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美樹工業(1718) 大阪ガスのガス管を70年掘ってきた工事屋が、ビルを建て、ときどきマンションを一棟まるごと売っている会社 9か月の減益と7〜9月の減益は、なぜ中身が違うのか?【2026年10月発表・第3四半期決算】

本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

この記事でわかること

  • 美樹工業の売上が四半期ごとに大きく跳ねる理由と、それを決算短信の「その他の収益」の行から見分ける方法
  • 9か月累計の減益(営業利益△29.6%)は「率」、7〜9月の減益は「量」で説明でき、中身が違うこと。一棟売りを除くと7〜9月の売上は前年比+3.5%
  • 据え置かれた通期予想が10〜12月に置いたもの:売上111.6億円(前年同期比+27.0%、過去3年の10〜12月で最大の87.9億円を大きく上回る水準)と、営業利益率3.06%(過去3年の範囲内)。ハードルは売上の側にあること
  • 上期予想に初めて届かなかった年に、会社の予想の外れ方がどう変わったか(達成履歴4期分)
  • 配当方針は「連結配当性向30%以上」だが、前期の連結配当性向は24.3%。有報の配当性向30.51%は単体ベースであること
  • 2月のToSTNeT-3と筆頭株主の交代、提出後に取り下げられた臨時報告書、10月1日の1株→3株の株式分割

1. 前提知識:ガス管を掘る工事屋が、ビルを建て、ときどきマンションを一棟売る

美樹工業は兵庫県姫路市の総合建設会社です。有価証券報告書の沿革によると、1952年に姫路で「三木組」として創業し、1956年に大阪ガスの指定工事会社になりました。今も都市ガス導管の敷設や入れ替え、道路の掘削と舗装の復旧、マンホール鉄蓋の修繕といった仕事を担っています。

この会社を一文で言うと、**「大阪ガスのガス管を70年掘ってきた工事屋が、ビルを建て、ときどきマンションを一棟まるごと売っている会社」**です。この一文には、強みと弱みが同じ形で入っています。

一文の部分中身数字の上での特徴
ガス管を掘るガス導管の敷設・入れ替え工事。毎日ある、量の読める仕事単体のガス導管の完成工事高は2023〜2025年に22.5億・24.2億・23.1億円で、ほとんど動いていない
ビルを建てる公共施設・商業施設・マンション・倉庫などの建築、土木、給排水空調の設備工事値段は契約したときに決まり、資材と職人の費用は後から払う。費用が上がれば粗利率が下がる(弱み①:率)
ときどき一棟まるごと売る自社で建てた収益マンションを一棟まるごと投資家に売る事業売れた四半期だけ売上が十数億〜二十数億円跳ね、その四半期と前年を比べると数字の見え方が大きく変わる(弱み②:量)

これに、子会社のセキスイハイム山陽(議決権56.7%)を中心とする住宅事業が加わります。積水化学工業のユニット住宅「セキスイハイム」の販売・施工、分譲、リフォームです。

この表のポイントは2つです。 1つ目は、ガス管の仕事が売上の土台として安定している一方で、利益の振れはビルと一棟売りから来ること。2つ目は、弱み①(率)と弱み②(量)が、このあと出てくる営業利益の分解の「率効果」と「数量効果」にそのまま対応することです。

事業の中身(2026年1〜9月)

セグメント外部顧客への売上高セグメント利益主な中身
建設事業190.3億円(前年同期比+12.7%)10.9億円(同△28.8%)建築・土木・ガス導管・ガス設備・給排水空調工事、一棟売りマンション、不動産賃貸
住宅事業96.3億円(同△6.4%)3.6億円(同△31.6%)セキスイハイムの戸建・集合住宅、分譲、リフォーム
その他(飲食)1.8億円0.07億円飲食店
連結288.4億円(同+5.4%)営業利益14.6億円(同△29.6%)—
  • 株主優待:制度なし(有価証券報告書の「株主に対する特典」は「該当事項はありません」。2024年2月14日の適時開示で優待の廃止を発表)
  • 決算説明資料・説明会:第3四半期は短信表紙で「無」。通期決算のみ説明資料を作る会社です

用語メモ:「一定の期間にわたり移転される財」は、工事の進み具合に応じて少しずつ売上にするもの。「一時点で移転される財」は、引き渡した時点でまとめて売上にするもの。美樹工業の短信のセグメント注記には、どちらにも入らない「その他の収益」という行があります。建設事業のこの行は普段は四半期あたり約0.6億円(2024年にセグメントへ組み込んだ不動産賃貸とみられる水準)ですが、特定の四半期だけ十数億〜二十数億円に跳ねています(第3章)。

直近の業績推移(連結)

決算期売上高営業利益利益率純利益EPSROE1株配当
2023年12月期322.0億円13.2億円4.1%8.4億円767.98円5.61%230円(特別70円込み)
2024年12月期272.9億円11.3億円4.2%6.6億円602.24円4.24%200円
2025年12月期361.5億円25.8億円7.1%15.7億円1,438.08円9.54%350円(特別50円込み)
2026年12月期(会社予想)400億円18億円4.5%11億円1,006.53円—300円

出典は有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」と各期の決算短信。億円は四捨五入。EPS・配当は2026年10月1日の株式分割(1株→3株)前の株数ベースです。分割後に直すと、2026年の予想EPSは335.51円、予想配当は年100円相当になります(第7章)。

