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ナガワ(9663) 工事現場の詰所になる箱を自分で作り、11万棟を貸し出して、古くなれば中古で売る会社 なぜ上期は予想を超えて配当も上げたのに、下期は前年より減益の予想のままなのか?【2026年10月発表・上半期決算】

本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • 上半期(2026年4〜9月)は売上+6.3%・営業利益+10.5%で、期初の上期予想も上回りました。ところが7〜9月の3か月だけを取り出すと、営業利益は前年同期比△4.1%の減益です。原因は販管費の+10.4%と、モジュール・システム建築事業の利益の落ち込み(141百万円→65百万円)でした
  • 据え置かれた通期予想は、下期に「売上+8.3%・営業利益△2.8%」を置いています。中身は事業ごとに逆向きで、主力のユニットハウスは下期に減収減益、モジュール・システム建築は下期に売上+53.5%です。前期は同じ事業の「翌期へのずれ込み」で2月に下方修正しています
  • 会社は「当期純利益の増加が見込まれる」として期末配当予想を60円から80円に上げましたが、純利益予想33億円は据え置いたままです。総還元性向「おおむね30%」の方針で80円を逆算すると、純利益は約41億円必要になります。一方、過去3期の実際の総還元性向は36〜68%で、30%は上限として働いていません
  • ナガワは過去2期とも、2〜3月に「第4四半期に投資有価証券の売却益を計上する」として純利益予想だけを引き上げてきました。今期はまだその開示はありません
  • 大株主のシンフォニー・フィナンシャル・パートナーズは保有割合を15.91%→14.87%→13.83%と下げ続けています。保有目的には「状況に応じて重要提案行為を行うこともありうる」と書かれています
  • 株主優待は保有期間で金額が最大6倍になります。いま買った場合に各区分へ届く最初の基準日を逆算しました

1. ナガワはどんな会社か

工事現場の詰所になる箱を、自分で作って貸して売る

工事現場の脇に置かれている、窓とドアのついた白やベージュの箱を思い浮かべてください。現場事務所や詰所、休憩所として使われるあの箱(ユニットハウス)が、ナガワの主力商品「スーパーハウス」です。会社は箱を自社工場で作り、2026年9月末時点で11万1,974棟を持ち、現場が動いている間だけ貸し出します。工事が終われば箱は戻ってきて、次の現場へ出ていきます。年数が経った箱は中古として売ります。上半期に売った6,863棟のうち4,344棟は中古でした(決算説明資料)。

この会社を一文で言うと、「工事現場の詰所になる箱を自分で作り、11万棟を貸し出して、古くなれば中古で売る会社」です。この一文の中に、強みと2つの弱みが入っています。

軸の要素中身記事で回収する場所
強み箱を自分で作り、大量に持っているので「来週から現場が動く」に応えられる。貸して稼いだ箱を最後に中古で売ってもう一度稼げる3章(ユニットハウスは7〜9月も増益)、4章(下期の控えめな置き方)
弱み①箱が出払っている割合(稼働率)は世の中の工事現場の数で決まり、会社が決められない4章(ユニットハウスの下期)、7章
弱み②箱は貸す前に作る。作った分の現金が先に出ていき、棟数が増えるほど減価償却費も積み上がる2章(営業キャッシュ・フロー)、7章

この軸からはみ出すのが、2つ目の事業「モジュール・システム建築」です。こちらは箱を組み合わせて店舗や事務所などの建物を建てる仕事で、1件ずつの工事として売上が立ちます。引き渡しの時期がずれれば、売上が丸ごと次の期へ移ります。今回の決算は、この2つの性格の違いがそのまま数字に出た半期でした。

用語メモ:減価償却費は、箱のように何年も使う資産の購入代金を、使う年数に分けて費用にしたものです。現金は買ったときにすでに出ています。ナガワは貸し出す箱(貸与資産)の耐用年数を5〜7年としています(2026年3月期決算短信の会計方針)。

3つの事業

事業上期売上前年比上期セグメント利益前年比利益率
ユニットハウス事業144億81百万円+5.5%17億59百万円+13.2%12.1%
モジュール・システム建築事業25億58百万円+14.1%2億32百万円+1.9%9.1%
建設機械レンタル事業4億05百万円△8.0%49百万円△27.1%12.1%
全社費用(調整額)――△18百万円――
損益計算書の営業利益174億45百万円+6.3%20億22百万円+10.5%11.6%

出所:2027年3月期中間決算短信のセグメント情報。

この表のポイントは2つです。1つ目は、売上の8割強、利益の9割弱がユニットハウス事業だということ。2つ目は、全社費用が△18百万円と小さく、セグメント利益の合計がほぼそのまま営業利益になる会社だということです。

ユニットハウス事業の売上は、販売65億54百万円、レンタル79億27百万円に分かれます。説明資料によると、上期の売上総利益率はレンタル35.3%、販売50.6%、稼働率は77.3%でした。レンタルの粗利率が販売より低いのは、レンタルの原価に箱の減価償却費が入るためです。

ユニットハウスの指標(各年4〜9月)2025年3月期2026年3月期2027年3月期
保有棟数(9月末)108,543棟110,161棟111,974棟
稼働率80.4%77.3%77.3%
レンタルの売上総利益率34.5%35.5%35.3%
販売の売上総利益率52.0%52.7%50.6%
販売棟数6,896棟7,022棟6,863棟

出所:決算説明資料(2027年3月期第2四半期)の図から筆者が読み取った値。

棟数は毎年1,600〜1,800棟ずつ増えていますが、稼働率は2年前の80.4%から下がって77.3%で横ばいです。軸の弱み①(稼働率は外が決める)と弱み②(箱は先に作る)が同じ表に出ています。

なお、ナガワは2024年11月に子会社の清算が終わり、2025年3月期の第3四半期から子会社を持たない決算(非連結)に移っています。2025年3月期の上期までは連結の数字で、決算説明資料も同じ扱いで並べています。本記事でも2025年3月期の上期は連結の数字を参考値として使います。

