株式投資

【2026年10月発表・上半期決算】あみやき亭(2753)売上は計画どおり、利益だけが2年続けて届かない――修正後の予想は下期に何を置いているのか?

本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • あみやき亭の上半期(2026年4〜9月)は売上が計画どおり(計画比△0.2%)だった一方、営業利益は計画を25.6%下回り、通期予想も営業利益で20.0%引き下げられました。前期も同じ10月に同じ形の修正をしています
  • 減益の中身は「販管費が膨らんだ」ではなく「粗利率が下がった」でした。前年同期と比べると販管費率はむしろ0.1ポイント下がっており、会社の説明(計画比)と前年比の答えは別物です
  • 7〜9月の3か月だけを取り出すと、営業利益率は3.3%で、筆者が並べた14四半期の中で最も低い水準です
  • 上半期の売上+10.1%のうち、相当部分は前期に買収したクーデションカンパニーの上乗せです。既存店の売上は月次で+2.8%でした
  • 修正後の予想は、下期の売上に前年比+7.8%、営業利益に△5.7%を置いています。前期の10月修正は下期をほぼ言い当てていました(達成率100.7%)
  • 株主優待は年1回(3月末)、配当は年2回(9月末・3月末)で、基準日が違います。予想EPSで計算し直した配当性向は65.3%です

1. あみやき亭はどんな会社か

牛を一頭まるごと買う肉屋が、切り分けた肉の売り先として300軒の店を持っている会社

焼肉店の厨房で肉を切っている人を想像してみてください。ふつうの焼肉チェーンは、カルビならカルビ、タンならタンを、部位ごとに業者から仕入れます。あみやき亭はそうではなく、「和牛一頭買い」で牛を丸ごと仕入れ、愛知県と神奈川県のセントラルキッチンで部位ごとに切り分けてから、各店舗に毎日配送しています(会社開示)。

この記事では、あみやき亭を「牛を一頭まるごと買う肉屋が、切り分けた肉の売り先として約300軒の自前の店を持っている会社」と捉えて読み進めます。

この1文から、強みと弱みが同時に出てきます。

  • 強み:仕入れと切り分けを自分でやっているので、お値打ちな価格でも粗利率(売上総利益÷売上高)が約6割と高い
  • 弱み①:牛肉の相場は自分で決められない。相場が上がれば、その分がそのまま粗利率に効く
  • 弱み②:約300軒の店の家賃・人件費・光熱費は、客が来ても来なくても毎月出ていく。店が稼げなくなれば、その店の設備の帳簿価額を切り下げる(減損)ことになる

今回の決算は、この弱み①がはっきり数字に出た決算でした。

事業の構成

区分主な業態店舗数(2026年9月末)上半期売上高前年同期比
焼肉事業あみやき亭、スエヒロ館、チファジャ等162店舗110億94百万円+2.7%
焼鳥事業美濃路、みの路、もつしげ54店舗21億22百万円+8.4%
レストラン事業感動の肉と米、レストランスエヒロ館、正義73店舗54億12百万円+16.8%
その他ラーメンたかばし、とりとん、すしまみれ等22店舗13億31百万円+78.7%
合計—311店舗199億60百万円+10.1%
株主優待自社店舗で使える食事券(3月末基準・年1回)———

出所:2027年3月期第2四半期(中間期)決算短信(2026年10月5日発表)。株主優待は有価証券報告書(2026年6月12日提出)

この表のポイントは2つです。

1つ目は、売上の半分強を占める焼肉事業の伸びが+2.7%にとどまり、全体の伸びを引っ張っているのはレストラン事業とその他だという点です。レストラン事業の主力は「感動の肉と米」(ステーキとハンバーグの店)で、新規出店がここに集中しています。

2つ目は、その他の+78.7%は、2025年6月に買収したクーデションカンパニー(京都)の上乗せが大きいという点です。これは第3章で詳しく見ます。

用語メモ:今回の中間決算短信には、セグメント別の「利益」が載っていません。中間期の決算短信は記載を簡略化できるため、セグメント利益とキャッシュ・フロー計算書は、2026年11月13日に提出予定の半期報告書で初めて分かります。上の表の売上高は短信本文の事業別の記載から取っています。

直近の業績推移

決算期売上高営業利益経常利益純利益売上高経常利益率1株配当(分割調整後)
2023年3月期285億38百万円4億22百万円7億01百万円1億32百万円2.5%13.33円
2024年3月期332億67百万円22億21百万円23億11百万円13億07百万円6.9%30円
2025年3月期353億32百万円26億38百万円27億26百万円17億36百万円7.7%34円
2026年3月期377億11百万円22億09百万円23億44百万円12億70百万円6.2%34円
2027年3月期(修正後予想)410億60百万円20億00百万円20億70百万円10億70百万円5.0%34円

出所:各期の決算短信、招集通知、有価証券報告書。2024年10月1日に1株を3株に分割しており、配当は分割後の株数に換算(2023年3月期40円÷3、2024年3月期90円÷3)

この表のポイントは、売上は毎年伸びているのに、利益は2025年3月期をピークに2期連続で下がる予想になっていることです。会社が経営目標に掲げる「売上高経常利益率15%」(有価証券報告書)に対し、今期の修正後予想は5.0%です。

会社予想の達成履歴――「10月に下げ、下期はほぼ予想どおり」が2年続いた

決算期期初予想(営業利益)上期予想→上期実績修正の開示日修正後予想実績期初予想比
2024年3月期18億00百万円—2024年3月25日(期末直前・上方修正)22億20百万円22億21百万円+23.4%
2025年3月期27億20百万円12億52百万円→13億48百万円(+7.7%)修正なし—26億38百万円△3.0%
2026年3月期29億10百万円14億20百万円→9億86百万円(△30.6%)2025年10月3日(上期決算と同日・下方修正)22億00百万円22億09百万円△24.1%
2027年3月期25億00百万円11億40百万円→8億47百万円(△25.7%)2026年10月5日(上期決算と同日・下方修正)20億00百万円——

