株式投資

ブルドックソース(2804) ソースの年商とほぼ同じ額の他社の株券を、蔵にしまってきた老舗のソース会社 なぜ上期の経常利益の7割は、ソースではなく株券から来たのか?【2026年10月発表・中間決算】

本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。**執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。**特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。


この記事でわかること

  • ブルドックソースの2027年3月期上半期(2026年4〜9月)は、売上74億円・営業利益2億84百万円に対し、経常利益は10億42百万円。経常利益の約72%が、保有株式の配当と売却益から来ています
  • 単独の7〜9月だけを取り出すと、営業利益は前年同期比△26.6%、経常利益は△61.2%。株を売らなかった3か月は、ソースの稼ぎがそのまま見える3か月でした
  • 会社の経常利益予想(13億50百万円)は、営業外で7億30百万円を見込む作りですが、上期だけで7億58百万円を使い切っています。下期の予想は「蔵を開けない」計算になっています
  • 政策保有株式の解消は双方向で進んでいます。相手側がブルドック株を手放す受け皿として、会社が自己株式取得の枠を5億円から12億円に広げ、7月にToSTNeT-3で37万2,800株を買い取りました
  • 蔵にはまだ、「互いの協議により政策保有を解除」と有報に書かれた銘柄が、3月末の簿価ベースで約45億円残っています。うち約37億円が1銘柄(テクノ菱和)です
  • 株価は1,810円(10月23日終値)。予想EPSのPERは23.6倍ですが、売却益を除くと約37倍。PERの読み方が「蔵の中身をどう数えるか」で変わる銘柄です

1. 前提知識:ソースの会社が、なぜ株券の話になるのか

1-1. 軸となる例え:蔵に株券をしまってきたソース屋

ブルドックソースは1902年に東京・日本橋の食料品卸「三澤屋商店」として創業し、1905年からソースを作り始めた会社です。いまも本社は日本橋兜町にあり、中濃・ウスター・とんかつソースを中心に、関西の「イカリソース」、広島の「サンフーズ」、上海の現地法人を持っています。セグメントは「ソース類の製造販売」の1つだけです。

この会社を1枚の絵にすると、こうなります。

老舗のソース屋が、店先ではソースを売り、奥の蔵には長年の付き合い先――仕入先、得意先、取引銀行――の株券をしまってきた。その蔵の中身が、いつの間にか店の年商とほぼ同じ額まで育っている。

数字にすると次のとおりです(2026年9月末、百万円)。

項目金額メモ
今期の売上高予想(店の年商)15,200会社予想
投資有価証券(蔵の中身)14,900中間期末の貸借対照表
今期の営業利益予想(店の稼ぎ)620営業利益率4.1%
現金及び預金3,993
借入金(短期+長期)3,994230+613+3,151

この表のポイントは2つです。1つは、蔵の中身(149億円)が年商(152億円)の98%に達していること。もう1つは、現金と借入金がほぼ同額で、手元のお金は「差し引きゼロ」だということです。会社の財布の厚みは、現金ではなく蔵の株券にあります。

この例えは、強みと弱みを同じ1枚の中に置けます。

  • 強み:付き合い先とのつながりが深く、蔵の株券は値上がりしてきた。売れば利益になり、持っていれば配当が入る。株主還元の原資にもなる
  • 弱み①(いまの数字):店先のソースの稼ぎは小さい。売上に対する営業利益は4%前後で、原材料・資材・電力の値段は自分では決められない
  • 弱み②(構造の帰結):蔵の株券は一度売ったら戻らない。売却益は一回きりで、売った銘柄の配当も翌期から入らなくなる。しかも相手も同時にブルドック株を蔵から出してくる

以降の章では、この「店先」と「蔵」を分けて数字を読んでいきます。

用語メモ:政策保有株式 取引関係の維持・強化を目的に持つ他社の株式のこと。「持ち合い」とも呼ばれます。有価証券報告書(有報)の「株式の保有状況」に銘柄ごとの株数・金額・保有目的が載り、相手もこちらの株を持っているかどうか(「当社の株式の保有の有無」)まで書かれています。近年は東京証券取引所の資本効率への要請もあり、縮減を進める会社が増えています。

1-2. 蔵の中身は何か

2026年3月期の有報「株式の保有状況」から、蔵の中身を整理します(2026年3月末、貸借対照表計上額)。

区分銘柄数金額(百万円)
政策保有(上場)184,428
政策保有(非上場)51,090
純投資(上場)377,741
合計6013,260
(参考)連結の投資有価証券―13,424

この表で目を引くのは、「純投資」が政策保有より大きいことです。ただし有報を読むと、純投資のかなりの部分はもともと政策保有だった銘柄です。会社は「互いの協議により政策保有を解除することとなりました」として、次の銘柄を純投資に区分を変えています。

銘柄株式数計上額(百万円)区分を変えた期売却方針(有報の記載)
テクノ菱和640,2603,7072025年3月期2026年度以降売却予定
養命酒製造205,0008282026年3月期2026年4月に売却予定
サカタのタネ118,3005092025年3月期2026年度以降売却予定
安藤・間116,8002272024年3月期一部売却済み、残りは2026年度以降
伊藤忠食品10,0001292026年3月期2026年4月に売却予定
三十三フィナンシャルグループ66,080952026年3月期2026年度以降売却予定
日東工器9,300152024年3月期2026年度以降売却予定

※株式数・計上額は有報「株式の保有状況」⑤欄の記載(計上額は千円表示を百万円未満切り捨て)。

合計は約55億円。このうち2026年4月に売却予定とされた2銘柄(養命酒製造・伊藤忠食品)を除くと、約45億円が「解除で合意済み・まだ売っていない」株券です(筆者の整理)。そのうちテクノ菱和1銘柄で約37億円。テクノ菱和は、ブルドックの大株主表の10位にも24万株(1.88%)で載っています。

用語メモ:純投資への区分変更 政策保有として持っていた株を、売却を前提に「純投資」の区分に移すことがあります。会計上の扱いは同じ「その他有価証券」で、時価で計上され、含み益は税効果を差し引いて純資産(その他有価証券評価差額金)に入ります。区分を変えた時点では利益は出ず、実際に売った期に売却益が損益計算書に出ます。