直近の業績の推移

決算期売上高営業利益経常利益純利益1株配当ROE
2024年3月期(単体)325億76百万円―46億57百万円31億29百万円60円―
2025年3月期352億94百万円42億99百万円48億03百万円42億13百万円60円6.9%
2026年3月期353億85百万円43億80百万円50億02百万円44億36百万円100円6.8%
2027年3月期(会社予想)380億円45億円51億円33億円80円―

出所:各期の決算短信、2025年3月期業績予想の修正に関するお知らせ(2024年3月期の単体実績)。2026年3月期の配当は普通配当60円+創立60周年記念配当40円。2027年3月期の配当予想は10月26日に60円から修正。

この表のポイントは、純利益が経常利益とほぼ同じか、経常利益を下回る年と上回る年が交互に見えることです。2025年3月期・2026年3月期は、投資有価証券の売却益(それぞれ16億30百万円、21億33百万円)で純利益が膨らんでいます。今期の純利益予想33億円の「前期比△25.6%」は、この売却益がなくなる前提の数字です(5章で検算します)。自己資本比率は直近88.1%で、借入金はありません。

会社予想の当たり方

ナガワは期初に上期予想と通期予想を出します。直近3期の予想と結果を並べました。

決算期予想の種類開示日売上高営業利益経常利益純利益
2025年3月期個別予想(非連結移行時)2025年1月27日360億円―54億円37億円
2025年3月期修正(期中)2025年3月3日360億円―54億円43億50百万円
2025年3月期実績2025年5月15日352億94百万円42億99百万円48億03百万円42億13百万円
2026年3月期期初予想2025年5月15日380億円55億円57億円40億円
2026年3月期修正(期中)2026年2月16日353億円44億円50億円45億円
2026年3月期実績2026年5月15日353億85百万円43億80百万円50億02百万円44億36百万円
2027年3月期期初予想2026年5月15日380億円45億円51億円33億円
2027年3月期中間決算で据え置き2026年10月26日380億円45億円51億円33億円

この表のポイントは3つです。

1つ目は、2026年3月期の期初予想が前期実績に対して売上+7.7%・営業利益+27.9%を置き、着地は期初比で売上93.1%・営業利益79.6%だったこと。今期の期初予想は前期比で売上+7.4%・営業利益+2.7%と、利益の伸びを大きく抑えた置き方に変わっています。

2つ目は、2期続けて、期末の1〜2か月前に「純利益だけを引き上げる」修正が出ていることです。修正理由は2期とも投資有価証券の売却益でした。2025年3月期の修正理由は次のとおりです(原文)。

政策保有株式を一部売却し2025年3月期第4四半期において特別利益に計上するため、当期純利益が従来予想を上回る見込みとなりました。

2026年3月期は、売上・営業利益・経常利益を下げ、純利益だけを上げました(原文)。

モジュール建築事業における当期売り上げに寄与する案件の契約の翌期へのずれ込みや、原価高騰による利益率低下などを要因に、売上高・営業利益・経常利益が予想を下回る見込みとなりました。当期純利益につきましては、当第3四半期に投資有価証券の減損損失を計上した一方、当第4四半期に投資有価証券の売却益を計上する見込みであることから、当期純利益は予想を上回ることとなりました。

3つ目は、2026年3月期の下方修正の理由に、今期の下期予想で売上の伸びを最も大きく置いている「モジュール建築事業」が挙がっていることです。この3つは、4章・5章でそれぞれ回収します。

上期予想と上期実績も並べます。

決算期上期予想(売上/営業利益)上期実績(売上/営業利益)達成率(売上/営業利益)
2026年3月期170億円/25億円164億08百万円/18億30百万円96.5%/73.2%
2027年3月期170億円/20億円174億45百万円/20億22百万円102.6%/101.1%

前期は上期で営業利益予想に3割近く届かず、それでも中間決算では通期予想を据え置き、2月に下方修正しました。今期は上期予想をわずかに超えています。前期と同じ形にはなっていません。

中期経営計画との距離

2026年5月15日に出た中期経営計画は、初年度(今期)を売上380億円・営業利益45億円・経常利益51億円・純利益33億円とし、最終年度の2029年3月期に売上450億円・営業利益55億円を置いています(中期経営計画の資料から筆者が読み取った値)。今期の予想は中計の初年度の数字そのものです。今期予想から最終年度までは、売上が年8.8%、営業利益が年10.6%の伸びを求める計算です(筆者の計算)。

2. 上半期決算のハイライト(2026年10月26日13時00分発表)

損益

科目2026年3月期上期2027年3月期上期増減率
売上高164億08百万円174億45百万円+6.3%
売上総利益66億35百万円70億50百万円+6.3%
販売費及び一般管理費48億04百万円50億28百万円+4.7%
営業利益18億30百万円20億22百万円+10.5%
経常利益22億31百万円24億83百万円+11.3%
中間純利益11億82百万円16億26百万円+37.5%
1株当たり中間純利益75.70円104.93円+38.6%

出所:2027年3月期中間決算短信。

純利益の伸び(+37.5%)が営業利益の伸び(+10.5%)より大きいのは、前年の上期に投資有価証券評価損4億34百万円の特別損失があった反動です。今期の特別損失は固定資産処分損の24百万円だけでした。1株当たり利益の伸び(+38.6%)が純利益の伸びよりさらに大きいのは、期中平均株式数が15,626,902株から15,497,972株へ0.8%減ったためです(2026年3月の自己株式取得の効果)。

経常利益が営業利益より4億61百万円大きいのは、受取配当金4億37百万円があるためです。受取配当金のうち4億18百万円は4〜6月に入っています。四半期ごとの経常利益は、保有株の配当が入る時期で形が変わります。

用語メモ:「前年同期比+10.5%」は4〜9月の6か月どうしの比較です。ナガワの短信は4月からの累計しか載らないので、7〜9月の3か月だけの数字は、上半期の累計から第1四半期(4〜6月)を自分で引き算して出すしかありません。3章はこの引き算から始めます。

