株式投資

スターシーズ(3083) 洋服屋の看板を掲げたまま、サーバーの仲卸と蓄電所の建て売りを始めた会社 なぜ売上は予想の1.8倍なのに、営業利益は予想の1割だったのか?【2026年10月発表・上半期決算】

本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • 2027年2月期の上半期(2026年3〜8月)は、売上高155億円が会社予想86億円の1.8倍だった一方、営業利益は3,200万円で予想2億8,000万円の約1割にとどまった。その食い違いが「どの事業の、どの性質」から来ているか
  • 6〜8月の3か月だけを取り出すと、売上は101億円に跳ねたのに営業損益は2,100万円の赤字だったこと。GPUサーバー事業の3か月の利益率は1.8%
  • 据え置かれた通期予想(営業利益16億円)は、営業利益の98%を9〜2月の半年に置いていること。前期も同じ時期に「下期に7億2,700万円」を置き、実際は4億0,100万円だったこと
  • 下期の営業利益を「蓄電所の売却益×サーバーの利益率」で組み立て直した感応度表と、純利益予想が下期に置いている税金・少数株主の取り分の重さ
  • 新株予約権(潜在株式970万株、10月14日時点の発行済株式の約89%)、主要株主の入れ替わり、新設の株主優待(500株以上でQUOカード年6万円分)など、資本政策の論点

1. 前提知識:洋服屋の看板のまま、仲卸と建て売りを始めた会社

何をしている会社か

スターシーズは、もともと「シーズメン」という名前で、ショッピングセンターに和柄カジュアルの「流儀圧搾」やセレクトショップ「METHOD」を出してきた衣料品店の会社です。2024年に現在の社名に変わり、2025年7月に系統用蓄電池事業、同年9月にGPUサーバーの販売子会社(スターシーズデジタル、持株比率60%)を立ち上げました。

この会社を一言で言うと、洋服屋の看板を掲げたまま、サーバーの仲卸と蓄電所の建て売りを始めた会社です。

  • 仲卸(なかおろし):市場で仕入れた品を、右から左へ買い手に渡して口銭(手数料分の利ざや)を取る商売です。扱う量が多ければ売上は大きく膨らみますが、1件あたりの利ざやは薄く、代金の立て替えも発生します。GPUサーバー事業は、国内外の仕入先からサーバーを買い、データセンター事業者やサーバー製造会社に売る取引が中心です
  • 建て売り:土地を買い、建物を建て、完成品として売る商売です。売れた月にまとめて利益が出て、売れるまでは土地と建物を抱えます。蓄電池事業は、蓄電所の開発案件(土地・設備・電力会社の送電網につなぐ権利)を取得し、工事を進めて売却するのが中心です
  • 洋服屋の看板:衣料品の店は今も続いていますが、売上に占める比率は上半期で約1割まで下がり、9月にはエスニック雑貨の「チチカカ」を売却しました

この例えで押さえておきたいのは、3つの事業で「利益の出方」がまったく違うことです。

事業例え売上の出方利益の出方抱えるもの
GPUサーバー等事業仲卸取引のたびに大きく立つ利ざやは薄い(上半期2.7%)前渡金・売掛金(代金の立て替え)
系統用蓄電池事業建て売り物件を引き渡した期にまとめて立つ1件ごとにまとめて出る売却前の土地・設備
衣料品等事業洋服屋の看板季節で動く上半期は赤字店舗・在庫

この表のポイントは2つです。1つ目は、売上を押し上げるのは仲卸、利益を押し上げるのは建て売りという役割分担になっていること。2つ目は、建て売りの利益は「いつ売るか」で四半期の数字が大きく動くことです。今回の上半期決算は、この2つがそのまま数字に出ました。

事業の構造(上半期のセグメント別)

セグメント売上高セグメント利益利益率
衣料品等事業1,570△128△8.2%
系統用蓄電池事業665314.7%
GPUサーバー等事業13,2983652.7%
セグメント利益の合計15,5342681.7%
全社費用(調整額)-△235-
連結営業利益15,534320.2%

(単位:百万円、百万円未満切り捨て。出典:2026年10月14日発表の中間決算短信)

セグメント利益の合計2億68百万円のうち、持株会社の管理費などの全社費用2億35百万円で大半が消え、連結の営業利益は32百万円になっています。稼いでいるのはGPUサーバー、利益を薄めているのは衣料品と全社費用、という構図です。

用語メモ:系統用蓄電池 送電網(系統)に直接つないで、電気が余る時間に充電し、足りない時間に放電する大型の蓄電池です。電力の需給を調整する市場などで収益を得ます。スターシーズは主に、蓄電所を開発して投資家などに売る「建て売り」側の立場にいます。

業績の推移

決算期売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属する当期純利益EPS(円)自己資本比率1株配当(円)
2024年2月期5,530△103△155△332△115.4525.5%0
2025年2月期5,110△282△360△530△131.1623.2%0
2026年2月期10,382184160589.1642.6%10
2027年2月期(会社予想)35,0001,6001,25068073.25-10

(単位:百万円。2024年2月期の営業利益は第三者割当の開示資料、それ以外は有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」と決算短信。2026年2月期の1株配当10円は普通配当5円+新規事業開始記念配当5円)

7期ぶりに営業黒字になったのが前期で、今期は売上を3.4倍、営業利益を8.7倍にする予想です。ただし前期の数字には、次の注意があります。

用語メモ:前期の実績は2通りある 2026年2月期の決算短信は4月17日に一度発表され、5月8日に訂正されました。訂正前は売上高100億17百万円・営業利益1億99百万円、訂正後は売上高103億82百万円・営業利益1億84百万円です。会社は訂正理由に「今期事業計画に係る税効果会計(繰延税金資産)の見積もり等を見直し」と書いています。セグメント表を比べると、訂正で衣料品等事業の売上が3億65百万円増え、全社費用(調整額)△2億29百万円が新たに区分されています。本記事は訂正後の値を使います。なお、今回の決算説明資料と4月の中期経営計画は、前期実績を訂正前の値(売上高100億17百万円・営業利益1億99百万円)のまま載せています。

