株式投資

日本ラッド(4736) 職人を抱えて注文住宅を請け負ってきた工務店が、自前の「建売」も建て始めた会社 なぜ上期は8,700万円の営業赤字なのに、通期の黒字予想を据え置けるのか?【2026年11月発表・上半期決算】

本記事は2026年11月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • 上期(2026年4〜9月)の営業赤字8,700万円は、2つの事業のどちらから出ているのか
  • 通期予想を据え置いたことで、下期(10月〜2027年3月)にどれだけの利益が置かれたことになるのか
  • その下期の数字は、過去3年の下期と比べてどの位置にあるのか
  • 営業赤字なのに経常利益の赤字が小さい理由(6月に入る配当金の正体)
  • 中期経営計画の最終年度で、会社自身が「1億円程度の減益」を見込んでいる中身
  • 配当予想10円と、2通りある「配当性向」の読み方

この決算をひとことで言うと

この上半期の日本ラッドは、本業で約9千万円の赤字でした。大きな注文の引き渡しが年明け以降にずれ込み、そのあいだも技術者の給料と、自前の映像サービスづくりにかかるお金は毎月出ていったためです。中身を分けると、昔からのシステムづくりの仕事はむしろ前の年より多く稼いでおり、赤字の大半は機械と映像を扱う側から出ています。会社は1年間の見通しを変えておらず、残りの半年で本業の儲けを約2億6千万円積み上げる前提のままです。ただし、その額は過去3年のどの下半期の稼ぎ(いちばん多い年で約2億円)よりも大きく、売上も前の年の下半期より2割近く多く見込んでいます。次に見るべきは、2027年2月に出る10〜12月の数字で、引き渡しが本当に積み上がり始めたかどうかです。

1. 前提知識:日本ラッドはどんな会社か

1-1. 「職人を抱えた工務店」として見る

日本ラッドは1971年創業のシステム開発会社です。会社は自らを「IT分野における顧客企業のホームドクター」と説明していますが、この記事では、もう少し手で触れられる仕事の風景に置き換えて読みます。

職人を抱えて注文住宅を請け負ってきた工務店が、自前の「建売」も建て始めた会社、です。

  • 注文住宅の部分:お客さんの注文を受けて、一品もののシステムを作る仕事です。技術者(職人)を客先に常駐させる仕事と、完成品を請け負う仕事の両方があります。有価証券報告書によると、2026年3月期の売上41億31百万円のうち28億78百万円が「受託開発、準委任等のソフトウェア開発」でした
  • 建売の部分:注文を待たずに自分で設計した製品を作って売る仕事です。会社は中期経営計画で「人からプロダクトアセットベースへの収益構造の転換」を掲げ、映像のIPビデオサービス、工場のデータを集める「Dereva」、生産管理の「Konekti MX」などを自社で開発しています

工務店のたとえで押さえておきたいのは、強みと弱みが同じところにあることです。

  • 強み:長く付き合ってきた施主(顧客)がいて、注文が途切れにくいこと。2026年3月期は、最大顧客の第一環境株式会社だけで売上の14.9%(6億14百万円)を占めます
  • 弱み①:職人の給料は毎月出るのに、代金が入る時期は引き渡しに寄ること。会社自身が有価証券報告書の配当政策の欄で、顧客が民間企業と官公庁であるため売上の計上時期が決算期末に集中する傾向がある、と書いています
  • 弱み②:建売は、売れる前に建築費が出ていくこと。自社製品の開発費や、そのための人員は、製品が売れる前から費用になります

この記事の数字は、ほぼすべてこの2つの弱みのどちらかで説明できます。弱み①は「前年同期と比べてなぜ悪いのか」、弱み②は「会社の中期計画と比べてなぜ低いのか」に対応します。

1-2. 2つの事業と、利益が消える場所

区分主な中身2026年3月期 売上2026年3月期 セグメント利益利益率
エンタープライズソリューション事業受託開発・技術者の常駐・導入支援(注文住宅の本体)24億41百万円3億75百万円15.4%
IoTインテグレーション事業工場向けDX製品、映像機器・映像サービス、組込み開発(機械の据え付け+建売)17億44百万円2億45百万円14.0%
調整額(全社費用)管理部門の費用など△54百万円(内部取引の消去)△4億51百万円―
連結41億31百万円営業利益1億69百万円4.1%

出典:2026年3月期決算短信、2027年3月期第2四半期(中間期)決算説明資料。セグメント売上は内部売上を含む。

この表のポイントは2つです。

  1. 両事業とも10%台の利益率で稼いでいるのに、連結では4.1%まで縮むこと。差は全社費用の4億51百万円です。事業が稼ぐ額がこの固定的な費用を超えるまでは、会社全体の利益はほとんど残りません
  2. IoT側は「機器を仕入れて売る」比重が大きいこと。有価証券報告書の収益分解では、IoT事業の売上17億44百万円のうち8億26百万円が「パッケージソフトウェア、機器販売」で、8億27百万円が「一時点」で計上される売上でした。引き渡し(検収)の時期で売上が大きく動くのはこちら側です

用語メモ:セグメント利益は、事業ごとの利益です。日本ラッドでは、どの事業にも割り振らない管理部門の費用(全社費用)を「調整額」として差し引いた後に、会社全体の営業利益になります。