出所:各期の決算短信・業績予想の修正に関するお知らせ。2024年3月期の上期予想は筆者が取得した資料の範囲で確認できなかったため空欄

この表のポイントは3つです。

  1. 2026年3月期と2027年3月期は、同じ形をしています。 上期の利益が計画を3割前後下回り、上期決算と同じ日に通期予想を引き下げています。修正理由の文言も「原材料価格」「人件費・物流費」「販促活動費」と、ほぼ同じ項目が並んでいます
  2. 前期は、10月の修正後予想にほぼぴったり着地しました(営業利益22億00百万円の予想に対し実績22億09百万円)。次章以降で、この「修正後の予想がどれだけ当たるか」を下期の読み方に使います
  3. 売上の予想は、期を終えた3期すべてで期初予想に届いていません(2024年3月期△3.9%、2025年3月期△5.5%、2026年3月期△2.8%)。今期の上期は△0.2%と、ほぼ計画どおりでした

2. 上半期の決算ハイライト

損益

項目2026年3月期上半期2027年3月期上半期前年同期比期初の上期予想予想比
売上高181億36百万円199億60百万円+10.1%200億00百万円△0.2%
売上総利益108億39百万円116億70百万円+7.7%——
粗利率59.8%58.5%△1.3pt——
販管費98億53百万円108億22百万円+9.8%——
販管費率54.3%54.2%△0.1pt——
営業利益9億86百万円8億47百万円△14.0%11億40百万円△25.6%
経常利益10億35百万円9億01百万円△12.9%11億60百万円△22.3%
特別損失1億00百万円2億30百万円———
うち減損損失79百万円1億81百万円———
純利益5億40百万円3億62百万円△33.0%6億50百万円△44.2%
1株当たり純利益26.32円17.64円△33.0%31.64円—

出所:2027年3月期第2四半期(中間期)決算短信、第2四半期(累計)連結業績予想と実績値との差異及び通期業績予想の修正に関するお知らせ(いずれも2026年10月5日9時00分発表)。粗利率・販管費率は筆者の計算

この表のポイントは2つです。

1つ目は、売上はほぼ計画どおりだったのに、営業利益は計画を2億92百万円下回ったことです。売上が足りなかったのではなく、売上に対してかかった費用が想定より重かった、ということになります。

2つ目は、純利益の落ち込み(△33.0%)が営業利益(△14.0%)よりずっと大きいことです。理由は2つあり、減損損失が1億81百万円と前年の2倍強に増えたことと、税金の負担率が46.1%(前年同期42.1%)と高かったことです。

会社の説明(原文)

会社は差異の理由を次のように書いています(原文)。

第2四半期累計期間における連結業績につきましては、売上高は概ね計画どおりに推移いたしましたが、利益面につきましては、原材料価格の上昇や人件費、物流費、水道光熱費等の店舗運営コストの増加に加え、販売促進費等が当初の想定を上回ったことにより、売上原価率および販売費及び一般管理費率が上昇し、収益性が低下いたしました。また、減損損失を特別損失として計上したことにより、親会社株主に帰属する中間純利益についても当初予想を下回りました。

通期予想の修正理由は次のとおりです(原文)。

物価上昇に伴う原材料費の増加、人件費及び物流費の増加、エネルギー価格の高騰に伴う水道光熱費の上昇並びに販促活動費の増加により、利益水準は当初想定を下回っております。これらの影響は下期以降も継続すると見込まれることから、通期の利益水準についても当初予想を下回る見通しとなりました。 また、外部環境の不確実性に加え、飲食料品の値上げに伴う消費者の節約志向の高まりも業績に影響を及ぼしております。

ここで1つ注意があります。会社の説明にある「売上原価率および販売費及び一般管理費率が上昇し」は、当初の計画(想定)と比べた話です。前年同期と比べると、上の表のとおり販管費率は54.3%から54.2%へわずかに下がっています。この違いは第3章で数字を使って確かめます。

通期予想の修正

項目修正前(2026年4月3日)修正後(2026年10月5日)増減率前期実績
売上高411億00百万円410億60百万円△0.1%377億11百万円
営業利益25億00百万円20億00百万円△20.0%22億09百万円
経常利益25億40百万円20億70百万円△18.5%23億44百万円
純利益14億50百万円10億70百万円△26.2%12億70百万円
1株当たり純利益70.57円52.08円—61.84円

売上の予想はほとんど動かさず、利益だけを2割下げた修正です。修正後の予想は、営業利益で前期比△9.5%、純利益で△15.8%の減益です。

財政状態

項目2026年3月末2026年9月末
現金及び預金88億31百万円84億45百万円
原材料及び貯蔵品7億26百万円8億94百万円
のれん25億59百万円24億31百万円
有利子負債(短期借入金+長期借入金)10億33百万円9億40百万円
純資産225億16百万円225億30百万円
自己資本比率75.9%77.1%

出所:中間決算短信。有利子負債はリース債務(9月末5億85百万円)を含まない

財務は非常に健全です。現金と預け金(3億67百万円)から有利子負債を引いても、約79億円の現金が残ります。

1つだけ目を引くのは、原材料及び貯蔵品が半年で23.1%(1億68百万円)増えていることです。会社はこの増加の理由を開示していません。一頭買いで仕入れた肉の在庫が増えたのか、値上がり前の手当てなのかは、短信からは判断できません。次の四半期末の残高で、増えたままか戻ったかを確認したい項目です。

用語メモ:今回の中間決算短信には「決算補足説明資料:無」「決算説明会:有(機関投資家・アナリスト向け)」と書かれています。本記事は、決算説明会の内容と質疑応答を反映していません。


3. 深掘り①:利益は「どの3か月」で、「何によって」減ったのか

ここからの2章は、1つの問いを2段階で考えます。問いは「会社予想が2年続けて10月に下がったのはなぜか。そして、修正後の予想は下期にどんな前提を置いているのか」です。この章ではまず、上半期の減益がいつ、何によって起きたかを分解します。

