本記事は2026年9月時点の公開情報に基づく個人の分析メモです。**執筆には生成AIを利用していますが、数値は筆者が一次情報と照合しています。**特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
この記事でわかること
- ジャパニアスが「何を売っていて、何を自分で抱えている会社か」を1つの例えで整理します
- 上半期(2025年12月〜2026年5月)の累計決算を、四半期ごとに差し引くと、3〜5月(第2四半期)の3か月は単独で営業赤字だったことが見えてきます
- 会社は通期予想を据え置きましたが、下期に前年同期比+27.6%の営業利益を求める計算になります。過去3期、この会社は期中に一度も予想を修正せず、期末を過ぎた12月に修正するという形を繰り返しています
- コプロテクノロジー社からの事業承継は、稼働しているエンジニア1人あたり500万円という値付けの式で価格が決まり、730百万円から602.5百万円に下がりました
- 決算書の隅にある「受注損失引当金」が、1年半で約15倍に積み上がっています
- 配当性向50%・毎期増配の方針と、2億円の自己株式取得の進み具合、支配株主が6割超を持つ株主構成、グロース市場の新しい時価総額基準との距離を確認します
1. ジャパニアスはどんな会社か
1-1. 例えるなら「人を雇って、客先に『時間』を貸し出している会社。空いた時間は自分持ち」
ある自動車部品メーカーの設計部を想像してください。新しい車載ソフトの開発で、半年間だけエンジニアが10人足りない。自社で10人採用すれば、求人広告を出し、面接し、研修し、そして半年後にプロジェクトが終わったあとも給料を払い続けなければなりません。
そこで、エンジニアを雇って育てている会社に「10人、半年、うちの机に座って設計を手伝ってほしい」と頼みます。ジャパニアスがやっているのはこの仕事です。有価証券報告書によれば、同社のエンジニアの約9割は顧客企業の現場に常駐しています(オンサイト型開発支援。契約形態は派遣・準委任・請負)。残りは自社の開発センターで仕事を丸ごと請け負う受託開発です。
この例えで、同社の強みと弱みが同じ1文から出てきます。
- 強み:顧客は採用・研修・待機のリスクを持たなくてよい。その代わりに、ジャパニアスが年間370人規模(2025年11月期:新卒40人・中途330人)を採用し、研修施設(J-college)で育て、客先に送り出します。「人が足りない」業界ほど、この仕事の価値は上がります
- 弱み:客先の机が空いた時間(待機)も、エンジニアの給料は会社が払い続けます。さらに、受託開発のように**「時間」ではなく「成果物」を約束した仕事**では、想定以上に工数がかかっても追加の代金はもらえません
今回の上半期決算は、この弱み側の2つが同時に出た決算でした。会社は減益の理由として「大口顧客からの需要急減による待機コスト」と「一部大型案件で想定を上回る工数」を挙げています。本記事では、この例えを最後まで使います。
1-2. 事業の骨格
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業 | 先端エンジニアリング事業(単一セグメント) |
| サービス | オンサイト型開発支援(客先常駐)、受託開発(自社拠点で請負) |
| 技術領域 | ソフトウェア、クラウド・インフラ、機械・電気電子、化学・バイオ |
| 本社 | 横浜市西区(横浜ランドマークタワー) |
| 設立・上場 | 1999年12月設立、2022年9月13日 東証グロース上場 |
| 決算期 | 11月(非連結) |
| 従業員数 | 1,805名(2025年11月末、就業人員。臨時従業員は別) |
| 最大顧客 | 株式会社アルファシステムズ(2025年11月期の売上1,341百万円、売上高の11.1%) |
| 株主優待 | 制度なし(会社FAQで「現在ご用意はございません」と明言) |
出典:有価証券報告書(第26期)、会社IRサイト
この表のポイントは2つです。1つは、売上の1割強を1社に依存していること(有報の「主要な顧客ごとの情報」は売上高の10%以上の顧客だけが載る欄です)。もう1つは、単一セグメントで事業別の損益が出ないことです。オンサイト型と受託開発のどちらがどれだけ稼いでいるかは、決算書からは読めません。
1-3. 5期分の業績推移
| 決算期 | 売上高 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 1株配当 | 配当性向 | ROE | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021年11月期 | 7,243 | 363 | 275 | 69.68円 | 36.68円 | 52.6% | 14.1% | 61.9% |
| 2022年11月期 | 8,324 | 615 | 442 | 116.28円 | 55.00円 | 47.3% | 20.1% | 62.1% |
| 2023年11月期 | 9,885 | 873 | 616 | 155.52円 | 77.00円 | 49.5% | 23.2% | 62.3% |
| 2024年11月期 | 11,211 | 1,022 | 722 | 181.51円 | 95.00円 | 52.3% | 24.7% | 60.5% |
| 2025年11月期 | 12,084 | 1,078 | 765 | 193.09円 | 99.00円 | 51.3% | 24.0% | 58.4% |
| 2026年11月期(会社予想) | 13,150 | 1,120 | 785 | 198.05円 | 101.00円 | 51.0% | — | — |
単位:百万円(EPS・配当は円)。出典:有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」、2025年11月期決算短信
この表のポイントは2つです。
- 増収は続いていますが、利益の伸びは鈍っています。 経常利益の伸びは、+41.9%(2023年)→+17.1%(2024年)→+5.4%(2025年)→会社予想+3.9%(2026年)と、毎年細くなっています
- ROEは24%前後と高い水準です。 配当性向を5割前後で固定し、残りを内部に貯める形なので、自己資本は毎年ゆっくり積み上がります
1-4. 会社予想の達成履歴——「期中は動かさず、期末後に直す」会社
今期の予想を読む前に、この会社の予想がどう動いてきたかを確認しておきます。