1-3. 業績の推移

2026年3月期は連結決算の初年度で、それ以前は単体(日本ラッド1社)の決算です。

決算期区分売上高営業利益経常利益純利益EPSROE1株配当配当性向
2024年3月期単体39億84百万円2億66百万円3億21百万円3億27百万円63.01円11.8%10円15.9%
2025年3月期単体43億56百万円3億18百万円3億90百万円4億17百万円79.08円13.2%10円12.7%
2026年3月期連結41億31百万円1億69百万円2億44百万円1億64百万円31.21円4.7%10円32.0%
(参考)2026年3月期単体40億32百万円1億78百万円2億47百万円1億81百万円34.44円5.25%10円29.0%
2027年3月期(会社予想)連結43億40百万円1億75百万円2億53百万円1億65百万円31.22円―10円32.0%

出典:各期の決算短信、2026年3月期有価証券報告書(提出会社の経営指標等)、決算説明資料。2026年3月期単体の営業利益は決算説明資料の値。

この表のポイントは2つです。

  1. 2025年3月期がピークで、2026年3月期に営業利益はほぼ半分になったこと。今期の予想は、その落ちた水準(1億7千万円台)を横ばいで置いています
  2. 表のどの期も、経常利益が営業利益を5千万〜8千万円上回ること。今期と前期については、この差の大半が6月に受け取る配当金です(4章で詳しく見ます)

注記:2025年3月期の純利益が経常利益を上回っているのは、税金費用が小さかったためです(会社は2025年2月の業績予想修正で、税効果会計の影響を理由に挙げています)。この記事では深追いしません。

1-4. 会社予想の達成履歴

上期の時点で予想をどう置き、最後にどこへ着地したかを並べます。

決算期期初予想(売上/営業利益)上期実績(売上/営業利益)上期時点の扱いその後の修正実績(売上/営業利益)予想が置いていた下期の営業利益実際の下期の営業利益
2025年3月期(単体)38億63百万円/1億50百万円19億41百万円/1億14百万円据え置き2025年2月3日に上方修正(42億50百万円/2億10百万円)43億56百万円/3億18百万円36百万円2億04百万円
2026年3月期40億50百万円/1億63百万円(単体)19億93百万円/50百万円2025年11月10日、子会社の連結開始に伴い連結予想(41億38百万円/1億45百万円)を公表。単体予想は修正なしなし41億31百万円/1億69百万円(連結)95百万円(連結予想ベース)1億19百万円
2027年3月期(連結)43億40百万円/1億75百万円18億00百万円/△87百万円据え置き――2億62百万円―

「予想が置いていた下期」は、上期決算時点の通期予想から上期実績を引いた筆者の差し引きです。

この表のポイントは2つです。

  1. 過去2期、会社は下期を控えめに置き、実際の下期はそれを上回ったこと。2025年3月期は36百万円の置き方に対して2億04百万円、2026年3月期は95百万円に対して1億19百万円でした
  2. 今期は逆で、下期に2億62百万円という、過去3年のどの下期の実績よりも大きい額を置いていること。過去2期の「控えめに置いて上回る」という経験則は、今期の置き方にはそのまま当てはまりません

読み方メモ:2026年3月期の「上期実績」の営業利益50百万円は単体の数字です。子会社(株式会社One's House)の損益を取り込み始めたのは第3四半期からで、上期は貸借対照表だけを連結していました。

1-5. 株主の顔ぶれ

2026年3月31日時点の大株主の上位は、台湾の産業用コンピュータ大手Advantech Co., Ltd.(16.09%)、代表取締役の大塚隆之氏(14.29%)です。会社は「支配株主等に関する事項について」(2026年6月30日)で、Advantechを「その他の関係会社」とし、議決権の所有割合を直接16.10%、合算対象2.92%、合計19.02%と開示しています。同社の取締役1名が日本ラッドの取締役(非常勤)を兼ね、IoT事業で同社グループから商品を仕入れる取引がある、とも書かれています。

工務店のたとえで言えば、主要な資材の仕入先が2割近い株主でもある、という関係です。会社は同じ開示で、同社との関係で事業上の制約は受けていないと説明しています。

2. 決算ハイライト(2026年11月2日 15時30分発表)

2-1. 損益

項目2026年3月期上期2027年3月期上期増減
売上高19億93百万円18億00百万円△9.7%
売上総利益4億23百万円3億19百万円△1億03百万円
売上総利益率21.2%17.7%△3.5pt
販売費及び一般管理費3億73百万円4億06百万円+33百万円(+9.0%)
営業利益50百万円△87百万円―
営業外収益(うち受取配当金)64百万円(58百万円)76百万円(67百万円)+11百万円
経常利益1億13百万円△12百万円―
法人税等44百万円4百万円―
親会社株主に帰属する中間純利益69百万円△17百万円―
1株当たり中間純利益13.20円△3.31円―

出典:2027年3月期第2四半期(中間期)決算短信。百万円未満切り捨て。

この表のポイントは2つです。

  1. 売上の落ち方(△9.7%)より、利益の落ち方がはるかに大きいこと。売上総利益率が3.5ポイント下がり、販管費は9.0%増えました。売上が減ったうえに、1円の売上から残る分も減り、固定的な費用は増えた、という三重の重なりです
  2. 営業赤字87百万円に対して、経常赤字は12百万円にとどまること。受取配当金67百万円がほぼ穴を埋めています

読み方メモ:この短信の「前年同期」は、子会社の損益を含まない数字です。前年の上期は子会社の貸借対照表だけを連結しており、損益の連結は第3四半期からでした。今期の上期には子会社の6か月分の損益が入っているので、前年同期比の売上△9.7%は、子会社を除いて比べればもう少し大きな減少になります(4-3で目安を示します)。