14四半期を並べると、7〜9月は最も低い営業利益率だった

あみやき亭の決算短信は累計で開示されるので、3か月ごとの数字は前の累計を引き算して自分で出すしかありません。下の表は、2024年3月期の第1四半期から今期の第2四半期まで、14四半期分を筆者が差し引いたものです。

決算期・四半期対象月売上高粗利率販管費率営業利益営業利益率
2024年3月期 第1四半期4〜6月76億06百万円60.6%56.9%2億83百万円3.7%
2024年3月期 第2四半期7〜9月83億84百万円61.8%53.9%6億63百万円7.9%
2024年3月期 第3四半期10〜12月82億04百万円61.8%56.5%4億28百万円5.2%
2024年3月期 第4四半期1〜3月90億73百万円60.8%51.5%8億47百万円9.3%
2025年3月期 第1四半期4〜6月87億41百万円61.9%54.0%6億93百万円7.9%
2025年3月期 第2四半期7〜9月88億43百万円61.8%54.3%6億55百万円7.4%
2025年3月期 第3四半期10〜12月85億53百万円61.1%54.4%5億69百万円6.7%
2025年3月期 第4四半期1〜3月91億95百万円59.7%51.8%7億21百万円7.8%
2026年3月期 第1四半期4〜6月89億81百万円59.6%54.0%5億05百万円5.6%
2026年3月期 第2四半期7〜9月91億55百万円59.9%54.7%4億81百万円5.3%
2026年3月期 第3四半期10〜12月94億76百万円59.7%55.2%4億24百万円4.5%
2026年3月期 第4四半期1〜3月100億99百万円59.4%51.5%7億99百万円7.9%
2027年3月期 第1四半期4〜6月98億88百万円58.8%53.7%5億11百万円5.2%
2027年3月期 第2四半期7〜9月100億72百万円58.1%54.8%3億36百万円3.3%

出所:各期の決算短信の累計値から筆者が差し引き。各期の4四半期の合計は通期の開示値と一致することを確認済み(百万円未満切捨てのため科目によって±1百万円の差)

この表のポイントは3つです。

  1. 粗利率が、2年かけて約3ポイント下がっています。 2024年3月期から2025年3月期の前半までは60〜62%台でしたが、2025年3月期の第4四半期に59%台へ下がり、今期の7〜9月は58.1%と、14四半期で最も低くなりました。軸の例えでいえば、「牛の相場は自分で決められない」側の影響が、2年かけてじわじわ積み上がっている形です
  2. 販管費率には季節の形があります。 1〜3月(第4四半期)の販管費率は3年続けて51.5〜51.8%で、他の四半期(53.7〜56.9%)より明らかに低くなっています。忘新年会シーズンを含む時期に売上が増え、店の固定費が薄まるためと考えられます。3年同じ形が出ているので、これは季節性と言ってよいと筆者は考えます
  3. 今期の7〜9月の営業利益率3.3%は、14四半期の中で最も低い水準です。 前年の同じ3か月(5.3%)、2年前(7.4%)、3年前(7.9%)と、7〜9月の利益率は4年続けて下がっています

用語メモ:決算短信の数字は「4月からの累計」で発表されます。7〜9月の3か月だけの数字は、上半期(4〜9月)の累計から第1四半期(4〜6月)の累計を引いて求めます。会社が3か月単位の数字を出していないので、自分で引き算するしかありません。

上半期の減益を3つに分ける

営業利益の増減は、次の3つに分けられます。

  • 数量効果:売上が増えた分、前年と同じ粗利率なら粗利がいくら増えたか(売上の増加額×前年の粗利率)
  • 率効果:粗利率が変わった分、粗利がいくら増減したか(今年の売上×粗利率の変化)
  • 販管費の増減:販管費が増えた分だけ利益は減る
期間数量効果率効果販管費の増減合計実際の営業利益の増減
上半期(4〜9月)+10億90百万円△2億59百万円△9億69百万円△1億38百万円△1億39百万円
第1四半期(4〜6月)+5億40百万円△72百万円△4億61百万円+7百万円+6百万円
第2四半期(7〜9月)+5億50百万円△1億87百万円△5億08百万円△1億45百万円△1億45百万円

出所:決算短信から筆者が計算。各項目は四捨五入で表示しており、表示単位の丸めにより合計が実際の増減と1百万円ずれる行がある

この表のポイントは2つです。

1つ目は、販管費は9億69百万円も増えていますが、数量効果(+10億90百万円)でほぼ吸収できていることです。売上が10%増えれば、その分だけ店も人も増えるので、販管費が増えるのは自然です。前年比で見て問題になっているのは、販管費の「額」ではなく、**粗利率の低下(率効果△2億59百万円)**のほうです。

2つ目は、率効果の7割強(△1億87百万円)が7〜9月に集中していることです。4〜6月の粗利率の低下は0.7ポイントでしたが、7〜9月は1.9ポイント下がりました。

「計画比の減益要因」と「前年比の減益要因」は別物

ここで、会社の説明と前年比の分解を並べてみます。

比べる相手会社の説明・筆者の計算販管費率粗利率(原価率の裏返し)
当初の計画会社の説明:「売上原価率および販売費及び一般管理費率が上昇」計画より上昇(数値は非開示)計画より低下(数値は非開示)
前年同期筆者の計算54.3%→54.2%(△0.1pt)59.8%→58.5%(△1.3pt)

会社の計画は、粗利率と販管費率の内訳を開示していないので、計画比の要因を数字で確かめることはできません。それでも、2つの説明が矛盾しているわけではありません。

計画比では、会社は「人件費・物流費・光熱費・販促費が想定より膨らんだ」と説明しています。つまり、計画では販管費率がもっと下がる(=売上の伸びで固定費が薄まる)前提を置いていたのに、実際には前年並みにとどまった、ということです。

前年比では、販管費率は横ばいで、利益を押し下げたのは粗利率の低下でした。

読者がこの2つを混ぜて「販管費が前年より重くなった」と読むと、実態とずれます。前年から悪化したのは主に粗利率で、計画から外れたのは販管費率の改善が起きなかったこと、と分けて読むのが正確だと筆者は考えます。