財政状態

9月末の総資産は779億64百万円、純資産は687億03百万円、自己資本比率は88.1%です。主な科目の動きは次のとおりです。

科目2026年3月末2026年9月末増減
現金及び預金148億76百万円127億38百万円△21億38百万円
商品及び製品41億71百万円42億20百万円+49百万円
貸与資産(純額)149億24百万円157億34百万円+8億10百万円
投資有価証券227億63百万円230億44百万円+2億81百万円
繰延税金負債36億47百万円33億84百万円△2億63百万円
その他有価証券評価差額金86億98百万円80億80百万円△6億18百万円

投資有価証券は、値下がりしたのに残高が増えています。評価差額金△6億18百万円と繰延税金負債△2億63百万円を足すと、税引前の値下がりは約8億81百万円です。一方、キャッシュ・フロー計算書には投資有価証券の取得11億84百万円があります。〈△881+1,184=+303百万円〉で、実際の増加2億81百万円とほぼ一致します(差は売却・償還等とみられますが、内訳は開示されていません)。上半期は、値下がり分を上回る額を買い増した半期でした。この点は5章の配当の論点につながります。

キャッシュ・フロー

区分2026年3月期上期2027年3月期上期
営業キャッシュ・フロー2億27百万円10億51百万円
うち貸与資産の取得による支出△24億62百万円△28億85百万円
貸与資産の取得を足し戻した営業CF(筆者の計算)26億89百万円39億36百万円
減価償却費21億65百万円23億34百万円
投資キャッシュ・フロー△7億56百万円△16億43百万円
財務キャッシュ・フロー(配当の支払い)△9億38百万円△15億48百万円

営業利益が20億円あるのに営業CFが10億円にとどまるのは、ナガワが貸し出す箱の取得を営業CFの中に入れているためです。短信の欄外注記には、建設機械やユニットハウス等の販売・レンタルが主たる業務なので「貸与資産の取得による支出」を営業活動に含めている、という趣旨が書かれています。

ここが軸の弱み②です。箱は貸す前に作るので、現金が先に出ていきます。上半期は前年より4億23百万円多く箱に使い、それでも足し戻した営業CFは前年より12億円以上多くなりました。

用語メモ:レンタル会社の多くは、貸し出す資産の購入を投資キャッシュ・フローに入れます。ナガワは営業キャッシュ・フローに入れているので、他社の営業CFや「営業CF−投資CF」とそのまま比べると見誤ります。

3. 深掘り①:上期は1割増益、7〜9月だけなら減益

10四半期を並べる

上半期の累計から第1四半期を引き、過去の四半期も同じように差し引いて並べました(筆者の差し引き)。

四半期売上高売上総利益率販管費営業利益営業利益率
2024年4〜6月(連結)84億63百万円――9億01百万円10.6%
2024年7〜9月(連結)78億72百万円――9億34百万円11.9%
2024年10〜12月93億70百万円39.5%―13億08百万円14.0%
2025年1〜3月95億89百万円38.5%25億30百万円11億56百万円12.1%
2025年4〜6月80億10百万円39.9%24億47百万円7億45百万円9.3%
2025年7〜9月83億98百万円41.0%23億57百万円10億85百万円12.9%
2025年10〜12月93億98百万円39.8%23億83百万円13億58百万円14.4%
2026年1〜3月95億79百万円38.9%25億31百万円11億92百万円12.4%
2026年4〜6月85億76百万円39.8%24億26百万円9億82百万円11.5%
2026年7〜9月88億69百万円41.1%26億02百万円10億40百万円11.7%

出所:各四半期の決算短信の累計値から筆者が差し引き。2024年4〜9月は連結の数字(決算説明資料の上期実績)で、2024年10〜12月の粗利率は「非連結の累計−連結の上期」で出した参考値。売上の10四半期分は決算説明資料の四半期売上グラフの値とすべて一致し、2026年3月期の4四半期の合計は売上・営業利益・経常利益・純利益とも通期の開示値と一致した。

この表のポイントは2つです。

1つ目は、売上が4〜6月と7〜9月に小さく、10〜12月と1〜3月に大きいこと。営業利益率は10〜12月が2年続けて最も高く(14.0%・14.4%)、4〜6月が2年続けて最も低い形です。ただし2年分しか同じ基準で並べられないので、本記事では「季節性」とは書かず「2年続けて」にとどめます。

2つ目は、今期の7〜9月です。売上は前年同期比+5.6%なのに、営業利益は△4.1%で、営業利益率11.7%は直近2年の7〜9月(11.9%・12.9%)を下回りました。上半期の+10.5%の増益は4〜6月(+31.8%)で作られ、7〜9月は減益だったことになります。

何が利益を削ったか

営業利益の増減を、売上が増えた効果(数量効果)、粗利率の変化(率効果)、販管費の増減の3つに分けました(筆者の試算)。

期間数量効果率効果販管費合計実際の営業利益の増減
4〜6月+226△9+21+238+237
7〜9月+193+5△245△47△45
上半期+419△4△224+191+192

単位:百万円。数量効果=売上の増減×前年の粗利率、率効果=当期売上×粗利率の変化、販管費は増えた分をマイナスで表示。合計と実際の差(1〜2百万円)は百万円未満切り捨ての開示によるもの。

7〜9月の粗利率は41.05%で、前年の41.00%とほぼ同じです。7〜9月の減益は、販管費が前年の23億57百万円から26億02百万円へ+10.4%(+2億45百万円)増えたことだけで説明できます。4〜6月の販管費は前年比△0.9%でしたので、増加は7〜9月に集中しています。

会社は説明資料で、上半期について全社的な業務効率化と経費抑制を徹底したことが増益を後押ししたと書いています。6か月単位で見れば販管費は+4.7%で売上の伸び(+6.3%)より小さく、この説明は上半期の数字と合っています。3か月単位で見ると、4〜6月に抑えた分を上回る額が7〜9月に出ています。7〜9月に何の費用が増えたかは、短信に販管費の内訳がないため分かりません。説明資料には創立60周年の記念展示会やWeb広告・SNSのプロモーションの記載がありますが、会社はそれらと7〜9月の販管費を結びつけていないので、本記事でも結びつけません。

