本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
この記事でわかること
- ソーバルの2027年2月期上半期(2026年3〜8月)は、売上高50億50百万円(前年同期比+15.9%)、営業利益3億94百万円(同+27.9%)。期初の上期予想(営業利益2億40百万円)を1億54百万円、64.5%上回った
- それでも通期予想(営業利益6億50百万円)は据え置かれた。その結果、予想が下期(9月〜2027年2月)に置く営業利益は約2億55百万円で、前年下期比△27.8%、営業利益率は約5.2%。過去3年のどの下期(6.3〜8.2%)よりも低い
- 会社が挙げた上振れの理由は「一括受託案件の計画変更による売上の前倒し」「AI活用による生産性向上」「のれん償却費の減少」の3つ。前年の上半期は、同じ「一括受託案件の計画変更」が逆向きに効いて売上が横ばいだった
- この会社は過去3期、期中に通期の営業利益予想を一度も動かしていない。上期の上振れを通期に足さずに据え置き、下期で予想を少し上回る、という形が続いている。ただし2025年2月期は、上期の上振れ分を差し引いた下期の予想とほぼ同じところに着地した
- 上期の増収のうち約3億18百万円は、買収した2社(理創・プリサイス)の上乗せと概算できる(筆者の試算)。予想が置いた下期の売上を買収分抜きで見ると、前年下期とほぼ同じ水準
- 2026年7月31日、筆頭株主だった資産管理会社(エバーコア株式会社、議決権の44.2%)の持株の半分が、会社分割で新設されたNEXCORE株式会社に移った。3分の1を超える株主が1社もいなくなった
1. ソーバルはどんな会社か:出入りの棟梁という見方
開発部屋に「組」を出す仕事
ソーバルは、大手メーカーやIT企業のソフトウェア開発を引き受ける会社です。家電やカメラ、物流機器に組み込むソフトウェア(組込み)、業務用のシステムやWEB・スマホのアプリ、取扱説明書づくりなどの開発支援までを手がけます。2026年2月末の従業員は連結978名です。
この会社を、昔の町の「出入りの大工の棟梁」に例えてみます。
出入りの棟梁は、決まったお得意先の家に長く出入りし、普請(建築や修繕)のたびに声がかかります。頼まれ方は2通りあります。ひとつは「職人を何人か寄こしてくれ」という頼まれ方で、棟梁は職人の組を貸し、お得意先の指図で働かせます。もうひとつは「この離れを丸ごと建ててくれ」という頼まれ方で、棟梁は図面と工期を引き受け、仕上がりに責任を持ちます。
ソーバルの契約もこの2通りです。会社の決算説明資料によると、上半期の売上のうち「業務請負」が約78.5%、「派遣」が約21.5%です。派遣は職人を貸す仕事、請負のうち「一括受託」と呼ばれる案件は、離れを丸ごと請け負う仕事にあたります。
この例えで見える強みと、2つの弱み
棟梁の強みは、お得意先との長い付き合いです。ソーバルの主要顧客にはソニーグループ、富士通グループ、キヤノングループといった大手が並びます。
弱みは2つあり、層が違います。
| 弱み | 棟梁の世界では | ソーバルの数字では |
|---|---|---|
| ① 普請の量はお得意先が決める | 施主が家を建てなければ仕事はない | 顧客の開発投資・戦略見直し(前年比の売上) |
| ② 丸ごと請け負うと、工期と手間の見込み違いを自分で抱える | 引き渡しが早まれば早く、遅れれば遅く代金が入る。手間がかかれば赤字 | 一括受託の計画変更・不採算案件(計画比の上下) |
この表のポイントは、弱み①が「前年と比べてどうか」、弱み②が「計画と比べてどうか」に対応していることです。今回の決算は、まさに弱み②の側、つまり「計画比で大きく上振れたが、その理由が工期の前倒しだった」という決算です。
事業の分野と構成
会社は事業を「エンジニアリング事業」の単一セグメントで開示しており、短信には分野別の売上金額が載りません。決算説明資料のグラフから分野別の売上を読み取ると、次のとおりです。
| 分野 | 2025年2月期 | 2026年2月期 | 前期比 | 2027年2月期上半期 | 上半期の構成比 |
|---|---|---|---|---|---|
| WEB/アプリ | 3,828 | 4,109 | +7.3% | 2,278 | 45.1% |
| 業務系 | 1,350 | 1,177 | △12.8% | 835 | 16.5% |
| 組込み | 2,864 | 3,043 | +6.2% | 1,568 | 31.1% |
| 開発支援 | 511 | 473 | △7.4% | 277 | 5.5% |
| AI | 128 | 172 | +34.4% | 90 | 1.8% |
| 合計 | 8,681 | 8,974 | — | 5,048 | — |
単位:百万円。説明資料のグラフから筆者が読み取った値で、前期比と構成比は筆者の計算。
この表のポイントは2つです。
1つ目は、読み取った値が短信と整合していることです。合計は短信の売上高(2025年2月期8,682、2026年2月期8,976、上半期5,050)と1〜2百万円の差に収まります。2026年2月期の「WEB/アプリ+業務系」は前期比+2.1%で、短信の「約2%増」と一致します。組込み(+6.2%、短信「約6%増」)、開発支援(△7.4%、短信「約7%減」)も一致します。資料の別ページにある構成比の円グラフ(WEB/アプリ45.8%、組込み33.9%、業務系13.1%、開発支援5.3%、AI1.9%)を売上高に掛けた値とも一致するので、グラフの並び順の読み違いはないと判断しました。
2つ目は、売上の約6割がWEB/アプリと業務系、約3割が組込みということです。
なお、同じグラフには分野別の営業利益の棒もあります。ただし、合計が短信の営業利益と一致しません(上半期は読み取り値の合計420百万円に対し、短信は394百万円)。差額の内訳が説明されていないため、分野別の利益は記事では使っていません。
業績の推移
| 決算期 | 売上高 | 経常利益 | 純利益 | EPS(円) | ROE | 配当(円) | 従業員(連結) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022年2月期 | 8,163 | 637 | 447 | 56.84 | 13.5% | 33 | 979 |
| 2023年2月期 | 8,159 | 657 | 683 | 86.84 | 18.5% | 33 | 851 |
| 2024年2月期 | 8,169 | 691 | 513 | 65.28 | 12.8% | 33 | 889 |
| 2025年2月期 | 8,682 | 645 | 432 | 54.94 | 10.2% | 33 | 916 |