会社予想の達成履歴:前期も「下期で取り返す」形だった

決算期開示日内容売上高営業利益経常利益純利益
2026年2月期2025年4月18日期初予想6,000200180120
2026年2月期2025年9月18日修正①(期中)7,580360320210
2026年2月期2025年10月14日修正②(中間決算と同日)8,950510450300
2026年2月期2026年4月17日実績(5月8日訂正後)10,38218416058
2027年2月期2026年4月17日期初予想26,0001,100900500
2027年2月期2026年6月25日修正①(期中)30,0001,4501,100600
2027年2月期2026年9月8日修正②(期中)35,0001,6001,250680
2027年2月期2026年10月14日中間決算で据え置き35,0001,6001,250680

(単位:百万円。出典:各修正開示・差異開示・決算短信)

前期は上方修正を2回重ねたあと、売上は最終予想を16.0%上回り、営業利益は63.9%下回る着地でした。今期もここまで上方修正を2回重ねています。この「売上は上振れ、利益は下振れ」の形は、上半期予想でも同じでした。

上半期開示日売上高営業利益経常利益純利益
2026年2月期 上半期予想(期初)2025年4月18日2,800△15△25△50
2026年2月期 上半期実績2025年10月14日2,511△217△222△241
2027年2月期 上半期予想(期初)2026年4月17日6,000250200130
2027年2月期 上半期予想(修正)2026年6月3日8,600280230150
2027年2月期 上半期実績2026年10月14日15,53432△76△248

(単位:百万円)

この表の読み方は「上にも下にも大きく外れる会社の予想」です。上方修正が続いたから強い、とも、下振れが続いたから弱い、とも決められません。ただし下期に置いた利益をどれだけ実現できたかは数字で比べられるので、深掘りで扱います。

中期経営計画との距離

2026年4月17日に公表した中期経営計画(2027年2月期〜2029年2月期)の数値と、修正後の今期予想を並べます。

項目2027年2月期 中計2027年2月期 修正後予想2028年2月期 中計2029年2月期 中計
売上高26,00035,00040,90063,170
営業利益1,1001,6002,1503,670
営業利益率4.2%4.6%5.3%5.8%
うち衣料品等事業の売上2,000開示なし1,6001,280
うち系統用蓄電池事業の売上6,000開示なし7,80010,140
うちGPUサーバー等事業の売上15,000開示なし22,50033,750
うちデータセンター事業の売上3,000開示なし9,00018,000

(単位:百万円。出典:2026年10月14日の決算説明資料に転載された中計の数値)

会社は説明資料で、2028年2月期以降の数値は修正していないと書いています。修正後の今期予想のセグメント別内訳は開示されていません。GPUサーバー等事業は上半期だけで132億98百万円と、中計の通期計画150億円の88.7%に達しています。一方、データセンター事業(30億円)はまだ報告セグメントとして売上が立っていません。

用語メモ:株主優待 2026年9月2日に、500株以上を継続保有する株主にQUOカードを年2回(各3万円分)贈る制度を新設しました。初回の基準日は2027年2月末です。詳しくは第6章で扱います。

2. 決算ハイライト

損益:上半期と、6〜8月の3か月

項目前年上半期今期上半期前年6〜8月今期3〜5月今期6〜8月
売上高2,51115,5341,2285,34510,188
売上総利益1,2641,508546778730
粗利率50.4%9.7%44.5%14.6%7.2%
販売費及び一般管理費1,4811,475741724751
営業利益△21732△19453△21
経常利益△222△76△19754△131
親会社株主に帰属する純利益△241△248△218△92△156

(単位:百万円。6〜8月は中間短信の累計から第1四半期短信の累計を筆者が差し引いた値。千円単位で差し引いてから百万円未満を切り捨て)

この表のポイントは2つです。

1つ目は、粗利率が50.4%から9.7%に下がったのは、悪化ではなく商売の中身が入れ替わったからです。前年は洋服屋だけで、粗利率5割の商売でした。今期は売上の85.6%が利ざやの薄いサーバーの仲卸です。比率の分母(売上)に、利ざやの薄い売上が大量に入ったので、率が下がりました(§4の型2「分子か分母か」)。

2つ目は、6〜8月は売上が3〜5月の1.9倍になったのに、営業損益は赤字に戻ったことです。売上総利益はむしろ3〜5月より減っています。

6〜8月をセグメント別に割る

セグメント3〜5月 売上3〜5月 利益6〜8月 売上6〜8月 利益6〜8月 利益率
衣料品等事業828△47742△81△10.9%
系統用蓄電池事業34△4631355.7%
GPUサーバー等事業4,4822078,8151571.8%
全社費用(調整額)-△101-△133-
連結営業利益5,3455310,188△21△0.2%

(単位:百万円。6〜8月は筆者の差し引き。百万円未満切り捨てのため合計が1〜2百万円合わない行がある)

GPUサーバー事業は、売上が4,482百万円から8,815百万円へ約2倍になったのに、利益は207百万円から157百万円に減りました。3か月の利益率は4.6%から1.8%へ下がっています。仲卸の利ざやは取引ごとに違うので、大口の取引が入った四半期ほど利益率が下がる、ということも起こりえます。ただし会社は案件ごとの採算を開示していないので、理由はここでは特定できません。

全社費用も3〜5月の△101百万円から6〜8月は△133百万円に増えました。会社は差異の理由として、新規採用や業務委託などの「先行投資費用」を前倒しで計上したと説明しています。

10四半期の並び

四半期売上高営業利益営業利益率
2024年3〜5月1,262△1△0.1%
2024年6〜8月1,117△98△8.8%
2024年9〜11月1,325△27△2.0%
2024年12月〜2025年2月1,406△156△11.1%
2025年3〜5月1,282△22△1.7%
2025年6〜8月1,228△194△15.8%
2025年9〜11月1,445△39△2.7%
2025年12月〜2026年2月6,4264406.8%
2026年3〜5月5,345531.0%
2026年6〜8月10,188△21△0.2%