| 決算期 | 期初予想(営業利益) | 修正の開示日 | 修正後=実績(営業利益) | 期初比 | 修正の理由(会社の説明の要旨) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年11月期 | 747 | 2023年12月18日 | 836 | +11.9% | 第4四半期も好調に推移する見通し |
| 2024年11月期 | 1,020 | 2024年12月25日 | 945 | △7.4% | 研修期間が必要な採用者の割合増加による稼働率低下 |
| 2025年11月期 | 1,040 | 2025年12月15日 | 982 | △5.6% | 受託開発で計画していた大型案件の失注 |
| 2026年11月期 | 1,035 | —(上半期時点で据え置き) | — | — | — |
単位:百万円。出典:各期の決算短信、「業績予想の修正に関するお知らせ」
この表のポイントは2つです。
- 3期とも、修正の開示は決算期末(11月30日)を過ぎた12月です。 期中に予想を動かしたことは、この3期では一度もありません
- 2024年と2025年の修正理由には、同じ一文が入っています。 「第2四半期までは計画の達成が厳しかったため、第3四半期以降は計画達成に向け追加施策を展開したものの、年間業績の達成は厳しい見通しとなりました」
つまり、この会社の「上半期時点での据え置き」は、過去2期でも同じように行われ、その後で下方修正に至っています。「据え置いた=会社が自信を持っている」とは読めない、というのがこの表の役割です。一方で2023年のように上方修正で着地した年もあり、「据え置きは下方修正の前触れ」とも言い切れません。第4章で今期の数字に当てはめます。
1-5. 中期経営計画(2026年11月期〜2028年11月期)
2026年1月23日に発表された3か年計画は、毎年見直すローリング方式です。
| 項目 | 2025年11月期実績 | 2026年11月期 | 2027年11月期 | 2028年11月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 12,084 | 13,150 | 14,640 | 16,600 |
| 経常利益 | 1,078 | 1,120 | 1,260 | 1,555 |
| 経常利益率 | 8.9% | 8.5% | 8.6% | 9.4% |
| エンジニア在籍数 | 1,731人 | 1,875人 | 2,020人 | 2,220人 |
| 退職率 | 14.1% | 11.7% | 11.5% | 11.0% |
| ビジネスパートナー数 | 57人 | 70人 | 100人 | 200人 |
単位:百万円。出典:2025年11月期決算説明会資料(事業計画及び成長可能性に関する事項)
この表のポイントは3つです。
- 前の中計から数字が下がっています。 2026年11月期は前中計の売上13,600百万円・経常利益1,280百万円から、13,150百万円・1,120百万円に引き下げられました。会社は理由を「エンジニアの定着率向上を優先する計画へ見直し」と書いています
- 退職率14.1%が最大の課題として明示されています。 採用は計画どおりでも辞める人が想定を上回り、在籍数が思うほど増えない、というのが会社自身の振り返りです
- コプロテクノロジー社からの事業承継(第5章)は、この計画に含まれていません。 資料に「M&Aや資本・事業提携が与える影響は考慮していない」と明記されています
用語メモ:中計資料の「実績」欄の食い違い 中期経営計画の資料と英語版の中計策定のお知らせでは、2025年11月期の経常利益「実績」が1,087百万円と記載されています。決算短信・招集通知・有価証券報告書ではいずれも1,078,121千円(=1,078百万円)で、数字の並びが入れ替わった誤記の可能性があります。本記事では短信の1,078百万円を使います。会社からの訂正は、筆者が確認した範囲では出ていません。
2. 上半期決算のハイライト(2026年7月6日発表)
2-1. 損益計算書
| 項目 | 2025年11月期上半期 | 2026年11月期上半期 | 増減率 | 通期会社予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,810 | 6,469 | +11.3% | 13,150 | 49.2% |
| 売上総利益 | 1,455 | 1,351 | △7.1% | 3,190 | 42.4% |
| 売上総利益率 | 25.0% | 20.9% | △4.1pt | 24.3% | — |
| 販売費及び一般管理費 | 1,109 | 1,128 | +1.8% | — | — |
| 営業利益 | 346 | 222 | △35.6% | 1,035 | 21.5% |
| 営業利益率 | 6.0% | 3.4% | △2.6pt | 7.9% | — |
| 経常利益 | 412 | 292 | △29.1% | 1,120 | 26.1% |
| 中間純利益 | 272 | 193 | △28.8% | 785 | 24.7% |
| 1株当たり中間純利益 | 68.69円 | 48.86円 | △28.9% | 198.05円 | 24.7% |
単位:百万円(百万円未満切捨て)。進捗率は筆者の計算。出典:2026年11月期第2四半期(中間期)決算短信、決算説明会資料
この表のポイントは2つです。
- 売上は11.3%伸びたのに、売上総利益は7.1%減りました。 売上原価が+17.5%と売上を大きく上回って増えたためです
- 経常利益の減り方(△29.1%)は、営業利益の減り方(△35.6%)より小さくなっています。 営業外収益(顧客からの受取手数料41百万円、助成金25百万円など)が72百万円あり、これが経常利益の約24%を占めているためです。前期の通期では営業外の比重は約9%でした
用語メモ:売上総利益と営業利益 売上総利益は「売上−売上原価」。この会社の売上原価の大半は、客先で働くエンジニアの給料です。営業利益はそこからさらに「販売費及び一般管理費」(営業・採用・本社部門の費用)を引いたものです。
2-2. 貸借対照表とキャッシュ・フロー
| 項目 | 2025年11月末 | 2026年5月末 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 現金及び預金 | 3,691 | 3,070 | △620 |