事業別に見ると

セグメント利益も同じように差し引きました(筆者の差し引き)。

四半期ユニットハウス利益率モジュール・システム建築利益率建設機械レンタル全社費用
2025年4〜6月6億62百万円9.9%86百万円7.8%10百万円△13百万円
2025年7〜9月8億91百万円12.7%1億41百万円12.4%57百万円△6百万円
2025年10〜12月11億66百万円15.2%1億42百万円10.1%65百万円△12百万円
2026年1〜3月9億44百万円12.3%2億45百万円16.4%16百万円△13百万円
2026年4〜6月8億06百万円11.3%1億67百万円13.0%21百万円△12百万円
2026年7〜9月9億53百万円12.9%65百万円5.1%28百万円△6百万円

出所:各四半期の決算短信のセグメント情報から筆者が差し引き。利益率の分母は各セグメントの売上高。

7〜9月の営業利益の前年差△45百万円を事業別に分けると、ユニットハウス+62百万円、モジュール・システム建築△76百万円、建設機械レンタル△29百万円、全社費用±0です(合計△43百万円。差の2百万円は切り捨てによる)。

主力のユニットハウス事業は、7〜9月も増益でした。利益率12.9%は前年同期の12.7%を上回っています。軸の強み(箱をたくさん持ち、すぐ出せる)は崩れていません。減ったのはモジュール・システム建築事業で、利益率5.1%は並べた6四半期で最も低い値です。会社は上半期の説明で、この事業について資材価格や労務費のコスト負担があるなか増益基調を維持したと書いています。上半期の6か月では+1.9%の増益ですが、4〜6月の1億67百万円と7〜9月の65百万円に分けると形が違って見えます。

ここまでで分かったのは、「7〜9月は、主力が伸びた一方で、販管費と工事の事業が利益を削った3か月だった」ということです。では、この3か月を見たうえで、会社が据え置いた通期予想は下期に何を置いているのか。次の章で見ます。

4. 深掘り②:据え置いた予想は、下期に何を置いているか

全社の下期

通期予想から上期実績を引くと、予想が下期(10月〜2027年3月)に置いている数字が出ます(筆者の差し引き)。

科目予想が置いた下期前年下期(2026年3月期)前年比2年前の下期(2025年3月期)
売上高205億55百万円189億77百万円+8.3%189億59百万円
営業利益24億78百万円25億50百万円△2.8%24億64百万円
営業利益率12.1%13.4%―13.0%
経常利益26億17百万円27億71百万円△5.6%26億64百万円
純利益16億74百万円32億54百万円△48.6%27億92百万円

2年前の下期は、通期(非連結)から上期(連結)を引いた参考値。

売上は8%伸ばすのに、営業利益は前年より少ない置き方です。下期の営業利益率12.1%は、過去2年の下期(13.0%・13.4%)を下回ります。通期の営業利益に占める下期の割合も、57.3%→58.2%→55.1%(予想)と下がります。

用語メモ:業績予想の修正の適時開示は、売上10%・利益30%の基準に届かなければ出ません。予想の修正が出ていないことは、予想どおりに進んでいることを意味しません。

期初の下期と、据え置き後の下期

M2の「3列表」で、期初予想が置いていた下期、中間決算後の下期、実際の下期を、前期と今期で並べました(筆者の差し引き)。

決算期期初予想が置いた下期中間決算後に予想が置いた下期実際の下期中間後の下期に対する達成率
2026年3月期 売上210億円(前年比+10.8%)215億92百万円(+13.9%)189億77百万円87.9%
2026年3月期 営業利益30億円(+21.8%)36億70百万円(+48.9%)25億50百万円69.5%
2027年3月期 売上210億円(+10.7%)205億55百万円(+8.3%)――
2027年3月期 営業利益25億円(△2.0%)24億78百万円(△2.8%)――

この表のポイントは2つです。

1つ目は、前期は上期の未達をそのまま下期に背負わせた結果、中間決算後の予想が下期に営業利益+48.9%を求めていたこと。実際の下期は69.5%にとどまり、2月に下方修正しました。

2つ目は、今期の据え置き後の下期は、期初の下期から上期の超過分(売上4億45百万円、営業利益22百万円)を差し引いた値になっていることです。通期を据え置けば計算上そうなります。前期のような「下期に大きな伸びを求める据え置き」とは違い、今期の据え置きが下期に置いている営業利益は前年を下回る水準です。

事業別の下期

説明資料には事業別の通期計画があります。計画から上期実績を引いて、過去2年の下期と並べました(筆者の差し引き)。

事業予想が置いた下期売上前年下期比予想が置いた下期利益前年下期比下期の利益率(予想)前年下期2年前下期
ユニットハウス150億19百万円△2.1%19億61百万円△7.1%13.1%13.8%13.1%
モジュール・システム建築44億42百万円+53.5%4億28百万円+10.6%9.6%13.4%13.6%
建設機械レンタル10億95百万円+47.4%71百万円△12.3%6.5%10.9%10.5%

出所:決算説明資料のセグメント別通期計画(ユニットハウス295億円・37億20百万円、モジュール・システム建築70億円・6億60百万円、建設機械レンタル15億円・1億20百万円)から上期実績を差し引き。事業別計画の売上合計380億円・利益合計45億円は全社予想と一致する。事業別計画は全社費用を置いていないため、事業別の下期利益の合計(24億60百万円)と全社の下期営業利益(24億78百万円)は18百万円ずれる。

置き方が事業によって逆です。上期に+13.2%増益だったユニットハウスは、下期に減収減益を置いています。上期に売上+14.1%だったモジュール・システム建築は、下期に売上を5割伸ばす前提です。全社の下期の売上増分15億78百万円のうち15億49百万円がモジュール・システム建築で、ユニットハウスは△3億22百万円です。会社全体の「売上+8.3%」は、ほぼモジュール・システム建築の上乗せでできています。そのモジュール・システム建築の下期の利益率は9.6%で、過去2年の下期(13.4〜13.6%)より低く置かれています。