前期は過去最高益でしたが、今期の予想は営業利益で前期比△30.3%の減益です。期初の短信は「繰越工事高及び受注工事高により増収が見込まれますが、建設コストの増加による影響等から、売上高及び利益は増収減益となる見通し」と書いています。

受注(単体):2025年の受注工事高は124.7億円、完成工事高は172.2億円で、期末の繰越工事高(受注残)は139.6億円です。1年前の187.1億円から△25.4%減りました。2024年に積み上がった大型工事を、2025〜2026年に売上として消化している形です。〈期首残187.1億円+受注124.7億円−完成172.2億円=期末残139.6億円〉は千円単位で一致します。四半期の受注・受注残は開示されていません。

用語メモ:2024年の受注工事高は、2024年12月期の短信では116.9億円、2025年12月期の短信の前期欄では114.6億円で、約2.4億円(238,638千円)違います。期末の繰越工事高も同じ額だけ189.5億円→187.1億円に変わっています。差の理由は短信に書かれていないので、本記事では新しい方(2025年12月期の短信)の値を使っています。

会社予想の達成履歴(営業利益)

決算期期初予想(期初の前期比)期中の修正(開示日)実績期初予想比上期予想→上期実績
2023年10.0億円(△9.3%)11.5億円(10月30日、第3四半期と同日)13.2億円+31.6%5.0億→7.6億円(151.4%)
2024年12.2億円(△7.3%)なし11.3億円△7.0%5.3億→5.4億円(102.6%)
2025年15.0億円(+32.2%)19.0億円(7月28日、中間と同日)→25.8億円(2026年2月5日、期末後)25.8億円+72.2%5.8億→10.7億円(184.8%)
2026年18.0億円(△30.3%)なし(第1四半期・中間・第3四半期とも据え置き)——10.0億→9.4億円(94.5%)

この表のポイントは2つです。 1つ目は、予想が上にも下にも外れる会社だということ。3年のうち2年は大きく上振れましたが、2024年は減益の予想にも届きませんでした。「いつも上振れる会社」とは言い切れません。2つ目は、上期予想に対する着地が、過去3年はすべて予想を上回っていたのに、**今期は初めて下回った(94.5%)**ことです。過去3年は毎年7月に「業績予想と実績値との差異」の開示が出ていましたが、今期は差が開示基準(売上10%・利益30%)の内側だったため、差異の開示も出ていません。

用語メモ:業績予想の修正や差異の適時開示は、売上10%・利益30%の基準に届かなければ出ません。開示が出ていないことは、予想どおりであることを意味しません。今期の上期は、営業利益が予想を5.5%下回っても開示の対象になりませんでした。


2. 決算ハイライト(2026年10月26日15時30分発表)

損益(9か月累計)

項目2025年1〜9月2026年1〜9月増減率
売上高273.7億円288.4億円+5.4%
売上総利益60.1億円55.1億円△8.2%
粗利率21.96%19.12%△2.84pt
販管費39.4億円40.6億円+3.0%
営業利益20.7億円14.6億円△29.6%
経常利益20.4億円14.2億円△30.4%
特別利益(固定資産売却益)0.4億円1.1億円—
親会社株主に帰属する純利益12.6億円9.3億円△26.8%

会社は利益の減少について「工事原価の増加に加え、当社において人事制度改定に伴い人件費が増加した影響等」と書き、純利益の減少幅が営業利益より小さい理由として「当社において賃貸用不動産の売却に伴い固定資産売却益を計上したこと等」を挙げています。固定資産売却益1.14億円は、ほぼ全額が第1四半期に計上されたものです。

営業外では支払利息が0.87億円と前年同期(0.65億円)から+33.3%増えました。営業利益と経常利益の差は△0.36億円で、金額は小さいものの、借入金と金利の両方が利益を削る経路として効いています(第6章)。

財政状態(9月末)

項目2025年12月末2026年9月末増減
総資産388.8億円355.9億円△33.0億円
受取手形・完成工事未収入金等86.8億円74.6億円△14.1%
棚卸資産86.5億円75.2億円△13.1%
有利子負債(リース除く)105.4億円76.0億円△29.3億円
現金預金+預け金30.4億円32.9億円+2.6億円
自己資本比率44.3%49.5%+5.2pt

会社は資産の減少を「工事代金の回収に伴い受取手形・完成工事未収入金等が減少したこと等」、負債の減少を「工事代金の回収による余剰資金を借入金の返済に充当」と説明しています。自己資本比率の上昇は、自己資本が増えたというより、借入金の返済で総資産(分母)が縮んだことが主な理由です(自己資本は172.3億円→176.3億円の+2.3%)。

第3四半期はキャッシュ・フロー計算書が作成されません。減価償却費は9か月で3.92億円、のれんの償却額は0.33億円です。


3. 深掘り①:売上が跳ねる四半期を、短信の1行で見分ける

ここからの3章は、1つの問いの3段階です。問いは「この会社の減益は、どこから来ていて、残り3か月で何が起きる前提なのか」。最初の段階として、四半期ごとの数字に何が混ざっているかを見分けます。