| 売掛金及び契約資産 | 1,622 | 1,574 | △47 |
| 無形固定資産 | 11 | 410 | +399 |
| 投資その他の資産 | 351 | 570 | +219 |
| 総資産 | 5,786 | 5,779 | △7 |
| 短期借入金 | 300 | 125 | △175 |
| 受注損失引当金 | 21 | 78 | +56 |
| 純資産 | 3,379 | 3,375 | △3 |
| 自己資本比率 | 58.4% | 58.4% | ±0 |
単位:百万円。出典:同上
| キャッシュ・フロー | 2025年11月期上半期 | 2026年11月期上半期 |
|---|---|---|
| 営業CF | +511 | +371 |
| 投資CF | △32 | △619 |
| (うち事業譲受による支出) | — | △602 |
| 財務CF | +111 | △372 |
| 期末現金 | 3,589 | 3,070 |
この2つの表のポイントは、現金が620百万円減ったのは、ほぼ全額が事業承継の代金(602百万円)で説明できることです。その支払いで生まれたのが、無形固定資産の増加(のれん379百万円を含む)と投資その他の資産の増加です(詳細は第5章)。借入金は175百万円返済し、5月末の実質的な手元資金(現金−借入金)は約2,945百万円です。
3. 深掘り①:10四半期を並べると、3〜5月は単独で営業赤字
ここからが本記事の中心です。問いは1つで、**「上半期の減益はどの3か月で起き、下期にどれだけ戻る前提になっているのか」**です。この章では前半(どこで起きたか)を扱います。
3-1. 累計しか開示されないので、自分で引き算する
この会社の決算短信は「第1四半期累計」「上半期累計」「第3四半期累計」「通期」の4つの累計値で出てきます。各3か月の損益は、累計どうしを引き算して自分で作るしかありません。
| 期 | 3か月 | 売上高 | 売上総利益 | 粗利率 | 販管費 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年11月期 | 12〜2月 | 2,665.8 | 689.2 | 25.9% | 542.0 | 147.2 | 5.5% |
| 2024年11月期 | 3〜5月 | 2,789.6 | 639.4 | 22.9% | 521.5 | 118.0 | 4.2% |
| 2024年11月期 | 6〜8月 | 2,841.7 | 727.9 | 25.6% | 445.7 | 282.1 | 9.9% |
| 2024年11月期 | 9〜11月 | 2,914.3 | 842.3 | 28.9% | 443.8 | 398.5 | 13.7% |
| 2025年11月期 | 12〜2月 | 2,835.2 | 741.0 | 26.1% | 519.2 | 221.8 | 7.8% |
| 2025年11月期 | 3〜5月 | 2,975.5 | 714.4 | 24.0% | 590.0 | 124.3 | 4.2% |
| 2025年11月期 | 6〜8月 | 3,083.7 | 782.4 | 25.4% | 494.6 | 287.8 | 9.3% |
| 2025年11月期 | 9〜11月 | 3,190.3 | 662.4 | 20.8% | 313.6 | 348.8 | 10.9% |
| 2026年11月期 | 12〜2月 | 3,158.2 | 751.2 | 23.8% | 506.2 | 244.9 | 7.8% |
| 2026年11月期 | 3〜5月 | 3,311.6 | 600.6 | 18.1% | 622.5 | △21.9 | △0.7% |
単位:百万円。各期の決算短信の累計値から筆者が差し引いて算出。2024年・2025年の4四半期の合計は、通期の開示値と千円単位で一致することを確認済み
この表のポイントは3つです。
- 3〜5月は、この会社にとって毎年いちばん弱い3か月です。 2024年も2025年も営業利益率は4.2%でした。4月に新卒が入社し、研修中は売上を生まないのに給料は発生するためです。「第1四半期の実績を4倍する」「上半期を2倍する」読み方が成り立たない会社です
- それでも今年の3〜5月は、例年の4.2%に対して△0.7%で、営業赤字でした。 売上は前年同期比+11.3%伸びたのに、売上総利益は714百万円から600百万円へ16%減っています
- 9〜11月(第4四半期)が年間でいちばん稼ぐ3か月です。 2024年は営業利益の42%、2025年は35%をこの3か月で稼いでいます。下期に利益が偏る会社であることは、第4章の計算の前提になります
用語メモ:なぜ「累計」から引き算するのか 日本の決算短信は、期首からの累計で数字を出すのが原則です。第2四半期の短信に載る「上半期」の数字には第1四半期が含まれています。第2四半期の3か月だけの実力を知るには、「上半期累計−第1四半期累計」を自分で計算する必要があります。
3-2. 何が利益を消したのか——会社の分解
会社は決算説明会資料で、経常利益の前年同期比の変化を項目別に分解しています。図の数値を筆者が読み取り、損益計算書と突き合わせたものが次の表です。
| 項目(上半期累計・前年同期比) | 経常利益への影響 |
|---|---|
| 2025年11月期上半期の経常利益 | 412 |
| 売上の増加 | +165 |
| 売上原価の増加 | △269 |
| 採用関連費の減少 | +21 |
| 人件費の増加 | △43 |
| その他販管費の減少 | +2 |
| 営業外収益の増加 | +4 |
| 2026年11月期上半期の経常利益 | 292 |
単位:百万円。説明資料の図から筆者が読み取った値。「売上の増加」と「売上原価の増加」の合計△104が損益計算書の売上総利益の減少(△103.5)と、販管費の3項目の合計(+20の費用増)が販管費の増加(+19.6)と、それぞれ一致することを確認
この表のポイントは、減益の主因が「売上原価の増加」であり、販管費ではないことです。会社は売上原価が膨らんだ理由を3つ挙げています。
- 待機コスト:大口顧客からの需要が急減し、エンジニアの待機が一時的に発生した
- 大型案件の工数超過:一部の大型案件で想定を上回る工数が発生し、新システムへの移行時期を見直したことで既存システムの維持費用も増えた
- 製販区分の一部見直し:これまで販管費に入れていた費用の一部を売上原価に移した(後述)