2-2. 四半期ごとの推移

上期の中で、悪化が第1四半期だけだったのか、第2四半期も続いたのかを分けます。

四半期売上高営業利益経常利益純利益
2026年3月期 第1四半期(4〜6月)9億51百万円23百万円83百万円47百万円
2026年3月期 第2四半期(7〜9月)10億42百万円27百万円31百万円23百万円
2026年3月期 第3四半期(10〜12月)10億24百万円56百万円62百万円27百万円
2026年3月期 第4四半期(1〜3月)11億14百万円63百万円69百万円69百万円
2027年3月期 第1四半期(4〜6月)8億86百万円△51百万円18百万円7百万円
2027年3月期 第2四半期(7〜9月)9億14百万円△36百万円△30百万円△24百万円

出典:決算説明資料の四半期表。各四半期の決算短信の累計値(第1四半期・中間・第3四半期累計・通期)と、百万円未満の端数の範囲で一致することを筆者が確認しました。

計算メモ:2026年3月期の4四半期の合計は、売上41億31百万円・営業利益1億69百万円で通期の開示値と一致します。経常利益と純利益は、四半期ごとの切り捨ての影響で合計が開示値(2億44百万円・1億64百万円)より1〜2百万円大きくなります。

この表のポイントは2つです。

  1. 第2四半期の営業赤字(△36百万円)は第1四半期(△51百万円)より縮んだが、前年の第2四半期(+27百万円)と比べると63百万円悪いこと。会社は説明資料で「赤字幅は縮小」と書いていますが、これは前の四半期と比べた見方です。前年の同じ時期と比べた答えは別に出ます
  2. 経常利益は第1四半期だけ黒字であること。6月末に受け取る配当金が第1四半期に集中して入るためで、第2四半期は営業赤字がそのまま経常赤字になっています

2-3. 財政状態とキャッシュ・フロー

項目2026年3月末2026年9月末増減
現金及び預金19億62百万円19億51百万円△10百万円
受取手形、売掛金及び契約資産10億22百万円6億38百万円△3億84百万円
仕掛品6百万円52百万円+45百万円
原材料及び貯蔵品46百万円75百万円+28百万円
投資有価証券5億95百万円6億32百万円+36百万円
長期預金2億00百万円2億00百万円―
のれん1億19百万円1億10百万円△9百万円
賞与引当金2億64百万円1億33百万円△1億31百万円
社債(1年内償還分を含む)21百万円18百万円△3百万円
純資産35億28百万円34億84百万円△44百万円
自己資本比率71.3%74.3%+3.0pt

出典:中間決算短信。百万円未満切り捨て。

キャッシュ・フロー2026年3月期上期2027年3月期上期
営業活動+2億00百万円+98百万円
投資活動△2億77百万円△53百万円
財務活動△53百万円△56百万円
期末の現金及び現金同等物20億54百万円19億51百万円

この2つの表のポイントは2つです。

  1. 赤字でも現金はほとんど減っていないこと。前期末に溜まっていた売掛金(期末に集中した売上の代金)3億84百万円の回収が、夏の賞与の支払い(賞与引当金の減少1億31百万円)と赤字を賄いました。工務店で言えば、3月に引き渡した家の代金が春以降に入ってきて、その間の職人の給料とボーナスに回った形です
  2. 仕掛品が6百万円から52百万円に、原材料が46百万円から75百万円に増えたこと。下期に引き渡す予定の仕事と機器が、すでに作業途中・仕入れ済みの状態で積み上がっています。会社が言う「下期に検収が集中」と整合する動きです

読み方メモ:仕掛品は「作業は進んだが、まだ売上にしていない仕事」にかかった費用の置き場所です。作業にかかった人件費などが一時的にここに留まるので、仕掛品が増えた期は、その分の費用がまだ損益に出ていません。上期の赤字は、この約45百万円を費用として出していない状態での赤字です。

注記:自己資本比率の上昇(71.3%→74.3%)は、純資産が増えたからではなく、売掛金の回収と賞与の支払いで総資産(分母)が2億62百万円縮んだためです。純資産そのものは44百万円減っています。

2-4. 会社の説明の範囲

短信の表紙では「決算補足説明資料作成の有無:有」「決算説明会開催の有無:無」です。決算説明資料(19ページ)は同日に公表されていますが、質疑応答の記録はありません。2026年11月21日(土)に代表取締役社長が個人投資家向けのオンラインIRセミナーに登壇する予定が開示されています。

3. 深掘り:下期に営業利益2億62百万円は、どれくらい高いハードルか

この決算でいちばん分かりにくく、いちばん大事なのは、「上期に87百万円の営業赤字を出した会社が、通期1億75百万円の黒字予想をそのまま置いている」ことの意味です。通期予想を据え置いた以上、下期にその差を全部取り返す計算になります。この章では、①上期の赤字がどこから出たのか、②下期の置き方は過去と比べてどこにあるのか、③会社の中期計画はそれをどう扱っているのか、の3段階で見ていきます。

3-1. 赤字の中身:注文住宅の側は増益で、赤字は機械と映像の側から出た

まず、営業利益の前年差△1億37百万円を2通りに分けます。

分け方A:売上・利益率・費用に分ける

要因金額意味
売上が減った分(数量効果)△41百万円前年の利益率のまま、売上が1億92百万円減ったとした場合の減益
1円の売上から残る分が減った分(率効果)△63百万円売上総利益率が21.2%から17.7%に下がった分
販管費が増えた分△34百万円販管費が3億73百万円から4億06百万円へ
合計△1億37百万円実際の営業利益の差(50百万円→△87百万円)と一致

計算メモ:数量効果=売上の差×前年の売上総利益率、率効果=今期の売上×利益率の差、で出しています。千円単位では△40,840千円・△62,625千円・△33,589千円で、合計△137,054千円は短信の営業利益の差(△137,053千円)と1千円の差で一致します。この章の表は百万円未満を四捨五入しているため、表示値の合計は△1億38百万円になり、2-1の表(切り捨て)では販管費の増加が33百万円と表示されています。