美樹工業は累計でしか損益を開示しないので、四半期の数字は自分で引き算するしかありません。15四半期を並べるとこうなります。

四半期売上粗利率販管費営業利益営業利益率建設の「その他の収益」住宅のセグメント利益
2023年1〜3月10,51418.2%1,1787367.00%59275
2023年4〜6月5,72119.2%1,075210.36%59△157
2023年7〜9月7,46320.0%1,1633294.41%59222
2023年10〜12月8,50616.6%1,1822302.71%1,591△57
2024年1〜3月7,41823.3%1,2235046.79%60236
2024年4〜6月5,70721.9%1,207400.70%1,430△196
2024年7〜9月7,19725.0%1,3064926.84%59349
2024年10〜12月6,97020.2%1,310991.42%59△79
2025年1〜3月8,81324.7%1,2988759.93%59260
2025年4〜6月7,12321.4%1,3311972.77%59△49
2025年7〜9月11,42920.2%1,3101,0008.75%2,859322
2025年10〜12月8,78622.5%1,4615125.82%6967
2026年1〜3月12,63917.4%1,3688336.59%2,533173
2026年4〜6月7,26420.2%1,3531121.54%61△68
2026年7〜9月8,94020.7%1,3355145.75%70259

単位は百万円(四捨五入)。各四半期は累計値からの筆者の差し引き。2023〜2025年の4四半期の合計は、それぞれの通期の開示値と一致することを確認しています(売上高・売上総利益・販管費・営業利益)。2024年に報告セグメントを4区分から2区分に変更しており、2023年の数字は2024年の短信に載った組み替え後の値です。2024年8月に買収したヒョウ工務店は、のれんの償却額(2024年通期11.9百万円、2025年42.6百万円)から見て、損益の取り込みは2024年10〜12月からとみられます。

この表のポイントは3つです。

1つ目は、建設の「その他の収益」が跳ねた四半期が4つあることです(2023年10〜12月、2024年4〜6月、2025年7〜9月、2026年1〜3月)。会社の説明で時期を確認できるのは2つで、2024年4〜6月は差異の開示に「下半期に予定しておりました1棟売の収益マンションの売却が6月に行われた」、2026年1〜3月は第1四半期短信に「1棟売りマンションの売却が行われた」とあります。平常の約0.6億円を引いた跳ねの大きさは、古い順に15.3億・13.7億・28.0億・24.7億円です。

ただし、一棟売りの売上が「その他の収益」の行に入ると会社が書いているわけではありません。 記載の時期が一致していることから、筆者がそう推測しているだけです。以下、本記事で「一棟売りを除く」と書くときは、この推測に基づいて建設の「その他の収益」を全額差し引いた値を指します。

2つ目は、4〜6月が3年続けて営業利益の最も小さい四半期だということです。住宅事業のセグメント利益が4年続けて4〜6月だけ赤字になっており(△157・△196・△49・△68百万円)、これは「季節性」と書ける形です。住宅の引き渡しが年度末(子会社の決算期は3月)に寄る一方、展示場や人件費は毎月出ていくためとみられますが、会社が理由を説明しているわけではありません。

3つ目は、一棟売りの入った四半期は粗利率が低めに出やすいことです。2023年10〜12月(16.6%)、2025年7〜9月(20.2%)、2026年1〜3月(17.4%)は、いずれもその年の最低の四半期でした。一方で2024年4〜6月(21.9%)はその年の最低ではないので、「いつもそうなる」とまでは言えません。一棟売りの粗利率そのものは開示されていません。

用語メモ:累計しか開示されない会社では、「1〜9月」から「1〜6月」を引いて「7〜9月」を出します。引き算で出した四半期の数字は、百万円未満切り捨ての開示値どうしの差なので、±1百万円程度の幅があります。

ここまでで分かったのは、この会社の四半期の売上と利益は、一棟売りがどの四半期に入ったかで大きく見え方が変わるということです。軸の一文の「ときどき一棟まるごと売る」が、数字ではこの行に出てきます。次の章では、この見分け方を使って、今回の減益を分解します。


4. 深掘り②:9か月の減益は「率」、7〜9月の減益は「量」

前章で一棟売りの入った四半期を見分けました。次の段階は、今回の減益がどちらの弱みから来ているのかです。営業利益の増減を、売上の増減による分(数量効果)、粗利率の変化による分(率効果)、販管費の増減の3つに分けます。

期間売上の増減粗利率数量効果率効果販管費合計=営業利益の増減
9か月累計+1,47721.96%→19.12%+324△820△118△613
1〜3月+3,82624.65%→17.42%+943△914△71△42
4〜6月+14121.45%→20.16%+30△94△22△86
7〜9月△2,48920.21%→20.69%△503+43△26△486

単位は百万円(四捨五入)。数量効果=売上の増減×前年の粗利率、率効果=当年の売上×粗利率の差、販管費は増加をマイナスで表示。各行の3項目の合計は、営業利益の実際の増減と一致することをスクリプトで確認しています(筆者の計算)。

この表のポイントは2つです。

1つ目は、9か月で見ると減益のほとんどは率効果(△8.2億円)で説明できることです。売上は増えているので数量効果はプラスで、販管費の増加(+3.0%)は△1.2億円にとどまります。会社の説明(工事原価の増加と人件費)と、軸の弱み①「値段は契約時に決まり、費用は後から払う」が、ここに出ています。しかも9か月どうしの比較では、前年(2025年7〜9月)にも今年(2026年1〜3月)にも一棟売りが1回ずつ入っているので、一棟売りの有無で率効果が歪んでいるわけではありません。

2つ目は、**7〜9月だけを見ると、減益は数量効果(△5.0億円)で説明でき、粗利率はむしろ上がっている(20.21%→20.69%)**ことです。前年の7〜9月には一棟売りが入っていて、今年の7〜9月には入っていない。7〜9月の売上の前年比△21.8%は、ほぼそれで説明できます。