(単位:百万円。決算短信の累計値(2026年2月期は訂正後)から筆者が差し引いた値。2025年6〜8月と2026年3〜5月・6〜8月は千円単位で差し引いてから切り捨て、それ以外は百万円単位の累計から差し引き。2024年3〜5月は株探が配信するXBRLデータ)

ここから読めるのは3点です。

  • 6〜8月は、衣料品だけだった2024年・2025年の2年とも赤字でした(△98、△194)。ただし2024年度は12〜2月(△156)のほうが深く、「毎年6〜8月が最も深い」とまでは言えません。今期の6〜8月の赤字縮小は、この谷に新規事業の利益が乗った結果です
  • 会社は説明資料で、衣料品等事業は利益が秋冬(9〜2月)に偏る季節性を持つと書いています。ただし衣料品だけだった2025年2月期の9〜2月の2四半期は、△27百万円・△156百万円とどちらも赤字でした。会社の説明と過去の四半期の形は一致しません(§4の型3)
  • 10四半期のうち大きな黒字は、蓄電所の売却とサーバー取引が重なった2025年12月〜2026年2月(440百万円)だけで、この1四半期で前期通期の営業利益(184百万円)を上回っています

財政状態とキャッシュフロー:仲卸の「立て替え」

項目2026年2月末2026年8月末増減
現金及び預金1,8321,506△325
売掛金1,4502,327+876
前渡金3752,178+1,803
商品1,1971,223+26
建設仮勘定480679+199
買掛金1,1803,401+2,221
前受金432217△214
預り金72487△636
短期借入金5005000
純資産2,8373,735+898
自己資本比率42.6%41.5%-

(単位:百万円)

キャッシュフロー前年上半期今期上半期
営業CF△205△1,270
投資CF△1,092△177
財務CF1,2501,131
うち新株予約権の行使による収入1,2791,128

(単位:百万円)

ここで仲卸の例えが効いてきます。営業CFの△12億70百万円の主な内訳は、前渡金の増加△19億60百万円(仕入先へ先に払ったお金)と売上債権の増加△8億82百万円(売ったがまだ回収していないお金)で、買掛金の増加+24億19百万円がそれを一部埋めています。〈前渡金+売掛金−買掛金−前受金〉で立て替えの残高を出すと、2月末の2億12百万円から8月末は8億85百万円に増えました(筆者の算出)。

そしてこの立て替えを埋めたのが、新株予約権の行使による11億28百万円です。本業の立て替えを、株式の発行で賄っているというのが上半期のお金の流れです。

用語メモ:前渡金 商品を受け取る前に、仕入先に代金の一部や全部を先払いしたお金です。商品が届けば仕入(原価)に振り替わります。仲卸が大口の取引を受けるほど膨らみやすく、そのあいだ現金は手元から出ていきます。

継続企業の前提に関する「重要事象等」

中間短信には「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載があり、会社は原文で次のように書いています。

当中間連結会計期間末においては依然として営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しております。

対応策として、会社は(1)チチカカの売却などの事業の取捨選択、(2)蓄電所の売却による資金化、(3)販売先との契約締結を前提にした仕入と回収・支払サイトの管理、(4)新株予約権による資金調達(9月30日時点の未行使分9,957,300株)を挙げ、「継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められない」と判断しています。中間連結財務諸表の「継続企業の前提に関する注記」は「該当事項はありません」です。同趣旨の記載は、2026年2月期の第3四半期決算短信や、2026年6月1日提出の有価証券報告書の「事業等のリスク」にもあります。

用語メモ:「重要事象等」と「注記」の違い 「継続企業の前提に関する重要事象等」は、事業の継続に疑いを生じさせる事象(赤字や営業CFのマイナスの継続など)がある、という記載です。会社が対応策で解消できると判断している段階で書かれます。一方、「継続企業の前提に関する注記」は、対応策をとっても重要な不確実性が残ると判断した場合に財務諸表に付くもので、より重い段階です。スターシーズは前者の段階です。

3. 深掘り①:売上1.8倍・利益1割の正体は「仲卸は予定より売れ、建て売りは予定より売らなかった」

ここからの3章は、1つの問いの3段階です。問いは**「通期予想の営業利益16億円は、どの事業がいくら稼ぐ前提なのか」**。まず上半期のずれの中身を確認します。

会社の説明(差異開示の原文)

10月14日の差異開示で、会社は営業利益が予想を下回った理由を2つ挙げています。原文を引きます。

①系統用蓄電池事業において、事業の進捗は堅調に推移しているものの、市場環境や個別商談状況等をふまえ、当中間連結会計期間における売却は1物件のみにとどめ、他の物件の売却は利益の最大化のために第3四半期以降に行う方針としたこと

②前期より開始した新規事業である系統用蓄電池事業及びGPUサーバー等事業、並びに本社部門等において、人員の新規採用や各種業務委託費用等を含む先行投資費用を、事業推進を加速するために前倒しで計上したこと

数字で確かめる

会社は上半期予想のセグメント内訳を開示していないので、セグメントごとの予想比は出せません。代わりに、6月3日の上半期予想の修正開示に書かれたセグメント別の見通しと、実績を並べます。

セグメント6月3日時点の会社の見通し(修正開示の記述)上半期実績
衣料品等事業「概ね当初計画どおり」売上1,570・利益△128
系統用蓄電池事業「当初の想定を上回り好調に推移する見込み」売上665・利益31(売却1件)
GPUサーバー等事業受注を「当初計画よりも大幅に前倒しで獲得」売上13,298・利益365

(単位:百万円)

6月3日の時点で「好調」と書かれていた蓄電池事業が、上半期の売却を1件にとどめ、売上665百万円・利益31百万円で終わりました。売上の上振れ(+69億円)は仲卸、利益の下振れは建て売りの先送りと費用の前倒し、という会社の説明は、セグメントの数字と矛盾しません。