分け方B:事業ごとに分ける

区分2026年3月期上期2027年3月期上期差
エンタープライズソリューション事業 セグメント利益1億42百万円(利益率12.1%)1億70百万円(利益率14.9%)+28百万円
IoTインテグレーション事業 セグメント利益1億37百万円(利益率16.5%)△14百万円△1億52百万円
調整額(全社費用)△2億29百万円△2億42百万円△13百万円
営業利益50百万円△87百万円△1億37百万円

出典:中間決算短信のセグメント情報(千円単位)から筆者が差を計算し、百万円未満を四捨五入。

2つの分け方の合計は、どちらも実際の減益額△1億37百万円と一致します。分け方Bが示すのは、赤字の原因はIoT事業の1億52百万円の悪化で、エンタープライズ事業はむしろ28百万円増益だった、ということです。

ここで、会社の説明文の順番と、数字の大きさがずれていることに注意が要ります。短信の経営成績の説明は、エンタープライズ事業について、AI駆動開発への移行期に上流工程や手順の標準化で追加の工数がかかり、一部案件で一時的に収益性が下がった、という趣旨の説明から始まります。しかし、この事業のセグメント利益は前年より増え、利益率も2.7ポイント上がっています。「一部案件の収益性低下」は事実としてあっても、事業全体の利益を押し下げるほどではなかった、というのが数字の答えです。

一方、IoT事業について会社は、映像分野の自社製IPビデオサービスの開発投資と体制強化に伴う人件費などの固定費が先に出たこと、大型の公共向け案件の完工が下期になったことを挙げています。工務店のたとえに戻すと、弱み①(引き渡しが下期に寄る)と弱み②(建売の建築費が先に出る)が、同じIoT事業の中で同時に起きた、ということになります。

IoT事業の四半期売上セグメント利益利益率
2026年3月期 第1四半期3億59百万円59百万円16.4%
2026年3月期 第2四半期4億73百万円77百万円16.3%
2026年3月期 第3四半期4億32百万円55百万円12.7%
2026年3月期 第4四半期4億80百万円54百万円11.3%
2027年3月期 第1四半期3億28百万円△19百万円―
2027年3月期 第2四半期3億50百万円5百万円1.4%

出典:決算説明資料の四半期表。

この表のポイントは、IoT事業の利益率が2026年3月期の第3四半期から下がり始めていたことです。前期の上期は16%台でしたが、その後は12.7%→11.3%→赤字→1.4%と、4四半期続けて前期上期の水準を下回っています。上期の赤字は今期になって突然起きたのではなく、前期の下期から続く流れの延長にあります。映像分野の体制強化(会社の説明資料では「組織体制を倍増」)がいつから始まったかは開示されていないので、利益率の低下と体制強化の時期の対応は、この記事では結びつけません。

3-2. 下期の置き方:過去3年のどの下期よりも大きい

次に、通期予想から上期実績を引いて、下期に置かれた数字を出します。

科目通期予想上期実績下期に置かれた数字(筆者の差し引き)前年下期の実績前年下期比
売上高43億40百万円18億00百万円25億39百万円21億38百万円+18.8%
営業利益1億75百万円△87百万円2億62百万円1億19百万円約2.2倍
経常利益2億53百万円△12百万円2億65百万円約1億30百万円約2.0倍
純利益1億65百万円△17百万円1億82百万円95百万円約1.9倍

計算メモ:下期に置かれた数字=通期予想−上期実績(千円単位の上期実績から計算)。前年下期=2026年3月期の通期実績−上期実績。

この数字を、過去3年の下期の実績と並べます。

決算期の下期売上営業利益営業利益率下期売上÷上期売上
2024年3月期(単体)21億54百万円1億44百万円6.7%1.18倍
2025年3月期(単体)24億15百万円2億04百万円8.4%1.24倍
2026年3月期(連結)21億38百万円1億19百万円5.6%1.07倍
2027年3月期(予想が置いた下期)25億39百万円2億62百万円10.3%1.41倍

出典:各期の中間決算短信と通期決算短信から筆者が差し引き。

この表のポイントは3つです。

  1. 3年続けて、下期の売上と営業利益は上期を上回っていたこと。会社の言う「売上計上が決算期末に集中する傾向」は、少なくとも直近3年の数字で確認できます。下期に上期より多く稼ぐ前提そのものは、この会社としては無理のない形です
  2. ただし、今期が置いた下期は、売上・利益・利益率のいずれも過去3年の範囲を超えていること。売上25億39百万円は3年のうち最大だった2025年3月期の下期(24億15百万円)より大きく、営業利益率10.3%は過去3年の下期(5.6〜8.4%)を上回ります
  3. 下期÷上期の倍率1.41倍も、過去3年(1.07〜1.24倍)より大きいこと。上期が低いぶん倍率が大きく見える面はありますが、売上の金額そのものも過去3年で最大です

読み方メモ:2026年3月期の下期と2027年3月期の下期は、どちらも子会社の8月〜1月の6か月分を含んでいます(子会社の決算日が1月31日で、2か月ずらして連結しているため)。この2つは子会社の分を含んだもの同士の比較になっています。2024年・2025年3月期は単体の数字です。

会社はこの下期について、説明資料で次のように書いています。

会社の説明(決算説明資料):構造転換の過程で大口案件を中心にボトムヘビー型の売上構造が復活し、DX系案件の検収が下期に集中、パイプラインは順調に拡大。製造業向けDX系案件の多くが下期(第3・第4四半期)に検収時期を迎える予定で、先行投資中の映像ソリューションで大型公共案件が下期に完工する(要旨)