売上+10.1%のうち、どれだけが買収の上乗せか

もう1つ、売上の伸びの中身にも注意が必要です。

あみやき亭は2025年6月2日に、京都で焼肉「チファジャ」、ラーメン「たかばし」、ステーキ「正義」などを展開するクーデションカンパニーを14億50百万円で買収しました。有価証券報告書によると、前期(2026年3月期)の連結決算に含まれたクーデションの業績は「2025年9月1日から2026年2月28日まで」の6か月分で、前期の上半期には損益が入っていません(前期の中間決算短信でも「当中間期にはその損益は含んでおりません」と明記)。

つまり、今期の上半期にはクーデションの6か月分が入り、前期の上半期には0か月分という比較になっています。

用語メモ:連結決算に含まれるクーデションの期間が「9月〜2月」なのは、親会社(4月〜3月)と1か月ずれた期間で連結しているためと読めます。この前提に立つと、今期の上半期(4〜9月)に含まれるクーデションの業績は3〜8月分ということになります。ずれの理由と今期の対象期間は短信に書かれていないため、この点は筆者の推測です。

買収の上乗せを除いた「もとからの店の伸び」を見るには、会社が毎月公表している月次売上が参考になります。

2027年3月期上半期全店売上高既存店売上高既存店客数全店客数
全社+9.1%+2.8%+0.6%+10.4%
焼肉部門+2.6%+1.7%△0.3%△0.1%
焼鳥部門+8.5%+3.7%+3.3%+7.9%
レストラン部門+15.3%+4.4%+0.9%+11.7%
その他部門+62.1%+7.1%△0.5%+116.8%

出所:連結月次売上前年比較推移表(2027年3月期、会社IRサイト)。既存店は開店後満14か月を経た店舗

この表のポイントは2つです。

1つ目は、既存店の売上は+2.8%で、客数は+0.6%しか増えていないことです。既存店の伸びの大半は客単価(値上げ・商品構成)によるものです。

2つ目は、全店+9.1%と既存店+2.8%の差(約6ポイント)は、新店とクーデションの上乗せだということです。参考として、クーデションの買収前の年間売上高は27億26百万円(2024年3月期、会社の買収時の開示)でした。この半分(約13.6億円)を上乗せとみなして差し引くと、上半期の増収率は+2.5%程度になります(筆者の試算。買収前の古い数字を使った粗い目安です)。

用語メモ:月次の全店売上高(+9.1%)と決算短信の売上高(+10.1%)は1ポイントずれています。月次ではクーデションを2025年9月分から含めていますが、決算短信の前期上半期にはクーデションが入っていないため、分母の違いがずれの一因と考えられます。これは筆者の推測で、会社は月次と短信の差を説明していません。

クーデションの店は2026年9月から「既存店」に入った

月次の注記によると、クーデションの店舗は2026年9月から既存店扱いになりました。9月の全店売上高は+4.5%で、それまでの月(+5.6〜+15.3%)より伸びが小さくなっています。買収の上乗せが抜けた最初の月の伸び率が+4.5%だった、という事実は、次章で下期の予想を読むときの物差しになります。


4. 深掘り②:修正後の予想は、下期に何を置いているのか

前章で、上半期の減益が「粗利率の低下」と「計画していた販管費率の改善が起きなかったこと」によるものだと分かりました。この章では、その上半期を踏まえて会社が出した修正後の予想が、残りの半年(2026年10月〜2027年3月)に何を求めているかを計算します。

修正後の予想が置いている下期

通期予想から上半期の実績を引くと、会社が下期に置いている数字が出ます。

項目修正後予想が置く下期前年の下期実績前年同期比
売上高211億00百万円195億75百万円+7.8%
営業利益11億53百万円12億23百万円△5.7%
営業利益率5.5%6.2%△0.8pt
経常利益11億69百万円13億09百万円△10.7%
純利益7億08百万円7億30百万円△3.0%

出所:修正後の通期予想と中間決算短信から筆者が計算

この表のポイントは2つです。

1つ目は、利益側はかなり控えめな置き方だということです。下期の営業利益率5.5%は、前年の下期(6.2%)より低く、今期の上半期(4.2%)よりは高い水準です。1〜3月は毎年販管費率が下がる季節なので(前章)、上半期より下期の利益率が高くなるのは過去の形と合っています。

2つ目は、売上側は+7.8%の伸びを置いていることです。ここが、利益側の控えめさとは逆に、前提として一段強い部分です。

売上+7.8%は、何で埋める前提なのか

前年の下期には、すでにクーデションの6か月分が入っています。したがって、下期の+7.8%は、買収の上乗せなしで達成しなければならない伸び率です。

これと比べられる数字を並べます。

物差し伸び率
修正後予想が置く下期の売上高+7.8%
2026年9月の月次・全店売上高(クーデションが既存店に入った最初の月)+4.5%
今期上半期の月次・既存店売上高+2.8%
前期下期の月次・既存店売上高+1.1%

出所:修正後予想・決算短信・月次売上前年比較推移表から筆者が整理。月次は会社の社内集計で、決算短信の売上高とは一致しない

既存店が+2〜3%で推移するなら、残りの約5ポイントは新店で埋める必要があります。会社は今期の新規出店を「感動の肉と米」を中心に15店舗と計画しており(2026年3月期決算短信)、上半期に出店したのは6店舗でした。下期に残り9店舗を出す計画です。

このため、下期の売上予想は「新店の出店ペースが上がること」を前提にしていると読めます。9月の+4.5%との差を新店が埋めきれるかどうかが、売上側の最大の確認点です。

前期の10月修正は、下期をほぼ言い当てていた

「修正後の予想がどれだけ当たるか」を、過去の同じ時点で確かめます。

決算期上期決算時点の通期予想(営業利益)予想が置いた下期実際の下期達成率前年下期比(予想→実際)
2025年3月期27億20百万円(期初から据え置き)13億72百万円12億90百万円94.0%+7.6%→+1.2%
2026年3月期22億00百万円(10月に修正)12億14百万円12億23百万円100.7%△5.9%→△5.2%
2027年3月期20億00百万円(10月に修正)11億53百万円——△5.7%→—