1-3. 業績の推移:店先と蔵を分けて見る

有報の5期表と決算短信から、直近5期を並べます(百万円、配当は円)。

決算期売上高営業利益経常利益純利益ROE1株配当株主総利回り(配当込みTOPIX)
2022年3月期13,3006511,0137163.52%3580.4%(102.0%)
2023年3月期13,5294301,2345952.95%3573.4%(107.9%)
2024年3月期14,4821636741450.70%3580.7%(152.5%)
2025年3月期14,6172238646232.91%3567.9%(150.2%)
2026年3月期14,6886131,3182,44010.45%4575.7%(202.2%)

※売上高・利益は有報の千円表示を百万円未満切り捨て。営業利益は決算短信・決算説明資料の値。2026年3月期の配当45円は特別配当5円を含む。株主総利回りは2021年3月末を100%とした有報の数値。

この表のポイントは3つです。

  1. 経常利益が毎年、営業利益の1.5〜4倍強ある。差の大部分は受取配当金と投資有価証券売却益、つまり蔵からの収入です
  2. 2024年3月期の営業利益の落ち込み(163百万円)は、館林の新工場「TATEBAYASHIクリエイションセンター(TCC)」の稼働に伴う減価償却費の増加と原材料高(短信の説明)。そこから2年で613百万円まで戻しました
  3. 2026年3月期の純利益24億円とROE10.45%は、旧鳩ケ谷工場跡地の売却益21億50百万円を含む一過性の数字です。会社自身も資本コスト対応の資料で「2025年度の特別利益を除いたROEは株主資本コストと同程度」と書いています。株主総利回りは5年で75.7%と、配当込みTOPIX(202.2%)を大きく下回っています

2. 決算ハイライト:上期の経常利益の7割は蔵から来た

2-1. 上期の損益(2026年10月23日15時00分発表)

項目(百万円)2026年3月期 上期2027年3月期 上期増減率
売上高7,3757,400+0.3%
売上総利益2,3802,391+0.5%
粗利率32.3%32.3%―
販管費2,0772,107+1.4%
営業利益302284△5.9%
受取配当金152187
投資有価証券売却益388567
経常利益8101,042+28.6%
特別利益(固定資産売却益等)2,153―
親会社株主に帰属する中間純利益2,069702△66.0%
1株当たり中間純利益(円)159.5756.64

営業利益は△5.9%、経常利益は+28.6%、純利益は△66.0%。3つの増減率がばらばらですが、原因はそれぞれ1つずつで説明できます。

  • 営業利益の減少:7〜9月の粗利率の低下(2-2で分解)
  • 経常利益の増加:投資有価証券売却益が388→567百万円、受取配当金が152→187百万円に増えた
  • 純利益の減少:前年上期には旧鳩ケ谷工場跡地の売却益21億50百万円があった

上期の経常利益10億42百万円のうち、受取配当金と投資有価証券売却益の合計は7億54百万円。72.4%が蔵からの収入です(筆者の計算)。

用語メモ:営業利益と経常利益の違い 営業利益は本業(ここではソースの製造販売)の利益。経常利益はそこに、受取配当金・受取利息・投資有価証券売却益(営業外収益)を足し、支払利息など(営業外費用)を引いたものです。ブルドックでは投資有価証券の売却益を特別利益ではなく営業外収益に計上しているため、株を売ると経常利益が増えます。

2-2. 単独の7〜9月:蔵を開けなかった3か月

決算短信は累計(4〜6月、4〜9月)でしか開示されないので、上期から第1四半期を引いて7〜9月の3か月を出します(筆者の差し引き)。

項目(百万円)2025年7〜9月2026年7〜9月増減率
売上高3,6803,689+0.2%
粗利率32.7%31.9%△0.8pt
販管費1,0261,048+2.1%
営業利益177130△26.6%
受取配当金1110
投資有価証券売却益2210
経常利益392152△61.2%

上期の売却益567百万円は、すべて4〜6月に計上されたものでした。7〜9月は売却益ゼロ。受取配当金も、過去の四半期を見ると4〜6月と10〜12月に集中しており、この3か月は10百万円しかありません。

つまり7〜9月は、蔵を開けなかった3か月です。経常利益152百万円は、ほぼ「店先の稼ぎ(営業利益130百万円)」そのものでした。

7〜9月の営業利益の減少(△47百万円)を、数量・率・販管費の3つに分けます。

要因金額(百万円)意味
数量効果+3売上がわずかに増えた分
率効果△29粗利率が0.8pt下がった分
販管費△22販管費が増えた分
計(筆者の計算)△48実際の増減は△47(端数差)

※数量効果=売上増減×前年粗利率、率効果=当期売上×粗利率の差。百万円未満の丸めで1百万円ずれる。

売上はほぼ横ばいなので、減益は粗利率と販管費で説明できます。会社は上期の説明として「中東情勢などの影響により資材の一部高騰、電力費等の上昇などがあるなか、業務用商品における生産効率の向上、資材仕様の見直しなどに努めました」と書いています。4〜6月は率効果が+32百万円とプラスだったので、資材・電力の上昇が数字に出始めたのが7〜9月と読めます(会社は四半期ごとの要因を分けて説明していないので、筆者の読み方です)。

軸の言葉で言えば、これは弱み①(原材料・資材・電力の値段は自分では決められない)がそのまま出た3か月です。

2-3. 10四半期の推移:店先の稼ぎは四半期1〜2億円

2025年3月期の第1四半期から、10四半期を並べます(筆者の差し引き、百万円)。

四半期売上高粗利率営業利益営業利益率配当+売却益経常利益
2024年4〜6月3,63227.2%△103△2.8%12512
2024年7〜9月3,68028.6%431.2%203235
2024年10〜12月3,86930.7%1694.4%280435
2025年1〜3月3,43631.5%1143.3%86182
2025年4〜6月3,69531.8%1253.4%308418
2025年7〜9月3,68032.7%1774.8%232392
2025年10〜12月3,85832.1%2135.5%155354
2026年1〜3月3,45532.5%982.8%78154
2026年4〜6月3,71132.7%1544.1%744890
2026年7〜9月3,68931.9%1303.5%10152