| 2026年2月期 | 8,976 | 680 | 460 | 58.50 | 10.4% | 33 | 978 |
| 2027年2月期(予想) | 10,000 | 670 | 420 | 53.39 | — | 33 | — |
単位:百万円(百万円未満切捨て)。出典:有価証券報告書(第44期)の「主要な経営指標等の推移」、2027年2月期は会社予想。2022年2月期の配当33円には記念配当1円を含む。
この表のポイントは、売上が81億円台で3年横ばいだったあと、2025年2月期から伸び始め、今期は買収2社を加えて100億円を見込んでいることです。一方で経常利益は6億円台でほぼ横ばいが続き、今期予想は前期比△1.6%の減益です。2023年2月期の純利益とROEが高いのは、2022年8月の品質評価事業の譲渡による特別利益(3億71百万円)が入っているためです。
用語メモ:EPS(1株当たり当期純利益)は、純利益を発行済株式数(自己株式を除く)で割った値です。ソーバルは潜在株式調整後EPSの欄が「-」で、新株予約権は残っていますが(純資産に14百万円)、有価証券報告書は「希薄化効果を有する潜在株式が存在しないため」記載していないとしています。
中期経営計画:最終年度が今期
会社は2022年2月期から2027年2月期までの中期経営計画を掲げています。会社IRサイトによると、売上高を2022年2月期の81億円から2027年2月期に100億円へ、AI関連売上を1億円から10億円へ伸ばす目標です。利益の目標は掲げていません。
今期予想の売上高はちょうど100億円です。前期の決算短信は、理創とプリサイスの2社の加入で中計の売上高100億円を達成する見込みだと書いています。つまり今期の売上目標は、買収込みで置かれた数字です。
AI関連は、説明資料のグラフの「AI」分野で見ると2026年2月期が約1億72百万円、今期上半期が約90百万円(いずれも筆者の読み取り)です。目標の10億円とは大きな差があり、会社は今回の資料でこの目標との距離に触れていません。
2. 決算ハイライト:上半期は増収増益、予想を大きく上回った
損益
| 項目 | 2026年2月期上半期 | 2027年2月期上半期 | 前年同期比 | 期初の上期予想 | 予想比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,357 | 5,050 | +15.9% | 4,900 | +3.1% |
| 売上総利益 | 859 | 1,049 | +22.2% | — | — |
| 販管費 | 550 | 654 | +18.9% | — | — |
| 営業利益 | 308 | 394 | +27.9% | 240 | +64.5% |
| 経常利益 | 313 | 406 | +29.7% | 240 | +69.3% |
| 中間純利益 | 208 | 255 | +22.5% | 140 | +82.2% |
| EPS(円) | 26.46 | 32.42 | — | 17.80 | — |
単位:百万円(百万円未満切捨て)。2026年10月14日15時30分発表の決算短信と、同日の「業績予想と実績との差異に関するお知らせ」から。
この表のポイントは、前年比でも予想比でも利益が大きく伸びたことです。ただし予想比の伸び(営業利益+64.5%)は、期初の上期予想が前年同期比△22.2%という低い置き方だったことの裏返しでもあります。
用語メモ:上場会社は、業績予想と実績(または新しい予想)が売上高で10%以上、利益で30%以上ずれたときに開示を求められます。今回は上期の営業利益が64.5%ずれたので「業績予想と実績との差異に関するお知らせ」が出ました。通期予想は変えていないので、通期の修正の開示はありません。
何が営業利益を押し上げたか:3つに分ける
営業利益の増加86百万円を、売上が増えた効果(数量効果)、利益率が上がった効果(率効果)、販管費の増加に分けると次のとおりです(千円単位の短信の値から筆者が計算)。
| 要因 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|
| 数量効果 | +137 | 売上の増加693 × 前年の売上総利益率19.71% |
| 率効果 | +54 | 今期の売上5,050 ×(20.78%−19.71%) |
| 販管費の増加 | △104 | 654.6−550.4 |
| 合計 | +86 | 実際の営業利益の増加 308.7→394.7 と一致 |
単位:百万円。筆者の計算。
この表のポイントは2つです。
1つ目は、増益の大半が売上の増加から来ていることです。売上総利益率は19.71%から20.78%へ1.07pt上がっており、会社が挙げる「AI活用による生産性向上」はこの率効果の側に表れている可能性があります。ただし、率効果のうち何が生産性で何が案件の組み合わせによるものかは、会社の開示からは分けられません。
2つ目は、販管費が18.9%増えていることです。この中には一時的な費用と、買収に伴う新しい固定費が入っています。
- プリサイスの取得関連費用(アドバイザリー費用等)28,800千円:半期報告書の企業結合の注記に記載。一度きりの費用です
- のれん償却額21,713千円:上半期のキャッシュ・フロー計算書に記載。前年同期はゼロでした。第1四半期の短信にのれん償却費10,856千円とあるので、第2四半期も同額程度(10,857千円)です
取得関連費用を足し戻すと、上半期の営業利益は約4億23百万円、営業利益率は約8.4%になります(筆者の試算)。のれん償却まで足し戻すと約4億45百万円・約8.8%ですが、のれん償却は今後も続く費用(プリサイス分は7年で償却)なので、こちらは参考値です。
用語メモ:のれんは、会社を買ったときに支払った金額が、その会社の純資産(資産−負債)を上回った分です。日本の会計基準では一定の年数で費用(のれん償却)として落とします。プリサイスののれんは1億89百万円で、7年の均等償却と半期報告書に書かれています。上半期末ののれん残高2億49百万円は、前期末8,208万円+プリサイス1億8,907万円−償却2,171万円で再現できます。
3か月ごとに見る:第1四半期と第2四半期で表情が違う
短信は累計しか載せないため、筆者が差し引きで3か月ごとの数字を出しました。
| 3か月 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年3〜5月(第1四半期) | 2,502 | +13.9% | 169 | +1.7% | 6.7% |
| 2026年6〜8月(第2四半期) | 2,549 | +18.0% | 226 | +58.3% | 8.9% |