工務店で言えば、「上期は職人が現場で働いていたが、引き渡しの日が下期に集まっている」という説明です。2-3で見た仕掛品・原材料の積み上がり(合計で約74百万円の増加)は、この説明と矛盾しません。ただし、それが下期に何億円の売上になるのかを示す数字(受注残高など)は、短信にも説明資料にも開示されていません。

注記:短信は、エンタープライズ事業の「特定顧客向け大規模プロジェクト」で売上の計上時期が下期に偏ると説明しています。有価証券報告書の主要顧客は第一環境株式会社(2026年3月期の売上6億14百万円)ですが、会社はこの2つを結びつけていません。この記事でも結びつけません。

3-3. 届くための条件:感応度表で見る

下期の売上と利益率がどの組み合わせなら会社予想(通期営業利益1億75百万円)に届くのかを、過去の実績に結びつけた段階で並べます。

下期の売上\下期の営業利益率5.6%(前期下期並み)6.7%(2024年3月期下期並み)8.4%(2025年3月期下期並み)10.32%(予想が置いた水準)
21億38百万円(前期下期並み)33百万円56百万円93百万円1億34百万円
23億00百万円42百万円67百万円1億06百万円1億50百万円
24億15百万円(2025年3月期下期並み)48百万円75百万円1億16百万円1億62百万円
25億39百万円(予想が置いた水準)55百万円83百万円1億26百万円1億75百万円

表の数字は「通期の営業利益」=下期の売上×下期の営業利益率−上期の営業赤字87百万円(百万円未満四捨五入)。右端の列は予想が置いた下期の利益率(2億62百万円÷25億39百万円=10.32%)で計算しています。筆者の試算で、将来の見通しではありません。上期の実績は固定しています。

この表のポイントは2つです。

  1. 会社予想に届くのは、右下の1マス(売上も利益率も過去3年の最高を超える組み合わせ)だけです。過去3年の下期で最も良かった2025年3月期の下期を、売上でも利益率でもそのまま再現した場合(表の3行目・3列目)でも、通期の営業利益は1億16百万円にとどまります
  2. 前期の下期と同じ売上・同じ利益率なら、通期の営業利益は33百万円です。今期の予想は、前期の下期の延長ではなく、下期に大型の検収が集中して売上と利益率が同時に跳ねる前提の上に置かれています

この会社の利益率は売上に敏感です。1-2で見たとおり、全社費用だけで年間4億51百万円の固定的な費用があり、技術者の給料も売上の多寡にかかわらず出ていきます。売上が増えた分の多くがそのまま利益になる構造なので、下期の売上が大きく伸びれば、利益率も同時に上がる、という関係はあり得ます。強気に読めばそういうことになり、弱気に読めば、売上が少し届かないだけで利益は大きく削れる、ということです。同じ構造が、両方向に効きます。

3-4. 中期経営計画との距離:会社はすでに「1億円程度の減益」を織り込んでいる

今期は、2024年5月に公表した中期経営計画(2025年3月期〜2027年3月期)の最終年度です。

決算期中計の目標(単体) 売上/営業利益実績・予想 売上/営業利益
2025年3月期38億63百万円/1億50百万円43億56百万円/3億18百万円(単体実績)
2026年3月期39億50百万円/2億00百万円40億32百万円/1億78百万円(単体実績)
2027年3月期42億10百万円/2億95百万円43億40百万円/1億75百万円(連結予想)
3年合計120億23百万円/6億45百万円127億28百万円/6億71百万円

出典:有価証券報告書「目標とする経営指標」、決算説明資料。中計の目標は単体ベース、2027年3月期の予想は連結ベースで、基準が混在しています。

会社は今回の説明資料で、中期計画の3年目にあたる当期は、構造改革費用と人的投資として、映像ソリューション事業の積極展開とAI駆動開発の立ち上げ等で、1億円程度の中計比減益を現状想定している、と書いています。あわせて、3期合計の売上・利益は計画に沿っている、とも書いています。

この表のポイントは2つです。

  1. 「3期合計で計画に沿っている」の大部分は、初年度の上振れが支えていること。営業利益の3年合計6億71百万円は計画6億45百万円を上回りますが、内訳は2025年3月期に計画を1億68百万円上回り、2026年3月期は22百万円、2027年3月期の予想は1億20百万円下回る、という形です
  2. **最終年度の営業利益予想1億75百万円は、中計目標2億95百万円の59.3%**で、差の1億20百万円が会社の言う「1億円程度の中計比減益」にあたります。つまり、会社は今期の予想を作った時点で、建売(自社製品・映像・AI駆動開発)への先行費用で中計目標に届かないことを受け入れています

ここで、3-3の感応度表とつながります。会社が受け入れたのは「中計目標から1億円下」までで、今期の予想1億75百万円そのものは据え置いています。上期の赤字を見たうえでも、下期に2億62百万円を置き直さなかった、ということです。

3-5. 3つの段階をつなげると

ここまでの3段階を、1本の線でつなぐとこうなります。

  • 上期の赤字は、注文住宅の側(エンタープライズ事業)ではなく、機械と映像の側(IoT事業)から出た。原因は、引き渡しが下期に寄ったこと(弱み①)と、建売の建築費が先に出たこと(弱み②)の重なり
  • 通期予想を据え置いたことで、下期には過去3年のどの下期よりも大きい売上と利益率が置かれた。過去2期の「控えめに置いて上回る」形とは逆向きの置き方
  • 会社は中計目標からの1億円の不足は受け入れたが、今期の予想そのものは動かしていない。下期の大型検収が予定どおり集中するかどうかに、通期の数字がほぼすべてかかっている