一棟売りを除くと、7〜9月の売上は伸びている

期間開示の売上の前年比一棟売りを除いた売上の前年比うち建設(除く)の前年比
1〜3月+43.4%+15.5%+29.2%
4〜6月+2.0%+2.0%+8.7%
7〜9月△21.8%+3.5%+13.7%
9か月累計+5.4%+7.3%—

「一棟売りを除く」は、建設の「その他の収益」を全額差し引いた筆者の試算(前章の推測に基づく)。

7〜9月の売上は、一棟売りを除けば前年比+3.5%、建設事業だけなら+13.7%です。会社が書く「前連結会計年度末の繰越工事の進捗が順調に進んだ」は、この数字と整合します。一方で建設のセグメント利益は7〜9月で2.5億円と前年同期(6.7億円)から大きく減っています。前年同期の利益には一棟売りの利益が入っていた、と読めば説明はつきますが、一棟売りの利益額は開示されていないので、どれだけがそれで説明できるかは確かめられません。

用語メモ:「前年同期比」と「単独四半期」は別々の答えを出します。7〜9月の売上は前年同期比で△21.8%ですが、一棟売りのない四半期どうしで比べた伸び(+3.5%)とは別の顔です。どちらが正しいかではなく、何を比べているかが違います。

住宅事業も減益です。 9か月のセグメント利益は3.6億円で前年同期比△31.6%。会社は「前年同期に新規分譲地の販売に伴い引渡棟数が増加していたこと等」を理由に挙げ、上期の段階では「資材の調達環境の悪化により、ユニット住宅の引渡時期に遅れが生じた」とも書いていました。7〜9月の住宅のセグメント利益は2.6億円で、前年同期(3.2億円)を下回るものの、4〜6月の赤字(△0.7億円)からは戻っています。

ここまでで、減益の中身が見えました。9か月は「率」(費用の上昇)、7〜9月は「量」(前年の一棟売りの反動)です。最後の段階は、残り3か月に会社予想が何を置いているかです。


5. 深掘り③:残り3か月に予想が置いたもの

前章までで、今期の減益の中身を分けました。最後の段階は、据え置かれた通期予想(売上400億円・営業利益18億円)が、10〜12月に何を求めているかです。

予想が置いた10〜12月と、過去3年の同じ時点

年第3四半期時点の予想が置いた10〜12月実際の10〜12月売上の達成率その後の修正
2023年売上78.0億円、営業利益0.6億円(利益率0.82%)売上85.1億円、営業利益2.3億円(2.71%)109.0%なし(10月30日の修正後の予想に対し上振れ)
2024年売上76.8億円、営業利益1.8億円(2.40%)売上69.7億円、営業利益1.0億円(1.42%)90.8%なし(未達)
2025年売上76.3億円、営業利益△1.7億円(△2.25%)売上87.9億円、営業利益5.1億円(5.82%)115.1%期末後の2026年2月5日に上方修正
2026年売上111.6億円、営業利益3.4億円(3.06%)———

〈通期予想−第3四半期累計〉で出した筆者の計算。2025年の行は、累計が通期予想を超えたまま据え置いたため、10〜12月の営業利益が計算上マイナスになっています。会社が10〜12月の赤字を予想したわけではありません。

この表のポイントは2つです。

1つ目は、**今回の予想が10〜12月に置いた売上111.6億円は、前年同期(87.9億円)比で+27.0%、2年前(69.7億円)比で+60.1%**で、過去3年の10〜12月のどの年よりも大きいことです。過去3年の第3四半期時点の予想は、10〜12月の売上を76〜78億円に置いていました。今回は30億円以上大きく置いています。

2つ目は、営業利益率の要求は3.06%で、過去3年の10〜12月の実績(2.71%・1.42%・5.82%)の範囲内だということです。利益率が過去並みに出ても、売上が予想どおりに出なければ予想には届きません。ハードルは売上の側にあります。

用語メモ:「残り期間の含み」は〈通期予想−累計実績〉です。進捗率(今期は営業利益で81.0%)より、「残り3か月で売上をいくら、利益をいくら求めているか」のほうが予想の重さが伝わります。前年の同じ時点の進捗率は109.0%(修正後の19億円が分母)でしたが、分母の性質が違うので並べても意味が薄く、ここでは含みで読んでいます。

10〜12月の売上111.6億円をどう読むか

この売上をどこから立てるのかについて、会社は説明していません。開示から言えることは次のとおりです。

  • 一棟売りが10〜12月に入る前提なら、過去の跳ね(13.7〜28.0億円)を足せば、前年並みの売上でも届く水準になります
  • 一棟売りが入らない前提なら、工事の進捗だけで前年同期比+27%を作る必要があります。今期の一棟売りを除いた売上の伸びは、1〜3月+15.5%、4〜6月+2.0%、7〜9月+3.5%でした

どちらの前提なのかは開示から判断できず、本記事ではどちらとも決めません。期初の短信の「繰越工事高及び受注工事高により増収が見込まれます」という文言と、単体の売上予想240億円(前期比+15.6%)が残っていることは事実です。2025年末の単体の繰越工事高139.6億円は、単体の売上予想の58.2%に当たります。