単位:百万円。筆者の差し引き(千円単位から四捨五入)。
第1四半期は増収でも営業利益がほぼ横ばいで、第2四半期に利益が大きく伸びました。第1四半期の短信はプリサイスの「取得費用」の発生に触れていますが、金額は書いていません。取得日が3月2日なので28,800千円の多くは第1四半期に入っていると考えられますが、四半期ごとの内訳は開示されておらず、これは筆者の推測です。
第2四半期の前年比+58.3%は、比べる相手の前年6〜8月が弱かったことにも注意が要ります。前年の6〜8月の営業利益率は6.6%で、会社は前年度について、WEB/アプリケーション分野で不採算案件にリソースを要したと説明していました。2年前(2024年6〜8月)の6〜8月と比べると、営業利益は1億76百万円→2億26百万円で約+29%、営業利益率は8.3%→8.9%です。前年比ほどの跳ね方ではありません。
財政状態とキャッシュ・フロー
| 項目 | 2026年2月末 | 2026年8月末 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 現金及び預金 | 3,507 | 3,277 | △229 |
| 受取手形、売掛金及び契約資産 | 1,299 | 1,376 | +76 |
| のれん | 82 | 249 | +167 |
| 総資産 | 5,889 | 5,921 | +32 |
| 有利子負債 | なし | なし | — |
| 純資産 | 4,537 | 4,662 | +125 |
| 自己資本比率 | 76.8% | 78.5% | +1.7pt |
単位:百万円(百万円未満切捨て)。
| キャッシュ・フロー | 2026年2月期上半期 | 2027年2月期上半期 |
|---|---|---|
| 営業活動 | △5 | 118 |
| 投資活動 | △6 | △1,018 |
| 財務活動 | △129 | △129 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 3,659 | 2,766 |
単位:百万円(百万円未満切捨て)。
この表のポイントは2つです。
1つ目は、投資活動で10億円が出ていても、実際に会社の外に出たお金はその一部だということです。投資キャッシュ・フローの内訳は、定期預金への預け入れ8億12百万円(払い戻し12百万円)と、プリサイス株式の取得2億9百万円(取得したプリサイスの手元資金を差し引いた純額)です。定期預金は「現金及び現金同等物」から外れますが、「現金及び預金」には残ります。そのため、現金同等物は27億66百万円まで減った一方、貸借対照表の現金及び預金は32億77百万円で、減少は2億29百万円にとどまります。
2つ目は、営業キャッシュ・フローが前年のマイナスからプラスに戻ったことです。主な違いは法人税等の支払額で、前年上半期の2億48百万円に対し今期は74百万円でした。
税金の行:負担率37.2%は通期予想と同じ
上半期の税負担率(法人税等÷税金等調整前中間純利益)は37.2%で、前年上半期の33.6%、前期通期の30.0%より高くなっています。短信には「税金費用の計算」の注記があり、一部の連結子会社を除いて、税金を年間の見積実効税率で計算しています。この方式では、上半期の負担率はおおむね会社の見込む通期の負担率を表します。
通期予想の〈1−純利益420÷経常利益670〉=37.3%は、上半期の負担率37.2%とほぼ一致します。純利益予想は、特別損益をほとんど置かずに上半期と同じ税率で作られている、と読めます。負担率が前期より上がった理由は短信に書かれていません。のれん償却や取得関連費用は税務上の費用にならないことが多く、それが一因である可能性はありますが、これは筆者の推測です。
3. 深掘り:通期予想の「据え置き」は何を言っているのか
ここからが本題です。上半期の営業利益が予想を1億54百万円上回ったのに、通期予想6億50百万円は動きませんでした。この「据え置き」が何を意味するのかを、3段階で考えます。
3-1. 会社の説明:上振れの中身は「前倒し」
会社は「業績予想と実績との差異に関するお知らせ」で、上振れの理由と、通期予想を変えなかった理由を次のように説明しています(要旨)。
- 期初に見込んでいた一括受託案件の一部で計画が変わり、売上の計上が前倒しになった
- AIの活用による生産性向上と、のれんの精査に伴う償却費の減少が利益を押し上げた
- 上期は計画を超える利益を確保したが、売上計上の前倒しの影響が大きいため、現時点では通期の利益予想を変更しない
棟梁の例えに戻すと、「離れの引き渡しが予定より早まったので代金も早く入った。だから1年の稼ぎは変わらない」という説明です。
ただし、会社が挙げた3つの理由のうち、前倒しは時期のずれですが、残りの2つは性質が違います。生産性の向上は下期にも続くかもしれない要因です。のれん償却費の減少は、期初の計画より償却額が小さく決まったという意味に読めるので、そうであれば下期の償却費も計画より小さくなります(筆者の推測。何がどれだけ減ったかは開示されていません)。会社は、上振れのうちどれだけが前倒しで、どれだけが他の2つかを金額で示していません。
3-2. 据え置きが下期に置いた数字
通期予想から上半期の実績を差し引くと、予想が下期(2026年9月〜2027年2月)に置いている数字が出ます。期初の計画と並べます。
| 項目 | 期初の下期計画 | 据え置き後の下期 | 前年下期の実績 | 据え置き後の前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,100 | 4,949 | 4,619 | +7.1% |
| 営業利益 | 410 | 255 | 353 | △27.8% |
| 経常利益 | 430 | 264 | 368 | △28.3% |
| 純利益 | 280 | 165 | 252 | △34.5% |
| 営業利益率 | 8.0% | 5.2% | 7.6% | — |
単位:百万円。期初の下期計画=通期予想−期初の上期予想。据え置き後の下期=通期予想−上半期実績(千円単位から四捨五入)。筆者の計算。
この表のポイントは2つです。
1つ目は、通期を据え置いたので、上期の上振れ分(差異のお知らせの開示値で売上1億50百万円、営業利益1億54百万円)がそのまま下期の計画から差し引かれた形になっていることです。これは据え置きの計算上の結果ですが、「上期の上振れはすべて下期からの前倒し」という会社の説明と整合する置き方です。
2つ目は、その結果、下期の営業利益率が5.2%という水準に置かれていることです。過去3年の下期と並べます。
| 期 | 上期の営業利益率 | 下期の営業利益率 |
|---|---|---|
| 2024年2月期 | 8.2% | 8.2% |