※各四半期は累計値からの差し引き。2025年3月期・2026年3月期は4四半期の合計が通期の開示値と一致することを確認済み。

この表のポイントは3つです。

  1. 売上は四半期34〜39億円でほとんど動かない。10〜12月がやや高く、1〜3月がやや低い形は2年続いていますが、2年分なので「季節性」とまでは書きません
  2. 粗利率は27.2%から32.7%まで2年で約5pt上がり、直近で初めて前年を下回った。2025年7〜9月の32.7%が10四半期で最高で、2026年7〜9月の31.9%はそこから0.8pt下がりました
  3. 経常利益の振れのほとんどは、右から2列目(配当+売却益)で決まっている。2026年4〜6月の890百万円と7〜9月の152百万円の差は、ソースではなく蔵の開け閉めの差です

2-4. 財政状態とキャッシュ・フロー

項目(百万円)2026年3月末2026年9月末増減
現金及び預金4,7343,993△740
投資有価証券13,42414,900+1,476
有利子負債(短期+1年内長期+長期)4,2923,994△298
繰延税金負債2,8203,399+579
自己株式△795△1,594△799
その他有価証券評価差額金6,5237,807+1,284
純資産25,26126,121+859
自己資本比率67.7%69.8%

投資有価証券は、4月に1銘柄を売ったにもかかわらず14億76百万円増えました。会社は「時価上昇等による」と説明しています。評価差額金の増加(12億84百万円)と繰延税金負債の増加(5億79百万円)を足すと18億63百万円で、投資有価証券の増加を上回ります。差は売却した銘柄が蔵から出ていった分と読めます(筆者の整理)。

キャッシュ・フローは次のとおりです。

項目(百万円)2026年3月期 上期2027年3月期 上期
営業CF567△172
うち法人税等の支払額△136△888
投資CF2,499930
うち投資有価証券の売却等による収入484961
財務CF△949△1,504
うち自己株式の取得△530△801
うち配当金の支払△238△318

営業CFのマイナスは、前期の土地売却益にかかる法人税の支払い(8億88百万円)が原因です。法人税の支払いを除くと716百万円で、前年上期の同じ計算(703百万円)とほぼ同じです(筆者の計算)。

**上期のお金の流れを一言でまとめると、「蔵の株を約9.6億円売って、約8億円で自社の株を買い戻した」**です。


3. 深掘り①:店先の稼ぎは、下期にどれだけ戻る前提か

ここからは、1つの問いを2段階で追います。問いは「ブルドックの利益のうち、ソースの稼ぎはいくらで、蔵からの収入はいくらで、蔵はあとどれだけあるのか」。まずは店先の稼ぎから見ます。

3-1. 会社予想は据え置き、下期に求めているもの

通期予想は5月15日の公表から変わっていません(短信に「変更はありません」)。予想と上期実績から、下期(10月〜2027年3月)に求められている数字を出します。

項目(百万円)通期予想上期実績予想が置いた下期前年下期前年比
売上高15,2007,4007,8007,313+6.7%
営業利益620284336311+8.0%
経常利益1,3501,042308508△39.4%
純利益950702248371△33.2%

※筆者の差し引き。

営業利益の進捗率は45.8%で、前年の上期(49.3%)より低い位置です。下期には**売上+6.7%、営業利益+8.0%**が求められています。上期の売上は+0.3%でした。

営業利益率に直すと、下期に求められているのは4.31%。前年下期は4.25%、前々年下期は3.87%でした。利益率の要求は前年下期並みで、過去の範囲を大きく外れてはいません。ハードルは売上の側にあります。

3-2. 売上+6.7%の中身

会社は5月の決算説明資料で、カテゴリー別の通期計画を出しています。上期実績と並べます(百万円)。

カテゴリー通期計画前期実績からの伸び上期実績上期の前年同期比計画に対する上期の割合
家庭用ソース8,000△1.5%3,965△1.1%49.6%
業務用ソース4,490+5.0%2,141+0.8%47.7%
ドレッシング・たれ等1,250+18.6%599+2.2%47.9%
その他530△1.6%270±0%50.9%
輸出730+33.4%324+2.9%44.4%
現地法人(上海)200+33.0%98+44.4%49.0%

この表のポイントは2つです。

  1. 計画が大きく伸ばしているのは業務用(+5.0%)、ドレッシング(+18.6%)、輸出(+33.4%)。上期の実績はそれぞれ+0.8%、+2.2%、+2.9%で、伸び率の差が大きいのはこの3つです
  2. 輸出の数字は、上期から区分が変わっています。短信に「『輸出』に係る売上が拡大していることに伴い、より正確な売上把握を目的として当中間連結会計期間より一部商品カテゴリー別区分を変更しました」とあります。上期の前年同期比から逆算すると、前年の輸出は271百万円→約315百万円に組み替えられ、業務用から約34百万円、家庭用ソースから約12百万円が移ったと読めます(筆者の逆算)。5月の計画は旧区分で作られているので、上表の「計画に対する上期の割合」は輸出・業務用・家庭用ソースで目安にとどまります

用語メモ:区分変更をまたぐ比較 カテゴリーの区分を変えた会社は、前年の数字も新しい区分に組み替えて増減率を出すのが普通です。そのため、去年の短信に載っていた前年の数字と、今年の短信の増減率から逆算した前年の数字が合わなくなります。第1四半期(旧区分)と上期(新区分)を引き算して7〜9月を出すと、区分のずれが混ざるので、この記事ではカテゴリー別の7〜9月は出していません。

3-3. 下期の営業利益の感応度

下期の売上の伸びと営業利益率を3段階ずつ置き、通期の営業利益がどこに着地するかを並べます(百万円)。

下期の売上前年比 \ 下期の営業利益率3.5%(上期7〜9月並み)3.9%(前々年下期並み)4.3%(前年下期並み)
±0%540569598
+3%548578608
+6.7%(会社予想の前提)557588620

※筆者の試算で、将来の見通しではありません。上期の営業利益284百万円に、前年下期の売上7,313百万円×(1+伸び率)×営業利益率を足した値。

会社予想(620百万円)に届くのは、9マスのうち右下の1マスだけです。結論は「どのマスに着地するか」ではなく、予想は「売上+6.7%と前年下期並みの利益率が同時にそろう」位置に置かれている、というところまでです。