出所:各期の決算短信・修正開示から筆者が計算

この表のポイントは2つです。

1つ目は、上期決算で据え置いた2025年3月期は下期が予想を6%下回り、10月に下方修正した2026年3月期は下期がほぼ予想どおりだったことです。下方修正した年の修正後予想は、上半期の実態を織り込み直した「現実的な水準」として機能していました。

2つ目は、今期の下期の置き方(前年比△5.7%)は、前期の置き方(△5.9%)とほとんど同じだということです。前期と同じだけ当たるとは限りませんが、少なくとも「上半期の不振を下期で取り戻す」という無理のある置き方ではありません。

ただし、前期と今期で1つ違う点があります。前期の下期は、クーデションの上乗せで売上が+10.3%伸びた半年でした(前期下期195億75百万円÷前々期下期177億48百万円)。今期の下期は、その上乗せなしで+7.8%を置いています。利益の置き方は前期と同じでも、売上の置き方は前期より一段強い、というのが筆者の読みです。

純利益予想に置かれた税金と特別損失

最後に、営業利益より下の段を確認します。

修正後予想は、経常利益20億70百万円に対して純利益10億70百万円です。上半期にはすでに特別損失が2億30百万円出ており、上半期の税負担率は46.1%でした。

前提とする税負担率純利益10億70百万円に必要な税引前利益通期の特別損失(逆算)うち下期の特別損失(逆算)
46.1%(今期上半期の実績)約19億85百万円約85百万円計算上マイナス(上半期だけで超過)
39.2%(前期通期の実績)約17億60百万円約3億10百万円約80百万円
30.6%(法定実効税率)約15億42百万円約5億28百万円約2億98百万円

出所:修正後予想・中間決算短信・有価証券報告書の税率差異の注記から筆者が逆算(筆者の試算)

この表から言えるのは、上半期と同じ46.1%の税負担率が続くと、純利益予想は特別損失が下期にまったく出なくても届かない計算になるということです。つまり、会社の予想は、上半期より低い税負担率を前提にしています。

税負担率が上半期に高く出たのには、利益が小さくても減らない税金があることが関係しています。前期の有価証券報告書の税率差異の注記では、法定実効税率30.6%に対して、住民税均等割(店舗数に応じてかかる税金)が+3.1ポイント、のれん償却額(税務上は費用にならない)が+3.5ポイント、評価性引当額の増加が+4.7ポイント上乗せされ、負担率は39.2%でした。均等割やのれん償却は利益の大小にかかわらず一定額かかるので、利益が小さい半期ほど負担率が高く見えます。下期は1〜3月の利益が厚い季節なので、負担率が下がる前提には一定の理由があります。

それでも、前期の下期には減損などで特別損失が3億48百万円出ていました(通期4億48百万円−上半期1億00百万円)。今期も下期に同じ規模の減損が出れば、純利益予想に届かない可能性があります。逆算の結果、前期並みの税負担率(39.2%)なら下期の特別損失は約80百万円しか置かれていない計算です。

用語メモ:減損損失は、店の設備(建物など)の帳簿上の金額を、その店が将来稼ぐお金で回収できないと判断したときに切り下げる処理です。あみやき亭は店舗ごとに判定しており、「営業損益が継続してマイナスである店舗」が対象になります(有価証券報告書)。現金は出ていきませんが、純利益と純資産は減ります。

2つの深掘りをつなぐと

「牛を一頭まるごと買う肉屋が、300軒の店を持っている」という軸に戻ります。

  • 上半期の前年比の減益は、肉の相場(自分で決められない側)が粗利率を押し下げたことが主因でした
  • 計画比の未達は、店の固定費(人・物流・光熱)が売上の伸びほど薄まらなかったことが主因でした
  • 修正後の予想は、利益側は前期の実績並みに控えめに置き直した一方で、売上側は新店の出店で+7.8%伸ばす前提を残しています
  • 純利益側は、下期の減損(稼げなくなった店の帳簿の切り下げ)が前期より小さいことを前提にしている計算です

5. セグメント別とクーデション、減損

セグメント利益の推移(通期と第1四半期)

中間決算短信にはセグメント利益が載っていないため、通期と第1四半期の開示から並べます。

セグメント2024年3月期2025年3月期2026年3月期第1四半期 2025年3月期第1四半期 2026年3月期第1四半期 2027年3月期
焼肉16億89百万円(7.5%)18億31百万円(8.2%)13億92百万円(6.3%)4億52百万円(8.0%)2億94百万円(5.5%)2億92百万円(5.4%)
焼鳥2億90百万円(8.5%)3億52百万円(9.5%)3億43百万円(8.8%)90百万円(9.7%)88百万円(9.1%)82百万円(7.8%)
レストラン3億40百万円(5.8%)5億60百万円(7.3%)6億07百万円(6.3%)1億79百万円(10.0%)1億58百万円(6.9%)1億83百万円(6.8%)
その他70百万円(4.6%)93百万円(5.8%)1億05百万円(4.9%)19百万円(4.8%)13百万円(3.4%)15百万円(2.2%)
全社費用△1億68百万円△1億99百万円△2億38百万円△48百万円△48百万円△62百万円
連結営業利益22億21百万円26億38百万円22億09百万円6億93百万円5億05百万円5億11百万円

出所:各期の決算短信のセグメント情報。カッコ内はセグメント売上高に対する利益率で筆者の計算

この表のポイントは、焼肉事業の利益率が2025年3月期の8.2%から2026年3月期の6.3%へ大きく下がり、今期の第1四半期も5.4%と戻っていないことです。焼肉は売上の半分強を占める主力で、ここの利益率の低下が全社の粗利率の低下とほぼ同じ時期に起きています。7〜9月の焼肉事業の利益は、11月13日の半期報告書で初めて分かります。