感応度:10〜12月の売上と粗利率で、通期の営業利益はいくらになるか

10〜12月の売上 \ 10〜12月の粗利率17%18%19%20%21%
87.9億円(前年同期並み)14.5億円15.4億円16.2億円17.1億円18.0億円
96.6億円(前年同期+10%)16.0億円16.9億円17.9億円18.9億円19.8億円
100.0億円16.5億円17.5億円18.5億円19.5億円20.5億円
111.6億円(会社予想どおり)18.5億円19.6億円20.7億円21.8億円23.0億円

筆者の試算で、将来の見通しではありません。10〜12月の販管費は、前年同期(14.6億円)に今期9か月の販管費の伸び(+3.0%)を掛けた15.1億円で固定しています。第3四半期までの累計営業利益14.6億円に、各マスの10〜12月の営業利益を足した値です。

この表の読み方は1つです。 売上が会社予想どおり出れば、粗利率が今期の最低(1〜3月の17.4%)並みでも予想の18億円に届きます(届くのに必要な粗利率は約16.6%)。逆に売上が前年同期並みにとどまると、粗利率21%(今期のどの四半期より高い水準)でも17.98億円で、わずかに届きません。予想が表のどこに置かれているかで言えば、売上の伸びを大きく置き、粗利率は控えめに置いた形です。

修正開示の基準との距離

業績予想の修正開示は、営業利益なら予想から30%以上ずれる見込みのときに出ます。仮に10〜12月の営業利益がゼロでも通期は14.6億円で、予想比△19.0%です。売上でいえば、10〜12月が前年同期並み(87.9億円)なら通期376億円で予想比△5.9%と、10%基準の内側です。つまり、10〜12月が大きく外れても、期中に修正開示が出ない可能性が高い形です。2025年のように期末を過ぎてから修正が出るか、決算短信で初めて着地が分かるかのどちらかになりやすい、という読み方ができます。

3つの深掘りを1本の線でつなぐ

ここまでの3段階をまとめると、軸の一文がそのまま今回の決算の読み方になっています。

  • 「ときどき一棟まるごと売る」:四半期の売上の跳ねは、建設の「その他の収益」の行で見分けられる(第3章)
  • 「ビルを建てる」(弱み①:率):9か月の減益の大半は、費用の上昇による率効果(第4章)
  • 「ときどき売る」(弱み②:量):7〜9月の減益は、前年の一棟売りの反動による数量効果(第4章)
  • 残り3か月:予想は10〜12月に過去最大の売上を置いており、それが一棟売りなのか工事の進捗なのかは開示から分からない(第5章)

6. 財務:借入を返し、不動産を売った9か月

前期末は、大型工事の進捗で完成工事未収入金(契約資産を含む)が積み上がり、その立て替えを短期借入金でまかなっていました。2025年の営業キャッシュ・フローは△21.2億円で、売上債権の増加が△33.7億円でした。今期はその逆回転が起きています。

時点有利子負債(リース除く)現金預金+預け金ネット有利子負債
2024年12月末71.1億円26.2億円44.9億円
2025年12月末105.4億円30.4億円75.0億円
2026年3月末116.3億円37.6億円78.7億円
2026年6月末65.1億円38.9億円26.2億円
2026年9月末76.0億円32.9億円43.0億円

筆者の計算。有利子負債は短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・社債・長期借入金の合計。

この表のポイントは2つです。 1つ目は、3月末に受取手形・完成工事未収入金等が124.6億円まで膨らみ、借入も116億円台まで増えたあと、6月末までに工事代金の回収で大きく返済したことです。上期の営業キャッシュ・フローは+44.7億円(売上債権の減少23.2億円、棚卸資産の減少16.5億円)でした。2つ目は、9月末にかけて短期借入金が23.5億円→37.7億円と再び増えていることです。工事の立て替えが季節的に増減する会社なので、6月末と9月末のどちらが「平常」かは、1年分並べないと判断できません。

上期には、有形固定資産の売却による収入が9.6億円ありました。会社は「賃貸用不動産の売却」と書いており、第1四半期の固定資産売却益1.14億円と対応しています。土地は2025年末の95.3億円から9月末には89.1億円に、建物・構築物は41.6億円から36.6億円に減りました。

支払利息は9か月で0.87億円(前年同期比+33.3%)です。当座貸越の極度額151.5億円に対し、2025年末の実行残高は55.2億円で、借入余力は残っています。


7. 資本政策・株主還元

配当方針と実績

会社は2024年2月14日に配当方針を変更しました。

会社は次のように書いています(原文)。

変更前:当社は、株主の皆様へ長期的に安定した配当を継続することを基本方針とし、業績と配当性向及び将来の事業拡大のための内部留保の充実などを総合的に勘案して決定しております。

変更後:当社は、剰余金の配当に関しまして、株主還元を経営上の重要課題の一つと考え、連結配当性向30%以上を基準に、安定的な配当の実施及び将来の事業拡大のための内部留保などを勘案して決定することを基本方針としております。

決算期配当の決め方1株配当連結EPS連結配当性向普通配当だけの連結配当性向
2023年12月期総合勘案230円(特別70円込み)767.98円29.9%20.8%
2024年12月期連結配当性向30%以上200円602.24円33.2%33.2%
2025年12月期連結配当性向30%以上350円(特別50円込み)1,438.08円24.3%20.9%
2026年12月期(予想)連結配当性向30%以上300円(分割後換算で年100円)1,006.53円(予想)29.8%29.8%