| 2025年2月期 | 7.9% | 6.3% |
| 2026年2月期 | 7.1% | 7.6% |
| 2027年2月期 | 7.8% | 5.2%(予想が置いた値) |
筆者の差し引き。2024年2月期・2025年2月期の上期は百万円未満切捨ての短信値から計算。
予想が置いた5.2%は、過去3年のどの下期よりも低い水準です。上期と下期のどちらが高いかは年によって違い、決まった季節の形はありません。ただ、四半期単位で見ると、9〜11月(第3四半期)の営業利益率が2025年2月期(10.8%)・2026年2月期(8.9%)と2年続けてその年の最高でした。2024年2月期の9〜11月(9.4%)も、その年の上期平均(8.2%)を上回っています。
| 3か月 | 2025年2月期 | 2026年2月期 | 2027年2月期 |
|---|---|---|---|
| 3〜5月 | 7.5% | 7.5% | 6.7% |
| 6〜8月 | 8.3% | 6.6% | 8.9% |
| 9〜11月 | 10.8% | 8.9% | — |
| 12〜2月 | 1.6% | 6.5% | — |
四半期ごとの営業利益率。筆者の差し引き。
この表のポイントは、12〜2月の利益率が年によって大きく振れることです。2025年2月期の12〜2月は営業利益が36百万円(利益率1.6%)まで落ちました。この3か月について、筆者が読んだ短信には個別の説明が見当たりませんでした。下期は、2年続けて強かった9〜11月と、振れの大きい12〜2月の組み合わせです。
3-3. 売上の側から見る:買収の上乗せを除くと前年並み
予想が置いた下期の売上は前年比+7.1%です。ただし、前年下期には理創もプリサイスも損益に入っていません。理創は2026年2月28日をみなし取得日として前期末は貸借対照表だけを連結し、プリサイスは2026年3月1日がみなし取得日です。今期の売上には、前年にはなかった2社分が丸ごと乗っています。
2社の取得時の開示から、上乗せの規模を概算します。
| 会社 | 取得時に開示された売上高(1年分) | 半年分の目安 |
|---|---|---|
| 理創 | 340百万円(2025年3月期) | 約170 |
| プリサイス | 295百万円(2025年8月期) | 約148 |
| 合計 | 636 | 約318 |
単位:百万円。半年分の目安は1年分を2で割った筆者の試算。取得前の決算期の数字で、ソーバルの連結に入った後の実際の売上とは一致しない。
この概算を当てはめると、次のようになります(いずれも筆者の試算)。
- 上半期:売上の増加6億93百万円のうち約3億18百万円が2社の上乗せで、それを除いた伸びは約+8.6%
- 予想が置いた下期:49億49百万円から約3億18百万円を除くと約46億31百万円で、前年下期(46億19百万円)とほぼ同じ(約+0.3%)
つまり据え置き後の予想は、下期について「買収分を除けば売上は前年並み、営業利益率は過去最低水準」という置き方です。上半期に既存の事業でも8%台の伸びが出ていたことと比べると、売上・利益率の両方で控えめな置き方といえます。一方で、会社の説明どおり上半期の伸びの一部が「下期にあるはずだった売上の前倒し」なら、下期の既存事業は前年並みにとどまっても不思議ではありません。どちらの読み方が当たるかは、前倒しの金額が開示されていない以上、数字からは決められません。
3-4. 据え置きの「重さ」を感応度表で見る
下期の売上と営業利益率を動かすと、通期の営業利益は次のようになります。
| 下期の売上\下期の営業利益率 | 5.2%(予想の置き方) | 6.3%(2025年2月期下期) | 7.6%(2026年2月期下期) | 8.2%(2024年2月期下期) |
|---|---|---|---|---|
| 48億円 | 644 | 697 | 760 | 788 |
| 49.5億円 | 652 | 707 | 771 | 801 |
| 51億円 | 660 | 716 | 782 | 813 |
単位:百万円。通期営業利益=上半期実績394.7+下期売上×下期営業利益率。筆者の試算で、将来の見通しではない。営業利益率は過去の下期の実績を当てはめたもので、販管費の変化(のれん償却の通年化等)は個別に置いていない。
この表のポイントは、会社予想の6億50百万円と同じ水準になるのは「5.2%」の列だけで、過去3年のどの下期の利益率を当てはめても予想を上回ることです。予想は表の左端、いちばん控えめな列に置かれています。
ただし、これは「上方修正される」という意味ではありません。予想の置き方が控えめなことと、実際に下期が過去並みに着地することは別の話です。
3-5. この会社の「据え置き」の履歴
最後に、この会社がこれまで期中にどう予想を扱ってきたかを並べます。
| 決算期 | 期初の通期予想(売上/営業利益) | 上期予想 → 上期実績(営業利益) | 上期決算時の扱い | 予想が置いた下期の営業利益 | 実際の下期 | 達成率 | 通期実績 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年2月期 | 7,670/650 | 未取得 → 330 | 据え置き | 320 | 341 | 106.6% | 8,169/670 |
| 2025年2月期 | 8,500/600 | 280 → 334 | 据え置き(純利益のみ上方修正) | 266 | 278 | 104.6% | 8,682/612 |
| 2026年2月期 | 8,900/650 | 300 → 308 | 据え置き | 341 | 353 | 103.5% | 8,976/662 |
| 2027年2月期 | 10,000/650 | 240 → 394 | 据え置き | 255 | — | — | — |
単位:百万円。予想が置いた下期=通期予想−上期実績(千円単位から四捨五入)。修正履歴は各期の短信・修正開示から。2024年2月期の上期予想は取得できていない。
この表のポイントは3つです。
1つ目は、営業利益の通期予想を期中に動かした年がないことです。2025年2月期の2024年9月30日の修正は、連結子会社の固定資産の譲渡に伴う売却益を第4四半期に特別利益として計上する予定だとして、純利益だけを4億20百万円→5億80百万円に引き上げたもので、営業利益・経常利益は据え置きでした。(実際には固定資産売却益2億25百万円を計上した一方、期末に投資有価証券評価損1億78百万円を計上し、純利益は4億32百万円で修正後の予想に届きませんでした。)
2つ目は、下期の達成率が3年とも103〜106%と、予想を少し上回る形が続いていることです。