3-4. この会社の予想の外れ方

会社予想の達成履歴を3期分並べます(百万円)。

決算期予想の時点売上高営業利益経常利益純利益
2024年3月期期初(2023年5月)14,23015026050
修正(2023年7月27日)14,23022037050
修正(2023年10月27日)14,23040055050
実績14,482163674145
2025年3月期期初(2024年5月)15,050300700490
修正なし・実績14,617223864623
2026年3月期期初(2025年5月)15,5004001,0002,000
修正(2025年7月25日)15,3005001,2002,200
修正(2025年10月24日)15,3006001,3002,300
実績14,6886131,3182,440
2027年3月期期初(2026年5月)・据え置き中15,2006201,350950

期初予想に対する着地は次のとおりです(筆者の計算)。

決算期売上高営業利益経常利益
2024年3月期+1.8%+8.7%(最終修正比△59.2%)+159.2%
2025年3月期△2.9%△25.7%+23.4%
2026年3月期△5.2%+53.2%+31.8%

この表のポイントは3つです。

  1. 売上は直近2期、期初予想に届いていない(△2.9%、△5.2%)。今期の+3.5%の予想も、上期は+0.3%でした
  2. 営業利益は上にも下にも大きく外れる。2024年3月期は10月に400百万円へ上方修正したあと163百万円で着地し、2026年3月期は期初400百万円から2回上方修正して613百万円で着地しました。「期中修正の有無」で今期を判断する材料は乏しい会社です
  3. 経常利益だけは3期連続で期初予想を上回っている。理由は次章で見ます

前期は上期決算と同じ日(2025年10月24日)に上方修正しました。今期は同じ日に据え置きです。前期の修正理由は「販売戦略の変更等による収益性の改善が進み、加えてTATEBAYASHIクリエイションセンターにおける生産性がさらに向上した」。今期は修正の開示がないので、据え置きについての説明文は短信の「変更はありません」の一文だけです。

用語メモ:業績予想の修正の開示基準 上場会社は、売上高で10%、利益で30%以上予想からずれる見込みになると、修正を開示する決まりがあります。逆に言えば、修正の開示がないことは「予想どおり進んでいる」ことを意味しません。基準に届かないずれは、決算発表まで表に出ないことがあります。


4. 深掘り②:経常利益の予想は、蔵をどれだけ開ける前提か

前章で、店先の稼ぎ(営業利益)は下期に「売上+6.7%」を求める予想だと分かりました。では経常利益はどうか。ここで蔵の話に戻ります。

4-1. 経常予想の「営業外」の部分

経常利益の予想から営業利益の予想を引くと、会社が営業外(蔵からの収入−支払利息など)にいくら置いているかが分かります。

決算期期初予想の営業外(経常−営業)実際の営業外差
2024年3月期110511+401
2025年3月期400641+241
2026年3月期600705+105
2027年3月期730上期だけで758―

※百万円、筆者の計算。

この表のポイントは2つです。

  1. 過去3期、営業外の実績は毎回、期初予想より大きく出ていた。経常利益が3期連続で期初予想を上回った理由のほとんどはここにあります。株の売却益は売るまで確定しないので、期初の予想に控えめに置き、実際には予想より多く売れた(または高く売れた)、という形です
  2. 今期は期初に730百万円を置き、上期だけで758百万円に達しました

4月2日の「投資有価証券の売却に関するお知らせ」には、上場1銘柄を4月末までに売却し「投資有価証券売却益約477百万円を営業外収益として計上する見込み」と書かれていました。実際の上期の売却益は567百万円で、見込みより90百万円多く出ています。

4-2. 下期の予想は「蔵を開けない」計算

通期の営業外730百万円のうち上期に758百万円を使ったので、予想が下期に置いている営業外は△28百万円です。

前年下期の営業外は+197百万円(受取配当金104百万円、売却益129百万円など)でした。受取配当金は毎年10〜12月にまとまって入る(前年は97百万円)ので、下期に1株も売らなかったとしても、配当だけで支払利息を上回るのが過去の形です。

用語メモ:据え置きの計算上の結果 「下期の営業外が△28百万円」というのは、会社が下期に損失を見込むと発表したわけではありません。通期予想を変えずに上期の実績を引くと、計算上そうなる、というだけです。期初の予想に置いた額を上期で使い切ったあとも予想を据え置くと、下期の数字は機械的に小さく(ここではマイナスに)なります。

そこで、下期の営業外を3通り置いて、通期の経常利益がどうなるかを試算します。営業利益は会社予想どおり620百万円とします。

下期の営業外の置き方下期の営業外通期の経常利益純利益(予想と同じ税負担率で換算)
会社予想のまま△281,350950
前年下期から売却益だけ除いた額+681,4461,018
前年下期並み(売却益込み)+1971,5751,108

※百万円、筆者の試算で、将来の見通しではありません。純利益は会社予想の〈純利益÷経常利益〉=70.4%(暗黙の税負担率29.6%)を当てた値。上期の実際の税負担率は32.2%(税引前中間純利益1,035百万円に対し法人税等333百万円)です。

この表のポイントは、経常利益と純利益の予想は営業利益の予想より「控えめな置き方」になっていることです。同じ予想の中で、営業利益は下期に+8.0%を求め、経常利益は下期に△39.4%を置いています。科目によって予想の重さが違います。

ただし、この控えめさを「上方修正の余地」とだけ読むのは片側です。

  • 強気の読み:下期に配当が例年どおり入り、蔵からさらに売れば、経常・純利益は予想を上回る。過去3期とも経常利益は期初予想を上回ってきた
  • 弱気の読み:上振れの源泉は売却益で、一回きりです。売れば売るほど翌期以降の配当収入は減ります。営業利益が下期の売上+6.7%に届かなければ、経常の余裕は営業の未達で相殺されます