第1章の例えに戻ると、1つ目は「客先の机が空いた時間も給料は会社持ち」、2つ目は「成果物を約束した仕事で工数が膨らんでも追加代金はもらえない」という、この事業モデルの弱み側そのものです。
なお、事業承継に伴う取得関連費用82百万円は「その他販管費」に入っていますが、同じ項目の中で製販区分の見直しによる減少と相殺されて、分解図の上では+2としか見えません。第1四半期の説明資料では関連費用が20百万円と書かれているので、3〜5月に計上された関連費用は約62百万円という計算になります(筆者の差し引き。百万円単位の丸めを含みます)。これを足し戻しても、3〜5月の営業利益は約40百万円(営業利益率1.2%程度)で、例年の4.2%には届きません。一時費用だけでは説明しきれない落ち込みがあった、ということです。
用語メモ:「大口顧客」はどこか 会社は需要が急減した大口顧客の名前を開示していません。有価証券報告書で名前が出ている最大顧客はアルファシステムズ(2025年11月期の売上1,341百万円、前期比△8.8%)ですが、これが今回の「大口顧客」かどうかは開示からは判断できません。 両者を結びつける根拠はないので、本記事では結びつけません。
3-3. 注意:売上総利益率は前年と比べられない
上の四半期表で、2025年9〜11月の販管費が313.6百万円(売上比9.8%)と、他の四半期(15〜20%)から大きく下がっています。同じ3か月の粗利率も20.8%に下がりました。
会社は2025年11月期の決算説明資料で「製販区分の一部見直しにより原価が増加し、その他販管費が減少」と書いており、2026年11月期第1四半期の説明資料では、その影響額を**「原価+45百万円、その他販管費△42百万円」**と開示しています。つまり、2025年の途中から、同じ費用が「売上原価」側に計上されるようになったということです。
ここから言えるのは次のことです。
- 売上総利益率を前年同期と比べると、実態より悪く見えます。 今期の第1四半期の粗利率23.8%(前年26.1%)の低下のうち、約1.4ptは区分の変更によるものです(45百万円÷売上3,158百万円、筆者の計算)
- 営業利益率は区分変更の影響を受けません。 売上原価と販管費の間で費用が移っても、両方を引いた後の営業利益は変わらないからです。この会社の四半期を時系列で比べるときは、営業利益率を物差しにするのが安全です
3〜5月について会社は区分変更の影響額を開示していません。したがって、3〜5月の粗利率18.1%(前年24.0%)の低下のうち、どこまでが区分変更で、どこまでが待機と工数超過なのかは切り分けられません。営業利益率で見て△0.7%(前年4.2%)という事実だけは、区分の影響を受けずに言えます。
3-4. 3つのKPIで見る3〜5月
| 四半期 | エンジニア数(四半期末) | うち社員 | うちビジネスパートナー | 稼働率(3か月) | 1人当たり売上高(月) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年11月期 12〜2月 | 1,710人 | 1,678人 | 32人 | 95.1% | 584千円 |
| 2025年11月期 3〜5月 | 1,812人 | 1,772人 | 39人 | 93.0% | 593千円 |
| 2025年11月期 6〜8月 | 1,782人 | 1,739人 | 43人 | 94.2% | 601千円 |
| 2025年11月期 9〜11月 | 1,788人 | 1,731人 | 57人 | 95.6% | 614千円 |
| 2026年11月期 12〜2月 | 1,816人 | 1,755人 | 61人 | 95.3% | 608千円 |
| 2026年11月期 3〜5月 | 2,002人 | 1,898人 | 104人 | 92.1% | 608千円 |
出典:2026年11月期第2四半期決算説明会資料(「会計期間毎」の参考表)。エンジニア数には臨時従業員を含む。合計は会社の開示値で、内訳の和と1人ずれる四半期がある
この表のポイントは3つです。
- 人数は前年同期比で190人(+10.5%)増えました。 うち100人以上がコプロテクノロジー社からの事業承継によるものと会社は説明しています。M&Aを除いた自然増の内訳は開示されていません
- 稼働率は92.1%と、前年同期(93.0%)を0.9pt下回りました。 新卒が入る3〜5月は毎年下がりますが、今年はそこに大口顧客の需要急減が重なりました。0.9ptの差は、2,002人規模でいえば約18人が3か月間稼働しなかったのに相当します(2,002人×0.9%。筆者の概算)
- 1人当たり売上高は608千円で、前四半期から横ばい、2025年9〜11月の614千円からは下がっています。 単価交渉の効果は前年同期比では出ていますが(+15千円)、直近の四半期では伸びが止まっています
4. 深掘り②:据え置かれた通期予想は、下期に何を求めているか
前章で「どこで利益が消えたか」を確認しました。同じ問いの後半として、会社予想を達成するには残りの半年で何が必要かを計算します。
4-1. 残り期間の含み
| 項目 | 通期会社予想 | 上半期実績 | 下期に必要な額 | 2025年11月期の下期実績 | 2024年11月期の下期実績 | 前年下期比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 13,150 | 6,469.8 | 6,680.2 | 6,274.0 | 5,756.1 | +6.5% |
| 営業利益 | 1,035 | 223.0 | 812.0 | 636.6 | 680.7 | +27.6% |
| 経常利益 | 1,120 | 292.4 | 827.6 | 665.6 | 711.7 | +24.3% |
| 当期純利益 | 785 | 193.7 | 591.3 | 493.0 | 519.5 | +19.9% |
| 営業利益率 | 7.9% | 3.4% | 12.2% | 10.1% | 11.8% | +2.1pt |
単位:百万円。「下期に必要な額」=通期予想−上半期実績(筆者の計算)。過去2期の下期実績は通期−上半期で算出
この表のポイントは、売上はあと6.5%伸ばせば届くが、営業利益は前年の下期より27.6%多く稼がなければ届かないことです。下期の営業利益率に直すと12.2%で、直近2期の下期(10.1%、11.8%)をどちらも上回ります。