3つ目は、今期に一番近い形の年が2025年2月期だということです。この年も上期に営業利益が予想を54百万円(19.5%)上回り、通期を据え置いたことで、下期の計画(期初は3億20百万円)が計算上2億66百万円に縮みました。実際の下期は2億78百万円で、縮んだ後の予想を少し上回ったものの、期初の下期計画には届きませんでした(期初の下期計画比86.8%)。上期の上振れ分を差し引いた下期の予想に、実際の下期がほぼ沿った年です。
「据え置き=控えめな予想」とも「据え置き=下期の弱さの予告」とも決めつけられない、というのがこの表の読み方です。期中に修正しない会社の上期時点の据え置きは、もともと会社の見通しについての情報が少ないものです。
3-6. 同じ「計画変更」が、前年は逆向きだった
もうひとつ並べておきたいのが、前年の上半期の短信です。2026年2月期の上半期、会社はWEB/アプリケーション・業務系の売上がほぼ横ばいだった理由として、「一括受託案件の一部で計画変更があった」ことを挙げていました。同じ年の第3四半期の短信でも同じ説明が続いています。
今期は、同じ「一括受託案件の一部での計画変更」が、売上を前倒しする向きに効いたと説明されています。2年続けて同じ種類の出来事が、逆向きに業績を動かしたことになります。前年に先送りされた売上が今期に入ってきたのかどうかは、会社が案件を特定していないため分かりません。これは筆者の推測の域を出ないので、読み方の一つとして置くにとどめます。
棟梁の例えでいえば、これが弱み②(丸ごと請け負うと、工期の見込み違いを自分で抱える)です。一括受託は、うまく進めば利益率が上がりますが、引き渡しの時期が動くと半期の数字が大きく揺れます。今期の上半期の上振れと、前年の上半期の伸び悩みは、同じ性質のものの表と裏です。
3-7. 3つの段階を1本の線でつなぐ
ここまでをまとめると、次のようになります。
- 上振れの中身(3-1):会社は「前倒し」を主因とし、通期は変えなかった。ただし生産性とのれんは時期のずれではない
- 据え置きが置いた下期(3-2〜3-4):買収分を除けば売上は前年並み、営業利益率は過去3年の下期で最低の5.2%。過去並みの利益率なら予想を上回る計算
- 履歴(3-5〜3-6):期中に営業利益予想を修正しない会社で、下期は毎年少し上振れてきた。ただし上期の上振れ分だけ下期の予想が計算上縮んだ年(2025年2月期)は、縮んだ予想とほぼ同じところに着地した
据え置きが「控えめ」なのか「現実的」なのかを分けるのは、前倒しの金額です。会社はそれを開示していないので、下期の数字、特に9〜11月の第3四半期決算(例年1月上旬)が最初の答えになります。
4. お得意先の顔ぶれ:ソニーグループの比率が下がっている
主要顧客の構成比
| 顧客グループ | 2025年2月期 | 2026年2月期 | 2027年2月期上半期 |
|---|---|---|---|
| ソニーグループ | 31.0% | 28.3% | 24.7% |
| 富士通グループ | 14.3% | 11.3% | 11.0% |
| キヤノングループ | 9.4% | 10.8% | 10.8% |
| リクルートグループ | 6.9% | 6.7% | 6.1% |
| 日立グループ | 4.4% | 5.4% | 4.1% |
| ソフトバンクグループ | 1.1% | 1.7% | 2.0% |
| その他 | 32.9% | 35.8% | 41.3% |
出典:決算説明資料(2025年2月期・2026年2月期・2027年2月期上半期の構成比)。
この表のポイントは2つです。
1つ目は、ソニーグループの比率が3期で31.0%から24.7%まで下がっていることです。ただし金額にすると、2026年2月期は約25億40百万円(半期あたり約12億70百万円)、今期上半期は約12億48百万円(いずれも筆者の計算)で、大きくは減っていません。比率の低下は、分母(売上全体)が買収2社と「その他」の顧客で膨らんだことによるところが大きいと読めます。
2つ目は、資料に、トヨタグループが前回の6位から圏外に外れたと書かれていることです。理由は自動運転の実証実験が一段落したためとされています。組込み分野の説明にある「自動車業界のOEMの戦略見直し」と合わせ、弱み①(普請の量はお得意先が決める)が見える箇所です。
用語メモ:同じ「ソニー」でも、資料によって数字が違います。有価証券報告書の「主要な顧客ごとの情報」では、ソニー株式会社(1社)への売上が13億32百万円・14.8%(2026年2月期)です。決算説明資料はグループ全体で28.3%です。前者は1社、後者はグループ会社をまとめた数字で、定義の違いによるものです。
契約の形
先に触れたとおり、上半期の契約は業務請負が約78.5%、派遣が約21.5%で、前期(79.4%・20.6%)からほとんど変わっていません。会社は構成比率を適正に維持しているとしています。中期経営計画の施策には、WEB/アプリ分野で「持ち帰り」案件(自社で引き取って開発する案件)を多く手がけることが挙がっています。持ち帰りや一括受託が増えるほど、利益率を上げる余地と、計上時期のぶれ(弱み②)の両方が大きくなる、という関係にあります。
不採算の痕跡:受注損失引当金
一括受託の赤字は、見込みが立った時点で「受注損失引当金」として先に費用にされます。その残高の推移です。
| 時点 | 受注損失引当金の残高 |
|---|---|
| 2025年2月末 | 0.2 |
| 2025年8月末 | 6.7 |
| 2025年11月末 | 0.7 |
| 2026年2月末 | 3.1 |
| 2026年5月末 | 1.9 |
| 2026年8月末 | 1.2 |
単位:百万円。各期の短信の貸借対照表から。
前年度に会社が「大規模」と説明した不採算案件があった時期でも、引当金の残高は最大で6百万円台です。会社の説明は「不採算案件にリソースを要した」というもので、影響は主に人の手間(売上原価の人件費)として表れたと読めます。引当金の残高は、この会社では不採算の規模を測る物差しになっていません。上半期末(8月末)の残高は1百万円台です。
5. 資本政策と株主還元
配当:年33円を5期続けて維持
| 決算期 | 中間 | 期末 | 年間 | 配当性向(連結) | 配当の決め方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年2月期 | 16.00 | 17.00 | 33.00 | 58.1% | 安定配当(記念配当1円を含む) |
| 2023年2月期 | 16.50 | 16.50 | 33.00 | 38.0% | 安定配当 |
| 2024年2月期 | 16.50 | 16.50 | 33.00 | 50.6% | 安定配当 |