クーデションの買収

項目内容
取得日2025年6月2日(みなし取得日2025年8月31日)
取得価額14億50百万円(現金)
取得関連費用79百万円(アドバイザリー費用等、2026年3月期)
発生したのれん6億91百万円(12年で均等償却。年約58百万円)
買収時の店舗直営21店舗、FC2店舗、直売所1店舗(京都中心)
買収前の業績(2024年3月期)売上高27億26百万円、営業利益3百万円

出所:株式取得の開示(2025年5月12日)、有価証券報告書(2026年6月12日)

買収前のクーデションは、売上高27億円規模で営業利益がほぼゼロの会社でした。会社は買収の狙いを「関西エリアへの本格的な出店の足掛かり」と「食材・オペレーションの共通化によるシナジー」と説明しています。のれんの償却が四半期あたり約14百万円増えたことは、第1四半期ののれん償却額(前年50百万円→64百万円)でも確認できます。

なお、前期の減損損失2億99百万円の対象13店舗には、京都府・大阪府の店舗が含まれていました(有価証券報告書)。どの会社の店舗かは開示されていません。

減損損失の推移

期間減損損失
2025年3月期 通期1億13百万円(7店舗)
2026年3月期 上半期79百万円
2026年3月期 通期2億99百万円(13店舗)
2027年3月期 第1四半期7百万円
2027年3月期 上半期1億81百万円

出所:各期の決算短信・有価証券報告書

今期の減損は、7〜9月の3か月だけで1億74百万円(上半期1億81百万円−第1四半期7百万円)でした。対象店舗の数と事業は、中間決算短信には書かれていません。半期報告書で確認したい項目です。


6. 株主優待

優待の内容

保有株式数優待飲食券1株当たり優待額長期保有の上乗せお米との引換
100株以上200株未満1,000円10.0円なしなし
200株以上300株未満2,000円10.0円なしなし
300株以上600株未満4,000円13.3円1,000円なし
600株以上900株未満7,000円11.7円1,000円なし
900株以上1,500株未満12,000円13.3円2,000円全部引換で新潟県産コシヒカリ7.5kg
1,500株以上18,000円12.0円4,000円全部引換で新潟県産コシヒカリ10kg

出所:有価証券報告書「株主に対する特典」(2026年6月12日提出)、会社IRサイトの株主優待ページ。1株当たり優待額は長期保有の上乗せを含まない額で筆者の計算。両者の優待内容は一致している

この表のポイントは3つです。

  1. 1株当たりの優待額は、300株と900株の区分で最も高く(13.3円)、それ以外は10〜12円です。 保有株数に比例して増える設計ではありません
  2. 区分の境目のすぐ下で持つと、1株当たりが大きく下がります。 例えば599株では1株当たり約6.7円、899株では約7.8円、1,499株では約8.0円です。「あと1株で次の区分」の手前は効率が悪い区間です
  3. 1株当たりの配当は年34円なので、どの区分でも優待額(10〜13円)は配当の3分の1程度です

優待の基準日は年1回、配当は年2回

ここは誤解しやすい点なので、表にまとめます。

権利基準日次の基準日権利付き最終日
株主優待3月31日(年1回)2027年3月31日(水)2027年3月29日(月)
期末配当(17円予想)3月31日2027年3月31日(水)2027年3月29日(月)
中間配当(17円)9月30日2027年9月30日(木)2027年9月28日(火)
長期保有の判定に使う名簿9月30日と3月31日(年2回)——

出所:有価証券報告書「株主に対する特典」「株式事務の概要」。権利付き最終日は基準日の2営業日前として筆者が計算

有価証券報告書には「毎年3月31日現在の株主名簿に記載された株主様に対し」と書かれており、優待は3月末の年1回です。9月末に株主であっても優待はもらえません(中間配当はもらえます)。一方、会社IRサイトの優待ページには基準日の記載がないので、有価証券報告書のほうを確認するのが確実です。

用語メモ:権利付き最終日とは、その日の取引終了までに株を買っておけば基準日の株主名簿に載る最後の日です。現在は基準日の2営業日前です。2026年9月30日基準の中間配当の権利付き最終日(9月28日)はすでに過ぎています。

長期保有の上乗せは「3年」ではなく「名簿に7回連続」

長期保有の条件は「継続保有期間3年以上で、9月30日と3月31日の株主名簿に同一株主番号で連続7回以上記載」です(有価証券報告書)。

いまから買う場合、最初に載る名簿は2027年3月31日です。そこから7回連続(2027年3月、2027年9月、2028年3月、2028年9月、2029年3月、2029年9月、2030年3月)となるので、長期保有の上乗せを初めて受け取れるのは2030年3月末基準の優待です(筆者の計算)。途中で貸株サービスなどで株主番号が変わると、連続記載が途切れる可能性がある点にも注意が必要です(「同一株主番号」が条件のため)。

名目利回り(2026年10月5日前場終値1,334円で計算)

保有株式数投資額優待の名目利回り配当利回り合計(長期保有なし)合計(長期保有あり)
100株13万3,400円0.75%2.55%3.30%3.30%
300株40万0,200円1.00%2.55%3.55%3.80%
900株120万0,600円1.00%2.55%3.55%3.71%

出所:筆者の計算。優待はお米への引換を選ばず飲食券として使った場合の額面。配当は年34円の会社予想

名目と実質のギャップ

  • 自社の店で使う飲食券なので、近くに店がなければ価値はほぼゼロです。 店舗は愛知・岐阜・三重・滋賀・静岡・神奈川・東京・埼玉・千葉と、京都・大阪(クーデション)に集中しています(有価証券報告書)
  • 使えない店があります。 会社IRサイトには「『感動の肉と米』や『お肉の工場直売市』等、一部店舗ではご利用頂けません」と書かれています。今期いちばん出店しているレストラン業態の主力で使えない点は、優待の使い勝手として確認しておきたいところです
  • 900株以上はお米との引換が選べるので、店舗が近くにない株主にも価値が残る設計です