ここで軸に戻ります。ユニットハウスの利益は、弱み①の稼働率(現場の数)で決まります。稼働率は上期末時点で77.3%と前年並みで、予想はこの事業を前年より控えめに置いています。モジュール・システム建築は1件ずつの工事で、引き渡しの時期がずれれば売上が丸ごと次の期に移ります。前期の2月の下方修正は、まさにこの事業の「案件の契約の翌期へのずれ込み」が理由でした。

予想に届く組み合わせ(感応度表)

通期の営業利益が、下期のユニットハウスとモジュール・システム建築の利益の組み合わせでどう変わるかを出しました(筆者の試算)。

下期のユニットハウス利益 \ 下期のモジュール利益上期並み(2億32百万円)前年下期並み(3億87百万円)計画(4億28百万円)
計画(19億61百万円)43億04百万円44億59百万円45億00百万円
前年下期並み(21億10百万円)44億53百万円46億08百万円46億49百万円
前年下期×上期の伸び率(23億90百万円)47億33百万円48億88百万円49億29百万円

固定した前提:上期の営業利益20億22百万円、建設機械レンタルの下期利益は計画どおり71百万円、全社費用は全社予想と事業別計画の差(+18百万円)。「前年下期×上期の伸び率」は前年下期の21億10百万円に上期の前年比(17億59百万円÷15億53百万円)を掛けた値。筆者の試算で、将来の見通しではない。

この表のポイントは、会社予想45億円が表の左上寄りに置かれていることです。9マスのうち予想を下回るのは3マスで、いずれもモジュールが計画に届かない列です。ユニットハウスが前年下期並みに稼げば、モジュールが上期並みにとどまっても44億53百万円で予想にほぼ並びます。予想は、主力を控えめに置き、工事の事業に売上の伸びを頼る形で作られています。

この置き方には2つの読み方があります。

  • 強気:ユニットハウスの下期は前年割れを置いているので、上期と同じペースが続けば営業利益は予想を上回る余地がある。モジュールの利益率も過去の下期より低く置いている
  • 弱気:売上目標380億円は前期の期初予想と同じ金額で、前期はモジュールのずれ込みで届かなかった。今期もモジュールの下期売上+53.5%が前提で、引き渡しがずれれば売上はまた届かない。7〜9月のモジュールの利益率5.1%と販管費+10.4%が下期も続けば、利益側の余裕も削られる

数字そのものは同じです。どちらに読むかは、モジュールの受注と引き渡しの状況次第ですが、会社は受注残高を開示していないので、外からは確かめられません。

営業外と税金の置き方

経常利益と純利益の下期も確認します。

項目予想が置いた下期前年下期2年前の下期
営業外損益(経常利益−営業利益)1億39百万円2億21百万円2億00百万円
税負担率(純利益÷経常利益から逆算、特別損益ゼロとした場合)36.0%――

営業外損益の下期の置き方は、過去2年の下期より6〜8千万円小さく置かれています。受取配当金の大半は4〜6月と10〜12月に入る形が前期にも出ているので(前期の10〜12月は2億円)、下期の営業外が過去並みなら、経常利益にはその分の余裕があります。

税金の行も見ます。予想の経常利益51億円と純利益33億円から逆算した税負担率は35.3%で、上半期の実績33.9%、前期の33.4%、前々期の32.5%より高めです。下期の経常利益の予想にこの3つの税負担率を当てると、通期の純利益は33億56百万円〜33億93百万円になります(筆者の試算)。純利益予想は、特別損失をほとんど置かず、売却益も置かない作り方だと読めます。この点が、次の章の配当の話につながります。

5. 深掘り③:配当は上げたのに、純利益予想は据え置き

ここまでの2章で、今期の予想は「本業は控えめ、純利益は売却益を置かない」作り方だと見てきました。それを踏まえると、10月26日の配当の修正は目を引きます。

修正の中身

会社は10月26日、期末配当予想を60円から80円に引き上げました。修正の理由は次のとおりです(原文)。

当社は、2027 年3月期の 1 株当たりの配当予想につきまして当期純利益の増加が見込まれることから、当社の配当方針に基づき修正いたします。

内訳は普通配当60円+「増配」20円です。一方、同じ日の短信では純利益予想33億円を据え置き、業績予想の修正は「無」です。

配当方針の物差しを当てる

有価証券報告書の配当政策には、将来の設備投資等の資金需要を勘案しつつ、配当と自己株式取得を合わせた総還元性向「おおむね30%」を目安にすると書かれています。この物差しを今期に当てます(筆者の試算)。

項目値
純利益予想33億円×30%を1株に直した配当約63.9円
修正前の配当60円の配当性向(予想EPS 212.91円)28.2%
修正後の配当80円の配当性向37.6%
80円の配当総額(自己株式を除く15,497,222株)約12億40百万円
80円が総還元性向30%に収まる純利益約41億33百万円(予想比+25.2%)

会社が言う「当期純利益の増加」が何を指すのかは、開示に書かれていません。据え置いた33億円に対して増えると言っているのなら、方針どおりに読めば純利益は41億円前後が想定されていることになります。

ここで1章の達成履歴に戻ります。過去2期とも、純利益は期末の1〜2か月前に、第4四半期の投資有価証券の売却益を理由に引き上げられていました。

決算期純利益予想(修正前→修正後)修正の開示日第4四半期の投資有価証券売却益純利益の実績
2025年3月期37億円→43億50百万円2025年3月3日16億30百万円42億13百万円
2026年3月期40億円→45億円2026年2月16日21億33百万円(売却損4億56百万円も計上)44億36百万円
2027年3月期33億円(据え置き)―――

出所:各期の業績予想の修正に関するお知らせ、決算短信。2026年3月期の売却損は通期の損益計算書の値。

前期の売却損益(純額16億77百万円)を除き、前期の税負担率33.4%を当てると、前期の純利益は約33億20百万円です(筆者の試算)。今期予想の33億円とほぼ同じ水準で、純利益予想の「前期比△25.6%」は、売却益がなくなる分だけ減る作り方だと分かります。

この数字から考えられる読み方は2つです。

  • 予想に入れていない利益(売却益など)を会社が見込んでいて、時期が固まった段階で過去2期と同じように純利益予想を修正する
  • 「おおむね30%」はあくまで目安で、今期は目安を超えて配当を出すと決めた