4. 見え方が誤解を生む数字

4-1. 経常利益の「上乗せ」は、ほぼ1社からの配当金

上期の営業赤字87百万円に対して経常赤字が12百万円で済んだのは、受取配当金67百万円が入ったからです。この配当金について、会社は第1四半期決算と同日(2026年8月3日)に「営業外収益の発生に関するお知らせ」を出しています。

会社の説明(2026年8月3日の開示):第1四半期に受取配当金65,090千円を営業外収益に計上した。これは、保有する投資有価証券の一部に関し、2026年6月30日に受け取った剰余金の配当金額が想定を上回り63,350千円となったことによる(要旨)

有価証券報告書の「株式の保有状況」では、政策保有株式は非上場株式1銘柄(貸借対照表計上額2億86百万円)だけで、純投資目的の上場株式11銘柄から受け取った配当は年間2百万円台です。銘柄名は開示されていないので、この記事でも特定しません。

計算メモ:63,350千円÷286,000千円=約22%。前期末の帳簿価額に対して約2割の配当を1年で受け取った計算です(帳簿価額は取得時の価格で、時価ではありません)。

この配当は今期だけのものではなさそうです。上期の「経常利益−営業利益」は、2024年3月期の上期53百万円、2025年3月期の上期66百万円、2026年3月期の上期63百万円、2027年3月期の上期74百万円と、4年続けて同じ規模でした(2026年3月期・2027年3月期の上期は、その大半が受取配当金です。それ以前の内訳はこの記事では確認していません)。強気に読めば「4年続けて同じ規模で入ってきた上乗せ」で、弱気に読めば「1社の配当方針次第で、通期予想の経常利益の4分の1ほどが動く」ということになります。今期は会社自身が「想定を上回った」と書いているので、通期予想の経常利益2億53百万円に、この上振れ分がどこまで入っているかは開示から分かりません。

4-2. 赤字なのに税金がかかっている

上期の税引前中間純損失は12百万円でしたが、法人税等は4百万円の計上で、最終赤字は17百万円に広がりました。短信の注記によると、中間期の税金費用は、年間の見積実効税率を税引前中間純利益に掛けて計算しています。通期の予想純利益1億65百万円を予想経常利益2億53百万円で割ると、通期で置かれた税などの負担は約35%(1−165÷253)です。前期の連結は約33%でした。赤字の上期に税金がプラスで計上された具体的な理由は、短信に書かれていません。

4-3. 前年同期比の「△9.7%」は、子会社の分を含んだ比較

2-1の読み方メモのとおり、今期の上期には子会社One's Houseの2026年2月〜7月の損益が入り、前年の上期には入っていません。会社は有価証券報告書で、子会社の買収が期首に完了していた場合の影響額は重要性が乏しいとして記載を省略しています。

注記:目安として、2026年3月期の連結売上(41億31百万円)と単体売上(40億32百万円)の差は約98百万円で、これは子会社の6か月分(2025年8月〜2026年1月)を取り込んだ結果です。グループ内の取引の消去もこの差に含まれるため、子会社の売上そのものではありません。仮に今期の上期にも同じ程度の額が含まれているとすれば、子会社を除いた売上の減少率は△9.7%より大きくなります。これは筆者の推測で、会社の開示に基づくものではありません。

4-4. 「配当性向32%」と「29%」

2026年3月期の配当性向は、決算説明資料では32.0%、有価証券報告書の配当政策の欄では29.0%と書かれています。前者は連結のEPS(31.21円)、後者は単体のEPS(34.44円)で10円を割った値で、どちらも正しい数字です。単体の利益のほうが大きいのは、子会社の損益とのれんの償却が連結の利益を押し下げたためです。

5. 事業別・イベント

5-1. エンタープライズソリューション事業(注文住宅の本体)

四半期売上セグメント利益利益率
2026年3月期 第1四半期5億95百万円88百万円14.7%
2026年3月期 第2四半期5億78百万円54百万円9.3%
2026年3月期 第3四半期6億15百万円1億11百万円18.0%
2026年3月期 第4四半期6億54百万円1億23百万円18.8%
2027年3月期 第1四半期5億69百万円92百万円16.2%
2027年3月期 第2四半期5億77百万円78百万円13.5%

出典:決算説明資料の四半期表(内部売上を含む)。

上期合計では売上11億46百万円(前年比△2.3%)、セグメント利益1億70百万円(同+19.7%)でした。説明資料は、従来型(準委任)から「受託請負型・AI駆動開発」への急な構造転換の途上で、大口顧客向けプロジェクトの契約形態と開発手法の変更により一時的にボトムヘビー(売上が後半に寄る形)になっている、と説明しています。

この表で見ておきたいのは、第2四半期の利益率13.5%が第1四半期の16.2%から下がっていることです。前年の第2四半期(9.3%)よりは高いので前年比では改善ですが、前の四半期と比べると下がっています。会社の言う「一部案件の一時的な収益性低下」は、この第2四半期の動きと時期が合います。

なお、今期の上期のこの事業には、子会社のOne's House(名古屋のソフトウェアハウス、2025年7月に3億円で全株式を取得)の損益と、のれんの償却(有価証券報告書では7年の均等償却で、2026年3月期は6か月分で9百万円)が含まれています。前年の上期には含まれていません。

5-2. IoTインテグレーション事業(機械の据え付けと建売)

3-1で見たとおり、上期の悪化の大部分はこの事業です。説明資料の見出しは、映像分野での「画像AI・映像トータルソリューション」への先行投資で収益が悪化、ソリューションプロバイダへの進化として組織体制を倍増、自社製IPビデオサービスの開発投資と体制強化に伴う人件費などの固定費を先行させつつ、下期に公共向け大型案件が完工、というものです。製造業向けDXでは、生産管理の「Konekti MX」とデータ統合基盤「Dereva」の拡充を挙げています。