筆者の計算(1株配当÷連結EPS)。株式分割前の株数ベース。

この表のポイントは2つです。

1つ目は、前期(2025年12月期)の連結配当性向は24.3%で、方針の「30%以上」を下回っていたことです。方針どおりなら1株配当は約431円(1,438.08円×30%)になる計算でした。期中には、2025年7月に配当予想を年200円→300円に引き上げ、期末後の2026年2月に特別配当50円を足して350円にしています。

2つ目は、有価証券報告書の配当政策に書かれた「当事業年度の配当性向は30.51%」は単体ベースだということです。350円÷単体EPS1,147.25円=30.51%で再現できます。方針は「連結」配当性向なので、有報の30.51%を見て「方針どおり」と読むと、連結と単体を取り違えることになります。子会社のセキスイハイム山陽(議決権56.7%)の利益の一部は非支配株主のもので、連結の純利益と単体の純利益の差がここに出ます。

用語メモ:有価証券報告書の5期表には、連結の表と提出会社(単体)の表があり、「配当性向」の欄は単体の表にしかないことがあります。美樹工業もそうです。方針がどちらの配当性向を指すかは、方針の原文(「連結配当性向30%以上」)で確認します。

今期の予想(年300円、分割後換算で年100円)は、予想EPS1,006.53円に対し29.8%です。純利益の着地によって配当性向がどう動くかを置くと次のとおりです。

通期の純利益1株利益(分割後、期中平均株式数で概算)年100円の連結配当性向
9.3億円(第3四半期累計のまま)286.2円34.9%
10.0億円309.3円32.3%
11.0億円(会社予想)340.3円29.4%
12.0億円371.2円26.9%

筆者の試算。分母は第3四半期の期中平均株式数(分割後3,232,787株)で、実際の期中平均とは少しずれます。

予想どおりの純利益なら配当性向は30%をわずかに下回り、10.8億円を下回る着地なら30%を超えます。予想の純利益が上振れすれば、前期と同じく「方針の30%を下回る配当性向」になる計算です。前期は特別配当で一部を埋めました。今期も同じ対応をとるかは、開示がありません。

用語メモ:会社予想EPS1,006.53円は、純利益予想11億円を2025年12月末の株数(自己株式を除く1,092,869株)で割った値です。2月の自己株式取得で株数は減っているので、実際のEPSは予想EPSより少し高く出る計算です(分割後換算で、予想EPS335.51円に対し第3四半期の期中平均株式数で割ると340.3円)。

権利付き最終日

区分基準日権利付き最終日1株配当(予想)
期末配当2026年12月31日(木)2026年12月28日(月)50円(分割後)

基準日の12月31日は取引所の休業日なので、直前の営業日(12月30日(水))から2営業日前を数えています(筆者の計算)。中間配当(6月30日基準)は1株150円(分割前)で支払い済みです。配当の決定機関は、有報の配当政策によると期末配当が株主総会、中間配当が取締役会です。

株式分割(2026年10月1日、1株→3株)

2026年8月31日(15時30分)に発表し、9月30日を基準日として10月1日に1株を3株に分割しました。発行済株式総数は1,153,263株→3,459,789株です。配当予想は分割後の株数に合わせて期末150円→50円に修正しましたが、会社は「株式分割を考慮した実質的な配当予想に前回予想からの変更はありません」と書いています。

分割の5か月前(2026年3月26日)には、投資単位が50万円以上であることを理由に「投資単位の引下げに関する考え方および方針等について」を開示し、引下げについては「実施の要否および実施する場合はその時期について、慎重に検討したい」と書いていました。2025年末の投資単位は86.2万円(終値8,620円×100株)です。分割後の10月28日終値2,260円では22.6万円になります。

自己株式取得(ToSTNeT-3)と筆頭株主の交代

日付開示・出来事
2026年2月13日(15時30分)取締役会で自己株式取得を決議(上限20,000株・1.6億円、取得期間2月16日〜28日、ToSTNeT-3)
2月19日(16時30分)2月19日の終値8,300円で、翌朝8時45分にToSTNeT-3で19,200株の買付けを委託すると開示
2月20日(11時15分)19,200株・1億5,936万円を取得し、取得を終了。あわせて主要株主である筆頭株主の異動を開示
2月26日主要株主である筆頭株主の異動に関する臨時報告書を提出
3月10日上記の臨時報告書を「当該規定に該当しないことが判明しました」として取り下げ(訂正臨時報告書)

取得株数19,200株は、自己株式を除く発行済株式総数の1.76%です。

2月20日の会社の開示によると、筆頭株主だった三木佳美氏から「当社の ToSTNeT-3 による買付けに関し、その保有する当社株式の一部を 2026 年 2 月 20 日に売却した旨の連絡を受けております」とあります。売り手を会社自身が開示している取引です。

株主2025年12月末(有報)2026年2月20日の会社開示(異動後)2026年6月末(半期報告書)
三木 博也151,700株(13.88%)151,760株(14.17%)※第1位151,700株(14.12%)
三木 佳美167,000株(15.28%)147,850株(13.80%)※第2位135,800株(12.64%)

有報・半期報告書の株数は百株単位の表示。比率は、有報・半期報告書が「発行済株式(自己株式を除く)の総数に対する割合」、2月20日の開示が「総株主の議決権の数に対する割合」で、分母が違います。