優待の費用はどのくらいか

会社は優待の費用総額を開示していません。参考として、2026年3月末の個人株主は18,413名、個人の持株は合計1,085万4,600株で、1人あたり平均約590株です(有価証券報告書の所有者別状況から筆者計算)。仮に個人株主全員が300〜599株区分(4,000円)だとすると約74百万円、全員が100株区分(1,000円)なら約18百万円です(筆者の試算。法人株主は含めていない)。今期の修正後営業利益予想(20億円)に対しては1〜4%程度です。貸借対照表の株主優待引当金は、3月末14百万円から9月末29百万円に増えています。

制度そのものは長く続いていますが、優待の継続は約束されたものではありません。株主数が増えるほど費用が増える設計である点は、念頭に置いておきたいところです。確認先は会社IRサイトの株主優待ページです。


7. 資本政策と株主還元

配当

決算期1株配当(分割調整後)配当性向(連結)配当の決め方
2024年3月期30円47.1%業績を勘案した安定配当(期末に上方修正に合わせ増配)
2025年3月期34円40.2%同上(株式分割に合わせ実質増配)
2026年3月期34円55.0%同上(据え置き)
2027年3月期(予想)34円65.3%(修正後予想ベース)同上(据え置き)

出所:各期の決算短信、株式分割等に関するお知らせ(2024年5月20日)。2024年3月期の配当性向は分割調整後の1株利益63.64円で筆者計算。2027年3月期は修正後予想の1株利益52.08円で筆者計算

この表のポイントは、利益が下がっても配当は34円で据え置かれ、配当性向が40%台から65%台に上がっていることです。

会社の配当方針は、書類によって表現が少し違います。

当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題と位置付けており、業績に応じて増配や株式分割を検討するなど、弾力的な還元策を行っていく方針であります。(有価証券報告書「配当政策」)

株主の皆様への適正な利益配分を実施するとともに、将来の事業拡大を実現するための内部留保の確保を行い、業績を勘案しながら安定的な配当を行うことを基本方針としております。(招集通知「剰余金の配当等の決定に関する方針」)

配当性向やDOE(純資産配当率)の数値目標は、どちらの書類にも書かれていません。実績を見る限り、利益が増えた年に増配し、減った年は据え置く運用になっています。今期の配当総額は約6億99百万円(34円×自己株式を除く株式数)で、修正後の純利益予想(10億70百万円)の範囲内に収まっています。DOEは3.1%(2026年3月期)です。

株数・自己株式・新株予約権

項目数値
発行済株式総数20,546,400株
自己株式630株
新株予約権(株式報酬型ストック・オプション)2,700株(行使価額1株1円、退任時に行使)

自己株式はごくわずかで、自己株式の取得は直近の期も行われていません(有価証券報告書)。新株予約権は2,700株と、発行済株式の0.01%です。潜在株式による希薄化は事実上考えなくてよい会社です。株式分割(2024年10月1日に1株を3株)の影響は、過去の数字をすべて分割後の株数に揃えて比べています。

大株主と株主構成

株主持株数持株比率
チャレンジブイコーポレーション有限会社7,497,000株36.49%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口)1,267,000株6.17%
佐藤啓介(代表取締役会長兼社長)615,000株2.99%
佐藤きい315,000株1.53%

出所:有価証券報告書(2026年3月31日現在)。持株比率は自己株式を除く発行済株式数に対する割合

筆頭株主のチャレンジブイコーポレーション有限会社は、所在地が愛知県小牧市の法人で、持株比率は36.49%です。3分の1を超えているので、この株主だけで株主総会の特別決議(定款変更・合併など)を否決できる水準です。ただし、筆者が確認した有価証券報告書と招集通知には、この法人と経営陣との関係は書かれていませんでした。コーポレート・ガバナンス報告書(2026年6月16日)は文字情報を読み取れなかったため確認できていません。関係が開示で確認できないので、本記事では佐藤啓介氏などの持株と合算していません。

株主構成では、個人株主が18,413名で、発行済株式の52.86%を持っています(有価証券報告書)。優待目当ての個人株主が多い構成と考えられます。2026年6月の定時株主総会では、佐藤啓介氏の取締役選任議案の賛成割合は96.46%でした(臨時報告書)。

用語メモ:株主総会の特別決議は、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。裏返すと、3分の1を超える議決権を持つ株主は、単独で特別決議を否決できます。

現金と時価総額

項目金額1株当たり
時価総額(2026年10月5日前場終値1,334円×発行済株式数)約274億円1,334円
現金及び預金+預け金88億12百万円約429円
同上−有利子負債(リース債務を除く)約78億72百万円約383円
純資産(1株当たり純資産、2026年9月末)225億30百万円約1,096円

出所:中間決算短信から筆者が計算

現金から借入を引いた額は時価総額の約3割に当たります。ただし、この現金は新規出店や買収(クーデションには14億50百万円を払いました)の原資でもあり、会社が株主に返すと約束しているものではありません。


8. 株価の見方

株価に関する事実(2026年10月5日前場時点)

  • 決算と業績予想の修正は2026年10月5日(月)9時00分、取引開始と同時刻に発表されました
  • 当日の前場は始値1,360円、高値1,362円(9時00分)、安値1,291円(9時02分)、前場終値1,334円(前日比△41円、△2.98%)でした。前日(10月2日)の終値は1,375円です。同じ日の前場、日経平均株価は大幅に上昇していました
  • 発表と同時刻に取引が始まっているので、当日の値動きには決算への反応が含まれていると考えられます。ただし、どの値動きがどの情報に対する反応かは日足・前場の値からは判断できません
  • 年初来高値は1,490円(2026年4月3日)、年初来安値は1,267円(2026年6月3日)です

出所:Yahoo!ファイナンス(報道ベース。後場を含む当日の終値は本記事の執筆時点で未確定)

指標(前場終値1,334円で計算)

指標値計算の前提
PER(修正後予想)約25.6倍修正後の予想1株利益52.08円
PER(修正前予想)約18.9倍修正前の予想1株利益70.57円
PBR約1.22倍2026年9月末の1株当たり純資産約1,096円
配当利回り約2.55%年34円
配当+優待の利回り(300株)約3.55%優待4,000円(長期保有なし)