5月の決算説明資料では、この事業について、製造業向けDXで年率20%の成長を維持する方針と、エンベデッド事業は自動車業界の不透明感から保守的な予想にしている、と書かれていました。

5-3. トピックス

説明資料のトピックス欄には、2026年5月のエンベデッド向けセキュリティ製品「PEV」の発表、8月の放送事業者向けリモートカメラの導入事例、9月の「テロ対策特殊装備展」への出展、8月の業務アプリ導入事例が並んでいます。いずれも売上規模は開示されていません。

6. 資本政策・株主還元

6-1. 配当

決算期中間期末年間配当性向(連結)
2024年3月期5円5円10円15.9%(単体)
2025年3月期―10円10円12.7%(単体)
2026年3月期0円10円10円32.0%
2027年3月期(予想)0円10円10円32.0%

出典:各期の決算短信、有価証券報告書。

  • 配当方針:有価証券報告書は、定款上は中間配当ができるものの、売上の計上時期が期末に集中して中間決算で通期を見通しにくいため、期末配当の年1回を基本とする、と書いています。ここでも「引き渡しが期末に寄る」という弱み①が、配当の回数を決めています
  • 決定機関:期末配当は株主総会、中間配当は取締役会
  • 今期の予想:期末10円。会社予想のEPS31.22円に対して配当性向32.0%です。有価証券報告書は、業績動向や1株当たり利益を総合的に勘案したうえで、増配等による利益還元に努める、と書いています
  • 権利付き最終日:基準日2027年3月31日(水)の2営業日前、2027年3月29日(月)
  • 配当総額の再現:期末の株式数(自己株式を除く)5,281,979株×10円=約52.8百万円。上期の財務キャッシュ・フローの配当支払52.6百万円と同じ規模です

読み方メモ:配当予想を据え置いたまま下期の利益が予想に届かなかった場合、EPSが下がる分だけ配当性向は上がります。たとえば3-3の感応度表で通期の営業利益が1億円前後になる場合、純利益とEPSも予想を下回り、10円の配当性向は32%より高くなります。会社が10円を維持するかどうかは開示されていません。

6-2. 株式数・自己株式・潜在株式

項目2026年3月末2026年9月末
発行済株式総数5,355,390株5,355,390株
自己株式数72,411株73,411株
自己株式を除く株式数5,282,979株5,281,979株
  • 自己株式は上期に1,000株増えましたが、貸借対照表の自己株式の金額(31,763千円)とキャッシュ・フロー計算書の自己株式取得の支出は動いていません。増えた理由は短信に書かれていません
  • 有価証券報告書によると潜在株式はなく、新株予約権による希薄化はありません。取締役と従業員には譲渡制限付株式による株式報酬制度があります(取締役分は年5万株以内)
  • 株式分割・併合はなく、過去の数字の調整は不要です

6-3. 株主優待

有価証券報告書の「株主に対する特典」の欄は「該当事項はありません」です。株主優待制度はありません。会社IRサイトのFAQは確認していません。

6-4. 手元資金と保有資産

項目2026年9月末
現金及び預金19億51百万円
長期預金2億00百万円
投資有価証券6億32百万円
社債18百万円(子会社の社債)
純資産34億84百万円

借入金はなく、有利子負債は子会社が発行した社債18百万円だけです。現金及び預金は時価総額(7章)の約3分の2にあたります。

6-5. 株主構成と需給

  • Advantechグループの議決権割合は合計19.02%(会社開示)、代表取締役の大塚隆之氏が14.29%で、上位10名で56.36%を占めます(2026年3月末、有価証券報告書)
  • 出来高は少なく、2026年10月6日〜11月4日の20営業日の1日の出来高は300株〜51,500株でした
  • 信用買残は181,100株(2026年10月30日時点、Yahoo!ファイナンス)で、直近10営業日の平均出来高(約1万5千株)の12日分ほどにあたります。信用売残は0株です

7. 株価の見方

株価に依存する数字は、この章にまとめます。基準は2026年11月4日(水)の終値555円です。

指標値計算
株価555円2026年11月4日終値
時価総額約29億72百万円(自己株式を除くと約29億31百万円)555円×発行済株式数
PER(会社予想)17.8倍555円÷31.22円
PBR(実績)0.84倍555円÷BPS659.63円(2026年9月末)
配当利回り(会社予想)1.80%10円÷555円
年初来高値・安値685円(2026年10月22日)・539円(2026年5月21日)Yahoo!ファイナンス

発表時刻と値動き:決算は11月2日(月)15時30分の発表で、同日の終値576円は発表前の値です。翌3日(火)は文化の日で休場のため、最初の反応日は11月4日(水)でした。4日は始値560円、安値545円、終値555円で、11月2日の終値比△3.6%、出来高は13,500株でした。

参考:有価証券報告書の株価収益率から逆算した2026年3月末の株価は約565円(16.41倍×単体EPS34.44円)、2025年3月末は約750円(9.48倍×79.08円)です。

強気の材料

  • 3年続けて、下期の売上と営業利益は上期を上回っている。会社の説明(検収の下期集中)と、仕掛品・原材料の積み上がりは整合している
  • 注文住宅の本体であるエンタープライズ事業は、上期に増益で、利益率も前年より高い
  • 現金及び預金19億51百万円と長期預金2億円に対して有利子負債はほぼなく、時価総額に占める手元資金の割合が大きい。PBRは0.84倍
  • 6月に受け取る保有株式からの配当金が、今期・前期とも上期の経常利益を支えた
  • 会社は中計目標からの1億円の不足をあらかじめ開示しており、先行投資の規模を隠していない

