組み替えた値。期初予想の「下期÷上期」は上期予想(53億50百万円)で割った値

この表から、修正後の下期の置き方は3つの物差しで違う顔を見せます。

  • 下期÷上期の比率(0.90倍):過去2年は下期のほうが上期より18〜26%大きかったのに、修正後は下期が上期を約10%下回る置き方です。この物差しだけで見ると、「保守的に置いた」と見えます
  • 下期の営業利益率(8.71%):過去2年の下期(8.15%、8.22%)を上回ります。この物差しだけで見ると、「強気に置いた」と見えます
  • 下期の売上の伸び(+7.3%):上期の伸び(+12.6%)より低く、期初の下期予想(+9.8%)よりも低い置き方です

つまり、修正後の下期は「利益率は過去の下期より高いが、上期の利益率(9.97%)や7〜9月の利益率(10.9%)までは置いていない」という置き方です。

会社は、下期をなぜこの水準に置いたのかを説明していません。修正理由の原文にあるのは「今後の情勢等について不透明感はあるものの」という一文だけです。決算説明資料は11月26日の説明会の後に掲載される予定で、この記事を書いている時点ではまだ出ていません。

下期を上期より低く置いた理由として、筆者には次の読み方が考えられます。いずれも筆者の推測で、会社の開示に基づくものではありません。

  • 原料の値段がさらに上がり、売値の改定が追いつかない期間があると見ている
  • 7〜9月の利益率の一部が、在庫の時間差による一時的なものだと見ている
  • 4月の駆け込みの反動や、出荷調整の解除による需要の戻り方が読めない
  • 中東情勢による原料の調達そのものの不透明さを、利益率で見込んでいる

どれが当てはまるかは、11月26日の説明資料(とくに修正後のセグメント別計画と、営業利益の増減要因)で確認する必要があります。

感応度表:下期の売上と利益率の組み合わせで、通期営業利益はどこに着地するか

下期の売上の前年同期比(下期売上高)利益率8.22%(前期下期並み)利益率8.71%(修正後予想並み)利益率9.97%(今期上期並み)
0%(710億36百万円)131億97百万円135億45百万円144億40百万円
+3.6%(735億93百万円)134億07百万円137億68百万円146億95百万円
+7.3%(762億32百万円、修正後予想)136億24百万円139億98百万円149億58百万円
+12.7%(800億58百万円、上期の伸び並み)139億39百万円143億31百万円153億40百万円

※筆者の試算で、将来の見通しではありません。通期営業利益=上期実績73億58百万円+下期売上高×下期の営業利益率。下期売上は2026年3月期の下期実績710億36百万円を基準にしました。+3.6%は修正後予想の伸びのおよそ半分として置いた段階です。+7.3%・8.71%のマスが140億円にならないのは、利益率を小数第2位で丸めているためです(修正後予想の下期利益率は8.713%)

この表のポイントは、会社の修正後予想140億円が、表のほぼ真ん中に置かれていることです。下期の利益率が前期の下期並み(8.22%)に戻ると、売上が上期並みに伸びても140億円に届きません。逆に、上期の利益率(9.97%)が下期も続けば、売上が前年並みでも140億円を超えます。

つまり、通期の営業利益を決めるのは、下期の売上の量よりも、利益率です。軸の例えでいえば、「値札の書き換えが、原料の値上がりにどこまで先回りし続けられるか」です。

3-4. 3つの段階をつなぐ

3つの段階を1本の線でつなぐと、次のようになります。

上期の増益は、4月の駆け込み(量)だけでなく、7〜9月にかけて強くなった利益率(値札の書き換え)でできていました。会社はその上振れ分を通期予想に乗せましたが、下期には上期ほどの利益率を置かず、過去の下期をやや上回る程度にとどめました。今期の通期営業利益がどこに着地するかは、「書き換えた値札が、原料の値上がりより先を走り続けられるか」にかかっています。


4. 税金の行:純利益予想に置かれた負担率

経常利益の予想が23.5%上がったのに対して、純利益の予想は16.0%しか上がっていません。この差は税金の行で読めます。

項目経常利益(予想・実績)純利益(予想・実績)1−純利益÷経常利益
2026年3月期 期初予想112億円81億円27.7%
2026年3月期 実績110億98百万円80億33百万円27.6%
2027年3月期 期初予想119億円81億90百万円31.2%
2027年3月期 修正後予想147億円95億円35.4%
2027年3月期 修正後の下期(通期−上期)69億50百万円43億25百万円37.8%