4-3. 蔵はあとどれだけあるか

では、蔵の中で「売る」とすでに書かれているものはどれくらいあるのか。会社の資料を並べます(筆者の整理)。

出所書かれていること
有報「株式の保有状況」(2026年6月)政策保有を解除し純投資に区分した銘柄のうち、2026年4月売却予定の2銘柄を除いて計上額約45億円が「2026年度以降売却予定」等
資本コスト対応のアップデート(2026年8月21日)2026〜2028年度の3年間で「政策保有株式の売却(20億円)」をキャッシュ・インに置く
同上同じ3年間で営業CF60億円、資金調達10億円以上を見込み、成長戦略投資50億円・株主還元30億円以上に配分

※筆者の整理で、売却の見込額・時期を示すものではありません。

2つの資料の関係は、開示からは確定できません。8月の資料の「政策保有株式の売却(20億円)」が、有報で純投資に移した約45億円を含むのか、それとは別に残っている政策保有(上場18銘柄・非上場5銘柄、計約55億円)の縮減を指すのかは書かれていません。

また、「2026年度以降売却予定」は「2026年度中に売る」という意味ではありません。テクノ菱和の株式は2025年3月期に区分を変えてから、この有報の時点まで売られていません。

ここで軸に戻ります。蔵の中身は、店の年商と同じくらいの大きさがあり、少しずつ外に出始めています。ただ、出すたびに配当は減り、売却益は二度と出ません。 今期の経常利益予想が「蔵を開けない」計算になっているのは、その意味で筋が通った作り方とも読めます。


5. 深掘り③:持ち合いの解消は、双方向で進んでいる

前の2章では「ブルドックが蔵から株を出す」話をしました。この章は逆向きです。持ち合いの相手も、自分の蔵からブルドック株を出してきます。 それを誰が受け止めているのか。

5-1. 株主の顔ぶれ

有報の「所有者別状況」(2026年3月末)では、株主の内訳は次のとおりです。

区分株主数所有株式の割合
個人その他17,26846.36%
その他の法人18532.81%
金融機関1519.29%
外国法人等560.98%
金融商品取引業者150.56%

※「個人その他」には自己株式4,417単元を含む。外国法人等は個人以外30・個人26の合計。

185社の法人が株式の3分の1を持っています。大株主の上位10位(2026年3月末)には、次の名前が並びます。

順位株主持株比率ブルドックがその会社の株を持っているか(有報)
1日本マスタートラスト信託銀行(信託口)6.22%―
2興和5.64%記載なし
3ブルドック持株会4.46%―
4佐藤食品工業3.66%保有(政策保有、42万9,198株)
5日本生命保険3.46%記載なし
6養命酒製造2.92%保有(純投資に変更、2026年4月売却予定)
7福岡銀行2.92%親会社ふくおかFGを政策保有
8ウェルネオシュガー2.30%記載なし
9あいち銀行2.04%親会社あいちFGを政策保有
10テクノ菱和1.88%保有(純投資に変更、2026年度以降売却予定)

※持株比率は自己株式を除く発行済株式に対する割合。「記載なし」は有報の特定投資株式の表に名前がないという意味で、非上場株式・少額保有の可能性は確認できていません。

ブルドックは佐藤食品工業について、2026年6月15日に大量保有報告書を提出しています(報告義務発生日は2026年1月1日、株式無償割当てで保有株が増えたことによる)。保有割合は5.31%、保有目的は「仕入先としての取引関係をより強化するための政策投資目的」です。佐藤食品側もブルドック株を3.66%持っており、有報の「当社の株式の保有の有無」は「有」となっています。

5-2. 7月のToSTNeT-3:「株主から売却の意向が示された」

7月24日16時30分、会社は第1四半期決算と同時に、自己株式取得の枠の拡大を発表しました。理由は「株主から売却の意向が示されたため」です。

項目4月24日の決議7月24日の拡大後
取得株数の上限28万株(2.2%)66万株(5.2%)
取得金額の上限5億円12億円
取得期間2026年5月18日〜2027年3月19日同じ

翌7月27日、ToSTNeT-3(東証の立会外の自社株買い)で37万2,800株を6億8,259万6,800円で取得しました。1株1,831円で、7月24日の終値1,831円と一致します。

大株主表を見ると、2026年3月末に372千株を持つ株主が2社あります(養命酒製造と福岡銀行。表示は千株未満切り捨て)。取得株数37万2,800株は、この2社の持株の千株単位の表示と一致します。一致の事実だけを示し、相手先は断定しません。会社は相手先を開示しておらず、2社のどちらか、あるいはどちらでもない可能性も開示からは区別できません。

用語メモ:ToSTNeT-3 東京証券取引所の立会時間外に、前日の終値で自社株を買い付ける仕組みです。大株主がまとめて売りたいとき、市場で売ると株価が下がるので、会社がこの方法で一括して引き取ることがあります。市場の需給には直接効きません(市場で売られなかった株を会社が受け取るだけ)が、発行済株式から自己株式を除いた株数は減るので、1株当たり利益は押し上げられます。

5-3. 自己株式取得の進み具合

月取得株数取得金額(円)平均単価(円)
2026年5〜6月00―
7月372,800682,596,8001,831
8月26,40048,823,8001,849
9月36,50068,041,2001,864
累計(9月30日現在)435,700799,461,800―

※各月の取得状況の開示から。平均単価は筆者の計算。

株数の消化率は66.0%、金額の消化率は66.6%です。残りは22万4,300株、4億53万8,200円。残りの金額を残りの株数で割ると1株1,786円で、現在の株価(1,810円)はこれを上回っています。このまま株価が1,786円より上なら、株数の上限より先に金額の上限(12億円)に届く計算です。

残りの4億円を3月19日までに使うには、10月以降の約114営業日で1日あたり約1,940株(株価1,810円で換算)。9月の実績は1日あたり約1,920株、直近1か月の1日平均出来高は約1万7,900株でした(筆者の概算)。9月のペースを続ければ期限内に枠を使い切る計算で、出来高に対する比率は1割程度です。

上半期末の自己株式は103万4,863株(役員報酬BIP信託の保有分を含む)。発行済株式1,320万8,780株の7.8%です。

5-4. 方針の文言と、いま起きていること

ブルドックは2007年8月30日の取締役会で「当社の株券等の大規模買付行為に関する対応方針」を導入し、3年ごとに株主総会で継続を諮ってきました。直近は2025年6月26日の総会で継続が承認され(賛成割合88.02%)、有効期間は2028年6月の定時株主総会の終結時までです。20%以上の買付けが対象で、対抗措置は新株予約権の無償割当てです。