| 2025年2月期 | 16.50 | 16.50 | 33.00 | 60.1% | 安定配当 |
| 2026年2月期 | 16.50 | 16.50 | 33.00 | 56.4% | 安定配当 |
| 2027年2月期(予想) | 16.50 | 16.50(予想) | 33.00 | 61.8% | 安定配当 |
単位:円。配当性向は短信の値、2022〜2024年2月期は33円÷EPSで筆者が計算。
配当政策は有価証券報告書に「安定的かつ継続的な利益還元策の実施を目指すことを基本方針」とあり、配当性向やDOE(自己資本配当率)の数値目標はありません。中間配当は取締役会、期末配当は株主総会で決めます。
この表のポイントは、利益が増えても減っても年33円が動いていないことです。配当性向は利益の上下に合わせて38〜62%の間で動いています。今期予想の配当性向61.8%は、予想どおりの減益になれば過去6期で最も高い水準です。
配当総額の検算:自己株式を除く株式数7,867,235株×16.50円=129,809,377.5円で、端数を処理すると2026年5月27日の定時株主総会の配当議案の総額129,809,378円と一致します。今期の中間配当も同じ株数なので、総額は1億29百万円台です。
用語メモ:決算説明資料には配当性向「59.0%」と書かれています。これは33円を前期の期初予想EPS(55.93円)で割った値と一致し、今期予想EPS(53.39円)で割った値(61.8%、短信の値)とは一致しません。記事では短信の61.8%を使っています。
株主優待:8月末基準のQUOカード
会社IRサイトによると、株主優待は年1回、8月31日現在の株主が対象です。
| 保有株数 | 継続保有 | 優待 | 1株当たり優待額 |
|---|---|---|---|
| 100株以上1,000株未満 | — | QUOカード500円 | 100株で5.0円、999株で0.5円 |
| 1,000株以上 | 3年未満 | QUOカード2,000円 | 1,000株で2.0円 |
| 1,000株以上 | 3年以上 | QUOカード4,000円 | 1,000株で4.0円 |
筆者の計算。
この表のポイントは2つです。
1つ目は、100株を超えて持っても1,000株に届くまで優待は増えないことです。1株当たりでは100株がいちばん大きく、100株での配当33円と優待5円を合わせると1株38円です。
2つ目は、1,000株以上・3年以上の4,000円が今期から新しく加わった区分だということです。会社は「中間期の権利確定日時点で10単元以上を3年連続で保有している株主」に2,000円を上乗せすると書いています。ただし、保有期間の判定方法(どの名簿で、株主番号をどう扱うか)は会社では回答できず、証券会社に確認してほしいとしています。
優待と配当の基準日の関係:配当は8月31日(中間)と2月末日(期末)の年2回、優待は8月31日の年1回です。2月末日だけの株主は優待をもらえません。
| 権利 | 基準日 | 権利付き最終日 |
|---|---|---|
| 期末配当(2027年2月期) | 2027年2月28日(日)→ 実務上は2月26日(金)の株主名簿 | 2027年2月24日(水) |
| 中間配当+優待(2028年2月期) | 2027年8月31日(火) | 2027年8月27日(金) |
権利付き最終日は基準日の2営業日前で、基準日が休日の場合は直前の営業日から数えた筆者の計算。
参考までに、今年の中間配当+優待の権利付き最終日(2026年8月27日(木))の終値は923円、翌日の権利落ち日(8月28日(金))の終値は903円で、20円下がりました。中間配当16.50円と、100株保有時の優待1株5円を足すと21.5円です。値動きの理由は日々の売買の結果で、この2つを結びつけて断定することはできません。
優待の費用の総額は会社が開示しておらず、筆者は株主数を確認していないので、計算していません。
自己株式・株数
自己株式は300,263株(発行済株式の3.7%)で、前期末から変わっていません。今期の自己株式取得はありません。株式分割・併合もなく、比較の調整は不要です。上半期のEPSの伸び(+22.5%:26.46円→32.42円)は純利益の伸び(+22.5%)と一致しており、株数の変化による差は出ていません。
大株主の会社分割:筆頭株主の持株が半分ずつに
今期の資本政策で最も大きな出来事は、大株主の側で起きました。
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2026年2月18日 | エバーコア株式会社が保有株のうち560,000株を、三井住友銀行への担保に差し入れる契約 | エバーコアの変更報告書(3月4日・3月17日提出) |
| 2026年2月27日 | エバーコアの代表者が推津敦氏(ソーバルの代表取締役社長)に変更 | 同(3月17日提出) |
| 2026年2月末 | エバーコアが3,480,000株を保有(議決権比率44.23%、第1位) | 有価証券報告書の大株主の状況 |
| 2026年6月5日 | エバーコアが、ソーバル株1,740,000株などを新設会社に承継させる新設分割計画を作成。ソーバルが「主要株主の異動」の見込みを開示 | 会社開示、エバーコアの変更報告書 |
| 2026年7月31日 | 新設分割の効力発生。NEXCORE株式会社が設立され、1,740,000株を承継 | NEXCOREの大量保有報告書(8月7日提出) |
| 2026年8月7日 | NEXCOREの大量保有報告書、エバーコアの変更報告書、ソーバルの臨時報告書(主要株主の異動)が提出される | EDINET |
| 2026年8月26日 | 両社の報告書の訂正(NEXCOREの報告義務発生日を8月1日→7月31日に訂正、取得資金欄の追記など) | 訂正報告書 |
| 2026年9月11日 | エバーコアとNEXCOREが、それぞれ280,000株を三井住友銀行への担保に差し入れる契約 | 両社の変更報告書(9月17日提出) |
8月末の大株主の状況(半期報告書)は次のとおりです。
| 株主 | 株数 | 議決権比率 |
|---|---|---|
| エバーコア株式会社 | 1,740,000 | 22.12% |
| NEXCORE株式会社 | 1,740,000 | 22.12% |
| ソーバル従業員持株会 | 709,300 | 9.02% |
| 川下奈々 | 397,480 | 5.05% |
| 推津(名の記載なし) | 397,480 | 5.05% |
| 町田泰則 | 43,000 | 0.55% |
| 推津幸子 | 40,040 | 0.51% |
半期報告書の「大株主の状況」(2026年8月31日現在)から上位7名。比率は自己株式を除く発行済株式数に対する割合。