※筆者の算出。「1−純利益÷経常利益」は特別損益・税金・非支配株主利益をまとめた比率です

税引前利益に対する法人税等の負担率は、今期上期が33.5%(税金26億16百万円÷税引前利益78億02百万円)、前期通期が32.8%でした。前期は政策保有株式の売却益8億75百万円などの特別利益があったため、経常利益に対する純利益の比率が高く出ています。

修正後の通期予想に上期並みの負担率33.5%を当てはめると、純利益95億円に必要な税引前利益は約142億92百万円です。経常利益予想147億円との差の約4億円が、予想の中に置かれている「特別損失、上期より重い税負担、または余裕」のいずれかに当たります(筆者の試算)。会社はその内訳を説明していません。

この4億円は、強気・弱気の両方に読めます。下期に一時的な損失を見込んでいるなら、本業の見方は変わりません。単に保守的に置いた余裕なら、純利益は予想を上回る余地があります。

用語メモ:税負担率 会社の利益には法人税等がかかります。日本の法定実効税率はおおむね30%台前半ですが、交際費や住民税の均等割など、利益にかかわらず払う税金があるため、実際の負担率は会社や期によって上下します。予想の純利益を予想の経常利益で割ると、会社がどのくらいの負担を見込んでいるかの目安が逆算できます。


5. 中期経営計画2027との距離

今期は「中期経営計画2027」(2025年3月期〜2027年3月期)の最終年度です。2026年5月20日の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」で、会社は「最終年となる2027年3月期の連結売上・利益目標については、変更はありません」と書いていました。

項目中計の最終年度目標期初予想(2026年4月)修正後予想(2026年10月)到達状況
売上高1,500億円1,500億円1,500億円予想どおりなら到達
営業利益115億円115億円140億円予想どおりなら超過(+25億円)
EBITDA145億円--(上期実績88億35百万円)修正後の通期EBITDAは非開示

※出所:資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(2026年5月20日)、各決算短信。上期EBITDAの進捗率は60.9%(筆者の算出)

この表のポイントは、期初予想が中計目標と同じ数字(売上1,500億円・営業利益115億円)に置かれていたことです。今回の修正で、営業利益は目標を25億円上回る予想になりました。売上は目標と同額のままです。

会社は今回の修正の開示で、中計目標や次の中計には触れていません。次の中期経営計画がいつ、どの水準の目標で出るかは、今期の着地とあわせて見るポイントになります。


6. セグメント別の見どころ

ボンド:期初計画の営業利益の7割を上期で稼いだ

項目期初の通期計画上期実績進捗率前年の上期の構成比
ボンド 売上高805億円402億67百万円50.0%49.3%
ボンド 営業利益75億円53億91百万円71.9%47.1%
化成品 売上高425億円215億62百万円50.7%48.8%
化成品 営業利益16億円10億10百万円63.1%45.0%
工事事業 売上高270億円119億38百万円44.2%42.3%
工事事業 営業利益24億円9億25百万円38.5%32.7%

※期初の通期計画は2026年3月期決算短信の「決算参考資料」。「前年の上期の構成比」は、2026年3月期の上期実績÷同期の通期実績(筆者の算出)

この表のポイントは、売上の進捗は3事業とも前年並みなのに、ボンドと化成品の利益の進捗が前年を大きく上回ることです。売上の量は計画どおりで、利益率だけが計画を大きく上回った形です。これは第3章の3分解(率効果)と同じことを、計画比で見たものです。

修正後のセグメント別計画は、まだ開示されていません。11月26日の説明資料で開示されれば、どのセグメントの計画をどれだけ上げたか(または据え置いたか)が分かります。

化成品:値上げと電子部品向けの両方

化成品は、仕入価格の高騰を反映した価格改定に加えて、ハイブリッド車向け商材、放熱材、半導体関連、コンデンサ向け商材が好調だったと会社は説明しています。利益率は3.4%から4.7%へ上がりました。商社の事業なので、仕入れ値の上昇がそのまま売上を膨らませる面があります。売上の伸びのうち、値上げによる部分と数量による部分は開示されていません。

工事事業:利益は下期に偏る事業

工事事業は、前年も上期の利益が通期の32.7%しかなく、下期に偏っています。今期の上期進捗38.5%は前年を上回っていますが、計画24億円に対してはまだ14億75百万円が下期に残っています。中井土木の子会社化(2026年1月)は今期初めて通年で入ります。会社が開示した中井土木の業績は、2022年9月期〜2024年9月期の売上高が10億38百万円〜22億22百万円、営業利益が14百万円〜2億86百万円でした(株式取得の開示)。