この対応方針の別紙には、「企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なう」買付けの類型が10個並んでいます。その4つ目は次の文言です。

当社の会社経営を一時的に支配して、当社又は当社グループ会社の事業に当面関係していない不動産、有価証券等の高額資産等を売却等により処分させ、その処分利益をもって一時的に高配当をさせる(…)目的で当社の株式の取得を行っていると判断される場合

一方で会社自身は、2024年7月から「資本コストや株価を意識した経営」の取組みとして、旧鳩ケ谷工場跡地の売却(売却益21億50百万円)、政策保有株式の売却、自己株式の取得と配当の拡充を進めています。2026年3月期の配当には、土地売却益を勘案した特別配当5円が含まれていました。

2つを並べると、会社が「外部の買収者がやってはいけないこと」の例として挙げた行為の形と、会社自身がいま資本政策として進めていることの形が、表面上は似ています。違いは主体と目的です。対応方針の類型は「会社経営を一時的に支配して」「一時的に」行う場合を想定しており、会社自身の取組みは長期ビジョンの成長投資(3年間で50億円)とセットで示されています。

これを「方針と行動の矛盾」と読むか、「同じ資産の活用を誰が・どの目的で行うかの違い」と読むかは、読者に委ねます。事実として言えるのは、蔵の中身の使い道を決める主体を、会社は自分の取締役会に置いているということです。

株主総会の議決権行使結果も事実として並べておきます。

総会議案賛成割合
2025年6月26日対応方針の継続88.02%
2025年6月26日代表取締役(石垣幸俊氏)の選任89.33%
2026年6月25日代表取締役(石垣幸俊氏)の選任95.77%

※臨時報告書から。誰が反対したかは開示されておらず、推測しません。


6. 3つの深掘りを1本の線でつなぐ

3つの章は、1つの問いの3段階でした。

  1. 店先(ソース)の稼ぎは四半期1〜2億円。7〜9月は資材・電力の上昇で粗利率が下がり、営業利益は△26.6%。下期には売上+6.7%が求められている
  2. 蔵からの収入は、上期の経常利益の7割。経常予想の営業外は上期で使い切り、下期は蔵を開けない計算。過去3期は毎回、蔵から予想以上に出てきた
  3. 蔵の出入りは双方向。ブルドックが相手の株を売り、相手がブルドックの株を売り、会社がそれを自社株買いで受け止めている

蔵の株券を売ったお金で、相手が手放したブルドック株を買い戻す。これを続けると、蔵は小さくなり、店先の稼ぎが会社の数字に占める割合は大きくなっていきます。株主にとっての問いは、最終的には「蔵が空に近づいたとき、店先がいくら稼いでいるか」に収れんしていきます。会社が掲げるROE目標(2028年度5%、2032年度8%)は、その問いに対する会社自身の答えの置き場所です。


7. 長期ビジョンと前中計の振り返り

会社は前中計「B-Challenge2025」(2023〜2025年度)の振り返りを、5月の決算説明資料に載せています。

項目2025年度目標2025年度実績
売上高16,00014,688
営業利益800613
経常利益1,4001,318
ROE5.0%10.5%
EBITDA2,0001,763
うち輸出1,000547
うち業務用ソース4,0204,277
うちドレッシング・たれ等1,5401,053

※百万円。ROEの実績は土地売却益を含む。

ROE以外の目標は届いていません(ROEは一過性の土地売却益込み)。カテゴリー別では、業務用ソースだけが目標を上回り、輸出は目標の半分強でした。

長期ビジョン「BGI2032」は、2032年度に売上高245億円(国内家庭用110億円・国内業務用72億円・海外63億円)を掲げています。2025年度の実績(146.9億円)から7年間の年率に直すと約+7.6%、海外(2025年度6.97億円)は約9倍で年率約+37%です(筆者の計算)。今期の計画は売上+3.5%、海外+33.3%でした。


8. 資本政策と株主還元

8-1. 配当方針と推移

配当方針は2025年5月15日に変わりました。

時期配当方針の文言(原文)
変更前業績、財務状況、将来の事業展開等を勘案し、継続的、安定的な配当をめざすことを基本としております
変更後(2026年3月期から)業績や財務状況、成長戦略等を総合的に勘案し、株主の皆様への利益還元を行うことを基本といたします。この基本方針に基づき、総還元性向60%を目標とします
決算期1株配当配当の決め方総還元性向(会社資料)
2021年3月期35円継続的・安定的68.7%
2022年3月期35円継続的・安定的89.2%
2023年3月期35円継続的・安定的79.4%
2024年3月期35円継続的・安定的321.4%
2025年3月期35円継続的・安定的141.8%
2026年3月期45円(うち特別5円)総還元性向60%64.1%
2027年3月期(予想)45円(普通配当のみ)総還元性向60%113.1%(5月時点)

この表のポイントは2つです。

  1. 5年間35円で据え置かれていた配当が、方針変更で45円になった。2026年3月期の45円は普通40円+特別5円(土地売却益を勘案)、2027年3月期は普通配当だけで45円です。特別配当を普通配当に置き換えた形です
  2. 総還元性向は、利益が小さい年ほど跳ね上がる。2024年3月期の321.4%は自社株買いなしで配当だけの値で、純利益が145百万円だったためです

今期の総還元性向113.1%は、5月時点の「配当+自社株買い上限5億円」で計算された会社の数字です。枠が12億円に広がったので、**上限まで使った場合は、配当総額約5.5億円と合わせて約184%**になります(筆者の概算。配当総額は45円×9月末の自己株式控除後株数、予想純利益950百万円で割った値)。

配当性向は、会社予想EPS(76.56円)で58.8%。予想に含まれる売却益(4月2日の見込み477百万円)を除いたEPS(約49.5円、筆者の試算)で割ると約91%です。配当45円の原資の一部は、蔵からの売却益です(§8-2の23)。