「進捗率21.5%」という数字だけ見ると深刻に見えますが、この会社は下期に利益が偏るので、進捗率は前年と並べないと意味がありません。
| 期 | 上半期の営業利益の進捗率(期初予想比) | 着地 |
|---|---|---|
| 2024年11月期 | 26.0% | 期末後に下方修正(△7.4%) |
| 2025年11月期 | 33.3% | 期末後に下方修正(△5.6%) |
| 2026年11月期 | 21.5% | 据え置き |
進捗率は筆者の計算。分母はいずれも期初予想
この表のポイントは、下方修正に至った過去2期よりも、今期の進捗率のほうが低いことです。
4-2. 会社の説明——「追加工数は収束見込み」
会社は据え置きの根拠を次のように説明しています(第2四半期決算説明会資料)。
- 取得関連費用の大半は第2四半期までに計上済みの一時費用
- 大型案件の追加工数は収束見込みで、再設定した納期に向けて順調に進捗。既存環境の維持期間も確定しており、追加費用は限定的
- 需要動向を踏まえた採用と、待機者の早期稼働を進める
また、事業承継した100人超のエンジニアは3月27日に移ってきたばかりで、上半期には約2か月分しか売上に入っていません。下期は6か月分が入ります。承継事業の売上規模は開示されていませんが、下期の増収には承継分が上乗せされるのは確かです。
4-3. 強気・弱気の両方の読み方
強気側の読み方
- 3〜5月の落ち込みのうち、取得関連費用(約62百万円)は一時的なもので、下期には出ない
- 承継したエンジニアの売上が6か月フルに乗る。売上の必要増収率+6.5%は、上半期の実績(+11.3%)より低い
- 2023年11月期には、期末後に上方修正(営業利益+11.9%)したこともある
- この会社の下期は例年強く、2024年の下期営業利益率は11.8%あった。12.2%はその延長線上にないわけではない
弱気側の読み方
- 下期に必要な営業利益率12.2%は、直近2期の下期実績をどちらも上回る
- 下方修正に至った2024年・2025年よりも、上半期の進捗率が低い
- のれんの償却(年31.6百万円、12年均等。筆者の計算)が下期は6か月分乗る
- 受注損失引当金が積み上がっている(第6章)。大型案件の損失見込みが引当済みかどうかは、会社は開示していません
どちらの読み方をとるにしても、この会社の過去3期の行動からは、期中に修正の開示が出るとは限らないことを前提にしておく必要があります。次に形がはっきりするのは、第3四半期決算(例年10月上旬。2025年は10月6日)での累計の進捗と、6〜8月の単独営業利益率です。前年の6〜8月は9.3%でした。
5. コプロテクノロジー社からの事業承継——「稼働している人数」で値段が決まった
5-1. 取引の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相手先 | 株式会社コプロテクノロジー(コプロ・ホールディングスの連結子会社) |
| 承継した事業 | 求人サイト「ベスキャリIT」を主軸としたSES事業(派遣・準委任) |
| 方法 | 吸収分割(2026年2月24日の定時株主総会で承認) |
| 効力発生日 | 2026年3月27日 |
| 基準価額 | 730百万円 |
| 最終的な対価 | 602.5百万円(現金) |
| のれん | 379百万円(暫定。12年均等償却) |
| のれん以外の承継資産 | 223百万円(固定資産。内訳は開示なし) |
| 取得関連費用 | 82百万円(アドバイザー報酬等) |
| その後 | 求人サイトを「Prime Freelance」として2026年6月18日にリニューアル |
出典:招集通知(第7号議案・吸収分割契約書)、2026年11月期第1四半期・第2四半期決算短信、プレスリリース
5-2. 値段の決め方が、この事業の本質を表している
株主総会の招集通知に載った吸収分割契約書には、価格の調整式がそのまま書かれています。
本調整額=(実社員数−基準社員数)×500万円+(実FL数−基準FL数)×500万円+(実BP数−基準BP数)×250万円
基準人数は社員65人・フリーランス65人・ビジネスパートナー16人の計146人で、2026年4月1日時点で顧客との契約(3か月以上)に基づいて稼働している人数を数え、基準との差で価格を上下させる仕組みです。
実際の対価は602.5百万円で、基準価額から127.5百万円下がりました。式に当てはめると、社員・フリーランス換算で約25〜26人分、基準より稼働人数が少なかったことになります(127.5÷5=25.5。ビジネスパートナーの組み合わせで内訳は複数ありえます。筆者の逆算)。会社の説明資料にある「エンジニア数が100名以上増加」とも矛盾しません。
第1章の例えで言えば、この会社が買ったのは「客先の机に座って稼働しているエンジニア」そのものであり、稼働していない人には値段がつかないという契約になっていました。買い手としては、待機リスクを売り手に負わせた合理的な設計です。
用語メモ:のれん 買収で支払った金額のうち、受け入れた資産の価値を超える部分を「のれん」と呼び、将来の稼ぐ力への対価として資産に計上します。日本基準では一定期間で償却(費用化)します。今回は602百万円のうち379百万円がのれんで、12年で割ると年約31.6百万円(筆者の計算)が毎年の費用になります。まだ「暫定」の金額なので、取得原価の配分が終わると変わる可能性があります。
5-3. 何が見えていないか
- 承継事業の売上・利益は開示されていません。 下期の増収にどれだけ効くかは、第3四半期以降の説明を待つ必要があります
- のれん以外の承継資産223百万円の内訳も未開示です。 吸収分割契約書の別紙に記載された承継資産はソフトウェア約32百万円だけなので、差額は取得原価の配分で識別された無形資産等である可能性がありますが、これは筆者の推測で、会社の開示に基づくものではありません
- フリーランス(個人事業主)を扱う事業が入ってきたことで、今後のエンジニア数には「社員」「ビジネスパートナー」に加えてフリーランスが混ざります。KPIの定義が変わっていないかは、今後の説明資料で確認が必要です
6. 決算書の隅の数字:受注損失引当金が1年半で約15倍
損益の説明文にはほとんど出てこない数字ですが、貸借対照表の負債の部に、方向を示す小さな数字があります。
| 時点 | 受注損失引当金 |
|---|---|
| 2024年11月末 | 5.3 |
| 2025年8月末 | 10.8 |
| 2025年11月末 | 21.4 |
| 2026年2月末 | 30.7 |