どちらかは開示から判断できません。上半期は投資有価証券を11億84百万円取得しており、売っている形ではありません。なお、純利益が41億円になっても予想比+25%で、業績予想の修正の開示が必要になる30%には届きません。過去2期の純利益の修正は、いずれもこの基準より小さい幅(+17.6%・+12.5%)で開示されています。

30%は「上限」ではなかった

もう1つ並べておくべき事実があります。方針は「おおむね30%」ですが、実際の総還元性向は30%を大きく上回ってきました(筆者の計算)。

決算期配当総額自己株式の取得額純利益配当性向(短信)総還元性向(筆者の計算)
2024年3月期9億42百万円11億86百万円31億29百万円(単体)30.2%(連結)68.0%
2025年3月期9億37百万円5億90百万円42億13百万円22.4%36.2%
2026年3月期15億49百万円7億75百万円44億36百万円35.2%52.4%

総還元性向=(配当総額+その期の自己株式取得額)÷純利益。2024年3月期は連結決算の期で、純利益は単体の値を使った参考値。2026年3月期は記念配当を除くと38.4%。

方針の数字を「上限」と読むと80円の配当は方針を超えますが、過去3期の実績を見ると、30%は下限に近い位置にあります。会社は方針どおりに修正したと書いているので、本記事では「方針の文言」と「実績の推移」を並べるところで止めます。

3つの深掘りを1本の線でつなぐ

3つの章を通して見えたのは、ナガワの予想が「本業は控えめ、営業外と純利益は機械的」に作られているということです。

  • 7〜9月は販管費と工事の事業で減益だったが、主力のユニットハウスは増益(3章)
  • 通期予想は主力を下期に減収減益で置き、売上の伸びを工事の事業に頼り、営業外損益も過去の下期より小さく置いている(4章)
  • 純利益予想は売却益を置かず、それでも配当は「純利益の増加」を理由に上げた(5章)

軸の一文に戻ると、「箱を貸して稼ぐ」部分の予想は控えめで、「1件ずつ建てる」部分と「保有株の売却」という、会社がタイミングを選べる部分に、予想と配当の差が集まっています。

6. 資本政策と株主還元

配当

決算期1株配当内訳配当の決め方(開示の文言)
2022年3月期65円記念配当5円を含む有報の配当政策
2023年3月期60円普通配当同上
2024年3月期60円普通配当同上
2025年3月期60円普通配当同上
2026年3月期100円普通60円+創立60周年記念40円2025年7月28日に記念配当を公表
2027年3月期(予想)80円普通60円+増配20円「当期純利益の増加が見込まれる」として10月26日に修正

出所:有価証券報告書(第62期)、各期の決算短信、配当予想の修正に関するお知らせ。現在の配当政策は総還元性向おおむね30%が目安。

この表のポイントは、普通配当が5期続けて60円で動いていないことです。上乗せは記念配当と今回の「増配」で、今回の20円が来期以降も続くかどうかは開示されていません。

  • 配当は期末1回です。定款上は9月30日を基準日とする中間配当ができますが、直近の期はいずれも中間配当を出していません
  • 前期の配当総額15億49百万円は、〈100円×15,499,522株(自己株式を除く3月末の株数)〉で再現できます
  • 今期の期末配当の基準日は2027年3月31日(水)で、権利付き最終日は3月29日(月)です
  • 普通配当60円だけの利回りは、株価4,775円で1.26%です

株主優待

3月31日時点で100株以上持つ株主に、保有株数と継続保有期間に応じたデジタルギフトを贈ります(2026年3月の開示でQUOカードから変更)。有価証券報告書の「株主に対する特典」欄と会社IRサイトの内容は一致しています。

継続保有期間保有株数優待額1株当たり名目利回り(株価4,775円)
1年未満100株5,000円相当50.0円1.05%
1年未満499株5,000円相当10.0円0.21%
1年未満500株15,000円相当30.0円0.63%
1年以上3年未満100株20,000円相当200.0円4.19%
1年以上3年未満500株30,000円相当60.0円1.26%
3年以上100株30,000円相当300.0円6.28%
3年以上500株60,000円相当120.0円2.51%

名目利回りは筆者の計算。

この表のポイントは2つです。1つ目は、100株で持ち続けたときに1株当たりの優待額が最も大きくなり、3年以上の300円は1株配当80円の3.75倍にあたること。2つ目は、100株を超えて499株までは優待が増えないことです。100株から499株に買い増すと、1株当たりの優待は300円から60円に下がります(3年以上の場合)。

継続保有期間は、3月末と9月末の株主名簿に同じ株主番号で連続して載った回数で判定します(1年以上=連続3回以上、3年以上=連続7回以上)。いま買った場合の最初の名簿は2027年3月末なので、各区分に届く最初の基準日は次のとおりです(開示の定義どおりに筆者が数えたもの)。

名簿に載る回数基準日権利付き最終日届く区分
1回目2027年3月31日(水)2027年3月29日(月)1年未満
2回目2027年9月30日(木)2027年9月28日(火)(優待・配当なし。連続記録のみ)
3回目2028年3月31日(金)―1年以上3年未満
7回目2030年3月31日(日)2030年3月27日(水)3年以上

2030年3月31日は日曜日なので、基準日の前の営業日(3月29日(金))から2営業日さかのぼった3月27日(水)が権利付き最終日になります。

9月末は配当も優待もない日ですが、連続記録を切らないための名簿として意味があります。「1年以上」という言葉どおり1年待てば届くわけではなく、最初の名簿から実質1年かかる設計です。貸株で株主番号が変わると連続記録が途切れる可能性がある点にも注意が要ります。

優待の費用は開示されていません。2026年3月末の株主数12,125人が全員100〜499株の区分だと置くと、5,000円なら約61百万円、30,000円なら約3億64百万円で、今期の営業利益予想の1.3〜8.1%、配当総額(80円)の4.9〜29.3%にあたります(筆者の試算。保有期間と株数の分布が分からないため幅で示しました)。継続保有の区分ほど金額が大きい設計なので、長く持つ株主が増えるほど費用が重くなる形です。