ただし、上半期の利益が予想に届かなかった理由のうち、「売却の先送り」と「費用の前倒し」がそれぞれいくらかは開示されていません。

鹿児島の物件の契約解除

上半期末後の2026年9月28日に、会社は2026年3月に売却契約を結んでいた鹿児島県曽於市の蓄電所について、相手方との合意で契約を解除しました(違約金なし)。理由は「本物件に係る事業方針を見直したため」です。第1四半期短信では、この物件は「売却済み」(引渡しは2027年1月予定)と記載されていました。会社は引き続き売却目的の資産として持ち、新しい売却先を探すとしています。

決算説明資料には、蓄電所は保有区分によって損益の出る場所が変わる(棚卸資産なら売上・営業利益、固定資産なら特別利益)という注記と、下期は「売却及び自社運用による利益貢献」を見込むという記述があります。自社で運用する物件が出れば、その分は営業利益ではなく別の形で損益に出ることになります。どの物件をどちらで扱うかは開示されていません。

4. 深掘り②:通期予想は営業利益の98%を「9〜2月」に置いている

前章で、上半期は「建て売りを売らなかった半年」だったことを確認しました。では、据え置かれた通期予想は、残りの半年に何を求めているのでしょうか。

予想が置いた下期(9〜2月)

項目通期予想上半期実績予想が置いた下期前年下期の実績前年比
売上高35,00015,53419,4667,871+147.3%
営業利益1,600321,5684013.91倍
営業利益率4.6%0.2%8.1%5.1%-
経常利益1,250△761,3263823.47倍
純利益680△2489282993.10倍

(単位:百万円。下期は筆者の差し引き。前年下期は2026年2月期(訂正後)から前年上半期を差し引いた値)

通期の営業利益16億円のうち、15億68百万円(98.0%)が下期です。下期の営業利益率は8.1%で、上半期の0.2%、前年下期の5.1%のどちらよりも高い水準に置かれています。

用語メモ:「予想が置いた下期」は計算上の数字 通期予想から上半期の実績を引いた値です。会社が「下期に15億68百万円稼ぐ」と別途発表したわけではなく、通期予想を据え置いたことから計算上出てくる数字です。

前期の同じ時点と比べる

前期も、中間決算と同日(2025年10月14日)に出した通期予想が、下期に大きな利益を置いていました。

項目前期:予想が置いた下期前期:実際の下期達成率今期:予想が置いた下期
売上高6,4397,871122.2%19,466
営業利益72740155.2%1,568
営業利益率11.3%5.1%-8.1%

(単位:百万円。前期の「予想が置いた下期」は2025年10月14日の修正後予想(売上8,950・営業利益510)から前年上半期実績(売上2,511・営業利益△217)を差し引いた値。実際の下期は訂正後の通期実績から差し引き。訂正前の通期実績で計算すると営業利益の達成率は57.2%)

前期は、売上は下期の置き方を22%上回り、営業利益は半分強しか届かなかった着地でした。会社は差異の理由に、受注した案件の売上が翌期にずれたことと、衣料品の来店客数の減少を挙げています。今期の下期の置き方は、営業利益率で見れば前期(11.3%)より低いところ(8.1%)にあります。一方、金額は前期の約2.2倍です。

「前期と同じだけ下振れる」とは書けません。案件の数も規模も前期と違うからです。ただし、売上は予想を超えやすく、利益は予想に届きにくいという形が上半期予想・通期予想の両方で2期続いていることは、今期の下期を読む前提として持っておく価値があります。

売上側は、発表済みの案件で埋まっている計算

上半期末後に発表されたGPUサーバー関連の大口取引を並べます。

開示日内容売上高(会社の概算)計上時期の記載
2026年9月4日台湾のサーバー製造会社(英業逹)向けデータセンター用サーバー4,290万米ドル(67億円)記載なし(予想に反映済み)
2026年10月8日韓国のデータセンター向けサーバー200台+設置・3年保守8,293万米ドル(131億円)納品2026年12月〜2027年1月
2026年10月13日国内企業向けAIサーバー32台(リース形式・会計上は販売)1,833万米ドル(約29億円)2027年2月期の見込み。検収時期によっては2028年2月期の可能性
合計約227億円

(出典:各適時開示。会社はいずれも「業績予想に反映しており変更はない」としている)

3件の合計約227億円は、予想が置いた下期の売上高194億66百万円を上回ります。売上については、下期の置き方は発表済みの案件でほぼ説明できる計算です(筆者の整理)。10月13日の取引は計上が来期にずれる可能性を会社自身が書いているので、その29億円を除いても約198億円です。

裏を返すと、下期の論点は売上ではなく利益率です。仲卸の利ざやが上半期並み(2.7%)なら、GPUサーバー事業の下期の利益は売上170億円で4億59百万円程度です(筆者の試算)。営業利益15億68百万円に届くには、残りを建て売りが稼ぐ必要があります。

感応度表:下期の営業利益は「建て売り×仲卸の利ざや」で決まる

GPUの下期利益率 \ 蓄電池+衣料品の下期利益3007001,1001,500
1.8%(今期6〜8月並み)3717711,1711,571
2.7%(今期上半期並み)5249241,3241,724
4.0%7451,1451,5451,945

(単位:百万円。筆者の試算で、将来の見通しではない。固定した前提:GPUサーバー等事業の下期売上170億円、全社費用は上半期並みの△235百万円。会社予想が置いた下期の営業利益は1,568百万円)

この表で会社予想(15億68百万円)に届くのは、右端の列(蓄電池+衣料品で15億円)の3マスだけです。GPUの利ざやが上半期並みなら、蓄電池と衣料品で下期に13億44百万円前後の利益が要る計算になります(筆者の試算)。