| 2026年5月末 | 78.3 |
単位:百万円。出典:各期の決算短信の貸借対照表
用語メモ:受注損失引当金 請負の仕事で、この先かかる費用が受け取る代金を上回ることが見えた時点で、その赤字見込み分をあらかじめ費用として計上しておくものです。「すでに受注した仕事のうち、赤字になると見込まれている分」の大きさを表します。
この表のポイントは、上半期だけで56.9百万円積み増され、3〜5月の3か月で47.6百万円増えていることです。会社が説明する「一部大型案件の想定を上回る工数」と方向は一致します。キャッシュ・フロー計算書でも「受注損失引当金の増減額」が+56.9百万円と、前年同期(+2.3百万円)から大きく増えています。
引当金は「見込んだ損失を先に費用に入れる」ものなので、積み増した分はすでに上半期の損益に入っています。下期に案件が計画どおり進めば、追加の損失は出ません。逆に、工数がさらに膨らめば追加の積み増しが必要になります。会社は「追加工数の発生は収束見込み」としていますが、78百万円がどの案件の、どの程度の損失見込みかは開示されていません。第3四半期末の残高が、この論点の答えになります。
7. 資本政策と株主還元
7-1. 株主優待はない
会社IRサイトのFAQで「現在ご用意はございません」と明言されており、有価証券報告書(第26期)の「株主に対する特典」欄も「該当事項はありません」です。2つの一次情報が一致しています。
7-2. 配当:配当性向50%を目標に、毎期増配
有価証券報告書の配当政策には「第20期より配当金は当期純利益の50%を目標とした配当性向を基準とした」とあり、中計資料には「継続的に毎期増配することを目指す」とあります。
| 決算期 | 中間 | 期末 | 年間 | 配当性向 |
|---|---|---|---|---|
| 2023年11月期 | — | 77円 | 77円 | 49.5% |
| 2024年11月期 | 47円 | 48円 | 95円 | 52.3% |
| 2025年11月期 | 49円 | 50円 | 99円 | 51.3% |
| 2026年11月期(予想) | 50円(支払済) | 51円 | 101円 | 51.0% |
出典:各期の決算短信、有価証券報告書
この表のポイントは、「配当性向50%」と「毎期増配」の2つの方針が、利益が伸び続ける限りは両立し、利益が落ちると衝突することです。今期の101円は、会社予想の純利益785百万円が前提の配当性向51.0%です。
下期の純利益が前年並みにとどまった場合、101円の配当性向がどうなるかを試算すると次のとおりです。
| 下期の純利益の前提 | 通期純利益 | 1株利益(実株数ベース) | 101円の配当性向 |
|---|---|---|---|
| 会社予想どおり(591百万円) | 785 | 199.4円 | 50.6% |
| 2024年11月期の下期並み(519百万円) | 713 | 181.2円 | 55.7% |
| 2025年11月期の下期並み(493百万円) | 687 | 174.5円 | 57.9% |
単位:百万円。1株利益の分母は2026年8月末の自己株式控除後の株数3,936,299株(筆者の推計。第7-4節)で割った筆者の試算。会社予想EPS198.05円は期中平均の株数を前提にしているため、分母が異なります
どちらのシナリオでも配当性向は5割台後半にとどまり、101円の支払い自体に無理がある水準ではありません。5月末の手元資金(現金−借入金)は約2,945百万円、年間配当総額は約398百万円です。ただ、会社が「50%目標」と「毎期増配」のどちらを優先するのかは、利益が予想を下回った年に初めて分かります。過去2期(2024年・2025年)は下方修正のあとも配当性向は51〜52%で、増配も続きました。
権利確定日の確認
| 配当 | 基準日 | 権利付き最終日 |
|---|---|---|
| 2026年11月期 期末(予想51円) | 2026年11月30日(月) | 2026年11月26日(木) |
| 2027年11月期 中間 | 2027年5月31日(月) | 2027年5月27日(木) |
権利付き最終日は、基準日の2営業日前(受渡しがT+2のため)で筆者が計算
用語メモ:権利付き最終日 配当を受け取るには、基準日に株主名簿に載っている必要があります。株の売買は約定日の2営業日後に受渡しされるので、基準日の2営業日前までに買っておく必要があります。この日を「権利付き最終日」と呼びます。
配当を決める機関が変わった
2026年2月24日の定時株主総会で監査等委員会設置会社に移行した際、定款に「剰余金の配当等を取締役会の決議によって定めることができる」(第34条)という規定が入りました。有価証券報告書の配当政策には「期末配当は株主総会」と書かれていますが、これは2025年11月期の配当についての記載です。今期の期末配当からは、取締役会で決めることが定款上可能になっています。強気側からは「機動的な還元が可能になった」、弱気側からは「株主総会で配当議案に意見を言う機会がなくなる」と両方に読めます。
7-3. 自己株式の取得:上限2億円のうち27.5%
2026年7月6日(決算発表と同日)に、自己株式取得が決議されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得期間 | 2026年7月7日〜11月30日 |
| 上限 | 120,000株(自己株式を除く発行済の3.0%)または200百万円 |
| 7月の取得 | 24,000株・45.6百万円(平均1,901円) |
| 8月の取得 | 4,700株・9.3百万円(平均1,977円) |
| 8月末までの累計 | 28,700株(株数上限の23.9%)・54.9百万円(金額上限の27.5%) |
出典:自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ(7月6日)、自己株式の取得状況に関するお知らせ(8月3日・9月1日)。平均単価は筆者の計算
この表のポイントは3つです。
- 先に効くのは金額の上限です。 9月18日終値1,969円で200百万円を割ると約101,600株で、株数上限の120,000株には届きません
- 8月のペースは7月の5分の1以下に落ちています。 残りの約145百万円を9月以降の約59営業日で使い切るには、1日あたり約1,250株の買付けが必要です(筆者の試算)