株価情報サイトのPERは、執筆時点で修正前の予想1株利益(70.57円)で計算された18.90倍のままでした。修正後の予想で計算し直すと約25.6倍になります。

強気の見方

  • 修正後の予想は、利益側を前期並みに控えめに置き直しています。 前期の10月修正後予想は下期を100.7%の精度で言い当てました。今期の下期の置き方(前年比△5.7%)は前期(△5.9%)とほぼ同じです
  • 既存店の売上は+2.8%で、前期上半期(△2.0%)からは回復しています。 客数も+0.6%とプラスに戻りました
  • 1〜3月は3年続けて販管費率が最も低い季節で、下期の利益率が上半期より高くなるのは過去の形と合っています
  • 財務は極めて健全で(自己資本比率77.1%、実質的な現金約79億円)、配当34円の据え置きにも余裕があります
  • 優待目当ての個人株主が多く、株主構成は安定しています

弱気の見方

  • 粗利率が2年かけて約3ポイント下がり、7〜9月は14四半期で最も低い58.1%でした。 牛肉の相場(自分で決められない側)が戻らない限り、粗利率の回復は会社の努力だけでは決まりません
  • 会社予想は2年続けて上期決算で下方修正されました。 期初予想を読むときは、「上期で3割下振れした年が2年続いている」ことを前提に置く必要があります
  • 下期の売上+7.8%は、クーデションの上乗せがない状態で、新店9店舗の出店に頼る前提です。 上乗せが抜けた最初の月(2026年9月)の全店売上は+4.5%でした
  • 純利益予想は、上半期より低い税負担率と、前期より小さい下期の減損を前提にしている計算です。 前期並みの減損が下期に出れば届かない可能性があります
  • 修正後の予想ベースのPERは約25.6倍、配当性向は65.3%で、利益の回復が遅れれば配当性向はさらに上がります
  • 長期目標の売上高経常利益率15%に対し、今期の予想は5.0%です

どちらの見方を取るか

個人的には、この会社の今期は「売上の伸びは本物だが、その伸びが利益に変わる割合が、牛の相場と店の固定費に削られている」状態だと読んでいます。下期を判断する材料は、決算を待たなくても月次売上で毎月出てきます。新店がどのペースで出て、全店売上が+7.8%に近づくかどうかが、最初に見るべき数字だと考えます。


9. 今後のカレンダーと見るべきKPI

時期イベント確認すること
2026年11月上旬(例年)10月の月次売上全店売上が下期の前提(+7.8%)に近づいているか。新店の数
2026年11月13日(予定)半期報告書の提出7〜9月のセグメント利益(特に焼肉)、上半期のキャッシュ・フロー、減損の対象店舗
2026年12月16日(予定)中間配当17円の支払開始—
2027年1月上旬(例年)第3四半期決算10〜12月の粗利率が58%台から戻ったか。原材料在庫の残高
2027年3月29日(月)期末配当・株主優待の権利付き最終日優待は年1回この基準日のみ
2027年4月上旬(例年)通期決算修正後予想の達成度、下期の減損・税負担率、来期予想と配当
2028年3月期の期首新しいリース会計基準の適用(有価証券報告書)店舗の賃借が貸借対照表に載ることによる影響(会社は「評価中」)

見るべきKPI

  1. 月次の全店売上高・既存店売上高・既存店客数(会社IRサイトの月次速報)。下期の売上予想は+7.8%を置いています
  2. 四半期の粗利率。7〜9月は58.1%でした。2年前の水準(61〜62%)からの距離を見ます
  3. 焼肉事業のセグメント利益率。2025年3月期8.2%→2026年3月期6.3%→今期第1四半期5.4%
  4. 減損損失の額と店舗数。前期の下期は3億48百万円の特別損失が出ていました
  5. 新規出店数。今期計画15店舗のうち上半期6店舗

10. 3行まとめ

  • あみやき亭の上半期は、売上は計画どおり、営業利益は計画比△25.6%で、2年続けて上期決算と同時に通期予想を下方修正しました。前年比の減益の主因は販管費ではなく粗利率の低下で、7〜9月の営業利益率3.3%は14四半期で最も低い水準です
  • 修正後の予想は下期の営業利益を前年比△5.7%と控えめに置き直しましたが、売上はクーデションの上乗せなしで+7.8%を置いており、新店9店舗の出店がその前提です
  • 修正後予想ベースのPERは約25.6倍、配当性向は65.3%です。月次売上と半期報告書(11月13日)の焼肉事業の利益が、次の確認点です

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘・助言を目的としたものではありません。数値の出典は、決算短信、業績予想の修正に関する開示、株式取得・株式分割等の適時開示、有価証券報告書、臨時報告書、株主総会招集通知、会社IRサイトの月次売上前年比較推移表・株主優待ページです。株価・年初来高値安値・PERの表示値は株価情報サイトの値(報道ベース)で、株価は2026年10月5日の前場終値であり、同日の終値ではありません。四半期の数値、粗利率・販管費率、営業利益の3分解、修正後予想が置く下期、税負担率の逆算、優待の費用、買収の上乗せを除いた増収率は筆者の計算・試算です。クーデションの連結期間のずれ、月次売上と決算短信の差の理由は筆者の推測で、会社の開示に基づくものではありません。今回の決算には決算補足説明資料がなく、機関投資家・アナリスト向けの決算説明会の内容と質疑応答は一切反映していません。中間決算短信にはセグメント利益とキャッシュ・フロー計算書が記載されておらず、これらは半期報告書(2026年11月13日提出予定)で確認が必要です。コーポレート・ガバナンス報告書(2026年6月16日)は文字情報を読み取れず反映していないため、筆頭株主と経営陣の関係は確認できていません。2024年3月期の上期予想は確認できていません。業績予想は2026年10月5日9時00分の発表時点のもので、取引時間中に発表された情報と当日の値動きの前後関係は確認できていません。

記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。

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