この13億円台を、蓄電池事業の過去の数字と並べます。

期間蓄電池事業の売上蓄電池事業のセグメント利益利益率
2026年2月期(通期)2,23447721.4%
2027年2月期 上半期665314.7%
中計の2027年2月期 売上計画6,000開示なし-

(単位:百万円)

中計の蓄電池事業の売上計画60億円から上半期実績を引くと、下期に約53億円の売上が残ります(筆者の差し引き)。衣料品の下期をゼロと置くと、この53億円で13億円台の利益を出すには、利益率25%前後が要る計算です。前期の通期の利益率は21.4%でした。前期並みの利益率なら届く水準に近く、上半期の利益率(4.7%)なら遠い、というのがこの表の読み方です。会社が修正後予想のセグメント内訳を出していないため、これ以上は特定できません。

保有中の4物件と工事予定は、決算説明資料に次のとおり載っています。

物件工事完了予定運転開始予定
和歌山県「和歌山井ノ口蓄電所」2026年11月2027年1月
三重県「伊勢市馬瀬町蓄電所」2026年12月2027年2月
鹿児島県「曽於市蓄電所」2027年1月2027年2月
愛知県「知多郡東浦町蓄電所」2027年1月2027年2月

運転開始予定はいずれも2027年1〜2月、つまり決算期末の直前です。工事や系統連系の遅れがあれば、売却や引渡しが3月以降(来期)にずれる余地がある日程です。なお和歌山井ノ口蓄電所は、前期の決算短信では「運転開始:2026年4月(予定)」、第1四半期短信では「2026年10月(予定)」と書かれていました。

5. 深掘り③:純利益予想は、下期の税金と少数株主の取り分を軽く置いている

営業利益の次は、経常利益と純利益です。ここまでで「下期に営業利益15億68百万円」という置き方の重さを見ました。最後の段階として、その利益のうちいくらが親会社の株主に残る前提なのかを確認します。

営業外:下期に△2億42百万円

決算説明資料によると、通期予想の営業外損益(純額)は△3億50百万円です。上半期実績は△1億09百万円なので、下期に約△2億41百万円を置いています(筆者の差し引き。百万円単位の経常利益と営業利益の差で計算すると△2億42百万円)。上半期の営業外費用の内訳は、株式交付費75百万円(新株予約権の行使に伴う費用)、支払利息20百万円、為替差損15百万円などです。会社は営業外費用に「資金調達関連費用」が出ると書いています。新株予約権の行使が進むほど株式交付費が出る構造です。

借入については、スターシーズデジタルが2026年6月9日に有限会社テオスから500百万円を固定金利9.0%(返済期日9月8日)で借り入れたことが開示されています。会社は通期の利息負担を11.2百万円と見込んでいます。返済期日以降の扱いについての開示は、筆者が確認した範囲では見当たりませんでした。9月17日には、親会社がスターシーズデジタルに1,000百万円(固定金利3.0%、1年)を貸し付けています。

純利益:下期の「税金+少数株主分」は経常利益の30.0%

項目上半期実績予想が置いた下期
経常利益△761,326
親会社株主に帰属する純利益△248928
経常利益から純利益までの距離△172△398
距離÷経常利益-30.0%

(単位:百万円。筆者の差し引き)

下期は、経常利益13億26百万円のうち30.0%を、特別損益・法人税・少数株主の取り分の合計に置いている計算です。法定実効税率は30.62%です(有価証券報告書の税効果会計注記)。

ここで2つのことが同時に効きます。

1つ目は、スターシーズデジタルの利益の40%は少数株主のものだということです。上半期の非支配株主に帰属する純利益は87百万円で、これを40%で割り戻すとスターシーズデジタルの純利益は約2億19百万円になります(筆者の逆算)。GPUの利益が増えるほど、少数株主に回る額も増えます。

2つ目は、グループ内で損益を通算できないことです。会社は説明資料で、上半期は損益通算ができないため税負担が発生したと書いています。実際、上半期は税金等調整前の損失1億01百万円に対して、法人税等が59百万円かかりました。

これを踏まえて、下期の純利益を税率3本と少数株主分2本で試算します。

下期の税負担率 \ GPU事業の下期税引前利益400800
30.62%(法定実効税率)809698
15%1,016905
0%1,2151,104

(単位:百万円。筆者の試算で、将来の見通しではない。経常利益は予想が置いた下期の1,326百万円で固定し、特別損益はゼロ、少数株主分は「GPU事業の税引前利益×(1−30.62%)×40%」で近似。予想が置いた下期の純利益は928百万円)

法定実効税率を全体に当てると、下期の純利益は予想の928百万円に届きません。予想は、下期の税負担率を法定実効税率よりかなり低く置いている計算です(筆者の試算)。

その理由として考えられるのは、次の2つです(どちらも筆者の推測で、会社は純利益予想の税負担の前提を開示していません)。

  • 親会社の繰越欠損金:有価証券報告書の税効果注記によると、2026年2月末の税務上の繰越欠損金(法定実効税率を掛けた額)は9億60百万円で、そのうち9億37百万円に評価性引当額が付いています。課税所得に直すと約31億円です(筆者の換算)。蓄電池事業は親会社の社内部門なので、蓄電所の売却益が親会社に出れば、この欠損金で税金が抑えられる余地があります
  • チチカカの売却:会社はチチカカの売却とあわせて貸付金債権等を放棄しています。中間短信の本文には、チチカカの売却決定に伴う税効果会計の適用で法人税等調整額(益)161百万円を計上したと書かれています(損益計算書の法人税等調整額の合計は△64百万円)。下期にも税金の面で何らかの効果を見込んでいる可能性はありますが、開示からは確認できません

一方、有価証券報告書の「重要な会計上の見積り」には、親会社の繰延税金資産の回収可能性について、主要な仮定が「系統用蓄電池の販売見込案件数及び当該案件に係る原価率」だと書かれています。建て売りが予定どおり売れなければ、営業利益だけでなく税金の見積りにも効く、という構造です(筆者の整理)。