- この株は出来高が少ない銘柄です。 7月下旬〜9月中旬の1日平均出来高は約5,000株でした。市場での自己株式取得には、1日の買付数量を直近の平均売買高の25%以内に抑えるという目安(相場操縦等の規制上の安全圏とされる基準)があり、約1,250株はちょうどその目安付近にあたります。上限いっぱいまで取得されない可能性がある、というのは筆者の推測で、会社は取得ペースについて何も説明していません。自己株式取得の上限は「ここまで買ってよい」という枠であり、「必ず買う」という約束ではありません
参考までに、2024年7月の自己株式取得(上限100百万円)は、2週間で99.9百万円(45,100株、平均2,216円)を取得して終了しています。
7-4. 株数の増減と希薄化
| 項目 | 株数 |
|---|---|
| 発行済株式総数(2026年5月末) | 4,014,000株 |
| 自己株式(2026年5月末) | 49,001株 |
| 自己株式取得(7〜8月) | 28,700株 |
| 自己株式控除後(8月末時点の筆者推計) | 3,936,299株 |
| 未行使のストックオプション(第2回、行使価額512円) | 約95,000株(筆者推計) |
ストックオプションは2025年11月末で96,400株分が残っており、その後の行使で発行済株式が1,400株増えていることから、残りを約95,000株と推計しました(失効があれば減ります)。行使価額512円は現在の株価を大きく下回っており、いつ行使されてもおかしくない「イン・ザ・マネー」の潜在株式です。自己株式控除後の株数に対して約2.4%にあたります。短信の「潜在株式調整後1株当たり中間純利益」48.44円(通常48.86円)は、この分を織り込んだ数字です。
上半期のEPSの減り方(△28.9%)と純利益の減り方(△28.8%)はほぼ一致しており、株数の増減による見え方の歪みはありません。
7-5. 支配株主と株主構成
| 株主 | 持株数 | 比率 |
|---|---|---|
| 株式会社ウェストリバー(西川三郎氏の資産管理会社) | 1,600,000株 | 40.3% |
| 西川 三郎(代表取締役会長兼社長) | 620,700株 | 15.6% |
| PERSHING SECURITIES LTD CLIENT SAFE CUSTODY ASSET ACCOUNT | 153,400株 | 3.8% |
| 松島 亮太(専務取締役) | 119,500株 | 3.0% |
| 西川 明宏(常務取締役) | 104,000株 | 2.6% |
| 西川 優 | 104,000株 | 2.6% |
| 西川 香代子 | 100,000株 | 2.5% |
2025年11月30日現在。比率は自己株式を除く発行済株式に対する割合。出典:有価証券報告書(第26期)
この表のポイントは2つです。
- 西川三郎氏・資産管理会社・親族で63.6%を保有しています(有価証券報告書「事業等のリスク」の記載)。会社が開示する「支配株主等に関する事項」では、西川氏の議決権は直接所有15.70%+合算対象48.25%で63.94%です。支配株主との取引は「該当事項はありません」とされています
- 株主数は2,478人(所有者別状況)と少なく、1日の出来高も数千株規模です。 流通する株が少ないので、少しの売買で株価が動きやすい一方、自己株式取得も思うように進まない構造です
会社は有価証券報告書で、西川氏らが「今後も当社の流通株式比率を高めるための一部売出しの要請に応えつつ中長期的に一定の当社株式を保有する方針と認識」と書いています。強気側から見れば経営の一貫性と、将来の売出しによる流動性改善の可能性。弱気側から見れば、売出しが出たときの需給悪化の可能性です。どちらも、現時点で具体的な計画は開示されていません。
7-6. グロース市場の時価総額基準との距離
東京証券取引所は、グロース市場の上場維持基準を2030年3月1日以後に到来する基準日から見直し、上場5年経過後の会社に時価総額100億円以上を求めることにしています(JPXの公表資料)。ジャパニアスは2022年9月上場なので、上場5年は2027年9月に経過します。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 発行済株式総数(自己株式を含む) | 4,014,000株 |
| 2026年9月18日終値 | 1,969円 |
| 時価総額(自己株式を含む) | 約79億円 |
| 100億円に必要な株価 | 約2,491円(+26.5%) |
必要株価は筆者の試算。JPXの判定は「事業年度末日以前3か月間の終値平均×事業年度末日の上場株式数」で行われ、適合しない場合は1年の改善期間があります。この会社の場合、最初の判定がどの基準日になるか、自己株式の扱いを含む細部はJPXの規則で確認が必要です
この表のポイントは、株価があと約27%上がらないと届かない水準にあることです。2030年まで時間はありますが、この基準への対応として、会社がどのような施策(増配、自己株式取得、売出しによる流動性改善、市場変更など)を選ぶかは、今後の資本政策を読むうえでの論点になります。会社は現時点で、この基準についての方針を開示していません。
8. 株価の見方
8-1. 株価の基準点(すべての株価依存の記述はここを起点にしています)
| 経路 | 日付 | 株価 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 直近終値 | 2026年9月18日(金) | 1,969円 | Yahoo!ファイナンス(9月21〜23日は祝日で休場) |
| 決算発表日→翌営業日の終値 | 2026年7月6日→7月7日 | 1,995円→1,864円(△6.6%) | 同上 |
| 自己株式取得の平均単価 | 2026年7月・8月 | 1,901円・1,977円 | 取得状況の開示 |
| 自己株式取得の平均単価 | 2024年7月 | 2,216円 | 取得終了の開示 |
| 2025年11月期の最高値・最安値 | — | 2,499円・1,745円 | 有価証券報告書 |
| 株主総利回り(2025年11月期) | — | 129.4%(配当込みTOPIXは217.2%) | 有価証券報告書 |
株主総利回りは、2022年11月末に投資した場合の配当込みの価値の推移です。この3年間、配当を含めても株価の伸びは市場平均(配当込みTOPIX)を大きく下回っています。
8-2. 指標
| 指標 | 値 | 計算 |
|---|---|---|