自己株式

ナガワは3年続けて、3月にToSTNeT-3(立会外の買付け)で自己株式を取得しています。

取得日取得株数取得総額1株当たり(筆者の計算)上限(株数/金額)
2024年3月11日159,000株11億86百万円7,460円160,000株/11億94百万円
2025年3月11日85,500株5億90百万円6,900円87,000株/6億円
2026年3月6日129,100株7億75百万円6,000円130,000株/7億80百万円

出所:各回の自己株式の取得結果に関するお知らせ。

3回とも、取得の理由は「株主還元の充実及び資本効率の向上を図り、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するため」と同じ文言です。取得の相手先は開示されていません。3年続けて同じ時期に取得したことは事実ですが、今期も同じ時期に取得するとは書けません。カレンダーの確認点に置いておきます。

9月末の自己株式は859,992株(発行済株式の5.3%)です。新株予約権はなく、潜在株式もありません。会社予想EPS 212.91円は〈33億円÷自己株式を除く9月末の株数〉の212.94円とほぼ一致します。

大株主と大量保有報告書

2026年3月末の大株主表(議決権比率)の上位は、髙橋修氏12.96%、THE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND LIMITED 12.32%、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)9.16%、髙橋学氏6.45%です(有価証券報告書)。同じ姓の個人株主どうしの関係は開示で確認できなかったので、持株比率は合算していません。

シンフォニー・フィナンシャル・パートナーズ(シンガポール)ピーティーイー・リミテッドの変更報告書は次のとおりです。

提出日報告義務発生日株券等保有割合増減
2025年10月17日―15.91%+0.33pt
2026年7月2日2026年6月25日14.87%△1.04pt
2026年10月21日2026年10月14日13.83%△1.04pt

出所:変更報告書(EDINET)、M&A Onlineの大量保有データベース。2026年10月29日時点で、これより新しい報告書は確認できなかった。

直近の報告書の保有株数は2,261,400株で、60日間の処分は10月1日・13日・14日の市場内外での売却、市場外の単価は4,767〜4,833円でした。保有目的の欄には、純投資とあわせて「状況に応じて重要提案行為を行うこともありうる」と書かれています。これは「行った」ではなく「可能性がある」という記載で、提案の中身は報告書に書かれていません。会社側からも、提案を受けたという開示は見当たりません。同じ提出者は同じ週に、ナガワ以外の複数の銘柄でも保有減少の変更報告書を出しています。ナガワに固有の理由があるかどうかは、報告書からは分かりません。

用語メモ:重要提案行為は、役員の選任、配当方針や資本政策の変更、組織再編などを会社に提案することです。大量保有報告書の「株券等保有割合」は自己株式を含む発行済株式数が分母、大株主表の「議決権比率」は自己株式を除いた数が分母です。シンフォニーの直近の株数を自己株式を除いた株数で割ると約14.6%になり、保有割合の13.83%より高く出ます。大株主表の株数と報告書の株数の差は、時点の違いだけでは説明できませんが、差の所在は推測しません。

2026年6月16日の定時株主総会では、取締役選任98.52%、監査役選任97.16%、剰余金処分99.14%の賛成で議案が可決されています(臨時報告書)。誰が反対したかは分かりません。会社は2025年5月に事前警告型買収防衛策の継続を開示しています。

手元資金と投資有価証券

項目金額時価総額(約740億円)比
現金及び預金127億38百万円17.2%
投資有価証券230億44百万円31.1%
合計357億82百万円48.4%
投資有価証券−繰延税金負債196億60百万円26.6%

時価総額は2026年10月28日終値4,775円×自己株式を除く15,497,222株。株主に返す場合に限って意味を持つ計算で、会社が還元を約束しているわけではない。

投資有価証券の評価差額金は80億80百万円あります。5章で見たように、過去2期はこの保有株を第4四半期に売って純利益を押し上げてきました。強気に読めば配当や自己株式取得の原資になりうる資産、弱気に読めば売るまで純資産を膨らませ続けROEを押し下げる資産です。

7. 株価の見方

株価の基準点は2026年10月28日の終値4,775円です(Yahoo!ファイナンス、東京証券取引所の値)。

指標値
時価総額(自己株式を除く)約740億円
予想PER(会社予想EPS 212.91円)22.4倍
PBR(9月末BPS 4,433.28円)1.08倍
配当利回り(80円)1.68%
予想ROE(筆者の試算)約4.6%
年初来高値6,490円(2026年1月5日)
年初来安値4,670円(2026年6月2日)

予想ROEは純利益予想33億円を、3月末の純資産と会社予想の期末純資産730億円の平均で割った値。

決算は10月26日(月)13時00分、後場の取引中に発表されました。この日は始値4,875円、高値5,090円、安値4,850円、終値4,960円(前日比+1.95%)で、出来高は7万3,500株でした(前の週は1日1.6万〜2.6万株)。高値・安値が発表の前後どちらで付いたかは確認できていないので、決算への反応とは書きません。翌27日は4,880円(△1.61%)、28日は4,775円(△2.15%)で、年初来高値からは約26%下にあります。

開示書類から拾える株価の基準点も並べます。

時点価格出所
2024年3月7,460円ToSTNeT-3の取得単価(取得総額÷株数)
2025年3月6,900円同上
2026年3月6,000円同上
2026年10月28日4,775円東京証券取引所の終値

会社が自己株式を取得した価格は、3年続けて下がっています。有価証券報告書によると、2021年3月末から5年間の株主総利回りは66.3%で、有報が比較指標に置くTOPIXは202.2%でした。

予想PERについて1点だけ補足します。純利益予想は売却益を置いていないので、PER22.4倍は「本業の利益に近い純利益」に対する倍率です。過去2期のように売却益が出れば実績のPERは下がりますが、売却益は毎年同じ額が出るものではありません。