3つの深掘りをつなぐ

1章目で、上半期は「仲卸は予定より売れ、建て売りは予定より売らなかった」半年だったことを見ました。2章目で、通期予想は営業利益の98%を下期に置き、その多くを建て売り(蓄電所の売却)に頼る計算になることを見ました。3章目で、その利益が親会社の株主に残る割合も、建て売りが親会社の繰越欠損金と組み合わさる前提に立っている可能性を見ました。今期の着地を決めるのは、9〜2月に保有4物件をいくらで、いつ売れるか、という1点に集まります。

6. 資本政策と株主還元

新株予約権:潜在株式は発行済の約89%

2026年6月25日に、第三者割当で第8回〜第10回新株予約権(行使価額固定型)を発行しました。

回号割当先発行数(株数)行使価額行使期間10月14日時点の残り(株数・筆者の推計)
第8回Cantor Fitzgerald Europe3,000,000株971.1円2029年6月25日まで1,840,000株
第9回Cantor Fitzgerald Europe2,000,000株1,133.0円2029年6月25日まで2,000,000株
第10回サステナブルエナジー投資事業有限責任組合7,000,000株971.1円2031年6月25日まで5,867,300株
合計12,000,000株9,707,300株

(出典:2026年6月8日の発行開示、半期報告書、10月1日の月間行使状況、中間短信の後発事象。残りは9月30日時点の未行使数から、10月1〜14日の第8回の行使2,500個を引いた筆者の推計)

発行時点の希薄化率は139.03%(発行済8,631,100株に対して)で、会社は「大規模な第三者割当」に当たるとして第三者委員会の意見を取っています。10月14日時点の発行済株式数は10,923,800株(筆者の算出)で、残りの潜在株式9,707,300株は**発行済の88.9%**にあたります。すべて行使されると発行済は約2,063万株になり、会社には約97億5,000万円が入る計算です(筆者の試算)。

会社が示した資金使途は、系統用蓄電池事業59億円、AIデータセンター事業の設備投資・運転資金約55億円、アパレル事業5億円です。

株価との位置関係は、10月15日終値1,056円に対し、第8回・第10回(971.1円)は行使価額を上回る水準、第9回(1,133.0円)は下回る水準です。会社は10月5日に、第8回の残り18,900個(1,890,000株)について、10月12日以降の行使停止を割当先に指定しました(撤回は会社の判断で可能)。

用語メモ:行使価額固定型の新株予約権 あらかじめ決めた価格(行使価額)で株を受け取れる権利です。株価が行使価額を上回ると、権利者は行使して株を受け取り、市場で売ることで差額を得られます。会社にとっては、株価が上がれば資金が入り、下がれば入らない仕組みです。株価が行使価額付近で推移すると、行使と売却が上値を抑える方向に働くことがあります。

株数とEPSは3本で見る

EPSの分母株数EPS(純利益予想680百万円)PER(10月15日終値1,056円)
会社予想EPS 73.25円(会社の注記は「9月7日までの行使を考慮」)約928万株(逆算)73.25円14.4倍
10月14日時点の発行済(自己株式除く)10,923,638株62.25円17.0倍
残りの新株予約権をすべて行使した場合20,630,938株32.96円32.0倍

(筆者の算出)

会社予想EPSの分母は約928万株で、10月14日時点の発行済(約1,092万株)より約164万株少ない計算です。期中平均株式数を見込んでいるのか、別の算定なのかは開示から分かりません。どの株数で割るかで、PERは14倍から32倍まで動きます。

大株主と主要株主の入れ替わり

株主2026年2月末2026年8月末備考
サステナブルエナジー投資事業有限責任組合1,600,000株(19.10%)2,601,700株(26.85%)第10回新株予約権の割当先。9月14日に1,029,700株を譲渡
株式会社SBI証券上位10位外992,780株(10.25%)
株式会社Blue lagoon927,500株(11.07%)727,500株(7.51%)4月24日付で300,000株を株券等消費貸借で貸し付けた旨の変更報告書あり(表の株数の差200,000株との関係は開示から分からない)
松井証券株式会社上位10位外503,000株(5.19%)
株式会社光輝ENERGY400,000株(4.77%)232,000株(2.39%)

(比率は発行済株式(自己株式を除く)に対する割合。出典:有価証券報告書・半期報告書の大株主の状況)

8月末以降の動きとして、会社は次の2本の「主要株主の異動」を開示しています。

  • 10月2日:Nexai株式会社が9月14日に1,029,700株を取得し主要株主(議決権比率10.11%)となり、その後の新株予約権の行使で発行済が増えたため、10月2日時点で9.46%に下がって主要株主に該当しなくなった。半期報告書の注記には、サステナブルエナジー投資事業有限責任組合が9月14日に1,029,700株を譲渡した旨の変更報告書が記載されています。日付と株数は一致していますが、会社の開示は両者の取引関係を説明していません
  • 10月13日:株式会社Blue lagoonが、4月24日の株券等消費貸借による300,000株の貸付で、自己名義の議決権比率が10%を下回り主要株主に該当しなくなっていた(変更報告書の株券等保有割合は貸付中の株式を含めて10.87%)。会社は「開示が遅延いたしました」とお詫びし、遅延の理由を、貸し付けた株式でも主要株主に当たると誤って理解していたためと説明しています

大株主表には個人・法人の名前が並びますが、会社の開示で関係が示されていない株主どうしの持株比率は、本記事では合算していません。なお、サステナブルエナジー投資事業有限責任組合の存続期間は、2025年11月の開示で「2026年12月末日まで(条件付きで1年毎に延長可能)」とされています。

用語メモ:主要株主の判定と株の貸付 主要株主は、自己の名義で総株主の議決権の10%以上を持つ株主です。株券等消費貸借で株を貸すと、その株の議決権は借り手に移るため、貸し手の議決権比率は下がります。一方、大量保有報告書の「株券等保有割合」は貸付中の株も含めて計算するので、同じ株主で2つの比率が食い違うことがあります。