この表と時系列から分かることを、提出書類に書かれている範囲で整理します。
- 何が起きたか:エバーコアが持っていたソーバル株の半分(1,740,000株)が、会社分割で新しくできたNEXCOREに移りました。大量保有報告書の取得・処分の欄には、市場外の取引として「会社分割」と書かれています。株が市場で売られたわけではなく、ソーバルの株数も変わっていません
- 2つの会社:エバーコアは代表取締役が推津敦氏(ソーバル社長)で、事業内容は「有価証券の管理及び運用」です。NEXCOREは代表取締役が推津幸子氏で、ソーバルは6月5日の開示で同社を資産管理会社と判断し、「その他の関係会社」には当たらないとしています
- 共同保有の届け出:エバーコアの報告書は推津敦氏個人を共同保有者として合計26.17%(大量保有報告書の保有割合)を、NEXCOREの報告書は推津幸子氏・川下奈々氏を共同保有者として合計26.66%を届け出ています。保有目的はいずれも「安定株主としての長期保有」で、重要提案行為等は「該当事項なし」です
- 分割の理由:会社分割を行った理由は、ソーバルの開示にも大量保有報告書にも書かれていません。筆者も推測しません
2つの報告書の保有割合を単純に足すと52.83%になります(筆者の整理)。ただし、2つのグループを1つの共同保有者として届け出た報告書はありません。NEXCOREがエバーコアからの新設分割でできた会社であることは開示されていますが、分割後の2社の関係について、それ以上の記載は確認できませんでした。この合計は参考値として扱ってください。
用語メモ:株主総会の特別決議(定款変更、合併など)は、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。裏返すと、3分の1を超える議決権を持つ株主は単独で否決できます。エバーコアは分割前は議決権の44.2%を持っており、この水準を超えていました。分割後はエバーコアもNEXCOREも22.1%で、単独で3分の1を超える株主はいなくなりました。
用語メモ:大量保有報告書の「保有割合」(エバーコア21.30%)と、大株主の状況の「議決権比率」(同22.12%)は、同じ株数でも数字が違います。前者は自己株式を含む発行済株式総数が分母、後者は自己株式を除いた株数が分母だからです。
担保の事実:エバーコアとNEXCOREは、合わせて560,000株(自己株式を除く発行済株式の7.1%)を三井住友銀行の借入金の担保に差し入れています。担保の株は、借入の返済が滞れば処分されることがあるものです。現時点でそうした事態を示す開示はありませんが、大株主の持株の一部に担保が付いていることは、需給を考えるうえで知っておいてよい事実です。
流動性:大株主上位の持株が多い分、市場で売買される株は少なめです。2026年9月〜10月の1日の出来高は、800株〜17,500株の範囲でした(Yahoo!ファイナンスの時系列、報道ベース)。信用買残は86,300株(10月9日時点)、信用売残はゼロです。売買したいときに思った値段で売買できない可能性がある銘柄です。
6. 株価の見方
株価の基準点
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 2026年10月14日(水)終値 | 901円(決算発表前) |
| 2026年10月15日(木)前場終値(11時30分) | 901円(前日比±0) |
| 10月15日の始値・高値・安値 | 902円(9時00分)・904円(9時10分)・900円(9時00分) |
| 10月15日前場の出来高 | 11,300株 |
| 年初来高値・安値 | 932円(8月31日)・892円(8月28日) |
| 時価総額(901円×発行済株式数8,167,498株) | 約73.6億円 |
| 同(自己株式を除く7,867,235株) | 約70.9億円 |
| 予想PER(会社予想EPS53.39円) | 約16.9倍 |
| PBR(8月末の1株当たり株主資本約590.8円) | 約1.52倍 |
| 予想配当利回り(33円) | 約3.66% |
| 配当+100株保有時の優待(38円) | 約4.22% |
株価はYahoo!ファイナンス(報道ベース)、指標は筆者の計算。
決算は10月14日(水)の15時30分、取引終了と同時刻に発表されたので、14日の終値901円は決算を反映していません。最初の反応日は15日(木)で、執筆時点ではまだ取引の途中です。前場は前日と同じ901円で終わりました。後場の値動きと終値は確認できていません。
一次情報からの株価の照合点として、有価証券報告書の2026年2月期の株価収益率15.5倍×EPS58.50円=約907円は、株価情報サイトに載る2026年2月27日の終値909円とおおむね一致します(PERは小数第1位までの表示なので、その丸めの範囲)。
強気の見方
- 下期の予想が控えめに置かれている:据え置きの結果、予想は下期の営業利益率を5.2%に置いています。過去3年の下期の利益率(6.3〜8.2%)のどれを当てはめても、通期の営業利益は予想6億50百万円を上回る計算です(感応度表)
- 据え置き後に上振れてきた履歴:期中に営業利益予想を修正しない会社で、下期の達成率は3年とも103〜106%でした
- 前倒しでは説明できない上振れもある:会社自身が、生産性の向上とのれん償却費の減少を上振れの理由に挙げています。どちらも時期のずれではありません
- 既存事業も伸びている:買収2社分を除いた上半期の売上の伸びは約+8.6%と概算されます(筆者の試算)
- 手元資金が厚い:現金及び預金32億77百万円、有利子負債なしで、時価総額(約70.9億円、自己株式除く)の約46%にあたります。これは資金が株主に返される場合に限って意味を持つ計算です
- 配当と優待:年33円を5期続けて維持しており、100株保有なら優待と合わせて約4.2%の利回りです(名目)
- 顧客の分散が進んでいる:ソニーグループの比率が3期で31.0%→24.7%に下がり、「その他」が32.9%→41.3%に増えました
弱気の見方
- 会社自身が「前倒し」と言っている:上振れの主因は売上計上の時期のずれだと会社が説明しています。2025年2月期は、上期の上振れの分だけ下期が縮んだ予想に、実際の下期がほぼ沿って着地しました(下期の達成率104.6%、期初の下期計画比では86.8%)
- 一括受託の計画変更は両方向に起きる:前年の上半期は同じ「計画変更」で売上が伸び悩みました。請負が売上の8割近くを占める以上、計上時期のぶれは今後も起こり得ます
- 買収分を除くと下期の売上は前年並み:予想が置いた下期の売上の伸び+7.1%は、ほぼ買収2社の上乗せで説明できる水準です(筆者の試算)