この表のポイントは2つです。

1つ目は、2月20日の会社開示の異動後の株数(147,850株)と、6月末の半期報告書の株数(135,800株)が12,050株違うことです。2月26日に提出された臨時報告書では、異動後の議決権を1,358個(135,800株相当)と書き、その数字は「2026 年2月 25 日付で提出された大量保有報告書(変更報告書)に基づき記載しており、株主名簿における実質所有株式数を確認したものではありません」と注記していました。その臨時報告書は3月10日に取り下げられています。取り下げの理由は「当該規定に該当しない」(主要株主の異動に関する臨時報告書の提出要件に当たらない)というもので、株数の誤りを理由にしたものではありません。12,050株がいつ、どのように動いたのかは、筆者が確認できた開示からは分かりません(三木佳美氏が提出した変更報告書本体は読めていません)。

2つ目は、ToSTNeT-3は市場の外で特定の売り手から買い取る取引なので、市場の需給に直接効くものではないことです。一方で株数は1.76%減るので、1株当たり利益を押し上げる効果は残ります。また自己株式の取得で分母(議決権の総数)が縮んだため、三木博也氏の議決権比率は株数が同じまま13.92%→14.17%に上がっています。

大株主の上位10名の合計は、6月末で50.07%です。同じ姓の個人が複数並んでいますが、親族関係を示す開示は確認していないので、本記事では持株比率を合算していません。

自己株式・株式報酬・優待

  • 自己株式:分割後の9月末で236,682株(発行済の6.84%)。2月の取得のほか、4月24日に取締役3名への譲渡制限付株式報酬として700株を処分(処分価額7,610円=3月25日の終値)
  • 潜在株式:なし(短信・有報とも「潜在株式が存在しない」)
  • 株主優待:制度なし(有報の「株主に対する特典」は「該当事項はありません」)

8. 株価の見方

株価に依存する数字(2026年10月28日終値2,260円を基準)

指標値計算
時価総額約72.8億円2,260円×自己株式を除く3,223,107株
予想PER6.74倍2,260円÷予想EPS335.51円(分割後)
実績PER(前期)4.71倍2,260円÷前期EPS479.36円(1,438.08円÷3)
PBR0.41倍2,260円÷9月末の1株純資産5,469.6円(自己資本176.3億円÷3,223,107株。筆者の計算)
予想配当利回り4.42%年100円(分割後換算)÷2,260円
年初来高値・安値3,323円(2月10日)・2,207円(8月17日)分割を考慮した調整後の値

株価・出来高は東京証券取引所の公開データ(Yahoo!ファイナンスの時系列ページで確認)。分割前の株価は3で割って表示しています。株価に依存するすべての数字は、公開時点の株価で差し替えが必要です。

株価の一次情報との照合として、2月19日の終値8,300円はToSTNeT-3の取得価格と、3月25日の終値7,610円は譲渡制限付株式の処分価額と一致しました。2025年12月30日の終値8,620円は、短信の「時価ベースの自己資本比率」24.2%(8,620円×1,092,869株÷総資産388.8億円)と、有報の株価収益率5.99倍×EPS1,438.08円(約8,614円)の両方で裏が取れます。

決算発表と株価の動き(事実の並び)

開示(すべて15時30分)最初に反応が出る日前営業日の終値→その日の終値(分割前)
2026年2月5日 前期の業績予想の上方修正2月6日(金)8,650円→9,050円(+4.6%)
2月13日 前期決算・今期予想(減益)・自己株式取得の決議2月16日(月)9,590円→8,250円(△14.0%、出来高53,200株)
4月27日 第1四半期決算4月28日(火)7,490円→7,260円(△3.1%)
7月27日 中間決算7月28日(火)7,450円→6,920円(△7.1%)
8月31日 株式分割9月1日(火)6,850円→7,250円(+5.8%)
10月26日 第3四半期決算10月27日(火)2,297円→2,268円(△1.3%、分割後。出来高10,500株)

すべて取引終了と同時刻の15時30分の発表なので、発表日の終値には反応は含まれません。値動きの理由は日足からは分からず、決算以外の材料も含まれます。ここでは発表の時刻と翌営業日の値動きの事実だけを並べています。年初(2025年12月30日、分割調整後2,873円)からの下落率は△21.3%です。

強気側の読み方

  • ガス管の仕事という土台:単体のガス導管の完成工事高は3年間22〜24億円台で安定しており、売上の振れの外側にある仕事です(軸の「ガス管を掘る」)
  • 7〜9月の工事は伸びている:一棟売りを除けば7〜9月の売上は前年比+3.5%、建設事業だけなら+13.7%。減益の見かけほど本業の量は落ちていません
  • 利益率の要求は過去の範囲内:予想が10〜12月に置いた営業利益率3.06%は、過去3年の10〜12月(1.42〜5.82%)の範囲に入っています
  • 予想を控えめに置いて上振れた年がある:2023年・2025年は期初予想を大きく上回りました。10〜12月の売上が予想どおり出れば、粗利率17%でも予想に届く計算です
  • 財務の巻き戻し:工事代金の回収と不動産売却で、有利子負債は前期末から29億円減り、自己資本比率は49.5%に戻りました
  • 株価の水準:PBR0.41倍、実績PER4.71倍、予想配当利回り4.42%(いずれも10月28日終値ベース)