7. 資本政策・株主還元

株主優待

本記事で確認した決算短信・適時開示には、株主優待の記載はありませんでした。会社IRサイトのFAQと有価証券報告書の「株主に対する特典」欄は確認していないため、「制度がない」とは断定しません。

配当:「配当性向30%目安」と、据え置かれた期末配当

配当方針は、2026年3月期決算短信に次のように書かれています(原文)。

配当性向30%を目安に、毎期の業績等を勘案しながら、継続的かつ安定的な配当を実施する方針です。

期年間配当配当性向(連結)配当の決め方
2024年3月期33円(分割換算)30.3%配当性向30%目安
2025年3月期38円(普通33円+記念5円)31.4%同上(設立100周年記念配当5円を含む)
2026年3月期38円30.4%同上
2027年3月期 期初予想38円29.0%同上
2027年3月期 修正後38円(据え置き)24.8%同上

※配当性向は短信の開示値。2027年3月期は筆者の算出(38円÷予想EPS)

この表のポイントは、過去3期の配当性向がほぼ30%に揃っていたのに、修正後の予想では24.8%と目安を下回ることです。

会社は、期末配当について次のように書いています(原文)。

期末配当予想につきましては、現時点では1株当たり19円を据え置くことといたしますが、今後の業績の進捗等を踏まえて判断してまいります。

方針の式(修正後EPS153.01円×30%)を当てはめると、年間約45.9円になります。中間19円は確定済みなので、期末で約26.9円の水準です(筆者の試算で、会社の予想ではありません)。

この据え置きは、両方に読めます。強気側では、方針どおりなら期末で増配の余地があり、会社自身も「判断してまいります」と書いています。弱気側では、下期の利益が修正後予想に届かなければ、増配の根拠が小さくなります。会社が増配するかどうかは、今後の開示で確認する必要があります。

中間配当の総額11億71百万円は、19円×9月末の自己株式控除後の株数61,642,744株=11億71百万円で再現できます。

権利確定日:期末配当の基準日は2027年3月31日(水)です。受渡しは約定日から2営業日後なので、権利付き最終日は2027年3月29日(月)です(筆者の算出)。

自己株式の取得:決算日の夕方に決議し、翌朝ToSTNeT-3で買う

コニシは、決算発表の日の夕方に自己株式の取得を決議し、翌朝8時45分のToSTNeT-3(東京証券取引所の立会外取引)で買い付けることを繰り返しています。

決議日取得日取得株数取得価額1株あたり上限(株数/金額)
2025年7月28日2025年7月29日2,868,500株35億42百万円1,235円3,238,800株/40億円
2026年2月17日2026年2月18日1,563,400株21億84百万円1,397円2,300,000株/32億20百万円
2026年7月27日2026年7月28日841,200株12億45百万円1,481円1,200,000株/17億77百万円
2026年10月28日2026年10月29日(予定)結果は未公表-1,475円900,000株/13億27百万円

※出所:各取得・取得結果の開示。1株あたりは筆者の算出(取得価額÷取得株数)。2025年7月分の取得日は、2025年8月7日の訂正開示で7月29日に訂正されています

用語メモ:ToSTNeT-3 東京証券取引所が用意している、取引時間外に自己株式を買うための仕組みです。前日の終値で買い付けの注文を出し、それに見合う売り注文があれば成立します。市場で少しずつ買うのと違い、まとまった株数を売りたい株主の売りを一度に引き取る形になりやすいのが特徴です。取得価格は前日の終値そのものなので、2026年10月29日分の1,475円は10月28日の終値と同じです。

この表のポイントは2つです。

1つ目は、取得が決まった株数が、回を追うごとに小さくなっていることです(2,868,500株→1,563,400株→841,200株)。上限に対する取得株数の割合も、2025年7月は88.6%、2026年2月は68.0%、2026年7月は70.1%でした(筆者の算出)。ToSTNeT-3は売り注文がなければ買えないので、上限まで買えるかは売り手の数で決まります。

2つ目は、売り手が誰なのかは開示されていないことです。コニシは2025年11月に政策保有株式2銘柄を売却しており(売却益8億67百万円)、「政策保有株式の縮減」を資本政策に掲げています。取引先との持ち合いを互いに解消している可能性はありますが、ToSTNeT-3の売り手が誰かは開示がないため、本記事では特定しません。

10月29日分の取得結果は、この記事を書いている時点では公表されていません。上限900,000株は、9月末の自己株式控除後の株数の1.5%(会社の表記)です。

株数と自己株式

項目2025年3月末2026年3月末2026年9月末
発行済株式総数70,414,880株70,414,880株70,414,880株
自己株式4,056,436株7,994,836株8,772,136株
自己株式の比率5.8%11.4%12.5%
自己株式控除後の株数66,358,444株62,420,044株61,642,744株