配当

決算期1株配当内訳配当の決め方
2024年2月期0円-無配
2025年2月期0円-無配
2026年2月期10円普通配当5円+新規事業開始記念配当5円7期ぶりの営業黒字を受けた記念配当を含む
2027年2月期(会社予想)10円(期末)内訳の記載なし-

有価証券報告書の配当政策は「中長期的に利益成長を続け、業績に連動した配当を実施する」で、目標とする配当性向の数値は書かれていません。今期予想10円は、会社予想EPS73.25円に対して配当性向13.7%です。配当の決定機関は株主総会で、中間配当は取締役会決議でできる定款になっていますが、今期の中間配当は0円です。

配当総額は株数とともに増えます。10月14日時点の発行済で1株10円なら約1億09百万円、新株予約権がすべて行使されれば約2億06百万円です(筆者の算出)。

株主優待(2026年9月2日に新設)

基準日保有株数内容継続保有の条件
毎年2月末日(初回2027年2月末)500株以上QUOカード30,000円分初回のみ、2026年11月末と2027年2月末の株主名簿に同一株主番号で連続記載
毎年8月末日(初回2027年8月末)500株以上QUOカード30,000円分2027年2月末と8月末の株主名簿に同一株主番号で連続記載(以後も直前2回)

(出典:2026年9月2日「継続的な株主優待制度の導入に関するお知らせ」)

保有株数年間の優待額1株当たり優待額名目利回り(10月15日終値1,056円)
100〜499株0円0円0%
500株60,000円120.0円11.4%
999株60,000円60.1円5.7%
1,000株以上60,000円60円以下5.7%以下

(筆者の算出。配当は含まない)

保有株数にかかわらず一律の優待なので、500株を超えて持っても優待は増えません。500株で持った場合の名目利回りは11.4%(配当10円を含めると12.3%)と高い水準です。ただし、名目利回りは株価で大きく変わり、QUOカードは使い道によって実質価値が変わります。

権利付き最終日は、2026年11月30日(月)の名簿に対して2026年11月26日(木)、2027年2月28日(日)の名簿に対して**2027年2月24日(水)**です(基準日が休日の場合は直前の営業日から2営業日前を逆算)。初回の2027年2月末分は、11月26日までに500株以上を持ち、2月24日まで同じ株主番号で持ち続ける必要があります。貸株サービスなどで株主番号が変わると、継続保有とみなされない旨が開示に書かれています。

制度の費用は開示されていません。2026年2月末の株主数は1,936名です。仮に対象株主が300名なら年1,800万円、600名なら3,600万円、1,000名なら6,000万円です(筆者の試算。対象株主数は仮置き)。上半期の営業利益3,200万円と比べると、対象株主が数百名でも上半期の営業利益に並ぶ規模になります。会社は業績への影響を「軽微」と見込んでいます。株主数が増えるほど費用が膨らむ設計です。

なお、有価証券報告書(2026年6月1日提出)の「株主に対する特典」欄は「該当事項はありません」です。制度の新設は有報提出後の9月なので、この食い違いは時期の違いによるものです。会社は2024年8月末にも単年度限りの株主優待(グループ店舗のクーポン)を実施しています。

7. 株価の見方

株価の基準点

日付終値出来高備考
2026年10月14日(水)1,095円227,500株決算発表は17時00分(取引終了後)。この日の値動きは決算を含まない
2026年10月15日(木)1,056円304,700株決算発表後の最初の取引日。始値1,042円・高値1,089円・安値1,033円、前日比△3.56%

(出典:Yahoo!ファイナンスの時系列。10月16日(金)は11時30分時点で1,048円(株探、場中の値))

10月15日終値1,056円を基準にすると、次のとおりです。

指標値計算の前提
時価総額約115億円10月14日時点の発行済(自己株式除く)10,923,638株
時価総額(全行使後の株数)約218億円20,630,938株
PER(会社予想EPS)14.4倍EPS 73.25円
PER(10月14日時点の株数)17.0倍EPS 62.25円
PBR2.85倍8月末のBPS 369.95円
配当利回り0.95%1株10円
2026年の高値・安値1,358円(9月)・700円(2月)月足

前期末(2026年2月末)の株価は、有価証券報告書の株価収益率89.2倍×EPS9.16円=約817円と逆算でき、時系列の2月末終値818円と一致します。そこから約3割高い水準です。

強気の見方

  • 売上の規模はすでに証明されている:GPUサーバー事業は上半期だけで中計の通期計画の88.7%に達し、下期の売上の置き方は発表済みの案件(約227億円)でほぼ説明できる
  • 建て売りの在庫が4物件ある:前期の蓄電池事業の利益率は21.4%で、前期並みの採算で売れれば、感応度表の上では予想に届く水準に近い
  • 衣料品の赤字の切り離しが進んだ:チチカカの売却、MF6の売却で、利益を薄めていた部分が小さくなる。会社はチチカカの売却を下期の利益への貢献として挙げている
  • 税金の面で上振れの余地:親会社に課税所得換算で約31億円の繰越欠損金があり、蓄電所の売却益が親会社に出れば税負担が軽くなる余地がある(筆者の推測)
  • 株主還元の新設:500株以上で年6万円分のQUOカードは、現在の株価で名目11.4%にあたる