弱気側の読み方

  • 率の悪化が続いている:9か月の減益の大半は率効果(△8.2億円)です。値段は契約時に決まり費用は後から払う、という弱み①が今期の数字に出ています(軸の「ビルを建てる」)
  • 10〜12月の売上の要求が大きい:前年同期比+27.0%、過去3年の10〜12月のどの年より30億円以上多い売上を置いています。それが一棟売りなのか工事の進捗なのか、会社は説明していません(軸の「ときどき一棟売る」)
  • 上期予想に初めて届かなかった:過去3年は上期予想を上回っていましたが、今期は94.5%。差が開示基準の内側だったため、差異の開示も出ていません
  • 修正開示が出にくい形:10〜12月の営業利益がゼロでも予想比△19.0%で、30%基準の内側です。外れても期中に修正が出ず、期末後に分かる可能性が高い形です
  • 配当方針と実績の距離:方針は連結配当性向30%以上ですが、前期の連結配当性向は24.3%でした。有報の30.51%は単体ベースです
  • 流動性:分割後の10月の1日の出来高は800〜10,500株。思った値段で売買できない可能性があります
  • 住宅事業の減益:9か月のセグメント利益は△31.6%。4〜6月は4年続けて赤字の季節です

同じ数字が両側に置ける箇所があります。10〜12月の売上の要求の大きさは、「一棟売りが入れば届く」と読めば強気の材料、「工事だけで+27%は大きい」と読めば弱気の材料です。どちらの読みでも、数字は同じ111.6億円です。


9. 今後のカレンダーと見るべきKPI

時期イベント見るポイント
2026年12月28日(月)期末配当の権利付き最終日1株50円(分割後)
2026年12月31日期末(配当基準日)—
2027年2月中旬(前年は2月13日)2026年12月期決算・2027年12月期予想10〜12月の売上(予想が置いた111.6億円に対して)、建設の「その他の収益」が10〜12月に跳ねたか、期末配当と特別配当の有無、連結配当性向
2027年2月まで期末後の業績予想の修正(前年は2月5日)出るか、どちらの向きか
2027年3月上旬決算補足説明資料(前年は3月6日掲載)一棟売りや大型工事の説明
2027年3月下旬有価証券報告書・定時株主総会大株主の状況、単体の配当性向、受注残

見るべきKPI

  • 建設の「その他の収益」(一棟売りの有無の目安。筆者の推測に基づく見方)
  • 四半期の粗利率(今期は17.4%・20.2%・20.7%)
  • 単体の受注工事高・繰越工事高(通期決算でのみ開示。2025年末は139.6億円)
  • 住宅事業のセグメント利益(4〜6月の赤字が続くか)
  • 有利子負債と支払利息
  • 連結配当性向(方針30%以上との距離)

10. 3行まとめ

  • 美樹工業の9か月の減益(営業利益△29.6%)は、費用上昇による率効果(△8.2億円)で説明でき、7〜9月の減益は前年の一棟売りの反動による数量効果(△5.0億円)で説明できる。一棟売りを除くと7〜9月の売上は前年比+3.5%
  • 据え置いた通期予想は、10〜12月に売上111.6億円(前年同期比+27.0%、過去3年の10〜12月で最大の水準)と営業利益率3.06%(過去の範囲内)を置いている。ハードルは売上の側で、それが一棟売りか工事の進捗かは開示から分からない
  • 配当方針は連結配当性向30%以上だが、前期の連結配当性向は24.3%で、有報の30.51%は単体ベース。2月のToSTNeT-3で筆頭株主が交代し、10月1日に1株→3株の分割を実施した

本記事について

本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。

本記事は投資勧誘・助言を目的としたものではありません。数値の出典は、美樹工業の決算短信(2023年12月期〜2026年12月期第3四半期)、適時開示(業績予想の修正・差異、配当方針の変更、自己株式の取得・ToSTNeT-3、株式分割、投資単位の引下げに関する考え方、譲渡制限付株式報酬)、有価証券報告書(2025年12月期)、半期報告書(2026年12月期)、臨時報告書・訂正臨時報告書、株価は東京証券取引所の公開データ(Yahoo!ファイナンスの時系列ページで確認)です。四半期の数字、営業利益の分解、残り期間の含み、感応度表、配当性向の試算、1株純資産は筆者の計算です。以下の点にご注意ください。

  • 当第3四半期について会社は決算補足説明資料・決算説明会を作成・開催しておらず、本文の会社説明は決算短信の定性的情報と各時点の適時開示に基づきます。当四半期についての会社の追加説明・質疑応答は一切反映していません
  • 一棟売りの売上が建設事業の「その他の収益」に計上されているという見方、および「一棟売りを除く」売上・前年比は、記載時期の一致に基づく筆者の推測で、会社の開示に基づくものではありません。一棟売りの利益額・粗利率は開示されていません
  • 住宅事業の4〜6月が赤字になる理由(引き渡しの時期と費用の関係)は筆者の推測で、会社は理由を開示していません
  • 予想が10〜12月に置いた売上111.6億円に一棟売りが含まれるかどうかは開示がなく、本記事ではどちらとも判断していません
  • 三木佳美氏の株数が2026年2月20日の会社開示(147,850株)と6月末の半期報告書(135,800株)で異なる点について、差の時期と理由は確認できていません。三木佳美氏が提出した大量保有報告書(変更報告書)本体は確認していません
  • 2024年の受注工事高・繰越工事高は短信の版によって約2.4億円異なり、新しい方(2025年12月期の短信)の値を使っています
  • 発表はいずれも15時30分で、発表日の終値には反応が含まれません。翌営業日の値動きは決算以外の要因も含みます
  • 公開までに新しい開示が出ている可能性があります。本記事で確認した適時開示は2026年10月26日の第3四半期決算短信までです

記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。

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