※比率は筆者の算出

自己株式は、取得だけでなく処分もしています。2026年1月5日には、中井土木の買収代金27億50百万円のうち3億99百万円分を、自己株式310,800株(1株1,287円)で支払いました。役員向けの譲渡制限付株式報酬や、従業員持株会向けの譲渡制限付株式でも自己株式を処分しています。

中計の還元計画との比較

中期経営計画2027では、3年間で株主還元120億円(自己株式取得50億円、配当70億円)を計画していました。2026年5月の資料で、会社自身は「設備投資および配当については計画通りに推移し、自己株式取得は計画以上で進行」と評価し、「24/3期から26/3期の間で約154億円の自己株式取得などによる自己資本の削減」と書いています。上の表の直近3回だけで、取得額は約69億円です(筆者の算出)。

自己株式の取得はEPSを押し上げます。会社の修正後EPS予想153.01円は、純利益95億円を上期の期中平均株式数62,086,701株前後で割った水準で、10月29日の取得分は織り込まれていない計算です(筆者の推計)。


8. 株価の見方

株価の基準点(2026年10月28日終値)

項目値
終値(10月28日)1,475円
前日(10月27日)終値1,508円
10月28日の値動き始値1,553円・高値1,609円・安値1,465円・終値1,475円(前日比△2.19%)
10月28日の出来高402,300株(直近10営業日平均の約4.5倍)
年初来高値・安値1,609円(10月28日)・1,272円(1月30日)
時価総額(自己株式控除後)約909億円
予想PER(修正後EPS153.01円)9.6倍
予想PER(期初EPS131.21円)11.2倍
PBR(9月末の1株当たり純資産約1,503円)0.98倍
予想配当利回り(38円)2.58%

※株価はYahoo!ファイナンスの時系列(東京証券取引所)。PER・PBR・利回り・時価総額は筆者の算出。1株当たり純資産は自己資本926億40百万円÷61,642,744株

決算と上方修正は10月28日の11時30分、前場の取引終了と同時刻に発表されました。後場の取引はすべて発表後ですが、日足だけでは、高値1,609円と安値1,465円が前場と後場のどちらで付いたかは分かりません。始値1,553円は発表前の値です。この記事では、発表と値動きの因果は書かず、事実だけを並べます。

自己株式取得の決議(10月28日16時30分)は取引終了後なので、10月28日の値動きには含まれていません。

なお、株価の基準点として、ToSTNeT-3の取得価格(2026年2月分1,397円、10月分1,475円)は、それぞれ前日の終値と一致しています。2026年3月期決算短信の「時価ベースの自己資本比率」61.3%から逆算した3月末の株価は約1,371円です(61.3%×総資産1,396億10百万円÷自己株式控除後の株数62,420,044株、筆者の算出)。

強気の見方

  • 7〜9月の営業利益率10.9%は10四半期で最も高く、駆け込みのあった4〜6月より強かった。値札の書き換えが効いている形で、修正後の下期の利益率8.71%には上積みの余地があるという見方が成り立ちます
  • 修正後予想PERは9.6倍、PBRは1倍を下回る水準です。会社自身がPBR1倍割れを「市場評価に課題がある」と書き、自己株式の取得を続けています
  • 配当性向が修正後24.8%と目安の30%を下回っており、方針どおりなら期末の増配余地があります(会社は「今後の業績の進捗等を踏まえて判断」としています)
  • 純利益予想には、上期並みの税負担率で計算すると約4億円の余裕が置かれています
  • 無借金で、現金及び預金は228億円あります

弱気の見方

  • 上期の利益率の上昇が、原料の在庫の時間差による一時的なものなら、下期に元に戻る可能性があります。会社は率効果の内訳を開示していません
  • 過去2年、コニシの下期の売上は期初予想に届きませんでした(2025年3月期は下期予想725億円に対して実績701億円、2026年3月期は748億円に対して710億円。筆者の算出)
  • 4月の駆け込み需要の反動や、出荷調整の解除後の需要の戻り方は、まだ数字に出ていません
  • 営業キャッシュ・フローは、利益が6割増えたのに前年より14億円減りました。原料高で売上債権と在庫が膨らむと、利益ほど現金は増えません
  • 中東情勢による原料の調達そのものの不透明さは、会社自身が「不透明感はあるものの」と書いています