| 時価総額(自己株式控除後) | 約77.5億円 | 1,969円×3,936,299株 |
| PER(会社予想ベース) | 9.9倍 | 1,969円÷198.05円 |
| PER(下期が前年並みの場合) | 11.3倍 | 1,969円÷174.5円(第7-2節の試算) |
| PBR | 2.31倍 | 1,969円÷1株純資産851円(5月末) |
| 配当利回り(予想) | 5.1% | 101円÷1,969円 |
| 1株当たり実質手元資金 | 約748円 | (現金3,070百万円−借入金125百万円)÷3,936,299株 |
すべて筆者の計算。株価は2026年9月18日終値
8-3. 強気の見方
- 需要側(IT人材不足)は構造的で、会社の売上は第12期から増収が続いている
- 上半期の減益要因のうち、取得関連費用は一時的。大型案件の追加工数も「収束見込み」と会社は説明している
- 事業承継で100人超のエンジニアと自社運営の求人サイトを手に入れた。承継価格は稼働人数に連動する設計で、買い手の待機リスクは抑えられている
- 配当利回り約5%、配当性向50%目標と毎期増配の方針。下期が前年並みでも101円の配当性向は5割台後半にとどまる
- 1株当たり実質手元資金は株価の約38%
8-4. 弱気の見方
- 3〜5月は単独で営業赤字。一時費用を足し戻しても例年の利益率に届かない
- 通期予想の達成には、下期に過去2期を上回る営業利益率(12.2%)が必要
- 過去2期は、上半期時点で据え置いたまま、期末後に下方修正している。今期の上半期の進捗率はその2期よりも低い
- 受注損失引当金が1年半で約15倍に積み上がっている
- 退職率14.1%を会社自身が最大の課題に挙げている。人を増やしても辞める人が多ければ、採用費と研修費だけがかさむ
- 最大顧客への依存(売上の11.1%)。需要が急減した「大口顧客」がどこかは開示されていない
- 出来高が少なく、支配株主が6割超を持つ。流動性が低く、自己株式取得の執行にも制約がある
- グロース市場の新基準(時価総額100億円)まで株価で約27%の距離がある
9. 今後のカレンダーと見るべきKPI
| 時期 | イベント | 見るポイント |
|---|---|---|
| 2026年10月上旬(例年。2025年は10月6日) | 第3四半期決算 | 6〜8月の単独営業利益率(前年9.3%)、受注損失引当金の残高、承継事業の寄与の説明 |
| 2026年10月初旬・11月初旬・12月初旬 | 自己株式の取得状況の開示 | 金額ベースの消化率、11月30日の期限までに上限に届くか |
| 2026年11月26日(木) | 期末配当の権利付き最終日 | 予想51円 |
| 2026年11月30日 | 決算期末・自己株式取得期間の終了 | — |
| 2026年12月 | (過去3期は12月に業績予想の修正を開示) | 修正の有無と方向 |
| 2027年1月 | 2026年11月期決算・中期経営計画のローリング | 2027年11月期の予想、中計の数値の見直し幅、事業承継の計画への織り込み |
| 2027年9月 | 上場5年経過 | グロース市場の時価総額基準の適用対象に |
見るべきKPI
- 稼働率:3〜5月の92.1%が6〜8月にどこまで戻るか。前年6〜8月は94.2%
- 1人当たり売上高:608千円で2四半期横ばい。前年9〜11月の614千円を超えられるか
- エンジニア数とその内訳:承継分を含む2,002人の維持。フリーランスの扱いの定義
- 退職率:中計の今期目標は11.7%(前期14.1%)
- 受注損失引当金:78百万円から増えるか減るか
10. 3行まとめ
- 上半期は売上+11.3%・営業利益△35.6%。累計を差し引くと、3〜5月の3か月は単独で営業赤字で、原因は待機コスト、大型案件の工数超過、事業承継の一時費用。「人を雇って客先に時間を貸す」事業の弱み側が一度に出た
- 据え置かれた通期予想は、下期に前年比+27.6%の営業利益(営業利益率12.2%)を求める計算。この会社は過去3期、期中に予想を修正せず、期末後の12月に修正している
- 配当は予想101円(配当性向51%)で、下期が前年並みでも5割台後半で払える水準。自己株式取得は8月末で金額上限の27.5%、出来高の少なさが執行ペースの制約になりうる
本記事について
本記事は、決算短信等の公開情報をもとに、生成AIを執筆補助として用いて作成しています。論点の選定・構成の判断、および記載した数値と一次情報との照合は筆者が行っています。
本記事は投資勧誘・投資助言を目的としたものではありません。数値の出典は、ジャパニアス株式会社の決算短信(2024年11月期〜2026年11月期第2四半期)、決算説明会資料、有価証券報告書(第26期)、定時株主総会招集通知、定款、適時開示(業績予想の修正、自己株式の取得、剰余金の配当、支配株主等に関する事項)、会社IRサイトのFAQ、日本取引所グループの公表資料です。株価はYahoo!ファイナンスの時系列データ(2026年9月18日終値)によるもので、公開時点の株価とは異なります。四半期ごとの損益、進捗率、下期に必要な額、配当性向・EPSの試算、株数の推計、必要株価、自己株式取得のペース等は、開示値から筆者が算出したものです。経常利益の分解表は、決算説明会資料の図から筆者が数値を読み取り、損益計算書と突き合わせたものです。第2四半期の取得関連費用(約62百万円)は、通期82百万円と第1四半期の説明資料の20百万円から筆者が差し引いたもので、丸めを含みます。以下の点は筆者の推測であり、会社の開示に基づくものではありません:承継資産223百万円の内訳、自己株式取得が上限まで進まない可能性。需要が急減した「大口顧客」と最大顧客との関係は開示されておらず、本記事では結びつけていません。第2四半期の決算説明会(機関投資家向け)の質疑応答は確認できておらず、本記事には反映していません。本記事の執筆時点は第3四半期決算の発表(例年10月上旬)の直前であり、公開時点で新しい決算が出ている可能性があります。グロース市場の上場維持基準の適用の細部(最初の判定基準日、自己株式の扱い等)は、JPXの規則原文で確認してください。
記載内容の正確性・完全性には注意を払っていますが、誤りや情報の陳腐化が含まれる可能性があり、これを保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。投資の最終判断は、必ずご自身で一次情報(会社IRサイト・EDINET等)をご確認のうえ、自己責任で行ってください。