- 利益が伸びていない:経常利益は5年間6億円台で、今期予想も前期比△1.6%の減益です。売上100億円の目標は買収込みで、AI関連売上10億円の目標とは大きな距離があります
- 新しい固定費:のれん償却(上半期21百万円)は今後も続き、税負担率も上半期37.2%と前期(30.0%)より高い水準です
- お得意先の事情:組込みでは自動車OEMの戦略見直しの影響があり、トヨタグループは主要顧客の上位から外れました
- 配当性向の高さ:予想どおりの減益なら配当性向は61.8%で、過去6期で最も高くなります。配当方針に数値の下限がないため、利益が大きく落ちた場合の配当の扱いは方針からは読めません
- 大株主の持株の担保と流動性:大株主の持株の7.1%相当に担保が付いており、普段の出来高は1日数千株です
どちらの見方も、使っている数字は同じです。「上期の上振れは前倒しか、実力か」という一点で見方が分かれ、その答えは会社の開示からはまだ分かりません。
7. 今後のカレンダーと見るべきKPI
| 日付 | イベント | 見るポイント |
|---|---|---|
| 2026年10月16日(金) | 第2四半期決算説明会(YouTubeライブ) | 前倒しの規模、下期の見通しについての説明があるか |
| 2026年11月13日(金) | 株主優待の発送開始(中間決算書類に同封) | — |
| 2026年11月16日(月) | 中間配当(16.50円)の支払開始 | — |
| 2027年1月上旬(日付未発表。前期は1月9日) | 第3四半期決算(9〜11月) | 9〜11月の営業利益率。前2年は10.8%・8.9%で、その年の最高。下期の予想に対する進み方 |
| 2027年2月24日(水) | 期末配当の権利付き最終日 | — |
| 2027年4月中旬(例年) | 通期決算・2028年2月期予想 | 中計最終年度の着地、売上100億円の達成、次の中計 |
| 随時 | 大量保有報告書(エバーコア・NEXCORE) | 保有株数・担保の変化 |
見るべきKPIは5つです。
- 下期の営業利益率:予想が置いた5.2%に対して、過去の下期の6.3〜8.2%のどこに着地するか
- 既存事業の売上の伸び:買収2社を除いた伸び。会社が2社の寄与を開示するか
- 一括受託の計上時期:説明会や次の短信で、前倒しの規模や案件の状況が語られるか
- 主要顧客の構成比:ソニーグループの金額が維持されているか、自動車関連の影響が組込みに広がるか
- 大株主の動き:エバーコア・NEXCOREの変更報告書(担保契約の追加、保有株数の変化)
8. 3行まとめ
- 上半期は売上+15.9%・営業利益+27.9%で、上期予想を営業利益で64.5%上回ったが、会社は「一括受託の前倒し」を主因として通期予想を据え置いた。その結果、予想は下期の営業利益率を過去3年で最低の5.2%に置いている
- 期中に予想を修正しない会社で、下期は毎年少し上振れてきた一方、上期の上振れ分だけ下期が縮んだ2025年2月期は、縮んだ予想とほぼ同じところに着地した。どちらに近いかは、開示されていない「前倒しの金額」次第で、最初の答えは1月の第3四半期決算になる
- 7月末に筆頭株主の資産管理会社の持株が会社分割で半分ずつ2社に分かれ、3分の1を超える株主はいなくなった。分割の理由は開示されておらず、両社の持株の一部には担保が付いている
本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。
本記事は投資勧誘や投資助言を目的としたものではありません。数値の出典は、ソーバルの決算短信(2027年2月期第2四半期・第1四半期、2026年2月期通期・第3四半期・第2四半期、2025年2月期通期・第3四半期・第2四半期、2024年2月期通期・第2四半期)、業績予想と実績との差異に関するお知らせ(2026年10月14日)、通期業績予想の修正に関するお知らせ(2024年9月30日)、特別損失の計上に関するお知らせ(2025年4月11日)、主要株主の異動に関するお知らせ(2026年6月5日・8月7日)、子会社化に関する開示(2026年2月3日・3月2日)、有価証券報告書(第44期)、半期報告書(第45期)、臨時報告書(2026年5月28日・8月7日)、エバーコア株式会社およびNEXCORE株式会社の大量保有報告書・変更報告書・訂正報告書(2026年9月17日提出分まで確認)、2027年2月期第2四半期決算説明資料、会社IRサイト(株主優待・中期経営計画・配当情報)です。株価・出来高・信用残はYahoo!ファイナンスの表示(報道ベース)です。四半期・半期の数字、買収2社の上乗せの概算、感応度表は筆者の差し引き・試算で、将来の見通しではありません。そのほか、次の点にご注意ください。
- 決算は2026年10月14日15時30分の発表で、株価は10月15日の前場終値(11時30分)までを確認したものです。当日の終値・後場の値動きは確認していません
- 2026年10月16日の決算説明会(YouTubeライブ)は執筆時点で未開催で、説明会での説明・質疑応答は一切反映していません
- 決算説明資料は文字情報の抽出で読みました。分野別の売上と顧客別の構成比はグラフ・表から筆者が読み取った値で、分野別売上は短信の記述・円グラフの構成比との一致を確認しています。分野別の営業利益は合計が短信と一致しないため使っていません。顧客別の構成比の各列がどの期にあたるかは、資料の並びからの筆者の判断です
- 上半期の上振れのうち、前倒し・生産性・のれん償却の各要因の金額は会社が開示しておらず、筆者も推計していません。前年の「計画変更」と今期の「計画変更」が同じ案件かどうか、税負担率の上昇の理由(のれん償却等)は、筆者の推測であり会社の開示に基づくものではありません
- 買収2社の上乗せは、取得時に開示された取得前の決算期の売上高を半分にした筆者の試算で、連結後の実際の売上ではありません
- 2024年2月期の期初の上期予想は取得できていません。2013年に提出された大量保有報告書の原文は確認していません
- エバーコアとNEXCOREの持株を合計した比率は筆者の整理で、両者を1つの共同保有者とする届け出はありません。株主どうしの関係は、提出書類に書かれた範囲を超えて推測していません。大量保有報告書は2026年9月17日提出分まで確認しており、公開までに新たな変更報告書が出ている可能性があります
- 株主優待は会社IRサイトで確認しました。有価証券報告書の「株主に対する特典」欄は確認していません。株主数を確認していないため、優待の費用総額は計算していません。継続保有の判定方法は会社が開示していません
記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。