8-2. 権利確定日

権利基準日権利付き最終日
期末配当(25円予想)2027年3月31日(水)2027年3月29日(月)
株主優待2027年3月31日(水)2027年3月29日(月)
中間配当(20円)2026年9月30日(水)2026年9月28日(月)※終了

中間配当は2026年12月1日に支払開始予定です(短信表紙)。配当の決定機関は、中間配当が取締役会、期末配当が株主総会です(有報)。

8-3. 株主優待

保有株数優待内容1株当たり優待額名目利回り?(株価1,810円)
100株〜799株1,000円相当のグループ製品詰合せ100株で10.0円、799株で1.25円100株で0.55%
800株以上3,000円相当のグループ製品詰合せ800株で3.75円800株で0.21%

基準日は毎年3月31日の年1回です。有報(2026年6月)の「株主に対する特典」と会社IRサイトの株主優待ページは、金額の区分(100株以上800株未満1,000円相当、800株以上3,000円相当)で一致しています。

2026年1月23日の開示で、優待は選択式に拡充されました。「とにかくソースが欲しい」セットと「せっかくなので鉄板焼きメニューも楽しみたい」セットのどちらかに共通製品を加える形です。ただしこの開示の対象は「2026年3月31日現在の株主名簿に記載又は記録された」株主で、2027年3月基準でも選択式が続くかは、開示から確認できていません。会社IRサイトの優待ページには選択式の記載がありませんでした(10月23日に筆者が確認)。

また8月21日の資本コスト対応のアップデートには、今後の取組みとして「長期保有株主向けの優待制度の検討」が挙がっています。制度が変わる可能性がある、という意味で書いておきます。

100株から799株までは優待額が同じなので、100株を超えて買い増しても800株に届くまでは優待は増えず、1株当たりの優待額は下がっていきます。800株で1株3.75円に戻ります。

優待の費用は開示されていません。2026年3月末の株主数(1万7,539人)に1,000円〜3,000円を掛けると約18〜53百万円で、今期の営業利益予想の約3〜9%にあたります(筆者の試算。額面ベースの上限側で、自社製品なので実際の負担は原価ベースになり、これより小さい可能性があります)。

8-4. 株数と1株当たり指標

項目株数
発行済株式総数(2026年9月末)13,208,780
自己株式(BIP信託分を含む)1,034,863
自己株式控除後12,173,917
上期の期中平均株式数12,408,334

潜在株式はありません(短信の潜在株式調整後EPSは「―」)。2025年11月に53万5,800株、2026年3月に21万300株を消却しています(2026年3月期の株主資本等変動計算書では消却額13億99百万円)。

会社予想EPSは5月時点で74.03円、上期決算では76.56円に変わりました。純利益予想(950百万円)は同じで、分母の株数が上期の期中平均(1,240万8,334株)に置き換わったためです(950百万円÷12,408,334株=76.56円で一致)。

8-5. 借入金

短期借入金230百万円、1年内返済予定の長期借入金613百万円、長期借入金3,151百万円。2023年3月期に長期借入れで51億59百万円を調達し(TCCの建設と同じ時期)、その後は毎年約6億円ずつ返済しています(キャッシュ・フロー計算書から)。上期の支払利息は38百万円で、前年上期(31百万円)から増えています。


9. 株価の見方

9-1. 株価の基準点

項目値
2026年10月23日終値1,810円(前日比△40円、△2.16%)
同日の始値・高値・安値1,857円(9:00)・1,875円(9:02)・1,770円(15:02)
同日の出来高9万6,600株(直近1か月の1日平均約1万7,900株の約5.4倍)
夜間PTS(報道ベース)1,788円(10月23日18:46時点、東証終値ではありません)
年初来高値・安値(報道ベース)2,023円(1月23日)・1,688円(6月3日)
時価総額(自己株式控除後)約220億円
PER(会社予想EPS 76.56円)23.6倍
PBR(9月末BPS 2,145.70円)0.84倍(3月末BPS 2,003.37円では0.90倍)

決算は10月23日15時00分の発表です。当日の取引のうち最後の30分は発表後のものです。Yahoo!ファイナンスの株価ページでは安値1,770円の時刻が15時02分と表示されており、安値は発表後に付いた値です。ただ、時刻別の約定までは確認できないので、値動きと決算内容の因果は書きません。最初に終日分の反応が出るのは10月26日(月)です。

株価の時系列は、開示の価格と照合しています。7月27日のToSTNeT-3の取得単価1,831円は7月24日の終値と一致し、有報の株価収益率から逆算した3月末の株価(9.78倍×190.21円≒1,860円)も時系列と整合します。なお7月24日は出来高9万3,500株と普段の数倍でしたが、これは16時30分の開示より前の取引です。

9-2. 時価総額を「店先」と「蔵」に分けてみる

項目(百万円)金額時価総額に対する割合
時価総額(自己株式控除後、1,810円)22,035100%
投資有価証券(9月末)14,90067.6%
繰延税金負債(9月末、全科目)△3,399
投資有価証券−繰延税金負債11,50152.2%
現金−借入金△1

※筆者の整理で、企業価値の評価や目標株価を示すものではありません。繰延税金負債には有価証券の含み益以外のものも含まれる可能性があり、税金の額は概算です。政策保有株式は売るとは限らず、売る場合も時期・価格は分かりません。

この表のポイントは、時価総額の半分強が、蔵の株券(税金を引いた後)でほぼ説明できてしまうことです。残りの約105億円が、店先(ソース事業、営業利益予想6.2億円、TCCなどの設備)に市場が付けている値段、という見方ができます。

9-3. 強気の読み・弱気の読み

強気の読み

  • 蔵の株券を売り、自社株を買い戻すたびに、1株当たりの純資産・利益は押し上げられる。株価はPBR1倍を下回っており、自社株買いの効率は高い
  • 経常利益は過去3期とも期初予想を上回ってきた。今期も下期の営業外を△28百万円に置いた予想は控えめな作り
  • 店先の稼ぎは2年で営業利益率△2.8%(2024年4〜6月)から4〜5%台まで戻した。下期に求められる利益率(4.3%)は前年下期並みで、過去の範囲内
  • 株主還元の方針が「継続的・安定的」から「総還元性向60%」に変わり、配当は5年ぶりに上がった
  • テクノ菱和など、売却で合意済みの株券が約45億円残っている