強気の材料

  • 主力のユニットハウス事業は7〜9月も増益で、利益率も前年を上回った。通期予想は下期のユニットハウスを減収減益で置いており、前年下期並みに稼げば予想を上回る計算になる(感応度表)
  • 下期の営業外損益と税負担率も、過去より保守的に置かれている
  • 配当を「純利益の増加」を理由に80円へ上げた。過去2期は第4四半期の売却益で純利益予想を引き上げており、同じ形になれば純利益は予想を上回る
  • 無借金で自己資本比率88%。現預金と投資有価証券の合計は時価総額の約半分
  • 純利益予想の△25.6%は前期の売却益の剥落で、売却益を除いた前期の純利益とほぼ同じ水準の置き方
  • 100株を3年以上持つと、優待の名目利回りが6%台になる設計

弱気の材料

  • 7〜9月は販管費+10.4%で営業減益。費用が増えた理由は開示されていない
  • 売上目標380億円は、前期に届かなかった金額と同じ。今期も下期のモジュール・システム建築に売上+53.5%を置いており、前期は同じ事業の案件のずれ込みで下方修正した。7〜9月のモジュールの利益率は6四半期で最低の5.1%
  • 稼働率は77.3%で、2年前の80.4%を下回ったまま。箱を増やし続けると、稼働が戻る前に減価償却費と現金の支出が先に出る(軸の弱み②)
  • 予想PER22.4倍に対し、予想ROEは約4.6%。普通配当は5期続けて60円で、今回の20円の上乗せが続くかは開示されていない
  • 自己株式の取得価格は3年続けて下がり、5年の株主総利回りは比較指標を大きく下回った
  • 大株主のシンフォニーが保有を減らし続けており、売却が続けば需給の重しになりうる

8. 今後のカレンダーと見るべきKPI

時期イベント見るポイント
2026年11月6日(金)半期報告書の提出予定日大株主の状況(9月末)、優待の記載
2027年1月下旬第3四半期決算(前年は1月26日)10〜12月の販管費、モジュールの売上と利益率
2027年2〜3月過去2期は純利益予想の修正、3年続けてToSTNeT-3業績予想の修正・自己株式取得の有無(同じ時期に出るとは限らない)
2027年3月29日(月)期末配当・優待の権利付き最終日基準日は3月31日(水)
2027年5月中旬通期決算配当80円の確定、投資有価証券の売却損益、来期予想と中計2年目
2027年6月定時株主総会・有価証券報告書議案の賛成割合、大株主表
随時大量保有報告書の変更報告書、業績予想の修正シンフォニーの保有割合と保有目的の文言

見るべきKPIは次のとおりです。

  • ユニットハウスの稼働率(上期末77.3%)と保有棟数(111,974棟)
  • モジュール・システム建築事業の下期売上(予想は44億42百万円)と利益率(7〜9月は5.1%)
  • 四半期の販管費(7〜9月は26億02百万円)
  • 第4四半期の特別利益(投資有価証券売却益)と、その前に出る純利益予想の修正の有無
  • 会社は熊本の地震や台風・豪雨の復旧対応について「率先的に支援・対応」したと書いていますが、業績への影響額は示していません。本記事でも影響額は推測していません

9. 3行まとめ

  • 上半期は売上+6.3%・営業利益+10.5%で上期予想も超えたが、7〜9月だけなら販管費+10.4%で営業利益△4.1%。主力のユニットハウスは増益で、減ったのはモジュール・システム建築(利益率5.1%)
  • 据え置いた通期予想は、下期に売上+8.3%・営業利益△2.8%(利益率12.1%で過去2年の下期より低い)を置き、主力を減収減益で控えめに、売上の伸びはモジュール・システム建築の+53.5%に頼っている
  • 配当は「純利益の増加が見込まれる」として80円に上げたが、純利益予想33億円は据え置き。方針の30%なら約41億円が必要で、過去2期は第4四半期の売却益で純利益予想を引き上げてきた。今期はまだその開示はない

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘・助言を目的としたものではありません。数値の出典は、ナガワの決算短信(2027年3月期中間・第1四半期、2026年3月期第3四半期・通期、2025年3月期第1四半期)、決算説明資料(2027年3月期第2四半期)、配当予想の修正に関するお知らせ(2026年10月26日)、業績予想の修正に関するお知らせ(2025年3月3日・2026年2月16日)、非連結決算への移行及び2025年3月期個別業績予想に関するお知らせ(2025年1月27日)、自己株式の取得結果に関するお知らせ(2024年・2025年・2026年)、中期経営計画策定に関するお知らせ、有価証券報告書(第62期)、臨時報告書(2026年6月の定時株主総会の議決権行使結果)、シンフォニー・フィナンシャル・パートナーズ(シンガポール)の変更報告書(2026年10月21日提出まで)、会社IRサイトです。株価はYahoo!ファイナンスで確認した東京証券取引所の値です。四半期の単独の数値、3分解、下期の置き方、感応度表、配当方針からの逆算、総還元性向、税負担率による試算、優待の利回りと費用の幅は筆者の計算です。2025年3月期の上期と2024年3月期の数字は連結決算の期を含む参考値です。事業別の通期計画、中期経営計画の数値、ユニットハウスの販売・レンタル内訳、稼働率、保有棟数、粗利率は決算説明資料から筆者が読み取った値で、説明資料の要因別売上増減と設備投資額・減価償却費のグラフは、数値と項目の対応を確定できなかったため使っていません。2026年2月16日の業績予想の修正に関するお知らせは文字情報を読み取れなかったため、画像として描画し目視で読み取りました。7〜9月の販管費の増加理由は会社が説明しておらず、本記事でもプロモーション等と結びつけていません。配当修正の理由にある「当期純利益の増加」が何を見込んだものかは開示されておらず、本記事の2つの読み方は筆者の整理で、会社の開示に基づくものではありません。決算説明会の質疑応答は反映していません。発表日の高値・安値が発表の前後どちらで付いたかは確認していません。大量保有報告書は2026年10月21日提出分までを確認しており、公開までに新たな変更報告書が出ている可能性があります。重要提案行為の具体的な内容は報告書に書かれておらず、筆者も把握していません。株主優待の費用は会社が開示しておらず、幅で示した試算です。熊本の地震などの災害対応による業績への影響額は会社が開示しておらず、推測していません。

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