弱気の材料

  • 通期予想に届くには、下期に過去3年のどの下期よりも大きい売上(25億39百万円)と利益率(10.3%)が同時に必要。感応度表で届くのは1マスだけ
  • IoT事業の利益率は前期の第3四半期から4四半期続けて前期上期の水準(16%台)を下回っており、映像分野の固定費は下期も続く
  • 受注残高などの、下期の売上の見込みを裏付ける数字が開示されていない
  • 予想を下回った場合、EPSが下がり、PER17.8倍・配当性向32%はいずれも見かけより高くなる
  • 経常利益の上乗せは、銘柄名が開示されていない非上場株式1銘柄の配当にほぼ依存している
  • 出来高が少なく、信用買残が出来高の約12日分ある

同じ「下期への偏り」が、強気にも弱気にも置けることに注意が要ります。3年続けて下期が強かったことは、今期の下期も強くなる前提の裏付けになりますが、今期が置いた下期は、その3年のどれよりも高い位置にあります。

8. 今後のカレンダーと見るべきKPI

時期イベント
2026年11月13日(金)半期報告書の提出予定日
2026年11月21日(土)11時05分ログミーFinance主催の個人投資家向けIRセミナー(オンライン、代表取締役社長が登壇)
2027年2月上旬(予定、未発表)第3四半期決算(前期は2月2日に発表)
2027年3月29日(月)期末配当の権利付き最終日
2027年3月31日(水)期末(中期経営計画の最終年度末)
2027年5月中旬(予定、未発表)通期決算・次の中期経営計画の発表が見込まれる時期(前期は5月11日に決算発表)

見るべきKPI

  1. 第3四半期(10〜12月)の売上:前期は10億24百万円。通期予想に届くには、下期の2四半期で平均12億70百万円の売上が要ります
  2. IoT事業のセグメント利益:第2四半期の5百万円から、前期の水準(四半期50〜70百万円台)にどこまで戻るか
  3. エンタープライズ事業の利益率:第2四半期の13.5%が、前期の下期(18%台)の水準に戻るか
  4. 仕掛品・契約資産の残高:下期の検収に向けて積み上がった作業が、売上に変わっていくか
  5. 業績予想の修正の有無:修正の開示は売上10%・利益30%の変動が基準です。開示が出ないことは、予想どおりであることを意味しません
  6. 次の中期経営計画:会社は今回の利益の縮小を「中計第2フェーズ」となる2030年に向けた投資と位置づけています。次の計画で、建売(自社製品)の売上目標がどう置かれるか

9. 3行まとめ

  • 上期の営業赤字87百万円は、エンタープライズ事業(+28百万円)ではなく、IoT事業の1億52百万円の悪化から出た。引き渡しの下期ずれと、自社製品・映像への先行費用の重なり
  • 通期予想を据え置いたことで、下期には売上25億39百万円・営業利益2億62百万円・利益率10.3%が置かれ、いずれも過去3年のどの下期も上回る水準
  • 会社は中計目標から1億円下回ることは受け入れたが、今期予想は動かしていない。2027年2月の第3四半期決算で、検収の積み上がりが数字に出るかが最初の確認点

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘・投資助言を目的としたものではありません。数値の出典は、日本ラッド株式会社の2027年3月期第2四半期(中間期)決算短信・同決算説明資料(2026年11月2日)、2027年3月期第1四半期決算短信と「営業外収益の発生に関するお知らせ」(2026年8月3日)、2026年3月期決算短信・決算説明資料(2026年5月11日)、2026年3月期第3四半期決算短信(2026年2月2日)、2026年3月期第2四半期(中間期)決算短信(2025年11月10日)、「連結決算開始に伴う連結業績予想に関するお知らせ」(2025年11月10日)、2025年3月期決算短信(2025年5月12日)、「業績予想の修正に関するお知らせ」(2025年2月3日)、2025年3月期第2四半期(中間期)決算短信、「支配株主等に関する事項について」(2026年6月30日)、IRセミナー登壇のお知らせ(2026年10月26日)、第55期有価証券報告書(2026年6月23日提出)です。株価・出来高・信用残はYahoo!ファイナンスで2026年11月4日の夜に確認した値です。比率・差し引き・感応度表は筆者の計算・試算です。

本記事で踏み込まなかった論点・出典に関する注意は次のとおりです。決算説明会は開催されておらず、質疑応答に基づく会社の説明は反映していません。決算短信と決算説明資料はPDFをブラウザで表示した画面から筆者が目視で読み取り、合計の検算で整合を確認しました(読み取りの誤差の可能性があります)。一部の過去資料(2026年3月期決算短信・決算説明資料、2025年3月期の各資料、第3四半期決算短信、支配株主等に関する開示、IRセミナーの開示)は要約ツールを介して数値を抽出しており、原文の逐語確認ができていない箇所があります。2025年3月期以前の四半期ごとの営業利益は、決算説明資料のグラフの読み取り値の合計が通期の開示値と一致しなかったため使っていません。中計の3年合計の表は単体の目標・実績と連結の予想が混在しています。子会社を除いた売上の減少率に関する記述は筆者の推測です。受取配当金の支払元の銘柄、短信の「特定顧客」と主要顧客の関係は、会社が開示していないため特定していません。上期に税金費用がプラス計上された理由、自己株式が1,000株増えた理由は短信に記載がなく、推測していません。株主優待の不在は有価証券報告書の記載で確認し、会社IRサイトのFAQは確認していません。大量保有報告書・変更報告書は確認していません。

記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。

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