同じ「下期を上期より低く置いた」という事実は、強気側では「上振れ余地」、弱気側では「会社自身が利益率の持続に慎重」と読めます。数字は同じで、読み方が分かれます。


9. 今後のカレンダーと見るべきKPI

日付イベント見るポイント
2026年10月29日(木)ToSTNeT-3による自己株式取得の結果公表上限900,000株のうち何株取得できたか
2026年11月11日(水)半期報告書の提出予定日大株主の状況(3月末との比較)、棚卸資産の内訳
2026年11月26日(木)決算説明会(アナリスト・機関投資家向け)。説明資料は終了後に掲載予定修正後のセグメント別計画、営業利益の増減要因、下期を上期より低く置いた理由
2026年12月10日(木)中間配当(19円)の支払開始-
2027年1月下旬第3四半期決算(前年は1月29日)10〜12月の営業利益率(前年8.4%)。過去2年の最大四半期
2027年3月29日(月)期末配当の権利付き最終日(筆者の算出)期末配当予想の修正の有無
2027年4月下旬本決算・次の中期経営計画の有無中計の着地、次の目標

※2027年1月下旬・4月下旬は前年の発表日からの目安で、会社の公表日程ではありません

見るべきKPI

  • 10〜12月の売上総利益率:7〜9月の22.3%を保てるか(過去2年の10〜12月は21.3%、21.1%)
  • ボンド事業の四半期利益率:7〜9月の14.3%が続くか(前年の10〜12月は10.2%)
  • 修正後のセグメント別計画:どの事業を上げたか
  • 棚卸資産と売上債権:利益と現金の差がどう動くか
  • 期末配当予想の修正の有無と、自己株式取得の継続

10. 3行まとめ

  • 上期の営業利益は前年同期比+59.2%の73億58百万円。駆け込みのあった4〜6月より、値札の書き換えが効いた7〜9月のほうが強く、7〜9月の営業利益率10.9%は10四半期で最も高い
  • 上方修正25億円のうち20億円は上期の上振れで、下期の引き上げは約5億円。修正後の下期は、過去2年と違い上期を下回る置き方で、通期の着地は下期の利益率で決まる
  • 配当性向30%目安の会社が、修正後の配当性向24.8%のまま期末配当を据え置き、「今後の業績の進捗等を踏まえて判断」としている。11月26日の説明資料が次の確認点

免責事項

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘・助言を目的としたものではありません。数値の出典は、コニシ株式会社の決算短信(2027年3月期第2四半期・第1四半期、2026年3月期通期・第3四半期・第2四半期・第1四半期、2025年3月期第3四半期、2024年3月期・2025年3月期通期)、適時開示(業績予想との差異および通期業績予想の上方修正、剰余金の配当、自己株式の取得・取得結果および訂正、中井土木株式会社の株式取得、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応)、株価はYahoo!ファイナンスの時系列(東京証券取引所)です。2024年3月期の期初予想と期中修正は株予報(ifis)の業績予想修正履歴によるもので、当時の短信原文は確認していません。一部の過去の短信は、要約ツールで抽出した数値を使っており、原文PDFの全文は通読していません(2026年3月期第1四半期・第2四半期の前年同期欄、2024年3月期・2025年3月期の業績予想、2025年3月期第3四半期の修正の有無、2025年8月7日の訂正開示)。単独四半期の数値、営業利益の3分解、下期の含み、税負担率、配当性向の試算、感応度表、PER・PBR等は筆者の算出・試算で、将来の見通しではありません。

当中間期の決算説明資料は2026年11月26日の説明会後に掲載予定で、本記事には反映していません。第1四半期・第3四半期は会社の補足資料・説明会がなく、本記事の会社の説明はすべて短信本文と適時開示によるものです。当四半期についての会社の追加説明・質疑応答は一切反映していません。下期を上期より低く置いた理由の4つの読み方、7〜9月の率効果が在庫の時間差を含む可能性は筆者の推測で、会社の開示に基づくものではありません。棚卸資産の評価方法は有価証券報告書で確認しておらず、在庫評価の影響額は推定していません。中井土木の子会社化による売上・利益の上乗せは会社が開示しておらず、切り分けていません。ToSTNeT-3による自己株式取得の売り手は開示がなく、特定していません。有価証券報告書の大株主の状況・株式の保有状況、大量保有報告書は確認していません。株主優待は、会社IRサイトのFAQと有価証券報告書の「株主に対する特典」欄を確認していません。決算は11時30分の発表で、10月28日の高値・安値が発表の前後どちらで付いたかは確認できていません。2026年10月29日の自己株式取得の結果は、執筆時点で公表されておらず反映していません。

記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。

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