弱気の見方

  • 前期と同じ形:前期は下期の営業利益の置き方に対し達成率55.2%だった。上半期予想・通期予想とも「売上は上振れ、利益は下振れ」が2期続いている
  • 仲卸の利ざやが下がっている:GPUサーバー事業の利益率は3〜5月4.6%から6〜8月1.8%に下がった。下期に大型案件が並ぶほど、売上は増えても利益率がさらに下がる可能性がある
  • 建て売りは日程に余裕がない:保有4物件の運転開始予定は2027年1〜2月で、期末直前。鹿児島の物件は9月に売却契約を解除し、和歌山の物件は運転開始予定が2026年4月→10月→2027年1月と後ろにずれてきた
  • お金の流れ:営業CFは上半期△12億70百万円で、立て替えの増加を新株予約権の行使で賄っている。「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載も続いている
  • 希薄化:残りの潜在株式は発行済の88.9%。全部行使されればEPSは約半分になり、行使と売却が株価の上値を抑える方向に働く可能性がある
  • 利益の一部は少数株主のもの:GPUサーバー事業の利益の40%は少数株主に帰属する
  • 開示の正確さ:前期の決算短信は訂正され、決算説明資料と中計は訂正前の前期実績を載せたまま。主要株主の異動の開示も約半年遅れた。中間決算短信も、翌朝に各ページのヘッダーの年度表記を訂正している

同じ「下期に15億68百万円」という数字を、強気側は「発表済みの案件と保有物件で組み立てられる水準」、弱気側は「前期も同じ形で半分しか届かなかった水準」と読みます。どちらの読みも、数字は同じです。

8. 今後のカレンダーと見るべきKPI

時期イベント見るポイント
毎月上旬第8回〜第10回新株予約権の月間行使状況行使株数と発行済株式数の推移、第8回の行使停止の撤回の有無
2026年11月和歌山井ノ口蓄電所の工事完了予定売却契約の締結・引渡しの開示
2026年11月26日(木)株主優待(初回)の継続保有判定に使う11月末名簿の権利付き最終日500株以上の保有
2026年12月伊勢市馬瀬町の蓄電所の工事完了予定/加賀電子との委託生産の量産開始目標(12月末まで)
2026年12月末サステナブルエナジー投資事業有限責任組合の存続期間(条件付きで延長可能)大量保有報告書の変更
2026年12月〜2027年1月韓国向けサーバー200台の納品予定第3四半期・通期の売上計上
2027年1月曽於市・知多郡東浦町の蓄電所の工事完了予定鹿児島の物件の新しい売却先
2027年1月中旬(例年)第3四半期決算9〜11月のGPU事業の利益率、蓄電所の売却件数、通期予想の扱い
2027年1〜2月保有4物件の運転開始予定売却か自社運用か(損益の出る場所が変わる)
2027年2月24日(水)期末配当・株主優待(初回)の権利付き最終日
2027年4月中旬(例年)通期決算下期の営業利益の達成率、継続企業の前提に関する重要事象等の記載の有無

見るべきKPI

  • GPUサーバー等事業の四半期の利益率(3〜5月4.6%、6〜8月1.8%)
  • 蓄電池事業の売却件数と1件あたりの利益(上半期は1件で利益31百万円)
  • 前渡金・売掛金・買掛金の残高と営業CF
  • 発行済株式数と未行使の新株予約権の残り
  • 全社費用(調整額)の四半期の水準(3〜5月△101百万円、6〜8月△133百万円)

9. 3行まとめ

  • 上半期は、サーバーの仲卸が予定より売れて売上は予想の1.8倍、蓄電所の建て売りを1件しか売らずに営業利益は予想の約1割。6〜8月の3か月は営業赤字に戻った
  • 通期予想は営業利益の98%を9〜2月に置き、売上側は発表済みの案件で説明できる一方、利益は保有4物件の売却と仲卸の利ざやにかかる。前期は同じ置き方の55%しか届かなかった
  • 潜在株式は発行済の約89%、営業CFの赤字を株式の発行で賄う段階にあり、新設の優待(500株で年6万円分)と合わせて、株数と資金の流れを毎月の開示で追う銘柄

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘や投資助言を目的としたものではありません。数値の出典は、スターシーズ株式会社の決算短信(2026年2月期は5月8日の訂正後、2027年2月期第1四半期・中間期)、決算説明資料(2026年10月14日)、業績予想の修正・差異の開示、新株予約権・主要株主の異動・子会社の異動・株主優待・サーバー関連取引・蓄電所の売却中止の各適時開示、有価証券報告書(第37期)、半期報告書(第38期)です。株価はYahoo!ファイナンスの時系列(報道ベース)、2024年3〜5月の四半期値と10月16日の場中の株価は株探の配信データです。「筆者の差し引き」「筆者の算出」「筆者の試算」「筆者の整理」と書いた数値は一次情報から筆者が計算したもので、会社の開示値ではありません。特に次の点にご注意ください。

  • 当中間期は決算補足説明資料はありますが決算説明会は開かれておらず、会社の質疑応答は一切反映していません。また2026年10月15日に公表された「連結子会社スターシーズデジタル株式会社の事業戦略説明資料」は本記事に反映していません
  • 6〜8月の数値は累計から筆者が差し引いたもので、百万円未満切り捨てのため合計が1〜2百万円合わない箇所があります
  • 下期の感応度表、純利益の試算表、蓄電池事業に必要な利益率、株主優待の費用は筆者の試算で、将来の見通しではありません。修正後の通期予想のセグメント別内訳と、純利益予想の税負担の前提は開示されていません
  • 下期の税負担が低い理由(親会社の繰越欠損金、チチカカの売却に伴う税効果)、GPUサーバー事業の利益率が下がった理由についての記述は筆者の推測であり、会社の開示に基づくものではありません。確認先は会社IRと第3四半期決算です
  • 決算説明資料と中期経営計画に載っている前期実績(売上高100億17百万円・営業利益1億99百万円)は訂正前の値で、訂正後の決算短信の値(103億82百万円・1億84百万円)と食い違うため、本記事は短信の値を使っています
  • サーバー関連取引の販売先・仕入先のうち、会社が名前を伏せた取引先は特定していません。また、関係が開示で確認できない株主どうしの持株比率は合算していません
  • 大量保有報告書は会社の開示と半期報告書に記載された範囲で扱っており、提出者側の変更報告書の一覧は確認していません。公開までに新たな変更報告書が出ている可能性があります
  • 決算発表は10月14日17時00分(取引終了後)で、決算への反応は10月15日の値動きとして扱っています。10月16日の株価は場中の値です

記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。

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