弱気の読み

  • 予想EPSのPERは23.6倍だが、予想に含まれる売却益を除くと約37倍(筆者の試算)。売却益は一度きりで、売るほど翌期以降の配当収入も減る
  • 7〜9月の粗利率は10四半期で初めて前年を下回った。資材・電力の上昇は自分では決められない
  • 売上は直近2期とも期初予想に届いておらず、今期も上期+0.3%に対し下期+6.7%を求める予想
  • 持ち合いの相手が売りたいと言えば、会社が自社株買いで受け止める構図。株価への需給効果は市場で売られた場合と比べて見えにくい
  • 株主総利回りは5年で75.7%と、配当込みTOPIXの202.2%を大きく下回っている
  • ROEの予想は約3.7%(筆者の計算)で、会社自身が認識する株主資本コスト4〜5%を下回る

同じ「売却益」という数字が、強気側では「上振れの源泉」、弱気側では「一回きりの利益」として両方に置かれます。どちらの読みも、元になっている数字は同じです。


10. 今後のカレンダーと見るべきKPI

時期イベント見るポイント
2026年10月26日(月)決算発表後、最初の終日の取引値動きは事実だけを確認
2026年10月30日(金)半期報告書の提出予定大株主の状況(9月末)、株主数
2026年11月決算説明会(会社資料に「半期ごとの決算説明会(5月、11月)」)下期の営業利益の見通し、資材・電力の影響額、政策保有株式の売却計画
2026年11月上旬10月分の自己株式取得状況月ごとのペース(9月は1日約1,920株)
2026年12月1日(火)中間配当(20円)の支払開始
2027年1月下旬(前期は1月23日)第3四半期決算10〜12月の粗利率、受取配当金、売却益の有無
2027年3月19日(金)自己株式取得の期限12億円の枠の消化状況
2027年3月29日(月)期末配当・優待の権利付き最終日優待の選択式が続くかの開示
2027年5月通期決算・来期予想来期予想の営業外の置き方、総還元性向
2028年6月対応方針の有効期間満了(第103回定時株主総会)継続の是非

見るべきKPI

  1. 単独四半期の粗利率(2025年7〜9月32.7%→2026年7〜9月31.9%)。10〜12月に前年(32.1%)を下回るか
  2. 下期の売上の前年比(予想の前提は+6.7%)。業務用・輸出・ドレッシングの伸び
  3. 四半期ごとの「配当+売却益」。経常利益の振れの大半がここで決まる
  4. 投資有価証券の残高と、純投資に移した銘柄の売却の有無(テクノ菱和37億円、サカタのタネ5億円など)
  5. 自己株式取得のペースと、ToSTNeT-3の有無。持ち合いの相手からの売却の受け皿になっているか

11. 3行まとめ

  • 上期の経常利益10億42百万円の72%は、蔵(保有株式)の配当と売却益。株を売らなかった7〜9月は、ソースの稼ぎがそのまま出て、営業利益は△26.6%でした
  • 会社予想は、営業利益で下期に売上+6.7%を求める一方、経常利益では下期の営業外を△28百万円に置く「蔵を開けない」計算。科目によって予想の重さが違います
  • 持ち合いの解消は双方向。会社は蔵の株を売り、相手が手放したブルドック株を自社株買いで受け止めています。蔵が小さくなるほど、問いは「店先がいくら稼げるか」に移っていきます

免責事項

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は特定の有価証券の売買を勧誘・推奨するものではなく、投資助言でもありません。数値は、ブルドックソースの決算短信(2027年3月期中間期・第1四半期、2026年3月期通期・各四半期、2025年3月期中間期・第1四半期、2024年3月期通期)、業績予想の修正に関するお知らせ(2023年7月27日・10月27日、2024年5月15日の差異開示、2025年7月25日・10月24日)、2026年3月期有価証券報告書、2026年3月期決算説明資料(2026年5月28日)、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(アップデート、2026年8月21日)、自己株式の取得・取得状況・ToSTNeT-3に関する各開示、投資有価証券の売却に関するお知らせ(2026年4月2日)、株主還元方針の変更(2025年5月15日)、配当予想(2026年4月24日)、株主優待制度の拡充(2026年1月23日)、買収への対応方針の継続(2025年5月15日)、臨時報告書(2025年6月30日・2026年6月30日)、大量保有報告書(2026年6月15日、ブルドックソースが提出者)、会社IRサイトの株主優待ページによります。単独四半期の数値、3分解、感応度表、残り期間の試算、売却益を除いたEPS・PER、総還元性向の試算、時価総額の分解は筆者の計算・試算で、会社の開示値ではありません。株価・出来高・年初来高値安値・PTSの値はYahoo!ファイナンスの表示(報道ベース)で、PTSは東証の終値ではありません。

本記事で踏み込まなかった論点・反映していない情報は次のとおりです。決算短信の表紙では決算補足説明資料は「有」ですが、執筆時点(2026年10月23日夜)で会社IRサイトのIRニュース一覧の最新掲載は10月23日の決算短信のみで、今回の中間決算の補足説明資料・決算説明会の内容は反映していません。上期について会社の説明は短信の定性的情報だけで、7〜9月の粗利率の低下を資材・電力の上昇と結びつけた箇所は筆者の読み方です。カテゴリー別売上は上期から区分が変わっており、旧区分の前年値からの組み替え額は筆者の逆算です。5月の決算説明資料の営業利益増減分析(ブリッジ図)は、同じ符号の項目どうしの割り振りがテキストから確定できないため、項目別の金額を載せていません。ToSTNeT-3の取得の相手先は会社が開示しておらず、大株主表との一致は事実の提示にとどめ、相手先は断定していません。政策保有株式・純投資株式の取得原価は銘柄別に開示されていないため、今後の売却益の見込額は推計していません。8月の資料の「政策保有株式の売却(20億円)」と、有報で純投資に区分を変えた銘柄との関係は開示からは確定できません。株主優待の費用は会社が開示しておらず、株主数からの概算です。2027年3月基準の優待が選択式で実施されるかは確認できていません。

記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。

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